JP2002208354A - プラズマディスプレイパネル用電極基板およびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用電極基板およびその製造方法

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JP2002208354A
JP2002208354A JP2001001609A JP2001001609A JP2002208354A JP 2002208354 A JP2002208354 A JP 2002208354A JP 2001001609 A JP2001001609 A JP 2001001609A JP 2001001609 A JP2001001609 A JP 2001001609A JP 2002208354 A JP2002208354 A JP 2002208354A
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Yasuhiko Kondo
康彦 近藤
Makoto Sugitani
信 杉谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細でかつ高精度の電極パターンを備えてお
り、しかも安価なプラズマディスプレイパネル(PD
P)用電極基板と、当該電極基板の微細なパターンを高
精度にかつ安価に製造することのできる方法とを提供す
る。 【解決手段】 本発明のPDP用電極基板は、ガラス基
板上に、導電性インキ組成物からなるパターンのバイン
ダ樹脂分を焼成、除去してなる電極パターンを備えたも
のであって、(i) 前記導電性インキ組成物からなるパタ
ーンが、導電性インキ組成物を凹版オフセット印刷によ
って前記ガラス基板上に印刷形成してなるものであり、
(ii)前記導電性インキ組成物が、金属粉末とバインダ樹
脂とを溶剤に分散または溶解させてなるものであり、か
つ(iii) 前記導電性パターンの印刷に用いる印刷ブラン
ケットが、その表面に、前記導電性インキ組成物の溶剤
中に23℃で24時間浸漬させたときの体積増加率が2
0%以下であるゴムからなる層を備えてなるものである
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細でかつ高精度
の電極パターンを備えたプラズマディスプレイパネル用
電極基板と、当該電極パターンを高精度にかつ安価に製
造することのできるプラズマディスプレイパネル用電極
基板の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラーテレビやパーソナルコンピ
ュータ等の表示デバイスにはブラウン管(CRT)や液
晶ディスプレイ(LCD)が広く用いられているが、こ
れらはその構造上の理由により、小型化、薄型化の実現
に一定の制限がある。一方、これらに代わる表示デバイ
スとして、プラズマディスプレイ(PDP)が近年注目
されている。PDPは画素自体が自己発光型であること
から極めて薄い表示デバイスを提供することができ、し
かもLCDに比べて構造がシンプルで薄型でありながら
大画面化が容易であるという特徴を備えている。それゆ
え、次世代の表示デバイスとして大きな需要が見込まれ
ている。
【0003】しかしながら、現状ではPDPの製造コス
トが極めて高く、このことは、家庭用向けの表示デバイ
スとして普及させる上での障壁となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PDPは、例えば図1
に示すように、背面電極(アドレス電極)10を備えた
背面基板(リア基板)11と、透明電極14、前面電極
(バス電極)15、透明誘電体層16および保護層17
を備えた前面基板(フロント基板)18と、を向き合わ
せてなるものである。前記背面基板11には、背面電極
10とともに、リブ(隔壁)12および蛍光層13
(R,G,B)が形成されている。
【0005】このうち電極は、従来、感光性の銀ペース
ト(例えばデュポン社の登録商標「フォーデル」)を背
面板の全面に所定の厚み(5〜10μm)でコーティン
グして、乾燥、露光、現像によってパターニングした
り、あるいは、感光性銀テープを前面に貼り付けて、露
光、現像によってパターニングしたりする、いわゆるフ
ォトリソグラフィー法(フォトリソ法)によって形成さ
れている。しかし、電極に要求されるパターンの線幅が
50〜70μmであるのに対し、ピッチが350μm程
度であることから、現像処理時に除去される銀ペースト
の量が非常に多くなり、経済性に劣る。銀ペーストの利
用率の低さは電極板の製造コストを上昇させることに繋
がるため、除去された銀を回収して再利用する試みがな
されているが、回収・再利用の工程自体にコストがかか
ることから有効な対策とはなり得ない。
【0006】また、例えば前面基板側で開口率の向上が
求められるような場合には、幅が20〜50μmである
ような、より一層微細な電極パターンの形成が要求され
る。さらに、光の反射を抑えるという観点から、銀から
なるパターンだけでなく、黒色顔料を含む銀パターンを
同時に設ける必要がある。従って、ペーストの利用率の
低さならびにこれに伴う製造コストの上昇の問題がより
顕著になる。しかも、フォトリソ法における露光、現
像、乾燥等の一連の工程には、使用する装置等に極めて
高い精度やクリーン度が要求されること、さらには有害
な廃液が多量に生じることから環境に対する負荷や廃液
処理に対する負担が大きくなること、といった問題があ
る。それゆえ、フォトリソ法による電極の製造はコスト
面から極めて不利であった。
【0007】そこで本発明の目的は、上記の問題を解決
し、微細でかつ高精度の電極パターンを備えており、し
