JP5090946B2 - Bwrの核燃料棒および核燃料集合体 - Google Patents
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Description
図2は核燃料集合体(30)の概略斜視図である(特許文献1)。多数本正方格子状に配列された核燃料物質を内封している円柱形状の核燃料棒(31)と、それ等の上端及び下端を夫々支持する上側結合板(32)及び下側結合板(33)と、前記核燃料棒(31)の高さ途中に数個位置して核燃料棒(31)間の間隔を規制するスペーサ(34)と、これ等を4面で覆うチャンネルボックス(35)から構成される。冷却材である水は、炉心底部からチャンネルボックス(35)に入り核燃料棒(31)から受熱して蒸気を発生させる。蒸気をボイドと称し、チャンネルボックス(35)の中のある高さ平面での (蒸気が占める割合) / (蒸気が占める割合+液体の水が占める割合)は上に行く程大きくなる。
図3は従来の核燃料棒(31)の縦断面図である。ジルカロイの被覆管(41)と、この被覆管(41)の上下開口端を気密閉塞する上部端栓(42)及び下部端栓(43)と、スプリング(45)と、上部プレナム(48)とからなる構造材と、被覆管(41)内に核燃料である濃縮ウランの酸化物を円柱状に焼結してなる多数個の核燃料ペレット(44)から構成されている。
図4は、スペーサ(34)が位置していない高さでの従来の核燃料集合体(30)と制御棒(100)を配置せる部分的炉心平面図である。原子炉では、核燃料集合体(30)は制御棒側の漏洩材通路(51)と制御棒と反対側の漏洩材通路(52)を挟んで格子状に配列されている。核燃料棒(31)の間は冷却材通路(49)となっている。中心数本の核燃料棒(31)の代わりに水棒(70)を配する場合がある。
ウランが燃焼するとアクチニドが生成される。特に、アクチニドの仲間である原子番号94のプルトニウム(Pu)が多く生成される。アクチニドの仲間であるネプツニウムやアメリシウムやキューリウムと言った雑アクチニドの生成はわずかである。
原子力による発電が実施されてきた結果、使用済み核燃料集合体(30)の累積数が膨大になっている。特に、プルトニウム(Pu)の処置に問題が出てきた。
使用済み核燃料を再処理してPuを抽出し、ウランと混合して酸化物としてMOX核燃料とする。このMOXを従来の核燃料集合体(30)に装荷する計画がある。従来の核燃料集合体(30)の設計方針は、核分裂で発生した高速中性子を水により減速させた熱中性子を利用する。熱中性子は、U235やPu239やPu241といった核分裂性物質を激しく核分裂させる。熱中性子を利用すれば少量の核分裂性物質で済む。
熱中性子を利用する従来のBWRでMOXを核燃料とした場合には、いささか問題が生じる。Pu239やPu241が中性子を吸収したPu240やPu242が増加し蓄積され続ける。Pu240やPu242の処分が問題になる。
図5は、核分裂性物質であるU235やPu239の核分裂の効率のよしあしの目安となるη(核物質に吸収される中性子1個当りの放出される核分裂中性子数)に関する中性子エネルギー依存性を示した図である。Pu239やPu241のηは中性子エネルギーが高い程大きいから、Pu239やPu241は高速中性子に対して効率よく核分裂しPu240やPu242に変換される割合が下がる。
Puを効率よく核分裂させるために、BWRを改良した低減速スペクトル炉(短縮して低減速炉)(非特許文献2)が注目され出している。しかし、実際に改良を実施するには長い開発期間と多大のコストがかかる。改良をできるだけ少なくしたい。
熱中性子を利用する従来のBWRに装荷するためのMOX核燃料を作るには、使用済み核燃料に含まれるアクチニドと気体核分裂生成物と液体核分裂生成物と固体核分裂生成物からアクチニドのみを抽出し、次にアクチニドからUとPuを抽出する必要がある。MOX核燃料を利用するための再処理に多大のコストがかかる。再処理費用を低く抑えたい。
