JP2008055536A - 深穴切削加工方法およびこの方法に用いられる加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この種の深穴切削加工において、切削工具の折損を極力防ぎ、かつ加工効率を高める。
【解決手段】切削工具の加工側先端に設けた孔からミスト状の潤滑油をワークに供給し、かつ切削工具の送り速度fを一定に保った状態で、ワークに深穴を切削形成する。その際の送り速度fと、深穴の切削終了時における主軸負荷から切削開始時における主軸負荷を減じた値で表される主軸負荷増分ΔFとの相関関係に基づき、最適送り速度を定め、当該最適送り速度で深穴切削加工を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、深穴切削加工方法、特に、最適な送り速度で切削可能な深穴切削加工方法、およびこの方法に用いられる加工装置に関する。
近年、環境負荷への関心の高まりから、各種工作機械における加工潤滑方法として、使用する潤滑油の量を極力減らした状態で加工を行う、いわゆるMQL(最小量潤滑)やセミドライ加工が提案、検討されている。
例えば、深穴切削加工に上記MQL等の加工法を適用したものとして、特開2005−144565号公報に記載の深穴加工方法がある。これは、ドリル、リーマ又はエンドミル等の切削工具によりワークに切削工具の直径の50倍以上の深穴を加工するに際し、軸線方向に貫通孔を有した切削工具を工具ホルダに装着し、この工具ホルダを介して加圧気体を貫通孔に供給し、切削工具の先端部から加圧気体を噴出しながら深穴加工を行うことを特徴とするもので、貯留タンクに貯留された加工液を供給気体によって霧化したものをワークに噴出しながら深穴加工を行うものである。
この方法によれば、切削工具の先端部から噴霧状の加工液を深穴の先端にまで供給することが可能となるので、深穴内への切りくずの詰まりを防止して良好に深穴加工が可能となる。これにより使用する加工液量を減らして環境負荷を低減しつつ、切削工具の折損を抑制して当該工具の長寿命化を図っている。
特開2005−144565号公報
一般に、深穴切削加工においては、切削時の主軸負荷と送り速度との間に正の相関が認められることから、MQLのような加工法においても、切削工具等を含めた加工設備、およびワークの剛性から定まる主軸負荷の限界値を超えない範囲で、送り速度を出来る限り大きくとって切削加工を行うのがよいと考えられる。しかしながら、実際には上述の範囲内で設定した送り速度であっても、切削工具の折損が生じることが少なくない。これでは、折損を避けるために送り速度を落として加工せざるを得ず、所要の加工効率および工具寿命を達成することは難しい。
以上の事情に鑑み、本発明では、この種の深穴切削加工において、切削工具の折損を極力避けて工具寿命の延長を図ると共に、加工効率を高めることを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、切削工具の加工側先端に設けた孔からミスト状の加工液をワークに供給し、かつ切削工具の送り速度を一定に保った状態で、ワークに深穴を切削形成する深穴切削加工方法であって、深穴の切削終了時における主軸負荷から切削開始時における主軸負荷を減じた値で表される主軸負荷増分と、送り速度との相関関係に基づき最適送り速度を定め、最適送り速度で深穴切削加工を行うことを特徴とする深穴切削加工方法を提供する。ここで、送り速度は切削工具の1回転当りの送り量を意味する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、切削工具の加工側先端に設けた孔からミスト状の加工液をワークに供給しつつ、切削工具でワークに深穴を切削形成する場合に得られる2つの加工関連変数を互いに直交する2軸に取ることで求まる点の集合体、あるいはその軌跡で示される相関図の作成手段を備えた深穴切削加工装置であって、第1の加工関連変数は、切削加工期間中、一定に保たれる切削工具の送り速度であり、第2の加工関連変数は、深穴の切削終了時における主軸負荷から、切削開始時における主軸負荷を減じた値で表される主軸負荷増分である相関図の作成手段を備えたことを特徴とする深穴切削加工装置を提供する。
