JP2008049511A - 吐出検査装置、吐出検査方法、および検査プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】実際に画像が印刷されるまでの時間を短縮したり、吐出検査によるインクの消費を抑制したりすることができる吐出検査装置、吐出検査方法、および検査プログラムを提供する。
【解決手段】記録ヘッド30を第1の電極とし、当該記録ヘッド30から第2の電極に対して記録液33が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッド30からの前記記録液33の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部を備え、前記電圧印加部は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体25を第2の電極として所定の電圧を印加する。
【選択図】図4
【解決手段】記録ヘッド30を第1の電極とし、当該記録ヘッド30から第2の電極に対して記録液33が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッド30からの前記記録液33の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部を備え、前記電圧印加部は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体25を第2の電極として所定の電圧を印加する。
【選択図】図4
Description
本発明は、記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる第1の電極と第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、記録ヘッドからの記録液の吐出の有無を検査する吐出検査技術に関する。
記録ヘッドに設けられたノズルから記録液の一つとしてのインクを吐出して、記録媒体の一つとしての印刷用紙に画像などを印刷するインクジェット記録装置では、ノズルからインクが吐出されないと画像が正しく印刷されないことになる。従って、ノズルから確実にインクが吐出されるか否かを検査する技術が従来から提案され、例えば、帯電したインク滴による電極間の電解強度の変化を検出する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、このような帯電したインク滴を利用する検査技術の一つとして、記録媒体が記録ヘッドと第2の電極との間にある状態で行うことで、記録媒体への有効なインク滴の付与を行い、記録と同時にインク滴の有無を検知する技術が開示されている(特許文献2参照)。
特許文献1に開示された帯電したインク滴による電極間の電解強度の変化を検出する技術を用いて、ノズルからのインク滴の吐出の有無を検査する場合は、インク滴の吐出によって電極間に発生する電圧の変化を正しく検出するために、検出用の電極を形成した検査ボックスなどを設ける。そして、記録ヘッドをこの検出用の電極を形成した検査ボックスに移動することによってノズル検査を行うことになる。従って、このような帯電したインク滴を利用する従来の技術を用いてノズルからの記録液の吐出検査を行う場合、常に記録ヘッドを検査ボックスに移動して検査するため、吐出検査が行われている間は、画像を印刷することができない。そのため、吐出検査後に画像の印刷前にノズルの吐出検査が行われるような場合、実際に画像が印刷されるまでには、吐出検査に要する時間に相当する時間分待たなければならないという課題がある。
また、吐出検査を行うためにインク滴を吐出させることから、本来画像の印刷に使用すべきインクが、吐出検査によって消費されてしまい、印刷できる印刷媒体の枚数が少なくなってしまうという課題もある。
このような課題を解決する一つの技術として、特許文献2に開示された技術のように、記録媒体にインク滴を吐出することによって吐出検査を行えば、インク滴を有効に使用することができる。また、吐出検査と画像の印刷をほぼ同時に行うことも可能となり、実際に画像が印刷されるまでの時間を短縮することができる。
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、このように記録媒体に対して帯電したインク滴を吐出すると、インク滴に帯電している電荷が、記録媒体へのインク滴着弾の都度蓄積されることになる。そのため、多くのインク滴が記録媒体に飛翔着弾することで電荷の蓄積量が多くなると、記録媒体と記録ヘッドとの電位差が減少し、ついにはインク滴が吐出しても記録ヘッドから電荷が奪われず、電極間電圧が変化しなくなってしまうことになる。この結果、吐出検査が出来なくなるという課題がある。
本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決することで、実際に画像が印刷されるまでの時間を短縮したり、吐出検査によるインクの消費を抑制したりすることができる吐出検査装置、吐出検査方法、および検査プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の第1の発明は、記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部を備え、前記電圧印加部は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体を第2の電極として所定の電圧を印加することを特徴とする。
この構成によれば、第1の電極としての記録ヘッドから吐出された記録液によって奪われた第1の電極に帯電した電荷は、記録液が第2の電極としての記録媒体に着弾することによって、第2の電極に帯電した電荷と中和される。この結果、第1の電極に帯電する電荷と同じ電荷が記録媒体上に蓄積されないことから、記録液の吐出のたびに第1の電極から継続して電荷が奪われ、電極間電圧が変化する。従って、記録媒体に対して記録液を吐出することによって吐出検査を行うことができると同時に、吐出した記録液によって画像を印刷することができる。また、実際に画像が印刷されるまで待つ時間は基本的に殆ど無く、加えて、記録液も吐出検査と画像の印刷を兼用するので、吐出検査のために消費する記録液を抑制することも可能となる。
さらに、第1の発明の吐出検査装置は、前記記録媒体と電気的に接続された導電性部材を備え、前記電圧印加部は、前記導電性部材を介して、前記第2の電極に前記所定の電圧を印加することとしてもよい。
第2の電極となる記録媒体として、例えばガラス基板や印刷用紙などのように、導電性を殆ど有しない材料で形成された媒体が用いられる場合、記録媒体と直接電気的な接続を行うことは困難となる。そこで、導電性部材を記録媒体と接触する状態で備え、この導電性部材に電圧を印加することで、接触部を介して記録媒体に所定の電圧を印加することができる。この結果、記録媒体を第2の電極として機能させることが可能となる。
さらに、第1の発明の吐出検査装置は、前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、前記導電性部材は、前記搬送部を構成する構成部材のうちの少なくとも1つの部材であることとしてもよい。
記録媒体が搬送される場合、記録媒体を搬送する搬送部は、例えば紙送り機構など、記録媒体と接触する複数の部材によって構成されている。そこで、これらの構成部材のうちの少なくとも一つの部材を、導電性を有する部材にする。こうすれば、記録媒体が移動する場合であっても、搬送部の構成部材を介して記録媒体に所定の電圧を印加することができるので、記録媒体を第2の電極として用いることが可能となる。
さらに、前記導電性部材は、前記記録媒体に対して前記記録ヘッド側に位置する部材であることとしてもよい。
吐出した記録液によって記録媒体上に運ばれる電荷は、記録液が飛翔してくる方向の面にほぼ残留する。従って、搬送部を構成する構成部材のうち、記録ヘッド側に位置する部材を導電性にすれば、残留した電荷が中和されやすくなり、記録液の吐出時における電極間電圧の変化を安定して発生させることができる。この結果、吐出検査の検査精度が向上することが期待できる。
