以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の像ブレ補正装置を適用した撮像装置の概略を示す外観斜視図である。図2は、本発明の一実施形態の像ブレ補正装置の分解斜視図である。図3は、本発明の一実施形態の像ブレ補正装置を組み立てた状態を示す正面図である。なお、図3においては、当該像ブレ補正装置における二つの駆動機構部を示すために一部を破いて、その断面を示している。図4は、図3の矢印[IV]方向から見た主要部の矢視断面図である。図5は、図3の矢印[V]方向から見た主要部の矢視断面図である。
本発明の一実施形態の像ブレ補正装置の詳細構成を説明する前に、当該像ブレ補正装置が適用される撮像装置の概略構成について、図1を用いて以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の像ブレ補正装置1が適用される撮像装置100は、像ブレ補正装置1とレンズ鏡筒ユニット2とによって構成される。
レンズ鏡筒ユニット2は、複数の光学要素からなり被写体像を結像する撮影光学系2bと、この撮影光学系2bをその光軸に沿う方向に移動自在に保持する複数の鏡筒等からなるレンズ鏡筒2aと、このレンズ鏡筒2aのうち焦点調節用の光学系を保持する鏡筒を駆動するためのフォーカス用モータ2cと、レンズ鏡筒2aのうち変倍動作を行なう光学系を保持する鏡筒を駆動するためのズーム用モータ2dと、フォーカス用モータ2c及びズーム用モータ2dと各対応する鏡筒とを連結し駆動力を伝達する機構部(特に図示せず)等によって主に構成されている。
このレンズ鏡筒ユニット2に対して像ブレ補正装置1が組み付けられることにより、本撮像装置100が構成されることになる。この場合において、像ブレ補正装置1は、その基本構成部材となる基台10が、レンズ鏡筒ユニット2の基台部に対して固設される。このとき、レンズ鏡筒ユニット2と像ブレ補正装置1との位置関係は、レンズ鏡筒ユニット2の撮影光学系2bの光軸が、像ブレ補正装置1の撮像素子51(後述する。図2,図3参照)の受光面の中心点に略一致するように、かつ撮影光学系2bの光軸が撮像素子51の受光面に対して直交するようになっている。これにより、撮影光学系2bによって形成される被写体像は、撮像素子51の受光面上に結像されるようになっている。
次に、本実施形態の像ブレ補正装置1の詳細構成を、図2−図5を用いて以下に説明する。
本実施形態の像ブレ補正装置1は、基本構成部材となる基台10と、基台10に対して変位可能に支持される第1の移動部材である第1移動枠11と、この第1移動枠11に対して変位可能に支持される第2の移動部材である第2移動枠31と、この第2移動枠31に支持され撮像素子51を有して構成される撮像素子ユニット50と、基台10に固設され第1移動枠11と第2移動枠31と撮像素子ユニット50とを組み立てた状態の組立ユニット(以下、この組立ユニットを単に可動ユニットという)を第1の方向(後述する。図2−図5に示す矢印Yに沿う方向)に変位させるための駆動源及び駆動機構からなる第1の駆動機構である第1駆動機構部14と、基台10に固設され上記第2移動枠31,撮像素子ユニット50を第2の方向(後述する。図2−図5に示す矢印Xに沿う方向)に変位させるための駆動源及び駆動機構からなる第2の駆動機構である第2駆動機構部34とによって主に構成されている。
基台10は、略中央部分に開口窓10xを有する枠状部材である。この基台10には、上述したように第1駆動機構部14と第2駆動機構部34とが固設されている。この場合において、第1駆動機構部14が配置されている領域から第1の方向(矢印Y方向)に沿って延長した領域の近傍に第2駆動機構部34が配置されている。
第1駆動機構部14は、基台10の所定の部位にネジ21aによって固設され第1移動枠11を駆動するための第1のモータである第1モータ15と、この第1モータ15の回転軸の一端に固設される第1ピニオン16と、この第1ピニオン16に噛合する第1歯車17と、この第1歯車17の同軸上に軸支され第1モータ15により駆動される第1のリードスクリューである第1リードスクリュー18と、この第1リードスクリュー18に噛合して同第1のリードスクリューの回転により第1の方向に沿って変位する第1のナットである第1ナット19等によって構成される。
基台10の所定の部位に第1駆動機構部14の各構成部材が配設された状態において、その外側からは、これら構成部材を覆うように第1駆動部オサエ板20がネジ21bを用いて固設される。
