以下、本発明の実施形態であるシート処理装置Bについて、図面を参照して詳細に説明する。本発明のシート処理装置は、以下に説明する実施形態の限定的な構成には限定されない。一体に拘束したシート束が複数重ねて裁断される限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施可能である。
第1実施形態では、電子写真方式の画像形成を行う標準型の画像形成装置の下流側にオプション機器として設置されるシート処理装置を説明する。しかし、本発明のシート処理装置は、インクジェット方式、熱転写方式、各種印刷方式等、各種方式の画像形成装置や、各種シート加工装置の下流側に設置できる。
画像形成装置は、プリンタに限らず、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施可能であって、モノクロ画像を形成する場合に限らず、各分解色のトナー像を重ねてフルカラー画像を形成する場合でも実施可能である。シート処理装置は、これらの上流側装置の一部として筐体構造に内蔵されていてもよい。
第1実施形態のシート処理装置は、シート束を糊付製本処理し、糊付けされていない三辺を切り揃える裁断を行うが、裁断は、一辺でもよく、大型の冊子を平面分割して複数冊に切り分ける裁断としてもよい。シート束は、糊付けではなく、ステイプラで針綴じされてもよい。
<画像形成装置>
図1は本実施形態のシート処理装置を備えた画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置(複写機)Gの装置本体Aの上部に配置された画像読取部2は、自動原稿給送装置(ADF)1を装備している。
画像読取部2は、線画像の読み取りヘッドを走査して自動原稿給送装置(ADF)1下に載置された原稿を読み取る固定読みと、位置決め停止された読み取りヘッドに自動原稿給送装置1から原稿を供給して移動状態で読み取る流し読みとが可能である。画像読取部2で読み取った原稿画像は、デジタル信号として装置本体Aの画像形成部3に送信されて、普通紙、OHPシート等のシートに画像形成(複写)される。
画像形成部3の下方には、各種サイズのシートを収納したシートカセット4が設けられている。シートカセット4から1枚ずつ分離して取り出されたシートは、レジストローラ5aで待機して、感光体ドラム3bのトナー像に同期したタイミングで画像形成部3に送り込まれ、電子写真方式によって画像形成される。シートは、シートカセット4からの給送のみならず、マルチトレイ8から手差しによっても給送できる。
画像形成部3は、画像読取部2で読み取った画像情報に基づいて光照射部3aからレーザ光を感光体ドラム3bに照射して静電潜像を形成し、静電潜像にトナーを付着させて現像したトナー像をシートに転写する。トナー像を転写されたシートは、定着部6へ搬送されて加熱加圧を受けてトナー像を永久定着される。
片面記録モードのとき、トナー像を定着されたシートは、そのままシート処理装置Bに送り込まれる。しかし、両面記録モードのとき、片面にトナー像を定着されたシートは、スイッチバック搬送して再送パス7へ搬送され、再度、表裏反転状態で画像形成部3へ送り込まれて裏面にも画像が形成される。
装置本体Aには、自動原稿給送装置1、画像読取部2、画像形成部3等を統括的に制御する制御部9を備える。シート処理装置Bは、制御部9とデータ、制御信号等の送受信をして、シート処理装置Bを制御する中央演算処理装置(CPU)200を備える。装置本体Aの制御部9は、シートをシート処理装置Bに送り込む前に、シート処理装置Bの中央演算処理装置200にシートサイズ等の処理情報データを送信し、シート処理装置B内のパスの切替等を行わせる。
なお、制御部9に中央演算処理装置200を組み込んで、制御部9によりシート処理装置Bを制御してもよい。制御部9は、画像形成装置Gの外部に外付け装置として配置してもよい。
<シート処理装置>
図2はシート処理装置の構成の説明図、図3は搬送整合ユニットの構成の説明図、図4は表紙シートのシフト機構の説明図、図5は糊付けユニットの平面図、図6は糊付けしたシート束に表紙シートを貼り付ける手順の説明図、図7はシート束のバッファ機構の説明図である。
図2に示すように、シート処理装置Bは、糊付製本モードで使用される搬送整合ユニットCとトリマーユニットDとを備える。搬送整合ユニットCは、1枚ずつ受け入れたシートを重ねてシート束を形成し、シート束の一辺を糊付けして一体に拘束する。トリマーユニットDは、搬送整合ユニットCから一辺を糊付けしたシート束を受け入れて、シート裁断装置Hによりシート束の残りの三辺を切り揃える。シート裁断装置Hによって三辺を切り揃えられたシート束は、積載トレイEに排出される。
図3の(a)に示すように、第1フラッパ12は、ノンソートパス15と製本パス16とを切り替える。シート処理装置Bを通常モードに設定した場合、画像形成装置(G:図1)からシート処理装置Bに排出されたシートは、第1フラッパ12によってノンソートパス15へ案内され、搬送ローラ対10a、10b、10c、10dを順送りされてスタックトレイ11に排出される。
第2フラッパ13は、中紙パス16aと表紙パス16bとを切り替える。シート処理装置Bを製本モードに設定した場合、画像形成装置(G:図1)で画像形成されてシート処理装置Bに排出された中紙シートは、第1フラッパ12によって製本パス16に案内され、続く第2フラッパ13によって中紙パス16aに案内される。1冊分の中紙シートが排出されるごとに1枚排出される表紙シートは、第2フラッパ13によって表紙パス16bに案内される。
搬送ローラ対10a、17a、17bを順送りされた中紙シートは、排出ローラ対18によって整合縦パス35に排出される。中紙シートの先端が排出センサ22を通過してから所定時間経過すると排出ローラ対18の回転速度を低下させて、整合縦パス35に排出される中紙シートの飛び過ぎを避けている。
そして、整合縦パス35に中紙シートが1枚排出される度に半月ローラ19によって中紙シートの後端を後端ストッパ20に当接する位置まで戻してシート後端整合が行われる。続いて、シート幅方向に対向する一対の整合板21を内側へ寄せてシート側端整合が行われる。
