JP2008050516A - 冶金用コークスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】空窯操業後あるいは炉体補修後の初装炭時等における押し詰まりを、安価にかつ確実に防止することができる冶金用コークスの製造方法を提案する。
【解決手段】コークス炉で配合炭を乾留してコークスを製造する方法において、空窯操業後あるいは炉体補修後、コークス炉内に配合炭を初めて装炭する際、その配合炭中に、サイジング剤の塗布されていない炭素繊維あるいはサイジング剤が除去された炭素繊維を添加することを特徴とする冶金用コークスの製造方法。
【選択図】図7

Description

本発明は、コークス炉で石炭(以降、「配合炭」ともいう。)を乾留して、冶金用コークスを製造する方法に関し、特に、コークス炉の炭化室からのコークス押し出し負荷を軽減して、押し詰まりの発生を防止することができる冶金用コークスの製造方法に関するものである。
現在、日本国内で稼動している、製鉄分野等で用いられる冶金用コークスを製造する炉(コークス炉)は、その多くが炉令30年以上のものであり、老朽化が進んでいる。このような老朽化したコークス炉では、老朽化の程度に応じて稼働率を下げて操業するのが普通である。しかしながら、昨今における建材向けや自動車向け等の鋼材に対する需要の増大に伴って、コークス炉に対する増産要求も強くなってきている。そのため、高炉令化したコークス炉の稼働率を高めることが検討されている。
コークス炉の稼働率を高めるには、乾留温度の上昇や乾留時間の短縮、炉壁補修頻度の低減等が有効である。しかし、斯かる方法はいずれも、コークス炉の炭化室から、石炭乾留後のコークス(以降、「コークスケーキ」とも称する)を排出することが不可能となる、いわゆる「押し詰まり」を引き起こす原因となるものである。押し詰まりが発生すると、炭化室からコークスを人力で掻き出す必要があるため、生産性の低下を招くだけでなく、炉体(炉壁)の損傷を一段と加速する結果となる。
そのため、押し詰まりが発生した場合には、炭化室からコークスを掻き出して空窯にした後、炉壁の補修を実施することが行われている。図1は、最近2年間に発生した117回の押し詰まりトラブルについて、炉壁補修から数えて何回目の装炭時に発生したかを解析して示したグラフである。図1から、空窯後、第1回目の装炭時が約30%を占めている、即ち、空窯後の初装炭時に集中して発生していることがわかる。この原因は、空窯にすると、炭化室炉壁の温度が上昇し易いため、その直後に乾留された石炭(コークスケーキ)には、熱応力により大きな亀裂が発生して大きく膨張するためと考えられる。そこで、空窯後の初装炭時における押し詰まりを防止することができれば、その経済的、技術的意義は極めて大きいと言える。
押し詰まりを防止する方法としては、従来から、炭化室への石炭装入量を減らすことにより、コークスケーキと炭化室炉壁との間に生ずるクリアランスを大きくして、摩擦抵抗を低減する方法が知られている。しかし、斯かる方法では、石炭装入量の減少によりコークス製造量が低下するほか、炭化室上部における温度上昇によって、炉壁の損傷が激しくなるという問題がある。したがって、炭化室への石炭装入量を減らすことなく、コークスの押し出し負荷を低減する技術の開発が望まれている。
従来、上記要求に応える技術としては、例えば、特許文献1には、室式コークス炉で、押し出し機側コークスケーキ端部の乾留終了時の炭中温度を低く制御することにより押し詰まりを防止する方法が、また、特許文献2には、炭化室から押し出しラムによりコークスケーキを押し出すにあたり、押し出しラムの駆動を少なくとも1回以上停止させて、押し止まり、押し詰まり等の押し出し不良を未然に防止する方法が、さらに、特許文献3には、室式コークス炉におけるコークスケーキ必要押し出し圧力とコークスの収縮量(水平焼き減り量)との関係から、コークスケーキ必要押し出し圧力の管理値に対応する水平焼き減り量を推定し、上記水平焼き減り量を確保するよう乾留時間を設定し、押し詰まりを防止する方法が開示されている。
また、コークス押し出し時の突上げ詰りを防止する技術として、特許文献4には、石炭を、室炉式コークス炉の炭化室頂部に設けた複数個の装入口から該炭化室内に装入し、乾留してコークスを製造するにあたり、炭化室内におけるコークス高さを、コークス押し出し方向に沿って、押し出し機側では低く、コークス排出側では高くすることで、押し出し時のコークスケーキの上方への膨らみを抑制し、コークスと炭化室天井とが接触することを防止するコークス炉の操業方法が開示されている。
