JP2008050394A - 共重合ポリエステルおよびポリエステル成形体 - Google Patents

共重合ポリエステルおよびポリエステル成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来の技術が有する問題点を解決し、環状3量体含有量やアセトアルデヒド含有量が低減されているために同一の射出金型や加熱延伸金型を用いて多数のボトル成形を続ける長時間の連続運転でもボトルの透明性が維持され、また、フレーバー性も向上した成形体を与える共重合ポリエステルを提供すること。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる繰り返し単位を主成分として有する共重合ポリエステルであって、スルホン酸塩基を有する共重合成分を0.1〜10モル%含み、環状3量体含有量が7000ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
【選択図】図1

Description

本発明は、種々の用途に適する、経済的で生産性の高い高品質な成形体用共重合ポリエステルに関するもので、特に飲料用ボトルなどの分野に用いることが出来る、環状オリゴマー含有量が少ない、香味保持性に優れた共重合ポリエステルに関するものである。
熱可塑性ポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シ−ト、ボトルなどとして広く使用されている。
これらのうちでポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称することがある)は、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュ−ス、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器等の成形体の素材として最適である。
このようなポリエステルは、例えば、射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形して清涼飲料用中空成形容器としたり、またプリフォーム口栓部を熱処理(口栓部結晶化)後に延伸ブロー成形および胴部を熱処理(ヒートセット)して耐熱性または耐熱圧性中空成形容器に成形されるのが一般的である。
PETは、溶融重縮合時の副生物としてアセトアルデヒド(以下、AAと略称することがある)を含有する。また、PETは、中空成形体等の成形体を熱成形する際に熱分解によりアセトアルデヒドを生成し、得られた成形体の材質中のアセトアルデヒド含有量が多くなり、中空成形体等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。
このような理由から、従来からポリエステル中のアセトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が採られてきた。これらの方策として、例えば、溶融重縮合したポリエステルを固相重合することによってAA含有量を低下させる方法が採用されている。
しかしながら、固相重合法では、溶融ポリエステル樹脂を冷却し、チップ状の形態にし、これを固相重合するという操作が必要であり、操作が煩雑であるという問題点と、プリフォームの成形のために、チップを再溶融しなければならないなど熱エネルギーの点で問題である。
一方、溶融重縮合により得られたPETを、アセトアルデヒドを除去すると同時に分子量を上昇させる縮合射出成形法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかし、このような方法では、極限粘度を上げるために後重合反応器中での滞留時間が30〜60分と長く、生産性や着色で問題があり、また、環状3量体含有量が低減できないという問題もあった。
また、溶融重縮合反応後、溶融状態のままベント付き押出機を経て得られる溶融ポリエステル樹脂やこれを成形する方法(例えば、特許文献2、3、4、5、6参照)が既に知られている。しかし、これらの技術によっても環状3量体含有量が低減できないために、成形機の金型のベント詰まりや加熱延伸金型の汚れなどが酷くなり、長時間の運転に伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品価値のないボトルしか得られなくなるという問題があり改善が望まれている。
特開平8−238643号公報 特許第3684306号公報 特表平11−511187号公報 特表2001−516389号公報 特開2005−171081号公報 特開2005−193379号公報
従って、本発明は、上記従来の技術が有する問題点を解決し、環状3量体含有量やアセトアルデヒド含有量が低減されているために同一の射出金型や加熱延伸金型を用いて多数のボトル成形を続ける長時間の連続運転でもボトルの透明性が維持され、また、フレーバー性も向上した成形体を与える共重合ポリエステルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明の共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる繰り返し単位を主成分として有する共重合ポリエステルであって、スルホン酸塩基を有する共重合成分を0.1〜10モル%含み、環状3量体含有量が7000ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステルである。
この場合において、芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸のいずれか一種であることができる。
この場合において、脂肪族グリコールが、エチレングリコールであることができる。
この場合において、スルホン酸塩基を有する共重合成分が、5−スルホイソフタル酸金属塩であることができる。
この場合において、アセトアルデヒド含有量が30ppm以下であることができる。
この場合において、290℃で成形した5mm厚みの成形板のヘイズが30%以下であることができる。
この場合において、前記のいずれかに記載の共重合ポリエステルを成形してなるポリエステル成形体であり、前記ポリエステル成形体が、中空成形体用予備成形体、シート状予備成形体、あるいはこれらの予備成形体を少なくとも一方向に延伸してなる延伸ブロー成形体や延伸フィルムのいずれかであることができる。