半月状に切り欠かれた形状の半月ローラ19は、通常、整合縦パス35側に半月ローラ19の切り欠き側を位置させて、排出ローラ対18による中紙シートの排出を妨げない。半月ローラ19は、中紙シートの後端が排出センサ22を通過してから所定時間経過すると、中紙シートが排出ローラ対18を通過したとみなして、図中左回りに1回転して、中紙シートを落下する方向に引き戻して後端ストッパ20に当接させる。
図3の(b)に示すように、整合縦パス板36は、不図示の整合縦パスモータで矢印a方向に移動して、整合縦パス35の厚み間隔を調整する。これにより、整合縦パス35に形成されたシート束P1の最上位のシートに対する半月ローラ19の接触圧がほぼ一定に維持される。このような排出と整合とを繰り返して、整合縦パス板36上に1冊分の中紙シートを重ね合わせる。シート束P1は、糊付ユニット(25:図3の(a))によって下辺を一体に糊付けされる。
整合縦パス35にシート束P1が形成されると、画像形成装置(G:図1)から表紙シートが排出される。図3の(a)に示すように、表紙パス16bの途中には、レジスト先端センサ23aとレジストローラ対23とが配設される。レジストローラ対23は、停止状態で待機し、表紙シートがレジスト先端センサ23aを通過してから所定時間経過すると回転開始して、表紙シートを糊付ユニット25下の所定位置へ送り込む。レジストローラ対23を停止状態で待機させる理由は、表紙パス16bへ案内された表紙シートP2の先端にループを作って斜行補正するためである。
図4に示すように、レジストローラ対23は、表紙モータ37とラック38とにより、シート幅方向に移動してニップした表紙シートをオフセットさせる。レジストローラ対23は、表紙シートP2を挟持して搬送しつつ矢印b方向に移動し、表紙シートP2がレジストセンサ24を遮光すると反転して、紙サイズに応じた規定量だけ矢印c方向に移動する。規定量は、中央演算処理装置(200:図2)が制御部9から受け取った紙サイズ信号に応じて設定する。
レジストセンサ24は、中紙シートのシート束(P1:図3の(b))の紙端位置に位置しているので、表紙シートP2は、中紙シートのシート束(P1:図3の(b))から幅方向に一定量ずれて位置決められる。
図5に平面図として示すように、糊付ユニット25は、糊ローラ25bを用いて、桶25aに貯留した糊25cを中紙シートのシート束P1の下辺面に塗布する。桶25aは、軸25eに案内されてシート幅方向に移動可能であって、外側の2箇所(図の上縁側と下縁側)を退避位置としており、駆動部25fに駆動されて2箇所の退避位置間を移動する。桶25aの移動に伴ってリンク26が押されて後端ストッパ20が外側(図中左側)へ退避すると、シート束P1が下降して糊ローラ25bに接触する。
桶25aの外側に取り付けた桶ヒータ25dは、桶25aを熱して糊25cを溶かす。桶25aに取り付けた糊ローラ25bは、駆動部25fに駆動された桶25aの移動に伴って回転して、外周面全体に溶けた糊25cを行き渡らせ、下降したシート束P1の下辺面に接触して移動する過程で糊を塗布する。
シート束P1の下端部は、グリッパ(41:図3の(a))によって厚み方向に加圧保持されているので、中紙シートの間隔へは糊が浸透しない。グリッパ41は、整合縦パス35の下部に位置して、整合縦パス35に積載されたシート束P1をグリップして表紙シートP2へ案内する。
図6の(a)に示すように、シャッタ27は、表紙パス(16b:図2)の下流に位置し、表紙シートP2が搬送されている間、表紙付けパス42を閉じている。
図6の(b)に示すように、シャッタモータ28は、シャッタラック29を駆動し、ばね30を介してシャッタ27とシャッタラック29とを移動させて、表紙付けパス42を開く。シャッタ27は、不図示のストッパに当接して停止する。
図6の(c)に示すように、グリッパ41は、糊付け完了したシート束P1を保持して表紙付けパス42を下降する。そして、シート束P1は、表紙シートP2に当接して折り目付け台34に圧接される。シャッタモータ28がカム32を回転させると、案内軸33によって折り目付け台34が互いに接近する。
このとき、シート束P1と表紙シートP2との重なりが折り目付け台34によって厚み方向に圧縮されて表紙シートP2が折り目付けされる。折り目付け台34が一定時間折り目付けを行うことによって、製本シート束P3が完成する。折り目付け台34には紙厚の変化に対応できるように逃げ機構を設けてある。
図6の(d)に示すように、その後、押し出しころ39で製本シート束P3を挟み込んで支持させた状態でカム32を回転させ続けると、折り目付け台34が互いに離間退避する。製本シート束P3は、押し出しころ39の回転によって下流へ押し出されて、束曲率パス(40:図2)へ搬送される。
図3の(b)に示すように、バッファ機構50は、糊付製本時に、画像形成装置(G:図1)から搬送されてくるシートを一時的に退避させる。整合縦パス35をシート束P1が占有して糊付製本処理が行われている間、バッファ機構50が中紙シートを受け入れ続けるので、画像形成装置(G:図1)は、糊付製本の終了を待つことなく、次の部の中紙シートの画像形成を行う。
図7に示すように、中紙シートPを退避させるバッファ機構50の受け台50aは、シート搬送方向およびシート幅方向に移動可能である。排出ローラ対18、半月ローラ19、ラック50e、及びフォトセンサ50fは、移動しない。
電磁クラッチギア50cを締結してモータ50pの回転をギア50dに伝えると、ラック50e上をギア50dが移動して移動体50nを上下方向に移動させ、これにより、受け台50aがシート搬送方向に移動する。このとき、移動体50nの突起部50kがフォトセンサ50fを遮光することにより、バッファ機構50のシート搬送方向の移動の検知と制御とが行われる。
電磁クラッチギア50gを締結してモータ50pの回転をギア50hに伝えると、ギア50hがラック50bを移動させ、これにより、移動体50nに対して受け台50aがシート幅方向に移動する。このとき、ラック50bの一端に突設した突起部50mが移動体50nのフォトセンサ50iを遮光することにより、受け台50aのシート幅方向の移動の検知と制御とが行われる。受け台50aは、中紙シートPのバッファを行うとき以外は、中紙シートPの幅よりも外側に退避して、中紙シートPの搬送を妨げない。