かも安価であるプラズマディスプレイパネル(PDP)
用電極基板と、当該電極基板の微細なパターンを高精度
にかつ安価に製造することのできる方法とを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは上記課題を解決するために研究を重ねていく中
で、PDP用電極のパターン形成を安価に行うべく、フ
ォトリソ法に代えて印刷法を用いることを検討した。す
なわち、金属粉末を含む導電性インキ組成物を印刷して
導電性パターン形成し、さらにこの導電性パターンを焼
成することによって電極パターンを形成することについ
て検討を重ねた。
【0009】その結果、印刷法として凹版オフセット印
刷法を採用するとともに、導電性インキ組成物の溶剤
と、転写体としての印刷ブランケットの表面層に用いら
れるゴムとの種類を、当該ゴムの前記溶剤に対する膨潤
度に応じて適宜組み合わせたときには、従来、印刷法に
よれば微細なパターンを高い精度でもって形成すること
が困難であるとされていたにも拘わらず、意外にも、P
DPに要求される極微細でかつ高精度の電極パターンを
形成することができるという全く新たな事実を見出し、
本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明に係るプラズマディスプ
レイパネル用電極基板は、ガラス基板上に、導電性イン
キ組成物からなるパターンのバインダ樹脂分を焼成、除
去してなる電極パターンを備えており、前記導電性イン
キ組成物からなるパターンが、導電性インキ組成物を凹
版オフセット印刷によって前記ガラス基板上に印刷形成
してなるものであって、前記導電性インキ組成物が、金
属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散または溶解させて
なるものであって、かつ、前記導電性パターンの印刷に
用いる印刷ブランケットが、その表面に、前記導電性イ
ンキ組成物の溶剤中に23℃で24時間浸漬させたとき
の体積増加率が20%以下であるゴムからなる層を備え
てなるものであることを特徴とする。
【0011】上記本発明のプラズマディスプレイパネル
用基板は、PDP用の電極に要求される極めて微細でか
つ高精度の電極パターンを備えており、しかも当該パタ
ーンが印刷方法によって製造されるものであることか
ら、従来のPDP用基板に比べて極めて安価である。本
発明に係るプラズマディスプレイパネル用基板におい
て、凹版オフセット印刷による導電性パターンの形成に
使用する印刷ブランケットには、導電性パターンの印刷
精度、ひいては電極パターンの精度をより一層良好なも
のにするという観点から、表面ゴム層が硬度(JIS
A)20〜70°のシリコーンゴムからなり、かつその
表面の十点平均粗さ(Rz)が1μm以下であるものを
用いるのが好ましい。
【0012】また、本発明に係るプラズマディスプレイ
パネル用電極基板の製造方法は、金属粉末とバインダ樹
脂とを溶剤に分散または溶解させてなる導電性インキ組
成物を凹版の凹部に充填した後、前記導電性インキ組成
物の溶剤中に23℃で24時間浸漬したときの体積増加
率が20%以下であるゴムを表面層として備えた印刷ブ
ランケットに、前記凹版の凹部から前記導電性インキ組
成物を転移させ、さらに、当該導電性インキ組成物を前
記印刷ブランケットの表面からガラス基板の表面に転写
させて、次いで、ガラス基板の表面に形成された導電性
インキ組成物からなるパターンを焼成して、当該パター
ンのバインダ樹脂分を除去することを特徴とする。
【0013】上記本発明に係るPDP用電極基板の製造
方法によれば、電極のパターンに応じて導電性インキ組
成物のパターンを印刷形成すればよいことから、フォト
リソ法を用いる場合のような電極材料の無駄がなく、製
造コストを大幅に低下させることができる。また、現像
等の工程を必要としないために廃液の排出が全くなく、
環境への影響や廃液処理に要するコストを考慮する必要
がない。
【0014】さらに、凹版オフセット印刷法は、フォト
リソ法に比べて装置の構造が簡単であり、比較的安価で
あることから、製造コストを低下させるという観点から
も極めて有利である。しかも、従来、PDPの電極に要
求される極めて微細な電極パターンを高い精度でもって
印刷法により形成することは困難であると考えられてい
たにも拘わらず、上記本発明の製造方法によれば、印刷
に使用する印刷ブランケットと導電性インキ組成物に用
いられる溶剤との組み合わせを適宜調整することによっ
て、PDPに要求されるレベルの電極パターンの形成を
実現することができる。
【0015】本発明に係るプラズマディスプレイパネル
用電極の製造方法において、凹版オフセット印刷に使用
する印刷ブランケットには、導電性パターンの印刷精
度、ひいては電極パターンの精度をより一層良好なもの
にするという観点から、表面ゴム層が硬度(JIS
A)20〜70°のシリコーンゴムからなり、かつその
表面の十点平均粗さ(Rz)が1μm以下であるものを
用いるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るプラズマディ
スプレイパネル用電極の製造方法およびプラズマディス
プレイパネル用基板について詳細に説明する。 〔導電性パターンの印刷方法〕従来、電極パターンの形
成方法として用いられているフォトリソ法はパターンの
解像度や精度面で非常に優れた方法である。しかし、P
DPは対角40インチを超えるような大型の表示素子を
前提として開発が進められており、この表示素子の大型
化に伴って、フォトリソ法では、露光装置や現像エッチ
ング装置の大型化が必要になるものの、かかる装置の大
型化はコスト面で極めて不利である。また、装置のラン
ニングコストが極めて高いため、現状のPDP製造に要
