JP2008044324A - 印刷方法 - Google Patents

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昌彦 吉田
Hiroichi Nunokawa
博一 布川
Bunji Ishimoto
文治 石本
Tatsuya Nakano
龍也 中野
Yoichi Kakehashi
洋一 掛橋
Toru Miyamoto
徹 宮本
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Abstract

【課題】スキャナで読み取った個体識別コードの画像の傾きを正確に補正すること。
【解決手段】ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させて複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、前記印刷装置が、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、別に補正するステップと、前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、目標搬送量を補正するステップと、を有する印刷方法。
【選択図】図17

Description

本発明は、印刷方法に関する。
ヘッドが移動方向に移動し、その移動中にノズルからインクを吐出させる動作と、搬送方向に媒体を搬送させる動作とを交互に繰り返すことで印刷画像を完成させるインクジェットプリンタが知られている。
このようなプリンタでは、媒体を搬送させる際に搬送誤差が生じると、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾せず、画質が劣化するおそれがある。
そこで、媒体の搬送誤差を補正するため、測定用パターンを印刷し、この測定用パターンをスキャナで読み取った結果に基づいて算出した補正値を、搬送量に反映させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平5−96796号公報
インクジェットプリンタは、移動方向に伸びた搬送ローラにより媒体を搬送する。そのため、搬送ローラの左右で、搬送誤差量に差が生じる可能性がある。そうすると、媒体が搬送されるにつれて、媒体が移動方向に対して傾いてしまうことがある。その結果、媒体に形成された測定用パターンが傾くことがある。このような場合、測定用パターンをスキャナで読み取った後、測定用パターンの画像の傾きを補正することが望ましい。
ところで、測定用パターンに、搬送方向に並ぶ複数のラインとは別に、プリンタを識別するための個体識別コードを印刷することがある。このような場合、複数のラインの画像の傾きに合わせて個体識別コードの傾きを補正しても、搬送中に生じた媒体の傾きは補正されずに、個体識別コードの画像の傾きが正確に補正されないおそれがある。そうなると、個体識別コードの認識率が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、スキャナで読み取った個体識別コードの画像の傾きを正確に補正することを目的とする。
前記課題を解決する発明は、ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させてラインを形成する動作と、媒体が前記所定方向と交差する搬送方向に所定搬送量分だけ搬送される動作とを、印刷装置が交互に複数回繰り返すことで、複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、前記印刷装置が、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、前記複数のラインの画像とは別に補正するステップと、前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、前記個体識別コードを認識し、前記個体識別コードに対応する前記印刷装置のメモリに前記補正値を記憶させるステップと、前記印刷装置が、前記補正値に基づいて、目標搬送量を補正するステップと、
を有する印刷方法。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
すなわち、ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させてラインを形成する動作と、媒体が前記所定方向と交差する搬送方向に所定搬送量分だけ搬送される動作とを、印刷装置が交互に複数回繰り返すことで、複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、前記印刷装置が、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、前記複数のラインの画像とは別に補正するステップと、前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、前記個体識別コードを認識し、前記個体識別コードに対応する前記印刷装置のメモリに前記補正値を記憶させるステップと、前記印刷装置が、前記補正値に基づいて、目標搬送量を補正するステップと、を有する印刷方法が実現できること。