図3の(b)に示すように、整合縦パス35におけるシート束P1の形成が終了すると、バッファ機構50は、画像形成装置(G:図1)から続けて搬送されてくる次の冊の中紙シートPをバッファするために、受け台50aを、中紙シートPの搬送を妨げないホームポジションからシート幅方向に移動させて、シートPを受け止める位置へ位置決める。
そして、整合縦パス35からシート束P1が下方へ排出されて、後端ストッパ20上にシート束P1が無くなると、バッファ機構50は、受け台50aを下降させて後端ストッパ20よりも低い高さ位置へ移動させる。そして、受け台50aにバッファした中紙シートPを後端ストッパ20に受け渡した後に、受け台50aをシート幅方向の外側へ移動させて、中紙シートPの搬送を妨げないホームポジションへ退避させる。
<シート裁断装置>
図8はシート裁断装置の構成の説明図、図9は回転ステージの平面図、図10は単数裁断モードにおける回転ステージの動作の説明図、図11は複数裁断モードにおける回転ステージの動作の説明図である。
図2に示すように、トリマーユニットDは、回転ステージ301によって搬送して位置決めたシート束の縁を、シート裁断装置Hによって切り揃える。表示部112を通じた操作によって、シート処理装置Bは、製本シート束を受け入れるごとに1部づつ縁を切り揃える単数裁断モードと、製本シート束を複数冊重ねて縁を切り揃える複数裁断モードとを切り替え設定可能である。
図8に示すように、回転ステージ301は、回転軸315を中心にして束搬送ユニット302を立ち上げた状態で、搬送整合ユニットCの束曲率パス40から製本シート束P3を受け渡される。昇降モータ303が昇降ギア304を駆動してワイヤ305を巻き取ることにより、束搬送ユニット302は、回転軸315を中心にして回動する。搬送ユニット302の突起部302aが突起検知センサ306を遮光すると、昇降モータ303が停止して製本シート束P3を待ち受ける待機状態となる。
束搬送ユニット302は、ウエイトローラ314を先端に支持したウエイト313を有する。ウエイト解除モータ355は、ウエイト313を昇降駆動する。ウエイトローラ駆動モータ357は、ウエイトローラ314を回転駆動する。ウエイトローラ314は、ウエイトローラホームポジションセンサ356がウエイト313を検知しているホームポジション位置で待機する。
そして、通過センサ308を製本シート束P3が遮光すると、搬送ベルトモータ(322、323:図9)が起動して、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321が矢印方向に循環する。
その後、製本シート束P3の後端が通過センサ308を通過すると、ウエイト解除モータ355が正転して、ウエイトローラ314が製本シート束P3に接する位置に下降する。
図9に示すように、回転ステージ301は、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321を用いて製本シート束P3を搬送する。搬送ベルトモータ322は、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310を駆動して、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321とは空転状態である。搬送ベルトモータ323は、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321を駆動して、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310とは空転状態である。従って、搬送ベルトモータ322、323を正面側から見て右回り回転させると、製本シート束P3は左方向に搬送され、左回り回転させると、製本シート束P3は右方向に搬送される。
搬送ベルトモータ322、323を反対方向に回転させると、製本シート束P3は回転して方向転換する。製本シート束P3を回転させる際には、ウエイトローラ314を設けたウエイト313によって製本シート束P3を押えて製本シート束P3の飛び出しを回避している。
整合板316、324は、製本シート束P3の幅方向に往復移動して製本シート束P3の側面を整合する。タイミングベルト317に固定して、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321の搬送面から突出させた突き当て板318は、タイミングベルト317とともに循環して、製本シート束P3を循環方向に整合して位置決め送りする。
一対のウエイトローラ314は、第2搬送ベルト310と第4搬送ベルト321とを逆方向に循環させて製本シート束P3を回転させる際に下降して、製本シート束P3を押え付け、製本シート束P3の回転中心を一対のウエイトローラ314の中間位置に形成する。
図10の(a)に示すように、単数裁断モードでは、回転ステージ301に製本シート束P3が受け渡されると、突起検知センサ312が突起部302aを検知するまで昇降モータ303が逆転してワイヤ305が引き出される。これにより、回転ステージ301は、図10の(b)に示す水平位置へ移動する。突起検知センサ312が突起部302aを検知すると、昇降モータ303とともに搬送ベルトモータ322、323が停止して、製本シート束P3は、第2搬送ベルト310、第4搬送ベルト321とウエイトローラ314とに挟まれた状態で待機する。
その後、ウエイト解除モータ355を駆動して製本シート束P3からウエイトローラ314を離間させ、ウエイトローラ314を上昇させてウエイトローラホームポジション位置で待機させる。
ウエイトローラ314を上昇させた状態で、整合板316、324(図9参照)を内側へ移動させて、製本シート束P3が幅方向に位置決められる。続いて、搬送モータ110が起動してタイミングベルト317が循環し、突き当て板318が、シート検知センサ319の位置から指定された位置まで移動して、製本シート束P3の切断位置をシート裁断装置Hの裁断刃81に位置決める。
このとき、製本シート束P3は、整合板316、324と突き当て板318とで三辺を規制されながら搬送されるので、シート裁断装置Hにおける位置決め精度を損なわない。