あるいは、本発明の第2の発明の吐出検査装置は、記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、前記記録液が飛翔着弾するように前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する記録媒体と、前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部とを備え、前記電圧印加部は、前記記録液の吐出検査中、前記記録媒体が前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する状態において、前記電極間電圧の電圧印加方向が少なくとも1回反転するように前記所定の電圧を印加することを特徴とする。
通常、電極間電圧は、帯電した記録液の吐出によって第1の電極から電荷が奪われることで変化する。その後、帯電した記録液が第2の電極に飛翔着弾することによって奪われた第1の電極の電荷が第2の電極の電荷で中和され、電極間電圧は元の状態に戻るので、以降継続して帯電した記録液を吐出しても同様な電極間電圧の変化が得られるのである。しかしながら、帯電した記録液が第2の電極と電気的に非接触状態にある記録媒体に着弾すると、記録液に帯電した電荷は中和されず、帯電した記録液の継続吐出によって、第1の電極と同じ電荷が記録媒体に蓄積され、ついには第1の電極と記録媒体とが同じ電位状態になってしまう。この状態では、記録液を吐出しても電荷が記録液とともに移動せず、電極間電圧は変化が少ないかあるいは変化しなくなってしまう。
そこで、第1の電極と第2の電極の電圧印加方向を少なくとも1回反転させると、第1の電極は第2の電極に対して逆の電位になるので、記録液に帯電する電荷は逆の極性を有する電荷になり、次に吐出される記録液に帯電した電荷は、それまで記録媒体に帯電した電荷によって中和されることになる。従って、第1の電極から帯電した記録液の吐出によって、電極間電圧の変化が得られるようになり、吐出検査が可能となるのである。このように電極間電圧の電圧印加方向を、吐出検査中に少なくとも1回反転させることによって、記録媒体に帯電した記録液を吐出させながら吐出検査を行うことが可能となる。この結果、例えば記録媒体の領域外に設けた第2の電極の位置に記録ヘッドを移動することなく、記録媒体への記録液の吐出によって吐出検査を行うことができるので、画像の印刷と同時に吐出検査を行うようにすれば、実際に画像が印刷されるまで待つ時間は基本的に殆ど無く、また、吐出検査のために消費する記録液を抑制することも可能となる。
さらに、第2の発明の吐出検査装置は、前記記録ヘッドを所定方向に往復移動させる記録ヘッド移動部を備え、前記電圧印加部は、前記記録ヘッドの往復移動の移動量に基づいて定められたタイミングで、前記電極間電圧の電圧印加方向が反転するように前記所定の電圧を印加することとしてもよい。
こうすれば、記録ヘッドの往復移動において、その移動量に基づいて定められたタイミングで、記録ヘッドから異なる極性を有する記録液が記録媒体に対して吐出されることになる。この結果、記録媒体には同じ極性の電荷が蓄積されにくくなるので、記録ヘッドから吐出される記録液は、記録ヘッドから常に電荷を奪って吐出される。従って、電荷が奪われることによって電極間電圧は変化することから、記録媒体に記録液を吐出させながら吐出検査を行うことが可能となるのである。
第1の発明を吐出検査方法として捉えることもできる。すなわち、記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、前記第2の電極は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体であることを特徴とする。
また、第2の発明を吐出検査方法として捉えることもできる。すなわち、記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、前記記録液が飛翔着弾するように前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する記録媒体を有し、前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加工程を備え、前記電圧印加工程は、前記記録液の吐出検査中、前記記録媒体が前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する状態において、前記電極間電圧の電圧印加方向が少なくとも1回反転するように前記所定の電圧を印加することを特徴とする。
本発明の吐出検査方法によれば、上述した本発明の吐出検査装置と同様の作用効果を得ることができる。なお、この吐出検査方法は、上述した種々の態様を有する吐出検査装置において実行してもよいし、他の態様を有する吐出検査装置において実行してもよい。
さらに、第2の発明の吐出検査方法の電圧印加工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムとしてもよい。
このプログラムが所定のオペレーションシステム上で実行されることによって、上述した吐出検査方法が実行され、同じく上述した本発明の吐出検査装置と同様の作用効果を得ることができる。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよいし、インターネットなどの伝送媒体を介してコンピュータに授受されるものでもよい。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1と図2を用いて説明する。図1は本発明の吐出検査装置が組み込まれたインクジェットプリンタ10の概略構造を示したものである。このインクジェットプリンタ10は、記録液としてのY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色インクが収納されたインクカートリッジ11〜14を装着したキャリッジ20が図面左右方向に移動し、一方記録媒体としての印刷媒体25が図面上下方向に移動するとき、キャリッジ20の図面下側に設けられた記録ヘッド30からインク滴を吐出して、プラテン80によって図面下側から支持された印刷媒体25に、所定の画像等を印刷するものである。
キャリッジ20は、キャリッジベルト41に固定され、キャリッジベルト41がキャリッジモータ40によって駆動されるのに伴って、フレーム17に固定されたガイド21に沿って往復移動する。このとき、キャリッジ20は、図示しないエンコーダによって位置決めされながら、印刷される画像の1画素分ずつ移動する。また印刷媒体25は、図示しない紙送りローラなどによって構成される搬送部により、図面上から下方向に搬送移動する。搬送部は、フレーム17に固定された駆動モータ26によって駆動される。
搬送部の構成を図2を用いて説明する。図2は、図1において、図面右横方向から見た時のキャリッジ20周辺の様子を示した模式図である。記録ヘッド30に対向する位置に設けられたプラテン80によって、図面下側から支えられた印刷媒体25は、矢印Fに示したように、図面右から左の方向に搬送される。この印刷媒体25を搬送する搬送部は、駆動ローラとなる紙送りローラ27、紙送りローラ27の回転に伴って従動する従動ローラ28、駆動ローラとなる排出ローラ70、排出ローラ70の回転に伴って従動するギザローラ71とを備えている。駆動ローラ27および排出ローラ70が駆動モータ26によって駆動され、印刷媒体25を搬送移動するものである。
また、各ローラは図面奥の方向に略円筒形状を有し、各ローラにはそれぞれ回転軸27c、28c、70c、71cが設けられ、それぞれの回転軸はフレーム17に対して直接支持されているか、もしくは別の部材を介在して間接的に支持され、それぞれ回転可能な状態に構成されている。
以上説明したように、キャリッジ20の往復移動(これを「主走査」とも呼ぶ)と、印刷媒体25の搬送移動(これを「副走査」とも呼ぶ)によって、記録ヘッド30に設けられ、各色インクを吐出するための複数のノズルから、印刷媒体25の所定の位置に、印刷される画像に相応した所定の色のインク滴が吐出されることによって画像が正しく印刷される。従って、インク滴が吐出されないと正しく画像を印刷することができないことになる。なお、キャリッジ20の往復移動のそれぞれ片方の移動について、印刷媒体25における印刷領域全範囲の移動を、以降1パスあるいは1パス走査とも呼ぶことにする。