:JAERI-Conf2002-012、「第5回低減速スペクトル炉に関する研究会報告書」。
固体の核分裂生成物を含む所のPu富化度が6%から9%の範囲のU238を主成分とするアクチニドの酸化物をリニューアル核燃料ペレット(132)にし太径被覆管(141)の上部に充填し、太径被覆管(141)の下部には濃縮度が4%から6%の範囲の濃縮ウランの酸化物からなる濃縮ウラン核燃料ペレット(133)を初装荷核燃料全長の5%から10%の範囲で充填したリニューアル核燃料棒(131)を使う。濃縮ウラン核燃料ペレット(133)は、濃縮度が4%から6%の範囲の純粋の濃縮ウランの酸化物または固体の核分裂生成物を含む所のU235の割合が1%程度のU238を主成分とするアクチニドの酸化物に高濃縮ウランの酸化物を添加してU235の濃縮度が4%から6%の範囲に調節する。
中心の固体減速材芯(201)を酸化カドミウム中皮(202)で覆い外表面をジルカロイ外皮(203)で覆ったボイド反応度抑制板(200)をチャンネルボックス(35)の制御棒と反対側の1側面に付帯せしめ、制御棒に面する側のチャンネルボックス(35)の肉厚を増したチャンネルボックス(35)の内にリニューアル核燃料棒(131)を多数本配列したリニューアル核燃料集合体(130)を使う。ボイド反応度抑制板(200)は、リニューアル核燃料集合体(130)に直接敷設せずに間隙に別置してもよい。
中心の水素化ハフニウム芯(111)をハフニウムにユーロピウムを添加したユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)で覆い外表面をニッケル基合金外鞘(113)で被覆したことを特徴とする水素化ハフニウム制御棒(101)及び当該水素化ハフニウム制御棒(101)の周りにリニューアル核燃料集合体(130)4体を回転対称に配置し、冷却材を軽水またはフルオロケトン系の液体NOVEC -HFE-7300またはNOVEC -HFE-7600に変更したBWRの低減速炉心とする。ユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)は、銀にユーロピウムを添加して覆ってもよくユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)と総称する。
BWRの低減速炉心の転換比を向上させるために、炉心半径方向外周のリニューアル核燃料集合体(130)の冷却材反射体側に接して酸化カドミウム板(300)を設置することにより、反射体でもある外周の冷却材たる軽水からの熱中性子を吸収してPu239が核分裂せずに効率悪く変換してしまうのを抑制する。
太径被覆管(141)を採用して核燃料棒を太くしたことにより冷却材通路(49)を減少させ減速材たる軽水の割合が減り高速中性子割合が増加しPuの燃焼効率が向上する。制御棒と反対側の漏洩材通路(52)をボイド反応度抑制板(200)で減少させたため減速材たる軽水の割合を減らしたため高速中性子割合が増加しPuの燃焼効率が向上すると共に、ボイドに変化する液体の水の領域の面積が減少するためボイド変化による反応度変動幅を小さくすることができ安全性が向上する。
低減速炉の炉心では高速中性子が多く熱中性子は少ないため、固体状核分裂生成物が核燃料中に含まれていても大きな問題とはならない。アクチニドの酸化物と固体状核分裂生成物とを分離せずに核燃料としたリニューアル核燃料ペレット(132)を核燃料として使用できるため、使用済み核燃料の再処理が簡素になりコストが低減できる。
冷却材喪失事故等で冷却材が減少しボイドが増えた場合にも、プルトニウム富化度が低くU238が多いことはU238の共鳴吸収効果によりボイド反応度係数は大きな負になり安全性が高い。
更に、プルトニウム富化度が低いことはPu240とPu242の割合が少ないことであるからボイド反応度係数を負に保つことが容易になる。なぜなら、10keV以上の中性子に対するηがU238よりも大きいPu240とPu242はボイドが生じて中性子速度の速い中性子割合が増えると核分裂割合が急激に増加しボイド反応度係数を正にする傾向があるからである。
