JP2008045980A - Pwr核燃料棒利用型bwr用正方形の核燃料集合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】BWRとPWRに装荷される核燃料集合体は類似点が多くあるが同一ではないため規模のコスト低減が不十分である。
【解決手段】正方形核燃料集合体に使用されるU235濃縮度、Pu富化度、被覆管の材質・形状・寸法を、PWR用核燃料に使用されるU235濃縮度、Pu富化度、被覆管の材質・形状・寸法に合わせる。MOXを核燃料とする場合は、リチウムやホウ素の可燃性毒物兼減速材を利用する。
【選択図】図11

Description

本発明は、沸騰水型原子炉に装荷せる正方形の核燃料集合体に関する。
図1は沸騰水型原子炉(BWR)に装荷せる核燃料物質を内包する従来の正方形の核燃料集合体(30)の概略斜視図である(特許文献1)。従来の正方形の核燃料集合体(30)は、多数本正方格子状に配列された核燃料物質を内封している円柱形状の核燃料棒(31)と、それ等の上端及び下端を夫々支持する上側結合板(32)及び下側結合板(33)と、前記核燃料棒(31)の高さ途中に位置して核燃料棒(31)間の間隔を規制する数個のスペーサ(34)と、これ等を4面で覆うチャンネルボックス(35)による構造材から構成される。スペーサ(34)は適当な剛性を持った厚さδのスペーサ外枠(36)で正方形を保っている。
図2は従来の沸騰水型原子炉の核燃料棒(31)の概観図である。ジルコニウムの合金であるジルカロイ2製の被覆管(41)と、この被覆管(41)の上下開口端を気密閉塞する上部端栓(42)及び下部端栓(43)と、スプリング(45)と、上部プレナム(48)とからなる構造材と、被覆管(41)内に核燃料である濃縮ウランの酸化物を円柱状に焼結してなる多数個の核燃料ペレット(44)から構成されている。
スペーサ(34)が位置していない高さでの従来の正方形の核燃料集合体(30)の断面図を図3に示した(非特許文献1)。制御棒側漏洩水通路(51)と制御棒と反対側漏洩水通路(52)を挟んで格子状に配列されている。核燃料棒(31)の間は冷却水通路(49)となっている。核分裂で発生した高速中性子は水により減速され、ウラン235(U235)を激しく核分裂させる。したがって、制御棒側漏洩水通路(51)または制御棒と反対側漏洩水通路(52)に近接せる核燃料棒(31)ほどU235濃縮度を減らすことができる。U235の節約ができる。U235濃縮度配置例は、
濃縮度1番の核燃料棒(1)のU235濃縮度は4.9wt%。
濃縮度2番の核燃料棒(2)のU235濃縮度は3.6wt%。
濃縮度3番の核燃料棒(3)のU235濃縮度は3.0wt%。
濃縮度4番の核燃料棒(4)のU235濃縮度は2.3wt%。
ガドリニア添加核燃料棒(5)のU235濃縮度は3.0wt%、ガドリニア添加割合は4.5wt%。
である。
発電コスト低減対策の一つに核燃料集合体を長期間燃焼させる。そのためにU235濃縮度を高くしたい。既設の制御棒だけでは初期余剰反応度を抑制しきれないため熱中性子吸収効果の大きい可燃性毒物としてガドリニウムをU235に添加する。中性子を吸収したガドリニウムは熱中性子吸収効果が小さくなる。
水棒(6)は従来の正方形の核燃料集合体(30)中心部での高速中性子減速作用を高めるための中空ジルカロイ管で中を低速の水が流れている。
制御棒(60)が挿入されている原子炉停止時におけるスペーサ(34)が位置していない高さでの従来の正方形の核燃料集合体(30)を配置せる炉心平面図を図4に示した。隣接する核燃料棒(31)の距離Pは1mm以上の核燃料棒間隔Δを考慮したP=D+Δとしている。点線で囲まれた単位格子幅Lは隣接する制御棒中心間距離LLの半分である。したがって、チャンネルボックス幅CLはL以下でなければならない。チャンネルボックス肉厚をΣとし、スペーサ外枠厚さをδとすると、チャンネルボックス1辺幅CLは核燃料棒(31)の配列をm×mとするとCL>P×(m-1)+D+δ×2 +Σ×2である。制御棒厚さの半分をSとし、制御棒表面とチャンネルボックスとの間隙をhとし、隣接せるチャンネルボックス間隙の半分をgとすると、チャンネルボックス幅CLはL-S-h-g>CL>P×(m-1)+D+δ×2+Σ×2とすることにより、正方形の単位格子幅Lで規定されている従来のBWRに装荷できる。
