本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
図1は本発明に係るエンジン駆動式発電機の側面図,図2は同エンジン駆動式発電機の平面図,図3は同エンジン駆動式発電機の正面図,図4は吸気ボックスのボックス本体を取り外した状態で示す同エンジン駆動式発電機の正面図,図5は同エンジン駆動式発電機の一部破断背面図,図6は同エンジン駆動式発電機の一部の分解斜視図,図7は図5の7−7線断面図,図8は図7の排気マフラ周辺部の拡大図,図9は図5の9−9線断面図,図10は図3の10−10線断面図,図11は図3の11−11線断面図,図12は図11の12−12線断面図,図13は図11の13−13線断面図,図14は燃料タンク取り付け部のシール部材の底面図,図15は図2の15−15線拡大断面図,図16は図2の16−16線拡大断面図,図17は図2の17−17線拡大断面図,図18は図2の18−18線拡大断面図,図19は図1の19−19線拡大断面図,図20は側壁板のメンテナンス窓の開放状態を示す,図1との対応図である。
先ず図1〜図5及び図7において,本発明のエンジン駆動式発電機1は,フレーム2と,このフレーム2の下部に弾性支持されるエンジン3及び発電機4(図7参照)と,フレーム2の上部に取り付けられる燃料タンク5と,エンジン3及び発電機4のための制御ユニット53とを備える。
フレーム2は,図1,図2及び図6に示すように,鋼管を矩形状に屈曲させてなる底枠2aと,この底枠2aの左右の長辺部にそれぞれ溶接されて起立する左右の側壁板2b,2bと,これら側壁板2b,2bの後側上端部間を連結する上部クロスメンバ2cとから構成される。側壁板2b,2bは鋼板製である。
また左右の側壁板2b,2bの後側中間部には,それらを連結して底枠2aより後方に張り出すバンパ13が固着される。
さらに左右の側壁板2b,2bの上端には,その前後方向に延びて燃料タンク5の左右両側に配置される鋼管製の補強杆14,14が溶接され,これら補強杆14,14には,それらの中間部相互を連結するハンガ部材9が設けられ,このハンガ部材9は,エンジン駆動式発電機1の吊り上げ移動に供される。
上記底枠2aには,左右の長辺部間を連結する前後一対のクロスメンバ7,7が設けられ,図5及び図6に示すように,上記下部クロスメンバ7,7には,左右一対前後2組の支持板10,10;10,10がそれぞれ弾性部材11,11;11,11を介して付設される。各左右一対の支持板10,10;10,10には,それらを互い連結する連結板15,15がボルト結合され,これら連結板15,15にエンジン3の底壁が,若しくはエンジン3に結合される後述のダクト部材31の底壁がボルト33により結合される。こうして,エンジン3及び発電機4の組立体は,フレーム2に弾性支持される。
フレーム2の底枠2aには,その底面を塞ぐように底板8がねじ止めされる。左右の側壁板2b,2b及び上部クロスメンバ2c上に燃料タンク5が取り付けられ,この燃料タンク5と,左右の側壁板2b,2bと,底板8とにより遮音ハウジング6が構成される。底板8は鋼板製である。
図6及び図7に示すように,遮音ハウジング6内には,エンジン3及び発電機4を囲繞しながらそれらとの間に一連の冷却風通路32を画成するダクト部材31が配設される。このダクト部材31は,その製作を容易にするため,複数に分割されており,その適所をエンジン3の外周面にボルト結合される。
図7において,エンジン3は4サイクル式であって,クランク軸17をエンジン駆動式発電機1の前後方向に向けて配置され,そのシリンダ部19は,クランク軸17を収容,支持するクランクケース18から一側方へ斜め上向きに突出している。
発電機4は,クランクケース18の前端面に複数のボルト21で固着されていて複数のステータコイル22aを備えるステータ22と,クランクケース18の前端壁を貫通して前方へ延びるクランク軸17の前端部に固着され,内周面に複数の永久磁石23aを配列して固設したアウタロータ23とで構成され,即ちアウタロータ式多極磁石発電機となっている。アウタロータ23は,ステータ22に囲繞されるハブ23bを備えており,このハブ23bがクランク軸17の端部にテーパ嵌合されると共に,キー24とナット25によりクランク軸17の端部に固着される。こうしてアウタロータ23は,クランク軸17に片持ち支持される。