なお、第1ナット19は、その略中央部分に第1リードスクリュー18に噛合する雌ネジ部が形成されていると共に、外周縁部の一部には、第1移動枠11の所定の係合部位11p(図5参照)に係合することで、第1リードスクリュー18の回転に伴って当該第1ナット19自体が回転するのを規制する回転規制部19aを有している。
また、第1リードスクリュー18は、図3の断面で示す破砕部Aに示すように、その一端部は、第1駆動部オサエ板20に対して回動自在に軸支されている一方、他端部は、基台10の固定部10mにおいて回動自在に軸支されている。
したがって、この構成により、第1モータ15が駆動されると、第1ピニオン16が回動し、これに噛合する第1歯車17を介して第1リードスクリュー18が同方向に回動する。第1リードスクリュー18が回動するのに伴って、第1ナット19は、図3の矢印Yに沿う方向(第1の方向)に移動するようになっている。
ここで、本像ブレ補正装置1が組み立てられた状態においては、図3に示すように、第1駆動機構部14の第1ナット19は、第1移動枠11の第1の係合部である第1係合部11c(図3参照)の内側部分(図3においては下面側)に当接し係合するように配設されている。
第1係合部11cには、断面が略U字形状からなる第1切欠部11eが形成されている。この第1切欠部11eは、第1係合部11cと第1ナット19との当接を確保しながら、第1リードスクリュー18が干渉しないようにするために設けられているものである。
なお、第1ナット19と第1係合部11cとが係合する位置は、当該像ブレ補正装置1を正面側から見たときに、後述する第1付勢ばね13と第1位置決め用ガイド軸12との間の領域に配置されるようになっている(図3,図5参照)。
また、第1駆動機構部14の近傍には、第1位置検出センサ24(図2参照)が基台10の所定の固定部(特に図示せず)に対して固設されている。この第1位置検出センサ24のセンサ部に対応させて、第1移動枠11側には、第1検出部11dが設けられている(図5参照)。そして、第1移動枠11が移動するのに伴って第1検出部11dが第1位置検出センサ24のセンサ部を通過するようになっている。これにより、第1位置検出センサ24は、第1移動枠11の移動を検知し得るようになっている。
第2駆動機構部34は、基本的には上述の第1駆動機構部14と同様の構成からなり、基台10の所定の部位にネジ41aによって固設され第2移動枠31を駆動するための第2のモータである第2モータ35と、この第2モータ35の回転軸の一端に固設される第2ピニオン36と、この第2ピニオン36に噛合する第2歯車37と、この第2歯車37の同軸上に軸支され第2モータ35により駆動される第2のリードスクリューである第2リードスクリュー38と、この第2リードスクリュー38に噛合して同第2のリードスクリューの回転により第2の方向に沿って変位する第2のナットである第2ナット39等によって構成される。
基台10の所定の部位に第2駆動機構部34の各構成部材が配設された状態において、その外側からは、これら構成部材を覆うように第2駆動部オサエ板40がネジ41bを用いて固設される。
なお、第2ナット39は、その略中央部分に第2リードスクリュー38に噛合する雌ネジ部が形成されていると共に、外周縁部の一部には、基台10の係合部位10q(図4参照)に係合することで、第2リードスクリュー38の回転に伴って当該第2ナット39自体が回転するのを規制する回転規制部39aを有している。
また、第2リードスクリュー38は、図3の断面で示す破砕部Bで示すように、その一端部は、第2駆動部オサエ板40に対して回動自在に軸支されている一方、他端部は、基台10の固定部10nにおいて回動自在に軸支されている。
したがって、この構成により、第2モータ35が駆動されると、第2ピニオン36が回動し、これに噛合する第2歯車37を介して第2リードスクリュー38が同方向に回動する。第2リードスクリュー38が回動するのに伴って、第2ナット39は、図3の矢印Xに沿う方向(第2の方向)に移動するようになっている。
ここで、本像ブレ補正装置1が組み立てられた状態においては、図3に示すように、第2駆動機構部34の第2ナット39は、第2移動枠31と一体に配設される係合部材45の第2の係合部である第2係合部31c(図3参照)の内側部分(図3においては向かって左側面)に当接し係合するように配設されている。
第2係合部31cは、断面が略U字形状からなり第1の方向に延出するように形成される第2切欠部31eを有している。この第2切欠部31eは、後述するように第1移動枠11の第1の方向に沿う変位に伴って第2移動枠31が同方向に沿って変位した際に、第2係合部31cと第2ナット39とは同方向(第1の方向)に沿ってその当接位置が変位するようになっているが、このとき両者(第2係合部31cと第2ナット39と)の当接状態を確保しつつ、第2リードスクリュー38が第2係合部31cに干渉しないようにするために設けられているものである。