さらに、配合炭に強化繊維を混合することで、コークスケーキの亀裂発生を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献5には、繊維強化プラスチックを混合した配合炭をコークス炉に装入し、これを乾留することにより、コークスケーキの亀裂発生を抑制して水平焼き減り量を増大させてコークス押し出し時に炉壁に作用する負荷を軽減し、もって、押し詰まりの発生を抑制すると共に、炉壁の損傷を防止する技術が開示されている。また、特許文献6には、非微粘炭を混合した配合炭に短炭素繊維を添加することで、コークスの冷間強度を向上するコークスの製造方法が開示されている。
特開平08−283728号公報 特開平08−283729号公報 特開平08−283730号公報 特開2005−255697号公報 特開2001−200268号公報 特開平02−235990号公報
しかしながら、特許文献1〜3に係る技術は、複雑な温度制御が必要となり、設備コストが増大するという問題がある。また、特許文献4の技術は、従来技術と同様、石炭装入量を低下させるため、コークス製造量が減少する他、装入量を減少させた部分では嵩密度不足からコークス強度が低下するという問題がある。
また、特許文献5の技術は、繊維強化プラスチックを破砕する際、ガラス繊維が切断されて、ガラス繊維による破面架橋効果が発揮されなかったり、プラスチック部分が石炭乾留中にガス化し、この発生ガスが石炭の粘結性を阻害して、コークス強度の低下を招いたり、ガラス繊維と石炭との融着を阻害したりするおそれがある。また、ガラス繊維は、コークス中の灰分を増加させるという問題もある。さらに、特許文献6の技術は、添加する炭素繊維が、石炭との間で融着不足を起こすおそれがあったり、炭素繊維の生産量が少なく高価であることから、コークスの製造コストの上昇を招いたりするという問題がある。
上記のように、現時点では、コークス炉の炭化室からコークスを排出する際の押し詰まりを、確実に防止する技術が確立されているとは言い難いのが実情である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コークス炉における押し詰まり、特に、空窯操業後あるいは炉体補修後の初装炭時等における押し詰まりを、安価にかつ確実に防止することができる冶金用コークスの製造方法を提案することにある。
発明者らは、配合炭に炭素繊維を添加する上記特許文献6の技術に着目し、空窯操業後あるいは炉体補修後の初装炭時等における押し詰まりの防止方法について検討を重ねた。その結果、配合炭に添加する炭素繊維を適正に処理する、具体的には、炭素繊維として、サイジング剤が塗布されていないものまたは塗布されたサイジング剤を除去したものを用いると共に、炭素繊維の長さを適正化してやることにより、少量の添加量でも、炭素繊維と石炭との間の融着不足を起こすことなく、コークスケーキの亀裂発生を抑制することができ、ひいては初装炭時等における押し詰まりの発生を効果的に防止し得ることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、コークス炉で配合炭を乾留してコークスを製造する方法において、空窯操業後あるいは炉体補修後、コークス炉内に配合炭を装炭する際、その配合炭中に炭素繊維を添加することを特徴とする冶金用コークスの製造方法である。
本発明の製造方法における上記炭素繊維は、サイジング剤の塗布されていないもの、あるいはサイジング剤が除去されたものであることを特徴とする。
また、本発明の製造方法における上記サイジング剤が除去された炭素繊維は、塗布されたサイジング剤を溶剤洗浄あるいは空気加熱して除去したものであることを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、繊維長が20mm以上の炭素繊維を、配合炭に対して0.1mass%以上添加することを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、空窯操業後あるいは炉体補修後1回目〜5回目以内の装炭時に、配合炭中に炭素繊維を添加することを特徴とする。