本発明の共重合ポリエステルによれば、ボトル、フィルム等の各種用途に適した低オリゴマー含有量で、かつ低アセトアルデヒド含有量の、高品位な色調の樹脂あるいは成形体を経済的に生産することが出来る。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる繰り返し単位を主成分として有する共重合ポリエステルであって、スルホン酸塩基を有する共重合成分を0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜8モル%、更に好ましくは1.0〜5.0モル%含む共重合ポリエステルである。
ここで、スルホン酸塩基を有する共重合成分の含有量(モル%)は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分を100モル%とした場合の値である。
また、共重合ポリエステルを構成する全酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸の割合は、70モル%以上、共重合ポリエステルを構成する全グリコール成分のうち、脂肪族グリコールの割合は、70モル%以上であることが好ましい。
スルホン酸塩基を有する共重合成分の含有量が0.1モル%未満の場合は、得られた共重合ポリエステルの環状3量体含有量が7000ppmを超え、加熱金型を用いて連続成形する際に金型汚れが酷くなり、長時連続成形が不可能となり問題である。また、10モル%を超える場合は、得られた成形体の透明性が悪くなり、また、融点が低下するため成形体の耐熱性が低下するなど問題が生じ好ましくない。
本発明の共重合ポリエステルを構成する主なジカルボン酸成分としては、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸のいずれか一種が最も好ましく、目的を損なわない範囲でジフェニール−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等を用いることができる。
また本発明の共重合ポリエステルを構成する主なグリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコールからなる群から選ばれるいずれか一種が最も好ましく、特にエチレングリコールが最も好ましい。
また、目的を損なわない範囲で他のグリコール成分、例えば、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールなどが挙げられる。
さらに、前記共重合ポリエステルの共重合成分として使用できる多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸などをあげることができ、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンを挙げることができ、特に、トリメリット酸が好都合である。以上の共重合成分の使用量は、共重合ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。
また、単官能化合物、たとえば安息香酸、ナフトエ酸などを共重合させてもよい。
スルホン酸塩基を有する共重合成分となる化合物としては、スルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコ−ルが挙げられる。スルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸としては、5−スルホイソフタル酸,スルホテレフタル酸,4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸,5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩化合物のジアルキルエステル及び/またはジヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。又、スルホン酸金属塩基を含有するグリコ−ルとしては、2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル,2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ルなどの金属塩化合物が挙げられる。金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、およびマグネシウムなどのアルカリ土類金属が好ましい。
また、スルホン酸塩基を有する共重合成分となる化合物として、スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩が挙げられ、これらは下記一般式で示される。
Figure 2008050394
(式中、Aは芳香族基、X1 、X2 はエステル形成性官能基、R1 、R2 、R3、R4 はアルキル基でそのうちの少なくとも1個は炭素数6以上20以下のアルキル基)
具体的には、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩等があげられる。
スルホン酸塩基を有する共重合成分となる化合物としては、スルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸が好ましく、特に5−スルホイソフタル酸金属塩が好ましい。
本発明の共重合ポリエステルの製造法としては特に制限はなく、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩基含有共重合成分及びグリコールとの直接エステル化法、もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステル、スルホン酸塩基含有共重合成分及びグリコールとのエステル交換法によってオリゴマーを得、しかる後、常圧あるいは減圧下で溶融重縮合し、本発明の共重合ポリエステルを得ることができる。このとき必要に応じてエステル化触媒もしくは後記の重縮合触媒を用いることができる。
また、極限粘度を増大させたり、また低フレーバー飲料用耐熱ボトルや飲料用金属缶の内面用フィルム等のように低アセトアルデヒド含有量や低環状3量体含有量とする場合には、このようにして得られた溶融重縮合された共重合ポリエステルは、引き続き固相重合することが好ましい。