図1に戻り、本実施形態でのインクジェットプリンタ10では、印刷ジョブの実行に際して、印刷される画像の印刷動作と同時に、記録ヘッド30に設けられた複数のノズルからインク滴が吐出するか否かを検査する吐出検査が行われる。そして、検査の結果、不吐出のノズルが有った場合は、印刷途中や印刷後、あるいは次の印刷ジョブ開始前といったような所定のタイミングで、インクジェットプリンタ10に設けられたクリーニングボックス18の位置にキャリッジ20を移動し、所定のクリーニング処置を行ってノズルをクリーニングする。
これらの動作についての主な制御は、フレーム17に取り付けられたメイン基板50に設けられた主制御回路50aと、キャリッジ20に取り付けられたサブ基板60に設けられた副制御回路60aとによって行われる。これらの基板は、フレキシブル基板45によって接続され、それぞれの基板間でデータがやり取りされることによって主制御回路と副制御回路とが連携動作することで制御回路として機能し、所定のインク滴の吐出検査を実施する。
主制御回路50aには、インクジェットプリンタ10の諸動作を制御するためのCPU51と、これらの動作に関するプログラムを記録したROM52と、動作に際して必要なデータを一時的に記憶したり読み出したりするためのRAM53と、副制御回路60aとの間でのデータのやり取りや、ユーザーのパソコンなど外部機器との情報のやり取りを行うためのインターフェイス(I/F)55とが備えられている。ノズルからの吐出検査のための処理ルーチンプログラムは、ROM52に記憶されている。また、吐出検査と同時に印刷される画像の印刷データはRAM53に格納されている。もとより、ノズルからの吐出検査のための処理ルーチンプログラムは、I/F55を介して外部より入力され、RAM53にダウンロードされるものとしてもよい。
一方、副制御回路60aには、吐出検査に関する所定の動作を実行するためのロジック回路などが構成されたASIC61が備えられている。従って、CPU51がROM52に記録された吐出検査プログラムを読み出し、ASIC61との間で種々の信号データを授受することによって、CPU51とASIC61は所定の動作を実行して、吐出検査を実施する。
吐出検査に関して、制御回路が行う制御動作を、図3を用いて説明する。吐出検査の開始に伴って、CPU51は、RAM53に格納された印刷データに基づいて、それぞれのモータドライバ26dと40dを介して、キャリッジモータ40と駆動モータ26を回転させ、キャリッジ20の主走査と印刷媒体25の副走査とを実施する。このとき、キャリッジ20の主走査位置と印刷媒体25の副走査位置に応じてインク滴を吐出すべきノズルを記録した印刷データ(例えばラスタデータ)から、吐出すべきノズルを取得し、そのノズルからインク滴を吐出させるべく、ヘッドドライバ30dを介して記録ヘッド30に設けられたノズル毎のインク滴吐出手段(図示せず)を駆動し、所定のインク滴を吐出させる。
また、CPU51は、これと同時に、メイン基板50またはサブ基板60などに設けられた電圧生成回路62を制御して、第1の電極としての記録ヘッド30と第2の電極とに、それぞれ生成した所定の電圧を印加し、記録ヘッド30と第2の電極との間に電極間電圧を発生させることによって電圧印加部として機能する。電圧生成回路62は、DC−DCコンバータなどの昇圧回路もしくは降圧回路によって所定の電圧を生成し、CPU51からの制御によって、スイッチング用のトランジスタや抵抗器などを介して所定の電圧が出力されるように構成されている。
また、ノズルからのインク滴の吐出に伴って生じる電極間電圧の変化を監視するべく、ASIC61に電極間電圧が入力されるように構成し、ノズルからインク滴が吐出されたときに生じる電圧変化を検知し、電圧変化があれば吐出すべきノズルについてインク滴の吐出が有ったと判定するのである。なお、インク滴吐出手段や電圧変化の検出方法などについては、本発明の趣旨とは異なることから、具体的な説明は省略する。
それでは、本実施形態のインクジェットプリンタ10に組み込まれた本発明の吐出検査装置について、第1の発明を第1実施例を用いて、第2の発明を第2実施例を用いて説明する。
(第1実施例)
図4は第1実施例を示したもので、印刷媒体25を第2の電極とした吐出検査装置の構成を示したものである。本実施例では、印刷媒体25は印刷紙などのように導電性を有しない材料もしくは殆ど導電性を有しない材料によって形成されたものとする。そこで、この印刷媒体25に対して記録ヘッド30側(図面上側)に位置するギザローラ71を導電性材料によって形成し、ギザローラ71の回転軸71cを介して印刷媒体25とフレーム17とを電気的に接続することで接地する。従って、フレーム17を基準電位(0ボルト=GND)とし、電圧生成回路62が生成した所定の電圧のうち、高い電圧Vhを第1の電極としての記録ヘッド30に印加し、低い電圧、つまり「0ボルト」をギザローラ71を介して第2の電極としての印刷媒体25に印加する。
図4は第1実施例を示したもので、印刷媒体25を第2の電極とした吐出検査装置の構成を示したものである。本実施例では、印刷媒体25は印刷紙などのように導電性を有しない材料もしくは殆ど導電性を有しない材料によって形成されたものとする。そこで、この印刷媒体25に対して記録ヘッド30側(図面上側)に位置するギザローラ71を導電性材料によって形成し、ギザローラ71の回転軸71cを介して印刷媒体25とフレーム17とを電気的に接続することで接地する。従って、フレーム17を基準電位(0ボルト=GND)とし、電圧生成回路62が生成した所定の電圧のうち、高い電圧Vhを第1の電極としての記録ヘッド30に印加し、低い電圧、つまり「0ボルト」をギザローラ71を介して第2の電極としての印刷媒体25に印加する。
このように構成すると、記録ヘッド30は図4に示したようにプラスに帯電する。そして、印刷媒体25は、フレーム17と電気的な接続状態となるためマイナスに帯電する。従って、記録ヘッド30から吐出されるインク滴33は、記録ヘッド30からプラス電荷を奪い去り、その後印刷媒体25表面に飛翔着弾すると、図示したように、奪われたプラス電荷はマイナス電荷と中和する。この過程において、奪われたプラス電荷を補充すべく抵抗64にプラス電荷が流れることによって電圧降下が生じ、この電圧降下に伴って発生する記録ヘッド30と印刷媒体25との間の電圧変化を検出することで、ノズルからのインク滴の吐出有無を判定することができる。
ところで、記録ヘッド30に印加される高い電圧Vhは、通常数十ボルトから100ボルト程度の電圧が印加される。従って、電極間電圧を監視するASIC61に、高い電圧が直接入力しないようにするべく、図4に示したようにコンデンサー等の容量結合素子65を介して、電圧の変化分が入力されるようにすることが好ましい。こうすれば、ASIC61において電圧降下の検出に際して、測定する電圧値を下げることができるので、ASIC61に必要となる耐電圧値が下がり、ASIC61の製造が容易となる。
一方、印刷媒体25では、図4に示したように、中和されたマイナス電荷を補うべく、フレーム17からギザローラ71を通してマイナス電荷が補充される。こうして、記録ヘッド30と印刷媒体25のそれぞれの電荷はもとの状態に戻るので、次のノズルについても、同じようにインク滴の吐出検査が可能となる。
本実施例では、ギザローラ71を導電性材料によって形成することによって導電性部材として用いることとした。ギザローラ71は、図示したように、印刷媒体25を確実に排出するために、印刷媒体25との係合が確保されるように突起物が周囲に形成されることが多い。そのためこの突起物の磨耗を抑えるために例えば金属製の材料を用いて突起物を形成することが好ましい。このような耐磨耗性の観点からも、ギザローラ71を金属製の材料、つまり導電性材料によって形成することとした。また、搬送部の構成において、駆動ローラを記録ヘッド30側に配置することが構造上困難な場合が多く、印刷媒体25に対して記録ヘッド30側の位置には、通常従動するローラが配置される。従って、従動ローラであるギザローラ71は、配置上からも印刷媒体の表面(図面上側)に位置するため、請求項に記載の導電性部材として用いることが好ましい。