図10の(b)に示す位置でシート裁断装置Hを作動させて製本シート束P3の後端が切り揃えられると、搬送ベルトモータ(322、323:図9)が起動して、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321により製本シート束P3をシート裁断装置Hから退去させる。続いて、ウエイト解除モータ(355:図8)を駆動してウエイトローラ314を下降させ、搬送ベルトモータ(322、323:図9)を逆方向に回転させて、束搬送ユニット302上で製本シート束P3を90度回転させる。
その後、再び整合板316、324で製本シート束P3の幅方向を位置決め、突き当て板318によって製本シート束P3の切断位置をシート裁断装置Hの裁断刃81に位置決める。
二辺目の切断後、同様な手順で製本シート束P3を180度回転させて三辺目の切断を行う。
三辺の裁断が終了してシート裁断装置Hから退去された製本シート束P3は、図10の(c)に示すように、搬送モータ110を起動してタイミングベルト317を逆方向に循環させることにより、回転ステージ301から排出される。
<複数裁断モード>
本実施形態のシート処理装置Bは、複数裁断モードが設定されると、回転ステージ301に製本シート束P3を複数部排出して重ね合わせ、複数部の製本シート束P3の辺を同時に切り揃える。これにより、同じ部数の製本シート束P3の辺を切り揃える場合のシート裁断装置Hの作動回数を減らしている。
図11の(a)に示すように、束搬送ローラ対307によって搬送パス311内に搬送された1部目の製本シート束P3cの後端が通過センサ308を通過すると、ウエイト解除モータ355を起動してウエイトローラ314を下降させる。その後、搬送モータ110を起動してタイミングベルト317を逆方向および順方向に循環させると、突き当て板318が往復して製本シート束P3bの先端を整合する。
複数裁断モードでは、束搬送ユニット302を立ち上げて1部目の製本シート束P3cを突き当て板318に突き当てた状態で、2部目の製本シート束P3bを待機する。このとき、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321、タイミングベルト317は停止している。
2部目の製本シート束P3bが束搬送ローラ対307によって搬送される際、ウエイトローラ314は、1部目の製本シート束P3cから離間したホームポジション位置に待機している。この状態で、束搬送ローラ対307によって搬送される2部目の製本シート束P3bが、既に積載されて待機している1部目の製本シート束P3cの上に重ねて積載される。
そして、製本シート束P3bの後端が通過センサ308を通過するとウエイト解除モータ355が起動し、ウエイトローラ314が下降して製本シート束P3bの上面に当接する。この状態でウエイトローラ駆動モータ357が起動してウエイトローラ314を回転させ、ウエイトローラ314によって製本シート束P3bを下方へ搬送して突き当て板318に突き当てる。ウエイトローラ駆動モータ357は、所定時間だけ作動させて停止される。
2部目の製本シート束P3bが積載された後、同様な手順を繰り返して3部目の製本シート束P3aが2部目の製本シート束P3b上に積載される。これにより、回転ステージ301上には、製本シート束P3a、P3b、P3cが積載される。なお、後述するように、所定部数は、製本シート束P3の厚みに応じて増減されるので、3部とは限らない。
製本シート束P3a、P3b、P3cは、第2搬送ベルト310、第4搬送ベルト321とウエイトローラ314とに挟まれて待機する。その後、ウエイト解除モータ355を起動してウエイトローラ314を上昇させ、製本シート束P3aから離間させて、ウエイトローラホームポジション位置で停止させる。
同時裁断される冊数の積載後、昇降モータ303が逆転し、突起部302aを突起検知センサ312が検知した所で昇降モータ303が停止することによって、束搬送ユニット302は図11の(b)に示す位置まで下降して水平状態となる。下降過程では、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321を順方向に循環させて、突き当て板318に対する製本シート束P3a、P3b、P3cの突き当て状態を保つ。
また、下降過程では、束搬送ユニット302上に位置する製本シート束P3a、P3bが、図11の(b)の右方向に引っ張られて、突き当て板318から離れる可能性がある。そこで、下降開始に先立たせて、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321、タイミングベルト317を図11の(a)に示す矢印方向に移動させ、製本シート束P3a、P3b、P3cの重なりを低い位置へ移動させて、束搬送ユニット302上に位置する長さを減らしている。
続いて、整合板316、324を作動させて、製本シート束P3a、P3b、P3cを整合板316に位置決め整合する。同時に、搬送モータ110を起動してタイミングベルト317を矢印方向に循環させることにより、突き当て板318が、指定された位置まで移動して、製本シート束P3a、P3b、P3cの裁断線をシート裁断装置Hの裁断刃81に位置決める。このとき、製本シート束P3a、P3b、P3cは、整合板316、324と突き当て板318とで三辺を規制されながら搬送されるので、シート裁断装置Hにおける位置決め精度を損なわない。
シート裁断装置Hで製本シート束P3a、P3b、P3cの裁断が開始されると、製本シート束P3a、P3b、P3cは、シート押さえ104によって押圧されて一体に固定されるので、整合板316、324および突き当て板318は、ホームポジションまで移動して待機する。その後、裁断が終了すると、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321が矢印と逆方向に循環して、製本シート束P3a、P3b、P3cは、表面の中心近傍にウエイトローラ314が位置する所まで搬送されて停止する。
その後、ウエイトローラ314が下降して、製本シート束P3a、P3b、P3cは、第2搬送ベルト310、第4搬送ベルト321とウエイトローラ314とで挟み込まれる。この状態で、第2搬送ベルト310と第4搬送ベルト321とが図9に矢印で示すように互いに反対方向に循環することによって、製本シート束P3a、P3b、P3cは、ウエイトローラ314を中心に90度回転する。
