JP2008047676A - 積層型圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層型圧電素子において、内部電極層の電極端面を被覆する絶縁材の特性を好適化する。
【解決手段】積層型圧電素子1は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体10と外部電極22とを備えた素子である。外部電極22は、積層圧電体の一側面10Aに形成された第1の外部電極22aと、他側面10Bに形成された第2の外部電極22bとからなり、複数の内部電極層12が第1の外部電極22aと第2の外部電極22bとに交互に導通されている。内部電極層12は、積層圧電体10の一側面10A及び他側面10Bにおいて電極端面が露出しており、一方の電極端面が外部電極22に導通され、他方の電極端面が絶縁材21で被覆されて外部電極22に対して絶縁されている。絶縁材21のヤング率が10GPa以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の圧電体層と複数の内部電極層とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体を備えた積層型圧電素子に関するものである。
インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電アクチュエータ等に使用される圧電素子として、複数の圧電体層と複数の内部電極層とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体を備え、この積層圧電体の側面に、積層圧電体内の複数の内部電極層に導通された外部電極が形成された積層型圧電素子が知られている。積層型圧電素子では、素子全体にかかる電圧が同じ条件では、非積層型よりも圧電体層にかかる電界強度が大きくなる。そのため、積層型圧電素子では、非積層型に対して、同じ電圧条件ではより大きな歪変位量が得られ、同じ歪変位量条件ではより低電圧の駆動が可能となる。
積層型圧電素子は大きく分けて、図6(a)に示す部分電極構造と、図6(b)に示す全面電極構造とに分類される。図中、符号110:積層圧電体、符号111:圧電体層、符号112:内部電極層、符号121:絶縁材、符号122:外部電極である。
外部電極122は、積層圧電体110の異なる側面に形成された第1の外部電極122aと第2の外部電極122bとからなり、第1の外部電極122aと第2の外部電極122bとの間に電圧が印加されるようになっている。
内部電極層112は、第1の外部電極122aに導通された第1の内部電極層112aと、第2の外部電極122bに導通された第2の内部電極層112bとからなり、積層圧電体110内において、第1の内部電極層112aと第2の内部電極層112bとが交互に配置されている。
図6(a)に示す部分電極構造では、内部電極層112は、積層圧電体110の1つの側面においてのみ電極端面が露出するよう部分形成されており、第1の内部電極層112aと第2の内部電極層112bとは断面視櫛歯状に配置されている。部分電極構造では、第1の内部電極層112aと第2の内部電極層112bとが互いに対向しない部分Xが存在する。この部分は、圧電体層111に電界が良好にかからず、圧電歪が生じない、あるいは圧電歪が生じても活性部分に比してその値が著しく小さい不活性部分である。この不活性部分の存在によって、積層圧電体全体の圧電特性が活性部分の圧電特性よりも低下して、本来の圧電特性が充分に発揮されない恐れがある。また、不活性部分と活性部分との境界近傍に応力集中が起こりやすく、長期使用後にクラック等が発生する恐れがある。
図6(b)に示す全面電極構造では、内部電極層112はいずれも全面形成されている。かかる構成では、内部電極層112はいずれも、第1の外部電極122aが形成された側面と第2の外部電極122bが形成された側面とにおいても電極端面が露出するので、内部電極層112の一方の電極端面を絶縁材121にて被覆して、一方の外部電極122に対して絶縁する必要がある。絶縁する側の電極端面が交互に変わるので、本明細書では、図6(b)に示す絶縁態様を「交互絶縁」と称す。
特許文献1には、積層型セラミックス素子において、露出した電極端面に電着及び焼成により無機ガラスからなる絶縁材を形成する絶縁方法が開示されている。
特許文献2には、積層型圧電素子において、露出した電極端面に電着及び焼成により有機樹脂又はフィラーを含む絶縁材を形成する絶縁方法が開示されている。
特公平2-34449号公報 特公平2-56830号公報
特許文献1で提案されている無機ガラスからなる絶縁材では、絶縁材の柔軟性が低いため、圧電体層の伸縮が阻害されて、所望の圧電歪が得られなくなる恐れがある。また、圧電体層の伸縮に絶縁材が充分に追随できない場合には、長期使用後に絶縁材にクラック等が生じて、絶縁破壊が発生する恐れもある。
低電圧駆動等を目的として、内部電極層の電極ピッチはより小さくなってきており、圧電体層の層厚が150μm以下あるいは100μm以下の積層型圧電素子が使用されるようになってきている。圧電体層の層厚が小さく(例えば150μm以下あるいは100μm以下)、且つ駆動時の印加電圧若しくは印加電界が大きい場合には、動作中において上記絶縁材に加わる応力も大きくなるため、初期性能は問題なくても連続駆動時の耐久性に問題を生じることが多い。印加電界が圧電材料の抗電界以上の場合において、この問題は顕著に起こる。