するコストを半減以下とすることは困難である。
【0017】そこで、本発明では、表示素子の大型化に
も対応可能で、パターンの形成を安価に行うことのでき
る方法として、印刷法を採用している。印刷法には種々
の方式があるが、このうちスクリーン印刷法について
は、パターンの線幅が100μmを下回るとパターン形
状の忠実な再現が不可能となったり、断線等を発生した
りする問題がある。また、原理上、スクリーンの中央部
分と周辺部分とでかかる力が異なり、伸び量に差異が生
じることから、同一の背面基板上でパターンの印刷精度
が異なるという結果を招き、電極に要求される印刷精度
(面内±10μm)を十分に満足することができない。
【0018】スクリーン印刷法以外の方式としてはオフ
セット印刷法が知られている。しかしながら、オフセッ
ト印刷法の1種である平版オフセット印刷法では、1回
の印刷で得られるパターンの膜厚が0.5μm程度にし
か過ぎないという問題がある。パターンの厚みがその後
の焼成工程で減少すること、さらには、それゆえ膜厚が
数μm程度の導電性パターンを印刷により形成する必要
があること、を考慮すると、平版オフセット印刷法では
数回から10回程度の重ね印刷を行わなければならな
い。その結果、生産性や印刷精度の著しい低下を招き、
製造コストが上昇するという結果をも招く。
【0019】一方、近年、平版を用いたオフセット印刷
法ではあるものの、これを改良したものとして、転写体
の非画線部分にシリコーンゴムを用いた水無し平版〔例
えば、東レ(株)製の商品名「TAN」〕による印刷が
広く用いられつつある。しかし、水無し平版による印刷
も通常の平版による印刷と同様に、1回の印刷で得られ
るパターンの膜厚みが0.5μm程度に過ぎず、重ね印
刷に伴う生産性や印刷精度の低下、さらには製造コスト
の上昇といった問題を有している。
【0020】また、凸版オフセット印刷法も1回の印刷
により得られるインキ膜の厚みが薄いために、上記と同
様の問題がある。なお、凸版印刷法ではパターンの周辺
にマージナルゾーンと呼ばれるインキのはみ出し部分を
生じることから、パターンを忠実に再現することが極め
て困難である。これに対し、凹版オフセット印刷法で
は、凹版に設けられる凹部の深さを変えることによって
パターンの膜厚を自由に制御することが可能である。ま
た、印刷ブランケット(転写体)の表面層にシリコーン
ゴムを用いることにより、凹版から印刷ブランケットに
転移したインキを100%基板に転写させることが可能
になる。従って、1回の印刷で十分に厚みのあるパター
ンを印刷形成することができる。しかも、インキの分断
が凹版から印刷ブランケットへの転移時における1回し
か起こらないことから、印刷されたパターンの形状が非
常に良好であって、線幅が約20μmの非常に微細なパ
ターンであっても、高い精度でもって再現することが可
能である。さらに、凹版は金属やガラスをフォトリソ法
でエッチングすることにより非常に形状の良好なものを
形成することができることから、表面が平滑でインキの
転移性の良好な印刷ブランケットと組み合わせることに
より、極めて微細でかつ高精度なパターンの印刷が可能
になる。とりわけ、表面層がシリコーンゴムからなる印
刷ブランケットを用いた凹版オフセット印刷法は、PD
P用電極の電極パターンを印刷するのに非常に好適であ
る。
【0021】凹版オフセット印刷法による導電性パター
ンの形成に要するコストと、続いて行われる焼成による
電極パターンの形成に要するコストとの和を1とする
と、フォトリソ法による電極パターンの形成に要するコ
ストは、通常3〜10である。従って、凹版オフセット
印刷法によるパターン形成を採用することで、微細かつ
高精度のパターン形成を極めて低いコストで実現するこ
とが可能となる。 〔凹版〕導電性パターンの印刷形成時に原版として使用
される凹版は、電極パターンに対応する凹部をその表面
に形成したものであって、平板状のものや、平板状のも
のを円筒状に巻き付けたもの、円筒状のもの、円柱状の
もの等が挙げられる。
【0022】上記凹版は、その表面の平滑性が極めて重
要である。凹版表面の平滑性が乏しいと、導電性インキ
組成物をドクターブレードによって凹部に充填する際に
凹版表面(凹部以外)の個所にインキのかき残りが発生
して、非画線部の汚れ(地汚れ)を招き、印刷精度を著
しく低下させる原因となってしまう。従って、極めて精
度の高いパターン印刷を行うには、表面の平滑性に優れ
た凹版を使用することが要求される。
【0023】凹版表面の平滑性の程度については、十点
平均粗さ(Rz)で表して1μm以下程度であるのが好
ましく、0.5μm以下程度であるのがより好ましい。
凹版の基板としては、例えばソーダライムガラス、ノン
アルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨
張ガラス等のガラス製基板;フッ素樹脂、ポリカーポネ
ート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ
エステル、ポリメタクリル樹脂等の樹脂板;ステンレ
ス、銅、ニッケル、低膨脹合金アンバー等の金属基板等
が挙げられる。中でも、ガラス製の基板は、表面の平滑
性が良好な凹版を最も安価に製造できる上、パターンの
エッジ形状を極めてシャープなものとすることができる
ことから、好適に用いられる。上記ガラス製凹版のう
ち、ノンアルカリガラスは極めて高度な寸法精度の要求
に対応し得る最も優れた材質の一つであるものの、非常
に高価である。通常のPDPに要求される寸法精度を達
成するのであれば、例えばソーダライムガラスで十分で
ある。
【0024】凹版の凹部は、フォトリソグラフ法、エッ
チング法もしくは電鋳法等により形成される。凹部の深
さは、前述のように、目的とする印刷パターンの厚みに
