JP2008048648A - 核酸増幅用プライマーセット及び核酸の増幅方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 核酸を増幅するためのプライマー群、プライマーセット及びそれらを含むキット、及び核酸の増幅方法を提供する。
【解決手段】 標的核酸配列及び当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのプライマー群であって、第一のプライマーは、標的核酸配列の3’末端側の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac)を第一のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第一のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマーは、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)を第二のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’ 末端側に含むことを特徴とするプライマー群を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 標的核酸配列及び当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのプライマー群であって、第一のプライマーは、標的核酸配列の3’末端側の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac)を第一のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第一のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマーは、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)を第二のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’ 末端側に含むことを特徴とするプライマー群を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、核酸を増幅するためのプライマー群及びそれらを含むキット、及び核酸の増幅方法に関する。また、本発明は、核酸の有無を判定する方法及び一塩基変異の検出方法にも関する。
近年、遺伝子診断、農作物の核酸検査及び感染症診断等核酸を検出する技術が幅広く利用されている。このような検査及び診断等を目的とした核酸検出の方法は種々知られている。例えば、目的の核酸配列を含むプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、増幅物の有無を調べる方法、検査したい核酸配列に結合する標識プローブを使用する方法等が挙げられる。また、目的の核酸配列の増幅方法として最も良く利用されているPCRの他にRT−PCR法、リガーゼ連鎖反応法(LCR法)等がある。さらに、PCRのような複雑な温度調整を必要としない等温増幅方法としては、鎖置換増幅法(SDA法)、自己維持配列増幅法(3SR法)、Qβレプリカーゼ法、NASBA法、LAMP法、ICAN法、TRC法、ローリングサークル法等が知られている(非特許文献1及び非特許文献2等)。これらの方法を用いた検出技術も開発され、検査キットとして販売されている。また、互いに相補的な突出末端を有する2個のヘアピンオリゴヌクレオチドを連結して、熱変性後、環状一本鎖DNAとし、ローリングサークル法により増幅する方法が知られている(特許文献1参照)
しかし、これらの技術は、1)検出に時間が掛かる、2)検出の工程が煩雑である、3)精度が低い等の問題があり、例えば空港での感染症検査、農作物の現場での検査等迅速性、簡便性が求められるケースには実用化が難しかった。
また、一般に核酸増幅法に用いられるプライマーは、配列特異的であるため、増幅される配列ごとにプライマーをデザインしなければならない。SMAP法やLAMP法のような等温増幅法では、特にプライマーデザインが困難である。そのため、適切なプライマーを設計する段階で各種のプライマーを作成する必要があり、時間と費用が大いに必要となる。
また、一般に核酸増幅法に用いられるプライマーは、配列特異的であるため、増幅される配列ごとにプライマーをデザインしなければならない。SMAP法やLAMP法のような等温増幅法では、特にプライマーデザインが困難である。そのため、適切なプライマーを設計する段階で各種のプライマーを作成する必要があり、時間と費用が大いに必要となる。
また、遺伝情報を担う塩基配列は、個体間で多くの部位が異なっていることが知られている。同一集団内において、ある遺伝子座におけるアリルが2種以上存在する状態を多型または変異と呼び、一般的には、ある塩基の変化が1%以上の頻度で存在する場合を多型、1%未満の場合を変異と呼んでいる。
このような多型又は変異には、1個の塩基の違いによるSNP(一塩基多型;Single Nucleotide Polymorphism)、1〜数十塩基が欠失や挿入されたもの、2塩基から数十塩基を1単位とする反復配列の反復数の相違(VNTR又はマイクロサテライト多型)等が知られている。
特にSNPは、多型マーカーとして、疾患に関係する遺伝子を探索するための有用なツールとして役立つのみならず、特定の疾患に対する罹患可能性、薬剤に対する感受性、薬剤に対する副作用の可能性について、非常に有用な情報を提供することができるため、SNP部位の塩基を判別、すなわち、SNPのタイピングをより精確、簡便、迅速に行なうことが求められている。
このような多型又は変異には、1個の塩基の違いによるSNP(一塩基多型;Single Nucleotide Polymorphism)、1〜数十塩基が欠失や挿入されたもの、2塩基から数十塩基を1単位とする反復配列の反復数の相違(VNTR又はマイクロサテライト多型)等が知られている。
特にSNPは、多型マーカーとして、疾患に関係する遺伝子を探索するための有用なツールとして役立つのみならず、特定の疾患に対する罹患可能性、薬剤に対する感受性、薬剤に対する副作用の可能性について、非常に有用な情報を提供することができるため、SNP部位の塩基を判別、すなわち、SNPのタイピングをより精確、簡便、迅速に行なうことが求められている。
SNPのタイピング法としては、TaqManPCR法、インベーダー法、MalDI−TOF/MS法、RCA法、DNAチップ法等を挙げることができる。これらの方法によっても、1)検出に時間が掛かる、2)検出の工程が煩雑である、3)精度が低い等の問題があり、大規模サンプルのSNPタイピングや、医療や農作物の現場での検査等、迅速性、簡便性が求められるケースには実用化が困難であった。
本発明は、核酸配列を増幅するにあたり、速度を高め、さらにバックグラウンドや非特異的な配列の増幅を無くして、増幅特異性を高めること、さらにこの増幅物の有無をもとに目的とする核酸配列が検体に含まれるか否かを迅速かつ精度良く検出する手段を提供することを目的とする。また、本発明は、目的とする核酸配列に関わらず、プライマーデザインを効率よく行えるような核酸増幅方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、比較的少量のゲノムDNAを用いて遺伝子多型、特にSNP部位について、簡便、迅速かつ精確なタイピング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記に鑑み、標的核酸配列及び当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのプライマー群であって、第一のプライマーは、標的核酸配列の3’末端側の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac)を第一のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第一のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマーは、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)を第二のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’ 末端側に含むことを特徴とするプライマー群を用いることにより、核酸増幅にあたり、増幅特異性が高く、また、効率のよいプライマーデザインを行うことができることを見いだした。
