JP2008057572A - 免震構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイソレータ層に作用する引張り力を低減させることができ、上部構造の下端の変位を小さくすることができ、水平加振に対する応答低減効果を増大させることができる免震構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】板状の上部構造4と上部構造4の下方に設けられた下部構造2との間に、円弧運動するアイソレータ層3が設けられ、アイソレータ層3により水平加振に対する上部構造4の揺れを低減させる免震構造物において、アイソレータ層3は、アイソレータ層3の下方で上部構造長辺方向と平行に延在する仮想回転軸Oを中心に、鉛直上向きに凸の円弧軌道Lに沿って上部構造短辺方向に円弧運動するように形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、地震等による水平加振に対する揺れをアイソレータにより低減させる免震構造物に関する。
従来より、地震や風、機械振動などの水平加振に対する揺れを低減させるため、免震機構(アイソレータ)が備えられた免震構造物が数多く提供されている。この免震機構は、例えば積層ゴムや滑り支承、減衰装置などの免震装置からなるものである。これらの免震装置は、免震対象の上部構造と加振源(地盤や振動機器)側の下部構造との間に設置される。これらの免震装置が備えられた免震構造物では、免震装置によってその固有周期が長くなり、上部構造に作用する地震力を低減させることができるとともに、免震装置によって振動エネルギーが吸収されて建物の安全性を確保することができる。
ところで、アスペクト比(建物の幅に対する高さの比率)が大きい構造物では、転倒モーメントによる変動軸力が大きくなる。この変動軸力が長期軸力を上回ると免震装置に引張り力が作用することになるが、免震装置に引張り力が作用すると、その免震装置が破損する等の問題が生じるおそれがある。したがって、免震装置に引張り力を作用させないことが好ましい。
そこで、近年、免震装置に引張り力が作用するのを防止することができる免震構造が提案されている。例えば、鉛直下向きに凸の円弧軌道に沿って円弧運動するように、外側の積層ゴム(免震装置)を建物内方に倒した状態で配置する免震構造が提案されている。この免震構造によれば、傾斜した外側の積層ゴムには、水平方向の振動入力に対して建物内方に向かう抗力成分を発生させることができるため、この抗力成分が建物の揺動を抑え込む力成分となって建物の転倒を抑制することができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、免震装置に引張り力が作用するのを防止することができる免震構造として、中央側の積層ゴムを水平に配置するとともに外側の積層ゴムを建物外方に倒した状態で配置する免震構造が提案されている。この免震構造によれば、横揺れが建物に作用した場合、中央側の積層ゴムは水平方向に変形し、外側の積層ゴムは傾斜に沿って変形しながら上下方に変位するため、各積層ゴムに引張り力が作用しない状態にすることができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−68247号公報 特開2006−97319号公報
しかしながら、上記した前者の従来技術(特許文献1)では、円弧軌道の回転中心がアイソレータ層の上方にあり、鉛直下向きに凸の円弧軌道に沿って円弧運動するようになっている。このため、地震応答時に上部構造は吊り下げ式の振子のようにロッキングし、上部構造の下端の振り幅(変位)が大きくなり、上部構造の下に設けられた免震装置の変形量も大きくなるという問題が存在する。免震装置の変形量には限度があるため、大きな振動が生じて上部構造下端の変位が免震装置の許容変形量よりも大きくなると対応できなくなる。また、上部構造下端の変位が大きく免震装置の変形量が大きくなると、免震装置周りに設ける免震クリアランス(免震装置の周りに移動時に躯体にぶつからないように確保するクリアランス)を大きく取らなければならない。また、吊下げ振子の復元力が作用することから、免震建物の固有周期が短くなる(短周期化)。そのため、地震時の応答低減効果が小さくなってしまう。
