JP2008045165A - 鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸化鉄の量をできるだけ増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図る。
【解決手段】 複数種の鉄原材料を混合した原材料群を、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eaが、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群G1と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群G2とに分け、先に、第一原材料群G1を溶融し、この溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、第二原材料群G2を第一原材料群G1の溶湯中に投入し、この第二原材料群G2を第一原材料群G1とともに溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させる。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数種の鉄原材料を混合した原材料群を、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eaが、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群G1と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群G2とに分け、先に、第一原材料群G1を溶融し、この溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、第二原材料群G2を第一原材料群G1の溶湯中に投入し、この第二原材料群G2を第一原材料群G1とともに溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鋳鉄溶湯に酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、このスラグ中に鋳鉄溶湯中の不純物を取り込んで除く鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法に関する。
一般に、銑鉄鋳物の原料として、例えば、自動車材料や建築材料等の鉄鋼スクラップを用いることを行なっているが、自動車材料の高強度化や建築材料の高耐震性化に伴い、この種の鉄鋼材料には、マンガンやクロムが比較的多く添加され、そのため、このマンガンやクロムの存在は鋳物部品の耐衝撃性を低下させることから、銑鉄鋳物にとって不良の原因となっているという問題があった。
そこで、従来、本願発明者らは、この種の鋳鉄溶湯からマンガンやクロム等の不純物を除去する方法を研究し、例えば、非特許文献1(岩手県工業技術センター研究報告第11号(2004)「鋳鉄溶湯からの脱マンガン・脱クロム技術の開発」)に記載された技術を提供している。
この方法は、マンガンやクロムが酸化しやすいことに着目し、鋳鉄溶湯中に酸化鉄(FeO及び/又はFe2O3)を添加して、それによりマンガンとクロムを酸化物にして溶湯面にスラグとして浮上させ、溶湯から分離除去する方法である。
この方法は、マンガンやクロムが酸化しやすいことに着目し、鋳鉄溶湯中に酸化鉄(FeO及び/又はFe2O3)を添加して、それによりマンガンとクロムを酸化物にして溶湯面にスラグとして浮上させ、溶湯から分離除去する方法である。
岩手県工業技術センター研究報告第11号(2004)「鋳鉄溶湯からの脱マンガン・脱クロム技術の開発」
ところで、上記従来の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法にあっては、鋳鉄溶湯に酸化鉄を添加したとき、マンガンやクロムよりもシリコンのほうが優先的に酸化除去されることがあり、脱マンガン効率が必ずしも良いとは限らないことから、不純物の除去処理効率が悪くなることがあるという問題があった。また、一般に、シリコンについては酸化抑制されることが望ましいことから、この点でも、必ずしも処理効率が良いとは限らない。
詳しくは、上記の非特許文献1においても記述されているが、本願発明者らは、マンガンとシリコンの含有率の違いによる脱マンガンの状態を試験した。この試験は、鋳鉄溶湯において、初期マンガン含有量を1.0質量%とし、初期シリコン含有量を0.3質量%,0.6質量%,1.0質量%,1.4質量%,1.8質量%の5レベルに変化させて、即ち、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eを、E=0.3,0.6,1.0,1.4,1.8の5レベルに変化させて、マンガン減少量及びシリコン減少量に及ぼす初期シリコン含有量の影響を調べた。また、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eと、脱マンガン率及び脱シリコン率との関係についても調べた。溶解温度は、1450℃、酸化鉄(FeO)の添加量は、2質量%とした。
結果を、図4に示す。図4(a)に示すように、マンガン減少量は、質量含有比Eの増加に伴い大きく減少した。また、シリコン減少量は、質量含有比Eの増加に伴い上昇した。これは溶湯中のシリコン含有量の増加に伴い溶湯中のシリコンの活量が大きくなり、シリコンが酸化されやすい状態になるとともに、酸化鉄の活量が小さくなったためと考えられる。一方、図4(b)に示すように、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eと、脱マンガン率及び脱シリコン率との関係は、マンガン(Mn)及びシリコン(Si)で略同様の傾向を示す。