第二のプライマーは、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(C’c)の全部又は一部が、第一のプライマーのタグ配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第二のプライマーは、第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(C’c)の全部又は一部が、第二のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第二のプライマーは、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマー内でヘアピン構造を形成するものを用いることができる。
また、第二のプライマーは、第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(C’c)の全部又は一部が、第二のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第二のプライマーは、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマー内でヘアピン構造を形成するものを用いることができる。
また、本発明のプライマー群は、上記の第一及び第二のプライマーに加えて、さらに第三のプライマーを含んでもよい。第三のプライマーとしては、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部またはタグ配列またはタグ配列のアンチセンス鎖にハイブリダイズするものを用いることができる。
さらに、本発明のプライマー群は、上記の第一及び第二のプライマーに加えて、第四のプライマー及び第五のプライマーを含んでもよい。また、本発明のプライマーは、上記の第一、第二及び第三のプライマーに加えて、第四のプライマー及び第五のプライマーを含んでもよい。
第四のプライマーは、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の3’末端側の配列(D)にハイブリダイズする配列(Dc)を第四のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第四のプライマーの5’末端側に含み、第五のプライマーは、第四のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(E)と実質的に同一の配列(E’)を第五のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’ 末端側に含む。
第四のプライマーは、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の3’末端側の配列(D)にハイブリダイズする配列(Dc)を第四のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第四のプライマーの5’末端側に含み、第五のプライマーは、第四のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(E)と実質的に同一の配列(E’)を第五のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’ 末端側に含む。
第五のプライマーは、第二のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(F’c)の全部又は一部が、第四のプライマーのタグ配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第五のプライマーは、第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(F’c)の全部又は一部が、第五のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第五のプライマーは、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、第五のプライマー内でヘアピン構造を形成するものを用いることができる。
また、第五のプライマーは、第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(F’c)の全部又は一部が、第五のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部と同じ配列にハイブリダイズするものを用いることができる。
また、第五のプライマーは、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、第五のプライマー内でヘアピン構造を形成するものを用いることができる。
上記の本発明のプライマー群は、さらに第六のプライマーを含むものであってもよい。
第六のプライマーは、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部または第四のプライマーのタグ配列又はタグ配列のアンチセンス鎖にハイブリダイズするものを用いることができる。
第六のプライマーは、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部または第四のプライマーのタグ配列又はタグ配列のアンチセンス鎖にハイブリダイズするものを用いることができる。
本発明のプライマー群を用いることにより、増幅速度が高く、増幅特異性の高い核酸増幅方法を提供できる。本発明のプライマー群を用いる核酸増幅方法は、(a)標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を含む試料を用意するステップと、(b)本発明のプライマー群を用意するステップと、(c)前記試料を前記プライマー群により核酸増幅するステップとを含む。
この核酸増幅方法では、核酸増幅反応を等温で行うことができる。また、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼを使用することができる。さらに、核酸増幅反応を融解温度調整剤の存在下で行うことができる。
この核酸増幅方法では、核酸増幅反応を等温で行うことができる。また、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼを使用することができる。さらに、核酸増幅反応を融解温度調整剤の存在下で行うことができる。
本発明のプライマー群を用いることにより、従来の方法よりもより精度が高い核酸の有無を検出する方法を提供できる。本発明のプライマー群を用いる核酸の有無の判定方法は、(a)標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を含む試料を用意するステップと、(b)本発明のプライマー群を用意するステップと、(c)前記試料を前記プライマー群により核酸増幅反応させるステップと、(d)増幅された核酸の有無により、試料中に標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸が存在しているかどうか判断するステップとを含む。
さらに、本発明は、本発明のプライマー群を含んでなる、試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのキット、及び、試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸の有無を判定するためのキットを提供する。
さらに、本発明のプライマー群を用いることにより、従来の方法よりもより精度が高い標的核酸中の変異の有無を検出する方法を提供できる。本発明のプライマー群を用いる核酸の変異の有無の判定方法は、(a)標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を含む試料を用意するステップと(b)本発明のプライマー群であって、前記変異に対応する一又は複数のヌクレオチド残基が、プライマーに含まれるように設計されたプライマーを準備するステップと、(c)前記試料を、前記プライマー群により核酸増幅反応させるステップと、(d)増幅された核酸の有無又はそれにつづく操作により、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸における変異を検出するステップを含む。
本方法により、SNP(一塩基多型)を検出することが可能である。
本方法により、SNP(一塩基多型)を検出することが可能である。
本発明によれば、目的とする核酸配列を従来よりも高い精度で増幅することができる。また、遺伝子のタイピングをより効率よく行うことができる。さらに、タグ配列と、タグ配列の一部または全部と同じ配列を有するプライマーは、目的とする核酸配列を問わず、設計することができるため、プライマーデザインの時間及び費用が削減できる。