また、上記した後者の従来技術(特許文献2)では、外側に位置する免震装置を外方に傾けているが、建物中央では免震装置を水平に並べている。このため、地震応答時、上部構造はロッキングせずに水平に揺れることになる。したがって、免震装置による長周期化によって応答低減を図ることができるものの、その応答低減効果が小さいという問題がある。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、アイソレータ層に作用する引張り力を低減させることができるとともに、上部構造の下端の変位を小さくすることができ、さらに、水平加振に対する応答低減効果を増大させることができる免震構造物を提供することを目的としている。
本発明は、板状の上部構造と該上部構造の下方に設けられた下部構造との間に、円弧運動するアイソレータ層が設けられ、該アイソレータ層により水平加振に対する上部構造の揺れを低減させる免震構造物において、前記アイソレータ層は、アイソレータ層の下方で上部構造長辺方向と平行に延在する仮想回転軸を中心に、鉛直上向きに凸の円弧軌道に沿って上部構造短辺方向に円弧運動するように形成されていることを特徴としている。
このような特徴により、アイソレータ層によって構造物の固有周期が長周期化する。また、水平加振に対して上部構造がその下方に位置する仮想回転軸を中心に倒立振子状にロッキング(回転変位)する。
ただし、上述したように上部構造と下部構造との間に上向き凸状に円弧運動するアイソレータ層が設けられた免震構造では、アイソレータ層の円弧軌道の径が小さすぎると重力により上部構造が不安定になるおそれがある。
そこで、本発明は、前記アイソレータ層が、前記円弧軌道の半径が次式を満たすように形成されている構成にすることが好ましい。
Figure 2008057572
これにより、上部構造が重力により不安定にならず、安定した免震構造物にすることができる。
本発明に係る免震構造物によれば、アイソレータ層により構造物の固有周期が長周期化するため、水平加振に対する上部構造の加振方向変位が低減され、水平加振に対する応答低減を図ることができる。また、水平加振に対して上部構造がロッキングするため、転倒モーメントによりアイソレータ層に作用する引張り力を低減させることができるとともに、構造物の固有周期をさらに伸ばすことができ、水平加振に対する更なる応答低減を図ることができ、応答低減効果を増大させることができる。さらに、水平加振に対して上部構造がその下方に位置する仮想回転軸を中心に倒立振子状にロッキングするため、水平加振に対する上部構造下端の変位が小さくなる。これにより、アイソレータ層の変形量が小さくなり、大きな振動にも対応することができ、且つ免震クリアランスを小さくすることもできる。
以下、本発明に係る免震構造物の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は本実施の形態における免震構造物1を表した斜視図である。
図1に示すように、免震構造物1は、基礎構造体2(下部構造)の上にアイソレータ層3を介して建物4(上部構造)が建てられた構成からなる。建物4は、アスペクト比(H/B)が4以上の縦長の構造物であって一方向にスレンダーな構造物である。つまり、建物4は、その一方側の辺(見付け幅B)が他方側の辺(見付け幅D)よりも短い縦置き板状の構造物となっている。
図2はアイソレータ層3を表した拡大断面図である。
図1、図2に示すように、建物4と基礎構造体2との間に設けられたアイソレータ層3は、水平加振に対する建物4の揺れを低減させるべく横方向に運動する免震層である。このアイソレータ層3は、当該アイソレータ層3の下方で長辺方向(Y方向)と平行に延在する仮想回転軸Oを中心に、鉛直上向きに凸の円弧軌道Lに沿って短辺方向(X方向)に円弧運動するように形成されている。つまり、このアイソレータ層3は、建物4の短辺方向(X方向)に揺れる加振Sのみ建物がロッキング(剛体回転)するようにしたものである。これは、建物4がアスペクト比の大きい板状の構造物であり、見付け幅の小さい方向(X方向)に変形し易く、見付け幅の大きい方向(Y方向)に変形し難いためである。したがって、このアイソレータ層3によって、短辺方向への加振Sに対しては長辺方向周りに回転が生じ、長辺方向への加振に対しては回転が生じずに並進となる。
