JP2008050378A - 印刷用インキ及び該インキを用いた塗膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インキを凹状パターンを有する印刷版に充填し、このインキを表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写した後、ブランケットから被転写体へインキを転写するオフセット印刷法に使用する印刷用インキが粉末成分、樹脂成分及び溶剤成分を少なくとも含有するとき、樹脂成分がアクリル−スチレン系、アクリル−ウレタン系、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレート又はエポキシアクリレートを含み、溶剤成分がジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等を1種又は2類以上含む。
【選択図】なし
Description
請求項1に係る発明では、上記列挙した樹脂成分は高い凝集力を有し、被転写体への転写時におけるインキ内部での凝集破壊を抑制することができ、上記列挙した溶剤成分は印刷用インキ中の樹脂成分を溶解することが可能であり、印刷用ブランケットへ転写した際に溶剤成分の一部が印刷用ブランケット表面のシリコーンゴムシート中に吸収され、インキとブランケットの間に溶剤に富んだ境界層(インキとブランケットとの接着力を弱める境界層:Weak Boundary Layer;以下WBLという。)を形成するため、インキをブランケット上に残すことなく転写することができ、かつブランケットを加熱することなくブランケット表面から吸収された溶剤が揮発するため、オフセット印刷による連続印刷において印刷パターンの形状変動を低減することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、印刷版がライン幅W:10〜1000μm、深さD:5〜50μm、ピッチP:10〜1000μmの複数の凹状パターンを有する平面凹版又は円筒凹版からなり、印刷用ブランケットが表面に厚さ0.1〜3mmのシリコーンゴムシートが取り付けられたブランケットロールからなり、被転写体がガラス基板からなり、印刷用インキを平面凹版又は円筒凹版に充填し、充填したインキをブランケットロールへ転写した後、ブランケットロールからガラス基板へインキを転写することにより、ガラス基板表面に所定のパターンを有する塗膜を印刷する凹版オフセット印刷をガラス基板2〜1000枚について連続印刷したとき、得られた各1〜1000枚の印刷されたガラス基板について、各ガラス基板の所定位置における3〜12箇所のライン幅Wをそれぞれ測定したときの測定値の平均値が0.9W〜1.1Wの範囲内であり、かつ測定値の標準偏差値が1〜5の範囲内である印刷用インキである。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に記載の印刷用インキを凹状のパターンを有する印刷版に充填し、充填したインキを表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写した後、印刷用ブランケットから被転写体へインキを転写することを特徴とする塗膜の製造方法である。
本発明者は、印刷用インキに使用される樹脂成分と溶剤成分について、樹脂成分の溶剤成分への溶解、並びに溶剤が印刷用ブランケット表面のシリコーンゴムシートに及ぼす影響に関して鋭意検討した結果、樹脂成分としてアクリル−スチレン系共重合体、アクリル−ウレタン系共重合体、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレート又はエポキシアクリレートが高い凝集力を有し、被転写体への転写時におけるインキ内部での凝集破壊を抑制することができ、溶剤成分として一般的に使用されているアルコール類やアルキルエーテル類に代わり、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ポリエステルポリオール[炭素数が2〜12の脂肪族多塩基酸・炭素数が2〜12の脂肪族多価アルコール]、ポリエステルポリオール[炭素数が8〜15の芳香族多塩基酸・炭素数が2〜12の脂肪族多価アルコール]及び水酸基含有液状アクリル樹脂からなる群より選ばれた1種又は2類以上を使用することによって、印刷用インキ中の上記列挙した樹脂成分を溶解することが可能であり、印刷用ブランケットへ転写した際に溶剤成分の一部が印刷用ブランケット表面のシリコーンゴムシート中に吸収され、インキとブランケットの間にWBLを形成するため、インキをブランケット上に残すことなく転写することができ、かつブランケットを加熱することなくブランケット表面から吸収された溶剤が揮発することを確認し、本発明に至った。
先ず、図1(a)に示すように、所望の凹状パターン10aを有する平面凹版10を印刷版として用意し、この平面凹版10表面に本発明の印刷用インキ11を所定量供給する。供給した印刷用インキ11は、スキージ12を平面凹版10表面にあててスライドさせることにより、凹状パターン10aに埋め込む。次に、図1(b)に示すように、表面にシリコーンゴムシート13aが取り付けられたブランケットロール13を印刷用ブランケットとして用意し、このブランケットロール13をインキ11が凹状パターン10aに埋め込まれた平面凹版10上に圧接し、この状態でブランケットロール13を回転させ、平面凹版10上でスライドさせることにより、平面凹版10の凹状パターン10aに埋め込まれたインキ11の一部をブランケットロール13のシリコーンゴムシート13a表面に転写する。このときの転写率は平面凹版の凹状パターンやインキに含まれる成分やその比率、ブランケットの圧接の強弱によっても異なるが、ほぼ20〜60%程度の割合である。