もとより、ギザローラ71以外に、もう一つの従動ローラ28や排出ローラ70、紙送りローラ27を導電性材料で形成して導電性部材として用いることとしてもよい。また、これらの搬送部を構成する各ローラのうちの少なくとも1つを導電性材料で形成し、印刷媒体25と電気的な接触を行う導電性部材とすることで、印刷媒体25とフレーム17とが電気的な接続状態になるように構成するものとしてもよい。
上述したように、駆動ローラは印刷媒体25の裏面(図面下側)に位置するため、インク滴の飛翔とともに印刷媒体25の表面に移動した電荷が直ちには中和されにくくなり、中和までの時間を要することになるが、相当の時間経過後において中和されるので、印刷媒体25を第2の電極として利用して吐出検査を行うことが可能である。なお、各ローラのそれぞれについて、ローラ全体を導電性材料で形成する必要は無く、印刷媒体25とフレーム17との間で電気的な導通を達成するために必要な部分が、導電性材料で形成されていればよいことは言うまでもない。
なお、本実施例では、このように搬送部を構成する各ローラが印刷媒体と接触していることから、これらのうちの少なくとも1つを導電性部材とすることとして説明したが、搬送部以外に、印刷媒体と接触する部材がインクジェットプリンタに設けられている場合は、その部材を導電性部材とすればよい。あるいは、新たに印刷媒体と電気的に接触する導電性の接触端子(例えば金属製のバネ)を設けたり、印刷媒体の裏面に当接するプラテンを導電性部材としたりすることとしてもよい。もとより、印刷媒体そのものが導電性を有する材料で形成されている場合は、必ずしも導電性部材を設ける必要はなく、印刷媒体に直接電圧を印加することとしても差し支えない。
以上説明したように、第1実施例によれば、印刷媒体25を第2の電極とするので、吐出された記録液に帯電した電荷が印刷媒体25に着弾することによって中和され、印刷媒体25の表面に蓄積されないことから、吐出検査を行うと同時に、吐出したインク滴によって印刷媒体25に画像を印刷することができる。この結果、実際に画像が印刷されるまで待つ時間は基本的に殆ど無く、また、インク滴も吐出検査と画像の印刷とを兼用するので、吐出検査のために消費するインクの量を抑制することも可能となる。
(第2実施例)
第2実施例は、印刷媒体25が第1の電極と第2の電極との間に介在した状態で、吐出検査を行う吐出検査装置についての実施例である。これを、図を用いて順次説明する。
第2実施例は、印刷媒体25が第1の電極と第2の電極との間に介在した状態で、吐出検査を行う吐出検査装置についての実施例である。これを、図を用いて順次説明する。
本実施例では、第2の電極を、記録ヘッド30に対向する位置に存在するプラテン80に形成する。図5は、第2の電極をプラテン80に形成した様子を示したもので、図面中央部に示したプラテン80の断面図と、その下側に示したプラテン80の平面図とから解るように、プラテン80に設けられた凹部に、発泡形成された導電性を有する吸収部材81を挿入し、この吸収部材81を第2の電極としたものである。
吸収部材81は、記録ヘッド30から吐出飛翔したインク滴がミスト化して浮遊したとき、この浮遊したインク滴を吸収する目的を有しており、例えば、ポリエチレン又はポリウレタンにカーボン等の導電性材料を混入して発泡させたり、ポリエチレン等の発泡材に導電性材料をメッキしたりして形成されている。従って、この吸収部材81は、電極として利用できることから、本実施例では、この吸収部材81を第2の電極として用いるものである。もとより、プラテン80に金属板などの導電性部材を設けてこの導電性部材を第2の電極として用いてもよい。
なお、第2実施例において、プラテン80以外の吐出検査装置の構成は、図5に示したように第1実施例と基本的に同じである。もとより、ギザローラ71をはじめ搬送部を構成する紙送りローラ27、従動ローラ28、排出ローラ70については導電性材料で形成されていなくても差し支えない。
さて、このように構成された吐出検査装置において、第1実施例の如く、第1の電極としての記録ヘッド30に電圧Vhを印加し、第2の電極としての吸収部材81に接地電圧0ボルトを印加した状態を図6に示す。この場合、図示するように、記録ヘッド30から吐出されたインク滴33によって第1の電極から奪われたプラス電荷が、印刷媒体25の表面(図面上側)に移動する。その後、第1実施例では、前述したように、移動したプラス電荷はギザローラ71から供給されたマイナス電荷と中和して、電極間電圧が元の状態に復帰することになるが、図6に示した状態では、マイナス電荷は導電性を有しない印刷媒体25の裏面側に存在するため、殆ど中和されず、インク滴が継続吐出されるとプラス電荷が印刷媒体25の表面に蓄積されてしまう。この結果、印刷媒体25の表面に蓄積されたプラス電荷が多くなると、記録ヘッド30と印刷媒体25との電位差が減少し、インク滴が吐出しても電極間電圧の変化が殆ど生じない状態になるため、吐出検査が出来なくなってしまう。
そこで、第2実施例では、第1の電極および第2の電極に印加する電圧を、記録ヘッドの移動量に基づいて設定した所定のタイミングで変化させ、第1の電極と第2の電極との間における電圧印加方向を反転させる。こうすることによって、吐出するインク滴が奪う電荷の極性をプラスからマイナス、あるいはマイナスからプラスに反転し、印刷媒体25の表面に同一の極性の電荷を多く蓄積させないようにするのである。
図7は、電極間電圧の電圧印加方向を反転させるべく、第1の電極となる記録ヘッド30と、第2の電極となる吸収部材81とに、それぞれ印加する電圧を生成する電圧生成回路62の回路構成の一例を示したものである。
回路構成を説明する。制御信号SWとして、トランジスタをオンさせる所定のプラス電圧が出力され、トランジスタ91がオン状態となると、記録ヘッド30には、100Vの電圧に対して、抵抗64aの抵抗値と、抵抗64bの抵抗値とで分圧した電圧値が印加される。本実施例では、抵抗64bの抵抗値は抵抗64aの抵抗値に対して十分に小さい値とする。従って、記録ヘッド30に印加される電圧は、ほぼ接地電圧の「0V(ボルト)」となる。もとより、抵抗64aないし抵抗64bは、第1実施例における図4にて説明するように、インク滴の吐出によって記録ヘッド30から電荷が奪われたとき、この抵抗に奪われた電荷を補充する電荷が流れることによって、記録ヘッド30における電圧の変化を発生させる機能も有する。
一方、トランジスタ92のベースには、入力信号を電位反転して出力する反転アンプ90を介して、所定のプラス電圧が反転されたマイナス電圧が出力されるので、トランジスタ92はオフ状態となり、吸収部材81には、抵抗66を通して「+100V(ボルト)」の電圧が印加される。この結果、電極間電圧の電圧印加方向は、吸収部材81から記録ヘッド30への方向となる。
逆に、制御信号SWとしてトランジスタをオフさせる所定のマイナス電圧が出力され、トランジスタ91がオフ状態となると、記録ヘッド30には、抵抗64aを通して「100V」の電圧値が印加される。一方、トランジスタ92のベースには、反転アンプ90によって所定のマイナス電圧を反転したプラス電圧が出力されるので、トランジスタ92はオン状態となり、吸収部材81には接地電圧となる「0V」の電圧が印加される。この結果、電極間電圧の電圧印加方向は、記録ヘッド30から吸収部材81への方向となる。
このように、制御信号SWの出力に基づいて、トランジスタ91と92のオンオフを制御することによって、第1の電極と第2の電極との間の電圧印加方向を変更することが可能となる。そこで、制御回路は、このように回路構成された電圧生成回路62を制御して、印刷処理と同時に吐出検査処理を行うのである。
次に、制御回路が行う処理を、図9に示したタイミングチャートを随時参照しながら、図8の処理フローチャートを用いて説明する。この処理が開始されると、まず第1の電極としての記録ヘッド30と、第2の電極としてのプラテン80内の吸収部材81とに、それぞれ所定の電圧を印加する処理を行う(ステップS101)。図9に示したように、検査開始(時間軸T=0)に伴って、制御信号SWは、まずトランジスタ91(図7)をオフさせるマイナスの電圧「−Vb」を出力する。従って、記録ヘッド30には、「+100V」の電圧が印加される。一方、トランジスタ92(図7)のベースには、反転アンプ90によって、プラスの電圧「+Vb」が出力されることからオン状態となり、その結果吸収部材81には、接地電圧である「0V」の電圧が印加される。従って、第1の電極と第2の電極との間には、記録ヘッド30から吸収部材81への印加方向となる電圧100Vが印加されることになる。この結果、記録ヘッド30に帯電する電荷はプラス電荷となるため、インク滴の吐出に伴って奪われる電荷はプラス電荷になることから、ノズルからインク滴が吐出すると、電極間の電圧は減少することになる。