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、エステル化反応、あるいはエステル交換反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。溶融重縮合反応も1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。また溶融重縮合工程と固相重合工程は連続的に運転してもよいし、分割して運転してもよい。
また、本発明の共重合ポリエステルは、重縮合反応装置で所定の分子量まで上げた後、溶融状態のままで脱気装置付押出機に送られて脱気処理された共重合ポリエステルでもよい。
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、Sb、Ge、Ti、またはAlの化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が用いられることが好ましい。特に、本発明の共重合ポリエステルから得られるポリエステル成形体が、その透明性が重要な特性となる用途に用いられる場合は、Ge、Ti、またはAlの化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
これらの化合物は、粉体、水溶液、グリコール溶液、グリコールのスラリー等として反応系に添加される。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜300ppm、好ましくは50〜250ppm、好ましくは50〜200ppm,さらに好ましくは50〜180ppmの範囲になるように添加する。本発明の共重合ポリエステルの透明性が問題となる用途に用いられる場合は、Sb残存量は200ppm以下にすることが好ましい。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いる共重合ポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。また、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等の化合物も用いることが出来る。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量は共重合ポリエステル中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、さらに好ましくは13〜50ppm、最も好ましくは15〜45ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネートおよびそれらの部分加水分解物、酢酸チタン、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート、ヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸とのチタン錯体物、チタンおよびケイ素あるいはジルコニウムからなる複合酸化物、チタンアルコキサイドとリン化合物の反応物、チタンアルコキサイドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物にリン化合物を反応させて得た反応生成物等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜50ppm、好ましくは0.5〜10ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppm、好ましくは10〜50ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明の共重合ポリエステルの製造においては、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を必要に応じて併用してもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
前記のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、粉体、水溶液、グリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
さらにまた、本発明の共重合ポリエステルは、ケイ素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、錫、ハフニウム、タリウム、タングステンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属化合物を含有してもよい。これらの金属化合物としては、これら元素の酢酸塩等の飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸塩などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸塩などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、アルコキサイド、アセチルアセトナ−ト等とのキレ−ト化合物があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加される。これらの金属化合物は、生成ポリマ−1トン当りのこれらの金属化合物の元素の残存量として0.05〜3.0モルの範囲になるように添加する。これらの金属化合物は、前記の共重合ポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物を使用するのが好ましい。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステル等である。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲になるように添加する。
重縮合触媒としてAl化合物を用いる場合は、リン化合物と併用することが好ましく、アルミニウム化合物およびリン化合物が予め溶媒中で混合された溶液またはスラリーとして用いることが好ましい。Al化合物の場合、より好ましいリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、共重合ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明の共重合ポリエステルの極限粘度は、0.50〜0.90dl/g、好ましくは0.55〜0.85dl/g、さらに好ましくは0.60〜0.80dl/gである。0.50dl/g未満では得られた共重合ポリエステルの機械的特性が充分でない。また、0.90dl/gを超える場合は、溶融粘度が高い為に成形時に発熱が激しくなり、樹脂温度が上昇し熱分解が生じ、分子量低下や着色が酷くなり問題となる。