以上の結果から、質量含有比Eが小さいときは、酸化鉄の添加による脱マンガン効率は良く有効であるが、質量含有比Eが大きくなると、特にE=1.5を超えてくると、脱マンガンが行なわれにくくなって実効性が小さくなる。
これを解決するために、酸化鉄の添加量を多くすることも考えられるが、多い分、脱マンガンを促進することはできるが、反面、脱シリコンも促進され、また、スラグの量も増えることから、それだけ、除去作業が煩雑になり、処理効率を損ねてしまう欠点がある。
これを解決するために、酸化鉄の添加量を多くすることも考えられるが、多い分、脱マンガンを促進することはできるが、反面、脱シリコンも促進され、また、スラグの量も増えることから、それだけ、除去作業が煩雑になり、処理効率を損ねてしまう欠点がある。
また、一方において、鉄原材料として、例えば、自動車材料や建築材料等の鉄鋼スクラップを用いるが、これらの、鉄原料はその種類毎に、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eが異なっており、質量含有比Eが小さいもの、あるいは、質量含有比Eが大きいものがあり、これらの組み合わせにより、鉄原材料を混合した原材料群の質量含有比Eを調整することも可能になる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、酸化鉄の量をできるだけ増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図った鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法を提供することを目的とする。特に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群全体において、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eが大きくなるものに有効な鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明は、上述もしたように、下記の性質を利用してなされた。即ち、一般に、鋳鉄溶湯に酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、スラグ中にマンガンを可能な限り酸化物として取り込む際、図4(a)に示すように、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eと、マンガン減少量及びシリコン減少量との関係は、質量含有比Eの増加に伴いマンガン減少量は大きく減少する一方、シリコン減少量は上昇し、質量含有比E=1を略境にして、マンガン減少量とシリコン減少量との関係は逆転する。一方、図4(b)に示すように、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比Eと、脱マンガン率及び脱シリコン率との関係は、マンガン(Mn)及びシリコン(Si)で略同様の傾向を示す。本発明は、この性質を利用した。
即ち、本願発明は、複数種の鉄原材料を混合した原材料群を溶融してなる鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、該スラグ中に少なくともマンガンを可能な限り酸化物として取り込んで溶湯中から分離する鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法において、
上記原材料群を、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eaが、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群とに分け、先に、上記第一原材料群を溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、上記第二原材料群を上記第一原材料群の溶湯中に投入し、該第二原材料群を上記第一原材料群とともに溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させる構成としている。
尚、本願発明において、第二原材料群を更に分割して順次加えるようにしても良い。
上記原材料群を、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eaが、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群とに分け、先に、上記第一原材料群を溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、上記第二原材料群を上記第一原材料群の溶湯中に投入し、該第二原材料群を上記第一原材料群とともに溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させる構成としている。
尚、本願発明において、第二原材料群を更に分割して順次加えるようにしても良い。
本願発明において、質量Mbが、Mb≦1.5Maであるが、質量Mbは、少なければ少ないほど有効になる。質量Mbが1.5Maを超えると、効果を出しにくくなる。
また、第一原材料群のマンガンに対するシリコンの質量含有比Eaは、望ましくは、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1にすることである。質量含有比Eaは、できるだけ小さい方が望ましい。また、Ebは、できるだけEaに近く、値が小さいほうが望ましい。
また、第一原材料群のマンガンに対するシリコンの質量含有比Eaは、望ましくは、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1にすることである。質量含有比Eaは、できるだけ小さい方が望ましい。また、Ebは、できるだけEaに近く、値が小さいほうが望ましい。