一般に、核燃料棒の寿命は、次の3項目が重要である。被覆管外面の腐食による核燃料棒の健全性。気体状核分裂生成物による被覆管内圧力上昇による核燃料棒の健全性。U235やPu239やPu241のような核分裂性物質の減少により定格出力を維持することができなくなることである。
被覆管外面の腐食に対しては、被覆管を新品に交換すればよい。被覆管内圧力上昇に関しては、使用済み核燃料から気体状核分裂生成物と液体状核分裂生成物を除去するだけの簡易再処理(アクチニドの酸化物に非アクチニドの固体状核分裂生成物が10%程度含有されていてもよい)をすれば核燃料として再利用できる。核分裂性物質の減少は、核分裂性物質を追加すればよい。
ナトリウムを冷却材とする原子炉の核燃料棒の寿命が燃焼度で20万MWd/t程度といわれているのに比べて、BWRの核燃料棒の寿命は4万MWd/t程度でかなり短い。燃焼度が4万MWd/tになると核燃料のアクチニド重量は、初装荷核燃料のアクチニド重量の4%程度減少する。20万MWd/tになると核燃料のアクチニド重量は、初装荷核燃料のアクチニド重量の20%程度減少する。BWRの使用済み核燃料のアクチニド重量は初装荷核燃料のアクチニド重量の96%程度であり、核燃料そのものとしては新品同様である。
簡易再処理した固体中の非アクチニドの固体状核分裂生成物は20%以下の10%程度にできるから除去せずとも問題にならない(融点が1000℃以下の低融点固体や鉄のように磁石で除去できる固体や比重差により除去できる固体状軽元素は有機溶剤を使わなくとも簡単に除去できるので除去してもよい)。簡易再処理の繰り返しにより非アクチニドの固体状核分裂生成物が過多になった時は、1部をアクチニド諸共破棄するか固体状核分裂生成物のみ大まかに有機溶剤を使って除去すればよい。簡易再処理された固体中の殆どはウランとプルトニウムが主体のアクチニドの酸化物である。アクチニドの酸化物に若干の非アクチニドの固体状核分裂生成物を含有せる固体を加工してリニューアル核燃料ペレット(132)にする。簡易再処理の繰り返しにより過多になった非アクチニドの固体状核分裂生成物の除去や加工途中の喪失等があってもリニューアル核燃料ペレット(132)の総重量(アクチニドの酸化物+非アクチニドの固体状核分裂生成物)は初装荷核燃料総重量の90%程度はある。
初装荷核燃料総重量の不足分約10%は、ウラン235の濃縮度が約5%の濃縮ウランの酸化物からなる濃縮ウラン核燃料ペレット(133)で補う。すなわち、リニューアル核燃料棒(131)の下部には初装荷核燃料全長の5%から10%の範囲で濃縮ウラン核燃料ペレット(133)を充填する。
被覆管の直径を太くした太径被覆管(141)を採用したことにより、被覆管の間隙を占める冷却材通路(49)の面積が減少することであるから高速中性子が減速され難くなり、Pu239は熱中性子を吸収してPu240になる割合が減り、U238は比較的速い中性子
を吸収してPu239になる割合が増加する。その結果、主にPu239とPu241からなる核分裂性プルトニウムの減少は、燃焼度が4万MWd/t程度ではわずかである。特に、プルトニウム富化度を6%から9%の範囲に低く抑えると、残り多量のU238のためにPu239になる割合が多く、かつ、U238の高速中性子による核分裂も期待できるため核分裂性プルトニウムの減少は、燃焼度が4万MWd/t程度ではわずかである。
プルトニウム富化度を6%から9%の範囲にすると、主にPu239とPu241からなる核分裂性プルトニウムは4%から6%の範囲になり4万MWD/tの燃焼度を得ることができる。プルトニウム富化度が低いことはU238が多いことであるから、ボイド増加時にはU238の共鳴吸収効果により無限増倍係数が低下するためボイド反応度係数は負になり安全性が高い。プルトニウム富化度が低いことは、ボイド反応度係数を正にする傾向のあるPu240とPu242の割合が少ないことでもあるから、ボイド反応度係数を負に保つことが容易になる。