製本シート束P3a、P3b、P3cが90度回転すると、再度、整合板316、324で幅寄せして製本シート束P3a、P3b、P3cの側面を整合する。続いて、突き当て板318が図11の(b)の矢印方向に移動して製本シート束P3a、P3b、P3cの後端側を整合する。
その後、突き当て板318が、製本シート束P3a、P3b、P3cの先端側をシート裁断装置Hに搬送して裁断刃81に切断位置を位置決める。シート裁断装置Hによって、製本シート束P3a、P3b、P3cは、前回とは異なる縁を裁断される。
2回目の裁断後、回転ステージ301は、同様な手順を繰り返して製本シート束P3a、P3b、P3cをウエイトローラ314まで搬送して、2回目と同様な手順で今度は180度回転させる。そして、再度、シート裁断装置Hに製本シート束P3a、P3b、P3cを搬送して3回目の裁断を行わせて、製本シート束P3a、P3b、P3cにおける三辺の一括裁断を終了させる。
一括裁断が終了した製本シート束P3a、P3b、P3cは、第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321によって、ウエイトローラ314まで搬送される。そして、ウエイトローラ314を下降させて第2搬送ベルト310と第4搬送ベルト321とが逆方向に循環することで、製本シート束P3a、P3b、P3cは、90度回転させられる。糊付けされた辺を先頭にして落下させないと、落下中に冊子が開いて積載姿勢が乱れるからである。
その後、ウエイトローラ314を上昇させて第1搬送ベルト309、第2搬送ベルト310、第3搬送ベルト320、第4搬送ベルト321を矢印と逆方向に循環させることにより、製本シート束P3a、P3b、P3cが積載トレイ(E:図2)に向かって搬送される。同時に、タイミングベルト317も矢印と逆方向に循環して、突き当て板318を1回循環させ、製本シート束P3a、P3b、P3cの後端部を押して、積載トレイ(E:図2)へ確実に排出する。移動方向の後端側がシート検知センサ319によって検知されるので、製本シート束P3a、P3b、P3cは、確実に積載トレイ(E:図2)に排出される。
<トリマーユニット>
図12はシート裁断装置の模式的な斜視図、図13は裁断面と垂直な方向から見たシート裁断装置の構成の説明図、図14はシート裁断装置の駆動の説明図、図15は裁断屑の排出機構の説明図である。シート裁断装置Hは、糊付ユニット(25:図2)が糊付製本した製本シート束の糊付けされた端面を除く残りの三辺を裁断して、より品質の高いシート束に仕上げる。
図12に示すように、シート裁断装置Hは、製本シート束P3を裁断する裁断刃81を備えている。裁断刃81の形状は、片方のみに傾斜を形成して先端に鋭いカミソリ状の切刃を形成した板状で、水平方向に引き押しされて製本シート束P3に切り込む。従って、裁断刃81の長手方向の長さは、裁断する最大のシートサイズに水平方向の裁断刃81の往復移動距離を加えて設定されている。例えば、A4の長手方向を裁断するのを最大シートサイズとすると、裁断刃81の長さは、297mmに往復振幅を加えた長さ以上になる。シート裁断装置Hは、シート押さえ104で押さえ付けた製本シート束P3の縁を、裁断刃81で引き押し切断して切り揃える。
製本シート束P3の下には、裁断刃81の破損を防ぐためのローラ状のマット91が配置される。マット91は、裁断ごとにマット回転モータ92を作動させて裁断刃81を切り込ませる位置(溝91a)を移動させている。マット回転モータ92は、ギア93、駆動ベルト94を介してマット91を回転駆動する。マット91に固定したマットセンサフラグ95をマットセンサ96で検知して、マット91の回転量が制御される。
図13に示すように、裁断刃81は、水平方向に往復移動が可能な長手方向移動部材82の下部に固定される。長手方向移動部材82は、垂直移動部材88に回転自在に支持されたころ83a、83bに突き当て84a、84bを案内させることにより、垂直移動部材88に対して水平方向に往復移動が可能である。垂直移動部材88は、支柱89a、89bに形成された案内溝107に案内軸106を案内させることにより、基台105に対して垂直方向、すなわち製本シート束P3の厚さ方向へ移動可能である。
支柱89a、89bの間隔は、裁断刃81の往復移動範囲よりも長く設定してある。垂直移動部材88の両端には、支柱89a、89bとの間に引張りばね90a、90bが介装されて、裁断刃81に荷重(裁断力)を付加している。
長手方向移動部材82の水平方向の移動は、裁断刃駆動モータ85によって駆動される。裁断刃駆動モータ85が回転すると、突起86aを有する回転カム86が回転して、長手方向移動部材82に形成された長孔の回転受け87を水平方向に往復運動させる。長手方向移動部材82の往復運動の速度調節は、裁断刃駆動モータ85に不図示のエンコーダを備えて行っている。
従って、垂直移動部材88が垂直方向へ移動して裁断刃81を製本シート束P3の表面に接触させた状態で、長手方向移動部材82が水平方向へ往復移動することにより、裁断刃81は、斜めに切り込んで製本シート束P3をジグザグ状に次第に深く引き押し切断する。
図14の(a)に示すように、垂直移動部材88およびシート押さえ104の垂直方向への移動は、垂直モータ108によって駆動される。垂直モータ108が回転するとカム99が回転してシート押さえ104が昇降する。垂直移動部材88に固定された突き当て片88aは、シート押さえ104の上昇に伴って引き上げられ、下降に伴って解放される。これにより、シート押さえ104に連動して垂直移動部材88が昇降する。
カム99が回転してリンク100が下支点位置近くまで移動すると、紙押さえばね101に抗するリンク100のさらなる押し下げ力によって、シート押さえ104が製本シート束P3をマット91に押し付ける。リンク100が下支点位置まで移動する間に、リンク100の取り付け部材109が突き当て片88aを解放して、垂直移動部材88が引張りばね(90a、90b:図13)によって引き降ろされ、裁断刃81が製本シート束P3に当接する。
図14の(b)に示すように、カム99が回転してリンク100が上支点位置まで移動すると、シート押さえ104による製本シート束P3の押さえが解除される。リンク100が上支点位置まで移動する過程で、リンク100の取り付け部109が突き当て片88aを押し上げて垂直移動部材88を上昇させる。これにより、裁断刃81が製本シート束P3よりも高い退避位置へ移動する。