上記アウタロータ23の外端面には,それより大径でダクト部材31の内径に対応した遠心式の冷却ファン26と,この冷却ファン26の前方へ突出するリコイルスタータ27とが取り付けられる。冷却ファン26は,前記冷却風通路32の一端部に配置され,その回転により冷却風通路32に,その一端部から他端部に向かって流れる冷却風を発生する。
クランク軸17の後端部にはリングギヤ28が固着され,このリングギヤ28をピニオン29を介して駆動し得るスタータモータ30がクランクケース18の上部に取り付けられる。リングギヤ28には,冷却風通路32での冷却風の通過を許容する複数の通気孔が設けられている。
図1,図3,図4,図10及び図11において,フレーム2の前部には,正面視でエンジン駆動式発電機1の正面の輪郭を形作る方形の吸気ボックス34が配設される。この吸気ボックス34は,後面を開放した合成樹脂製のボックス本体36と,その開放後面を閉じるようにボックス本体36に結合される鋼板製の端板37とからなっており,その端板37は,側壁板2b及び補強杆14の前端部間を連結する連結板15と,側壁板2bの下部にボルト35,35′で結合される。またボックス本体36は端板37にボルト33により結合される。
ボックス本体36の前面には空気取り入れルーバ38が設けられ,また端板37にはダクト部材31の上流端に隣接する大径の第1接続口39と,小径の第2接続口40とが設けられ,その第1接続口39の周縁には,ゴム等の弾性材からなる環状の第1シール部材41が装着され,この第1シール部材41の環状で可撓性に富むシールリップ41aがダクト部材31の外周に気密に嵌装される。この第1シール部材41は,そのシールリップ41aの弾性変形により,ダクト部材31及び吸気ボックス34の相対変位を許容しながら,吸気ボックス34及びダクト部材31間を連通する。ダクト部材31の上流端部は,吸気ボックス34内に突入するように後述するリコイルスタータカバー31aで構成され,このリコイルスタータカバー31aには多数の通風孔が設けられており,吸気ボックス34は,その横断面積が上記通風孔の総合開口面積より大きくなっていて消音膨張室を構成する。
リコイルスタータ27は,アウタロータ23の外端面に固着されるカップ状の被動部材85と,ダクト部材31の上流端にそれを覆うように結合される椀状のリコイルスタータカバー31aと,このリコイルスタータカバー31aの内壁に回転自在に軸支されてスタータロープ86が巻装されるローププーリ114と,このローププーリ114及び被動部材85間に設けられ,スタータロープ86の牽引によるローププーリ114の正転時のみローププーリ114及び被動部材85間を連結する一方向クラッチ88とを備え,ローププーリ114は図示しない戻しばねにより逆転方向に付勢されている。ローププーリ114には多数の通風孔が形成され,ローププーリ114がダクト部材31内の冷却風の流れを妨げないようになっている。
図10〜図13において,エンジン3のシリンダ部19の前面には気化器44が取り付けられる。この気化器44はダクト部材31の外側に配置されるもので,シリンダ部19及び気化器44間を接続する吸気管43が,ダクト部材31の側壁の透孔90を貫通するように配置される。そして同じくダクト部材31外に配設されるエアクリーナ45は,ゴム等の弾性材からなる弾性連通チューブ46を介して気化器44の吸気道入口に接続される。また遮音ハウジング6の底板8には,上記透孔90から流出した冷却風を外部に逃がす多数の通気孔89,89…(図6参照)が穿設されている。これら通気孔89,89…は,これらからの空気流出によるも遮音ハウジング6内の圧力が大気圧以上に維持されるように,上記透孔90より充分に小さく形成される。
図1及び図10に示すように,上記エアクリーナ45は,側面視でエンジン3のクランク軸17の軸方向に長い略矩形をなしていて,その少なくとも一部がクランクケース18の一側方にやゝ上向きに姿勢に倒したシリンダ部19の下方に来るように配置される。こうすることにより,エンジン駆動式発電機1の重心を下げつゝ,比較的大容量のエアクリーナ45の設置が可能となる。
このエアクリーナ45は,図10〜図12に明示するように,ボルト50によりダクト部材31外側面に固着されて外側面を開放するクリーナケース47と,このクリーナケース47の開放面を閉鎖するようにボルト51でクリーナケース47に結合されるケースカバー48と,これらクリーナケース47及びケースカバー48間に挟持されるクリーナエレメント49とで構成され,クリーナケース47は,クリーナエレメント49の未浄化面側に連通する空気入口管47aを一体に有する。