図5は酸化ウラン(UO2)を核燃料とするPWRとBWRの主要仕様を示したものである。「BWR正方形の核燃料集合体」の欄は、非特許文献2から引用した従来の正方形の核燃料集合体(30)主要仕様である。
:昭61-37591、「核燃料集合体」 :日本原子力研究所,2001年,JAERI-Research 2001-046「軽水炉次世代燃料の炉物理に関するベンチマーク問題の提案及び解析結果」 :日本原子力学会誌、2004年,Vol46~47「連載講座 核燃料工学の基礎」。
世界の原子力発電用原子炉の主流には加圧水型原子炉(PWR)と沸騰水型原子炉(BWR)とがある。
図5の「PWR核燃料棒」の欄はPWRの核燃料棒の主要仕様であるが、「BWR正方形の核燃料集合体」の欄と比べてみてその差異は小さい。U235濃縮度、被覆管内外直径、長さ、材質、ペレット直径のどれか1つでも同じであれば規模によるコストダウンが図れると考えられる。
特に、プルトニウム(Pu)とウラン(U)の混合酸化物(MOX)を核燃料として使用する場合にはPuの再処理コストが高いためMOX燃料集合体のコスト低減が求められている。
BWR用正方形の核燃料集合体を、PWR用核燃料棒と同一の「U235濃縮度、ペレット形状、被覆管内外直径の核燃料棒」を正方形に配列しスペーサと上下結合金具とで固定しチャンネルボックスに内包する。被覆管長さはBWR炉心に合わせて調節する。チャンネルボックスは、従来の正方形の核燃料集合体(30)を装荷していたBWRに装荷できるように正方形の1辺幅CLも単位格子幅Lに合わせて調節する。
MOX炉心ではBWRではボイドがあるため中性子減速効果がPWR程ではないためガドリニウムの効果が小さい。そこで、熱中性子吸収効果が大きくかつ、熱中性子を吸収すると中性子減速効果の大きいものに変わる、謂わば可燃性毒物兼減速材とでも呼べるものを装荷する。例えば、天然のリチウム(Li)には重さが若干違うリチウム6(Li6)とリチウム7(Li7)とが含まれている。Li7は中性子吸収効果は小さく減速材としての作用がある。Li6は中性子吸収効果が大きく、中性子を吸収するとヘリウム(He)と気体のトリチウム(T)とになる。Tは中性子減速作用が大きい。近くに水素吸蔵金属であるジルコニウム(Zr)があればTはZrに吸蔵されてそこに固定される。但し、Zrは脆くなるため発熱する核燃料との共存は難しい。そこで、Li含有物をZrのカプセルに内封したものを被覆管(41)の中に充填する。
天然のホウ素(B)には重さが若干違うホウ素10(B10)とホウ素11(B11)とが含まれている。B11は中性子吸収効果は小さく減速材としての作用がある。B10は中性子吸収効果が大きく、中性子を吸収するとヘリウム(He)とLi7とになる。Li7の近辺に酸素があれば酸化リチウムとなって固定される。
将来は、BWRとPWR双方の炉心設計を互いに修正し共通部分を多くするようにすれば更なるコストダウンが見込まれる。
BWR用正方形の核燃料集合体をPWR核燃料集合体を構成する同一の核燃料棒から製造できるため大量生産が可能となるばかりでなくPWR核燃料集合体の製造コストも安くなり強いてはBWRとPWR両方の発電コストを低減させることができる。
発電コストが安く、安全性の高い正方形の核燃料集合体が提供できた。
図6は本発明のPWR用核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体(230)の概観図である。図5の「本発明BWR例1」の欄に主要仕様を示した。BWR用従来の正方形の核燃料集合体(30)の形状、寸法は変えずに、被覆管(41)の材質をPWRと同じのジルカロイ4とし、U235の濃縮度をPWRで使用される「4.8wt%又は4.1wt%又は3.4wt%」を用いた。核燃料棒に装荷される核燃料ペレット半径をrpとして、
濃縮度1番のペレット充填核燃料棒(231)のU235濃縮度は本来の4.9wt%からPWRで使用される4.8wt%とする。出力減少は約4.8/4.9程度であるため変化は小さい。