特許文献2では、無機ガラスよりも柔軟な有機樹脂を含む絶縁材が提案されており、この絶縁材によって圧電体層の伸縮が阻害されないことが記載されている。しなしながら、単に有機樹脂を用いた電着では、焼成工程において樹脂が溶融して周囲に広がりやすい。そのため、絶縁材のパターン精度が良くなく、所望の導通と絶縁とを安定して取れない恐れがある。圧電体層の層厚が150μm以下あるいは100μm以下など、圧電体層の層厚の小さい積層型圧電素子では、絶縁材のパターン精度が特に重要となっている。
また、特許文献2の「特許請求の範囲」にはフィラーが挙げられているが、フィラーの具体例については記載がなく、詳細は不明である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内部電極層の電極端面を被覆する絶縁材の特性が良好な積層型圧電素子を提供することを目的とするものである。
より具体的には、本発明は、内部電極層の電極端面を被覆する絶縁材によって圧電体層の伸縮が阻害されることなく、長期使用に渡って絶縁材のクラック等及びこれによる絶縁破壊を抑制することができ、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、絶縁材のパターン精度が良好で、所望の導通と絶縁とを安定して取ることが可能な積層型圧電素子を提供することを目的とするものである。
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と複数の内部電極層とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体と、該積層圧電体に形成された外部電極とを備え、
前記外部電極は、前記積層圧電体の一側面に形成された第1の外部電極と、他側面に形成された第2の外部電極とからなり、前記複数の内部電極層が、前記第1の外部電極と前記第2の外部電極とに交互に導通された積層型圧電素子において、
前記複数の内部電極層はいずれも、前記積層圧電体の前記一側面及び前記他側面において電極端面が露出しており、かつ、該露出した電極端面のうち、一方が前記外部電極に導通され、他方が絶縁材で被覆されて前記外部電極に対して絶縁されており、
前記絶縁材のヤング率が10GPa以下であることを特徴とするものである。
本明細書において、「絶縁材のヤング率」は、積層圧電体の側面に形成された状態でのヤング率により規定するものとする。また、ヤング率は、115度三角錐圧子を用いたナノインデンテーション法により測定するものとする。具体的には、絶縁材表面に対して一定の変化速度で荷重を付加及び除荷し、このとき得られる除荷中の荷重変位曲線の傾きからヤング率を算出する。このとき印加する最大荷重は、押し込み深さが膜厚に対して1/10以下となるように設定する。印加する最大荷重は、絶縁材の硬さと厚さにもよるが、通常2〜50mNである。
本発明の積層型圧電素子において、前記絶縁材は、1種又は複数種の絶縁性樹脂を主成分とすることが好ましい。
本明細書において、「主成分」は含量50質量%以上の成分と定義する。絶縁材の主成分量は、絶縁材の原料液の主成分量ではなく、絶縁材そのものの主成分量を意味する。絶縁材が複数種の絶縁性樹脂を含む場合には、そのトータルの量が50質量%以上であることを意味する。
前記絶縁材は、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体を含む原料液を用い、液相と固相又はゲル相との2相共存状態を経て形成されたものであることが好ましい。
前記原料液としては、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体の一部が、固状粒子又はゲル状粒子の形態で存在しているものが好ましい。前記原料液としては、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体として、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と、架橋性絶縁性樹脂が架橋された架橋樹脂を主成分とする固状又はゲル状の架橋樹脂粒子(B)とを含むものが、特に好ましい。
前記原料液は、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体の他に、無機粒子(C)を含むものでもよい。
前記絶縁材は、液性がアニオン性又はカチオン性である前記原料液を用いた電着及び焼成により形成することができる。
本発明は、前記外部電極が、Ni,Au,及びPtからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む積層型圧電素子に有効である。
本発明の積層型圧電素子では、内部電極層の電極端面を被覆する絶縁材のヤング率を10GPa以下に規定する構成としている。かかるヤング率の絶縁材であれば充分な柔軟性を有するので、内部電極層の電極端面を被覆する絶縁材によって圧電体層の伸縮が阻害されることなく、長期使用に渡って絶縁材のクラック等及びこれによる絶縁破壊を抑制することができ、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供することができる。