本願発明においては、先ず、第一原材料群を溶融し、溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄(FeO及び/又はFe2O3)を添加する。これにより、溶湯面にスラグが浮上する。
この場合、溶湯の初期においては、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea≦1.5にしているので、図4(a)に示すように、比較的マンガンの減少量を落すことなく、マンガンのスラグへの取込を行なうことができる。
特に、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1になると、シリコンの酸化よりもマンガンの酸化のほうが促進されていく。即ち、シリコンにおいては酸化抑制されるとともに、マンガンにおいては酸化促進され、マンガンがスラグ中に良く取り込まれていく。
この場合、溶湯の初期においては、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea≦1.5にしているので、図4(a)に示すように、比較的マンガンの減少量を落すことなく、マンガンのスラグへの取込を行なうことができる。
特に、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1になると、シリコンの酸化よりもマンガンの酸化のほうが促進されていく。即ち、シリコンにおいては酸化抑制されるとともに、マンガンにおいては酸化促進され、マンガンがスラグ中に良く取り込まれていく。
次に、第二原材料群を第一原材料群の溶湯中に投入し、この第二原材料群を第一原材料群とともに溶融し、溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させる。
この場合、第一原材料群においては、比較的マンガンの減少量を落すことなく、マンガンのスラグへの取込が行なわれているので、第二原材料群が混入しても、当初から第一原材料群と第二原材料群とを混合して処理した場合に比較して、マンガン量を少なくすることができる。そのため、溶湯全体では、仮に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなっても、従来のように第一原材料群と第二原材料群とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、結果としては、脱マンガンが促進されるようになり、そのため、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図ることができる。
特に、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1になると、第一原材料群の処理において、マンガンは酸化が促進されてスラグ中に相当取り除かれており、そのため、第二原材料群が、混入してマンガン量が増えても、当初から第一原材料群と第二原材料群とを混合した場合に比較して、その量は少ないものになる。このため、従来のように第一原材料群と第二原材料群とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、結果としては、脱マンガンが促進されるようになり、その結果、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図ることができる。
この場合、第一原材料群においては、比較的マンガンの減少量を落すことなく、マンガンのスラグへの取込が行なわれているので、第二原材料群が混入しても、当初から第一原材料群と第二原材料群とを混合して処理した場合に比較して、マンガン量を少なくすることができる。そのため、溶湯全体では、仮に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなっても、従来のように第一原材料群と第二原材料群とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、結果としては、脱マンガンが促進されるようになり、そのため、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図ることができる。
特に、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1になると、第一原材料群の処理において、マンガンは酸化が促進されてスラグ中に相当取り除かれており、そのため、第二原材料群が、混入してマンガン量が増えても、当初から第一原材料群と第二原材料群とを混合した場合に比較して、その量は少ないものになる。このため、従来のように第一原材料群と第二原材料群とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、結果としては、脱マンガンが促進されるようになり、その結果、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図ることができる。
そして、上記添加する酸化鉄の質量Mcを、Mc=(1〜6質量%)(Ma+Mb)にしたことが有効である。図5に示すように、脱マンガン率及び脱シリコン率は、酸化鉄の添加量に略比例して増加するが、質量Mcが6質量%を超えるとスラグの量が多くなり、処理作業が煩雑になる。質量Mcが1質量%より少ないと実効性が薄くなる。望ましくは、Mc=(2〜4質量%)(Ma+Mb)である。
また、必要に応じ、上記鋳鉄溶湯の溶融温度を、1400〜1550℃にした構成としている。
1550℃を超えると、スラグが形成されにくくなり、1400℃に満たないとシリコンの低下に伴う融点の上昇により、湯が固まりやすくなる。
1550℃を超えると、スラグが形成されにくくなり、1400℃に満たないとシリコンの低下に伴う融点の上昇により、湯が固まりやすくなる。