アイソレータ層3の具体的な構成としては、基礎構造体2と建物4との間に複数の免震装置5…が介在された構成からなる。免震装置5…としては、積層ゴムや滑り支承などを使用することができる。これらの免震装置5…は、各々の軸線の延長線(免震装置5の高さ方向に延在する線)が建物4の下方にある仮想回転軸Gにそれぞれ交差するように、外側に傾けてそれぞれ設置されている。つまり、免震装置5と仮想回転軸Oとを結んだ直線が当該免震装置5の移動方向と垂直になるような傾斜角度で免震装置5が設置されている。これにより、アイソレータ層3は、鉛直上向きに凸の円弧軌道Lに沿って運動する免震層となる。
また、アイソレータ層3は、その円弧軌道Lの半径Rが、所定値以上になるように形成されている。つまり、免震装置5から仮想回転軸Oまでの距離(半径R)については下限値があり、当該距離(半径R)がその下限値以上になるように仮想回転軸Oが設定されている。具体的には、円弧軌道Lの半径Rが次式を満たすように設定する。
Figure 2008057572
また、建物4が一般的な矩形の構造物である場合、円弧軌道Lの半径Rが建物4の高さHの1〜3倍になるように、仮想回転軸Oの位置が設定される。なお、この仮想回転軸Oは、建物4の重心G(図3に示す)の鉛直下方位置に設定されている。
次に、上記した構成からなる免震構造物1の振動理論について説明する。
図3は免震構造物1の振動応答状況を模式的に表した図であり、(a)は水平加振が発生する前の初期状態を表しており、(b)は水平加振が発生した場合の状態を表している。
図3(a)、図3(b)に示すように、免震構造物1は、通常水平に設置する免震装置5…が外側に傾斜させて設置されているため、水平加振が発生すると、建物4は仮想回転軸O周りに倒立振子状にロッキング(剛体回転)する。
建物4の質量を「m」、回転慣性モーメントを「Iθ」、積層ゴムからなる免震装置5の水平剛性(フランジ面と平行な方向の剛性)を「kh」、免震装置5から仮想回転軸Oまでの距離を「R」とすると、免震装置5の高さが変化しないものとして、建物4が「θ」だけ回転するときの仮想回転軸Oまわりの釣合式は、θが小さくtanθ=θとみなせる微小変形範囲では、アイソレータ層3の変位が「−Rθ」、重心Gの変位が「−(R+c)θ」で表されることから、重力加速度gを用いて次式で表される。ただし、このとき、減衰は無視して考えている。
Figure 2008057572
一方、地動加速度y・・(「・・」は時間による2階微分を意味する。以下同じ。)時における加振入力は重心Gの位置への水平慣性力−my・・となる。よって、仮想回転軸Oに対する重心Gの相対加速度は回転角φを用いて次式で表される。
Figure 2008057572
従って、加振時の仮想回転軸Oまわりの振動方程式は、次式のようになる。
Figure 2008057572
ここで、下式がそれぞれ成立するとする。
Figure 2008057572
Figure 2008057572
Figure 2008057572
Figure 2008057572
そうすると次式が成立する。
Figure 2008057572
これは入力に対する重心Gの位置の応答倍率を示すが、回転慣性モーメントIθにより入力が低減されている。
固有振動数は上記した(2)式で明らかなように、下記の3つの効果により低下(長周期化)している。つまり、第1に、建物4が倒立振子状態となり、(R+c)/Rだけアームが延長されたことでバネがこの比率だけ低下する効果、第2に、回転慣性モーメントIθにより分母が大きくなり、回転慣性質量が増大した効果、第3に、重力効果(P−δ効果)によりバネが低下したのと同じ効果、により長周期化する。
上記した(2)式より、この機構が不安定にならない条件は次式のようになる。
Figure 2008057572
このとき、ω´=k/mとすると、次式が成り立つ。
Figure 2008057572
例えば、免震装置5を水平に設置して固有周期4秒とすると、ω´=2π/T=1.57(rad/sec)となる。したがって、建物4の高さHが100mで重心Gの高さcが50mとすると、R>16.3mとすると不安定とならない。なお、重心Gの高さがないとき(c=0)でも、R≧4.0mとしなければならず、所定の半径Rを確保することがこの振動系を安定させるために必要な条件である。
建物4から免震装置5を介して伝達されるせん断力Qは、加振力(mω)を用いて次式で表される。
Figure 2008057572
また、最下端(仮想回転軸Oから上方に半径Rだけの距離)における転倒モーメントMの大きさは、次式で表される。
Figure 2008057572
ここで、変数を下式と設定する。