本発明の積層型圧電素子において、絶縁材は、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体を含む原料液を用い、液相と固相又はゲル相との2相共存状態を経て形成されたものであることが好ましい。原料液としては、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体の一部が、固状粒子又はゲル状粒子の形態で存在しているものが好ましい。原料液としては、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体として、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と、架橋性絶縁性樹脂が架橋された架橋樹脂を主成分とする固状又はゲル状の架橋樹脂粒子(B)とを含むものが、特に好ましい。
かかる絶縁材では、絶縁材形成過程における流動が固相又はゲル相の存在によって抑制されるので、絶縁材のパターン精度が良好で、所望の導通と絶縁を安定して取ることが可能な積層型圧電素子を提供することができる。
「積層型圧電素子」
図1に基づいて、本発明に係る実施形態の積層型圧電素子の構造について説明する。図1は素子断面図である。
本実施形態の積層型圧電素子1は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体10を備え、積層圧電体10の側面に、積層圧電体10内の複数の内部電極層12に導通された外部電極22が形成された素子である。
外部電極22は、積層圧電体10の図示左側面10A(一側面)に形成された第1の外部電極22aと、図示右側面10B(他側面)に形成された第2の外部電極22bとからなり、複数の内部電極層12が第1の外部電極22aと第2の外部電極22bとに交互に導通されている。
内部電極層12は、第1の外部電極22aに導通された第1の内部電極層12aと、第2の外部電極22bに導通された第2の内部電極層12bとからなり、積層圧電体10内において、第1の内部電極層12aと第2の内部電極層12bとが交互に配置されている。
図示する例では、第1の外部電極22aと第2の外部電極22bとは、積層圧電体10の互いに対向する側面10Aと10Bに各々形成されているが、第1の外部電極22aと第2の外部電極22bとを形成する側面は互いに対向しない側面であってもよい。
本実施形態では、第1の外部電極22aは、積層圧電体10の左側面10Aの少なくとも第1の内部電極層12aが形成された範囲を覆うように形成されており、さらに積層圧電体10の左側面10Aから図示下面10Dに跨って形成されている。第2の外部電極22bは、積層圧電体10の右側面10Bの少なくとも第2の内部電極層12bが形成された範囲を覆うように形成されており、さらに積層圧電体10の右側面10Bから図示上面10Cに跨って形成されている。そして、積層圧電体10の下面10Dに形成された第1の外部電極22aと、積層圧電体10の上面10Cに形成された第2の外部電極22bとの間に、電圧が印加されるようになっている。外部電極22a,22bの形成範囲と電圧印加態様は図示する例に限らず、適宜設計される。
内部電極層12はいずれも全面形成されており、内部電極層12は積層圧電体10の左側面10Aと右側面10Bのいずれの側面においても電極端面が露出している。すなわち、本実施形態の積層型圧電素子1は、全面電極構造のタイプである。
第1の内部電極層12aは、積層圧電体10の左側面10Aにおいて露出した電極端面が第1の外部電極22aに導通され、積層圧電体10の右側面10Bにおいて露出した電極端面が絶縁材21で被覆されて第2の外部電極22bに対して絶縁されている。
同様に、第2の内部電極層12bは、積層圧電体10の右側面10Bにおいて露出した電極端面が第2の外部電極22bに導通され、積層圧電体10の左側面10Aにおいて露出した電極端面が絶縁材21で被覆されて第1の外部電極22aに対して絶縁されている。
圧電体層11の構成材料は特に制限なく、ペロブスカイト型酸化物、タングステンブロンズ型酸化物、及びビスマス層状酸化物等で、圧電性を示す任意の1種又は2種以上の酸化物を使用することができる。
圧電性を示すペロブスカイト酸化物としては、チタン酸鉛,チタン酸ジルコン酸鉛(PZT),ジルコニウム酸鉛,チタン酸鉛ランタン,ジルコン酸チタン酸鉛ランタン,マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛,及びニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物や、チタン酸バリウム,ニオブ酸カリウム,及びチタン酸ビスマスナトリウム等の非鉛含有化合物が挙げられる。
内部電極層12の主成分としては特に制限なく、Pt,Pd,Au,Ag,Ni,Cu等の金属又はその合金、及びLaNiO,SrRuO等の金属酸化物が挙げられる。
圧電体層11の層厚と層数は特に制限されない。圧電体層11の層厚は例えば20〜500μm、層数は例えば3〜20層である。
内部電極層12の層厚は特に制限されず、例えば0.1〜5μmである。