前記第2接続口40の周縁には,ゴム等の弾性材からなる環状の第2シール部材42が装着され,この第2シール部材42の環状で可撓性に富むシールリップ42aがエアクリーナ45の前記空気入口管47aの外周に嵌装される。この第2シール部材42は,そのシールリップ42aの弾性変形により,フレーム2にエンジン3を介して弾性支持されるダクト部材31と,フレーム2に固定支持される吸気ボックス34との相対変位を許容しながら,吸気ボックス34及びエアクリーナ45間を連通する。
図3及び図11において,吸気ボックス34は,その前面上部に操作窓52が設けられており,吸気ボックス34内で第1接続口39の上方に配設される,エンジン3及び発電機4のための制御ユニット53の操作パネル53aがこの操作窓52に臨むようになっている。制御パネル53aは,吸気ボックス34の後壁内面にボルト54により固着される。
また吸気ボックス34内では,制御ユニット53及びインバータ55が空気取り入れルーバ38及び第1接続口39間に設置され,またバッテリ61が空気取り入れルーバ38及び第2接続口40間に設置される。特に,ダクト部材31の,第1接続孔39から吸気ボックス34内に突入して配置される上流端部,即ちリコイルスタータカバー31aがインバータ55の背面に近接配置される。
上記インバータ55は,その下端面に突設された複数の支持軸56(図4参照)をグロメット57を介して吸気ボックス34の底壁に支持させると共に,上端の複数の耳片58を吸気ボックス34の端板37にボルト59で結合することにより,吸気ボックス34に取り付けられる。その際,インバータ55の周囲には充分な通風間隙が設けられる。
また上記バッテリ61は,ゴムバンド62により端板37に保持される。その際,バッテリ61の周囲には,空気取り入れルーバ38から第2接続口40への空気の流れを妨げないための充分な通風間隙が設けられる。このバッテリ61の点検のため,吸気ボックス34の前壁に,リッド63で閉鎖可能の点検窓64が設けられている。
次に図7及び図8において,ダクト部材31の下流端には通風規制板66と,その外側に配置されるシール筒67とが重ねてボルト結合される。この通風規制板66には,冷却風通路32の出口となる大小の通風孔68,68′が上下に並びエンジン3のシリンダ部19に対向して開口するように設けられる。シール筒67の外側に,エンジン3より延出した排気管69に連結した排気マフラ70が配置され,この排気マフラ70は,長軸を上下方向に向けた楕円断面の筒状をなしていて,その長手方向中心線がエンジン3及び発電機4の配列方向に対して直交する方向に配置される。排気マフラ70は,その外面により突出したステー81を介してエンジン3に支持される。こうすることにより,エンジン駆動式発電機1の長手方向寸法の短縮化を図ることができ,また排気マフラ70の広い一側面が冷却風通路32の出口に対向することになるから,冷却風通路32を出た冷却風を排気マフラ70の広い側面に吹きつけて,それを効果的に冷却することができる。
シール筒67には,その上端部から垂下する導風板71が一体に連設され,この導風板71は,シール筒67の上部から垂下して排気マフラ70の,通風規制板66側一側面の上部を覆うように配置される。この導風板71は,特に,大きな前記通風孔68に対向していて,その通風孔68から流出する冷却風を排気マフラ70の下方に誘導する機能を備えている。
一方,フレーム2の後端部には,上記排気マフラ70を収容するマフラボックス73が取り付けられる。このマフラボックス73は,鋼板製のボックス本体36と,このボックス本体36の外面を覆う合成樹脂製のボックスカバー75とで構成され,これらは,前記バンパ13の左右両端に形成された連結フランジ13a,13aと共に,フレーム2の後端部にボルト76(図9及び図19参照)で固着される。
ボックス本体36の内端には環状のシール部材77が付設されており,このシール部材77は,そのシールリップ77aを前記シール筒67の外周面に密接するように配置される。
