JP2008049614A - 電鋳用基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細パターンの剥がれが生じにくい電鋳用基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】電鋳マスター3は、電気鋳造法により上面に微細金型23を形成するための電鋳用基板であって、基体2と、パターン体1とを備えている。基体2はアクリルよりなっている。パターン体1は、熱硬化性樹脂よりなり、基体2の表面にて基体2と一体化し、かつ微細金型23に転写するための微細パターン1aが形成された上面を有している。
【選択図】図7
【解決手段】電鋳マスター3は、電気鋳造法により上面に微細金型23を形成するための電鋳用基板であって、基体2と、パターン体1とを備えている。基体2はアクリルよりなっている。パターン体1は、熱硬化性樹脂よりなり、基体2の表面にて基体2と一体化し、かつ微細金型23に転写するための微細パターン1aが形成された上面を有している。
【選択図】図7
Description
本発明は、電鋳用基板およびその製造方法に関し、特に、電気鋳造法により微細パターンを有する電鋳体を製造するための電鋳用基板およびその製造方法に関するものである。
従来から、微細パターンを有する電鋳用基板を用いた電気鋳造(以下、「電鋳」と称する)法により、微細パターンを有する電鋳体を製造する方法が知られている。図9〜図16は、従来の電鋳用基板の製造方法およびその電鋳用基板を用いた電鋳方法を工程順に示す概略断面図である。
図9を参照して、表面に微細パターン111aを有する原器111の表面上に、紫外線で硬化する樹脂、いわゆる2P(Photo-Polymer)樹脂101が載置される。図10を参照して、樹脂101がポリカーボネート(PC)製の基板102により原器111側へ加圧され、その状態で紫外線を照射される。これにより、樹脂101には微細パターン111aが転写された微細パターン101aが形成され、かつ樹脂101は硬化して基板102に密着する。図11を参照して、原器111と基板102とが離型される。図12を参照して、上記により、微細パターン101aを有する樹脂101と基板102とからなる樹脂マスター(電鋳用基板)103が製造される。
図13を参照して、樹脂マスター103の外周部が切断される。図14を参照して、切断された樹脂マスター103が電鋳土台131に接着剤132などで貼り付けられる。また外周部には枠体133が電鋳土台131に接着剤132などで貼り付けられており、樹脂マスター103と枠体133との隙間は充填材134により埋め込まれる。図15を参照して、樹脂マスター101と枠体133との表面を覆うように、スパッタリングによりニッケル(Ni)導電膜121が形成される。このニッケル導電膜121上に電鋳法によりニッケル電鋳膜122が形成される。このニッケル導電膜121とニッケル電鋳膜122とにより微細金型123が形成される。微細金型123の表面には、樹脂マスター101の微細パターン101aを転写された微細パターン123aが形成される。図16を参照して、微細金型123が離型され、微細パターン123aを有する微細金型123が製造される。
電鋳により金型(スタンパ)を形成する方法は、たとえば特開2005−283814号公報、特開平7−44902号公報に開示されている。
特開2005−283814号公報
特開平7−44902号公報
しかし、従来の樹脂マスター(電鋳基板)103では、樹脂101と基板102との密着が弱い。このため、図11に示す工程で樹脂マスター103を原器111から離型する際に、図17に示すように樹脂101よりなる微細パターン101aが原器111に貼り付き、基板102から剥がれる場合があった。
また図16に示す工程で樹脂マスター103から微細金型123を離型する際に、図18に示すように樹脂101よりなる微細パターン101aが微細金型123に貼り付き、基板102から剥がれる場合もあった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、微細パターンの剥がれが生じにくい電鋳用基板およびその製造方法を提供することである。
本発明の電鋳用基板は、電気鋳造法により上面に電鋳体を形成するための電鋳用基板であって、基体と、パターン体とを備えている。基体はアクリルよりなっている。パターン体は、熱硬化性樹脂よりなり、基体の表面にて基体と一体化し、かつ電鋳体に転写するための微細パターンが形成された上面を有している。