転写した本発明のインキ11に含まれる溶剤成分の一部がブランケットロール13表面のシリコーンゴムシート13a中に吸収され、インキとシリコーンゴムシート13aの間に溶剤に富んだ境界層(WBL)を形成するため、後に続く工程で、インキをブランケット上に残すことなく被転写体に転写することができる。最後に、図1(c)に示すように、インキ11を転写したブランケットロール13をガラス基板14のような被転写体に圧接し、この状態でブランケットロール13を回転させ、ガラス基板14上でスライドさせることにより、図1(d)に示すように、ガラス基板14表面に所望のパターンが転写される。なお、ブランケットロール表面にはシリコーンゴムシートの代わりにシリコーン樹脂シートを取り付けてもよい。本発明の印刷用インキ11は、樹脂成分が高い凝集力を有し、被転写体への転写時におけるインキ内部での凝集破壊を抑制することができ、溶剤成分は印刷用インキ中の樹脂成分を溶解することが可能であり、印刷用ブランケットへ転写した際に溶剤成分の一部が印刷用ブランケット表面のシリコーンゴムシート中に吸収され、インキとブランケットの間にWBLを形成するためインキをブランケット上に残すことなく転写することができ、かつブランケットを加熱することなくブランケット表面から吸収された溶剤が揮発するため、連続印刷において印刷パターンの形状変動を低減することができる。
<実施例1〜122、比較例1>
次の表1〜表24に示す粉末成分、樹脂成分、溶剤成分及び分散剤をミキサで混合し、更に三本ロールミルを用いて5〜10Pa・s程度混練することにより、印刷用インキを得た。
オフセット印刷に使用する印刷版としてライン幅100μm、深さ25μm、ピッチ360μmの複数の凹状パターンを有する42アロイ製平面凹版を、被転写体としてガラス基板をそれぞれ用意した。また、印刷用ブランケットとして表面に厚さ0.3mmのシリコーンゴムシートが取り付けられたブランケットロールを用いた。先ず、平面凹版表面に得られた印刷用インキを所定量供給し、SUS製ブレードを用いて平面凹版の凹状パターンにインキを埋め込んだ。次に、ブランケットロールを平面凹版上に圧接した状態で回転させ、平面凹版上でスライドさせることにより、平面凹版の凹状パターンに埋め込まれたインキの一部をブランケットロールのシリコーンゴムシート表面に転写した。最後に、ブランケットロールをガラス基板に圧接した状態で回転させ、ガラス基板上でスライドさせることにより、ガラス基板表面に所定のパターンを有する印刷基板を得た。上記オフセット印刷を基板500枚について連続印刷を行った。
実施例1〜122及び比較例1で得られた各500枚の印刷基板のうち、1枚目、100枚目、200枚目、300枚目、400枚目及び500枚目の基板について、各基板の所定位置における9箇所の線幅をそれぞれ測定し、測定値の平均値と標準偏差値を算出した。その結果を表25〜表38に示す。
10a 凹状パターン
11 印刷用インキ
12 スキージ
13 ブランケットロール
13a シリコーンゴムシート
14 ガラス基板
Claims (4)
- インキを凹状のパターンを有する印刷版に充填し、前記充填したインキを表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写した後、前記印刷用ブランケットから被転写体へインキを転写するオフセット印刷法に使用する印刷用インキにおいて、
前記インキが無機粉末又は有機粉末から構成される粉末成分、樹脂成分及び溶剤成分を少なくとも含有し、
前記樹脂成分がアクリル−スチレン系共重合体、アクリル−ウレタン系共重合体、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレート又はエポキシアクリレートを含み、かつ前記溶剤成分がジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ポリエステルポリオール[炭素数が2〜12の脂肪族多塩基酸・炭素数が2〜12の脂肪族多価アルコール]、ポリエステルポリオール[炭素数が8〜15の芳香族多塩基酸・炭素数が2〜12の脂肪族多価アルコール]及び水酸基含有液状アクリル樹脂からなる群より選ばれた1種又は2類以上を含むことを特徴とする印刷用インキ。 - 無機粉末が金属粉末、金属酸化物、金属窒化物又はこれらを混合した混合粉末である請求項1記載の印刷用インキ。
- 印刷版がライン幅W:10〜1000μm、深さD:5〜50μm、ピッチP:10〜1000μmの複数の凹状パターンを有する平面凹版又は円筒凹版からなり、印刷用ブランケットが表面に厚さ0.1〜3mmのシリコーンゴムシートが取り付けられたブランケットロールからなり、被転写体がガラス基板からなり、
印刷用インキを前記平面凹版又は円筒凹版に充填し、前記充填したインキを前記ブランケットロールへ転写した後、前記ブランケットロールから前記ガラス基板へインキを転写することにより、前記ガラス基板表面に所定のパターンを有する塗膜を印刷する凹版オフセット印刷をガラス基板2〜1000枚について連続印刷したとき、
得られた各1〜1000枚の印刷されたガラス基板について、各ガラス基板の所定位置における3〜12箇所のライン幅Wをそれぞれ測定したときの測定値の平均値が0.9W〜1.1Wの範囲内であり、かつ測定値の標準偏差値が1〜5の範囲内である請求項1記載の印刷用インキ。 - 請求項1ないし3いずれか1項に記載の印刷用インキを凹状のパターンを有する印刷版に充填し、前記充填したインキを表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写した後、前記印刷用ブランケットから被転写体へインキを転写することを特徴とする塗膜の製造方法。
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