次に、ステップS103にて、印刷開始の処理を行う。この処理は、前述するように同時に検査処理でもある。そして、ステップS104にてキャリッジ20を1パス走査する処理を行う。CPU51は、RAM53に格納された印刷データに基づいて、モータドライバ40dを介して、キャリッジモータ40を所定量回転駆動させ、キャリッジ20の主走査を実施する。このとき、キャリッジ20の走査位置に応じてインク滴を吐出すべきノズルを、印刷データ(例えばラスタデータ)から取得する。
次に、取得したインク滴を吐出すべきノズル(以降、これを「検査対象ノズル」とも呼ぶ)から、インク滴が吐出したか否かを検査する吐出検査処理を行う(ステップS105)。CPU51は、ASIC61に入力された電極間電圧の減少量を、検査対象ノズル数に応じて予めROM52に設定された閾値と比較し、設定された閾値以上の変化があれば、検査対象ノズルについてノズルからインク滴の吐出有りと判定する。電極間電圧は、プリンタ外部からのノイズや前述したインク滴吐出手段の駆動などに起因して発生するノイズの影響で、電極間電圧が変動することがある。そこで、このノイズによる変動による誤判定を回避すべく閾値を設定するのである。
本実施例では、以降の説明において、説明を簡略化するためキャリッジ20の主走査1画素分において、インク滴を吐出すべきノズルつまり検査対象ノズルは1つであるものとして扱う。従って、閾値は1つのノズルからインク滴が吐出した場合に生ずる電圧の減少量に応じて設定された閾値TH1を用いて吐出の有無判定を行う。もとより、実際に印刷される印刷データは、キャリッジ20の主走査1画素分において、通常複数のノズルからインク滴が吐出されることが多い。従って、吐出されるノズル数に応じて閾値を設定しておき、インク滴が吐出されるべきノズル数に適応する閾値との比較を都度行って、吐出の有無判定が行われるのである。
また、本実施例では、キャリッジ20の往復走査のそれぞれにおいて、記録ヘッド30のノズルからインク滴を吐出して印刷を行うものとする。従って、吐出検査も、印刷と同時に行われることから、キャリッジ20の往復走査のそれぞれにおいて吐出検査が行われることになる。
次に、1パスの走査が終了すると、ステップS107にて、パス回数を記録処理する。CPU51はステップS107の処理が行われる毎に、RAM53の所定の記録領域にパス回数1回を加算することによってパス回数を記録する。
次に、ステップS109にて、印刷が終了か否かを判定処理する。CPU51は、印刷データに対応する総ての主走査回数(総パス回数)が行われたか否かを判定して印刷終了か否かを判定する。総パス回数分走査が行われた場合は、印刷終了と判定し(S109:YES)、印刷(吐出検査)処理は終了する。その後、搬送部によって印刷媒体25は排紙される。
総パス回数分の走査が行われていない場合は、印刷未終了と判定し(S109:NO)、次のステップS110にて、キャリッジ20のパス回数が所定のパス回数か否かを判定処理する。そして、所定のパス回数でない場合は(S110:NO)、印刷データに基づいて次の1パス走査に対応する画像を印刷すべく、印刷媒体25を搬送処理する(ステップS111)。そして、ステップS104に戻って、次の1パス走査についてキャリッジ20の走査以降の処理を再び繰り返して実行する。
ステップS110にて、所定のパス回数であると判定されると(YES)、ステップS112にて、電極間電圧の電圧印加方向を反転する処理を行う。CPU51は、制御信号SWの出力電圧を反転させ、図7にて説明したように記録ヘッド30に接地電圧である「0V」の電圧を、吸収部材81に「+100V」の電圧をそれぞれ印加することによって、電極間電圧の印加方向を反転させる。
本実施例ではパス回数2回毎に、電圧の印加方向を反転させるものとする。従って、ステップS110における判定処理では、所定のパス回数を2回として判定処理が行われるものとする。もとより、所定のパス回数は、吐出するインク滴によって生じる電圧の減少量が前述した閾値を超えない状態になる前に、電圧の印加方向を切り替えることができる回数に設定する。
所定のパス回数は予めROM52に記録され、CPU51によって適宜読み出されて使用される。なお、吐出するインク滴が奪う電荷の量は、記録ヘッドに設けられたインク滴吐出のためのノズル数や、吐出されるインク滴の大きさ、吐出されるインク滴の総数、あるいは、印加する電圧の電圧値などの検査条件に依存することが想定されることから、この所定のパス回数の値は、整数値に限らず、0.8パスとか1.5パスなどといった整数値以外の回数の値を含め、これらの検査条件に基づいて決定されるようにしても良い。もとより、ユーザーがPC等を用いてI/F55を介して所望する値を入力することとしてもよい。
次にステップS113では、ステップS107にて記録したパス回数をゼロにリセット処理し、次のパス以降の印刷処理つまり吐出検査処理を行うべく、ステップS114にて印刷媒体25を搬送処理した後、ステップS104に戻り、以降の処理を繰り返す。そして、総ての印刷データが印刷処理されると(ステップS109:YES)、本実施例における処理は終了する。
ここでインク滴吐出時の電極間電圧の電圧変化量について、図9を用いて補足説明する。図9に示したように、キャリッジモータドライバ40dの出力によって駆動モータが所定量正回転と逆回転し、キャリッジ20が2パス、つまり往走査と復走査の往復走査1回の走査が行われた後、制御信号SWが「−Vb」から「+Vb」に反転する。従って、記録ヘッド30に印加される電圧は「+100V」から「0V」に、吸収部材81に印加される電圧は「0V」から「+100V」にそれぞれ変化する。この結果、記録ヘッド30と吸収部材81との電極間の電圧印加方向は、吸収部材81側から記録ヘッド30側への方向となるので、記録ヘッド30はマイナス電荷が帯電することになり、従ってインク滴の帯電電荷はマイナスとなる。
ところで、電極間電圧の印加方向を反転する前の時間T=0からt1までの間は、記録ヘッドはプラス帯電しているので、インク滴の吐出に伴って記録ヘッド30からは常にプラス電荷が奪われ、奪われたプラス電荷は、印刷媒体25の記録ヘッド30側の表面に次第に蓄積される。この結果、印刷処理が進むにつれて、印刷媒体25の表面に蓄積されるプラスの電荷量が多くなるため、印刷媒体25と記録ヘッド30との間の電位差が漸次減少する。このため、吐出するインク滴が奪う電荷量は次第に少なくなり、ついには電荷を奪うことなくインク滴のみが吐出することにもなる。
このとき生じるインク滴吐出時の電極間電圧の電圧変化量△Vの様子を図9下側に示した。すなわち、印刷開始時は印刷媒体25の表面にはプラス電荷が蓄積されていないので、インク滴の吐出によって奪われる電荷量に従って所定の電圧変化量△Vとして値「−V1」ボルトの電圧減少が発生する。その後、キャリッジ20が主走査されて印刷処理が進むと、吐出されたインク滴の数に応じてプラス電荷が印刷媒体25の表面に蓄積され、上述したように吐出するインク滴が奪う電荷量は少なくなることから、図9に示しように、インク滴吐出時の電圧変化量△Vは次第に減少する。
そこで、電圧変化量△Vが、閾値TH1より大きい値|V2|ボルトが発生する状態(時間T=t1)のうちに、上述したように記録ヘッド30と吸収部材81との間の電圧印加方向を切り替え、インク滴の帯電電荷をプラスからマイナスに切り替える。すると、今度は、記録ヘッド30から吐出されるインク滴は、印刷媒体25の表面にそれまで蓄積されたプラス電荷を中和するように、インク滴の吐出毎に記録ヘッド30からマイナス電荷を奪って吐出する。従って、このときの電圧変化量△Vは、記録ヘッド30からのインク滴の吐出によってマイナス電荷が奪われることから、奪われる電荷量に従って今度は所定の電圧変化量△Vとして、値「+V3」ボルトの増加電圧が発生する。