そのために、第2切欠部31eは、第2リードスクリュー38を囲うように配置され、かつ第1方向に延出するように形成されている。そして、当該第2切欠部31eの切り欠き量は、第1移動枠11の第1の方向に沿う移動量よりも大きくなるように設定されている。
また、第2係合部31cと第2ナット39とは、第1駆動機構14が配置される領域を第1の方向へと延長した領域の近傍に配置されている(図3参照)。
なお、本実施形態では、第2移動枠31と係合部材45とを別部材によって構成し両者を一体となるように組み立てて構成した例を挙げて説明している。しかしながら、この構成に限ることはなく、例えば、第2移動枠31の所定の部位を係合部材45と同様の形状に形成するようにしてもよい。この場合にも、全く同様の作用及び効果を実現することができる。
また、第2駆動機構部34の近傍には、第2位置検出センサ44(図2参照)が基台10の所定の固定部(特に図示せず)に対して固設されている。この第2位置検出センサ44のセンサ部に対応させて、第2移動枠31側には、第2検出部31dが設けられている。そして、第2移動枠31が移動するのに伴って第2検出部31dが第2位置検出センサ44のセンサ部を通過するようになっている。これにより、第2位置検出センサ44は、第2移動枠31の移動を検知し得るようになっている。
第1移動枠11は、略中央部分に開口窓11xを有する枠状部材である。この第1移動枠11は、上述したように基台10に対して変位可能に支持される第1の移動部材である。この場合において、第1移動枠11は、撮像素子51(後述する)の受光面に平行な面内における第1の方向、即ち図2−図5に示す矢印Yに沿って基台10に対して変位可能に支持されている。
そのために、第1移動枠11は、基台10に対して第1の位置決め用ガイド(案内)軸であり第1移動枠11を支持する支持軸である第1位置決め用ガイド軸12と、第1移動枠11を第1の方向に沿ってガイド(案内)し、第1移動枠11の第1位置決め用ガイド軸12回りの回動を規制する第1の回転止め用ガイド(案内)軸である第1回転止め用ガイド軸22とを介して所定の方向(第1の方向,矢印Y方向)に沿って変位可能に支持されている。
このことは、具体的には、次に示すような構成により実現される。即ち、図2,図3に示すように、第1移動枠11の一側縁部には、第1位置決め嵌合部11a(二箇所)が設けられている。この第1位置決め嵌合部11aには、第1位置決め用ガイド軸12が摺動自在に貫通している。そして、この貫通状態を維持したまま、第1位置決め用ガイド軸12は、その両端部が基台10の支持部10g(二箇所)に対して軸支されている。
なお、第1位置決め用ガイド軸12は、第1駆動機構部14が配置されている領域と、第2駆動機構部32が配置されている領域との間に配置されている。
また、第1移動枠11の他側縁部には、断面がU字形状からなる軸受溝部を有する第1回転止め嵌合部11bが外部に向けて突設されている。
一方、第1回転止め用ガイド軸22は、基台10の支持部10f(二箇所)を貫通することで同基台10に対して軸支されている。この第1回転止め用ガイド軸22に対して第1回転止め嵌合部11bの軸受溝部が摺動自在に係合している。
なお、第1回転止め用ガイド軸22は、基台10の開口窓10x(から露呈する撮像素子51)を挟んで第1位置決め用ガイド軸12に対向する部位に設けられている。
これにより、第1位置決め用ガイド軸12は、基台10に対して第1移動枠11が第1の方向(矢印Y方向)に沿って変位するのをガイド(案内)すると共に、基台10に対して第1移動枠11が第1の方向と交差する方向(矢印X方向,第2の方向)に移動するのを規制している。
また、第1回転止め用ガイド軸22は、基台10に対して第1移動枠11が第1の方向(矢印Y方向)に沿って変位するのをガイド(案内)すると共に、基台10に対して第1移動枠11が第1位置決め用ガイド軸12の軸回りに回動してしまうのを規制している。
一方、第1移動枠11と基台10との間には、緊縮性のコイルばね等からなり、第1移動枠11を第1の方向(矢印Y方向)に沿って付勢する付勢ばねである第1付勢ばね13が懸架されている。この第1付勢ばね13は、第1位置決め用ガイド軸12の近傍において、第1回転止め用ガイド軸22寄りの側部に沿って、第1位置決め用ガイド軸12の長軸方向に平行となるように並べて配設されている。