本発明によれば、コークス炉で石炭を乾留して冶金用コークスを製造する際の空窯操業後あるいは炉体補修後の初装炭時等の押し詰まりを、安価にかつ効果的に抑制できるので、コークス炉の安定操業および炉壁損傷防止に大きく寄与することができる。
本発明は、冶金用コークスを製造するに際して、コークス押出し時における押し詰まりを防止するため、原料となる石炭(配合炭)として適正処理した炭素繊維を添加したものを使用するところに特徴がある。この炭素繊維の添加により、乾留後のコークスケーキの亀裂発生が抑制されて、コークス化時における水平焼き減り量を大きくすることができ、その結果、炭化室の炉壁とコークスケーキとの間に形成されるクリアランスが大きくなり、押し出し時の摩擦抵抗を低減することができるので、押し詰まりの発生を効果的に防止することができるのである。
配合炭に添加する炭素繊維としては、クロスやフェルトなどに加工されたものは、通常、サイジング剤を塗布して集束してあるので、そのまま石炭に添加しても、分散が不均一となり、石炭と融着不足を起こすおそれがある。そこで、本発明では、サイジング剤が塗布されていない炭素繊維あるいは塗布されたサイジング剤を予め溶剤洗浄あるいは空気中で加熱処理して除去した炭素繊維を配合炭中に添加することにより、炭素繊維を配合炭中に均一に分散させて、炭素繊維とコークスとの間の融着不足を解消している。
なお、サイジング剤を加熱処理して除去する場合には、400〜500℃の温度範囲で行うことが好ましい。400℃未満では、サイジング剤を除去することができず、また、500℃超えでは、炭素繊維が変質して劣化を起こすからである。一方、溶剤洗浄して除去する場合には、上記溶剤としては、タールやアセトン、タール滓等を好適に用いることができる。
ところで、本発明において用いる炭素繊維は、2005年度の生産量が約2万トンであり、その約半分が航空機やスポーツ・レジャー用品に用いられている。したがって、その他の用途に使用できる炭素繊維は、約1万トンと推算される。ここで、粗鋼生産量が3000万トンの製鉄所を想定した場合、年間約2000万トンの石炭(配合炭)が必要となる。そこでもし、全配合炭に、炭素繊維を0.1mass%添加すると仮定した場合には、年間で約2万トンという莫大な量の炭素繊維が必要となる。
したがって、コークス原料である配合炭すべてに炭素繊維を添加することは、事実上不可能であり、確保できたとしても大幅なコスト上昇を招くことになる。したがって、炭素繊維の添加は限定的なものとならざるを得ない。そこで、本発明では、空窯後あるいは炉体補修後の初装炭時あるいはその後数回の装炭時に限定して炭素繊維を添加することとし、大幅なコストの増加を招くことなく、押し詰まりの防止を図ることとした。
次に、本発明が適用されるコークス炉について説明する。
コークス炉は、石炭を装入して乾留する炭化室1と、炭化室の両側に配設され、コークス炉ガスや高炉ガス等の燃焼ガスを燃焼して発生した熱により炭化室内の石炭を加熱する燃焼室(図示せず)とを備えており、通常、それらの炭化室と燃焼室とが交互に数十〜百組程度並列に配置されている。
そして、図2に示すように、炭化室1のコークス押し出し方向(図2では左右方向)両端の一方の側には、押し出し機6が配置されるとともに、他方の側には、ガイド車7が配置されている。押し出し機6は、長手方向に伸縮自在のアーム8と、その先端部に接続され、炭化室1内のコークスCを押し出す押し出し板9とを備えている。ガイド車7は、押し出し機6によって炭化室1から押し出されたコークスCを、消火方式が乾式の設備ではバケット台車上のコークバケットに、湿式の設備では消火車に案内して、次の冷却工程に運搬する構成となっている。
また、炭化室1は、図3に示すように、石炭Sが装入される炉室2と、炉室2の天井面に石炭Sを装入する複数の石炭装入口3(図3では、炉室2の天井面の長手方向に4箇所(3a,3b,3c,3d)配設されている)と、炉室2の天井面(頂部)に設けられ、炉室2内の石炭から発生した生成ガスを回収する上昇管4とから構成されている。炉室2は、耐火煉瓦によって長手方向(コークス押し出し方向)に長い部屋として形成され、炉室2の長手方向の両側端面には、開閉自在の炉蓋5が配設されている。
次に、上記コークス炉を用いた本発明のコークス製造方法について説明する。