また、処理時間については、第二原材料群を投入しこれが溶融してから1〜5min程度で終了することが望ましい。本処理は比較的短時間に行なわれ、5minを超える処理は不必要となる。1minに満たないと処理が不十分になることがある。
本発明の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法によれば、先に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が小さい第一原材料群を溶融し、この溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きい第二原材料群を第一原材料群の溶湯中に投入し、第二原材料群を第一原材料群とともに溶融し、この溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させるようにしたので、第一原材料群においては、比較的マンガンの減少量を落すことなく、マンガンのスラグへの取込が行なわれているので、第二原材料群が混入しても、当初から第一原材料群と第二原材料群とを混合して処理した場合に比較して、マンガン量を少なくすることができる。そのため、結果としては、脱マンガンが促進されるようになり、そのため、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンを促進し、不純物除去効率の向上を図ることができる。
特に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群全体において、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなるものに有効になる。
特に、マンガンに対するシリコンの質量含有比が異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群全体において、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなるものに有効になる。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法において、鋳鉄溶湯は、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比(Si/Mn)が夫々異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群を溶融してなる。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法において、鋳鉄溶湯は、マンガン(Mn)に対するシリコン(Si)の質量含有比(Si/Mn)が夫々異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群を溶融してなる。
この原材料群は、予め、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)が、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群G1と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群G2とに分けられる。望ましくは、Ea≦1.2、より望ましくは、Ea≦1である。実施の形態では、Ea≦1にした。
尚、第一原材料群G1及び/又は第二原材料群G2は、一種若しくは2種以上の鉄原材料から構成される。
尚、第一原材料群G1及び/又は第二原材料群G2は、一種若しくは2種以上の鉄原材料から構成される。
詳しくは、鉄原材料としては、銑鉄(Si:0.3〜1.8質量%、Mn:0.1〜0.8質量%)、鋼屑(Si:0.0質量%、Mn:0.4〜1.5質量%)、戻り材(Si:1.8〜2.5質量%、Mn:0.3〜0.5質量%)を用いる。
ここで、戻り材とは、鋳鉄の不良品や、鋳型の湯道や押し湯等を形成し脱型後に残骸として残る部分などからなる鋳鉄材のことをいう。尚、鉄原材料の種類は上記に限定されず、どのようなものを用いても良い。
ここで、戻り材とは、鋳鉄の不良品や、鋳型の湯道や押し湯等を形成し脱型後に残骸として残る部分などからなる鋳鉄材のことをいう。尚、鉄原材料の種類は上記に限定されず、どのようなものを用いても良い。
そして、第一原材料群G1として、銑鉄と鋼屑とを適宜量用いて構成され、例えば、Si:0.42質量%、Mn:0.87質量%が含有されるようにしている。即ち、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea=0.48にしている。また、第一原材料群G1の質量Maは、例えば、Ma=50Kgとしている。
また、第二原材料群G2として、鋼屑と戻り材とを適宜量用いて構成され、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maになるようにする。例えば、Si:2.4質量%、Mn:0.34質量%が含有されるようにしている。即ち、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eb(Si/Mn)を、Eb=7.06にしている。また、第二原材料群G2の質量Mbは、例えば、Mb=50Kgとしている。
次に、本実施の形態に係る鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法において、その処理工程を説明する。基本的には、マンガンに対するシリコンの質量含有比が異なる複数種の鉄原材料を混合した原材料群を溶融してなる鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグSを浮上させ、このスラグS中にマンガンを可能な限り酸化物として取り込んで溶湯中から分離するものである。以下、処理工程について詳しく説明する。この際、鋳鉄溶湯の溶融温度を、1400〜1550℃にした。実施の形態では、1450℃にした。また、処理時間については、第二原材料群G2を投入しこれが溶融してから1〜5min程度で終了する。