応じて適宜設定すればよいが、凹部内でのインキの残存
(通常、凹部の深さに対して約半分量のインキが残存す
る)や、溶剤の蒸発による印刷後の厚みの減少等を考慮
すると、およそ1〜50μm程度、特に3〜20μm程
度とするのが好ましい。
【0025】〔印刷ブランケット(転写体)〕導電性パ
ターンの印刷形成時に転写体として使用される印刷ブラ
ンケットとしては、凹版から受け取ったインキを100
%背面基板上に転写することができ、それゆえ1回の印
刷で十分な膜厚の導電性パターンを形成し得るものであ
ることが望まれる。印刷ブランケットの表面層には、後
述する導電性インキ組成物の溶剤に23℃(常温)で2
4時間浸漬したときの体積増加率(すなわち、かかる溶
剤に対するいわゆる膨潤度)が20%以下、好ましくは
10%以下であることが要求される。
【0026】上記体積増加率が20%を超えると、印刷
ブランケット表面の濡れ性の変化が大きくなって、安定
した印刷を行うことができなくなる。具体的には、後述
するように、パターンの線幅が広がるなどの問題が生じ
る。さらにこの場合には、印刷ブランケットから背面基
板に導電性インキ組成物を転写する際の表面層の変形が
大きくなり過ぎることから、上記の理由と相俟って、パ
ターンの印刷形成を高い精度でもって行うことができな
くなる。
【0027】なお、シリコーンゴムの表面張力は一般に
18〜22dyn/cmであって、溶剤の表面張力は溶
剤の種類によって変動するものの、概ね30〜45dy
n/cmである。従って、シリコーンゴム(表面層)に
溶剤が浸透し、膨潤することによって、シリコーンゴム
(表面層)の表面張力は増加する。すなわち、表面濡れ
性が増加して印刷されたパターンの線幅が広がったり、
凹版表面の微小な汚れまでも転写してしまったり、背面
基板へのインキの転移性が低下したりするといった問題
が生じる。
【0028】上記表面層に浸透した導電性インキ組成物
の溶剤は、表面層を加熱することにより、蒸発させるこ
とができる。これにより、溶剤の浸透に伴って変化した
表面状態を元の状態に戻すことができる。溶剤の蒸発・
乾燥の程度は、表面層の厚みや加熱温度、使用する溶剤
の沸点等に応じて変化するものであるが、通常、40〜
200℃に加熱することにより、十分に蒸発・乾燥させ
ることができる。表面層の加熱・乾燥は、印刷ブランケ
ット胴に取り付けられた状態で印刷ブランケットを直接
に加熱するのが最も効果的であるが、かかる方法に限定
されるものではなく、例えば印刷ブランケットの外部か
ら熱風を吹き付けて乾燥させてもよい。印刷工程中に常
時行ってもよく、印刷工程後に定期的にもしくは不定期
に行ってもよい。
【0029】本発明に用いられる印刷ブランケットの表
面層は、その表面のインキ離型性を示す指標である表面
エネルギーの値が15〜30dyn/cmであるのが好
ましく、18〜25dyn/cmであるのがより好まし
い。かかる印刷ブランケットとしては、例えばその表面
層がシリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム、または
これらの混合物で形成されたものが挙げられる。中で
も、表面層がシリコーンゴムからなる印刷ブランケット
は、インキ離型性が極めて優れており、凹版から転写さ
れたインキをほぼ100%転写することができるため、
好適である。
【0030】シリコーンゴムとしては加熱硬化型(HT
V)、室温硬化型(RTV)等の種々のシリコーンゴム
が挙げられるが、特に室温硬化型の付加型シリコーンゴ
ムは硬化の際に副生成物を全く発生せず、寸法精度にお
いて優れているので、好適に使用される。かかるシリコ
ーンゴムの具体例としては、ジメチルシリコーンゴム、
メチルフェニルシリコーンゴム、トリフルオロプロピル
メチルシリコーンゴム等が挙げられる。
【0031】上記シリコーンゴム等で形成される表面層
の硬さは、印刷精度等を考慮すると、日本工業規格JI
S K 6301に規定されたスプリング式硬さ(JI
SA)で表して20〜70°程度、特に30〜60°程
度であるのが好ましい。表面層の硬さが上記範囲を超え
ると(印刷ブランケットが硬過ぎると)、印刷ブランケ
ットを凹版に圧接しても上記表面層が凹部内に十分に圧
入されず、その結果、凹部内に充填した導電性インキ組
成物を十分に転写させることができなくなり、精度の高
い印刷を行えなくなるおそれがある。逆に、表面層の硬
さが上記範囲を下回ると(印刷ブランケットが柔らか過
ぎると)、印刷ブランケットを凹版やガラス基板に圧接
した際に表面層の変形が大きくなり過ぎて、精度の高い
印刷を行えなくなるおそれがある。
【0032】印刷ブランケットの表面は、印刷精度等を
考慮すると、極めて平滑であって、その表面の凹凸等が
印刷に影響を及ぼさないものであることが好ましい。具
体的には、その表面の十点平均粗さ(Rz)が1.0μ
m以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのが
より好ましい。印刷ブランケットの厚みは特に限定され
るものではないが、1.5mmを超えるとゴムの変形が
大きくなり、パターンの印刷精度に悪影響を及ぼすおそ
れがあるため、好ましくない。
【0033】表面層の下層には他の弾性部材等を形成し
て2層以上の印刷ブランケットとすることができるが、
この場合であっても、表面層には少なくとも1μm以上
の厚みが必要である。表面層の厚みが前記範囲を下回る
と、ピンホール等が発生して印刷精度を低下させるおそ
れがある。表面層の下層に設けられる弾性部材としては
特に限定されないが、一般にアクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)、アクリルゴム、フッ素ゴム、クロ