図13に示すように、垂直移動部材88には、刃位置センサフラグ103を設け、支柱89aには、裁断刃81の下死点位置で刃位置センサフラグ103を検知する刃位置センサ102を設けてある。刃位置センサ102の出力をカウントして裁断刃81による製本シート束P3の裁断回数が識別される。
図15に示すように、裁断終了後、マット91は、矢印方向に2回転して、裁断後の裁断シート屑P4を排出ベルト116に落下させ、前回裁断位置から所定量(例えば、約5度)進んだ位置に停止して待機する。排出ベルト116に落下した裁断シート屑P4は、排出モータ115を作動させると、プッシャ97によって搬送されてダストボックス98に排出される。プッシャ97は、排出モータ115に駆動されて循環する排出ベルト116に固定してある。
マット91は、金属製の軸またはパイプに表面材料層を圧入または焼付けて形成され、表面材料層に柔らかさを確保しつつ、マット91自体にはある程度の剛性を確保してあるので、裁断刃81からの押圧力によって製本シート束P3が撓まない。表面材料層は、裁断刃81を刃こぼれさせない柔らかい材料、例えば、ゴム、ウレタン、モールド等を採用したので、裁断刃81の刃先を鋭くして製本シート束P3の裁断面をきれいに仕上げられる。
裁断によってマット91に溝91aが形成されると、製本シート束P3の最下位(マット91と直接接触している)シートの裁断面がボロボロになったり、完全に裁断されなくなったりする可能性がある。そこで、マット91は、上述したように、裁断ごとに少しずつ回転して受け位置をずらし、同じ位置で裁断を行わせない。
これにより、シート裁断装置Hは、製本シート束P3の最下位シートまで確実に裁断でき、裁断面を見栄え良く仕上げることができ、マット91の耐久性も伸びる。マット91は、実験的に同一箇所で約200〜300回の裁断に耐えられることが確認されているので、5度ずつの回転によって1周72箇所の裁断を行わせて、約21600回の裁断の耐久性を確保している。
そして、本実施形態では、図11を参照して説明したように、製本シート束P3a、P3b、P3cを重ねて1回の裁断で3部を同時に仕上げるので、64800部という3倍の耐久性を実現できる。
なお、刃受け位置の5度移動は、裁断回数が300回に達するごとに行っても同じ効果が得られる。移動量は5度以外の任意の角度に設定できる。
上述したように、一括裁断する部数は、シート押さえ104下を通過できて裁断刃81の刃先の上死点高さを越えない範囲なら3部以外の任意の部数(積載高さ)に設定できる。
裁断刃81は、単純に垂直移動するギロチン方式で駆動してもよく、皿状の回転刃に置き換えてもよい。レーザービームカッター、ウオータージェットカッター、アブレーシブ粒子カッター等に置き換えてもよい。
<シート処理装置の制御>
図16はシート処理装置の中央演算処理装置の制御ブロック図、図17は裁断制御のフローチャート、図18は複数シート束の搬送制御のフローチャートである。
図16に示すように、中央演算処理装置(以下CPU)200は、リードオンリメモリ(以下ROM)201、ランダムアクセスメモリ(以下RAM)202等を備え、装置本体(A:図1)の制御部9に接続されてシート処理装置(B:図2)を制御する。
RAM202は、CPU200の演算データ、複写機本体から受信した制御データ、切断刃81を前回交換してから次回交換するまでのシート束の裁断回数、使用者が入力したシート束の裁断除去幅、シート束の枚数設定値(Pset)、製本する部数設定値(Qset)等を記憶する。
ROM201は、CPU200が実行する各種処理の制御プログラムと、裁断刃81で裁断できる最大裁断可能幅と、マット91が同一箇所で裁断刃81を受け止めることのできる耐久回数とを書き込まれている。
CPU200は、複写機Gの電源、或いはシート処理装置B自身の電源が切られても、後処理情報を記憶しており、再度、電源を入れられたとき、記憶しておいた後処理情報に継続させて後処理情報を記憶する。
CPU200は、上述した制御手順に従って搬送整合ユニットCを制御して製本シート束P3(P3a、P3b、P3c)を形成する。トリマーユニットDにおける束搬送ユニット302への製本シート束の搬送手順についても上述したとおりである。
CPU200は、シート検知センサ319によって検知されて位置決めされている製本シート束P3を、第1搬送ベルト309、第3搬送ベルト320、第2搬送ベルト310、第4搬送ベルト321によって裁断刃81の裁断位置まで搬送し、製本シート束P3の端部を裁断刃81によって裁断する。
CPU200には、表紙モータ37、シャッタモータ28、昇降モータ303、搬送ベルトモータ322、搬送ベルトモータ323、搬送モータ110、垂直モータ108、排出モータ115、ウエイト解除モータ355、ウエイトローラ駆動モータ357が、ドライバD1〜D12を介して接続される。
CPU200には、レジストセンサ24、通過センサ308、突起検知センサ312、シート検知センサ319、突起検知センサ306、ウエイトローラホームポジションセンサ356等も接続される。
CPU200には、マット91を回転させるマット回転モータ92と、マット91の回転位置と回転量とを検知するマットセンサ96とを接続してある。CPU200は、マットセンサ96からの情報に基づいて、マット回転モータ92を制御してマット91を回転させる。
CPU200は、裁断位置及び裁断回数の情報をRAM202に不揮発に記憶させるので、画像形成装置Gの電源が切断されても、次裁断では、電源切断時の受け位置より所定量(5度)マット91を回転した受け位置から裁断が開始される。
CPU200は、裁断回数をカウントして、予めROM201に記憶してある耐久回数と比較し、カウンタ200aのカウント数がマット91の耐久回数に達した時点で、マット91を交換する時期であることを使用者に報知する。
CPU200は、刃位置センサ102による刃位置センサフラグ103の検知回数をカウントして、裁断刃81が製本シート束P3を裁断した裁断回数をカウントする。CPU200は、カウントした現在の裁断回数をRAM202に更新記憶して、ROM201に記憶してある交換基準情報としての耐久回数と比較する。そして、現在の裁断回数が交換基準情報としての耐久回数以上であれば、マット回転モータ92を回転制御して、所定角だけマット91を回転させる。