上記コークス炉で、コークスCを製造する場合には、まず、炭化室1の炉室2の両炉蓋5を閉じた状態にしてから、各石炭装入口3a、3b、3c、3dから石炭(配合炭)Sを装入する。この石炭Sには、予め炭素繊維が均一に混入されているものか、あるいは、各石炭装入口3a、3b、3c、3dから石炭を装入する際、炭素繊維を一緒に装入して均一分散させたものを用いる。
次いで、炭化室1の炉室2内へ装入された石炭Sを、炭化室1に隣接する燃焼室において、燃焼ガスを燃焼させた発生熱で、1000〜1200℃の温度で数時間〜十数時間乾留してコークスCとする。
石炭Sの乾留終了後、炉室2の両炉蓋5を開放し、押し出し機6のアーム8を延ばして、押し出し板9を炉室2内の長手方向に進行させ、炉室2内のコークスCをガイド車7内へと押し出す。押し出されたコークスCは、ガイド車7の案内でバケット台車あるいは消火車に装入され、冷却工程に搬送されて製品コークスとなる。
上記コークスの製造方法では、押し出し機6による、炭化室1の炉室2内からのコークスCの押し出し時に、コークスCと炉室2の炉壁2aとの間で摩擦抵抗が生じる。そして、その摩擦抵抗が過大となると、押し出し機6でコークスCを炉室2内から排出できない、いわゆる押し詰まりの状態となる。
斯かる押し詰まりは、炉室2内の炉壁2aに、スポーリングを起こした剥落部分Hが存在する場合に起こり易い。というのは、通常、炉壁2aとコークスCとの間には、コークス化時の収縮によりクリアランスK(間隙)が生じるため、摩擦抵抗が小さくなる。また、剥落部分Hがあっとしても、コークス炉の操業中には、当該剥落部分Hは、図4(a)に示すように、付着したカーボンFで埋められているため、コークス化時の収縮により炉壁2aとコークスC間に形成されるクリアランスKは通常と大きな変化はなく、したがって、摩擦抵抗が大きくなることはない。
しかし、コークス炉の補修時等においては、加熱が停止されて燃焼室からの熱供給が削減されることから、炉室2内の温度に変動が生じて、炉壁2aと剥離部分Hに析出しているカーボンFとの間の熱膨張率差に起因して、剥落部分を埋めていたカーボンFが剥離し、剥落部分が直接表面に露出することとなる。その結果、補修後、最初に石炭を装入した場合には、当該剥落部分にも石炭が入り込み、乾留後のコークス表面には、剥落部分に対応して突出した凸部Tが形成される(図4(b))。この凸部Tの高さが、コークス化時の収縮により形成されるクリアランスKに比較して小さければ問題はないが、ある程度以上の大きさとなると、押し出し時に上記凸部が炉壁2aに当たり、大きな摩擦抵抗が生じて、押し詰まりを引き起こす。
さらに、乾留後のコークスケーキには、コークス化時に亀裂が多数発生するため、コークスケーキが炉壁側方向に膨出して、コークス化時の収縮量(焼き減り量)が相殺されたり、押し出し時にコークスケーキが崩壊したりするため、クリアランスはさらに小さくなる。その結果、押し出し時にコークスケーキが炉壁に当たり易くなって、押し詰まりをより引き起こし易くなるのである。
そこで、本発明では、配合炭に炭素繊維を添加し、その架橋効果により、コークスに生ずる亀裂の発生を抑制して、クリアランスKを拡大し、図4(c)に示すように、コークス表面に形成される凸部Tと炉壁2aとが接触することを防止して、押し出し時の摩擦抵抗の軽減を図っている。
図5は、上記炭素繊維の添加効果を模式的に示したものであり、(a)は、炭素繊維を添加しない場合であり、コークスケーキに亀裂が多く発生して、炉壁側方向への膨出するため、コークス化時の焼き減り量が相殺され、クリアランスが小さくなる。一方、(b)は、炭素繊維を添加した場合であり、コークスケーキが炭素繊維によって架橋、強化されるので、亀裂の発生が抑制されて炉壁方向への膨出量が小さくなり、その結果、コークス化時の焼き減り量が増大してクリアランスも拡大し、押し詰まりを効果的に防止することができる。
なお、押し詰まりの防止に有効なクリアランスは、おおよそ17mmであり、好ましくは18mm以上と言われている。斯かるクリアランスを確保するには、配合炭に対して、繊維長が20mm以上の炭素繊維を、0.1mass%以上添加するのが好ましい。炭素繊維の繊維長が20mm未満では、炭素繊維の架橋効果が不十分となり、亀裂発生抑制効果が十分得られない。一方、繊維長が長すぎると、炭素繊維の単繊維同士が絡まって、配合炭との混合が不均一となり易いので、上限は50mm程度とするのが好ましい。