本実施形態では、後記するように絶縁材21の組成や形成方法を工夫する構成としているので、絶縁材の21のパターン精度が高い。そのため、本実施形態は、圧電体層11の層厚の小さい積層型圧電素子、具体的には圧電体層11の層厚が150μm以下の積層型圧電素子、さらには100μm以下の積層型圧電素子にも適用可能である。逆に言えば、本実施形態では、特に絶縁材の21のパターン精度が高いレベルで要求される、圧電体層11の層厚が150μm以下あるいは100μm以下の積層型圧電素子に対して有効である。
積層圧電体10としては特に制限なく、グリーンシート法により複数の内部電極層と複数の圧電体層とを一体焼成したものや、予め表面に内部電極層が形成された圧電体層を複数貼り合わせて積層したものを使用することができる。貼り合せに使用する圧電体層は、多結晶でも単結晶でもよい。積層圧電体10は、エアロゾルデポジション法や気相成膜法等の手法により、内部電極層と圧電体層とを順次成膜したものであってもよい。
外部電極22としては特に制限なく、Ni,Au,Pt等の金属を少なくとも1種含む金属電極が挙げられる。外部電極22の形成方法としては、メッキ法、及びスパッタ法等の気相成長法等が挙げられる。
外部電極22は導電性樹脂を主成分とする樹脂電極でもよいが、薄くても電気抵抗を低くすることができることから金属電極が好ましい。ただし、金属電極は、樹脂電極に比して、圧電体層11の伸縮に対して柔軟に追随しにくい傾向にある。本実施形態では、後記するように柔軟な絶縁材21を設ける構成としているので、絶縁材21がクッションとなって、圧電体層11の伸縮によって外部電極22にかかる応力を緩和することができる。すなわち、本実施形態では、外部電極22が金属電極である場合に有効である。
本発明者は、固体の硬さの指標であるヤング率に着目し、絶縁材21としてヤング率10GPa以下のものが好適であることを見出している。
圧電体層11のヤング率は一般に40〜60GPa程度である。これに対して、無機ガラスのヤング率は一般に60〜80GPa程度であり、樹脂のヤング率は一般に8GPa以下である。
無機ガラスは、圧電体層と同等以上のヤング率を有する。そのため、無機ガラスからなる絶縁材では、絶縁材によって圧電体層の伸縮が阻害されて、所望の圧電歪が得られなくなる恐れがある。また、圧電体層の伸縮に絶縁材が充分に追随できない場合には、長期使用後に絶縁材にクラック等が生じて、絶縁破壊が発生する恐れもある。
これに対して、樹脂は圧電体層よりもヤング率が充分に小さく圧電体層よりも柔軟なため、樹脂を主成分とする絶縁材では、上記問題は生じにくいと考えられる。
本発明者はまた、樹脂を主成分としても、無機粒子等の添加によって絶縁材のヤング率が10GPaを超えると、無機ガラスと同様の問題が生じることを見出している(後記比較例2を参照)。すなわち、本実施形態において、絶縁材21はヤング率10GPa以下の条件を充足することが必須であり、この条件を充足する範囲内で1種又は複数種の絶縁性樹脂を主成分とすることが好ましい。
絶縁性樹脂としては特に制限なく、イミド系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
また、単に樹脂を主成分とする絶縁材では、樹脂が溶融する過程で周囲に広がりやすい。そのため、絶縁材で被覆したい内部電極層の電極端面が良好に絶縁されない、あるいは絶縁材で被覆したくない内部電極層の電極端面まで絶縁材で被覆されるという現象が起こり、所望の導通と絶縁とを安定して取れない恐れがある。
絶縁特性の観点からは、絶縁材として内部に空隙がなく緻密なものが好ましい。樹脂が溶融することで微小な空隙が埋められるので、樹脂の溶融過程は必要と考えられる。
流動性抑制と絶縁特性とを考慮すれば、絶縁材21として、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体を含む原料液を用い、液相と固相又はゲル相との2相共存状態を経て形成されたものが好ましい。原料液は、溶液でもエマルジョンでもよい。絶縁性樹脂の前駆体は、重合反応や架橋反応等により絶縁性樹脂になるものであり、モノマー、比較的低分子量のプレポリマー、又は未架橋の架橋性樹脂等である。
上記原料液を用いることで、樹脂の溶融によって生成される液相によって緻密な空隙が埋められ、しかも絶縁材形成過程における流動が固相又はゲル相の存在によって抑制されるので、緻密でパターン精度の高い絶縁材21が得られる。
<原料液(I)>
絶縁材21の原料液としては、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体の一部が、固状粒子又はゲル状粒子の形態で存在している原料液(I)が好ましい。
原料液(I)を用いる場合には、上記の固状粒子又はゲル状粒子が固相又はゲル相を形成する。また、この粒子自体も樹脂及び/又は樹脂前駆体を主成分とするので、絶縁材21の形成過程で最終的には粒子形状は消失して、他の成分と一体化して1つの相となる。
原料液(I)としては、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体として、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と、架橋性絶縁性樹脂が架橋された架橋樹脂を主成分とする固状又はゲル状の架橋樹脂粒子(B)とを含む原料液(I−a)が、特に好ましい。
