JP2008050991A - コモンレール式燃料噴射システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料噴射システムは、圧力センサの検出信号からコモンレール圧を検出し、その値が異常範囲か否かを判定する(S100)。そして燃料噴射システムは、コモンレール圧を異常範囲と判定すると、目標噴射量をコモンレール圧が正常範囲のときに設定する値よりも小さい値に設定し(S102)、コモンレール圧を正常範囲と判定すると、運転条件及び冷却水温に応じた値に設定する(S104)。目標噴射量の設定後、燃料噴射システムはP/L開弁判定処理を実行する。P/L開弁判定処理では、燃料噴射前後のコモンレール圧の差から算出した燃料の漏れ量に基づいて、プレッシャリミッタの開閉を検出する。圧力センサの感知範囲は、コモンレール圧の異常範囲の一部と正常範囲とを含む圧力範囲に設定されている。
【選択図】図1
Description
また請求項1から5に記載の発明では、燃料の噴射前及び噴射後のコモンレール圧の差から実減少量を算出し、実減少量と目標噴射量との差から燃料の漏れ量を算出する。具体的には、1回の燃料の噴射前及び噴射後のコモンレール圧の差から瞬時漏れ量を算出したり、過去複数回の燃料噴射に対応する瞬時漏れ量の加重平均によりフィルタ漏れ量を算出する。そして、コモンレール圧が異常範囲であって漏れ量が所定の閾値より大きくなると、安全弁から燃料が流出していること、すなわち安全弁の開弁状態を検出する。
しかしながら、不感知範囲では圧力センサの検出信号が一定値を示すことにより、不感知範囲における実減少量は殆どゼロとなり、瞬時漏れ量は目標噴射量に応じた負の値となる。この結果、安全弁の開弁状態における瞬時漏れ量及びフィルタ漏れ量がコモンレール圧の異常範囲で所定の閾値に達しない恐れがある。
一方、請求項2に記載の発明では、コモンレール圧が不感知範囲のときの目標噴射量を感知範囲のときよりも少ない制限噴射量に制御する。これにより不感知範囲で算出される瞬時漏れ量がゼロに近づくため、不感知範囲より低圧の異常範囲で算出されるフィルタ漏れ量は大きくなる。したがって、請求項1及び請求項2に記載の発明において、安全弁の開弁状態におけるフィルタ漏れ量がコモンレール圧の異常範囲で確実に閾値に達するように制限噴射量を設定することにより、フィルタ漏れ量に基づいて安全弁の開弁状態を確実に検出することができる。
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
(第1実施形態)
1.コモンレール式燃料噴射システムの構成
図2に示す第1実施形態によるコモンレール式燃料噴射システム(以下、燃料噴射システムという。)1は、多気筒ディーゼル内燃機関等の内燃機関30に組み込まれる燃料噴射システムである。燃料噴射システム1は、内燃機関30の各気筒に搭載された複数個のインジェクタ2と、内燃機関30により回転駆動されるサプライポンプ3と、サプライポンプ3から圧送された燃料を蓄えるコモンレール5と、コモンレール5内の燃料圧を検出する圧力センサ20と、プレッシャリミッタ6と、各部を制御する電子制御ユニット(以下、ECUという。)10とを備えている。
サプライポンプ3は燃料配管13を経由してコモンレール5に接続されている。サプライポンプ3は、内燃機関30のクランク軸11の回転に連動するポンプ駆動軸12に駆動され、燃料タンク9内の燃料を汲み上げる。そしてサプライポンプ3は、汲み上げた燃料を加圧してコモンレール5内に圧送する。サプライポンプ3の入口側には調量弁4が設けられている。
尚、インジェクタ2及びサプライポンプ3によるリーク燃料は、リーク配管14によって燃料タンク9に戻される。
次に、コモンレール式燃料噴射システム1のプレッシャリミッタ6の開弁判定処理(以下、P/L開弁判定処理という。)を図1、3、4に基づいて説明する。
イグニッションキーをONにすると、ECU10は燃料噴射システムを制御するプログラムを実行する。図4に示すP/L開弁判定処理は、このプログラムのメインルーチン(図1参照)から呼び出されるサブルーチンである。
メインルーチンからP/L開弁判定処理が呼び出されると、まずECU10は燃料の漏れ量の診断許可があるか否かを判定する(図4に示すS200参照)。そしてECU10は、診断許可があると判定すると以下に説明する処理を実行する。一方、ECU10は、診断許可がないと判定するとメインルーチンの処理に戻る。