また、炭素繊維の添加量が少ないと、架橋効果が発現せず、十分な亀裂発生抑制効果が得られないので、0.1mass%以上添加するのが好ましい。ただし、上記効果は、添加量の増加に伴い向上するが、0.3mass%を超えて添加しても、クリアランス値が上記好ましい値以上となり、また、炭素繊維の添加量の増加に伴い製造コストも上昇するので、上限は0.3mass%程度とするのが好ましい。
なお、以上の説明においては、空窯後、1回目の装炭時すなわち初装炭時における押し詰まりを防止する技術として説明してきた。しかし、図1からわかるように、押し詰まりは、初装炭時のみならず、2回目〜5回目の装炭時においても高い率で発生しており、初装炭〜5回目の装炭までの合計が5割を超えている。したがって、本発明は、空窯後の初装炭時に限定する必要はなく、2回目以降5回目までに適用してもよい。この際、何回目までに本発明を適用するかは、炭素繊維添加によるコークス製造コストの上昇と押し詰まり発生防止効果とを比較考慮して適宜決定すればよい。
また、先述したように、従来のコークス製造においては、空窯後の初装炭時あるいはその後の数回の装炭時における石炭装入量を減らして、コークスケーキ押し出し力を軽減して押し詰まりを抑止していたため、コークス生産性の低下や、嵩密度の低下によるコークス強度の低下を引き起こしていた。しかし、本発明を適用することにより、石炭装入量を減少する必要もなくなるので、生産性の低下やコークス強度の低下を招くことはない。しかも、本発明では、炭素繊維の添加による架橋効果により、生産量を落とすことなく、コークス強度をより高めることも可能となる。
炭素繊維に塗布されているサイジング剤がコークス化時の水平焼き減り量に及ぼす影響を確認するため、サイジング剤が塗布されたまま(無処理)の炭素繊維と、450℃で加熱処理(空気中)してサイジング剤を除去した炭素繊維および溶剤(アセトン)洗浄によりサイジング剤を除去した炭素繊維の3種類の炭素繊維(長さ30mm)を用意し、これらを平均最大反射率が1.05%、最高流動度が250ddpm、全イナート量が32.2vol%の性状を有する配合炭にそれぞれ0.1mass%添加し、乾留してコークスを製造する試験を行った。なお、上記炭素繊維の素材としては、図6に外観写真を示したような、直径が20μmφの単繊維を束状に撚り合わせてサイジング剤で集束したものを用いた。また、コークス製造試験は、幅320mm×長さ270mm×高さ300mmの炭化室を有する電気炉式試験コークス炉を用い、この炭化室内部に、上記配合炭を、750kg/mの嵩密度となるよう充填し、1100℃×6hrの条件で乾留して、得られた乾留後のコークスケーキと炭化室の幅方向の炉壁との間に形成されたクリアランスの大きさを測定することにより、コークス化時の水平焼き減り性を評価した。
図7は、上記試験結果を示したものであり、無処理の炭素繊維の添加により、水平焼き減り量が増大して、クリアランスが大幅に上昇しているが、さらに、加熱処理や溶剤洗浄してサイジング剤を除去した炭素繊維を添加することにより、クリアランスの大きさをより大きくできることがわかる。これは、無処理の炭素繊維の場合には、サイジング剤で集束されているため、束状の繊維が解れずに配合炭に混合されるため、乾留時に軟化溶融物が束状の繊維内部に十分浸透せず、コークスと繊維との融着不足が生じ易いのに対して、サイジング剤を除去した炭素繊維の場合には、束状の炭素繊維が容易に解繊するため、炭素繊維が配合炭中に均一に混合されて、コークスと繊維が融着し易いためと考えられる。したがって、炭素繊維を配合炭に添加する場合には、サイジング剤が無塗布のものか、サイジング剤を予め除去したものを用いることが望ましい。
次に、配合炭に添加する炭素繊維の繊維長および添加量がコークス化時の水平焼き減り量に及ぼす影響を確認する試験を行った。コークス製造試験は、実施例1で用いたのと同じ直径が20μmφの単繊維を束状に撚り合わせてサイジング剤で集束した炭素繊維を、空気中で、450℃の温度で加熱処理してサイジング剤を除去してから、繊維長が5mm、30mmおよび50mmとなるよう切断したものを用意し、これらを、実施例1で用いたのと同じ性状を有する配合炭に、添加量を0〜0.3mass%の範囲で変化させて添加し、実施例1と同様の試験方法、試験条件で行い、各炭素繊維の評価は、得られたコークスケーキと炭化室の幅方向炉壁との間に生じたクリアランスを測定することで判定した。