一般的な深穴切削加工において、深穴の加工状態を評価するためのパラメータに主軸負荷がある。このパラメータ(主軸負荷)は、従来のウェット加工においては、深穴の入口から奥側に切削加工が進むにつれて上昇し、この値が過大になると工具の折損を招くことから、切削工具の折損を回避、あるいは切削送りを制御するためのパラメータとして使用される。これに対して、MQL加工等の少量潤滑加工では、ウェット加工と異なり、切削加工中の主軸負荷は一見するとほぼ一定となる。そのため、通常であれば見過されがちであるところ、本発明者らは、ウェット加工時に比べれば軽微な主軸負荷の変動に着目し、その変動最大値(ここでは加工開始時と加工終了時との差で表される主軸負荷の増分)が、工具の折損を左右する因子となることを知得するに到った。
工具折損の直接の原因は切りくずの詰まりにあると考えられるが、この際、折損時の切りくずの大きさや形状と、主軸負荷増分との間には一定の法則が見られることがわかった。すなわち、折損時、切りくずは小さく、またその際の主軸負荷増分が大きいのに対し、非折損時、切りくずは大きく、その際の主軸負荷増分は小さい。これらのことから、切りくずの大きさと主軸負荷増分との間には負の相関が推定され、また実験により、主軸負荷増分が小さいほど切削工具の折損が生じ難いことが判明した。
さらに、主軸負荷増分を送り速度ごとに算出して、両者の関係を調べたところ、本発明者らは、所定の送り速度までは、主軸負荷増分と送り速度とが正の相関を示す一方で、所定の送り速度を超えると、負の相関を示す傾向にあることを知得するに到った。
本発明に係る深穴切削加工方法は上述の知見を経てはじめて得られるものであり、これによれば、最適な送り速度として、少なくとも上記相関関係において、当該相関が正から負へと変化する点(いわば主軸負荷増分のピーク)を除く範囲で送り速度を選択することができ、また、好ましくは主軸負荷増分がなるべく小さくなる領域の範囲内で送り速度を選択することができる。このようにして決定された最適送り速度で切削加工を行えば、切削加工時、切りくずが滞りなく排出される。そのため、切りくずの詰まりを極力避けて、工具の折損を可及的に防ぐことが可能となる。
また、この方法であれば、加工対象物や加工設備が変わるたびに、その都度切削工具の折損が生じる限界送り速度を実験的に求める手間を省くことができる。言い換えると、切削工具が折損するまで徐々に送り速度を上げながら試行を繰り返さずに済むので、必要最小限の試行で容易に最適送り速度を決定することができる。
さらに、今回の知見によれば、主軸負荷増分と送り速度との間に上述の如き相関が見出せることから、当該関係に基づき、例えば主軸負荷増分との間で負の相関を示す領域、あるいはこの領域より送り速度の大きい領域で、最適送り速度を定めるのが好ましい。このようにして定めた送り速度であれば、折損回避の範囲内で、できるだけ高速となる送り速度を選択することができるので、深穴加工を高速で行うことができ、切削効率の向上を図ることができる。また、加工タクトの短縮化を図ることで、設備台数の大幅な削減が可能となる。
特に、従来の検出方法であれば、送り速度を上げていき、工具の折損が生じた時点の送り速度を最適値として設定することになるため、主軸負荷増分がピークを迎える際の送り速度を選択する他ないが、本発明に係る方法であれば、負の相関を示す領域内、あるいはこの領域より送り速度の大きい領域で最適な送り速度を選択使用することができる。そのため、工具寿命を長く保ちつつも、従来では選択し得なかった範囲の送り速度を選択することで大幅に加工速度を向上させることが可能になる。
最適送り速度としては、上述の如く、主軸負荷増分が極力小さくなる範囲でかつ送り速度が最大となるものを選択するのが好ましいが、実際には、加工設備や切削対象となるワークの剛性により定まる加工能力の限界を考慮して、かかる最適送り速度を定めるのが妥当である。すなわち、切削工具と、切削工具を連結する主軸と、主軸の駆動部とを含む加工設備、およびワークの剛性から決定される主軸負荷許容量を超えない範囲で、最適送り速度を定めるようにすれば、切削工具や主軸、あるいは駆動部(モータなど)への負荷を適正な範囲内に抑えつつ、加工効率を高めることができる。これら加工設備の加工能力を長期にわたって安定的に発揮させることができるので、部品交換のサイクルを延ばすことができ非常に経済的である。