本発明の核酸の増幅機構について説明する。本願発明のプライマー群は、標的核酸配列を増幅するための2種以上のプライマーを含む。このプライマー群は、第一及び第二のプライマーを含んでなり、第一のプライマーは、標的核酸配列の3’側の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac)を3’末端部分に含んでなり、かつ、標的核酸配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第一のプライマーの5’末端側に有し、第二のプライマーは、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)を3’末端側に有し、かつ、第二のプライマーの5’末端側に、第二のプライマー自体、または、第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズすることのできる配列(C’c)を含む。
第一の実施態様として、上記プライマー群のうち、第二のプライマーは、5’末端側に、第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズすることのできる配列(C’c)を有する。例えば、第二のプライマーは、第二のプライマーの伸長鎖のうち、第一のプライマーのタグ配列の一部(C)と同じ配列にハイブリダイズする配列(C’c)を有する。
図19を用いて、この実施態様のプライマーによる増幅機構を説明する。第一のプライマーは、その3’末端に有する配列(Ac)において、標的核酸配列の3’側の配列(A)にハイブリダイズする(図19(a))。続いて、第一のプライマーから伸長して合成された鎖を鋳型として、標的配列の5’末端の相補配列にハイブリダイズするリバースプライマーにより、第一のプライマーのタグ配列の相補配列と標的核酸配列の相補配列とを含む鎖が合成される。この鎖に含まれる第一のプライマーのタグ配列の相補配列に、第二のプライマーに含まれる、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)がハイブリダイズする(図19(b))。ここで、実質的に同一とは、同じ相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる程度に塩基配列が同一であることを意味する。ストリンジェントな条件は、塩濃度、温度、およびその他の条件によって決まり、例えば、塩濃度が低いほど、温度が高いほど、ストリンジェンシーは高くなり、ハイブリダイズしにくくなる。この条件は、塩基配列等により異なり、当業者が適宜決定できる。第二のプライマーが伸長して合成された鎖には、第一のプライマーのタグ配列と同じ配列(C)が含まれる。さらに、第二のプライマーに含まれる配列(C’c)が、前記配列(C)にハイブリダイズし、ステムループ構造が形成される(図19(c))。その結果、第二のプライマーが伸長して合成された鎖の5’末端部分と二本鎖を形成していた相補鎖の3’末端部分が一本鎖となり、この部分に、第二のプライマーが新たにハイブリダイズする。その後、鎖置換反応により、新たにハイブリダイズした第二のプライマーからの伸長反応が起こると同時に、既に合成された第二のプライマーからの伸長鎖が鋳型核酸から分離される(図19(d))。以上の反応が繰り返されることにより、標的核酸配列を大量に合成することができる。
第二の実施態様として、上記プライマー群のうち、第二のプライマーは、5’末端側に、第二のプライマーの伸長鎖のうち、標的核酸配列の一部(C)と同じ配列にハイブリダイズする配列(C’c)を有する。
図20を用いて、この実施態様によるプライマーによる増幅機構を説明する。第一の実施態様の場合と同様にして、第一のプライマーのタグ配列の相補配列と標的核酸配列の相補配列とを含む鎖が合成され、この鎖に含まれる第一のプライマーのタグ配列の相補配列に、第二のプライマーに含まれる第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)がハイブリダイズする(図20(a)及び(b))。第二のプライマーの伸長した鎖には、標的配列と同じ配列が含まれる。第二のプライマーは、標的配列の一部の配列(C)にハイブリダイズする配列(C’c)を含むため、その部分でハイブリダイズして、ステムループ構造が形成される(図20(c))。その結果、第二のプライマーが伸長して合成された鎖の5’末端部分と二本鎖を形成していた相補鎖の3’末端部分が一本鎖となり、この部分に、第二のプライマーが新たにハイブリダイズする。その後、鎖置換反応により、新たにハイブリダイズした第二のプライマーからの伸長反応が起こると同時に、既に合成された第二のプライマーからの伸長鎖が鋳型核酸から分離される(図20(d))。以上の反応が繰り返されることにより、標的核酸配列を大量に合成することができる。第二の実施態様では特に、第二のプライマーの5’末端部分の配列(C’c))が標的核酸配列の一部と同じ配列(C)にハイブリダイズすることにより、ステムループ構造が形成されることによって、新たな第二のプライマーがハイブリダイズできる一本鎖部分が生じるため、増幅の特異性が高まる。
第三の実施態様として、上記プライマー群のうち、第二のプライマーは、5’末端側に、パリンドローム配列を有する。すなわち、第二のプライマーの5’末端側の配列(C’c)は、該配列(C’c)の3’末端側の配列(C)と相補的であり、ハイブリダイズしてヘアピン構造を形成する。
図21を用いて、この実施態様によるプライマーによる増幅機構を説明する。第一の実施態様の場合と同様にして、第一のプライマーのタグ配列の相補配列と標的核酸配列の相補配列とを含む鎖が合成される(図21(a))。この鎖に含まれる第一のプライマーのタグ配列の相補配列に、第二のプライマーに含まれる第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)がハイブリダイズし、伸長する(図21(b)及び(c))。鋳型となる鎖のうち、第二のプライマーがハイブリダイズした配列よりも3’末端側は一本鎖となる。その後、新たな第二のプライマーによる鎖置換反応により、新たにハイブリダイズした第二のプライマーからの伸長反応が起こると同時に、既に合成された第二のプライマーからの伸長鎖が鋳型核酸から分離される(図21(d))。以上の反応が繰り返されることにより、標的核酸配列を迅速かつ大量に合成することができる。
図19〜21を用いた上記実施態様は、フォワードプライマーとして第一、第二または第三の実施態様で示された第一及び第二のプライマーを含むプライマー群を用い、リバースプライマーとして任意の公知のプライマーを用いる例を示している。しかし、リバースプライマーとして第一、第二または第三の実施態様で示された第一及び第二のプライマーを含むプライマー群を用い、フォワードプライマーとして任意の公知のプライマーを用いることもでき、あるいは、リバースプライマーとフォワードプライマーの両方を、第一、第二又は第三の実施態様で示された第一及び第二のプライマーを含むプライマー群を用いることも可能である。これらの本発明のプライマー群及びプライマーセットを用いることによって、増幅の特異性をより高めることができる。
また、第一のプライマーに含まれるタグ配列は、標的核酸にハイブリダイズする配列ではないため、標的核酸の配列に関わらずデザインできる。そのため、第一のプライマーのデザインのためには、標的核酸にハイブリダイズする3’末端側の配列さえ選択すればよいため、プライマーデザインを簡便に行うことができる。また、第一の実施態様及び第三の実施態様では、第二のプライマーについても標的核酸の配列を問わないため、プライマーデザインをより簡便に行なうことができる。第一のプライマーのタグ配列中に、第一のプライマーからの伸長鎖にハイブリダイズすることのできる配列をつけることにより、標的核酸の増幅物がタンデムに連結した増幅産物を得ることもできる。
本発明において、第一のプライマーに含まれるタグ配列の塩基数は、特に限定されないが、例えば1〜1,000mer程度、好ましくは5〜200mer程度、より好ましくは10〜100mer程度のタグ配列を使用することもできる。第一のプライマーに含まれるタグ配列の具体的な塩基配列は、標的配列等にハイブリッドする可能性のない配列であれば、特に限定されない。
核酸を増幅するステップは、PCR法、TMA法、NASBA法、LAMP法、ICAN法、RCA法、TRC法、SDA法及びSMAP法からなる群から選択される方法により行うことができるが、特に限定されず、当業者に公知の核酸増幅法に適用できる。