Figure 2008057572
Figure 2008057572
Figure 2008057572
そうすると、免震装置5が傾斜しない場合の転倒モーメントM´は下記のように表される。
Figure 2008057572
アスペクト比の大きい建物4では、全質量がmで高さがHのとき、回転慣性モーメントIθは(1/10〜1/12)mH程度である。ここで、Iθ=mH/10、c=H/2とすると、せん断力Qおよび転倒モーメントMはそれぞれ下式で表現できる。ただし、各階均等平面で均等階高、均等重量とする。
Figure 2008057572
Figure 2008057572
図4は、建物高さH=100m、免震装置5を水平設置したときの固有周期4秒としてω´=2π/T=1.57(rad/sec)、回転半径Rをパラメータとする場合の、せん断力Qおよび転倒モーメントMの応答倍率を示したグラフであり、(a)はせん断力Qの応答倍率を示しており、(b)は転倒モーメントMの応答倍率を示している。なお、図4における縦軸は応答倍率を示しており、横軸は加振入力振動数fを示している。また、転倒モーメントMの応答倍率は「加振力に重心高さを乗じた値に対する比」、せん断力Qの応答倍率は「加振力に対する比」、加振力=mωとし、減衰は無視している。
図4(a)、図4(b)に示すように、回転半径Rが小さくなるほど建物4の固有振動数が低下(長周期化)し低振動数域(長周期領域)での応答は増大するが、高振動数域(短周期領域)での応答は低減することがわかる。一般に地震動は短周期成分が多く0.3Hz以下の長周期成分は少ないので、本機構により建物4の固有振動数が低下(長周期化)することにより、大幅な応答低減が可能である。具体的には、上述した条件で免震装置5を傾斜させずに並進させる構成では、固有周期が4秒であったに対し、免震装置5を外側に向けて傾けて回転半径Rを100mにした構成では、固有周期が1.5倍(6秒)に長周期化され、回転半径Rを50mにした構成では、固有周期が2倍(8秒)に長周期化される。
次に、時刻歴応答解析による傾斜効果について説明する。
具体的には、地上15階、高さH=60mの板状の建物4を対象に、積層ゴムからなる免震装置5を傾斜配置した場合の「アイソレータ層3の回転半径Rによる応答低減効果」を検討する。免震を含む建物の1次固有周期は3.5秒(傾斜なし)、4.3秒(R=120m)、5.2秒 (R=60m)、入力地震波は比較的長周期成分の多いHACHINOHE(NS)原波(330gal)とし、等価曲げせん断型振動モデルで応答解析した。
図5は応答解析結果を表すグラフであり、(a)は応答せん断力を示すグラフであり、(b)は応答転倒モーメントを示すグラフである。
図5(a)、図5(b)に示すように、免震装置5を傾斜させて長周期化することで、応答せん断力および応答転倒モーメントが共に大幅に低減されていることがわかる。その結果、積層ゴムからなる免震装置5の変形は小さくなり、例えば傾斜なしの状態で26cmであったものが、R=120mで20cm、R=60mで17cmとなる。なお、最大ロッキング傾斜角θは、R=120mで1/600、R=60mで1/350と問題にならないレベルである。
上記した構成からなる免震構造物1によれば、基礎構造体2と建物4との間に円弧運動するアイソレータ層3が形成されているため、アイソレータ層3によって建物4の固有周期が長周期化する。これによって、地震の横揺れ(水平加振)に対する建物4の振動方向の変位が低減され、横揺れに対する応答低減を図ることができる。
また、上記したアイソレータ層3により、横揺れに対して建物4が振子状にロッキングする。これにより、転倒モーメントによりアイソレータ層3に作用する引張り力を低減させることができる。したがって、アスペクト比が大きい建物4でも免震装置5…に特別な引き抜き防止対策を施す必要がない。また、建物4の固有周期をさらに伸ばすことができ、横揺れに対する更なる応答低減を図ることができる。つまり、応答低減効果を増大させることができる。なお、円弧軌道Lの半径Rを小さくするほど応答低減効果が顕著になる。また、ロッキングより建物4の各階床も回転(傾斜)することになるが、その程度はわずかであり問題にならない。