ネプツニウムやアメリシウムやキューリウムといった雑アクチニドは、中性子との核反応に対してプルトニウムと類似の性質を持ち、かつ微量であるため、原子炉の安全性や出力取り出しに大きな支障にならない。
BWRの核燃料棒の上部はボイド率が大きい冷却水で冷却されている。したがって、高速中性子の割合が多いから、Puの燃焼効率が高い。それ故、リニューアル核燃料棒(131)の上部にリニューアル核燃料ペレット(132)を充填した。一方、BWRの核燃料棒の下部はボイド率が小さい冷却水で冷却されている。したがって、高速中性子の割合が少ないから、Puの燃焼効率が低い。代わりに熱中性子の燃焼効率が高い濃縮ウラン核燃料ペレット(133)を充填した。濃縮ウランはボイド反応度係数が負で大きいためリニューアル核燃料棒(131)全体のボイド反応度係数を比較的大きな負にすることができる。
有機溶剤による再処理をしないか極力抑えた簡易再処理にすれば、再処理費用が安くなる。雑アクチニドも燃料に再加工され燃焼してしまうため廃棄物とはならず、廃棄物処理費が軽減される。また、Puが単独に抽出されなければ核不拡散にかかわる問題が生じない。
なお、使用済みとなった濃縮ウラン核燃料ペレットを簡易再処理してウランとプルトニウムが主体のアクチニドの酸化物に高濃縮ウランの酸化物を添加してウラン235の濃縮度が約5%の濃縮ウランの酸化物に調節し若干の非アクチニドの固体状核分裂生成物を含有せる固体を加工して再度濃縮ウラン核燃料ペレット(133)にしてもよい。液体の水が十分な下部に配置せる濃縮ウラン核燃料ペレット(133)は燃焼するとU235やPu239と言った核分裂性物質は消耗してしまう。したがって、使用済みとなった濃縮ウラン核燃料ペレット中にはU235は1%程度しか含まれていない。そこで、高濃縮ウラン(U235の濃縮度が10%〜20%)の酸化物を添加してウラン235の濃縮度が約5%の濃縮ウランの酸化物に調節すれば再度燃焼させることができる。
図7は、本発明のリニューアル核燃料集合体(130)の平面図である。チャンネルボックス(35)の制御棒に面する側の肉厚を増し、チャンネルボックス(35)の制御棒と反対側の1側面にボイド反応度抑制板(200)を付帯せしめた。ボイド反応度抑制板(200)は、中心を固体減速材芯(201)とし、この芯を酸化カドミウム(CdO)からなる酸化カドミウム中皮(202)で覆い、更に外側をジルコニウム合金製のジルカロイ外皮(203)で覆った。チャンネルボックス(35)の内に上記リニューアル核燃料棒(131)を多数本配列した。従来の水棒(70)は除去し代わりにリニューアル核燃料棒(131)を配置した。
リニューアル核燃料棒(131)の太径被覆管(141)は従来の被覆管に比べて半径が大きくなっているため冷却材通路(49)が狭くなり、その分減速材でもある水の占有割合が減少したから高速中性子の割合が増し、Puの燃焼効率が増す。
ボイド割合が少なく液体の減速材たる水の割合が多いリニューアル核燃料集合体(130)の下部には濃縮ウランが充填されている。濃縮ウランはボイド反応度係数が負で大きいから、事故等で流量が減少しボイドが増加しても先に濃縮ウランの核分裂が抑制され出力が下がり上部に行くボイドが抑制されるため、リニューアル核燃料集合体(130)のボイド反応度係数が負で大きい。
チャンネルボックス(35)は制御棒側に面する肉厚を増したから制御棒側漏洩材通路(51)面積が減少し、その分減速材でもある水の占有割合が減少したから高速中性子の割合が増し、Puの燃焼効率が増す。
ボイド反応度抑制板(200)は、制御棒と反対側の漏洩材通路(52)面積を減少させ、その分減速材でもある水の占有割合が減少したから高速中性子の割合が増し、Puの燃焼効率が増す。チャンネルボックス(35)の中の冷却材通路(49)に近いCdO及び、制御棒と反対側の漏洩材通路(52)に近いCdOは、水で減速されて生じた0.2eV近辺の熱中性子を吸収してしまうから、0.2eV近辺の中性子に対してはPu239のηは2.0以下であるためPu239が効率悪く燃焼してしまうのを抑制することができる。核分裂性物質が減少した燃焼後期には、熱中性子を吸収する作用の強いCdは焼損減少しているため反応度への支障が少ない。また、Cdは2eV以上の中性子に対する吸収作用が小さいため、5eVから10eVの中性子に対するηが2.0を超えているPu239の燃焼効率を妨げることがない。