先ず、図1(a)に示すように、第一原材料群G1を溶融し、溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄(FeO)を添加する。添加する質量Mcを、Mc=(1〜6質量%)(Ma+Mb)にした。例えば、4Kg(4質量%)添加する。これにより、図1(b)に示すように、溶湯面にスラグSが浮上する。
この場合、溶湯の初期においては、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea≦1にしているので、図4(a)に示すように、シリコンの酸化よりもマンガンの酸化のほうが促進されていく。即ち、シリコンにおいては酸化抑制されるとともに、マンガンにおいては酸化促進され、マンガンがスラグS中に良く取り込まれていく。
この場合、溶湯の初期においては、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea≦1にしているので、図4(a)に示すように、シリコンの酸化よりもマンガンの酸化のほうが促進されていく。即ち、シリコンにおいては酸化抑制されるとともに、マンガンにおいては酸化促進され、マンガンがスラグS中に良く取り込まれていく。
次に、図1(c)に示すように、第二原材料群G2を第一原材料群G1の溶湯中に投入し、この第二原材料群G2を第一原材料群G1とともに溶融し、図1(d)に示すように、溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグSを浮上させる。最後に、図1(e)に示すように、スラグSを取り除く。
この場合、第一原材料群G1においては、マンガンにおいて酸化が促進されてスラグS中に相当取り除かれており、そのため、第二原材料群G2が、混入してマンガン量が増えても、当初から第一原材料群G1と第二原材料群G2とを混合した場合に比較して、その量は少ないものになる。また、第二原材料群G2は、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eb(Si/Mn)を、Eb>Eaにしているので、シリコン量が増える。そのため、溶湯全体では、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなることがあり、その場合には、図4(a)に示すように、シリコンの酸化が促進される一方、マンガンの酸化は少なくなる。しかしながら、従来のように第一原材料群G1と第二原材料群G2とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、先に、第一原材料群G1においてマンガンを少なくしているので、結果としては、脱マンガンが促進される。
そのため、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンが促進され、不純物除去効率の向上が図られる。
この場合、第一原材料群G1においては、マンガンにおいて酸化が促進されてスラグS中に相当取り除かれており、そのため、第二原材料群G2が、混入してマンガン量が増えても、当初から第一原材料群G1と第二原材料群G2とを混合した場合に比較して、その量は少ないものになる。また、第二原材料群G2は、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eb(Si/Mn)を、Eb>Eaにしているので、シリコン量が増える。そのため、溶湯全体では、マンガンに対するシリコンの質量含有比が大きくなることがあり、その場合には、図4(a)に示すように、シリコンの酸化が促進される一方、マンガンの酸化は少なくなる。しかしながら、従来のように第一原材料群G1と第二原材料群G2とを混合したものに酸化鉄を添加する場合に比較して、先に、第一原材料群G1においてマンガンを少なくしているので、結果としては、脱マンガンが促進される。
そのため、酸化鉄の量を増やすことなく、脱マンガンが促進され、不純物除去効率の向上が図られる。
次に、実施例について、比較例とともに説明する。
先ず、比較例について説明する。比較例においては、図2に示すように、原材料群として、銑鉄,鋼屑及び戻り材を適宜量用いて、Si:1.76質量%、Mn:0.57質量%が含有されるようにし、即ち、マンガンに対するシリコンの質量含有比E(Si/Mn)を、E=3にした。尚、比較例においては、シリコンの成分調整のために、フェロシリコン(Fe−75%Si)を0.65質量%加えた。また、原材料群の質量Mは、M=100Kgとした。また、比較例において、鋳鉄溶湯の溶融温度を、1450℃にし、処理時間を、5minにした。
先ず、比較例について説明する。比較例においては、図2に示すように、原材料群として、銑鉄,鋼屑及び戻り材を適宜量用いて、Si:1.76質量%、Mn:0.57質量%が含有されるようにし、即ち、マンガンに対するシリコンの質量含有比E(Si/Mn)を、E=3にした。尚、比較例においては、シリコンの成分調整のために、フェロシリコン(Fe−75%Si)を0.65質量%加えた。また、原材料群の質量Mは、M=100Kgとした。また、比較例において、鋳鉄溶湯の溶融温度を、1450℃にし、処理時間を、5minにした。
そして、図2に示すように、原材料群(100Kg)を溶融し、溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄(FeO)を4Kg(4質量%)添加した。
この結果、溶湯中の成分は、Si:1.19質量%、Mn:0.39質量%になった。尚、製品化のため、その後、フェロシリコン(Fe−75%Si)を添加し、シリコン量を1.8質量%に調整した。
この結果、溶湯中の成分は、Si:1.19質量%、Mn:0.39質量%になった。尚、製品化のため、その後、フェロシリコン(Fe−75%Si)を添加し、シリコン量を1.8質量%に調整した。