本発明の電鋳用基板によれば、基体にアクリルを用い、かつパターン体に熱硬化性樹脂を用いたことにより、微細パターンを有するパターン体と基体とを一体化することができる。これにより、パターン体が基体から剥がれ難くなる。
本発明の電鋳用基板の製造方法は、微細パターンを有する原器の表面に熱硬化性樹脂を載置する工程と、アクリルよりなる基体により熱硬化性樹脂を原器側へ加熱しながら加圧することで、原器の微細パターンを熱硬化性樹脂に転写させるとともに、熱硬化性樹脂をアクリルよりなる基体と一体化させる工程と、一体化した基体と熱硬化性樹脂よりなるパターン体とを原器から離型する工程とを備えている。
本発明の電鋳用基板の製造方法によれば、基体にアクリルを用い、かつパターン体に熱硬化性樹脂を用いたことにより、微細パターンを有するパターン体と基体とを一体化することができる。これにより、パターン体が基体から剥がれ難くなる。よって、一体化した基体およびパターン体を原器から離型する際、および一体化した基体およびパターン体から電鋳体を離型する際にパターン体が基体から剥がれることを防止することができる。
上記の電鋳用基板の製造方法において好ましくは、熱硬化性樹脂とアクリルよりなる基体とを一体化させる工程における加熱温度は140℃以上150℃以下であり、加圧力は10MPa以上30MPa以下である。
これにより、熱硬化性樹脂とアクリルよりなる基体とを一体化させることができる。
上記の電鋳用基板の製造方法において好ましくは、原器が原器土台の凹部にセットされた状態で、原器の表面に熱硬化性樹脂が載置される。
上記の電鋳用基板の製造方法において好ましくは、原器が原器土台の凹部にセットされた状態で、原器の表面に熱硬化性樹脂が載置される。
このように原器が原器土台の凹部にセットされることで、大きな電鋳用基板の製造に対応することが可能となる。これにより、電鋳用基板を電鋳土台に載置することなく、そのまま電鋳に用いることができる。このため、従来例のように、電鋳用基板の外周を切断し、電鋳土台に貼り合わせ、隙間を埋めるなどの人手による作業が不要となる。よって、人手作業によって微細パターン部分に欠陥が生じたり、不良が生じたりすることが防止できる。
以上説明したように本発明によれば、微細パターンを有するパターン体と基体とを一体化することができるため、パターン体が基体から剥がれることを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施の形態における電鋳基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図1を参照して、原器土台12の凹部に原器11がセットされる。この原器11の表面には微細パターン11aが形成されている。微細パターン11aは、ナノオーダー(つまり1μm未満)の寸法(深さ、幅)を有しており、たとえば複数の円錐形状の溝を有している。なお微細パターン11aの形状は、この形状に限定されず、他の形状であってもよい。
図1〜図4は、本発明の一実施の形態における電鋳基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図1を参照して、原器土台12の凹部に原器11がセットされる。この原器11の表面には微細パターン11aが形成されている。微細パターン11aは、ナノオーダー(つまり1μm未満)の寸法(深さ、幅)を有しており、たとえば複数の円錐形状の溝を有している。なお微細パターン11aの形状は、この形状に限定されず、他の形状であってもよい。
この原器11の微細パターン11a上に、熱硬化性樹脂1が載置される。この熱硬化性樹脂1の材質は、たとえばメチルメタクリレート25部と、ネオペンチグリコールジメタクリレート25部と、架橋PMMA(ポリメチルメタクリル酸)粒子(商品名:スミペックスXC−1A)と、ラジカル重合開始剤とからなる混合物である。また、この熱硬化性樹脂1の材質は、メタクリル系樹脂であってもよく、また加熱により硬化する性質を有する樹脂であってもよい。
図2を参照して、アクリルよりなるアクリル電鋳土台(基体)2が熱硬化性樹脂1上に載置され、このアクリル電鋳土台2により熱硬化性樹脂1が原器11側へ加熱されながら加圧される。この際の加熱温度は140℃以上150℃以下であってもよく、また加圧力は10MPa以上30MPa以下であってもよい。
アクリル電鋳土台2の材質は、たとえばメタクリル系樹脂であるがこれに限定されるものではなく、アクリル樹脂であればよい。