また、上述の知見に基づき、主軸負荷増分と送り速度との相関を示す相関図を作成すれば、ワークの種類(材質)に最適な加工設備、例えばドリル等の切削工具の最適なサイズ、形状、材質などを、かかる相関図から推定できる。従って、送り速度以外の切削関連緒元(例えば上記切削工具など)に関しても、それぞれ最適なものを選択使用することが可能となる。あるいは、過去に得た相関図とのマッチングから、送り速度を含めた最適な加工条件を容易に決定することも可能となる。
このように、本発明によれば、最適送り速度を定めることで、切削工具の折損を極力避けて工具寿命の延長を図ることができ、かつ加工効率を高めることができる。
以下、本発明に係る深穴切削加工方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る深穴切削加工装置1の一構成例を示す。同図に示すように、この加工装置1は、大別して加工設備2と制御装置3とからなり、そのうち、加工設備2は、ドリル等の切削工具4と、切削工具4を連結する主軸5と、主軸5を駆動する駆動部6とを備える。この実施形態では、加工設備2は、図示しないが、ミスト発生手段をさらに備えており、切削工具4の加工側先端に設けた孔4aからミスト状の加工液(例えば潤滑油)をワークWの被加工領域に対して供給するように構成されている。ミストの発生は、加工液以外の媒体(例えばエアや水)との混合を伴って行われるものでもよい。駆動部6は、モータ等の回転駆動部と共に、主軸5の送り機構や送り駆動部とを兼ねている。もちろん、この種の送り機構や送り駆動部を、駆動部6と別体に設けても構わない。
制御装置3は、切削工具4の送り速度f(ここでは主軸5の回転数と送り量)を制御する送り制御部7と、後述する主軸負荷Fを検出する主軸負荷検出手段8と、主軸負荷増分ΔFを算出する主軸負荷増分算出手段9と、送り速度fと主軸負荷増分ΔFとの相関関係を図示化する相関図作成手段10とを備える。この実施形態では、相関図作成手段10により作成された相関図あるいはそれに準じる情報を表示するモニター11をさらに備える。このモニター11は、入力部を備えたものがよく、例えば送り制御部7に加工条件(例えば送り速度f)を伝達するための入力部を兼ねるものでもよい。
次に、上記構成をなす深穴切削加工装置1を用いて、ワークWに深穴Wを形成する際の、最適送り速度を設定するための方法を説明する。
まず、送り制御部7から伝達される送り速度f(回転数、送り量)情報に基づき、駆動部6を駆動させ、主軸5と、主軸5に連結された切削工具4とを回転させつつワークWに向けて送る。これと共に、切削工具4の加工側先端からミスト状の加工液をワークWに対して噴霧供給しながら、ワークWを切削工具4で回転切削し、深穴Wの切削加工を行う。また、ワークWの切削加工期間中、主軸5に作用する負荷(すなわち主軸負荷F)を、制御装置3中の主軸負荷検出手段8により検出する。この実施形態では、駆動部6の駆動電圧を検出することで主軸負荷Fの検出値とみなす。
このようにして、ワークWに深穴Wを切削形成すると共に、当該切削加工期間中の主軸負荷Fを検出することで、図2に示す相関図を得る。同図において、横軸は加工時間tを、縦軸は主軸負荷検出手段8により検出された主軸負荷Fを示す。ここで、tは深穴切削開始時を、tは切削終了時をそれぞれ意味する。そして、検出された主軸負荷Fのうち、深穴Wの切削終了時tにおける主軸負荷(図2中のFに相当)から、切削開始時tにおける主軸負荷(図2中のFに相当)を減じることで、主軸負荷増分ΔFを算出する。この算出作業は、主軸負荷検出手段8から伝達される検出情報(検出時間ごとの主軸負荷Fの値)に基づき、図1中符号9で示される主軸負荷増分算出手段により行われる。
上述のようにして、1回の深穴切削加工につき、その際の送り速度fと、主軸負荷増分ΔFとを求める。この作業(主軸負荷増分ΔFの算出を伴う深穴切削加工)を送り速度fの値を変動させて複数回行い、得られた送り速度fを横軸に、主軸負荷増分ΔFを縦軸にとることにより、主軸負荷増分ΔFと送り速度fとの相関図が得られる。この作業は、図1中符号10で示される相関図作成手段によって実行される。