この場合において、第1付勢ばね13の一端部は、第1移動枠11の係止部11hに架けられている一方、第1付勢ばね13の他端部は、基台10の係止部10hに架けられている。そして、第1付勢ばね13の伸縮方向は、第1位置決め用ガイド軸12の長軸に沿う方向、即ち第1位置決め用ガイド軸12及び第1回転止め用ガイド軸22によりガイドされる第1移動枠11の移動方向(第1の方向,矢印Y方向)と略一致するようになっている。つまり、第1付勢ばね13は、基台10に対して第1移動枠11を図3に示す矢印Y1に沿う方向に付勢している。換言すれば、第1付勢ばね13は、第1移動枠11に対して図3の矢印Y1に沿う方向の付勢力を与えている。
これと同時に、第1付勢ばね13の配置を、上述したように第1位置決め用ガイド軸12の近傍の第1回転止め用ガイド軸22寄りの側方としている。このことから、第1付勢ばね13によって生じる矢印Y1方向への付勢力は、撮像素子51の受光面に平行な面内において、第1移動枠11を第1位置決め用ガイド軸12の側を回転中心として図3において反時計方向へ回転させる回転付勢力としても作用している。
また、第1回転止め用ガイド軸22の近傍には、伸長性のコイルばね等からなり、第1移動枠11を第1の方向に沿って付勢すると共に、撮像素子51の受光面に平行な面内で第1移動枠11を回転付勢する第1の回転付勢ばねである第1回転付勢ばね23が配設されている。
本実施形態における第1回転付勢ばね23は、具体的には第1回転止め用ガイド軸22に巻回されて配設されている。そして、この第1回転付勢ばね23は、第1回転止め用ガイド軸22が基台10と第1移動枠11とに軸支された状態において、基台10の支持部10f(二箇所のうちの一方)と第1移動枠11の第1回転止め嵌合部11bとの間に配設されている。
この状態において第1回転付勢ばね23の一端部は、基台10の支持部10fの一側面に当接しており、第1回転付勢ばね23の他端部は、第1移動枠11の第1回転止め嵌合部11bの一側面(支持部10fの一側面に対向する面)に当接している。これにより、第1回転付勢ばね23の伸縮方向は、第1位置決め用ガイド軸12及び第1回転止め用ガイド軸22によりガイドされる第1移動枠11の移動方向(第1の方向,矢印Y方向)と略一致するようになっている。つまり、第1回転付勢ばね23は、基台10に対して第1移動枠11を図3に示す矢印Y2に沿う方向に付勢している。換言すれば、第1回転付勢ばね23は、第1移動枠11に対して図3の矢印Y2に沿う方向の付勢力を与えている。
なお、第1回転付勢ばね23によって生じる矢印Y2方向への付勢力は、撮像素子51の受光面に平行な面内において、第1移動枠11を第1位置決め用ガイド軸12の側を回転中心として図3において反時計方向へ回転させる回転付勢力としても作用している。
このように第1付勢ばね13及び第1回転付勢ばね23による付勢方向Y1,Y2を
略同方向とし、第1位置決め用ガイド軸12に対し第1付勢ばね13及び第1回転付勢ばね23を共に第1回転止め用ガイド軸22側に配することで、第1移動枠11に対し撮像素子51の受光面に平行な面内で同じ方向へと回転付勢することができる。これにより、ガイド軸とその嵌合部とのガタを効率的に一方に寄せることができる。
第2移動枠31は、略中央部分に開口窓31xを有する枠状部材である。この第2移動枠31は、上述したように第1移動枠11に対して変位可能に支持される第2の移動部材である。この場合において、第2移動枠31は、第1移動枠11と共に撮像素子51の受光面に平行な面内における第1の方向(矢印Y方向)に沿って変位可能であり、かつ第1の方向(矢印Y方向)と略直交する面内における第2の方向、即ち図2−図5に示す矢印Xに沿って第1移動枠11に対して変位可能に支持されている。
そのために、第2移動枠31は、第1移動枠11に対して第2の位置決め用ガイド(案内)軸である第2位置決め用ガイド軸32と、第1移動枠11に設けられ第2移動枠31を第2の方向(矢印X方向)に沿ってガイド(案内)し、第2移動枠31の第2位置決め用ガイド軸32回りの回動を規制する第2の回転止め用ガイド(案内)軸である第2回転止め用ガイド軸42とを介して所定の方向(第2の方向,矢印X方向)に沿って変位可能に支持されている。
このことは、具体的には、次に示すような構成により実現される。即ち、図2,図3に示すように、第2移動枠31の一側縁部には、第2位置決め嵌合部31a(二箇所)が設けられている。この第2位置決め嵌合部31aには、第2位置決め用ガイド軸32が摺動自在に貫通している。そして、この貫通状態を維持したまま、第2位置決め用ガイド軸32は、その両端部が第1移動枠11の支持部11g(二箇所)に対して軸支されている。