次に、ECU10は、瞬時漏れ量Qi及びフィルタ漏れ量Qfが開弁判定閾値以上か否かを判定する(図4に示すS206参照)。そしてECU10は、上述した漏れ量のいずれか一方又は両方が開弁判定閾値以上と判定すると次の処理に進み、上述した漏れ量の両方が開弁判定閾値より小さいと判定するとメインルーチンの処理に戻る。
コモンレール圧Pが上限圧であるP3(P2<P3)MPa以上になると、プレッシャリミッタ6が開弁する。ところが、コモンレール圧Pが不感知範囲のときの検出信号は一定値を示すので、燃料噴射前後におけるコモンレール圧の差(Pb−Pa)はゼロとなり、実減少量Qdはゼロとなる。この結果、瞬時漏れ量Qiは目標噴射量Q及びリーク量QLに応じた負の量(−QL−Q)となる。したがって、コモンレール圧Pが不感知範囲において、ECU10は瞬時漏れ量Qiを正確に検出することができず、プレッシャリミッタ6の開弁状態を検出することができない。
そこで、ECU10は、以下に説明するように目標噴射量Qを設定する。すなわち、ECU10は、図1に示すようにコモンレール圧Pが正常範囲であると判定すると、目標噴射量Qを内燃機関30の運転条件及び燃料温度に応じた噴射量に設定する(図1に示すS100及びS104参照)。一方、コモンレール圧Pが異常範囲であると判定すると、ECU10は、目標噴射量Qをコモンレール圧Pが正常範囲のときに設定する噴射量と比較して小さい制限噴射量に設定する(図1に示すS100、S102参照)。例えばECU10は、コモンレール圧Pが異常範囲のときの目標噴射量Qをゼロにしたり、ゼロ以外の小さな制限噴射量にしたり、コモンレール圧Pが正常範囲のときに設定する目標噴射量Qから所定量を減じた制限噴射量とする。これにより、コモンレール圧Pが不感知範囲で算出される瞬時漏れ量Qiはゼロに近づくため、コモンレール圧Pが開弁判定可能範囲で算出されるフィルタ漏れ量Qfは大きくなる。したがって、プレッシャリミッタ6の開弁状態におけるフィルタ漏れ量Qfがコモンレール圧Pの異常範囲で確実に開弁判定閾値に達するように制限噴射量を設定することにより、フィルタ漏れ量Qfに基づいてプレッシャリミッタ6の開弁状態を確実に検出することができる(図5に示すグラフ106参照)。
また、コモンレール圧Pが異常範囲のときの目標噴射量Qをコモンレール圧Pが正常範囲のときの目標噴射量Qよりも小さい制限噴射量に制御している。この結果、圧力センサ20の感知範囲をコモンレール圧Pが取り得る全範囲に設定しなくても、プレッシャリミッタ6の開弁状態を確実に検出することができる。特に、コモンレール圧Pが異常範囲のときの目標噴射量Qをゼロにすると、プレッシャリミッタ6の開弁状態をより確実に検出することができる。
第2実施形態による燃料噴射システムの構成は、第1実施形態による燃料噴射システム1と実質的に同一である。
第2実施形態による燃料噴射システムでは、コモンレール圧Pが不感知範囲(P2MPa以上の圧力範囲)のときの目標噴射量Qをコモンレール圧Pが感知範囲(0MPa以上P2MPa未満の圧力範囲)のときの目標噴射量Qよりも小さい制限噴射量に制御する。第1実施形態による燃料噴射システム1と同様に、プレッシャリミッタ6の開弁状態を確実に検出することができる。
第3実施形態による燃料噴射システムの構成は、第1実施形態による燃料噴射システム1と実質的に同一である。
第3実施形態による燃料噴射システムでは、コモンレール圧Pが異常範囲のときの一部の気筒のインジェクタ2に対する目標噴射量Qをゼロにする。すなわち、第2実施形態による燃料噴射システムでは、コモンレール圧Pが異常範囲なると、プレッシャリミッタ6の開弁状態を確実に検出可能な状態に切り替わるとともに減筒運転に切り替わる。このようにして、燃料噴射システムの信頼性を高めることができる。
第4実施形態による燃料噴射システムは、運転者にプレッシャリミッタ6の開弁状態を警告する警告灯を備える。第4実施形態による燃料噴射システムの構成要素は、警告灯を除き第1実施形態による燃料噴射システム1の対応する構成要素と実質的に同一である。
第4実施形態による燃料噴射システムでは、プレッシャリミッタ6の開弁状態において警告灯を点灯し、プレッシャリミッタ6の閉弁状態で警告灯を消灯する。具体的には、ECU10は、P/L開弁フラグがセットされている場合に警告灯を点灯させ、P/L開弁がリセットされている場合に警告灯を消灯させる。
以上説明した第4実施形態による燃料噴射システムでは、運転者は警告灯の表示によりプレッシャリミッタ6の開弁を認識することができる。そのため、運転者は警告表示に従って、例えば車両を退避走行させることができる。