図3を参照して、上記の加熱・加圧により、原器11の微細パターン11aが熱硬化性樹脂1に転写されるとともに、熱硬化性樹脂1がアクリル電鋳土台2とプレス重合接着により一体化する。これにより、熱硬化性樹脂1とアクリル電鋳土台2とからなり、かつ熱硬化性樹脂1の表面に微細パターン1aを有する電鋳マスター(電鋳用基板)3が形成される。
図4を参照して、電鋳マスター3が、原器11および原器土台12から離型される。これにより、電鋳マスター3が製造される。
次に、上記のように製造された電鋳マスター3を用いて電鋳法により微細金型(電鋳体)を製造する方法について説明する。
図5および図6は上記の電鋳マスターを用いて微細金型を製造する方法を工程順に示す概略断面図である。図5を参照して、電鋳マスター3の微細パターン1aが形成された表面を覆うように、スパッタリングによりたとえばニッケルよりなる導電膜21が形成される。この導電膜21上に電鋳法により、たとえばニッケルよりなる電鋳膜22が形成される。この導電膜21と電鋳膜22とにより、微細金型23が形成される。この微細金型23の表面には、微細パターン1aを転写された微細パターン23aが形成される。
図6を参照して、微細金型23が電鋳マスター3から離型され、微細パターン23aを有する微細金型23が製造される。
次に、上記において製造された電鋳マスターの構成について説明する。
図7は、本発明の一実施の形態における電鋳マスターの構成を示す概略断面図である。図7を参照して、電鋳マスター3は、図5および図6に示すように電鋳法により上面に微細金型(電鋳体)を形成するための電鋳用基板であって、基体2と、パターン体1とを有している。基体2はアクリルよりなっている。パターン体1は、熱硬化性樹脂よりなり、基体2の表面にて基体2と一体化し、かつ微細金型(電鋳体)に転写するための微細パターン1aが形成された上面を有している。
図7は、本発明の一実施の形態における電鋳マスターの構成を示す概略断面図である。図7を参照して、電鋳マスター3は、図5および図6に示すように電鋳法により上面に微細金型(電鋳体)を形成するための電鋳用基板であって、基体2と、パターン体1とを有している。基体2はアクリルよりなっている。パターン体1は、熱硬化性樹脂よりなり、基体2の表面にて基体2と一体化し、かつ微細金型(電鋳体)に転写するための微細パターン1aが形成された上面を有している。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、基体2にアクリルを用い、かつパターン体1に熱硬化性樹脂を用いたことにより、微細パターン1aを有するパターン体1と基体2とを一体化することができる。これにより、パターン体1が基体2から剥がれ難くなる。よって、図4に示す工程で原器11から離型する際および図6に示す工程で微細金型(電鋳体)23を電鋳マスター3から離型する際に、パターン体1が基体2から剥がれることを防止することができる。
本実施の形態によれば、基体2にアクリルを用い、かつパターン体1に熱硬化性樹脂を用いたことにより、微細パターン1aを有するパターン体1と基体2とを一体化することができる。これにより、パターン体1が基体2から剥がれ難くなる。よって、図4に示す工程で原器11から離型する際および図6に示す工程で微細金型(電鋳体)23を電鋳マスター3から離型する際に、パターン体1が基体2から剥がれることを防止することができる。
また本実施の形態では、図1に示すように、微細パターン11aを有する原器11が原器土台12の凹部にセットされた状態で、原器11の表面に熱硬化性樹脂1が載置される。このように原器11が原器土台12にセットされることで、大きな電鋳用基板3の製造に対応することが可能となる。これにより、従来例のような電鋳土台を用いることなく、図5に示すように電鋳用基板3をそのまま電鋳に用いることができる。このため、従来例のように、電鋳用基板の外周を切断し(図13)、電鋳土台に貼り合わせ(図14)、隙間を埋める(図14)などの人手による作業が不要となる。よって、人手作業によって微細パターン部分に欠陥が生じたり、不良が生じたりすることが防止できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
本願発明者は、上記の方法により作成した電鋳用基板の断面の写真を撮影した。なお、基体2にはPMMA基板を用いた。また熱硬化性樹脂1の材質には、メチルメタクリレート25部と、ネオペンチグリコールジメタクリレート25部と、架橋PMMA(ポリメチルメタクリル酸)粒子(商品名:スミペックスXC−1A)と、ラジカル重合開始剤とからなる混合物を用いた。