このような印刷方法によれば、個体識別コードの画像の傾きに合った傾き補正が行われるので、個体識別コードの内容を正確に認識することができる。
かかる印刷方法であって、前記媒体には、前記複数のラインの画像の傾きを補正するための第1ラインと、前記個体識別コードの画像の傾きを補正するための第2ラインが印刷され、前記第2ラインは前記第1ラインよりも前記個体識別コードに近い位置に印刷されること。
このような印刷方法によれば、個体識別コードの画像の傾きに合った傾き補正が行われるので、個体識別コードの内容を正確に認識することができる。
かかる印刷方法であって、前記複数のラインの中に前記第2ラインが含まれること。
このような印刷方法によれば、複数のラインとは別に、第2ラインを印刷する必要がなくなるので、印刷時間を短縮できる。
かかる印刷方法であって、前記複数のラインを印刷した後に、前記個体識別コードが印刷されること。
このような印刷方法によれば、各ラインを印刷する際のノズルの状態を常に同じにすることができる。
かかる印刷方法であって、前記個体識別コードを印刷する際には、前記媒体を前記搬送方向に前記所定搬送量よりも少ない搬送量で搬送すること。
このような印刷方法によれば、媒体を微小送りしながら文字の印刷を完成させるため、解像度の高い文字の印刷が可能となる。但し、ノズルの所定方向(移動方向)の移動回数(パス)は増えるが、使用するノズル数を減らして印刷できる。また、解像度の高い文字の場合、文字サイズが小さくても正確に認識されるので、媒体を小さくすることが可能となる。
また、ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させてラインを形成する動作と、媒体が前記所定方向と交差する搬送方向に所定搬送量分だけ搬送される動作とを、印刷装置が交互に複数回繰り返すことで、複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、前記印刷装置が、前記複数のラインが印刷された後に、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、前記複数のラインの画像とは別に補正するステップと、前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、前記個体識別コードを認識し、前記個体識別コードに対応する前記印刷装置のメモリに前記補正値を記憶させるステップと、前記印刷装置が、前記補正値に基づいて、目標搬送量を補正するステップと、を有する印刷方法であって、前記個体識別コードを印刷する際には、前記媒体を前記搬送方向に前記所定搬送量よりも少ない搬送量で搬送し、前記媒体には、前記複数のラインの画像の傾きを補正するための第1ラインと、前記個体識別コードの画像の傾きを補正するための第2ラインが印刷され、前記第2ラインは前記第1ラインよりも前記個体識別コードに近い位置に印刷され、前記複数のラインの中に前記第2ラインが含まれる、印刷方法を実現することもできる。
このような印刷方法によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
===インクジェットプリンタの構成===
印刷装置としてインクジェットプリンタを例にとり、本発明の実施形態を説明する。
〈構成〉
図1は本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ50により、各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、媒体S(以下、紙Sとする)に画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ50は各ユニットを制御する。図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。図3は、搬送ユニット10の構成の説明図である。
コントローラ50は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットであり、インターフェース部51と、CPU52と、メモリ53と、ユニット制御回路54とを有する。インターフェース部51は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU52は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ53は、CPU52のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU52は、メモリ53に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路を有して各ユニットを制御する。