本発明の共重合ポリエステルの環状3量体含有量は、好ましくは6000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。7000ppmを超える場合は射出成形機の金型のベント詰まりや加熱金型の汚染が激しく長時間の連続成形が不可能となる。また、環状3量体の下限値は2500ppmであり、これ以下の含有量に低減するにはスルホン酸塩基含有成分の含有量を10モル%以上にすることが必要であり、この場合には得られた共重合ポリエステルの融点が低下するため成形体の耐熱性が低下するなどの問題や経済性の問題が生じ好ましくない。
共重合ポリエステルの環状3量体含有量を7000ppm以下にする方法としては、例えば、スルホン酸塩基含有成分の含有量を0.1モル%以上にする方法、スルホン酸塩基含有成分をエステル化反応またはエステル交換反応の後期に添加する方法、重縮合触媒をエステル化反応またはエステル交換反応の後期に添加する方法、または、溶融重縮合後のプレポリマーを固相重合する方法などが挙げられる。また、これらの方法を適当に組み合わせる方法も実施できる。
また、本発明の共重合ポリエステルのアセトアルデヒド含有量は、好ましくは25pm以下、更に好ましくは20pm以下である。30ppmを超える場合は得られた成形体の香味保持性が悪くなり問題である。また、これらの下限は製造上の問題から、0.1ppbであることが好ましい。特に、本発明の共重合ポリエステルが、エチレンテレフタレ−トを主繰返し単位とする共重合ポリエステルであり、ミネラルウオータ等の低フレーバー飲料用の容器の材料として用いられる場合には、前記の共重合ポリエステルのアセトアルデヒド含有量は10ppm以下、好ましくは6ppm以下、より好ましくは5ppm以下、最も好ましくは4ppm以下であることが望ましい。
アセトアルデヒド含有量を30ppm以下に低減する方法としては、例えば、290℃以下の温度で溶融重縮合反応を行う方法、溶融重縮合後のチップ化するまでの、又は重縮合後に溶融状態のまま成形機で直接成形する際には成形機で成形するまでの樹脂温度を290℃以下、滞留時間を20分以下にする方法、アセトアルデヒド低減剤やヒンダードフェノールなどの酸化防止剤を併用する方法、重縮合後に溶融状態のままで脱気装置付押出機で脱気処理をする方法、または、溶融重縮合後のプレポリマーを固相重合する方法などが挙げられ、また、これらの方法を適当に組み合わせる方法も実施できる。
前記した溶融重合後の共重合ポリエステルを溶融状態を保ったまま、脱気装置付押出機で脱アセトアルデヒド処理を行う場合、用いる脱気装置付押出機としては、1軸押出機、2軸押出機のいずれも可能であるが、アセトアルデヒドの低減効率から2軸押出機が好ましい。なお、2軸押出機のスクリュは噛み合い型、非噛み合い型、不完全噛み合い型のいずれでも良いし、同方向、異方向回転のいずれでも良い。
脱気装置付押出機内での樹脂温度は250℃〜300℃、好ましくは250℃〜290℃、さらに好ましくは
250〜280℃の範囲が望ましい。脱気装置付押出機の減圧度は、50torr以下、好ましくは20torr以下、より好ましくは10torr以下で目的を達成することができる。
また、本発明の共重合ポリエステルを290℃で成形した5mm厚みの成形板のヘイズは、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。30%を超える場合は、得られた成形体の透明性が悪く商品価値がなくなり問題となる。
290℃で成形した5mm厚みの成形板のヘイズを30%以下にする方法としては、例えば、共重合されたジアルキレングリコール含有量を2.0%以上にする方法、重縮合触媒としてはGe、TiまたはAlの化合物から選ばれる化合物を用いる方法などが挙げられ、また、これらの方法を適当に組み合わせる方法も実施できる。また、本発明の共重合ポリエステルをチップ化する場合には、冷却水としてイオン交換水を用いる方法も好ましい方法である。
また、本発明の共重合ポリエステルの主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成される場合は、共重合されたジエチレングリコール量は前記の共重合ポリエステルを構成するグリコール成分の1.5〜5.0モル%、好ましくは2.0〜4.5モル%、更に好ましくは2.2〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成形時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が1.5モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
また、本発明の共重合ポリエステルには、アルデヒド低減剤としてポリアミド、ポリエステルアミド、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ヒンダートフェノール系化合物、ヒンダートアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ポリフェノール系化合物、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アルカリ金属塩を配合することができ、好ましくはポリアミド、ベンゾフェノン系化合物、ポリエステルアミド、リン系安定剤、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダートフェノール系化合物、ヒンダートアミン系化合物を配合することができる。最も好ましくは、ポリアミド、ポリエステルアミド、低分子量のアミノ基含有化合物であって、得られたポリエステル成形体のヘイズが良好である。
これらのポリアミド化合物、低分子量アミノ基含有化合物、あるいは水酸基含有化合物などのアルデヒド低減剤は、単独で用いても良いし、適当な割合で混合して用いても良い。
前記アルデヒド低減剤は、例えば、本発明の共重合ポリエステル100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部用いることができる。