その後、キャリッジ20が主走査されて印刷処理が進むと、吐出されたインク滴の数に応じて印刷媒体25の表面に蓄積されたプラス電荷が中和され、さらに、インク滴の吐出によってマイナス電荷が続けて奪われていくと、今度は印刷媒体25表面にマイナス電荷が蓄積される。この場合も、上述したように記録ヘッド30と印刷媒体25との間の電位差が減少していくので、吐出するインク滴が奪うマイナス電荷量は次第に少なくなることから、図9に示しように、インク滴吐出時の電圧変化量△Vは次第に減少する。
そこで、今度は、電圧変化量△Vが、閾値TH1より大きい値|V4|ボルトの増加電圧が発生する状態(時間T=t2)のうちに、上述したように記録ヘッド30と吸収部材81との間の電圧印加方向を再び切り替え、インク滴の帯電電荷をマイナスからプラスに切り替える。すると、今度は、記録ヘッド30から吐出されるインク滴は、印刷媒体25の表面にそれまで蓄積されたマイナス電荷を中和するように、記録ヘッド30からプラス電荷を奪って吐出する。従って、このときの電圧変化量△Vは、記録ヘッド30からのインク滴の吐出によってプラス電荷が奪われることから、奪われる電荷量に従って再び所定の電圧変化量△Vとして値「−V1」ボルトの減少電圧が発生することになる。
以上説明したように、第2実施例によれば、第1の電極となる記録ヘッド30と第2の電極となる吸収部材81とに印加する電圧を、所定のパス回数のタイミングで交番させて、電極間電圧の印加方向を反転させることによって、印刷媒体25の表面にインク滴を吐出させた場合でも、電極間電圧の電圧変化をインク滴の吐出に伴って確実に発生させることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間に印刷媒体25が介在する状態で、吐出検査を行うことができると同時に、吐出したインク滴によって画像を印刷することができる。この結果、実際に画像が印刷されるまで待つ時間は基本的に殆ど無く、また、インク滴も吐出検査と画像の印刷を兼用することになるので、吐出検査のために消費するインクの量を抑制することも可能となる。
上述したように、本発明のノズル検査装置を組み込んだ一実施形態としてのインクジェットプリンタ10において、第1実施例および第2実施例に示したノズル検査装置およびそのノズル検査方法によれば、吐出検査を行うと同時に、吐出したインク滴によって画像を印刷することができる。この結果、実際に画像が印刷されるまで待つ時間は基本的に殆ど無く、また、インク滴も吐出検査と画像の印刷を兼用するので、吐出検査のために消費するインク量を抑制することも可能となる。
以上、本発明について、具体的な実施の形態を実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
(第1変形例)
上記第2実施例では、図7にて説明したように、第1の電極と第2の電極とに印加する電圧を、それぞれ「0V」と「+100V」の間で交番して印加したが、第1変形例として、それぞれ「−100V」と「+100V」の間で交番することとしてもよい。こうすれば、第1の電極と第2の電極との間に200Vの大きな電圧差を発生させることができ、この大きな電圧差に応じてそれぞれの電極に帯電する電荷量を多くすることができる。この結果、インク滴の吐出に伴って奪われる電荷量も多くなることから、記録液の吐出時の電圧変化も大きくなり、吐出検査が容易となることが期待できる。
上記第2実施例では、図7にて説明したように、第1の電極と第2の電極とに印加する電圧を、それぞれ「0V」と「+100V」の間で交番して印加したが、第1変形例として、それぞれ「−100V」と「+100V」の間で交番することとしてもよい。こうすれば、第1の電極と第2の電極との間に200Vの大きな電圧差を発生させることができ、この大きな電圧差に応じてそれぞれの電極に帯電する電荷量を多くすることができる。この結果、インク滴の吐出に伴って奪われる電荷量も多くなることから、記録液の吐出時の電圧変化も大きくなり、吐出検査が容易となることが期待できる。
また、第1変形例では、第1の電極と第2の電極の間に介在する印刷媒体の電位は、その中間電位になる確率が高いと想定されることから、ほぼ接地電位の「0V」近辺で推移すると考えられる。このような場合は、印刷媒体に帯電する電荷量が少ないので、例えば印刷媒体と搬送部を構成する構成部材との間で、帯電した電荷に起因した静電吸着が生じにくく、印刷媒体が円滑に搬送されるという効果が期待できる。
(第2変形例)
上記第2実施例では、図7にて説明したように、第1の電極と第2の電極とに印加する電圧を、それぞれ「0V」と「+100V」の間で交番して印加したが、第2変形例として、第1電極への印加電圧は交番せず常に接地電圧「0V」とし、第2電極のみ印加電圧を交番することとしてもよい。
上記第2実施例では、図7にて説明したように、第1の電極と第2の電極とに印加する電圧を、それぞれ「0V」と「+100V」の間で交番して印加したが、第2変形例として、第1電極への印加電圧は交番せず常に接地電圧「0V」とし、第2電極のみ印加電圧を交番することとしてもよい。
第2実施例のように記録ヘッド30に電圧を交番して印加した場合、「+100V」の電圧が印加されたときは、記録ヘッド30はフレーム17に対して高電圧の状態となる。このとき、印加された高電圧が、記録ヘッド30内に設けられているインク滴の吐出手段の吐出動作や、キャリッジ20に設けられているサブ基板60の副制御回路などの回路動作に影響しないように対策を行う必要が生じることがある。一方、吸収部材81が設けられているプラテン80周辺は、印刷媒体25を搬送する搬送部などの構成部分が比較的多く回路部品が少ないため、大きい電位差を有する電圧を印加しても、印刷動作に影響を与える確率は極めて低いといえる。このような理由から、第1変形例は、第2電極となる吸収部材81に印加する電圧を交番するものである。
本変形例では、第2の電極に印加する印加電圧を、「+100V」と「−100V」との間で交番することとし、具体的な電圧の印加方法を、図10を用いて説明する。図10は、電極間電圧の電圧印加方向を反転させるべく、第1の電極となる記録ヘッド30と、第2の電極となる吸収部材81とに、それぞれ所定の電圧を印加する電圧生成回路62の回路構成の一例を示したものである。
回路構成を説明する。第1の電極である記録ヘッド30は、抵抗64cを介して接地電圧「0V」が常に印加される。抵抗64cは、記録ヘッド30のノズルからインク滴の吐出に伴って電荷が奪われたとき、この奪われた電荷を補充すべくこの抵抗64cを電荷が流れることによって電圧変化を生じさせるためのものである。また前述したように、生じた電圧の変化分は容量結合素子65を介してASIC61に入力される。
一方、第2の電極となる吸収部材81には、次のように印加電圧が交番して印加される。まず制御信号SWとして、トランジスタ93又は94をオンさせる所定のプラス電圧が出力されると、トランジスタ93がオン状態となる一方、トランジスタ94のベースには、反転アンプ90によって反転されたマイナス電圧が出力されるので、トランジスタ94はオフ状態となり、吸収部材81には、抵抗67によって接地電位に対する電位差「+100V」の電圧が印加される。この結果、第1の電極と第2の電極との間には100Vの電圧が印加され、電圧の印加方向は、吸収部材81から記録ヘッド30への方向となるので、記録ヘッド30はマイナス電荷が帯電する。
逆に、制御信号SWとして、トランジスタ93又は94をオンさせる所定のプラス電圧を反転したマイナス電圧が出力されると、トランジスタ93がオフ状態となる一方、トランジスタ94のベースには、反転アンプ90によって反転されたプラス電圧が出力されるので、トランジスタ94はオン状態となる。この結果、吸収部材81には、抵抗67によって接地電圧に対する電位差「−100V」の電圧が印加される。従って、第1の電極と第2の電極との間には同じく100Vの電圧が印加されるが、電圧の印加方向は、逆に記録ヘッド30から吸収部材81への方向となるので、今度は記録ヘッド30はプラス電荷が帯電する。