本発明において「標的核酸」または「標的核酸配列」とは、増幅又は検出しようとする核酸、これに相補的な配列または該配列を有する核酸を意味する。標的核酸または標的核酸配列は、一本鎖でも二本鎖でもよく、また、DNA、RNA、それら誘導体のいずれでもよい。例えば、ゲノムDNA、cDNA、全RNA、mRNA、LNAまたはこれらの増幅産物を用いることができる。標的核酸または標的核酸配列は、任意の方法により精製することができる。
試料またはサンプルとは、動物由来及び植物由来、ウイルス、真菌、原生動物、細菌その他の微生物由来の試料が挙げられるがこれらに限定されない。また、生体試料に限らず、海水、土壌等、任意の試料に対して適用することができる。
本発明のプライマー群又はプライマーセットに含まれるプライマーのうち、少なくとも一のプライマーは、固相担体又は固相担体に結合可能な部分を含んでもよい。この場合、増幅反応後、固相担体の凝集を観察することにより増幅産物の迅速な検出が可能になる。水不溶性有機高分子担体、水不溶性無機高分子担体、合成高分子担体、相転移性担体、金属コロイド、磁性粒子等が挙げられ、さらには、溶媒不溶性有機高分子担体、溶媒不溶性無機高分子担体、溶媒可溶性高分子担体、ゲル高分子担体等を固相担体として用いることができる。
本発明によるプライマー群又はプライマーセットに含まれるプライマーは、デオキシリボヌクレオチドからなるプライマーであっても、リボヌクレオチドからなるプライマーであってもよい。また、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの両方からなるプライマーを用いることも可能である。プライマーは、修飾されたプライマーであっても修飾されていないプライマーであってもよい。非天然塩基を一部に含むプライマー、または全ての塩基が非天然塩基からなるプライマーを使用することも可能である。非天然塩基は、例えばLNAを使用することができる。
核酸増幅反応に用いられるDNAポリメラーゼは、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを用いることができ、常温性、中温性、もしくは耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。また、このDNAポリメラーゼは、天然体もしくは人工的に変異を加えた変異体のいずれであってもよい。さらに、このDNAポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものであることが好ましい。このようなDNAポリメラーゼとしては、Φ29ファージDNAポリメラーゼを例示できる。また、他の例として、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus、以下「B.st」という)、バチルス・カルドテナックス(Bacilluscaldotenax、以下「B.ca」という)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体、大腸菌(E.coli)由来DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられる。さらには、Vent DNAポリメラーゼ 、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ、DeepVent DNAポリメラーゼ 、DeepVent(Exo−)DNAポリメラーゼ、MS−2ファージDNAポリメラーゼ 、Z−Taq DNAポリメラーゼ 、Pfu DNAポリメラーゼ、Pfu turbo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ 、9oNm DNAポリメラーゼ、Therminator DNAポリメラーゼ等が挙げられる。より耐熱性にさせるためにトレハロース等の糖類を添加したり、より酵素を安定化させるためにGlycerol等の多価アルコール類を添加したりする事も可能である。さらに、目的核酸がRNAの場合、逆転写酵素活性が強いBca(exo−)DNAポリメラーゼを用いる事が好ましい。逆転写酵素活性が弱い場合は、これらの酵素と逆転写酵素活性のあるM−MuLV Reverse Transcriptase等を組み合わせて使用することが望ましい。
本願の核酸増幅に際して、融解温度を調整することが望ましい。融解温度は、二本鎖核酸が含まれる溶液が温度上昇に伴い、半数の二本鎖核酸が熱変成して一本鎖に解離する温度をいう。ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれら2種以上の混合物のような融解温度調整剤を反応溶液中に添加することにより、融解温度を調整することができる。特に、GC含量の高い核酸や複雑な二次構造を形成する領域では、融解温度が高まり、一本鎖を形成しにくい傾向がある。このような場合に、融解温度調節剤を添加して融解温度を下げることにより、核酸の増幅効率を高めることができる。適切な融解温度調整剤の濃度は、塩濃度、反応温度、GC含量等により異なり、当業者は適切な濃度を選択できる。
一般に、プライマーを起点として鋳型鎖の相補鎖を伸長させる増幅方法では、プライマーの3’末端が標的配列に厳密な相補性をもってハイブリダイズすることが重要である。特に、本発明のプライマー群及びプライマーセットによる核酸の増幅方法では、特異的な増幅を行なうことができる。そのため、本発明によるプライマー群またはプライマーセットを用いて、反応溶液の塩濃度等を調節して、プライマーがより高いストリンジェンシーでハイブリダイズするような条件下で増幅反応を行なうことにより、第一のプライマーの3’末端部分の塩基が標的核酸配列に厳密に相補的である場合のみ、伸長反応を行なうことが可能になる。したがって、標的核酸配列にハイブリダイズするプライマー、例えば第一のプライマーの3’末端の1又は2以上の塩基が、変異又は遺伝子多型、特に一塩基多型(SNP)の塩基に対応するようにプライマーを設定することにより、遺伝子多型の解析が可能となる。この場合、核酸増幅反応が起これば、用いた第一のプライマーの3’末端の1又は複数の塩基に相補的な塩基を有するアリルであると解析される。
標的核酸を増幅するため又は標的核酸の有無を判定するために、本発明によるプライマー群又はプライマーセットを含むキットとすることができる。本発明によるキットは、プライマー群又はプライマーセットに加えて、必要な試薬等を含む。本発明のキットは、プライマー群又はプライマーセットに加えて、例えば、DNAポリメラーゼ、緩衝液、dNTP、説明書等を含む。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。なお、図面及び本明細書中では、特に断りがない限り、左側を5’側、右側を3’側として記載する。
例1:ヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅
本例では、鋳型としてプラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)および、Human Genomic DNA(Promega社製)を使用して、その中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅を行った。プライマーとして、下記の配列を有するプライマーペアF1、R1および、R1が含むタグ配列を増幅するプライマーA1の、計3種類を用いた。また、鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図1に示す通りとした。フォワードプライマーF1は、その3'末端側にある配列(18mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、5'末端側にある配列(13mer:下線部以外)がその領域内で折りたたまれて既知の高次構造をとるように設計されている。タグ配列付きリバースプライマーR1は、鋳型にアニーリングできる配列を3’末端側に有し(20mer:下線部(1))、タグ配列(50mer:下線部(1)以外)を5’末端側にもつ。タグ配列増幅プライマーA1は、R1のタグ配列の一部(20mer:R1下線部(3))と同じ配列(A1下線部(3)’)を3’末端側に持ち、5’末端側の10塩基(下線部(2)’)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域(R1の下線部(2)と同じ配列)にハイブリダイズするように設計されている。
例1:ヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅
本例では、鋳型としてプラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)および、Human Genomic DNA(Promega社製)を使用して、その中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅を行った。プライマーとして、下記の配列を有するプライマーペアF1、R1および、R1が含むタグ配列を増幅するプライマーA1の、計3種類を用いた。また、鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図1に示す通りとした。フォワードプライマーF1は、その3'末端側にある配列(18mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、5'末端側にある配列(13mer:下線部以外)がその領域内で折りたたまれて既知の高次構造をとるように設計されている。タグ配列付きリバースプライマーR1は、鋳型にアニーリングできる配列を3’末端側に有し(20mer:下線部(1))、タグ配列(50mer:下線部(1)以外)を5’末端側にもつ。タグ配列増幅プライマーA1は、R1のタグ配列の一部(20mer:R1下線部(3))と同じ配列(A1下線部(3)’)を3’末端側に持ち、5’末端側の10塩基(下線部(2)’)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域(R1の下線部(2)と同じ配列)にハイブリダイズするように設計されている。
プライマーペア
25μl中に、Tris−HCl(20mM,pH8.8)、KCl(10mM)、(NH4)2SO4(10mM)、MgSO4(8mM)、DMSO(5%)、Tween20(0.1%)、dNTP(1.4mM)、上記のプライマー(F1及びA1;2000nM, R1;250nM)および鋳型(プラスミド;106コピー又はhuman genomic DNA;221ng)、さらに8UのBst DNAポリメラーゼ(NEW ENGLAND BioLabs)を含有する、反応液を準備した。この反応液を60℃で1時間インキュベートした。鋳型は二本鎖のまま反応させた。また、鋳型の代わりに滅菌水を添加した溶液についても同様に実験を行った。増幅産物の生成はリアルタイム蛍光検出装置Mx3000P(STRATAGENE社製)を用いてモニタリングした。
実験の結果を図2および図3に示した。図2によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約35分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。また図3においては、鋳型としてHuman Genomic DNAを用いた場合にも、約45分後には増幅が認められる。
上述の各反応液2μlについて、3%のNuSieve(登録商標)GTG Agarose(BioWhittaker Molecular Applications(BMA)社製;タカラバイオ社より購入)を用いて、90分間、100Vで電気泳動した。泳動後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)で染色することにより、核酸を検出した。結果は、図4に示すとおりである:図4における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型(Human Genomic DNA)を含む反応液; レーン4:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
上述の各反応液2μlについて、3%のNuSieve(登録商標)GTG Agarose(BioWhittaker Molecular Applications(BMA)社製;タカラバイオ社より購入)を用いて、90分間、100Vで電気泳動した。泳動後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)で染色することにより、核酸を検出した。結果は、図4に示すとおりである:図4における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型(Human Genomic DNA)を含む反応液; レーン4:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図4のレーン3では、未反応のプライマーが染色されている以外にバンドは確認されなかった。レーン2において、低サイズのバンドのうち、170bp付近および140bp付近のバンドは、目的核酸の増幅産物として予想されるものである。よって、鋳型を含む反応液において増幅産物が確認された。レーン2では、さらに、前記増幅産物よりも上部にバンドが確認され、これは、本発明による増幅反応において予測される標的核酸配列を繰り返し有する増幅産物である。本発明による増幅反応によって得られる増幅産物は、複雑な構造をとるために、結果としてこのようなラダー状の電気泳動結果が得られた。
例2:制限酵素による切断
例1で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。具体的には、例1により得られる増幅反応後の反応液1μlを用いて、制限酵素RspEIによる消化(37℃にて1時間)を行った。
消化産物を3%のNuSieve(登録商標)GTG Agarose(BioWhittaker Molecular Applications(BMA)社製;タカラバイオ社より購入)を用いて電気泳動した。結果は図5に示すとおりである。図5における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの;レーン4:Human Genomic DNAを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン5:Human Genomic DNAを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
例1で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。具体的には、例1により得られる増幅反応後の反応液1μlを用いて、制限酵素RspEIによる消化(37℃にて1時間)を行った。
消化産物を3%のNuSieve(登録商標)GTG Agarose(BioWhittaker Molecular Applications(BMA)社製;タカラバイオ社より購入)を用いて電気泳動した。結果は図5に示すとおりである。図5における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの;レーン4:Human Genomic DNAを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン5:Human Genomic DNAを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図5において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例3:ヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の特異性を高めた増幅
例1において、プラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)とhuman genomic DNAは、鋳型として同様に有効であったので、以降の例ではプラスミドのみを用いた。本例では、例1と同じくプラスミド中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅を行った。
プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー、リバースプライマーおよび、リバースプライマーが含むタグ配列を標的核酸特異的に増幅するプライマーの、計3種類を使用した。フォワードプライマーは、例1において使用したプライマーF1とし、新たに設計したタグ配列付きプライマーR2をリバースプライマーとする。またプライマーR2および標的核酸を同時に配列特異的に増幅するプライマーA2を設計した。タグ配列付きリバースプライマーR2は、その3’末端側にある配列(20mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、5’末端側にタグ配列(20mer:下線部以外)をもつ。タグ配列増幅プライマーA2は、R2のタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわち標的核酸中のプライマーR2結合部のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。例1と異なり、A2がハイブリダイズする領域が標的核酸中に存在し、R2とともに鋳型を認識することから、特異性が高まると考えられる。また、鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図6に示す通りとした。