また、第2移動枠31の他側縁部には、断面がU字形状からなる軸受溝部を有する第2回転止め嵌合部31bが外部に向けて突設されている。一方、第2回転止め用ガイド軸42は、第1移動枠11の支持部11f(二箇所)を貫通することで同第1移動枠11に対して軸支されている。この第2回転止め用ガイド軸42に対して第2回転止め嵌合部31bの軸受溝部が摺動自在に係合している。
なお、第2回転止め用ガイド軸42は、第1移動枠11の開口窓11x(から露呈する撮像素子51)を挟んで第2位置決め用ガイド軸22に対向する部位に設けられている。
これにより、第2位置決め用ガイド軸32は、基台10に対して第1移動枠11と共に第2移動枠31が第2の方向(矢印X方向)に沿って変位するのをガイド(案内)している。つまり、第2移動枠31は、第1移動枠11に支持されているので、第1移動枠11の第1の方向(矢印Y方向)への移動に伴って、これに従動して第2移動枠31も同方向に移動するようになっている。これと同時に、第2位置決め用ガイド軸32は、第1移動枠11に対して第2移動枠31が第2の方向と交差する方向(矢印Y方向,第1の方向)に移動するのを規制する役目もしている。
また、第2回転止め用ガイド軸42は、第1移動枠11に対して第2移動枠31が第2の方向(矢印X方向)に沿って変位するのをガイド(案内)すると共に、第1移動枠11に対して第2移動枠31が第2位置決め用ガイド軸32の軸回りに回動してしまうのを規制している。
一方、第2移動枠31と基台10との間には、緊縮性のコイルばね等からなり、第2移動枠31を第2の方向(矢印X方向)に沿って付勢する第2付勢ばね33が懸架されている。この第2付勢ばね33は、第2位置決め用ガイド軸32の近傍において、第2位置決め用ガイド軸32の長軸方向と平行となるように並べて配設されている。
この場合において、第2付勢ばね33の一端部は、第2移動枠31の係止部31kに架けられている一方、第2付勢ばね33の他端部は、基台10の係止部10kに架けられている。そして、第2付勢ばね33の伸縮方向は、第2位置決め用ガイド軸32の長軸に沿う方向、即ち第2位置決め用ガイド軸32及び第2回転止め用ガイド軸42によりガイドされる第2移動枠31の移動方向(第2の方向,矢印X方向)と略一致するようになっている。つまり、第2付勢ばね33は、基台10に対して第2移動枠31を図3に示す矢印X1に沿う方向に付勢している。換言すれば、第2付勢ばね33は、第2移動枠31に対して図3の矢印X1に沿う方向の付勢力を与えている。
なお、本実施形態においては、第2付勢ばね33は、第2位置決め用ガイド軸32の近傍において、同第2位置決め用ガイド軸32を基準として撮像素子51の配置される側の領域よりも外側の領域に配置するようにしているが、この構成に限ることはない。この構成とは別に、第2付勢ばね33は、例えば第2位置決め用ガイド軸32の近傍において、第2回転止め用ガイド軸22寄りの側部に沿って配設するようにしてもよい。
また、第2回転止め用ガイド軸42の近傍には、伸長性のコイルばね等からなり、第2移動枠31を第2の方向に沿って付勢すると共に、撮像素子51の受光面に平行な面内で第2移動枠31を回転付勢する第2の回転付勢ばねである第2回転付勢ばね43が配設されている。
本実施形態における第2回転付勢ばね43は、具体的には第2回転止め用ガイド軸42に巻回されて配設されている。そして、この第2回転付勢ばね43は、第2回転止め用ガイド軸42が基台10と第2移動枠31とに軸支された状態において、第1移動枠11の支持部11f(二箇所のうちの一方)と第2移動枠31の第2回転止め嵌合部31bとの間に配設されている。
この状態において第2回転付勢ばね43の一端部は、第1移動枠11の支持部11fの一側面に当接しており、第2回転付勢ばね43の他端部は、第2移動枠31の第2回転止め嵌合部31bの一側面(支持部11fの一側面に対向する面)に当接している。これにより、第2回転付勢ばね43の伸縮方向は、第2位置決め用ガイド軸32及び第2回転止め用ガイド軸42によりガイドされる第2移動枠31の移動方向(第2の方向,矢印X方向)と略一致するようになっている。つまり、第2回転付勢ばね43は、第1移動枠11に対して第2移動枠31を図3に示す矢印X2に沿う方向に付勢している。換言すれば、第2回転付勢ばね43は、第2移動枠31に対して図3の矢印X2に沿う方向の付勢力を与えている。
なお、第2回転付勢ばね43によって生じる矢印X2方向への付勢力は、撮像素子51の受光面に平行な面内において、第2移動枠31を第2位置決め用ガイド軸32の側を回転中心として図3において反時計方向へ回転させる回転付勢力としても作用している。