ロプレンゴム、ポリ塩化ビニルクロライド(PVC)等
が挙げられる。
【0034】印刷ブランケットの形状は、いわゆる印刷
ブランケット状(シート状)のものであって円筒状の胴
に巻き付ける等して使用するものであるほか、ローラ状
のものであってもよく、あるいは印刷ずれの生じないも
のであればパット印刷等に用いられる曲面状の弾性体等
であってもよい。 〔導電性インキ組成物〕本発明に用いられる導電性イン
キ組成物は、前述のように、金属粉末と樹脂バインダと
を溶剤中に分散または溶解させてなるペースト状のもの
である。
【0035】(金属粉末)導電性インキ組成物を構成す
る金属粉末としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、ア
ルミニウム、鉄等が挙げられる。これらの金属粉末はそ
れぞれ1種を単独で使用するほか、2種以上を併用する
こともできる。また、メッキ複合体(例えば銀メッキ
銅)や合金体として使用することもできる。上記例示の
金属粉末の中では、導電性、コスト、耐酸化性(絶縁性
の高い酸化物を生成しにくい特性)等の観点から、銀粉
末が最も好適である。
【0036】金属粉末の平均粒径は、導電性インキ組成
物の印刷適性等を考慮すると、0.05〜20μm程度
であるのが好ましく、0.1〜10μm程度であるのが
より好ましい。金属粉末の形状は特に限定されるもので
はないが、粉末の接触面積を大きくして、低抵抗化を可
能にするという観点から、球状よりも鱗片状であるのが
より好ましい。金属粉末の充填を最密化させるために
は、鱗片状のものを球状のものと混合させて用いること
も有効である。
【0037】導電性インキ組成物中での金属粉末の充填
密度は、導電性パターンを焼成して電極パターンとした
ときの体積変化を極力少なく抑え、かつ、焼成後の電極
パターンにおける金属粉末の含有割合をできる限り多く
するという観点から、導電性インキ組成物の印刷適性を
十分に維持することのできる範囲内であれば、より高く
することが望まれる。金属粉末の導電性インキ組成物へ
の添加量は、特に限定されるものではないが、当該導電
性インキ組成物の総量に対して60〜95重量%程度で
あるのが好ましく、80〜90重量%程度であるのがよ
り好ましい。金属粉末の添加量が上記範囲を下回ると、
焼成後の金属粉末の充填密度が上がらず、導電性パター
ンの抵抗が下がらないといった問題が生じる。逆に、金
属粉末の添加量が上記範囲を超えると、金属粉末同士を
結合させるバインダ樹脂の結合力が弱まって、導電性イ
ンキ組成物の印刷適性を低下してしまい、印刷形状の悪
化や印刷ブランケットからガラス基板への転移性の低下
を招くおそれがある。
【0038】(バインダ樹脂)導電性インキ組成物を構
成するバインダ樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬
化性樹脂、熱可塑性樹脂等の種々の樹脂がいずれも使用
可能である。熱硬化性のバインダ樹脂としては、例えば
ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ
−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱
硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性のバ
インダ樹脂としては、例えばアクリル樹脂等が挙げられ
る。熱可塑性のバインダ樹脂としては、例えばポリエス
テル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹
脂、アクリル樹脂等が挙げられる。上記例示の樹脂はそ
れぞれ1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して
用いることもできる。
【0039】上記例示の樹脂の中でも、特に300℃以
上の高温で焼成すると完全に炭酸ガス(CO2 )と水
(H2 O)とに分解する樹脂が好適に用いられる。かか
る樹脂としては、例えば熱可塑性のポリビニルブチラー
ル樹脂、セルロース樹脂(エチルセルロース)、アクリ
ル樹脂等が挙げられる。バインダ樹脂の導電性インキ組
成物への添加量は、当該導電性インキ組成物の総量に対
する百分率で表して0.5〜50重量%程度であるのが
好ましく、1〜30重量%程度であるのがより好まし
い。バインダ樹脂の添加量が上記範囲を下回ると、金属
粉末同士を結合させるバインダ樹脂の結合力が弱まっ
て、導電性インキ組成物の印刷適性(パターンの印刷形
状や印刷ブランケット等からのインキの転移性)を低下
させるおそれが生じる。逆に、バインダ樹脂の添加量が
上記範囲を超えると、焼成後の電極パターンの電気抵抗
が下がらなくなるといった問題が生じる。
【0040】(溶剤)導電性インキ組成物を構成する溶
剤は、凹版オフセット印刷での印刷適性を支配する重要
な因子である。とりわけ、印刷中にはインキの溶剤が常
に印刷ブランケットの表面層と接触するため、当該表面
層は溶剤によって膨潤し、その表面の濡れ特性が変化す
る。一般に、インキの溶剤による膨潤の程度が少ない場
合には、印刷ブランケットの表面の濡れ性に変化が少な
く、その結果、安定した印刷が可能となる。
【0041】従って、導電性インキ組成物の溶剤は、導
電性パターンの印刷に用いられる印刷ブランケットの表
面層の種類に応じて適宜設定される。本発明において、
導電性インキ組成物に用いられる溶剤は、具体的には、
印刷ブランケットの表面層を構成するゴムを導電性イン
キ組成物の溶剤に常温(23℃)で24時間浸漬したと
きの体積の増加率(膨潤度)が20%以下、好ましくは
10%以下であることが要求される。
【0042】導電性インキ組成物に用いられる溶剤とし
ては、上記条件を満たすほかは特に限定されるものでは