濃縮度2番の二重ペレット充填核燃料棒(232)のU235濃縮度は濃縮度1番のペレット充填核燃料棒(231)のU235濃縮度減少を相殺するために、本来の3.6wt%から3.7wt%と上昇すべく、PWRで使用されるU235濃縮度4.1wt%の酸化ウラン粉末を原料として外径rp、内径0.756×rpの焼結前の円筒グリーンペレットを作りその中にPWRで使用されるU235濃縮度3.4wt%の酸化ウラン粉末を装填し円柱のグリーンペレットとなし、焼結して3.7wt%の二重ペレットとなす。出力上昇は3.7/3.6程度であるため変化は小さい。
濃縮度3番の二重ペレット充填核燃料棒(233)のU235濃縮度は本来と同じ3.0wt%である。PWRで使用されるU235濃縮度3.4wt%の酸化ウラン粉末を原料として外径rp、内径0.385×rpの焼結前の円筒グリーンペレットを作りその中に天然U濃度0.7wt%の酸化ウラン粉末を装填し円柱のグリーンペレットとなし、焼結して3.0wt%の二重ペレットとなす。
濃縮度4番の二重ペレット充填核燃料棒(234)のU235濃縮度は本来と同じ2.3wt%である。PWRで使用されるU235濃縮度3.4wt%の酸化ウラン粉末を原料として外径rp、内径0.638×rpの焼結前の円筒グリーンペレットを作りその中に天然U濃度0.7wt%の酸化ウラン粉末を装填し円柱のグリーンペレットとなし、焼結して2.3wt%の二重ペレットとなす。
ガドリニア添加核燃料棒(235)のU235濃縮度は本来の3.0wt%からPWRで使用される3.4wt%とする。約3.4/3.0倍の出力増加は燃焼初期ではガドリニアにより出力は充分小さい。燃焼末期でもU235濃縮度3.7wt%の濃縮度2番の二重ペレット充填核燃料棒(232)よりも小さいため、ガドリニア添加による熱伝導低下が元でのペレット中心温度上昇は核燃料棒健全性を損なうものではない。ジルカロイ4水棒(236)はPWRと同じジルカロイ4製で従来の水棒(6)同様に中性子減速効果を高める。
本例では所要のU235濃縮度を得るために、PWRで使用されるU235濃縮度同士の混合または天然ウランを添加混合することにより達成することもできるが均一に混合するのは若干の困難が伴う。本例の様に除熱される被覆管側のU235濃縮度が高いことはペレット中心温度を低めることになる。燃料健全性にとって好ましい。
図7は本発明のPWR用核燃料棒多要素利用型正方形の核燃料集合体(240)の概観図である。図5の「本発明BWR例2」の欄に主要仕様を示した。従来の正方形の核燃料集合体の形状、寸法は変えずに、U235の濃縮度をPWRで使用される「4.8wt%又は4.1wt%又は3.4wt%」を用い、被覆管の材質をPWRと同じジルカロイ4とし、被覆管の長さ、外直径、内直径をPWRで利用されるものと同じとしたことを特徴とする。核燃料棒配列を12×12にすることができ核燃料棒1本当たりの出力を低下させることができて一層の安全性向上が果たせる。
濃縮度1番のPWR同一被覆管核燃料棒(241)は、U235濃縮度がPWRと同じ4.8wt%である。濃縮度2番のPWR同一被覆管核燃料棒(242)は、U235濃縮度がPWRと同じ4.1wt%である。濃縮度3番のPWR同一被覆管核燃料棒(243)は、U235濃縮度がPWRと同じ3.4wt%である。ガドリニア添加のPWR同一被覆管核燃料棒(244)は、U235濃縮度がPWRと同じ3.4wt%にガドリニアを添加した核燃料棒である。ジルカロイ4製のジルカロイ4枠(246)の内側には、初期余剰反応度を更に下げるためにガドリニア添加ジルカロイ4内張り(247)が施されている。その内側は低速流水(248)となっている。
大方の要素はPWRの要素を使っているため大量生産によるコスト低下が望める。
チャンネルボックス(35)の幅を0.5cm程度増加させれば核燃料棒配列を13×13にすることができ核燃料棒1本当たりの出力を更に低下させることができて一層の安全性向上が果たせる。
近年、余剰Puを燃焼消滅させるために、UとPuの混合酸化物であるMOXを核燃料とした核燃料集合体が設計されている。