上記複数の実施形態では、プログラムのサブルーチンにP/L開弁判定処理を実装したが、プログラムのメインルーチンにP/L開弁判定処理を実装してもよい。
また、上記複数の実施形態では、内燃機関30の運転条件及び燃料温度に応じて目標噴射量Qを設定したが、他のパラメータに応じて目標噴射量Qを設定してもよい。また、内燃機関30の運転条件、燃料温度及びコモンレール圧Pからリーク量QLを検出したが、他のパラメータからリーク量QLを検出してもよい。
また、上記複数の実施形態では、瞬時漏れ量Qi及びフィルタ漏れ量Qfに基づいてプレッシャリミッタ6の開弁状態を検出したが、瞬時漏れ量Qi又はフィルタ漏れ量Qfのいずれか一方に基づいてプレッシャリミッタ6の開弁状態を検出してもよい。
また、第4実施形態では、警告灯によりプレッシャリミッタ6の開弁状態を表示したが、表示部はLCD(Liquid Crystal Display)等の画面表示をするものでもよいし、スピーカ等の音表示をするものでもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (5)
- 正常範囲の圧力に加圧した燃料をコモンレール内に蓄え、前記コモンレール内の燃料をインジェクタから噴射するコモンレール式燃料噴射システムであって、
前記コモンレール内の燃料圧が前記正常範囲より高圧の異常範囲の一部と前記正常範囲とを含む感知範囲のとき燃料圧に相関し、前記コモンレール内の燃料圧が前記異常範囲の残部を含む不感知範囲のとき一定値を示す検出信号を出力する圧力センサと、
前記コモンレール内の燃料圧が前記不感知範囲の上限圧で開弁する安全弁と、
前記インジェクタに目標噴射量を指示することにより、前記目標噴射量に応じた量の燃料を前記インジェクタに噴射させる噴射制御手段と、
前記インジェクタによる燃料の噴射前及び噴射後に、それぞれ前記検出信号から前記コモンレール内の燃料圧を検出し、噴射前及び噴射後の前記燃料圧の差から燃料の実減少量を算出する減量算出手段と、
前記実減少量と前記目標噴射量との差から燃料の前記コモンレールからの漏れ量を算出する漏れ量算出手段と、
前記検出信号から検出される前記コモンレール内の燃料圧が前記異常範囲の圧力であって前記漏れ量が所定の閾値以上になると、前記安全弁の開弁状態を検出する弁状態検出手段とを備え、
前記噴射制御手段は、前記コモンレール内の燃料圧が前記異常範囲のとき、燃料圧が前記正常範囲のときよりも少ない制限噴射量を前記目標噴射量とすることを特徴とするコモンレール式燃料噴射システム。 - 正常範囲の圧力に加圧した燃料をコモンレール内に蓄え、燃料をインジェクタから噴射するコモンレール式燃料噴射システムであって、
前記コモンレール内の燃料圧が前記正常範囲より高圧の異常範囲の一部と前記正常範囲とを含む感知範囲のとき燃料圧に相関し、前記コモンレール内の燃料圧が前記異常範囲の残部を含む不感知範囲のとき一定値を示す検出信号を出力する圧力センサと、
前記コモンレール内の燃料圧が前記不感知範囲の上限圧で開弁する安全弁と、
前記インジェクタに目標噴射量を指示することにより、前記目標噴射量に応じた量の燃料を前記インジェクタに噴射させる噴射制御手段と、
前記インジェクタによる燃料の噴射前及び噴射後に、それぞれ前記検出信号から前記コモンレール内の燃料圧を検出し、噴射前及び噴射後の前記燃料圧の差から燃料の実減少量を算出する減量算出手段と、
前記実減少量と前記目標噴射量との差から燃料の前記コモンレールからの漏れ量を算出する漏れ量算出手段と、
前記検出信号から検出される前記コモンレール内の燃料圧が前記異常範囲の圧力であって前記漏れ量が所定の閾値以上になると、前記安全弁の開弁状態を検出する弁状態検出手段とを備え、
前記噴射制御手段は、前記コモンレール内の燃料圧が前記不感知範囲のとき、燃料圧が前記感知範囲のときよりも少ない制限噴射量を前記目標噴射量とすることを特徴とするコモンレール式燃料噴射システム。 - 前記制限噴射量がゼロである、請求項1又は2に記載のコモンレール式燃料噴射システム。
- 前記インジェクタは内燃機関の各気筒に設置され、
一部の前記気筒に設置された前記インジェクタへの前記制限噴射量がゼロである、請求項3に記載のコモンレール式燃料噴射システム。 - 前記弁状態検出手段が検出した前記開弁状態を表示する表示部をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のコモンレール式燃料噴射システム。
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