絶縁材21は、上記原料液(I−a)を用いた電着及び焼成により形成することができる。焼成工程で、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)は架橋する。また、焼成工程で、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とはいずれも溶融し、これによってこれらが1つの相となる。
電着及び焼成により絶縁材21を形成する場合、原料液である電着液の液性はアニオン性又はカチオン性である必要がある。アニオン型電着液では、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)として、エポキシ変性アクリル樹脂等が挙げられる。カチオン型電着液では、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)として、アミン変性エポキシ樹脂、及びスルホニウム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
架橋樹脂粒子(B)は、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)で例示したような樹脂を架橋させた架橋樹脂を主成分とするものである。架橋樹脂粒子(B)は乳化重合等により調製することができる。平均粒子径は特に制限なく、1〜30μmが好ましい。
電着液には、上記成分(A),(B)の他に、必要に応じて、水性溶媒、乳化剤、硬化剤、及び触媒等が配合される。
本実施形態では、積層圧電体10の同じ側面に露出した電極端面を一層おきに絶縁処理する必要がある。左側面10Aに絶縁材21を形成する方法について説明する。内部電極層12bと同じ電極ピッチで形成された積層電極を用意して、これを積層圧電体10の右側面10Bに当接させる。アニオン型電着液を用いる場合には、積層圧電体10と積層電極との接合体を陽極とし、この陽極と対向電極である陰極とを電着液内に浸漬させ、積層圧電体10と対向電極との間に電圧を印加することで、左側面10Aに露出した内部電極層12bの電極端面のみを選択的に絶縁処理することができる。カチオン型電着液を用いる場合には、積層圧電体10と積層電極との接合体を陰極とし、対向電極を陽極とすればよい。右側面10Bの絶縁材21についても、同様に形成することができる。
<原料液(II)>
原料液としては、樹脂及び/又は樹脂前駆体を主成分とする固状粒子又はゲル状粒子の代わりに、無機粒子(C)を含む原料液(II)を用いてもよい。この場合、無機粒子(C)が固相を形成する。樹脂及び/又は樹脂前駆体を主成分とする粒子と異なり、無機粒子(C)は樹脂及び/又は樹脂前駆体とは1つの相にならず、絶縁材21の形成終了後も粒子状のまま存在する。
原料液(II)としては例えば、原料液(I)で挙げた未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と無機粒子(C)とを含む原料液(II−a)が挙げられる。無機粒子(C)としては特に制限なく、シリカ粒子等が挙げられる。平均粒子径は特に制限なく、一次粒子径で5〜100nmが好ましく、40〜70nmがより好ましい。
原料液(II)を用いる場合にも、絶縁材21は電着及び焼成により形成することができる。
<原料液(I)と(II)との比較>
原料液(I)と原料液(II)とを比較すれば、前者がより好ましい。図2及び図3を参照して、電着及び焼成により絶縁材21を形成する場合について説明する。図2(a)は未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とを含む原料液(I−a)を用いる場合の電着の様子を示す図であり、図2(b)はこの電着により形成される絶縁材の拡大図である。図3(a)は未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と無機粒子(C)とを含む原料液(II−a)を用いる場合の電着の様子を示す図であり、図3(b)はこの電着により形成される絶縁材の拡大図である。
図2(a)に示すように、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とを含む原料液(I−a)を用いる場合、架橋樹脂粒子(B)として、成分(A)が架橋された架橋樹脂を主成分とする粒子を用いることができる。かかる構成では、成分(A)と成分(B)の表面極性官能基の種類(アニオン型では−COOH等、カチオン型では−NH等)を合わせることができる。成分(A)と成分(B)の表面極性官能基がいずれも−COOHである場合について図示してある。
成分(A)と成分(B)の表面極性官能基の種類が同一であれば、成分(A)と成分(B)の表面電位が略等しくなるので、成分(A)と成分(B)の電極端面への付着のしやすさは同等レベルとなる。そのため、電着液の成分比と略等しい成分比で絶縁材21を形成することができ、材料設計がしやすい。同じ電着液を用いて積層圧電体10を変えて複数回電着を行う場合にも、電着液中の成分比が大きく変動しないので、製造安定性にも優れている。
成分(A)と成分(B)の表面極性官能基が同一でない場合にも、成分(A)と成分(B)の基本骨格はいずれも樹脂であるので、アニオン型同士あるいはカチオン型同士であれば、表面電位はそれ程大きく異なることはなく、電着液の成分比に近い成分比で絶縁材21を形成することができると考えられる。