前記アルデヒド低減剤は、ポリエステルの低重合度オリゴマーの製造からポリエステルポリマーの製造の任意の反応段階に於いて所定量のアルデヒド低減剤を添加することによって配合することができる。例えば、前記のアルデヒド低減剤を細粒、粉状、溶融体など適当な形としてエステル化反応器や重縮合反応器などの反応器に添加したり、前記の反応器から次工程の反応器への前記ポリエステルの反応物の輸送配管中に前記アルデヒド低減剤またはこれと前記ポリエステルとの混合物を溶融状態で導入したりして配合できる。
なお、本発明において用いる共重合ポリエステルには必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離型剤などを本発明の目的を損わない範囲で添加することができる。
本発明の共重合ポリエステルの形態としては、そのままで、あるいはベント付2軸押出機などの脱機装置で処理後に水中カット造粒機を採用してチップ化しても良いし、そのままで、あるいはベント付2軸押出機などの脱機装置で処理後に成形機に導入して直接成形しても良いが、経済性の面から、直接成形するのが好ましい。また、成形する場合には、押出成形、射出成形等いずれの成形方法も行うことができるが、特に射出成形が好ましい。
ポリエステル成形体とは、そのままの形態で使用されるシート状物やカップ状物などのポリエステル成形体および中空成形体用予備成形体やシート状予備成形体のことである。
また、中空成形体用予備成形体としては、射出成形により得られるプリフォームや溶融押出成形して得た溶融塊を圧縮成形して得たプリフォームなどが挙げられる。中空成形体用予備成形体は、そのままあるいは口栓部、底部を加工後、それを再加熱し、ホットパリソン法あるいはコールドパリソン法などの二軸延伸ブロー成形法が適用される。この場合の成形温度、具体的には成形機のシリンダー各部およびノズルの温度は通常260〜300℃の範囲である。延伸温度は通常70〜120℃、好ましくは90〜110℃で、延伸倍率は通常縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲で行えばよい。得られた中空成形体は、そのまま使用できるが、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を必要とする飲料の場合には一般的に、さらにブロー金型内で熱固定処理を行い、耐熱性を付与して使用される。熱固定は通常、圧空などによる緊張下、100〜200℃、好ましくは120〜180℃で、数秒〜数時間、好ましくは数秒〜数分間行われる。
また、口栓部に耐熱性を付与するために、射出成形または押出成形により得られたプリフォームの口栓部を遠赤外線や近赤外線ヒーター設置オーブン内で結晶化させたり、あるいはボトル成形後に口栓部を前記のヒーターで結晶化させる。
シート状予備成形体は、少なくとも一軸方向に延伸することにより機械的強度を改善することが可能である。本発明の共重合ポリエステルからなる延伸フィルムは射出成形もしくは押出成形して得られたシート状物を、通常PETの延伸に用いられる一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のうちの任意の延伸方法を用いて成形される。また圧空成形、真空成形によりカップ状やトレイ状に成形することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない.なお主な特性値の測定法を以下に説明する。
(1)ポリエステルの極限粘度(以下「IV」という)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
(2)ポリエステルのジエチレングリコ−ル含有量(以下[DEG含有量」という)
メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
(3)ポリエステルの環状3量体の含有量(以下「CT含有量」という)
冷凍粉砕した試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノ−ル15mlを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状3量体を定量した。
(4)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。ポリエステル組成物のアセトアルデヒド含有量は構成するポリエステルのアセトアルデヒド含有量から計算した加重平均値とした。チップの場合はそのままを試料として用いる。
(5)ポリエステルのカラーb値(以下Co−bという)
東京電飾製の色差計TC1500MC88を用いて以下のように測定した。チップまたは約2mm角のチップ状に切断したサンプルを光沢のある面が下になるようガラス製セルに並べセルの8分目まで入れた。さらに軽くセルを振り、密に詰めた後、蓋が出来るまでレジンを追加し、蓋をした。樹脂を詰めたセルを試料台に乗せ、測定した。測定はセルを1回測定するごとに約120度ずつ回して3回、すなわち120度ずつ3方向から測定し、その平均を求めた。
(6)ポリエステルの触媒含有量
試料約1〜10gを白金坩堝に入れて約550℃で灰化し、次いで6N塩酸に溶解後蒸発乾固し、残差を1N塩酸に溶解する。この溶液を島津製作所社製誘導結合プラズマ発光分析装置で測定した。
(7)ヘイズ(霞度%))
下記(8)の成形体(肉厚5mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメーター、modelNDH2000で測定した。
(8)段付成形板の成形
ポリエステルの試料を名機製作所製射出成形機M−150C−DM型射出成形機により図1、図2に示すようにゲート部(G)を有する、2mm〜11mm(A部の厚み=2mm、B部の厚み=3mm、C部の厚み=4mm、D部の厚み=5mm、E部の厚み=10mm、F部の厚み=11mm)の厚さの段付成形板を射出成形した。成形中に吸湿を防止するために、成形材料ホッパー内は乾燥不活性ガス(窒素ガス)パージを行った。
M−150C−DM射出成形機による可塑化条件としては、フィードスクリュウ回転数=70%、スクリュウ回転数=120rpm、背圧0.5MPa、シリンダー温度はホッパー直下から順に45℃、250℃、及び、ノズルを含めた以降のシリンダー温度(以下、Sxとする)を290℃に設定した。射出条件は射出速度及び保圧速度は20%、また成形品重量が146±0.2gになるように射出圧力及び保圧を調整し、その際保圧は射出圧力に対して0.5MPa低く調整した。