例1において、プラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)とhuman genomic DNAは、鋳型として同様に有効であったので、以降の例ではプラスミドのみを用いた。本例では、例1と同じくプラスミド中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅を行った。
プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー、リバースプライマーおよび、リバースプライマーが含むタグ配列を標的核酸特異的に増幅するプライマーの、計3種類を使用した。フォワードプライマーは、例1において使用したプライマーF1とし、新たに設計したタグ配列付きプライマーR2をリバースプライマーとする。またプライマーR2および標的核酸を同時に配列特異的に増幅するプライマーA2を設計した。タグ配列付きリバースプライマーR2は、その3’末端側にある配列(20mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、5’末端側にタグ配列(20mer:下線部以外)をもつ。タグ配列増幅プライマーA2は、R2のタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわち標的核酸中のプライマーR2結合部のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。例1と異なり、A2がハイブリダイズする領域が標的核酸中に存在し、R2とともに鋳型を認識することから、特異性が高まると考えられる。また、鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図6に示す通りとした。
プライマーペア
上記のプライマーセットを用いた核酸増幅反応を行った。増幅反応溶液の組成は、例1と同様である。また、反応条件や反応後の電気泳動条件も、例1に記載したものと同様である。
増幅の結果を図7に示した。図7によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約25分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果は、図8に示すとおりである:図8における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図8により、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
増幅の結果を図7に示した。図7によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約25分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果は、図8に示すとおりである:図8における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図8により、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
例4:制限酵素による切断
例3で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果は図9に示した。図9における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図9において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、例2と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例3で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果は図9に示した。図9における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図9において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、例2と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例5:ヘアピン構造を持つプライマーによるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列の増幅
本例では、鋳型は同じく例1で使用したプラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列を使用した。
プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー、リバースプライマーおよび、リバースプライマーが含むタグ配列を特異的に増幅するプライマーの、計3種類を使用した。フォワードプライマーは、例1において使用したプライマーF1とし、また例3で用いたプライマーR2をリバースプライマーとする。ただしプライマーR2を配列特異的に増幅するプライマーA3は、A2と同じくR2のタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、かつ相互にハイブリダイズする二つの核酸配列を同一鎖上に含む16塩基(下線部以外)の折り返し配列を5’側に持つよう設計した。これにより鋳型は、アシンメトリックな形を持つプライマーによって増幅されることとなる。鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図10に示す通りとした。
本例では、鋳型は同じく例1で使用したプラスミド(pGEM−T Vector;Promega社製)中に含まれるヒトCYP2D6*1遺伝子中の標的核酸配列を使用した。
プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー、リバースプライマーおよび、リバースプライマーが含むタグ配列を特異的に増幅するプライマーの、計3種類を使用した。フォワードプライマーは、例1において使用したプライマーF1とし、また例3で用いたプライマーR2をリバースプライマーとする。ただしプライマーR2を配列特異的に増幅するプライマーA3は、A2と同じくR2のタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、かつ相互にハイブリダイズする二つの核酸配列を同一鎖上に含む16塩基(下線部以外)の折り返し配列を5’側に持つよう設計した。これにより鋳型は、アシンメトリックな形を持つプライマーによって増幅されることとなる。鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図10に示す通りとした。
プライマーペア
上記のプライマーセットを用いた核酸増幅反応を行った。増幅反応溶液の組成は、例1と同様である。また、反応条件や反応後の電気泳動条件は、例1に記載したものと同様である。
増幅の結果を図11に示した。図11によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果を図12に示した。図12における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図12のレーン3では、未反応のプライマーが染色されている以外にバンドは確認されなかった。レーン2において、低サイズのバンドのうち、120bpのバンドは、目的核酸の増幅産物として予想されるものである。よって、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
増幅の結果を図11に示した。図11によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果を図12に示した。図12における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図12のレーン3では、未反応のプライマーが染色されている以外にバンドは確認されなかった。レーン2において、低サイズのバンドのうち、120bpのバンドは、目的核酸の増幅産物として予想されるものである。よって、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
例6:制限酵素による切断