図8は制御棒側漏洩水通路(51)が制御棒と反対側漏洩水通路(52)よりも広い原子炉構造をしたD格子BWRに装荷する従来のBWR用MOX正方形の核燃料集合体(300)の断面図である。図9はMOXを核燃料とするPWRとBWRの主要仕様を示したものである。BWR用従来のMOX利用の正方形の核燃料集合体の仕様例を「従来BWRMOX」の欄に示し、従来のPWR用MOX利用の核燃料棒の仕様例を「従来PWRMOX」の欄に示した(非特許文献3)。なお、ペレットと被覆管内側との間隙を近似的に無しとしているが、実際は、図5に記載せる値とほぼ同じである。
従来のBWR用MOX正方形の核燃料集合体(300)のチャンネルボックス(35)の内幅、外幅は酸化ウラン燃料に関わる図5の「従来BWR正方形の核燃料集合体」の欄に記載せる値と同じである。
Pu富化度5番の核燃料棒(301)は、Pu富化度が4wt%である。
Pu富化度4番の核燃料棒(302)は、Pu富化度が6wt%である。
Pu富化度3番の核燃料棒(303)は、Pu富化度が10wt%である。
Pu富化度2番の核燃料棒(304)は、Pu富化度が12wt%である。
Pu富化度1番の核燃料棒(305)は、Pu富化度が16wt%である。
ガドリニア添加核燃料棒(306)は、Pu富化度が4wt%である。
中心には、減速効果を高めるために大きな正方形水棒(307)が配置されている。
PuはUより強い放射線を放出するため、保管管理が難しい。したがって、製造コストが高くなる。できるだけ簡素化して製造コストを下げたい。そこで、PWR用MOX核燃料集合体の核燃料棒要素をできるだけ多く取り入れ規模の拡大により核燃料集合体製造コストを下げる。
図10は本発明のPWR用MOX核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体(310)の断面図である。仕様は図9の「本発明BWRMOX1」の欄に示す通りに被覆管内径や直径は、MOXを核燃料とするPWR用核燃料棒と同じである。
P1核燃料棒(315)のPu富化度は19.1wt%のPWR用である。
P2核燃料棒(314)のPu富化度は14.4wt%のPWR用である。
P3核燃料棒(313)のPu富化度は7.5wt%のPWR用である。
ホウ化ジルコニウム添加MOX棒(316)は、P1核燃料棒(315)等と同仕様の被覆管に、内向凹下端閉円筒のホウ化ジルコニウム(2個のホウ素(B)と1個のジルコニウム(Zr)からなるZrB2。融点が3200℃)にPu富化度が7.5wt%のMOX粉末を振動充填した二重ペレットである。ディッシュとチャンファーを付ける。
Li2O棒(311)は、P1核燃料棒(315)等と同仕様の被覆管に2個のLiと一個の酸素からなる酸化リチウム(Li2O。融点1570℃)の焼結ペレットのみをZrのカプセルに封入して充填している。漏洩水通路の水の影響が強い4隅も核燃料含有とすると出力変動が大きく燃料健全性上好ましくないため可燃性毒物兼減速材であるLi2Oのみとした。熱中性子の少ない中心はLiによって減速作用を高めるために4本集中させた。高速中性子はLi7とLi6により減速され熱中性子となる。Li6の成分が多い燃焼初期では熱中性子を吸収して余剰反応度を抑制し、Li6の成分がなくなった燃焼末期ではLi7による熱中性子が周囲のPuの核分裂を活発にし反応度を高める。可燃性毒物兼減速材としてLi含有物の代わりにホウ化ジルコニウム(融点が3200℃のZrB2または融点が2300℃の12個のBと1個のZrからなるZrB12)としてもよい。本発明はC格子BWRに装荷できるようにしたが、D格子BWRにも対応できる。
図11はホウ化ジルコニウム型正方形の核燃料集合体(320)の断面図である。仕様は図9の「本発明BWRMOX2」の欄に示す通りに被覆管内径や直径は、MOXを核燃料とするPWR用核燃料棒と同じである。
P1核燃料棒(315)のPu富化度は19.1wt%のPWR用である。
P2核燃料棒(314)のPu富化度は14.4wt%のPWR用である。
P3核燃料棒(313)のPu富化度は7.5wt%のPWR用である。
ホウ化ジルコニウム棒(321)は、P1核燃料棒(315)等と同仕様の被覆管に可燃性毒物兼減速材であるホウ素(B)を含有するホウ化ジルコニウム(融点3200℃のZrB2又は融点2030℃のZrB12)のみのペレットが充填されている。