ボイド反応度抑制板(200)の固体減速材芯(201)は、事故等で冷却材が減少しボイドが増加した場合に増加する高速中性子を減速させる。この減速した中性子をCdが吸収するためボイド反応度を抑制することができる。
固体減速材芯(201)は、炭素及び炭化ジルコニウム及び水素化ジルコニウム及びホウ素11が濃縮されたホウ素含有物が良い。
炭化ホウ素またはホウ化ジルコニウムといったホウ素含有物は、ホウ素10が焼損した後には中性子吸収が少ないホウ素11と炭素またはジルコニウムが残っているため、良好な減速材になる。
アクチニド以外の固体核分裂生成物は熱中性子を吸収し易いものの、本発明のリニューアル核燃料集合体(130)では熱中性子が少ないため大きな問題とはならない。
本発明のリニューアル核燃料集合体(130)では熱中性子が少なくPuの転換比が1.0近辺であるため、使用済み核燃料中のPu富化度は初装荷核燃料中のPu富化度とほぼ同じである。使用済み核燃料中のPu富化度が初装荷核燃料中のPu富化度よりも下がっても、追加装荷される濃縮ウラン核燃料ペレット(133)の濃縮度調節で4万MDd/t程度の燃焼を達成することができる。
4万MWd/t燃焼したリニューアル核燃料集合体(130)中のアクチニド重量は、初装荷時に比べて約4%減少し、減少した分は熱エネルギーとアクチニド以外の固体核分裂生成物と気体核分裂生成物と液体核分裂生成物になる。
制御棒に面する側のチャンネルボックス(35)の肉厚が増したため制御棒側の漏洩材通路(51)が狭くなった。そこで、中性子吸収能力を低下させることなく制御棒の厚さを薄くする必要がある。
ユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)のHfがリニューアル核燃料集合体(130)から漏洩してきた高速中性子を吸収する。Euはリニューアル核燃料集合体(130)から漏洩してきた熱中性子を吸収する。
水素化ハフニウム芯(111)中の水素が高速中性子を減速させる。減速した中性子をHfが吸収する。
Hfと酷似した物質のジルコニウムに鉄や錫を添加したジルコニウム合金は構造材たり得るものになりチャンネルボックス(35)や被覆管(41)になっているから、ハフニウムに鉄やタンタルやモリブデンを添加したハフニウム合金も頑丈なものになる。したがって、ユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)をハフニウム合金にEuを添加させたものにすればニッケル基合金外鞘(113)は不要となる。水素化ハフニウム制御棒(101)を水素化ハフニウム芯(111)とユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)で構成できる。
Euの酸化物をHf合金に添加すれば高温耐久性の高い構造材となる。
ユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)において、Hfの代わりに銀(Ag)にしても同等の性能が得られるのでAgにEuを添加した場合もユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘(112)と呼称する。
最近、電気絶縁性の高い無色透明の液体であるフルオロケトン系の消火薬剤(商品名ノベックーハイドロフルオロエーテル(NOVEC-HFE))が開発された。特に、NOVEC -HFE-7300(化学式C6F13OCH3)は、軽水に酷似している。沸点98℃。蒸気圧0.006MPa。蒸発潜熱102kJ/kg。密度1.66g/cc。
その他、NOVEC-HFE-7600(化学式C3HF6-CH(CH3)O-C3HF6)も軽水に酷似している。沸点131℃。蒸気圧0.001MPa。蒸発潜熱116kJ/kg。密度1.54g/cc。