したがって、第1回転付勢ばね23によって生じる回転付勢力の方向と、第2回転付勢ばね43によって生じる回転付勢力の方向とは、同方向となるように設定されている。
撮像素子ユニット50は、撮像素子51と、この撮像素子51を実装し当該撮像素子51に接続されるフレキシブルプリント基板52と、このフレキシブルプリント基板52を第2移動枠31の背面側に保持する撮像素子保持板53とによって主に構成されている。
撮像素子51の受光面の前面側には、受光面側から封止部材54,ローパスフイルター(LPF)55,遮光シート56,LPF抑え板57が配設されている。
このように構成される撮像素子ユニット50は、本像ブレ補正装置1の背面側から組み込まれるようになっている。具体的には、図2に示すように第2移動枠31に対して撮像素子保持板53が、当該両者(31,53)の間にフレキシブルプリント基板52を挟持した状態で、その背面側から三本のネジ60aにより固設される。このとき、撮像素子ユニット50の撮像素子51の受光面は、第2移動枠31の開口窓31xから前面に向けて配置されるようになる。
フレキシブルプリント基板52の一部は、撮像素子保持板53を包み込むような形態で、当該撮影素子保持板53の背面側に周り込むように配置されている。このフレキシブルプリント基板52の一部は、その背面側からFPC第1オサエ板58によって保持されている。つまり、このFPC第1オサエ板58は、その背面側からフレキシブルプリント基板52の一部を挟持した状態で、ネジ60bによって撮像素子保持板53に対して固設されている。
また、フレキシブルプリント基板52の他の一部は、外周縁部へと延設されており、その一部には、図4に示すように断面が略S字形状となるように屈曲させた形態の屈曲部52aが形成されている。
より詳しくいえば、屈曲部52aは、撮像素子51の受光面に対して略直交する方向(図3の矢印Z方向)において互いに相反するように二回屈曲した形態とされ、かつその断面形状が略S字状となるように構成されている。
また、この屈曲部52aは、撮像素子ユニット50が本像ブレ補正装置1の背面側から組み込まれた状態において、基台10の所定の空間であり、屈曲部52aを収容するために形成されるFPC屈曲部配置空間となる屈曲部収容部10aに配置されるようになっている。
この屈曲部収容部10aは、例えば第1位置決め用ガイド軸12及び第2位置決め用ガイド軸32の中心軸が交差する領域に対して撮像素子51を挟んで対向する領域であって当該撮像素子51の周縁部近傍の領域に形成される。
また、屈曲部収容部10aは、第1位置決め用ガイド軸12及び第2位置決め用ガイド軸32と、第1回転止め用ガイド軸22及び第2回転止め用ガイド軸42とに囲まれた領域よりも外側の領域に配置されている。
この屈曲部収容部10aに屈曲部52aが収容された状態において、その前後方向には、それぞれが薄板状部材によって形成されるFPC第1オサエ板58とFPC第2オサエ板59とが当接させた状態で配設されている。FPC第1オサエ板58は、上述したようにネジ60bによって撮像素子保持板53の背面側に固設されることにより、屈曲部収容部10aの背面側を覆っている。また、屈曲部収容部10aの前面側には、FPC第2オサエ板59が基台10に対して固設されている。これにより、フレキシブルプリント基板52の屈曲部52aは、その前後方向からFPC第1オサエ板58及びFPC第2オサエ板59によって屈曲部収容部10a内において、自身の有する弾性力に抗して封じ込められた状態となっている。
このように、フレキシブルプリント基板52の一部を屈曲した状態で、所定の空間(屈曲部収容部10a)の内部に封じ込めることにより、フレキシブルプリント基板52の屈曲部52aには、弾性力による復元力を有することになる。そして、このとき、当該屈曲部52aから生じる弾性力は、固定部材となる基台10と、この基台10に対して可動部材となる第2移動枠31との間に与えられる。したがって、屈曲部52aは、基台10に対して第2移動枠31を、その背面側に向けて、撮像素子51の受光面に略直交する方向(図3の矢印Z方向)に常に付勢している状態となっている。
そして、屈曲部52aを第1位置決め用ガイド軸12,第2位置決め用ガイド軸32から撮像素子51を挟んで離間した位置に配置することで、第2移動枠31に対し、第1位置決め用ガイド軸12及び第2位置決め用ガイド軸32周りに回転付勢することが効率良く可能となっている。これにより、各ガイド軸とその嵌合部とのガタを効率的に一方に寄せることができる。