次に、本発明の実施例においては、図3に示すように、比較例で用いた原材料群を、第一原材料群G1と第二原材料群G2とに分けた。第一原材料群G1として、銑鉄と鋼屑とを適宜量用いて、Si:0.42質量%、Mn:0.87質量%が含有されるようにし、即ち、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ea(Si/Mn)を、Ea=0.48にした。また、第一原材料群G1の質量Maは、Ma=50Kgとした。
また、第二原材料群G2として、鋼屑と戻り材とを適宜量用いて、Si:2.4質量%、Mn:0.34質量%が含有されるようにし、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eb(Si/Mn)を、Eb=7.06にした。また、第二原材料群G2の質量Mbは、Mb=50Kgとした。
また、実施例においては、鋳鉄溶湯の溶融温度を、1450℃にした。
先ず、第一原材料群G1(50Kg)を溶融し、溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄(FeO)を4Kg(4質量%×(Ma+Mb=100Kg))添加した。この結果、この状態における溶湯中の成分は、Si:0.0質量%、Mn:0.0質量%になった。
先ず、第一原材料群G1(50Kg)を溶融し、溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄(FeO)を4Kg(4質量%×(Ma+Mb=100Kg))添加した。この結果、この状態における溶湯中の成分は、Si:0.0質量%、Mn:0.0質量%になった。
次に、第二原材料群G2(50Kg)を第一原材料群G1の溶湯中に投入し、この第二原材料群G2を第一原材料群G1とともに溶融し、溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグSを浮上させた。
この結果、この状態における溶湯中の成分は、Si:0.6質量%、Mn:0.1質量%になった。尚、製品化のため、その後、フェロシリコン(Fe−75%Si)を添加し、シリコン量を1.8質量%に調整した。
この結果、この状態における溶湯中の成分は、Si:0.6質量%、Mn:0.1質量%になった。尚、製品化のため、その後、フェロシリコン(Fe−75%Si)を添加し、シリコン量を1.8質量%に調整した。
以上の結果から、比較例に比較し、実施例の方が、マンガンをより多く除去できたことが分かり、本願発明が優れているということが言える。
G1 第一原材料群
G2 第二原材料群
Ma,Mb,Mc 質量
E,Ea,Eb マンガンに対するシリコンの質量含有比
S スラグ
G2 第二原材料群
Ma,Mb,Mc 質量
E,Ea,Eb マンガンに対するシリコンの質量含有比
S スラグ
Claims (5)
- 複数種の鉄原材料を混合した原材料群を溶融してなる鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、該スラグ中に少なくともマンガンを可能な限り酸化物として取り込んで溶湯中から分離する鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法において、
上記原材料群を、マンガンに対するシリコンの質量含有比Eaが、Ea≦1.5になる質量Maの第一原材料群と、マンガンに対するシリコンの質量含有比Ebが、Eb>Eaになるとともに、質量Mbが、Mb≦1.5Maの第二原材料群とに分け、先に、上記第一原材料群を溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯に、酸化鉄を添加して溶湯面にスラグを浮上させ、次に、上記第二原材料群を上記第一原材料群の溶湯中に投入し、該第二原材料群を上記第一原材料群とともに溶融し、該溶融した鋳鉄溶湯の溶湯面に再度スラグを浮上させることを特徴とする鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法。 - 上記第一原材料群のマンガンに対するシリコンの質量含有比Eaを、Ea≦1.2にしたことを特徴とする請求項1記載の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法。
- 上記第一原材料群のマンガンに対するシリコンの質量含有比Eaを、Ea≦1にしたことを特徴とする請求項2記載の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法。
- 上記添加する酸化鉄の質量Mcを、Mc=(1〜6質量%)(Ma+Mb)にしたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法。
- 上記鋳鉄溶湯の溶融温度を、1400〜1550℃にしたことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の鋳鉄溶湯からの不純物の除去処理方法。
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WO2011093237A1 (ja) * | 2010-01-28 | 2011-08-04 | 株式会社木村鋳造所 | 鋳鉄溶湯中の不純物除去方法および鋳鉄原料 |
CN114277215A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-04-05 | 重庆大学 | 一种中频感应炉利用高锰废钢冶炼低锰钢的方法 |
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2006
- 2006-08-12 JP JP2006220775A patent/JP2008045165A/ja active Pending
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