図2(b)に示すように、架橋樹脂粒子(B)は、最終的には粒子形状が消失し、成分(A)と一体化して1つの相になるため、絶縁材21は、その内部に異物が存在せず一体性が優れたものとなる。かかる絶縁材21では、内部クラック等が生じにくく、長期使用後にも絶縁破壊が生じにくい。
また、成分(A)と成分(B)はいずれも樹脂であるので、ヤング率も本実施形態の規定を安定的に充足することができる。
図3(a)に示すように、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と無機粒子(C)とを含む原料液(II−a)を用いる場合、成分(A)と成分(C)は基本骨格の組成が大きく異なり、成分(A)と成分(C)の表面極性官能基も通常異なる。未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)の表面極性官能基は、アニオン型では例えば−COOH等である。無機粒子(C)がシリカ粒子の場合、無機粒子(C)の表面極性官能基は−OHである。成分(A)の表面極性官能基が−COOHであり、成分(C)の表面極性官能基が−OHである場合について図示してある。
かかる成分の組合せでは、原料液(I)を用いる場合と比べて、成分(A)と成分(C)の表面電位の差が相対的に大きい傾向にあり、成分(A)と成分(C)の電極端面への付着のしやすさに差が生じる可能性がある。そのため、電着液の成分比と異なる成分比の絶縁材21が形成される可能性があり、原料液(I)を用いる場合と比べて所望組成の絶縁材21を形成することが相対的に難しい。また、同じ電着液を用いて積層圧電体10を変えて複数回電着を行う場合には、電着液中の成分比が変動する可能性もある。
図3(b)に示すように、無機粒子(C)は主成分の樹脂とは1つの相にならず、絶縁材21の形成終了後も粒子状のまま存在する。そのため、樹脂と無機粒子(C)との界面が電界ストレスに弱く、長期使用後に、樹脂と無機粒子(C)との界面部分が起点となって絶縁材21内に微小なクラックが発生する恐れがある。
また、無機粒子(C)の配合量が多くなると、絶縁材21が硬くなって、無機ガラスからなる絶縁材と同様の問題が発生するので、配合量には制限がある。
アニオン型の電着液を用いる場合について説明したが、カチオン型の電着液を用いる場合には、無機粒子(C)の表面官能基をカチオン性にする必要がある。例えば、表面極性官能基が−NH等であるカチオン型の未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)を用い、無機粒子(C)としてシリカ粒子を用いて電着を行う場合には、−NH基を有するシランカップリング剤等を用いて、無機粒子(C)の表面極性官能基をカチオン性にするなどの工夫が必要である。
<原料液(III)>
原料液としては、樹脂及び/又は樹脂前駆体を主成分とする固状粒子又はゲル状粒子と、無機粒子(C)とを含む原料液(III)を用いてもよい。
原料液(III)としては、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)と無機粒子(C)とを含む原料液(III−a)が挙げられる。
原料液(I)〜(III)のいずれかを用い、絶縁材21を電着及び焼成により形成する場合について説明した。電着では、位置決めを行わなくても、電極端面に選択的に必要な成分を付着させることができるので、絶縁材21の形成が簡易であり、好ましい。
絶縁材21は、その他の方法で形成することもできる。例えば、絶縁材21は、マイクロディスペンサを用い、位置決めしながら原料液の塗布を行い、その後、塗布したものを熱硬化又は光硬化等により硬化することでも、形成することができる。マイクロディスペンス法により絶縁材21を形成する場合には、原料液はアニオン性又はカチオン性のエマルジョン形態である必要はなく、例えば、未架橋の液状樹脂と固相又はゲル相との2相共存状態の原料液を使用できる。
本実施形態の積層型圧電素子1は、以上のように構成されている。
本実施形態の積層型圧電素子1では、内部電極層12の電極端面を被覆する絶縁材21のヤング率を10GPa以下に規定する構成としている。かかるヤング率の絶縁材21であれば充分な柔軟性を有するので、本実施形態によれば、電極端面を被覆する絶縁材21によって圧電体層11の伸縮が阻害されることなく、長期使用に渡って絶縁材21のクラック等及びこれによる絶縁破壊を抑制することができ、耐久性に優れた積層型圧電素子1を提供することができる。
本実施形態の積層型圧電素子1において、絶縁材21は、絶縁性樹脂及び/又は絶縁性樹脂の前駆体を含む原料液を用い、液相と固相又はゲル相との2相共存状態を経て形成されたものであることが好ましい。かかる絶縁材21では、絶縁材形成過程における流動が固相又はゲル相の存在によって抑制されるので、絶縁材21のパターン精度が良好で、所望の導通と絶縁を安定して取ることが可能な積層型圧電素子1を提供することができる。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1〜4,比較例1〜2)
<電着液の調製>