BWRの冷却材たる軽水をフルオロケトン系のNOVEC -HFE-7300に変更した。または、
BWRの冷却材たる軽水をフルオロケトン系のNOVEC-HFE-7600に変更すれば更に高温の蒸気が得られ熱効率が向上する。当該冷却材をHFE冷却材と呼称する。
HFE冷却材には中性子を減速させるHが少ないため、熱中性子割合の少ないBWRになる。したがって、Puの燃焼効率が向上する。
HFE冷却材は金属を濡れさせ難いから、太径被覆管(141)を濡らし難いため太径被覆管(141)は腐食しにくくなる。
更に、冷却材喪失事故時にもHFE冷却材とジルコニウムの反応が起こり難く、万一反応したとしてもHの発生が少ないから燃焼の心配がない。
リニューアル核燃料棒(131)からの除熱は、熱伝導の他にリニューアル核燃料棒(131)からの輻射熱をHFE冷却材が受熱して炉心の外に移送する。
酸化カドミウム板(300)は、ボイド反応度抑制板(200)から固体減速材芯(201)を削除したものである。酸化カドミウム板(300)の敷設の仕方はリニューアル核燃料集合体(130)のチャンネルボックス(35)にカーテンのように吊り下げればよい。
リニューアルを数回繰り返すとアクチニド以外の固体核分裂生成物が累積してくる。固体核分裂生成物が15%以上になったら精密な再処理を施し固体核分裂生成物を除去すればよい。この場合もPuを単独で抽出しなければ核不拡散性に問題が生じない。
リニューアル核燃料集合体(130)は、ボイド反応度抑制板(200)の分まで大きくできる可能性がある。重さの問題は、リニューアル核燃料集合体(130)の長さを短尺にすればよい。制御棒翼長さを従来通りに維持するなら、大きくした分を天然ウランを充填した核燃料棒にすれば反応度にかかわる問題は解決できる。
フッ素(F)を含む物質は、放射線に弱いとされている。したがって、HFE冷却材の放射線分解を想定してHFE冷却材浄化装置の強化並びにHFE冷却材の補給装置の強化が重要である。
2は核燃料支持金具。
3は上部格子板。
30は従来の核燃料集合体。
31は核燃料棒。
32は上側結合板。
33は下側結合板。
34はスペーサ。
35はチャンネルボックス。
41は被覆管。
42は上部端栓。
43は下部端栓。
44は核燃料ペレット。
45はスプリング。
48は上部プレナム。
49は冷却材通路。
51は制御棒側の漏洩材通路。
52は制御棒と反対側の漏洩材通路。
70は水棒。
100は制御棒。
101は本発明の水素化ハフニウム制御棒。
111は水素化ハフニウム芯。
112はユーロピウム添加ハフニウム合金内鞘。
113はニッケル基合金外鞘。
130は本発明のリニューアル核燃料集合体。
131は本発明のリニューアル核燃料棒。
132はリニューアル核燃料ペレット。
133は濃縮ウラン核燃料ペレット。
141は太径被覆管。
200はボイド反応度抑制板。
201は固体減速材芯。
202は酸化カドミウム中皮。
203はジルカロイ外皮。
204はバネ。
Claims (2)
- 固体の核分裂生成物を含む所のPu富化度が6%から9%の範囲のU238を主成分とするアクチニドの酸化物をリニューアル核燃料ペレット(132)にし太径被覆管(141)の上部に充填し、太径被覆管(141)の下部には濃縮度が4%から6%の範囲の濃縮ウランの酸化物からなる濃縮ウラン核燃料ペレット(133)を初装荷核燃料全長の5%から10%の範囲で充填したことを特徴とするリニューアル核燃料棒(131)。
- 中心の固体減速材芯(201)を酸化カドミウム中皮(202)で覆い外表面をジルカロイ外皮(203)で覆ったボイド反応度抑制板(200)をチャンネルボックス(35)の制御棒と反対側の1側面に付帯せしめ、制御棒に面する側のチャンネルボックス(35)の内に、
請求項1のリニューアル核燃料棒(131)を多数本正方格子状に配列したことを特徴とするリニューアル核燃料集合体(130)。
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