ホウ化ジルコニウム外張り(335)は、ホウ化ジルコニウムをジルカロイ4で被覆し制御棒と反対側のチャンネルボックス(35)に固着せしめる(または、カーテンの様にチャンネルボックス(35)に吊り下げる)。
熱中性子の少ない中心はホウ素によって減速作用を高めるために4本集中させた。高速中性子はB11とB10により減速され熱中性子となる。B10の成分が多い燃焼初期では熱中性子を吸収して余剰反応度を抑制し、B10の成分がなくなった燃焼末期ではB11による熱中性子が周囲のPuの核分裂を活発にし反応度を高める。初期余剰反応度を更に低減させるべくホウ化ジルコニウム外張り(335)を配置せしめる。
制御棒側の隅の核燃料棒は、核燃料を含有せしめると出力変動が大きく燃料健全性上好ましくないためホウ化ジルコニウムのみのホウ化ジルコニウム棒(321)とした。
融点が非常に高い可燃性毒物兼減速材であるホウ化ジルコニウムを内蔵しているため高温になる大事故が生じても中性子吸収作用が損なわれる可能性が少ない。融点が非常に高い可燃性毒物兼減速材として炭化ホウ素(B4C)でもよい。
B10が多い様であれば、B10の含有量が少ない産地の天然ホウ素を使うか、高性能制御棒用濃縮B10を製造した際に生じるB10濃度が低い劣化ホウ素を使用する。
図12は低減速型正方形の核燃料集合体(330)の断面図である。仕様は図9の「本発明BWR低減速炉」の欄に示す通りである。被覆管直径が0.952cmのMOXを核燃料とするPWR用被覆管にPu富化度が14.4wt%のPWR用MOX を充填したPWRMOX兼用核燃料棒(334)を12x12に配列した。チャンネルボックス内側幅は従来のBWRに装荷できるように従来の正方形の核燃料集合体(30)と同じ13.4cmである。特に、コストを安くするために除染係数が小さいPuを核燃料とすればネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、キューリウム(Cm)といったマイナアクチニド(MA)が含まれ、MAは熱中性子を吸収し易い為余剰反応度を抑制する働きがある。したがって、初期余剰反応度を抑制するにはホウ化ジルコニウム外張り(335)だけで充分である。本来水があった箇所に、減速作用は水素程ではないホウ素とZrが敷設されたため、中性子減速作用が少ない。高速中性子に対し効率よく核分裂するPuの性質に着目した低減速炉(非特許文献4)向きの核燃料集合体である。
なお、PWR用被覆管材質としてジルロやステンレスが考えられているが、使用されるようになれば本発明にも取り入れていく。
:日本原子力研究所,2001年,JAERI-Research 2001-046「軽水炉次世代燃料の炉物理に関するベンチマーク問題の提案及び解析結果」 :日本原子力学会誌,2006年,Vol48,大久保努他「低減速炉の技術開発の進捗および課題」。
近年、原子力発電コストの低減が喫緊の課題となっている。PWRの核燃料棒要素を多く取り入れて正方形の核燃料集合体を作ることにより規模のコスト低減が望める。将来的にはPWR設計とBWR設計両方を勘案して共通部分を大幅に持つように標準化することにより、軽水炉の世界的統一を果たし更なる発電コスト低減が図れる。
本発明ではLi利用が重要であるが、Li6は23世紀には本格導入が期待されている核融合発電の重要な燃料であるため供給に不安はない。廃棄されたリチウム電池からLiを抽出し更に核融合発電用にLi6を濃縮した残りのLi7が豊富な劣化リチウムを利用すればよい。
劣化ホウ素についても、劣化ホウ素は22世紀には本格導入が期待されている高速増殖炉の重要な制御材であるB10濃縮ホウ素の廃棄物であるため供給に不安はない。
低減速炉は、22世紀以降に期待されている高速増殖炉や核融合発電が本格化されるまでの重要なエネルギー源となる。