ないが、例えば沸点については150℃以上であるもの
が好ましい。溶剤の沸点が150℃を下回ると、印刷時
にガラス基板上等で乾燥しやすくなって、印刷特性が変
化するおそれがある。また、導電性インキ組成物が経時
変化を起こし易くなるおそれもある。かかる溶剤の具体
例としては、例えばアルコール類〔ヘキサノール、オク
タノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、
ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ベ
ンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコ
ール、シクロヘキサノール、テルピネオール等〕や、ア
ルキルエーテル類〔エチレングリコールモノブチルエー
テル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、
セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、
力ルピトールアセテート、ブチルカルビトールアセテー
ト等〕が挙げられ、この中から1種または2種以上が、
印刷適性や作業性等を考慮して適宜、選択される。
【0043】溶剤として高級アルコールを使用する場合
は、インキ組成物の乾燥性や流動性が低下するおそれが
あるため、これらよりも乾燥性が良好なブチルカルビト
ール、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチル
セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート
等を併用すればよい。溶剤の添加量は、導電性インキ組
成物の粘度が50〜2000ポアズ(P)程度となるよ
うに、好ましくは200〜1000P程度となるように
調整するのが好ましい。導電性インキ組成物の粘度が上
記範囲を下回るか、あるいは逆に上回った場合には、そ
のいずれにおいても、導電性インキ組成物の印刷適性が
低下して、微細なパターンを形成できなくなるおそれが
あるからである。
【0044】導電性インキ組成物は、上記の各成分を配
合し、十分に攪拌混合した後、混練することによって調
製される。 〔ガラス基板〕上記導電性インキ組成物による印刷パタ
ーンを形成するガラス基板としては、例えばソーダライ
ムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカ
リガラス、低膨張ガラス等が挙げられる。
【0045】また、上記ガラス基板には、パターンを高
温で焼成する工程に供することを考慮して、歪み点(温
度)の高いガラスを用いるのがより好ましい。具体的に
は、歪み点が500℃以上であるのが好ましく、それゆ
え、上記例示のガラスの中でも特に高歪点ガラス(低ア
ルカリガラス)を用いるのが好ましい。前記高歪点ガラ
スの具体例としては、例えば旭硝子(株)製の品番「P
D200」、日本電気硝子(株)製の品番「PP8C」
等が挙げられる。
【0046】基板の厚みは、基板の耐熱性に応じて適宜
設定されるものであって、特に限定されるものではない
が、1〜10mmの範囲で適宜、厚みが設定される。 〔導電性パターン〕導電インキ組成物を印刷してなる導
電性パターンの線幅や厚みは、PDPの画素のサイズ等
に応じて、かつ、焼成によって減少する分を考慮しつつ
設定するものである。従って、特に限定されるものでは
ないが、一般に、背面基板の場合には、その線幅が40
〜100μmとなるように、好ましくは50〜70μm
となるように設定される。また、パターンの厚みは、通
常、3〜30μmとなるように、好ましくは5〜20μ
mとなるように設定される。
【0047】一方、前面基板の場合、本発明の方法によ
り形成される前面電極(バス電極)のパターンには、前
述の背面電極に形成されるアドレス電極に比べてより一
層の細さ、微細さが求められており、具体的には、その
線幅が20〜70μmとなるように、好ましくは30〜
50μmとなるように設定される。また、パターンの厚
みは、通常、3〜30μmとなるように、好ましくは5
〜20μmとなるように設定される。
【0048】〔導電性パターンの焼成〕背面基板上に印
刷形成された導電性パターンは、さらに450〜650
℃に、好ましくは500〜600℃に加熱され、焼成さ
れる。かかる焼成により、導電性インキ組成物中の溶剤
が蒸発し、さらにバインダ樹脂が熱分解により消失す
る。こうして、導電性パターンのパターン形状に応じ
て、金属からなる電極パターンを得ることができる。
【0049】焼成後のパターン、すなわち電極パターン
の線幅は、前面基板の場合、20〜70μm、好ましく
は30〜50μmとなるように設定される。一方、背面
電極の場合、40〜100μm、好ましくは50〜70
μmとなるように設定される。線幅が前記範囲を下回る
と断線が発生しやすく、電極パターンの導電性も十分で
なくなるおそれがある。線幅が前記範囲を超えると、P
DPの微細な画素パターンに電極のパターンを適合させ
ることができなくなるおそれがある。
【0050】焼成後のパターン、すなわち電極パターン
の厚みは、通常3〜15μm、好ましくは5〜10μm
となるように設定される。パターンの厚みが前記範囲を
下回ると断線が発生しやすく、電極パターンの導電性も
十分でなくなるおそれがある。逆に、パターンの厚みが
前記範囲を超えると、電極材料が無駄となって材料コス
トの上昇を招いたり、電極パターン表面の平坦性が低下
する問題を招くおそれがある。
【0051】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 実施例1 銀粉末を含有する導電性インキ組成物を凹版オフセット