このように構成される本実施形態の像ブレ補正装置1の基本的な作用は、次のようになる。ここでは、本実施形態の像ブレ補正装置1が撮像装置100に適用されている場合の作用を説明している。
例えば撮像装置100が起動し使用可能状態にあり、像ブレ補正装置1が動作し得る状態にあるときに、例えば撮像動作等を実行させるための操作部材(シャッターレリーズボタン等)が使用者によって操作されると、この指示信号が撮像装置100の制御回路(特に図示せず)に伝達され、これを受けて当該制御回路は、AF動作やAE動作等の所定の動作を実行させるべく、所定の制御動作を開始する。
そして、像ブレ補正制御信号が生じると、これに応じて、第1モータ15及び第2モータ35が駆動される。
ここで、第1モータ15の駆動力は、上述したように第1ピニオン16を回動させる。第1ピニオン16は、第1歯車17を介して第1リードスクリュー18を回動させる。
このとき、第1リードスクリュー18に螺合する第1ナット19は、その回転規制部19aが基台10の係合部位10p(図5参照)に係合していることで、自身の回転が規制されている。したがって、第1リードスクリュー18が回転するのに伴って第1ナット19は、図2の矢印Yに沿う方向(第1の方向)に移動する。
第1ナット19には、第1移動枠11の第1係合部11cが当接しており、この両者の当接状態は、第1付勢ばね13の付勢力により常に維持されている(図3参照)。つまり、第1付勢ばね13の付勢力は、第1移動枠11を基台10に対して図3に示す矢印Y1方向に付勢していることにより、第1係合部11cが第1ナット19の図3において上面側(外側面)に常に当接している状態が維持されている。
この状態で、上述したように第1モータ15の駆動制御がなされて、例えば第1ナット19が、図3の矢印Y1方向に向けて移動すると、第1移動枠11は、第1付勢ばね13の付勢力によって第1係合部11cと第1ナット19との当接状態を維持しつつ、同方向(矢印Y1方向)に移動する。
また、例えば第1ナット19が、図3の矢印Y1方向とは反対方向に向けて移動すると、
第1ナット19は、第1付勢ばね13の付勢力に抗して第1係合部11cに当接しつつ、これを押圧する。これにより、第1移動枠11は、同方向(矢印Y1方向とは反対方向)に移動する。
このように、第1モータ15が駆動制御されることにより、第1移動枠11は、第1の方向(矢印Y方向)に沿って移動制御される。
一方、第2モータ35の駆動力は、上述したように第2ピニオン36を回動させる。第2ピニオン36は、第2歯車37を介して第2リードスクリュー38を回動させる。
このとき、第2リードスクリュー38に螺合する第2ナット39は、その回転規制部39aが基台10の係合部位10q(図4参照)に係合していることで、自身の回転が規制されている。したがって、第2リードスクリュー38が回転するのに伴って第2ナット39は、図2の矢印Xに沿う方向(第2の方向)に移動する。
第2ナット39には、第2移動枠31と一体に配設される係合部材45の第2係合部31cが当接しており、この両者の当接状態は、第2付勢ばね33の付勢力により常に維持されている(図3参照)。つまり、第2付勢ばね33の付勢力は、第2移動枠31を基台10に対して図3に示す矢印X1方向に付勢していることにより、第2係合部31cが第2ナット39の図3において右側面(外側面)に常に当接している状態が維持されている。
この状態で、上述したように第2モータ35の駆動制御がなされて、例えば第2ナット39が、図3の矢印X1方向に向けて移動すると、第2移動枠31は、第2付勢ばね33の付勢力によって第2係合部31cと第2ナット39との当接状態を維持しつつ、同方向(矢印X1方向)に移動する。
また、例えば第2ナット39が、図3の矢印X1方向とは反対方向に向けて移動すると、第2ナット39は、第2付勢ばね33の付勢力に抗して第2係合部31cに当接しつつ、これを押圧する。これにより、第2移動枠31は、同方向(矢印X1方向とは反対方向)に移動する。
このように、第2モータ35が駆動制御されることにより、第2移動枠31は、第2の方向(矢印Y方向)に沿って移動制御される。
なお、第2移動枠31は、第1移動枠11の第1の方向に沿う変位に伴って同方向(第1の方向)に沿って変位することになるが、このとき、第2ナット39と第2係合部31cとは、その当接状態を維持しつつ、第1移動枠11の変位に伴って同じ第1の方向に沿って移動する。即ち、第2ナット39と第2係合部31cとの当接位置は変位する。つまり、第2移動枠31(及び第1移動枠11)の第1の方向への変位に伴って第2係合部31cも同方向に移動することになる。その移動の範囲内において、常に第2係合部31cと第2ナット39との当接状態が維持されるようになっている。