またボックス本体36は,排気マフラ70の外面との間に充分な通風間隙78を画成するもので,その通風間隙78に連なる排風ルーバ79がボックス本体36の上部に形成され,またボックスカバー75には,この排風ルーバ79を臨ませる開口部80が設けられる。マフラボックス73の上部の後方角部93は後方下向きの傾斜部93となっており,この傾斜部93に上記排風ルーバ79及び開口部80は配置される。またボックス本体36及びボックスカバー75の後壁には,排気マフラ70の後面から突出した排気出口管82が臨む小開口部83が設けられる。
ボックス本体36は,その横断面積が前記通風規制板66の排風孔68,68′の開口面積より充分に大きくなっていて,消音膨張室の機能をも備える。
次に図2,図14〜図18において,前記燃料タンク5の取り付け構造について説明する。
フレーム2の左右の側壁板2b,2bの上端には,互い内向きに水平に屈曲した平坦部91,91が形成され,これら平坦部91,91の後端部間を面一で連結するように上部クロスメンバ2cが配置され,これら平坦部91,91及び上部クロスメンバ2cにより平面視でコ字状で平坦なタンク支持部92が構成される。上部クロスメンバ2cの後半部94は,前記マフラボックス73の傾斜部93の上端に連なる連続する傾斜部94に形成され,これら傾斜部93,94により,その上面に降る雨水を速やかに流下させるようになっている。
上記タンク支持部92に燃料タンク5が次のように取り付けられる。
燃料タンク5は平面視で方形をなしていて,その外周には取り付けフランジ5aが形成されており,この取り付けフランジ5aは外周に下方に屈曲した下向き鍔95を備えている。この取り付けフランジ5aには,方形で無端状のシール部材96が下向き鍔95を包むようにして取り付けられる。
このシール部材96は,取り付けフランジ5aの四つの隅角部の上面に配置されるボス部96a(図15参照)を一体に備えており,これらボス部96aに座板99が重ねられる。取り付けフランジ5aは,ボス部96aとの対応位置に配置される弾性部材11を介してタンク支持部92上に載置される。このタンク支持部92の下面には,前記ボス部96aとの対応位置にウェルディングナット98が準備されており,座板99,取り付けフランジ5a及び弾性部材11を貫通するボルト100を上記ウェルディングナット98に螺合緊締することで,取り付けフランジ5aはタンク支持部92に弾性支持される。その際,ボルト100の外周には,ボス部96a及び弾性部材11の圧縮変形量を規制するディスタンスカラー101が嵌装される。
シール部材96の内周部には,タンク支持部92の上面に支承される座部96bと,取り付けフランジ5aの上方で燃料タンク5の外周面に密接する内側シールリップ96cとが一体に形成される。この内側シールリップ96cは,その外側面が燃料タンク5に向かって上るように傾斜している。
またシール部材96の外周部においては,その左右両辺部と後辺部(即ち排気マフラ70の周辺部)とに,タンク支持部92の上面に密接する無端の第1外側シールリップ96dと,この第1外側シールリップ96dの外側で同じくタンク支持部92の上面に密接する第2外側シールリップ96eとが一体に形成される。この第2外側シールリップ96eは,その外側面が外方下向きに傾斜している。
図示例の場合,第2外側シールリップ96eは,後側のボス部96aの近傍で終わっていて第1外側シールリップ96dと一体化される。これは,第2外側シールリップ96eがタンク支持部92の後端部から立ち上がる補強杆14との干渉を回避するためであり,そのような干渉がない場合には,後側のボス部96aの周囲にも第2外側シールリップ96eを巡らす方が良い。
またシール部材96の前辺部には,前記吸気ボックス34の背面に密接する第3外側シールリップ96fが一体に形成される。
さらにシール部材96の,マフラボックス73側に位置する部分には,第2外側シールリップ96eの斜面の高所より起立して左右方向に延びる堰96gが一体に形成され,この堰96gは,燃料への給油時,給油口から洩れた燃料がマフラボックス73側に流れることを阻止する役割を果たす。
さらにまたシール部材96には,取り付けフランジ5aの前記下向き鍔95の下端を第1外側シールリップ96dの外方に連通させる排水孔118が各所に設けられる。
一方,タンク支持部92の内周縁には,シール部材96の内周側で取り付けフランジ5aに向かって起立する上向き鍔102が形成されると共に,この上向き鍔102とシール部材96との間には空隙119が設けられる。