印刷法で印刷し、得られた導電性パターンを焼成するこ
とによって、プラズマディスプレイパネルの背面板(対
角42インチのガラス基板)に背面電極のパターンを形
成した。
【0052】印刷により形成するパターンの設計値は、
線幅が80μm、膜厚(未焼成)で10μmであった。
凹版にはガラス製のものを使用し、印刷ブランケットに
は、ゴム硬度(JIS A)が40で、表面の十点平均
粗さが0.1μmであるシリコーンゴム(常温硬化型−
付加型ジメチルシリコーンゴム、信越化学工業(株)製
の商品名「KE1600」)を表面層(厚さ300μ
m)として備えたものを使用した。
【0053】導電性インキ組成物には、バインダ樹脂と
してのエチルセルロース樹脂100重量部と、金属粉末
としてのフレーク状銀粉末(平均粒径5μm)800重
量部と、ガラスフリット(平均粒径5μm)20重量部
とを、溶剤としての酢酸ブチルカルビトール(BCA)
50重量部に加え、3本ロールにて混合、分散させたも
のを用いた。上記導電性インキ組成物において溶剤とし
て用いられているBCAに、上記印刷ブランケットの表
面層として用いられる上記シリコーンゴムを、常温(2
3℃)で24時間浸漬させたときの、当該シリコーンゴ
ムの体積変化率(膨潤率)は12%であった。
【0054】上記各部材を用いて導電性パターンの印刷
を行ったところ、印刷ブランケット上に転移したインキ
は完全にガラス基板上に転移し、形状が非常に良好で、
膜厚も安定した導電性パターンを形成することができ
た。連続印刷性も良好であった。こうして得られた導電
性パターンを550℃で1時間焼成させて、樹脂を完全
に分解させることにより、銀電極を形成した。
【0055】焼成後の電極パターンは、導電性パターン
と比べてほとんど形状の変化もなく、その線幅、膜厚、
電気抵抗のいずれも安定したものを得ることができた。
電極パターンの膜厚は5μmであった。また、電極パタ
ーンはその精度が極めて良好であって、42インチ面内
で±10μm以内の精度を確保することができた。これ
はPDPパネルを実装する上で全く問題のないレベルで
あった。実施例1で使用した印刷ブランケットは、導電
性インキ組成物の溶剤に対する膨潤度が小さいため、連
続印刷を行ったときであっても印刷品質やパターンの線
幅の変化を小さく抑えることができた。具体的には、印
刷初期に線幅100μmであったパターンが10000
回の繰り返し印刷後には110μmであって、線幅の増
加率はPDPに要求される精度の点からも十分に低いも
のであった。
【0056】上記実施例1によれば、電極材料の使用量
を抑制することができ、廃液等の発生もなく、印刷設備
等電極パターンの形成に要する設備が安価であるため、
低いコストでPDP用の背面電極板を製造することがで
きた。 実施例2 導電性インキ組成物の溶剤として、BCAに代えてブチ
ルカルビトール(BC)を用いたほかは、実施例1と同
じ条件にて導電性インキ組成物の作成と、導電性パター
ンおよび電極パターンの形成とを行った。
【0057】前記溶剤(BC)に、印刷ブランケットの
表面層として使用する前述のシリコーンゴムを常温(2
3℃)で24時間浸漬させたときの、当該シリコーンゴ
ムの体積変化率(膨潤率)は5%であった。導電性イン
キ組成物として上記のものを用い、その他の部材として
は実施例1と同様のものを用いて印刷を行ったところ、
印刷ブランケットの膨潤度が実施例1よりもさらに小さ
いため、連続印刷を行っても印刷品質やパターンの線幅
の変化をより一層小さく抑えることができた。具体的に
は、印刷初期に線幅100μmであったパターンが10
000回の繰り返し印刷後には105μmであった。
【0058】実施例2で得られた電極パターンは、導電
性パターンと比べてほとんど形状の変化もなく、実施例
1と同様に、その線幅、膜厚、電気抵抗のいずれも安定
したものを得ることができた。電極パターンの膜厚は5
μmであった。電極パターンはその精度が極めて良好で
あって、42インチ面内で±10μm以内の精度を確保
することができた。また、上記実施例2によれば、電極
材料の使用量を抑制することができ、廃液等の発生もな
く、印刷設備等電極パターンの形成に要する設備が安価
であるため、低いコストでPDP用の背面電極板を製造
することができた。
【0059】実施例3 導電性インキ組成物のバインダ樹脂として、エチルセル
ロース樹脂に代えてアクリル樹脂を用いたほかは、実施
例1と同じ条件にて導電性インキ組成物の作成と、導電
性パターンおよび電極パターンの形成とを行った。実施
例3で使用した印刷ブランケットは、導電性インキ組成
物の溶剤に対する膨潤度が小さいため、連続印刷を行っ
たときであっても印刷品質やパターンの線幅の変化を小
さく抑えることができた。具体的には、印刷初期に線幅
100μmであったパターンが10000回の繰り返し
印刷後には110μmであって、線幅の増加率はPDP
に要求される精度の点からも十分に低いものであった。
【0060】実施例3で得られた電極パターンは、導電
性パターンと比べてほとんど形状の変化もなく、実施例
1と同様に、その線幅、膜厚、電気抵抗のいずれも安定
したものを得ることができた。電極パターンの膜厚は5
μmであった。電極パターンはその精度が極めて良好で
あって、42インチ面内で±10μm以内の精度を確保
することができた。また、上記実施例3によれば、電極
材料の使用量を抑制することができ、廃液等の発生もな
く、印刷設備等電極パターンの形成に要する設備が安価
であるため、低いコストでPDP用の背面電極板を製造
することができた。
【0061】比較例1 導電性インキ組成物の溶剤として、酢酸ブチルカルビト
ール(BCA)に代えてテルピネオールを用いたほか
は、実施例1と同じ条件にて導電性インキ組成物の作成