搬送ユニット10は、紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に、搬送方向に所定の搬送量で紙Sを搬送させるためのものであり、給紙ローラ11と、搬送モータ12と、搬送ローラ13と、プラテン14と、排紙ローラ15とを有する。
ヘッドユニット30は、紙Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド31を有する。ヘッド31は、インク吐出部であるノズルを複数有する。そして、各ノズルには、各ノズルを駆動してインクを吐出させるための駆動素子であるピエゾ素子(不図示)が設けられている。
図4は、ヘッド31の下面(ノズル面)におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド31の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを90個備えている。90個のノズルのうち、下流側のノズルほど若い番号が付されている(#i=#1〜#90)。また、各ノズル列のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔Dでそれぞれ整列している。本実施形態では、ノズル列長を1インチ、間隔Dを90dpiとする。
キャリッジユニット20は、ヘッド31を移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ21と、キャリッジモータ22とを有する。
検出器群40には、リニア式エンコーダ41、ロータリー式エンコーダ42、紙検出センサ43、および光学センサ44等が含まれる。
===印刷手順===
〈1:印刷命令受信〉
コントローラ50は、コンピュータ60から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
〈2:給紙処理〉
コントローラ50は、給紙ローラ11を回転させ、印刷すべき紙Sを搬送ローラ13まで送る。紙検出センサ43が、給紙ローラ11から送られてきた紙Sの先端の位置を検出すると、コントローラ50は搬送ローラ13を回転させ紙Sを印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする。紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド31の少なくとも一部のノズルは、紙Sと対向している。
〈3:ドット形成処理〉
コントローラ50は、キャリッジモータ22を駆動し、キャリッジ21を移動方向に移動させる。ヘッド31は、キャリッジ21に設けられているため、ヘッド31もキャリッジ21と共に移動方向に移動する。キャリッジ21の移動方向への1回の移動をパスという。そして、コントローラ50は、キャリッジ21の移動中に、印刷データに基づいてノズルからインクを吐出させる。ノズルから吐出されたインク滴が紙S上に着弾すれば、紙S上にドットが形成される。移動するヘッド31からインクが断続的に吐出されるので、紙S上には移動方向に沿ったドット列が形成される。なお、キャリッジ21の移動方向の位置をリニア式エンコーダ41が検出し、キャリッジ21(ヘッド31)に取り付けられている光学センサ44が紙Sの端部の位置を検出する。図4に示すように光学センサ44は、ヘッド31の一番上流側にあるノズル#90とほぼ同じ位置にある。
〈4:搬送処理〉
コントローラ50は、搬送モータ12を駆動し、搬送ローラ13を回転させて、紙Sを搬送方向に所定の搬送量分だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド31は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。なお、印刷中の紙Sはプラテン14によって支持される。
紙Sの搬送量は、搬送ローラ13の回転量に応じて定まる。本実施形態の搬送ローラ13の円周の長さは1インチである。即ち、搬送ローラ13が1回転すると、紙Sが1インチ搬送される。(但し、実際には摩擦や搬送誤差(後述)の影響により、搬送ローラ13が1回転しても、紙Sが1インチ搬送されない場合もある。)そして、コントローラ50は、搬送ローラ13の回転量を検出することで、紙Sの搬送量を制御する。なお、搬送ローラ13の回転量はロータリー式エンコーダ42によって検出される。