次に,図1,図19及び図20において,左右の側壁板2b,2bには,エンジン3等のメンテナンスのための大型のメンテナンス窓103が打ち抜き加工により設けられ,その際に打ち抜かれたブランク材により,上記メンテナンス窓103を開閉するリッド104が構成される。したがって,リッド104は,必然的にメンテナンス窓103より小さいものとなる。
リッド104の前後方向一端部はヒンジ105を介して側壁板2bに連結される。ヒンジ105は,側壁板2bの内面に固着される第1ヒンジアーム106と,リッド104の内面に固着される第2ヒンジアーム107と,これらヒンジアーム106,107を相対回転可能に連結するヒンジピン108とからなっている。側壁板2bの内壁には,メンテナンス窓103側に突出してリッド104の閉鎖位置を規制するストッパ板109が固着され,このストッパ板109に係止してリッド104の閉鎖状態をロックするロック機構110がリッド104に設けられる。
各側壁板2bのメンテナンス窓103の内周縁には,バーリング加工により内向き鍔111が形成され,この内向き鍔111は,メンテナンス窓103の内周縁部を,側壁板2b外側方への突出部を形成することなく補強する。この内向き鍔111の形成により,リッド104は,メンテナンス窓103よりも相対的に更に小さいものとなるが,このようになリッド104によっても,メンテナンス窓103を確実に閉鎖し得るよう,リッド104の周囲にはシール部材112が装着される。
即ち,このシール部材112は,リッド104の外周側に突出する外側シールリップ112bと,これよりリッド104の内側に位置する内側シールリップ96cとを一体に有しており,リッド104の閉鎖時,外側シールリップ112bは側壁板2bの外側面に,内側シールリップ96cは内向き鍔111の内周面にそれぞれ密接するようになっている。またシール部材112には,リッド104に向かって突出するクッション突起112cが一体に形成され,このクッション突起112cは,ストッパ板109に弾性的に当接してリッド104の閉鎖位置を規制するようになっている。
再び図1〜図3に示すように,フレーム2の底枠2aには,後部側,即ちマフラボックス68側で左右一対の車輪114,114が軸支され,また前部側,即ち吸気ボックス34側で左右一対の接地脚115,115が固設される。
またフレーム2前端部には,左右一対の移動用ハンドル116,116が取り付けられる。これらハンドル116,116は,それらのグリップを水平にした使用位置と,グリップを下方に向けた格納位置との間を回動可能に構成されている。
次に,この実施例の作用について説明する。
エンジン3の運転によれば,回転するクランク軸17により発電機4を駆動して発電を行い,その出力は,インバータ55及び制御ユニット53により制御された後,操作パネル53a上のコンセントから取り出すことができる。
またクランク軸17により回転駆動される冷却ファン26は,外気を冷却風として空気取り入れルーバ38から吸気ボックス34に引き込み,そしてダクト部材31内の冷却風通路32に押し込みむ。そして冷却風通路32を通過した冷却風は,通風規制板66の通風孔68,68′を経てマフラボックス73内に移り,排気ルームから外部に流出していく。このような冷却空気の流れによって,吸気ボックス34内では制御ユニット53及びインバータ55が冷却され,またダクト部材31内ではエンジン3及び発電機4が冷却され,マフラボックス68内では排気マフラ74が冷却される。
この間,冷却風通路32は,冷却ファン26による空気の押し込みにより,大気よりも高圧になるので,前述のように,冷却風通路32から冷却風の一部が,ダクト部材31の,吸気管43が貫通する透孔90を通して遮音ハウジング6側に漏出し,遮音ハウジング6内の圧力を高めながら,さらに底板8の多数の通気孔89,89…から外部に流出する。
かくして,遮音ハウジング6内では換気が行われるので,その内部の昇温を防ぐと共に,上記通気孔89,89…から遮音ハウジング6内部への塵埃等の侵入をも防ぐことができる。その上,透孔90から漏出する適量の冷却風を気化器44に与えて,その過熱を防ぐことができ,また寒冷地では過冷却により気化器44のアイシングを防ぐことができる。
しかも,エンジン3及び発電機4は,ダクト部材31及び遮音ハウジング6により二重に囲繞されているから,これらの運転騒音を効果的に遮断することができる。特に,ダクト部材31を囲繞する遮音ハウジング6の両端には吸気ボックス34及びマフラボックス73が接続されるので,これら三者6,34,73によってダクト部材31を収容する消音室が画成されることになるから,ダクト部材31の放射音を効果的に吸収することができ,エンジン駆動式発電機1に高い静粛性を与えることができる。