と、導電性パターンおよび電極パターンの形成とを行っ
た。前記溶剤(テルピネオール)に、印刷ブランケット
の表面層として使用する前述のシリコーンゴムを常温
(23℃)で24時間浸漬させたときの、当該シリコー
ンゴムの体積変化率(膨潤率)は25%であった。
【0062】比較例1で使用した溶剤は、印刷ブランケ
ットを膨潤させる度合いが大きいため、連続印刷を行う
ことによって印刷品質の低下(特に、パターンの線幅の
増加)が顕著となった。具体的には、印刷初期に線幅1
00μmであったパターンが1000回の繰り返し印刷
後には120μmとなった。この結果は、PDPに要求
されるパターン精度の面からも不十分であり、印刷ブラ
ンケットの耐刷力の面からも不十分であった。
【0063】比較例2 スクリーン印刷法によって、プラズマディスプレイの背
面板(対角42インチ)の全面に感光性銀ペーストイン
キ(デュポン社の商品名「フォーデル」)を膜厚10μ
mとなるように均一に塗布した。次いで、露光・現像に
より、ストライプ上の電極パターンを形成し、550℃
で1時間焼成して銀電極を形成した。
【0064】電極パターンは実施例1と同じく、線幅8
0μm、線間隔360μmとなるように試作した。電極
としての性能は実施例1とほぼ同等であって、良好であ
ったものの、銀電極の現像時に多量の廃液が発生し、さ
らにフォトリソグラフィー法による工程(露光、現像、
乾燥)が加わることから、成功コストが実施例1に比べ
て5〜10倍程度かかった。
【0065】比較例3 プラズマディスプレイの背面板(対角42インチ)に、
実施例1で使用したものと同じ導電性インキ組成物を用
いて線幅80μm線間隔360μmの導電性パターンを
スクリーン印刷法によって形成した。実施例1と同様に
廃液の発生がなく、印刷によるパターン形成に要するコ
ストも極めて低かったものの、印刷精度が極めて低く、
42インチ面内で±50μm程度の精度しか得られなか
った。このため、PDPに実装すると電極の位置ずれが
発生し、実用化には不十分であった。
【0066】上記実施例より明らかなように、本発明の
PDP用電極基板の製造方法によれば、PDPの背面電
極や前面電極に求められる微細なパターンを高い精度で
もって、しかも安価に製造することができる。また、上
記実施例により得られた背面電極板は、同様の製造方法
により製造される前面電極とともに、高精度のプラズマ
ディスプレイパネルとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイ(PDP)の背面基板の
一例を示す図であって、(a) は斜視図、(b) は平面図、
(c) は断面図である。
【符号の説明】
10 背面電極(データ電極) 11 背面基板(リア基板)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 BB02 CC14 CC42 DD15 EE03 5C027 AA01 5C040 FA01 GB02 GB12 GB16 GC05 JA12 MA02 MA24 MA26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に、導電性インキ組成物から
    なるパターンのバインダ樹脂分を焼成、除去してなる電
    極パターンを備えており、 前記導電性インキ組成物からなるパターンが、導電性イ
    ンキ組成物を凹版オフセット印刷によって前記ガラス基
    板上に印刷形成してなるものであって、 前記導電性インキ組成物が、金属粉末とバインダ樹脂と
    を溶剤に分散または溶解させてなるものであって、か
    つ、 前記導電性パターンの印刷に用いる印刷ブランケット
    が、その表面に、前記導電性インキ組成物の溶剤中に2
    3℃で24時間浸漬させたときの体積増加率が20%以
    下であるゴムからなる層を備えてなるものであるプラズ
    マディスプレイパネル用電極基板。
  2. 【請求項2】前記印刷ブランケットの表面の層は、硬度
    (JIS A)20〜70°のシリコーンゴムからな
    り、かつ表面の十点平均粗さ(Rz)が1μm以下であ
    る請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用電極基
    板。
  3. 【請求項3】金属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散ま
    たは溶解させてなる導電性インキ組成物を凹版の凹部に
    充填した後、 前記導電性インキ組成物の溶剤中に23℃で24時間浸
    漬したときの体積増加率が20%以下であるゴムを表面
    層として備えた印刷ブランケットに、前記凹版の凹部か
    ら前記導電性インキ組成物を転移させ、さらに、 当該導電性インキ組成物を前記印刷ブランケットの表面
    からガラス基板の表面に転写させて、次いで、 ガラス基板の表面に形成された導電性インキ組成物から
    なるパターンを焼成して、当該パターンのバインダ樹脂
    分を除去することを特徴とするプラズマディスプレイパ
    ネル用電極基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記印刷ブランケットの表面層は、硬度
    (JIS A)20〜70°のシリコーンゴムからな
    り、かつ表面の十点平均粗さ(Rz)が1μm以下であ
    る請求項3記載のプラズマディスプレイパネル用電極基
    板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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