このように、制御信号SWの出力に基づいて、トランジスタ93と94のオンオフを制御することによって、第1の電極と第2の電極との間の電圧の印加方向を変更することが可能となる。そこで、電極間の電圧印加方向を図8に示した第2実施例のように切り替えれば、吐出するインク滴が奪う電荷をプラス電荷とマイナス電荷に切り替えることになるので、第2実施例と同様、印刷媒体25の表面に同じ極性の電荷を多く蓄積させてしまうことを抑制することができる。従って、本変形例においても、印刷媒体25の表面にインク滴を吐出させた場合、インク滴の吐出に伴って電極間電圧の電圧変化を確実に発生させることができる。この結果、第1の電極と第2の電極との間に印刷媒体25が介在する状態で吐出検査を行うことができると同時に、吐出したインク滴によって画像を印刷することが可能となる。
(第3変形例)
上記実施例では、印刷データに基づいて吐出検査と印刷画像の印刷処理とを同時に行うこととしたが、印刷画像の印刷データを実際に印刷する処理と同時に吐出検査を行う場合、前述したようにキャリッジ20の主走査1画素分において、インク滴を吐出すべきノズル、つまり検査対象ノズルは複数である場合が多い。このような場合、複数のノズル全体について吐出有無の判定を行うことは可能であるが、複数のノズルのうち個々のノズルについて吐出有無を判定することは困難であった。そこで、第3変形例として、印刷媒体への印刷処理において、印刷データを用いるのではなく、吐出検査用の印刷データを生成し、生成した吐出検査用の印刷データを用いて印刷媒体へインク滴を吐出して吐出検査を行うこととしてもよい。こうすれば、画像の印刷処理と同時に吐出検査を行うことはできないが、印刷媒体にインク滴を吐出して吐出検査を行うことができる。従って、印刷媒体の領域以外に設けられた吐出検査位置にキャリッジ20を移動して吐出検査を行う必要がなく移動時間を短縮できることから、吐出検査時間を短くすることができる。
上記実施例では、印刷データに基づいて吐出検査と印刷画像の印刷処理とを同時に行うこととしたが、印刷画像の印刷データを実際に印刷する処理と同時に吐出検査を行う場合、前述したようにキャリッジ20の主走査1画素分において、インク滴を吐出すべきノズル、つまり検査対象ノズルは複数である場合が多い。このような場合、複数のノズル全体について吐出有無の判定を行うことは可能であるが、複数のノズルのうち個々のノズルについて吐出有無を判定することは困難であった。そこで、第3変形例として、印刷媒体への印刷処理において、印刷データを用いるのではなく、吐出検査用の印刷データを生成し、生成した吐出検査用の印刷データを用いて印刷媒体へインク滴を吐出して吐出検査を行うこととしてもよい。こうすれば、画像の印刷処理と同時に吐出検査を行うことはできないが、印刷媒体にインク滴を吐出して吐出検査を行うことができる。従って、印刷媒体の領域以外に設けられた吐出検査位置にキャリッジ20を移動して吐出検査を行う必要がなく移動時間を短縮できることから、吐出検査時間を短くすることができる。
吐出検査用印刷データは、例えば、インク滴が吐出されるべきノズルを個々に特定できるように、異なる1つのノズルから順次インク滴を吐出して形成する印刷画像の印刷データとして生成もよい。生成したデータは、RAM53もしくはROM52に吐出検査用印刷データとして格納しておく。そして、CPU51はこの格納された吐出検査用印刷データを読み出し印刷を実行することによって、特定された個々の検査対象ノズルについて吐出検査を行うことができるのである。
もとより、吐出検査用印刷データは、異なる1つのノズルから順次インク滴を吐出する印刷データに限るものではなく、吐出検査の検査内容に合わせて、同時に吐出すべきノズルの数が設定されているものでもあってもよい。例えば同時に3つのノズルを特定して吐出検査を行うような吐出検査内容であれば、異なる3つのノズルから順次インク滴を吐出する印刷データとすればよい。
また、吐出検査用印刷データは、印刷媒体25において、印刷データが印刷される場所以外に印刷されるように生成することが好ましい。例えば、印刷データにヘッダーまたはフッターのデータが存在しない場合は、ヘッダーまたはフッターの位置に対して吐出検査用印刷データを生成するとよい。こうすれば、印刷データによって印刷される画像に影響を与えることなく、印刷媒体25にインク滴を吐出させることによって吐出検査を行うことができる。
(第4変形例)
あるいは、第3変形例では、印刷媒体への印刷処理において、印刷データを用いず吐出検査用の印刷データを生成し、生成した吐出検査用の印刷データを用いて吐出検査を行うこととしたが、吐出検査用印刷データは印刷データを用いて生成することとしてもよい。例えば、印刷データが主走査1画素分において同時に複数のノズルからインク滴を吐出するデータであった場合、同時に複数のノズルからインク滴を吐出させるのではなく、ノズル1つずつから順次インク滴を吐出する印刷データに変更生成したものを吐出検査用印刷データとするとよい。こうすれば、1画素分のキャリッジの走査時間は長くなるものの、吐出すべきノズルを特定することができるので、個々のノズルについてインク滴の吐出検査を印刷処理と同時に行うことが可能となる。
あるいは、第3変形例では、印刷媒体への印刷処理において、印刷データを用いず吐出検査用の印刷データを生成し、生成した吐出検査用の印刷データを用いて吐出検査を行うこととしたが、吐出検査用印刷データは印刷データを用いて生成することとしてもよい。例えば、印刷データが主走査1画素分において同時に複数のノズルからインク滴を吐出するデータであった場合、同時に複数のノズルからインク滴を吐出させるのではなく、ノズル1つずつから順次インク滴を吐出する印刷データに変更生成したものを吐出検査用印刷データとするとよい。こうすれば、1画素分のキャリッジの走査時間は長くなるものの、吐出すべきノズルを特定することができるので、個々のノズルについてインク滴の吐出検査を印刷処理と同時に行うことが可能となる。
特に、ヘッダやフッターの印刷データが存在する場合に、ヘッダやフッターの印刷時に吐出検査を同時に行うこととしてもよい。またこの場合、ヘッダやフッダのデータを同時に複数のノズルからインク滴を吐出させるのではなく、ノズル1つずつから順次インク滴を吐出する印刷データに変更生成したものを吐出検査用印刷データとすることが好ましい。
こうすれば、1画素分のキャリッジの走査時間が、ノズル1つずつから順次インク滴を吐出する印刷データに変更生成したことによってヘッダとフッターの印刷時間のみが長くなるだけで、吐出すべきノズルを特定する吐出検査を行うことができる。また、ヘッダやフッターの印刷データは文字データである場合が多く、画像データに比べて同時に吐出するノズル数が少ないことから、ノズル1つずつから順次インク滴を吐出する印刷データに変更する処理が容易でもある。従って、ヘッダやフッターの印刷時に吐出検査を同時に行うことによって、個々のノズルについてインク滴の吐出検査を行うことが可能となる。
(その他の変形例)
上記第2実施例では、不吐出ノズルが発生した場合直ちにその不吐出ノズルを発見し、必要なクリーニング処置を行ってノズルからの吐出を回復し、正しい印刷が行えるように、印刷開始から印刷終了まで吐出検査を連続して行うものとしたが、ここで印刷開始から吐出検査を開始した後、少なくとも全ノズルについて各1回吐出検査を行ったら吐出検査を終了し、その後は吐出検査をしない状態で残りの印刷を行うこととしてもよい。あるいは印刷中の所定のタイミング(例えば、前回検査を行ってから所定の時間や所定の経過パス数等が経過したタイミングなど)に吐出検査を開始し、少なくとも全ノズルについて各1回吐出検査を行ったら吐出検査を終了することとしてもよい。
上記第2実施例では、不吐出ノズルが発生した場合直ちにその不吐出ノズルを発見し、必要なクリーニング処置を行ってノズルからの吐出を回復し、正しい印刷が行えるように、印刷開始から印刷終了まで吐出検査を連続して行うものとしたが、ここで印刷開始から吐出検査を開始した後、少なくとも全ノズルについて各1回吐出検査を行ったら吐出検査を終了し、その後は吐出検査をしない状態で残りの印刷を行うこととしてもよい。あるいは印刷中の所定のタイミング(例えば、前回検査を行ってから所定の時間や所定の経過パス数等が経過したタイミングなど)に吐出検査を開始し、少なくとも全ノズルについて各1回吐出検査を行ったら吐出検査を終了することとしてもよい。
ノズルの不吐出が所定の確率で発生するような場合は、この不吐出ノズル発生の確率に基づいて所定のインターバルを設定し、設定したインターバルで吐出検査を行うことによって、発生した不吐出ノズルを、発生後速やかに発見できることが期待できる。従って、吐出検査に要する時間やノズルの検査回数を減らすことが出来るため、吐出検査に要する処理負荷を軽減することが可能である。