その際,遮音ハウジング6は,フレーム2の左右の側壁板2b,2bと,フレーム2の下部に取り付ける底板8と,フレーム2上部のタンク支持部92に支持される燃料タンク5とで構成され,その大容量の燃料タンク5が遮音ハウジング6の天井壁を兼用するので,遮音ハウジング6の構造の簡素化を図ると共に,ダクト部材31の放射音に対して大なる遮音効果を発揮することができる。
しかも燃料タンク5の,タンク支持部92に支持される取り付けフランジ5aには無端のシール部材96が装着され,このシール部材96は,前述のように燃料タンク5のが外周面に密接する内側シールリップ96c,タンク支持部92の上面に密接する第1及び第2外側シールリップ96d,96e及び,吸気ボックス34の背面に密接する第3外側シールリップ96fを一体に備えているので,燃料タンク5の周囲からの騒音洩れを効果的に防ぐのみならず,燃料タンク5の周囲から遮音ハウジング6内への雨水,塵埃等の侵入を確実に防ぐことができる。
その際,特に,第1及び第2外側シールリップ96d,96eは内外二重に配置されてタンク支持部92の上面に密接するので,遮音ハウジング6内への雨水,塵埃等の侵入をより確実に防ぐことができる。また内側シールリップ96cには,燃料タンク5に向かって上る傾斜が与えられ,第2外側シールリップ96eには外方に向かって下る傾斜が与えられているから,燃料タンク5への降雨を内側シールリップ96c及び第2外側シールリップ96eの外面に沿ってスムーズに流下させ,遮音ハウジング6内への浸入を効果的に防ぐことができる。
また燃料タンク5上の雨水が万一,内側シールリップ96cを通過して取り付けフランジ5aの上面に達した場合には,取り付けフランジ5a外周端の下向き鍔95に誘導されて下方に流れる。その下向き鍔95の下端部は,シール部材96の各所に設けられる排水孔118に臨んでいるので,上記雨水は排水孔118を通って第1外側シールリップ96d外に流出する。したがって,その雨水のタンク支持部92内方への浸入は第1外側シールリップ96dによって防ぐことができる。
また外部からシール部材96に洗浄水のような高圧の水が吹きつけられ,その水が万一,第2外側シールリップ96eを通過しても,次に第1外側シールリップ96d及び座部96bで堰止められる。さらに万一,その水が第1外側シールリップ96d及び座部96bを通過したとしても,座部96bとタンク支持部92内周端の上向き鍔102との間に存在する空隙119に出たときは,充分に減衰され,滲み出す程度となるので,その水が上向き鍔102を乗り越えることはない。こうして,高圧水のタンク支持部92内方への浸入をも確実に防ぐことができる。上記上向き鍔102は,タンク支持部92の補強にも寄与する。
吸気ボックス34内では,ダクト部材31の上流端部,即ち通風孔を有するリコイルスタータカバー31aがインバータ55の背面に近接配置されるので,インバータ55周りの空気がダクト部材31に効果的に吸入されることになり,比較的高温になり易いインバータ55を効果的に冷却することができる。制御ユニット53及びインバータ55が,第1接続口39と空気取り入れルーバ38間に配置されるので,制御ユニット53及びインバータ55が第1接続口39及び空気取り入れルーバ38間の遮音隔壁となって,騒音の外部への漏れを防ぎ,吸気ボックス34の消音効果を高めることができる。
またエンジン3の吸気行程時には,吸気ボックス34内の空気がエアクリーナ45及び気化器44を通してエンジン3に吸入されるので,エンジン3の吸気騒音も吸気ボックス34により効果的に消音することができる。特に,吸気ボックス34内のバッテリ61は第2接続口40及び空気取り入れルーバ38間の遮音隔壁となって,吸気騒音の外部への漏れを防ぎ,吸気ボックス34の消音効果を一層高めることができる。
一方,遮音ハウジング6内では,通風規制板66の,特に上方の大きい通風孔68に対して,シール筒67から垂下して排気マフラ70の上部前面を覆う導風板71が対向しているため,その通風孔68を出た冷却風は導風板71により排気マフラ70の下方へ誘導されることになる。その結果,冷却風は排気マフラ70の下側を回り,排気マフラ70の後面に沿って上昇し,その間に排気マフラ70の冷却を行い,その後,排風ルーバ79から外部に排出される。