ロータリー式エンコーダ42は、スケール421と検出部422とを有する。スケール421は、所定の間隔毎に設けられた多数のスリットを有する。このスケール421は、搬送ローラ13に設けられている。つまり、スケール421は、搬送ローラ13が回転すると、一緒に回転する。そして、搬送ローラ13が回転すると、スケール421の各スリットが検出部422を順次通過する。検出部422は、スケール421と対向して設けられており、プリンタ本体側に固定されている。ロータリー式エンコーダ42は、スケール421に設けられたスリットが検出部422を通過する毎に、パルス信号を出力する。搬送ローラ13の回転量に応じてスケール421に設けられたスリットが順次検出部422を通過するので、ロータリー式エンコーダ42の出力に基づいて、搬送ローラ13の回転量が検出される。
〈5:排紙処理〉
コントローラ50は、印刷中の紙Sの排紙の判断を行う。印刷中の紙Sに印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ50は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、画像を徐々に紙Sに印刷する。印刷中の紙Sに印刷すべきデータがなくなったところで、コントローラ50は、排紙ローラ15を回転させて紙Sを排紙する。この排紙ローラ15は、搬送ローラ13と同期して回転する。なお、排紙ローラ15の円周の長さは1インチである。
===搬送誤差について===
ロータリー式エンコーダ42は搬送ローラ13の回転量を検出する。そして、コントローラ50は、搬送ローラ13の回転量に応じて、紙Sがどれ位搬送されたかを判断している。逆に言うと、コントローラ50は、紙Sを所定搬送量F搬送させるため、所定搬送量Fに応じた搬送ローラ13の回転量分だけ搬送ローラ13を回転させる。しかし、所定搬送量Fと搬送ローラ13の回転量の関係が、設計上(理論上)と実際の装置上で異なった場合、紙Sは所定搬送量Fを搬送されない。つまり、搬送誤差が生じる。搬送誤差が生じると、紙S上の正しい位置にドットが形成されなくなり、印刷された画像にスジが生じ、画像劣化が生じる。
図5Aは、設計上の搬送ローラ13の断面図である。搬送ローラ13の半径を半径r、搬送ローラ13の回転中心を中心O、中心角θに対応する搬送ローラ13の円周を円弧ABと円弧CDとする。中心Oから搬送ローラ13の円周までの距離が必ず半径rであるならば、円弧ABと円弧CDの長さは等しい。つまり、搬送ローラ13を角度θ(中心角θ)回転させれば、搬送ローラ13の円周上の位置に関係なく紙Sは円弧AB(円弧CD)の長さを搬送される。この中心角θと円弧ABの長さの関係が、設計上における搬送ローラ13の回転量と紙Sの搬送量の関係となる。しかし、実際の搬送ローラ13は製造誤差等によって、必ずしも中心Oから搬送ローラ13の円周までの距離が半径rであるわけではない。以下、AC成分の搬送誤差とDC成分の搬送誤差の2種類の搬送誤差について説明する。
〈AC成分の搬送誤差〉
図5Bは、搬送ローラ13がつぶれて、断面が楕円形状になってしまった搬送ローラ131の断面図である。搬送ローラ131の中心O1から円周までの距離が、搬送ローラ131の円周上の位置によって異なる。中心O1から円周までの距離r1が設計上の半径r(図5A)よりも短い場合、その地点における中心角θに対応する円弧A1B1は、図5Aの円弧ABよりも短くなる(なお、図5Aから図5Dに示す角度θの大きさは全て等しいとする)。つまり、設計上の搬送ローラ13の半径rよりも装置上の搬送ローラ131の半径r1が短い場合、設計上での紙Sの搬送量よりも装置上の紙Sの搬送量の方が少なくなる。逆に、中心O1から円周までの距離r2が設計上の半径rよりも長い場合、その地点における中心角θに対応する円弧C1D1は、図5Aの円弧ABよりも長くなる。つまり、設計上の搬送ローラ13の半径rよりも装置上の搬送ローラ131の半径r2が長い場合、設計上での紙Sの搬送量よりも装置上での紙Sの搬送量の方が多くなる。
図5Cは、搬送ローラの回転中心が円の中心Oからずれてしまった搬送ローラ132の断面図である。この場合も図5Bと同様に、搬送ローラ132の中心O2から円周までの距離が、搬送ローラ132の円周上の位置によって異なる。中心O2から円周までの距離r3が設計上の半径rよりも短い場合、設計上の紙Sの搬送量(円弧AB)よりも装置上の紙Sの搬送量(円弧A2B2)の方が少なくなる。そして、中心O2から円周までの距離r4が設計上の半径rよりも長い場合、設計上の紙Sの搬送量よりも装置上での紙Sの搬送量(円弧C2D2)の方が多くなる。
つまり、搬送ローラ13の回転中心から搬送ローラ13の円周までの距離が、設計上と実際の装置上とで異なった場合に生じる搬送誤差がAC成分の搬送誤差である。