図3はその一例を示すもので、同図中実線で示す曲線は、送り速度fに対する主軸負荷増分ΔFの軌跡を示している。このように、この種の深穴切削加工においては、送り速度fの増加と共に主軸負荷増分ΔFが増加する領域が先行し、主軸負荷増分のピークΔFを境に、主軸負荷増分ΔFが減少する領域が現れる。言い換えると、まず、送り速度fと主軸負荷増分ΔFとの間に正の相関が見られ、その後、両者f、ΔFの間に負の相関が見られる。従って、このような相関図(相関関係)が得られた場合であれば、例えば図3中主軸負荷増分のピークΔFを除く範囲で最適送り速度を選択することができ、また、好ましくは主軸負荷増分ΔFがなるべく小さくなる領域の範囲内で最適送り速度を選択することができる。また、より好ましくは、同図中斜線で示す領域、すなわち、主軸負荷増分ΔFが最小となる範囲で、かつ送り速度fがなるべく大きくなるように、最適送り速度を定めることができる。
このように、送り速度fと、深穴Wの切削終了時tにおける主軸負荷Fから切削開始時tにおける主軸負荷Fを減じた値で表される主軸負荷増分ΔFとの相関関係に基づき、具体的には上述の範囲で最適送り速度を定め、かかる最適送り速度で深穴切削加工を行うことで、切削工具4の折損を極力避けつつも、切削効率を高く保って当該加工を行うことができる。特に、図3に示す場合のように、主軸負荷増分ΔFが最小となる範囲で、かつなるべく大きい値の送り速度fを最適送り速度として選択使用することで、深穴切削加工の更なる高速化が図られると共に、設備台数の大幅な削減が可能となる。
また、この場合、送り速度fをいかに大きくとれるかは、加工設備2の有する主軸負荷許容量Fの大きさによって決まる。すなわち、図4(b)に示すように、深穴切削加工時の平均主軸負荷F(深穴切削加工期間中の主軸負荷Fの平均値)と、その際の送り速度fとの相関関係を見た場合、平均主軸負荷Fは、送り速度fの増加に伴い線形的に増加する傾向が認められる。一方で、切削工具4と、主軸5と、駆動部6とを含む加工設備2の構成およびワークWの剛性に基づき、実用上の加工能力の限界である主軸負荷許容量Fが定まる。よって、平均主軸負荷Fが許容量Fを超えない範囲で、言い換えると、送り速度fが、主軸負荷許容量Fに対応する限界送り速度f以下となる範囲で、かつ主軸負荷増分ΔFがなるべく小さくなる範囲(図4(a)でいえば、斜線で示す領域)の中で最適な送り速度を選択するのがよい。ここで、主軸負荷許容量Fは、駆動部6の負荷最大値を100%とした場合、50%以上100%未満の値(例えば80%)として規定される。なお、平均主軸負荷Fは、例えば既述の主軸負荷検出手段8あるいは主軸負荷増分算出手段9で算出される。
このように、加工設備2の能力限界をさらに考慮に入れて最適送り速度を決定すれば、切削工具4をはじめ、主軸5や駆動部6等への負荷を適正な範囲内に抑えつつ、加工効率を高めることができ、これら加工設備2の加工能力を長期にわたって安定的に発揮させることができる。もちろん、その中で加工効率をより重視するのであれば、図4(a)に示す斜線部中、なるべく右側の値(大きい値)を最適送り速度として選択すればよいし、工具寿命をより重視するのであれば、同斜線部中なるべく左側の値(小さい値)を最適送り速度として選択すればよい。
以下、具体的に、深穴切削加工における送り速度の最適化プロセスを説明する。
図1に示す深穴切削加工装置1を用いて最適送り速度を決定する。以下、手順を示す。〈1〉まず、モニター11上で送り速度f[mm/rev]の初期値、増加幅、水準数(サンプリング数)を入力し、これに基づき加工を開始する。送り速度fは深穴切削加工ごとに個別に設定してもよい(増加幅をランダムに設定しても構わない)。〈2〉水準数分のワークWに深穴Wを加工形成し、各加工時の平均主軸負荷F、および主軸負荷増分ΔFの値を、主軸負荷検出手段8および主軸負荷増分算出手段9により得る。〈3〉データとして得られた平均主軸負荷Fと主軸負荷増分ΔF、およびその際の送り速度fとから得られる相関図を相関図作成手段10により作成し、モニター11上に出力する。〈4〉平均主軸負荷Fが主軸負荷許容量Fの範囲内で、かつ主軸負荷増分ΔFが最小となる送り速度fを最適送り速度とする。上記〈1〉〜〈4〉の手順を、材質の異なる2種類のワークWに対して行い、相関図の比較を行うと共に、各々の場合の最適送り速度を決定する。なお、主軸負荷Fは、駆動部6(ここではモータ)の負荷電流値を電圧値に換算して測定した。