各例において、表1に示す配合比で原料を配合して、電着液を調製した。表中の配合量は電着液量を100質量%としたときの固形分量であり、各例とも総固形分量は20質量%とした。用いた原料は以下の通りである。
未架橋エマルジョン:未架橋のアミン変性エポキシ樹脂(成分(A))を含むカチオン型エマルジョン、
架橋エマルジョン:アミン変性エポキシ樹脂が架橋された架橋樹脂を主成分とするゲル状粒子(平均粒径20μm、成分(B))を含むマイクロゲルエマルジョン、
コロイダルシリカ:平均粒径50nmのシリカ粒子(成分(C))を含む分散液
<電着基材>
各例において、下記2種の電着基材を用意した。
電着基材1:複数の圧電体層と複数の内部電極層とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体(圧電体層=PZT、圧電体層の層数=25層、圧電体層の層厚=100μm)、
電着基材2:スライドガラス上にPtをスパッタコーティングしたガラス/Pt積層板(Pt厚=0.5μm)
<絶縁破壊電圧とヤング率の評価>
各例において、2枚のガラス/Pt積層板(電着基材2)に対して、調製した電着液を用いて、電着を実施した。架橋硬化後の絶縁膜の厚みがそれぞれ15μm、30μmとなるように、印加電圧を50〜80Vの範囲内で調整した。いずれの試料についても、電着終了後、100℃で乾燥させ、さらに180℃20分の条件で架橋硬化のための加熱を行った。
15μm厚の絶縁膜を形成したガラス/Pt積層板については、絶縁膜上に真空蒸着法にてAu電極(0.2μm厚、1.5mmφ)を形成した。得られたガラス/Pt下部電極/15μm絶縁膜/Au上部電極の積層体を、絶縁破壊電圧の評価に供した。絶縁油中にサンプルを浸漬した状態で、Pt/Au電極間に印加する電圧を徐々に上げて(昇圧速度=1kV/min)、絶縁破壊電圧を測定した。
また、得られたガラス/Pt/30μm絶縁膜の積層体を、ヤング率の評価に供した。ヤング率は、ナノインデンテーション法により測定した。具体的には、サンプルに対して徐々に荷重をかけていき最大9.8mNの荷重をかけた後、徐々に除荷し、このとき得られる除荷中の荷重変位曲線の傾きからヤング率を算出した。
<積層型圧電素子の作製と評価>
各例において、調製した電着液を用いて、積層圧電体(電着基材1)の1つの側面に露出した複数の内部電極層の電極端面に対して、一層おきに電着絶縁を実施した。印加電圧は、ガラス/Pt積層板(電着基材2)に対して同じ電着液を用いて電着を実施したときに、架橋硬化後の絶縁膜の厚みが15μmとなる条件とした。電着終了後、100℃で乾燥させ、さらに180℃20分の条件で架橋硬化のための加熱を行った。形成された絶縁材の線幅を、測長光学顕微鏡にて測定した。
同様に、先に電着絶縁を行った側面と対向する側面に露出した複数の内部電極層の電極端面に対しても、一層おきの電着絶縁と焼成とを実施した。その後、積層圧電体の2つの側面に対して、Ptのスパッタコーティングにより外部電極(0.5μm厚)を形成して、積層型圧電素子を得た。
素子は、絶縁油中に素子を浸漬させ、室温にて300V×5分の分極処理を行った後、耐久性評価に供した。1kHz矩形波(0−200V、duty50%、図4を参照)を素子に印加し、素子温度を60℃以下に保ちながら、故障するまでの印加サイクル数を求めた。素子温度が60℃を超えた場合には、電圧印加を休止し、60℃以下に冷却した後、電圧印加を再開した。使用した圧電体の抗電界は室温で650V/mmであり、200Vの印加電圧は抗電界の約3倍の電界を積層圧電素子に印加していることとなる。
<結果>
評価結果を表2に示す。
圧電体層の層厚は100μmであるので、一層おきの絶縁処理では、絶縁材の線幅として内部電極層の電極ピッチの2倍弱まで許容される。ただし、絶縁材の線幅が大きくなりすぎると、外部電極と導通させたい内部電極層の電極端面まで絶縁材で被覆されてしまうので、絶縁材の線幅として内部電極層の電極ピッチの1.5倍以下が好ましい。
参考までに、比較例1及び実施例2における、積層圧電体(電着基材1)の側面に交互絶縁し、外部電極を形成する前の表面状態の光学顕微鏡写真を図5に示す(図5(a)が比較例1、図5(b)が実施例2)。
電着液として未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)のエマルジョンを用いた比較例1では、樹脂が架橋硬化する前に、加熱によって樹脂が溶融して流動化し周囲に広がったため、絶縁材の線幅が180μm超となった。このため、絶縁材で被覆したい内部電極層の電極端面が良好に絶縁されない箇所と、絶縁材で被覆したくない内部電極層の電極端面が絶縁材で被覆された箇所が見られた。かかる交互絶縁不良が生じたため、所望の絶縁と導通とが取れず、積層型圧電素子を作製することができなかった。
これに対して、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とを含む電着液を調製した実施例1〜2、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と無機粒子(C)とを含む電着液を調製した実施例3、及び、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)と無機粒子(C)とを含む電着液を調製した実施例4では、絶縁材形成過程における流動が抑制され、絶縁材の線幅が80〜110μmと良好であった。いずれの実施例においても、絶縁したい電極端面は絶縁材できれいに被覆され、絶縁したくない電極端面は絶縁材で被覆されず、絶縁材のパターン精度が良好であった。