図16を参照して図17に示すように、CPU200は、制御部9から、シートサイズ情報、設定トリミング幅情報等を受けてメモリRAM202に記憶した情報に基づいて、搬送ベルトモータ322、323、搬送モータ110を制御する。そして、回転ステージ301上にある製本シート束P3を突き当て板318によって、所定の裁断位置まで搬送する(S1000)。このとき、製本シート束P3のトリミング幅は、約2〜20mmである。
CPU200は、製本シート束P3を搬送した後、垂直モータ108を駆動してリンク100が下支点に移動するまでカム99を回転させる。リンク100は、紙押さえばね101に抗してシート押さえ104で製本シート束P3をマット91に押さえ付ける(S1002)。このとき、リンク100に接続された取り付け部材109が突き当て88aを下降させる。垂直移動部材88は、引っ張りばね90a、90bに牽引されて下降し、製本シート束P3に接触する(S1004)。
CPU200は、シート押さえ104による製本シート束P3押さえを終了した後、裁断刃駆動モータ85を起動して回転カム86を回転させることにより、垂直移動部材88に対して長手方向移動部材82を水平方向に往復運動させる。裁断刃81は、水平方向の往復運動と、引張りばね90a、90bの牽引による下降とによって、製本シート束P3の裁断を開始する(S1006)。
垂直移動部材88に固定された刃位置センサフラグ103が刃位置センサ102により検知されると、CPU200は、裁断刃81による製本シート束P3の裁断を終了制御する(S1008)。CPU200は、終了制御した後、現在の裁断回数に1を加えてRAM202に記憶させる(S1010)。続いて、CPU200は、RAM202に記憶された裁断回数と、予めROM201に記憶してある耐久回数とを比較する(S1012)。
そして、裁断回数が、マット91の耐久回数に達した場合(S1012のYES)、CPU200は、表示部112に交換サインを表示するとともに、制御部9にマット91の交換要求を送信する。シート処理装置Bの表示部112または画像形成装置Gの表示部または音声等により報知することで、マット91の交換時期を使用者に知らせる(S1014)。
使用者がマット交換サインに基づいて、マット91を交換すると(S1016)、交換が検知されてマット交換サインを消す(S1018)。マット91の交換を待って裁断シート屑P4が排出ベルト116に落下される(S1020)。
一方、裁断回数が耐久回数に達していない場合(S1012のNO)、CPU200は、直ちにマット91を回転させて裁断シート屑P4を排出ベルト116に落下させる(S1020)。マット91の回転によって、排出ベルト116に落とされた裁断シート屑P4は、プッシャ97により搬送され(S1022)、ダストボックス98に排出して貯留される(S1024)。
マット91の回転動作後、製本シート束P3の三辺がまだ裁断されていないとき(S1026のNO)、製本シート束P3は90度回転されて(S1028)、糊付けされていない次の辺を裁断される(S1000〜S1026)。三辺の裁断が終了後(S1026のYES)、製本シート束P3は積載トレイEへ排出される(S1030)。
図16を参照して図18に示すように、第1実施形態では、束搬送ユニット302に排出して重ねる製本シート束(P3a、P3b、P3c、・・)の部数を制御して1回の裁断可能枚数最大値(Pmax)に近付けることにより、ジョブごとの合計裁断回数を減らす。
CPU200は、制御部9から、シートサイズ情報、製本シート束の枚数設定値(Pset)、製本シート束の部数設定値(Qset)等の情報を受けて予めメモリRAM202に記憶させている。制御部9からシートの排出開始信号を受信して(S2000)、ジョブの総シート数である「製本シート束の枚数設定値(Pset)×製本シート束の部数設定値(Qset)」が1回の裁断可能枚数最大値(Pmax)以下であるかを確認する(S2001)。
ジョブの総シート数が裁断可能枚数最大値(Pmax)以下である場合(S2001のYES)、1回の裁断で全部数を裁断できるので、1回の裁断部数を製本シート束の部数設定値(Qset)とする(S2002)。
そして、製本シート束の搬送を開始して(S2003)、製本シート束の部数設定値(Qset)分の搬送/積載が完了するまで(S2005のNO)、製本シート束の搬送/積載を継続する(S2004)。
そして、製本シート束の部数設定値(Qset)分の搬送/積載が完了すると(S2005のYES)、上述した手順に従ってシート裁断装置Hによる製本シート束の裁断処理を行い(S2007)、全ての製本シート束の裁断処理が終了となる(S2008)。
一方、ジョブの総シート数である製本シート束の枚数設定値(Pset)×製本シート束の部数設定値(Qset)が1回の裁断可能枚数最大値(Pmax)を越えている場合(S2001のNO)、1回の裁断では全部数を裁断できないので、裁断1回当たりの製本シート束の裁断部数を演算する。すなわち、1回の裁断可能枚数最大値(Pmax)/製本シート束の枚数設定値(Pset)=1回の裁断可能部数最大値(Qmax)を算出して(S2009)、裁断1回当たりの製本シート束の裁断部数とする。(S2010)。
そして、製本シート束の搬送/積載を開始して(S2011)、1回の裁断可能部数最大値(Qmax)分の搬送/積載が完了するまで(S2013のNO)、回転ステージ301に対する製本シート束の搬送/積載を継続させる(S2012)。
そして、1回の裁断可能部数最大値(Qmax)分の製本シート束の搬送/積載が完了すると(S2013のYES)、製本シート束の搬送/積載を終了させて(S2014)、1回目の裁断処理を行う(S2015)。製本シート束は、糊付けされた辺を除く三辺を裁断してシートの縁を切り揃えられる。三辺を裁断する手順については上述したとおりである。
その後、製本シート束の部数設定値(Qset)分の製本シート束が搬送されたか否かを確認し(S2016)、製本シート束の部数設定値(Qset)に達していない場合(S2016のNO)、次回の裁断処理に供する製本シート束の搬送/積載を開始する(S2012)。