射出時間、保圧時間はそれぞれ上限を10秒、7秒,冷却時間は50秒に設定し、成形品取出時間も含めた全体のサイクルタイムは概ね75秒程度である。
金型には常時、水温10℃の冷却水を導入し温調するが、成形安定時の金型表面温度は22℃前後である。
成形品特性評価用のテストプレートは、成形材料を導入し樹脂置換を行った後、成形開始から11〜18ショット目の安定した成形品の中から任意に選ぶものとした。
(実施例1)
予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグリコールを連続的に供給し、撹拌下、約250℃、0.5kg/cmGで平均滞留時間3時間反応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコールを添加加熱処理した触媒溶液及び燐酸のエチレングリコール溶液、および、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチレンレングリコールエステル(NSIPAE)のエチレングリコール溶液をNSIPAEが、全酸成分に対して0.5モル%共重合されるように別にこの第2エステル化反応器に連続的に添加し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cmGで所定の反応度まで反応を行った。このエステル化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送り、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに第3重合反応器で撹拌下、約275℃、0.5〜1torrで重合させた。反応器から抜き出した溶融樹脂を275℃で滞留時間10分以内で細孔へ送り、溶融樹脂を細孔から押出してイオン交換水で冷却しながらチップ化してシリンダー形状のチップとした。なおチップ化時の冷却水としては、ナトリウム含有量が0.1ppm、カルシウム含有量が約0.1ppm、マグネシウム含有量が約0.06ppm、珪素含有量が約0.7ppmのイオン交換水を用いた。
得られた共重合ポリエステルの極限粘度(IV)は0.60であった。Ge残存量は45ppmであった。結果を表1に示した。
(実施例2)
NSIPAEの共重合量を1.0モル%とする以外は実施例1と同様にして反応させ、同様の方法でチップ化した。結果を表1に示した。Ge残存量は43ppmであった。
(実施例3)
NSIPAEの共重合量を2.0モル%とする以外は実施例1と同様にして反応させ、同様の方法でチップ化した。結果を表1に示した。Ge残存量は43ppmであった。
(実施例4)
NSIPAEの共重合量を8.0モル%とする以外は実施例1と同様にして反応させ、同様の方法でチップ化した。結果を表1に示した。Ge残存量は46ppmであった。
(比較例1)
NSIPAEを添加せず、重縮合触媒として三酸化アンチモンを用い、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液及び燐酸のエチレングリコール溶液を別々に第1エステル化反応器に連続的に供給し、第3重合反応器の温度を290℃、第3重合反応器から細孔までの温度及び滞留時間を、それぞれ、285℃及び30分とする以外は実施例1と同様にしてPET溶融ホモポリマーチップを得た。ただし、チップ化時冷却水としてナトリウム含有量が約9.5ppm、カルシウム含有量が約11.3ppm、マグネシウム含有量が約6.1ppm、珪素含有量が15.0ppmの水を用いた。Sb残存量は430ppmであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
NSIPAEの共重合量を15.0モル%とする以外は比較例1と同様にして反応させ、同様の方法でチップ化した。結果を表1に示した。Sb残存量は400ppmであった。
Figure 2008050394
本発明は、環状3量体含有量やアセトアルデヒド含有量が低減されているために同一の射出金型や加熱延伸金型を用いて多数のボトル成形を続ける長時間の連続運転でもボトルの透明性が維持され、また、フレーバー性も向上した成形体を与える共重合ポリエステルを提供する。
実施例において使用した段付成形板の平面図 図1の段付成形板の側面図
符号の説明
A 段付成形板の部位A部
B 段付成形板の部位B部
C 段付成形板の部位C部
D 段付成形板の部位D部
E 段付成形板の部位E部
F 段付成形板の部位F部
G 段付成形板のゲート部

Claims (8)

  1. 芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる繰り返し単位を主成分として有する共重合ポリエステルであって、スルホン酸塩基を有する共重合成分を0.1〜10モル%含み、環状3量体含有量が7000ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
  2. 芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸のいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル。
  3. 脂肪族グリコールが、エチレングリコールであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  4. スルホン酸塩基を有する共重合成分が、5−スルホイソフタル酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  5. アセトアルデヒド含有量が30ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  6. 290℃で成形した5mm厚みの成形板のヘイズが30%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の共重合ポリエステルを成形してなることを特徴とするポリエステル成形体。
  8. 請求項7に記載のポリエステル成形体が、中空成形体用予備成形体、シート状予備成形体あるいはこれらの予備成形体を少なくとも一方向に延伸してなる延伸ブロー成形体や延伸フィルムのいずれかであることを特徴とするポリエステル成形体。
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