特に、無機粒子(C)を配合せず、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とを含む電着液を調製した実施例1〜2では、絶縁破壊電圧が高く、良好であった。
無機粒子(C)を含む電着液を調製した例では、絶縁破壊電圧が低下し、ヤング率が高くなる傾向にあった。固形分の合計量100質量%に対して、無機粒子(C)を20質量%配合した比較例2では、絶縁材のヤング率が10GPaを超え、故障するまでの印加サイクル数は9×10サイクル以下であった。固形分の合計量100質量%に対して、無機粒子(C)を10質量%配合した実施例3〜4では、無機粒子(C)の配合による悪影響はそれ程なく、良好な結果が得られた。
本発明の積層型圧電素子は、インクジェット式記録ヘッド,磁気記録再生ヘッド,MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)デバイス,マイクロポンプ,及び超音波探触子等に搭載される圧電アクチュエータ等に好ましく利用できる。
本発明に係る実施形態の積層型圧電素子の断面図 (a)は未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と架橋樹脂粒子(B)とを含む原料液(I−a)を用いる場合の電着の様子を示す図、(b)はこの電着により形成される絶縁材の拡大図 (a)は未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と無機粒子(C)とを含む原料液(II−a)を用いる場合の電着の様子を示す図、(b)はこの電着により形成される絶縁材の拡大図 積層型圧電素子の評価方法の説明図 (a)は比較例1で形成された絶縁材パターンの光学顕微鏡写真、(b)は実施例2で形成された絶縁材パターンの光学顕微鏡写真 (a)は部分電極構造の積層型圧電素子の断面図、(b)は全面電極構造の積層型圧電素子の断面図
符号の説明
1 積層型圧電素子
10 積層圧電体
10A 左側面(一側面)
10B 右側面(他側面)
11 圧電体層
12a,12b,12 内部電極層
21 絶縁材
22a,22b,22 外部電極

Claims (9)

  1. 複数の圧電体層と複数の内部電極層とが一層ずつ交互に積層された積層圧電体と、該積層圧電体に形成された外部電極とを備え、
    前記外部電極は、前記積層圧電体の一側面に形成された第1の外部電極と、他側面に形成された第2の外部電極とからなり、前記複数の内部電極層が、前記第1の外部電極と前記第2の外部電極とに交互に導通された積層型圧電素子において、
    前記複数の内部電極層はいずれも、前記積層圧電体の前記一側面及び前記他側面において電極端面が露出しており、かつ、該露出した電極端面のうち、一方が前記外部電極に導通され、他方が絶縁材で被覆されて前記外部電極に対して絶縁されており、
    前記絶縁材のヤング率が10GPa以下であることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記絶縁材は、1種又は複数種の絶縁性樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記絶縁材は、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体を含む原料液を用い、液相と固相又はゲル相との2相共存状態を経て形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記原料液において、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体の一部は、固状粒子又はゲル状粒子の形態で存在していることを特徴とする請求項3に記載の積層型圧電素子。
  5. 前記原料液は、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体として、未架橋の架橋性絶縁性樹脂(A)と、架橋性絶縁性樹脂が架橋された架橋樹脂を主成分とする固状又はゲル状の架橋樹脂粒子(B)とを含むことを特徴とする請求項4に記載の積層型圧電素子。
  6. 前記原料液は、前記絶縁性樹脂及び/又は前記絶縁性樹脂の前駆体の他に、無機粒子(C)を含むことを特徴とする請求項3に記載の積層型圧電素子。
  7. 前記原料液の液性がアニオン性又はカチオン性であり、
    前記絶縁材は、該原料液を用いた電着及び焼成により形成されたものであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  8. 前記圧電体層の層厚が150μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  9. 前記外部電極は、Ni,Au,及びPtからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層型圧電素子。
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