例5で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果は図13に示すとおりである。図9における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図13において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、例2や例4と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例5で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果は図13に示すとおりである。図9における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図13において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、例2や例4と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例7:ヒトCYP2D6*10遺伝子中の標的核酸配列の増幅
本例では、鋳型として新たにCYP2D6*10遺伝子(同様にpGEM−T Vector(Promega社製)に含まれる)を用いて、標的核酸配列の増幅を行った。また、プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー(10F)、リバースプライマー(10R)および、それぞれのプライマーが含むタグ配列を標的核酸特異的に増幅するプライマー(10F−A、10R−A)の、計4種類を使用した。
タグ配列付きプライマー10Fおよび10Rは、例3のリバースプライマーR2と同じように、その3’末端側にある配列(10F;17mer,10R;20mer:ともに下線部)が鋳型にアニーリングし、5’末端側にタグ配列(10F;19mer,10R;20mer:ともに下線部以外)をもつ。フォワード側のタグ配列増幅プライマー10F-Aは、10Fのタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(19mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわちプライマー10Fアニーリング部位のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。リバース側のタグ配列増幅プライマー10R−Aは、同様に、10Rのタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、同じく該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわちプライマー10Rアニーリング部位のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。
10F−Aおよび10R−A双方がハイブリダイズする領域が標的核酸中に存在し、10Fおよび10Rとともに鋳型を認識することから、特異性がさらに高まると考えられる。また、異なる鋳型においても、同様に鋳型特異的な増幅が起こることが証明される。なお鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図14に示す通りとした。
本例では、鋳型として新たにCYP2D6*10遺伝子(同様にpGEM−T Vector(Promega社製)に含まれる)を用いて、標的核酸配列の増幅を行った。また、プライマーとしては、下記の配列を有するフォワードプライマー(10F)、リバースプライマー(10R)および、それぞれのプライマーが含むタグ配列を標的核酸特異的に増幅するプライマー(10F−A、10R−A)の、計4種類を使用した。
タグ配列付きプライマー10Fおよび10Rは、例3のリバースプライマーR2と同じように、その3’末端側にある配列(10F;17mer,10R;20mer:ともに下線部)が鋳型にアニーリングし、5’末端側にタグ配列(10F;19mer,10R;20mer:ともに下線部以外)をもつ。フォワード側のタグ配列増幅プライマー10F-Aは、10Fのタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(19mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわちプライマー10Fアニーリング部位のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。リバース側のタグ配列増幅プライマー10R−Aは、同様に、10Rのタグ配列と同じ配列を3’末端側に持ち(20mer:下線部)、5’末端側の13塩基(下線部以外)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、同じく該プライマーの3’末端残基の20塩基下流から始まる領域、すなわちプライマー10Rアニーリング部位のすぐ下流にハイブリダイズするように設計されている。
10F−Aおよび10R−A双方がハイブリダイズする領域が標的核酸中に存在し、10Fおよび10Rとともに鋳型を認識することから、特異性がさらに高まると考えられる。また、異なる鋳型においても、同様に鋳型特異的な増幅が起こることが証明される。なお鋳型に対する各プライマー領域の位置関係は図14に示す通りとした。
プライマー
上記のプライマーセットを用いた核酸増幅反応を行った。増幅反応溶液の組成は、例1と同様である。また、反応条件や反応後の電気泳動条件は、例1に記載したものと同様である。
増幅の結果を図15に示した。図15によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果は、図16に示すとおりである:図16における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図16により、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
増幅の結果を図15に示した。図15によれば、鋳型としてプラスミドを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められることがわかる。
電気泳動の結果は、図16に示すとおりである:図16における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:鋳型(プラスミド)を含む反応液;レーン3:鋳型の代わりに滅菌水を添加した反応液。
図16により、鋳型を含む反応液において、例1と同様に特異的な増幅産物が確認された。
例8:制限酵素による切断
例7で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果を図17に示した。図17における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図17において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、これまでの例と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例7で得られた増幅産物が、標的核酸配列に由来するものであることを示すため、該増幅産物の制限酵素消化を行った。酵素処理及び電気泳動の条件は、例2に記載したものと同様である。
結果を図17に示した。図17における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Ladder size marker;レーン2:プラスミドを鋳型とする増幅産物2μlをそのまま電気泳動したもの;レーン3:プラスミドを鋳型とする増幅産物0.25μlの消化産物を電気泳動したもの。
図17において、ヌクレオチド配列から推測される各制限酵素消化断片のサイズは、泳動写真の右側に記したとおりである。未消化サンプルのバンドが、消化後には推定されるサイズのバンドへ移行したことから、これまでの例と同様に標的核酸配列が増幅されていることが確認された。
例9:ヒトCYP2D6*10遺伝子中の一塩基変異の検出
本例では、本発明によるプライマーセットを用いた一塩基変異の検出を行った。例7で使用したタグ配列増幅プライマー10F−Aの3’末端を一塩基変異させたプライマー(野生型の3’末端残基:A, 変異型3’末端残基:C)を作成し、野生型プライマーの替わりに変異型プライマーを用いた時の増幅時間を比較することで、変異検出系のモデルとした。タグ配列付きプライマー10F、10Rおよびリバース側のタグ配列増幅プライマー10R−Aは、例7と同じものを使用した。