本願発明者は、上記の方法により作成した電鋳用基板の断面の写真を撮影した。なお、基体2にはPMMA基板を用いた。また熱硬化性樹脂1の材質には、メチルメタクリレート25部と、ネオペンチグリコールジメタクリレート25部と、架橋PMMA(ポリメチルメタクリル酸)粒子(商品名:スミペックスXC−1A)と、ラジカル重合開始剤とからなる混合物を用いた。
上記の断面写真を図8に示す。図8を参照して、熱硬化性樹脂1と基体2とが一体化していることが確認できた。また熱硬化性樹脂1と基体2との界面も確認できた。
また本願発明者は、上記の方法により作成した電鋳用基板について剥離試験を行なった。剥離試験に用いた電鋳用基板のサンプルにおける熱硬化性樹脂の厚みを7mmとし、PMMA板の厚みを2mmとした。このサンプルの製造における図2の工程の加圧、加熱の条件を以下の表1に示す。
剥離試験では、作成したサンプルにカッターで格子状に傷を入れた後、その上からセロファンテープを貼り、次いで勢い良く剥がすという方法で、基体と熱硬化性樹脂との界面で剥離が発生するか否かを検証した。その検証の結果を表1に合わせて示す。
上記表1の結果から、本発明例のサンプル1〜3では剥がれが発生しないことを確認した。一方、従来の手法でポリカーボネート(PC)基板に紫外線で硬化する樹脂を形成した樹脂マスターでは、PC基板と樹脂との密着があまりよくないため、PC基板と樹脂との界面で剥がれが生じた。
これらのことから本発明例のサンプルでは、熱硬化性樹脂1と基体2とが一体化していることにより、従来例よりも剥がれが生じにくくなっていることが分かった。
また加圧時の温度が140℃以上150以下であり、圧力が10MPa以上30MPa以下であり、加圧時間が5分以上10分以下であることが、熱硬化性樹脂1と基体2とを一体化させるとともに熱硬化性樹脂1に微細パターンを転写するうえで好ましいことがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、電気鋳造法により微細パターンを有する電鋳体を形成するための電鋳用基板およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
1 熱硬化性樹脂(パターン体)、1a 微細パターン、2 アクリル電鋳土台(基体)、3 電鋳マスター( 電鋳用基板)、11 原器、11a 微細パターン、12 原器土台、21 導電膜、22 電鋳膜、23 微細金型、23a 微細パターン。
Claims (4)
- 電気鋳造法により上面に電鋳体を製造するための電鋳用基板であって、
アクリルよりなる基体と、
熱硬化性樹脂よりなり、前記基体の表面にて前記基体と一体化し、かつ前記電鋳体に転写するための微細パターンが形成された前記上面を有するパターン体とを備えた、電鋳用基板。 - 微細パターンを有する原器の表面に熱硬化性樹脂を載置する工程と、
アクリルよりなる基体により前記熱硬化性樹脂を前記原器側へ加熱しながら加圧することで、前記原器の微細パターンを前記熱硬化性樹脂に転写させるとともに、前記熱硬化性樹脂をアクリルよりなる基体と一体化させる工程と、
一体化した前記基体と前記熱硬化性樹脂よりなるパターン体とを前記原器から離型する工程とを備えた、電鋳用基板の製造方法。 - 前記熱硬化性樹脂とアクリルよりなる基体とを一体化させる工程における加熱温度は140℃以上150℃以下であり、加圧力は10MPa以上30MPa以下であることを特徴とする、請求項2に記載の電鋳用基板の製造方法。
- 前記原器が原器土台の凹部にセットされた状態で、前記原器の表面に前記熱硬化性樹脂が載置されることを特徴とする、請求項2または3に記載の電鋳用基板の製造方法。
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JP2006229468A JP2008049614A (ja) | 2006-08-25 | 2006-08-25 | 電鋳用基板およびその製造方法 |
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Cited By (1)
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WO2014068613A1 (ja) | 2012-10-30 | 2014-05-08 | 株式会社Leap | コイル素子の製造方法 |
-
2006
- 2006-08-25 JP JP2006229468A patent/JP2008049614A/ja not_active Withdrawn
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