また、搬送ローラ13の回転中心と、ロータリー式エンコーダ42のスケール421の回転中心がずれた場合にも、搬送誤差が生じる。図5Cを用いて説明するため、搬送ローラ13の回転中心を中心Oとし、スケール421の回転中心を中心O2とする。搬送ローラ13が中心Oを回転中心として角度θ回転すると、紙Sは円弧ABの長さ分だけ搬送される。しかし、スケール421は、中心O2を回転中心として角度θ回転するので、紙Sが円弧ABよりも短い円弧A2B2の長さ分だけしか搬送されていないと検出してしまう。その結果、コントローラ50は必要以上に搬送ローラ13を回転させてしまい、搬送誤差が生じる。この搬送誤差もAC成分の搬送誤差である。
以上をまとめると、AC成分の搬送誤差は、搬送ローラ13の円周上のどの位置で紙Sを搬送するかによって、搬送誤差量が異なってくる。また、搬送ローラ13の円周の長さに関する搬送誤差(後述のDC成分の搬送誤差)は、AC成分の搬送誤差には含まれない。つまり、搬送ローラ13の円周の長さを設計上と実際の装置上とで等しいと考えられるため、搬送ローラ13が1回転すれば、AC成分の搬送誤差はゼロとなる。
〈DC成分の搬送誤差〉
DC成分の搬送誤差とは、製造誤差等により搬送ローラ13の円周の長さが設計上と実際の装置上とで異なる場合に発生する搬送誤差のことである。
図5Dは、設計上の搬送ローラ13と、設計上の搬送ローラ13よりも1回り大きい搬送ローラ133の断面図である。中心Oから装置上の搬送ローラ133までの距離r5の方が、中心Oから設計上の搬送ローラ13の円周までの距離rよりも長い。そして、装置上の搬送ローラ133の円周の長さは、設計上の搬送ローラ13の円周の長さよりも長い。この場合、同じ中心角θに対応する各搬送ローラの円弧の長さに関して、装置上の搬送ローラ133の円弧A3B3の方が、設計上の搬送ローラ13の円弧ABよりも長くなる。つまり、設計上の搬送ローラ13よりも円周が長い搬送ローラ133を角度θ回転させた場合、設計上の紙Sの搬送量(円弧AB)よりも装置上の紙Sの搬送量(円弧A3B3)の方が多くなる。逆に、設計上の搬送ローラ13よりも円周が短い搬送ローラ(不図示)を角度θ回転させた場合は、設計上の紙Sの搬送量よりも装置上の紙Sの搬送量の方が少なくなる。
以上をまとめると、DC成分の搬送誤差は、搬送ローラ13の円周上の位置に関わらず、紙Sの搬送量が増加すれば搬送誤差も増加する。即ち、紙Sの搬送量が増加すると、コントローラ50が指示した搬送量よりも多く(または少なく)搬送されてしまう度合いが増すということである。DC成分の搬送誤差は、搬送ローラ13の円周の長さに関係する誤差であるため、AC成分の搬送誤差のように搬送ローラ13が1回転しても誤差はゼロにはならない。
===本実施形態の搬送誤差の補正について===
搬送誤差にはAC成分の搬送誤差とDC成分の搬送誤差の2種類ある。AC成分の搬送誤差は搬送ローラ13の位置によって搬送誤差量が変わってくる。そのため、AC成分の搬送誤差を補正するには、原点センサにより搬送ローラ13の回転開始位置を把握する必要がある。しかし、原点センサを設けるとコストアップとなってしまうため、本実施形態ではDC成分の搬送誤差のみを補正する。
DC成分の搬送誤差の原因は、製造誤差等による搬送ローラ13の円周の長さの誤差であり、個々のプリンタによって生じる誤差の特性が異なる。そのため、個々のプリンタ毎に補正量を求める必要がある。
図6は、搬送誤差補正のフロー図である。図7は、搬送誤差補正を行う時のシステム構成図である。プリンタ製造工場の検査工程にて、完成したプリンタ1とスキャナ70をコンピュータ60に接続する。プリンタ1は、テストシートTSに測定用パターンとして複数のラインを印刷する(S101)。この複数のラインは所定間隔おきに搬送方向に並んでいる。テストシートTSに印刷された測定用パターンと、基準シートSSに印刷された基準パターン(後述)をスキャナ70に読み取らせる(S102)。測定用パターンのラインの間隔と、コンピュータ60が印刷の際に指示したラインの間隔との差が搬送誤差となる。そして、コンピュータ60は搬送誤差に対する補正値を算出する(S103)。その後、コンピュータ60は、算出した補正値をプリンタ1内のメモリ53に記憶させる(S104)。以下に、DC成分の搬送誤差に対する補正方法について詳しく説明する。
===測定用パターンの印刷(S101)===
図8は、テストシートTSに印刷された測定用パターンを示している。測定用パターンは、複数のラインと個体識別コードからなる。図9は、テストシートTSとヘッド31の位置関係を示している。複数のラインのうち、紙の上端側のラインほど若い番号が付されている(L1〜L20、Lb1、Lb2)。また、n回目のキャリッジ21の移動方向への移動をパスnとする。そして、図9では説明の都合上、ヘッド31がテストシートTSに対して移動しているように描かれているが、実際にはテストシートTSがヘッド31に対して搬送方向に搬送される。