従来の正方形の核燃料集合体(30)の概略斜視図。 従来の核燃料棒(31)の概観図。 従来の正方形の核燃料集合体(30)におけるスペーサ(34)が位置していない高さでの断面図。 原子炉停止時におけるペーサ(34)が位置していない高さでの従来の正方形の核燃料集合体(30)を配置せる炉心平面図。 酸化ウラン(UO2)を核燃料とするBWRとPWRの主要仕様。 本発明のPWR用核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体(230)の概観図である。 本発明のPWR用核燃料棒多要素利用型正方形の核燃料集合体(240)の概観図である。 従来のBWR用MOX正方形の核燃料集合体(300)の断面図。 MOXを核燃料とするBWRとPWRの主要仕様。 PWR用MOX核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体(310)の断面図である。 ホウ化ジルコニウム型正方形の核燃料集合体(320)の断面図である。 低減速型正方形の核燃料集合体(330)の断面図である。
符号の説明
1は濃縮度1番の核燃料棒。
2は濃縮度2番の核燃料棒。
3は濃縮度3番の核燃料棒。
4は濃縮度4番の核燃料棒。
5はガドリニア添加核燃料棒。
6は水棒。
30は従来の正方形の核燃料集合体。
31は核燃料棒。
32は上側結合板。
33は下側結合板。
34はスペーサ。
35はチャンネルボックス。
36はスペーサ外枠。
41は被覆管。
42は上部端栓。
43は下部端栓。
44は核燃料ペレット。
45はスプリング。
46は下部端栓差込口。
47は冷却材流入口。
48は上部プレナム。
51は制御棒側漏洩水通路。
52は制御棒と反対側漏洩水通路。
60は制御棒。
230は本発明のPWR用核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体。
231は濃縮度1番のペレット充填核燃料棒。
232は濃縮度2番の二重ペレット充填核燃料棒。
233は濃縮度3番の二重ペレット充填核燃料棒。
234は濃縮度4番の二重ペレット充填核燃料棒。
235はガドリニア添加核燃料棒。
236はジルカロイ4水棒。
240は本発明のPWR用核燃料棒多要素利用型正方形の核燃料集合体。
241は濃縮度1番のPWR同一被覆管核燃料棒。
242は濃縮度2番のPWR同一被覆管核燃料棒。
243は濃縮度3番のPWR同一被覆管核燃料棒。
244はガドリニア添加のPWR同一被覆管核燃料棒。
246はジルカロイ4枠。
247はガドリニア添加ジルカロイ4内張り。
248は低速流水。
300は従来のBWR用MOX正方形の核燃料集合体。
301はPu富化度5番の核燃料棒。
302はPu富化度4番の核燃料棒。
303はPu富化度3番の核燃料棒。
304はPu富化度2番の核燃料棒。
305はPu富化度1番の核燃料棒。
306はガドリニア添加核燃料棒。
307は正方形水棒。
310は本発明のPWR用MOX核燃料棒要素利用型正方形の核燃料集合体。
311はLi2O棒。
313はP3核燃料棒。
314はP2核燃料棒。
315はP1核燃料棒。
316はホウ化ジルコニウム添加MOX棒。
320は本発明のホウ化ジルコニウム型正方形の核燃料集合体。
321はホウ化ジルコニウム棒。
330は本発明の低減速型正方形の核燃料集合体。
334はPWRMOX兼用核燃料棒。
335はホウ化ジルコニウム外張り。

Claims (2)

  1. 「核燃料ペレットのU235濃縮度またはPu富化度、形状寸法」、「被覆管の材質、内直径、外直径D」「チャンネルボックス材質」をPWR用核燃料棒と同じにし、1mm以上の核燃料棒間隔Δを考慮した隣接する核燃料棒の距離PがP=D+Δにおいて、チャンネルボックス肉厚をΣとし、スペーサ外枠厚さをδとし、制御棒厚さの半分をSとし、制御棒表面とチャンネルボックスとの間隙をhとし、隣接せるチャンネルボックス間隙の半分をgとし、核燃料棒の配列をm×mとすると、チャンネルボックス1辺幅CLをL-S-h-g>CL>P×(m-1)+D+δ×2+Σ×2としたことにより、正方形の単位格子幅Lの従来のBWRに装荷できるようにしたことを特徴とするBWR用正方形の核燃料集合体。
  2. 可燃性毒物兼減速材である酸化リチウム(Li2O)またはホウ化ジルコニウム(ZrB2またはZrB12)を充填したLi2O棒(311)またはホウ化ジルコニウム棒(321)またはホウ化ジルコニウム添加MOX棒(316)またはホウ化ジルコニウム外張り(335)を内蔵したことを特徴とするMOXを核燃料とする正方形の核燃料集合体。
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