図8は、上記試験結果を示したものである。この結果から、繊維長が5mmの炭素繊維では、添加量を上げてもクリアランスの拡大には殆ど効果が認められないが、繊維長が30mmの炭素繊維では、0.1mass%の添加量でクリアランスが拡大し、押し詰まりの防止に有効なクリアランス値(17mm)が得られており、さらに添加量を0.3mass%まで高めることにより、押し詰まりの防止にはより望ましい18mm以上のクリアランスが得られている。また、繊維長が50mmの炭素繊維でも、同様の傾向が認められる。
図9は、上記試験で得られたコークスケーキの外観写真を、(a)炭素繊維が無添加の場合と、(b)サイジング剤を除去した繊維長が30mmの炭素繊維を0.3mass%添加した場合について比較して示したものである。この写真から、炭素繊維添加による架橋効果によって、コークスケーキに発生する大きな亀裂が大幅に減少していることがわかる。この亀裂の減少により、コークスケーキの膨張が抑制されて、水平焼き減り量が増大する結果、クリアランスが拡大し、ひいては、押し詰まりの発生防止に寄与する。
実施例1と同じ性状を有する配合炭を原料としてコークスを製造している実際のコークス炉において、炉壁補修から数えて1回目(初装炭時)の配合炭に、実施例1で用いたのと同じ、加熱処理を施してサイジング剤を除去し、繊維長を30mmとした炭素繊維を0.1mass%工程的に添加し、炭素繊維添加前後の各3ヶ月間における押し詰まり発生回数を調査し、その結果を図10に示した。この図から、実炉においても、炭素繊維を添加することにより、押し詰まりが1/8と大幅に減少している。
本発明の技術は、空窯操業後あるいは炉体補修後の初装炭時における押し詰まりを効果的に抑制することができるだけでなく、初装炭時以外の時に用いても、同様の効果を得ることができる。また、本発明の技術は、炭素繊維の添加によりコークスの亀裂発生を防止し、それに伴う嵩密度の低下を抑制することができるので、コークス強度の向上した高品質のコークスを製造する技術としても有効である。
押し詰まりの発生と空窯後の装炭回数との関係を示すグラフである。 炭化室の構造を説明する断面図である。 コークス炉の押し出し機とコークスの装入状態を示す断面図である。 炭化室炉壁のスポーリング部分とクリアランスとの関係を模式的に説明する図である。 コークスケーキの水平焼き減り量に及ぼす炭素繊維添加効果を説明する図である。 実施例で用いた炭素繊維の外観写真である。 炭素繊維に塗布されたサイジング剤がコークスケーキの水平焼き減り量に及ぼす影響を示すグラフである。 炭素繊維の繊維長、添加量がコークスケーキの水平焼き減り量に及ぼす影響を示すグラフである。 コークスケーキの亀裂発生に及ぼす炭素繊維の添加有無の影響を示す外観写真である。 実コークス炉での炭素繊維添加による押し詰まり低減効果を示すグラフである。
符号の説明
1:炭化室
2:炉室
2a:炉壁
3(3a,3b,3c,3d):石炭装入口
4:上昇管
5:炉蓋
6:押し出し機
7:ガイド車
8:アーム
9:押し出し板
10:消火車
11:挿入車
S:石炭(配合炭)
C:コークス
H:スポーリング部分(剥落部分)
F:付着カーボン
T:コークス表面の凸部

Claims (5)

  1. コークス炉で配合炭を乾留してコークスを製造する方法において、空窯操業後あるいは炉体補修後、コークス炉内に配合炭を装炭する際、その配合炭中に炭素繊維を添加することを特徴とする冶金用コークスの製造方法。
  2. 上記炭素繊維は、サイジング剤の塗布されていないもの、あるいはサイジング剤が除去されたものであることを特徴とする請求項1に記載の冶金用コークスの製造方法。
  3. 上記サイジング剤が除去された炭素繊維は、塗布されたサイジング剤を溶剤洗浄あるいは空気加熱して除去したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の冶金用コークスの製造方法。
  4. 繊維長が20mm以上の炭素繊維を、配合炭に対して0.1mass%以上添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冶金用コークスの製造方法。
  5. 空窯操業後あるいは炉体補修後1回目〜5回目以内の装炭時に、配合炭中に炭素繊維を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冶金用コークスの製造方法。
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