また、上記第2実施例では、第1の電極もしくは第2の電極に印加される所定の電圧が、「0V」、「+100V」、「−100V」の電圧であることとして説明したが、本発明はこれらの電圧値に何ら限定されるものではない。例えば、接地電圧が「0V」に限らず「5V」といった比較的小さい電圧値であってもよいし、「+100V」が「+42V」であったり、「−100V」が「−42V」であったりしてもよい。本発明の主旨である、印刷媒体に同じ極性の電荷が帯電せず、インク滴の吐出によって電極間に閾値以上の電圧変化を発生させることが可能な電圧値であればいずれの電圧値であってもよい。
また、上記実施形態では、インクジェットプリンタによって印刷媒体にインク滴を吐出する吐出検査装置を、一つの実施形態として説明したが、本発明はこれに限るものではないことは勿論である。例えば、ガラス基板や樹脂基板に記録液を吐出して配線パターンの形成を行うインクジェット記録装置など、インクジェット方式を用いて記録液を吐出することによって、画像や図形、文字などを記録媒体に記録する装置でも同様に実施できるものである。
さらに、上記実施形態では、印刷媒体への印刷の際、記録ヘッドの主走査と印刷媒体の副走査によって印刷を行う形態を具体例として説明したが、例えば、記録ヘッド側が主走査および副走査の両方の走査を行って印刷データを印刷する形態のプリンタなど、印刷媒体の搬送部を持たないプリンタに本発明を適用することとしてもよい。このようなプリンタに本発明を適用する場合、印刷媒体の表面側と電気的に接触する導電性の接触端子(例えば金属製のバネ)を介して所定の電圧を印加したり、印刷媒体の裏面に当接する金属板などの導電性を有する平板を設け、この平板に所定の電圧を印加するなどとするとよい。もとより、印刷媒体そのものが導電性を有する材料で形成されている場合は、導電性部材を介することなく直接印刷媒体に所定の電圧を印加することとしてもよい。
10…インクジェットプリンタ、11〜14…インクカートリッジ、17…フレーム、18…クリーニングボックス、20…キャリッジ、21…ガイド、25…印刷媒体、26…駆動モータ、26d…モータドライバ、27…駆動ローラ、27c…回転軸、28…従動ローラ、30…記録ヘッド、30d…ヘッドドライバ、33…インク滴、40…キャリッジモータ、40d…モータドライバ、41…キャリッジベルト、45…フレキシブル基板、50…メイン基板、50a…主制御回路、51…CPU、52…ROM、53…RAM、55…I/F、60…サブ基板、60a…副制御回路、61…ASIC、62…電圧生成回路、64…抵抗、64a…抵抗、64b…抵抗、64c…抵抗、65…容量結合素子、66…抵抗、67…抵抗、70…排出ローラ、71…ギザローラ、71c…回転軸、80…プラテン、81…吸収部材、90…反転アンプ、91…トランジスタ、92…トランジスタ、93…トランジスタ、94…トランジスタ。
Claims (9)
- 記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、
前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部を備え、
前記電圧印加部は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体を第2の電極として所定の電圧を印加することを特徴とする吐出検査装置。 - 請求項1に記載の吐出検査装置であって、
前記記録媒体と電気的に接続された導電性部材を備え、
前記電圧印加部は、前記導電性部材を介して、前記第2の電極に前記所定の電圧を印加することを特徴とする吐出検査装置。 - 請求項2に記載の吐出検査装置であって、
前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記導電性部材は、前記搬送部を構成する構成部材のうちの少なくとも1つの部材であることを特徴とする吐出検査装置。 - 請求項3に記載の吐出検査装置であって、
前記導電性部材は、前記記録媒体に対して前記記録ヘッド側に位置する部材であることを特徴とする吐出検査装置。 - 記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査装置であって、
前記記録液が飛翔着弾するように前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する記録媒体と、
前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加部とを備え、
前記電圧印加部は、前記記録液の吐出検査中、前記記録媒体が前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する状態において、前記電極間電圧の電圧印加方向が少なくとも1回反転するように前記所定の電圧を印加することを特徴とする吐出検査装置。 - 請求項5に記載の吐出検査装置であって、
前記記録ヘッドを所定方向に往復移動させる記録ヘッド移動部を備え、
前記電圧印加部は、前記記録ヘッドの往復移動の移動量に基づいて定められたタイミングで、前記電極間電圧の電圧印加方向が反転するように前記所定の電圧を印加することを特徴とする吐出検査装置。 - 記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、
前記第2の電極は、前記記録液が吐出後に飛翔着弾する記録媒体であることを特徴とする吐出検査方法。 - 記録ヘッドを第1の電極とし、当該記録ヘッドから第2の電極に対して記録液が吐出した際に生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の電極間電圧の変化を利用して、前記記録ヘッドからの前記記録液の吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、
前記記録液が飛翔着弾するように前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する記録媒体を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極とに、それぞれ所定の電圧を印加して前記電極間電圧を発生させる電圧印加工程を備え、
前記電圧印加工程は、前記記録液の吐出検査中、前記記録媒体が前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する状態において、前記電極間電圧の電圧印加方向が少なくとも1回反転するように前記所定の電圧を印加することを特徴とする吐出検査方法。 - 請求項8に記載の吐出検査方法における電圧印加工程を、コンピュータに実行させるための検査プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006226142A JP2008049511A (ja) | 2006-08-23 | 2006-08-23 | 吐出検査装置、吐出検査方法、および検査プログラム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016159503A (ja) * | 2015-03-02 | 2016-09-05 | 株式会社リコー | 液体を吐出する装置、吐出検知装置及び吐出検知ユニット |
US9633989B2 (en) | 2013-02-28 | 2017-04-25 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | ESD protection device |
JP7435135B2 (ja) | 2020-03-26 | 2024-02-21 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
-
2006
- 2006-08-23 JP JP2006226142A patent/JP2008049511A/ja not_active Withdrawn
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