そして、前回と同様に、1回の裁断可能部数最大値(Qmax)分の搬送/積載が完了するまで(S2013のNO)、製本シート束の搬送を継続させ(S2012)、1回の裁断可能部数最大値(Qmax)分の搬送/積載が完了すると(S2013のYES)、製本シート束の搬送を終了させて(S2014)、裁断処理を行う(S2015)。
ステップS2012〜S2016の手順を繰り返して、製本シート束の部数設定値(Qset)分の最終束を搬送した場合(S2016のYES)、1回の裁断可能部数最大値(Qmax)に達していなくてもシート裁断処理を行って(S2017)、全ての製本シート束の裁断処理が終了となる(S2008)。
第1実施形態のシート処理装置によれば、製本シート束のページ数に応じて一括裁断する製本シート束の冊数を調整するので、少数ページ数の製本シート束の場合、複数冊の製本シート束を1回の裁断動作で裁断可能となり、シート搬送上流部の制御を停止させる必要が無いため、裁断可能なシートの生産性を向上させる事が可能となる。
また、裁断刃の寿命は、裁断時の刃受けとの接触回数によって大きく変わるので、裁断時の裁断回数が削減できるため、裁断刃の寿命を延ばすことが可能となる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、搬送整合ユニットCよりも上流側の装置本体Aの制御部9から製本シート束の枚数設定値(Pset)と製本シート束の部数設定値(Qset)とを受信して1回の裁断に係る製本シート束の冊数を演算した。
これに対して、第2実施形態は、シート処理装置Bにおいて、糊付け製本処理された製本シート束の厚みtを測定する。そして、予め記憶された最大切断高さ(シート押さえ104下を確実に通過できる積載高さhを厚みtで除した数値nを演算する。そして、数値nを1回の裁断可能部数最大値(Qmax)として、図18に示すステップS2010〜S2017の制御を実行する。
<第3実施形態>
図19は第3実施形態のシート処理装置の説明図である。第1実施形態では、糊付製本処理と縁の切り揃えとを行うシート処理装置Bを説明した。これに対して、第3実施形態では、針綴じ束折り処理と複数部数への分割裁断とを行う。なお、針綴じ束折り処理の詳細は特許文献2に詳しいので、ここでは、本発明に係る部分のみを説明する。
図19に示すように、第3実施形態のシート処理装置400は、画像形成装置から出力されたシートを重ねてシート束を形成し、シート束の中央の折り線上に2箇所の針綴じSTを形成する。
その後、シート束の針綴じされた折り線を、回転する束折りローラ対411のニップ線に位置決める。そして、突き出し板412を折り線へ突き出して、シート束を二つ折り状態で束折りローラ対411にニップさせる。
束折りローラ対411によって二つ折り搬送された製本シート束P5は、トレイ414に積載された後に、回転ブレードカッター413によって2つに裁断される。
このとき、回転ブレードカッター413によって切断可能な最大厚みを越えない範囲でトレイ414に積載する製本シート束P5の部数を調整して、製本シート束P5を複数部まとめて裁断している。これにより、1部ずつ切断する場合に比較して、回転ブレードカッター413による切断回数を減らすことができる。
<発明との対応>
第1実施形態のシート処理装置Bは、製本シート束P3a、P3b、P3cを形成する搬送整合ユニットCと、製本シート束P3a、P3b、P3cを裁断するシート裁断装置Hとを備える。そして、搬送整合ユニットCによって形成された製本シート束P3a、P3b、P3cを重ね合わせてぞれぞれの裁断位置を揃えるウエイトローラ314、突き当て板318を備え、シート裁断装置Hは、ウエイトローラ314、突き当て板318によって裁断位置を揃えた製本シート束P3a、P3b、P3cを一括裁断する。
第1実施形態のシート処理装置Bは、斜め起立状態で搬送整合ユニットCから製本シート束P3a、P3b、P3cを受け入れた後に水平状態まで下降して製本シート束P3a、P3b、P3cをシート裁断装置Hへ搬送する回転ステージ301を備える。位置決め手段は、前記水平状態で製本シート束P3a、P3b、P3cを突き当ててシート裁断装置Hへ移動させる突き当て板318を含む。突き当て板318は、斜め起立状態の回転ステージ301が受け入れた製本シート束P3a、P3b、P3cの下端を位置決める。
前記位置決め手段は、前記斜め起立状態の回転ステージ301が受け入れた製本シート束P3a、P3bの上面に当接して突き当て板318へ向かって駆動するウエイトローラ314を含む。
第1実施形態のシート処理装置Bは、製本シート束P3を1冊ずつ裁断する単数裁断モードと、製本シート束P3a、P3b、P3cを複数冊重ねて一括裁断する複数裁断モードとを切り替え設定可能である。
第1実施形態のシート処理装置Bは、1冊の前記製本シート束P3a、P3b、P3cの裁断量を検知する中央演算処理装置200と、ウエイトローラ314、突き当て板318で重ね合わせる製本シート束P3a、P3b、P3cの冊数を中央演算処理装置200の出力に基づいて調整して、一括裁断に係る裁断量をシート裁断装置Hにおける最大可能裁断量に近付ける中央演算処理装置200とを備える。
第1実施形態のシート処理装置Bは、中央演算処理装置200は、搬送整合ユニットCよりも上流側の装置本体Aから製本シート束P3a、P3b、P3cに含まれるシートの枚数に関する情報を受信して前記裁断量を検知する。
シート処理装置Bの搬送整合ユニットCは、1枚ずつ供給されるシートを複数枚重ね合わせた後に、重なりの一辺を綴じて製本シート束P3a、P3b、P3cを形成し、シート裁断装置Hは、製本シート束P3a、P3b、P3cの綴じられていない少なくとも一辺を裁断して、シートの縁を切り揃える。
画像形成装置Gは、シート処理装置Bと、1枚ずつ画像形成したシートを搬送整合ユニットCに供給する画像形成部3とを備える。搬送整合ユニットCは、画像形成部3によって画像形成されたシートを製本処理する。
第1実施形態のシート処理装置Bは、製本シート束P3面に当接させて製本シート束P3の厚み方向にばね付勢された鋭利な裁断刃81を、裁断刃81に沿った方向に往復移動させて、製本シート束P3の縁を切り揃える。裁断刃81によって一括裁断可能なシートの上限枚数を越えない範囲で製本シート束P3a、P3b、P3cを重ねて一括裁断する。