エンジン3の運転を停止した場合には,冷却ファン26の回転停止により,冷却風通路32での強制冷却風の流れも止まる。
しかしながら,排気マフラ70の残熱により,マフラボックス73内の温度は上昇するため,マフラボックス73内では空気の対流が生じるが,排気マフラ70の前面側では導風板71により覆われているため,気流の上昇が抑えられる一方,排風ルーバ79に近い排気マフラ70の後面側では排風ルーバ79に向かう上昇気流が発生し,この上昇気流が導風板71側の空気を引き込むので,冷却風通路32の空気も通風孔68,68′を通過して,導風板71により排気マフラ70の下方へ誘導されながら排気マフラ70の後面側に回り込み,上昇気流となる。このような作用の継続により,エンジン3の運転停止後も,エンジン3及び排気マフラ70の自然冷却を効果的に促進することができる。
また排気マフラ70及び導風板71は,協働してダクト部材31の冷却風通路32とマフラボックス73の排風ルーバ79との間を遮る遮音壁となって,エンジン3等の運転騒音の排風ルーバ79からの洩れを効果的に防ぎ,エンジン駆動式発電機1の静粛性向上に寄与し得る。
エンジン3の運転中,その振動は,エンジン3及びフレーム2間に介装される弾性部材11,11;11,11の弾性変形により吸収され,フレーム2への振動伝達が抑制される。ところで,ダクト部材31及びエアクリーナ45は,上記エンジン3に固定されているので,エンジン3と共に振動するものであるが,吸気ボックス34はフレーム2に固定されているので,エンジン3及び発電機4の運転時には,ダクト部材31及びエアクリーナ45と吸気ボックス34との各間にエンジン3の振動による相対変位が生じることになる。しかしながら,吸気ボックス34の第1及び第2接続口39,40は,可撓性に富む第1及び第2シール部材41,42を介してダクト部材31及びエアクリーナ45に接続されているので,第1及び第2シール部材41,42の撓みによりダクト部材31及びエアクリーナ45と吸気ボックス34との各間の振動に伴う相対変位が許容され,吸気ボックス34からダクト部材31への冷却風の流通を漏れなく効率良く行うことができる。
遮音ハウジング6の左右側壁,即ちフレーム2の両側壁板2b,2bには,リッド104,104で開閉されるメンテナンス窓103,103が設けられるので,各リッド104を開放すれば,ダクト部材31外で遮音ハウジング6内に配置される気化器44やエアクリーナ45等のメンテナンスをメンテナンス窓103から容易に行うことができる。
ところで,各リッド104は,それに対応する側壁板2bからメンテナンス窓103を打ち抜き加工時,打ち抜かれたブランク材により製作されるものであるから,素材の歩留りが良く,コストの低減を図ることができる。しかもメンテナンス窓103の内周縁には,その部分の補強のための内向き鍔111が形成されることで,リッド104は,メンテナンス窓103より一層小さいものとなるなるが,このリッド104の周囲にはシール部材112が装着され,このシール部材112は,リッド104の閉鎖時,相互に角度をなす側壁板2bの外側面と内向き鍔111の内周面とにそれぞれ密接する外側シールリップ112b及び内側シールリップ112aを一体に備えているから,リッド104によるメンテナンス窓103の閉鎖を確実にし,雨水,塵埃等の侵入を防ぐと共に,エンジン3の運転騒音の洩れを防ぐことができる。
またリッド104の閉鎖位置は,シール部材112のクッション突起112cが側壁板2bのストッパ板109に弾性的に当接することで,特別なクッション部材を用いることなく,リッド104の閉鎖衝撃を吸収することができ,構造の簡素化に寄与し得る。またストッパ板109は,リッド104に設けられるロック機構110の係止部材を兼ねるので,このことも構造の簡素化に資することになる。
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば,エアクリーナ45を,吸気ボックス34と同様にフレーム2に固定支持し,エンジン3の振動に伴なう気化器44及びエアクリーナ45間の相対変位を,気化器44及びエアクリーナ45間を連通する弾性連通チューブ46の撓みに吸収させることもでき,この場合はエアクリーナ45の空気入口管47aを吸気ボックス34に一体的に接続することができる。