ワークWとして、鋼材(1KR 295Hv)を使用した場合に得られた主軸負荷増分−送り速度相関図を図5(a)に、またその際の平均主軸負荷−送り速度相関図を図5(b)にそれぞれ示す。この場合、図5(b)に示すように、加工設備2の構成から設定される主軸負荷許容量Fと、平均主軸負荷−送り速度直線との交点から、限界送り速度がf=0.28[mm/rev]と求まる。そして、この限界送り速度f以下の範囲で、主軸負荷増分ΔF[V]が最小となる値、f=0.28[mm/rev]が最適送り速度として決定される。この場合、切削工具4の周速はV=80[mm/min]とした。かかる条件で切削加工を行ったところ、長期間の使用に対しても切削工具4の折損を生じることなく深穴Wを効率良く切削形成することができた。
次に、ワークWとして、鋼材(KF 260Hv)を使用した場合に得られた主軸負荷増分−送り速度相関図を図6(a)に、またその際の平均主軸負荷−送り速度相関図を図6(b)にそれぞれ示す。この場合、図6(b)に示すように、主軸負荷許容量Fと主軸負荷−送り速度直線とから、限界送り速度がf=0.28[mm/rev]と求まる。これを図6(a)に示す相関図に適用すると、限界送り速度fは主軸負荷増分ΔFのピークにほぼ一致するため、これより低い側で、かつ主軸負荷増分ΔFが最小となる値、すなわちf=0.16[mm/rev]が最適送り速度として決定される。この場合の周速はV=80[mm/min]とした。かかる条件で切削加工を行ったところ、長期間の使用に対しても切削工具4の折損を生じることなく深穴Wを効率良く切削形成することができた。
以上、説明したように、本発明に係る深穴切削加工方法であれば、切削工具の折損を極力抑えて、かつ高い加工効率で深穴を切削形成することができるので、例えばクランクシャフトなど、複数の深穴切削加工が必要で、非常に高い加工タクトが要求されるワークに対して好適に使用することができる。
本発明に係る深穴切削加工装置の一構成例を概略的に示す図である。 加工時間と主軸負荷との相関を示す図である。 送り速度と主軸負荷増分との相関を示す図である。 (a)は送り速度と主軸負荷増分との相関を概念的に示す図、(b)は送り速度と平均主軸負荷との相関を概念的に示す図である。 (a)は測定された送り速度と主軸負荷増分との相関を示す図、(b)は測定された送り速度と平均主軸負荷との相関を示す図である。 (a)は測定された送り速度と主軸負荷増分との相関を示す図、(b)は測定された送り速度と平均主軸負荷との相関を示す図である。
符号の説明
1 深穴切削加工装置
2 加工設備
3 制御装置
4 切削工具
5 主軸
6 駆動部
7 送り制御部
8 主軸負荷検出手段
9 主軸負荷増分算出手段
10 相関図作成手段
11 モニター
f 送り速度
F 主軸負荷
ΔF 主軸負荷増分
W ワーク
深穴

Claims (3)

  1. 切削工具の加工側先端に設けた孔からミスト状の加工液をワークに供給し、かつ前記切削工具の送り速度を一定に保った状態で、前記ワークに深穴を切削形成する深穴切削加工方法であって、
    前記深穴の切削終了時における主軸負荷から切削開始時における主軸負荷を減じた値で表される主軸負荷増分と、前記送り速度との相関関係に基づき最適送り速度を定め、該最適送り速度で前記深穴切削加工を行うことを特徴とする深穴切削加工方法。
  2. 前記主軸負荷増分との間で負の相関を示す領域、あるいはこの領域より送り速度の大きい領域で、前記最適送り速度を定める請求項1記載の深穴加工方法。
  3. 切削工具の加工側先端に設けた孔からミスト状の加工液をワークに供給しつつ、前記切削工具で前記ワークに深穴を切削形成する場合に得られる2つの加工関連変数を互いに直交する2軸に取ることで求まる点の集合体、あるいはその軌跡で示される相関図の作成手段を備えた深穴切削加工装置であって、
    第1の加工関連変数は、前記切削加工期間中、一定に保たれる前記切削工具の送り速度であり、
    第2の加工関連変数は、前記深穴の切削終了時における主軸負荷から、切削開始時における主軸負荷を減じた値で表される主軸負荷増分である相関図の作成手段を備えたことを特徴とする深穴切削加工装置。
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