本例では、本発明によるプライマーセットを用いた一塩基変異の検出を行った。例7で使用したタグ配列増幅プライマー10F−Aの3’末端を一塩基変異させたプライマー(野生型の3’末端残基:A, 変異型3’末端残基:C)を作成し、野生型プライマーの替わりに変異型プライマーを用いた時の増幅時間を比較することで、変異検出系のモデルとした。タグ配列付きプライマー10F、10Rおよびリバース側のタグ配列増幅プライマー10R−Aは、例7と同じものを使用した。
上記のプライマーセットを用いた核酸増幅反応を行った。増幅反応溶液の組成は、例1と同様である。また、反応条件は、例1に記載したものと同様である。
増幅の結果を図18に示した。図18によれば、野生型プライマーを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められるが、変異型プライマーの場合は約60分以降となり、野生型に比べて増幅効率が落ちることが証明された。
増幅の結果を図18に示した。図18によれば、野生型プライマーを用いた場合、約45分の時点で増幅産物の生成が認められるが、変異型プライマーの場合は約60分以降となり、野生型に比べて増幅効率が落ちることが証明された。
Claims (19)
- 標的核酸配列及び当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのプライマー群であって、
第一のプライマーは、標的核酸配列の3’末端側の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac)を第一のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第一のプライマーの5’末端側に含み、
第二のプライマーは、第一のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(B)と実質的に同一の配列(B’)を第二のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’ 末端側に含む
ことを特徴とするプライマー群。 - 第二のプライマーは、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(C’c)の全部又は一部が、第一のプライマーのタグ配列の一部と同じ配列にハイブリダイズすることを特徴とする請求項1に記載のプライマー群。
- 第二のプライマーは、第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(C’c)の全部又は一部が、第二のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列の一部と同じ配列にハイブリダイズすることを特徴とする請求項1に記載のプライマー群。
- 第二のプライマーは、第二のプライマー自体又は第二のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(C’c)を第二のプライマーの5’末端側に含み、第二のプライマー内でヘアピン構造を形成することを特徴とする請求項1に記載のプライマー群。
- さらに第三のプライマーを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマー群であって、
第三のプライマーは、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部またはタグ配列またはタグ配列のアンチセンス鎖にハイブリダイズすることを特徴とするプライマー群。 - さらに第四のプライマー及び第五のプライマーを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のプライマー群であって、
第四のプライマーは、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の3’末端側の配列(D)にハイブリダイズする配列(Dc)を第四のプライマーの3’末端側に含んでなり、かつ、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列にはハイブリダイズしないタグ配列を第四のプライマーの5’末端側に含み、
第五のプライマーは、第四のプライマーのタグ配列中の少なくとも一部の配列(E)と実質的に同一の配列(E’)を第五のプライマーの3’末端側に含み、かつ、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’ 末端側に含む
ことを特徴とするプライマー群。 - 第五のプライマーは、第二のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(F’c)の全部又は一部が、第四のプライマーのタグ配列の一部と同じ配列にハイブリダイズすることを特徴とする請求項6記載のプライマー群。
- 第五のプライマーは、第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、前記配列(F’c)の全部又は一部が、第五のプライマーが伸長した鎖のうち、標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部と同じ配列にハイブリダイズすることを特徴とする請求項6に記載のプライマー群。
- 第五のプライマーは、第五のプライマー自体又は第五のプライマーが伸長した鎖にハイブリダイズする配列(F’c)を第五のプライマーの5’末端側に含み、第五のプライマー内でヘアピン構造を形成することを特徴とする請求項6に記載のプライマー群。
- さらに第六のプライマーを含む請求項1〜9のいずれか一項に記載のプライマー群であって、
第六のプライマーは、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列の一部または第四のプライマーのタグ配列又はタグ配列のアンチセンス鎖にハイブリダイズすることを特徴とするプライマー群。 - 試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅する方法であって、
(a)前記核酸を含む試料を用意するステップと、
(b)請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライマー群を用意するステップと、
(c)前記試料を前記プライマー群により核酸増幅するステップと
を含む方法。 - 核酸増幅反応が等温で行われる請求項11に記載の方法。
- 鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが使用される請求項11又は12に記載の方法。
- 核酸増幅反応が融解温度調整剤の存在下で行なわれる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸の有無を判定する方法であって、
(a)前記核酸を含む試料を用意するステップと、
(b)請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライマー群を用意するステップと、
(c)前記試料を前記プライマー群により核酸増幅反応させるステップと、
(d)増幅された核酸の有無により、試料中に標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸が存在しているかどうか判断するステップと
を含む方法。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライマー群を含んでなる、試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸を増幅するためのキット。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライマー群を含んでなる、試料中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸の有無を判定するためのキット。
- サンプル中の標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸における変異の有無を判定する方法であって、
(a)前記核酸を含む試料を用意するステップと
(b)請求項1〜10に記載のプライマー群であって、前記変異に対応する一又は複数のヌクレオチド残基が、プライマーに含まれるように設計されたプライマーを準備するステップと、
(c)前記試料を、前記プライマー群により核酸増幅反応させるステップと、
(d)増幅された核酸の有無又はそれにつづく操作により、標的核酸配列又は当該標的核酸配列のアンチセンス鎖配列のうちの両方又は一方からなる1本鎖又は2本鎖核酸における変異を検出するステップと
を含んでなる方法。 - 判定される変異が、SNP(一塩基多型)によるものである請求項18に記載の方法。
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