さらに、上記したアイソレータ層3により、横揺れに対して建物4がその下方に位置する仮想回転軸Oを中心に倒立振子状にロッキングする。これにより、横揺れに対する建物4下端の変位が小さくなる。これにより、アイソレータ層3を構成する免震装置5…の変形量が小さくなる。したがって、大きな振動が発生した場合でも免震装置5…が破損することがなく、大地震にも対応することができる。また、免震クリアランスを小さくすることもできる。したがって、敷地境界までの寸法が小さい場合でも免震構造を適用し易くなる。
また、上記した構成からなる免震構造物1によれば、アイソレータ層3が、円弧軌道Lの半径Rが上述した所定下限値よりも大きくなるように形成されているため、建物4が重力により不安定にならず、安定な系となる。ここで安定な系とは、大変形(回転角θが大きな状態)に至っても復元力を維持し倒壊しない機構であることをさす。
また、上述した(3)式に示すように、回転慣性モーメントIθを考慮することで、免震対象物1への加振入力をm(R+c)/{Iθ+m(R+c)}倍に低減させることができる。
また、従来の免震構造物と比較して、単に免震装置5…を仮想回転軸Oに向けて配置、つまり免震装置5…を外側に傾けただけの簡単な構成なので、実施するにあたり特殊な装置や技能、施工法等が不要で、既往の施工方法を踏襲できる。
以上、本発明に係る免震構造物の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、基礎構造体2の上にアイソレータ層3が設けられてこのアイソレータ層3の上に建物4が建てられた構成からなる免震構造物1について説明しているが、本発明に係る下部構造は基礎構造体に限定されるものではない。例えば、アイソレータ層が振動機器(下部構造)の上に設けられている構成であってもよく、或いは、建物の中層部分にアイソレータ層が設けられた構成であってもよい。さらに、本発明に係る上部構造は、板状の建物に限定されず、例えば橋脚等の他の構造物であってもよい。
また、上記した実施の形態では、アイソレータ層3が、積層ゴム等からなる左右一対の免震装置5…から構成されているが、本発明は、円弧運動するアイソレータ層であれば如何なる構成のものでもよい。例えば、免震装置が左右一対に配設されていなくてもよく、或いは、免震装置が複数(3つ以上)であってもよく、或いは、複数種類の免震装置を組み合わせて使用してもよい。
また、上記した実施の形態では、アイソレータ層3が、円弧軌道Lの半径Rが上述した所定下限値よりも大きくなるように形成されているが、本発明は、円弧軌道の半径が下限値以下になっていてもよい。例えば、円弧軌道の半径が下限値以下にするとともに、上部構造を安定化させるための支持構造を別途設けた構成にすることもできる。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施の形態を説明するための免震構造物を表した斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するためのアイソレータ層を表した断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための免震構造物の振動応答状況を模式的に表した模式図である。 本発明の実施の形態を説明するためのせん断力および転倒モーメントの応答倍率の一例を示したグラフである。 本発明の実施の形態を説明するための応答せん断力および応答転倒モーメントの一例を示したグラフである。
符号の説明
1 免震構造物
2 基礎構造体(下部構造)
3 アイソレータ層
4 建物(上部構造)
O 仮想回転軸
L 円弧軌道
R 半径

Claims (2)

  1. 板状の上部構造と該上部構造の下方に設けられた下部構造との間に、円弧運動するアイソレータ層が設けられ、該アイソレータ層により水平加振に対する上部構造の揺れを低減させる免震構造物において、
    前記アイソレータ層は、アイソレータ層の下方で上部構造長辺方向と平行に延在する仮想回転軸を中心に、鉛直上向きに凸の円弧軌道に沿って上部構造短辺方向に円弧運動するように形成されていることを特徴とする免震構造物。
  2. 請求項1記載の免震構造物において、
    前記アイソレータ層は、前記円弧軌道の半径が次式を満たすように形成されていることを特徴とする免震構造物。
    Figure 2008057572
JP2006232258A 2006-08-29 2006-08-29 免震構造物 Active JP4822121B2 (ja)

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