以上説明したように上記一実施形態によれば、例えば撮像装置100の撮影光学系2bにより結像される被写体像を受けて画像データを生成する撮像素子51を変位させて像ブレ補正動作を行なう像ブレ補正装置1において、撮像素子51に接続されるフレキシブルプリント基板52の一部を、当該撮像素子51の受光面に対して略直交するZ方向に屈曲させて、基台10の所定の部位に配置するようにしている。
つまり、この屈曲部52aは、第1位置決め用ガイド軸12及び第2位置決め用ガイド軸32の中心軸が交差する領域に対して撮像素子51を挟んで対向する領域であって撮像素子51の周縁部近傍の領域に設けられる屈曲部収容部10aに配置するようにしている。
そして、屈曲部52aは、第2移動枠31を撮像素子51の受光面に略直交するZ方向に付勢するようにしている。
この構成によれば、柔軟性を有するフレキシブルプリント基板52の一部に設けた屈曲部52aの弾性力によって、第2移動枠31が所望の方向、即ち撮像素子51の受光面に略直交するZ方向に常に付勢されることになる。したがって、屈曲部52aにより付勢される第2移動枠31の同方向への取り付けガタを、簡単な構成にて吸収することができる。
一方、本実施形態においては、第1付勢ばね13を、第1位置決め用ガイド軸12の近傍の第1回転止め用ガイド軸22寄りの側方とすることで、この第1付勢ばね13によって生じる回転方向の付勢力は、第1回転付勢ばね23による回転方向の付勢力と同方向としている。したがって、これにより、第1移動枠11の取り付けガタを吸収することができる。
また、本実施形態においては、第1移動枠11の第1の方向に沿う変位に伴って第2移動枠31が第1の方向に沿って変位した際に、第2ナット39と第2係合部31cとの当接状態を維持しつつ、第1の方向に沿って、その当接位置が変位するようになっている。そのために、第2係合部31cには第2切欠部31eが設けられている。したがって、これにより、二つのモータ(15,35)や、その駆動機構(14,34)のいずれをも固定部材となる基台10上に配設することができる。つまり、二つの移動枠(11,35)には、モータや駆動機構等の比較的重量のある部材を配置せずに構成しているので、移動枠を小さい出力のモータで正確かつ確実に駆動させることができる。これと同時に装置自体の小型化に寄与することもできる。
一方、本実施形態においては、撮像素子51の受光面に平行な面内における第1回転付勢ばね23及び第2回転付勢ばね43によるそれぞれの回転付勢方向を同方向(図3において反時計方向)となるように構成している。これにより、第1移動枠11及び第2移動枠31の取り付けガタを吸収することができる。
さらに、本実施形態においては、第1回転止め用ガイド軸22を撮像素子51を挟んで第1位置決め用ガイド軸12に対向する位置に設け、第2回転止め用ガイド軸42を撮像素子51を挟んで第2位置決め用ガイド軸32に対向する位置に設けて構成している。これにより、基台10に対して第1移動枠11及び第2移動枠31が第1位置決め用ガイド軸12及び第2位置決め用ガイド軸42の軸回りにそれぞれ回動するのを規制することができる。この場合において、回動の中心となる各位置決め用ガイド軸(12,31)から離れた位置で回動規制をおこなう部材、即ち各回転止め用ガイド軸(22,42)を設けたので、より効果的に回転規制を行なうことができる。
そして、本実施形態では、第1付勢ばね13を第1位置決め用ガイド軸12の近傍であって第1回転止め用ガイド軸22の側に配置している。これにより、撮像素子51の受光面に平行な面内において、第1付勢ばね13により生じる第1移動枠11に対する回転付勢力の方向を、第1回転付勢ばね13による第1移動枠11に対する回転付勢力と同方向としている。これにより、第1回転付勢ばね23による回転付勢力を阻害することがなく、第1移動枠11の取り付けガタを吸収するのに、さらに寄与することができる。
さらにまた、第1ナット19と第1係合部11cとが係合する位置を、当該像ブレ補正装置1を正面側から見たときに、第1付勢ばね13と第1位置決め用ガイド軸12との間の領域に配置するようにしている(図3,図5参照)。これにより、第1付勢ばね13による付勢力の付勢方向は、第1位置決め用ガイド軸12に支持されて変位する第1移動枠11に対し、当該第1位置決め用ガイド軸12に沿う方向に作用することになる。したがって、これにより、第1付勢ばね13の付勢力は、第1移動枠11をスムーズに第1の方向に向けて変位させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。