図10Aは、パス1におけるヘッド31とテストシートTSと搬送ローラ13の位置関係を示している。図10Bは、パス2におけるヘッド31とテストシートTSと搬送ローラ13の位置関係を示している。図10Cは、非NIP状態でのヘッド31とテストシートTSと搬送ローラ13の位置関係を示している。
図10A及び図10Bのように、テストシートTS(媒体)が搬送ローラ13と従動ローラ16に挟まれている状態のことをNIP状態という。非NIP状態とは、テストシートTSが搬送ローラ13と従動ローラ16の間を外れた状態のことをいう。非NIP状態では、排紙ローラ15と従動ローラ17だけでテストシートTSが搬送される。即ち、NIP状態と非NIP状態では、搬送の特性が異なる。そのため、NIP状態で生じる搬送誤差と非NIP状態で生じる搬送誤差を分けて補正する必要がある。
なお、テストシートTSがNIP状態のときに印刷されるテストシートTSの領域を通常領域とし、テストシートTSが非NIP状態のときに印刷されるテストシートTSの領域を下端領域とする。また、テストシートTSが搬送ローラ13と従動ローラ16の間から外れたとき、ノズル#90と対向しているテストシートTSの位置をNIPラインとし、図9に示す。このNIPラインが通常領域と下端領域の境目となる。
また、複数のラインのほとんどが(L2〜L15、L17〜L20、Lb1)、テストシートTSの移動方向の中央部に、ラインL1よりも短く印刷される。これは、搬送誤差は紙Sの左右によって差があるからである。搬送誤差に対する補正効果が紙S全体に得られるような補正値を算出するために、テストシートTSの移動方向の中央に生じる搬送誤差を求める。そして、測定用パターンの印刷時間を出来る限り短縮するため、テストシートTSの中央部にのみ、短いラインを印刷している。
但し、テストシートTSの一番上端側のラインL1と、下端側のラインLb2は、テストシートTSの移動方向の幅いっぱいに伸びている。なぜなら、スキャナ70で読み込まれる際に生じる画像の傾きを検出するためにラインL1が使用されるからである。また、テストシートが非NIP状態であるときに、テストシートTSの下端がヘッド31に接触しないことを確認するためにラインL1とラインLb2が使用されるからである。
そして、個体識別コードの印刷位置に近いラインL16は、個体識別コード側にのみ長く伸びている。これは、スキャナ70に読み込まれた個体識別コードの画像の傾きを補正するためにラインL16が使用されるからである。以下、測定用パターン(複数のラインと個体識別コード)の印刷について、通常領域と下端領域に分けて、説明する。
〈通常領域でのラインの印刷〉
測定用パターンをテストシートTSに印刷するにあたり、まず、プリンタ1にセットされたテストシートTSが印刷開始位置まで搬送される。スキャナ70で読み取る際に、テストシートTSの上端から1mmの範囲はスキャン範囲に入らない可能性があるため、テストシートTSから1mm以上離れた場所がテストシートTSの印刷開始位置となる。
印刷開始位置までテストシートTSが搬送された後、キャリッジ21が移動方向に移動しながら最初のライン(L1)が印刷される。1回のパスで、1本のラインが印刷される。ラインL1はマゼンタインク用ノズル列Mのノズル#90を用いて印刷される。できる限り多くのラインが通常領域に印刷されるように、一番上流側のノズル#90が用いられる。
そして、ラインL1の印刷後、コントローラ50はテストシートTSを所定搬送量F分だけ搬送する。その後、パス2においてラインL2が印刷される。この所定搬送量Fと実際の搬送量との差が搬送誤差である。ところで、ロータリー式エンコーダ42は直接的にテストシートTSの搬送量を検知していない。そのため、実際の搬送量は実際に印刷されたラインL1とラインL2の間隔を計測し、搬送誤差を求める。
このように、ラインが印刷される動作と、テストシートTSが所定搬送量F分だけ搬送される動作が交互に繰り返されることにより、テストシートTSの通常領域に複数のライン(L1からL20)が印刷される。本実施形態では、搬送ローラ13の円周の長さの4等分を所定搬送量Fとする。搬送ローラ13の円周の長さは1インチであるので、テストシートTSは1/4インチずつ搬送される。即ち、設計上では、搬送方向に隣り合うラインの間隔は1/4インチとなる。
また、ノズルの特性の違いが影響しないように、通常領域のラインは全て同じノズルによって印刷される。即ち、ラインL1からラインL20の全てが、マゼンタインク用ノズル列Mのノズル#90によって、印刷される。
〈個体識別コードの印刷〉
テストシートTSの通常領域に複数のラインが印刷された後、個体識別コードが印刷される。個体識別コードとは、プリンタ1を識別するための製造番号等である。これから算出される補正値が、誤って別のプリンタのメモリに記憶されないようにするために、個体識別コードもスキャナ70に読み込まれる。
図11は、個体識別コード印刷時のテストシートTSとヘッド31の位置関係を示している。パス20で、ラインL20が印刷された後に、個体識別コードが印刷される。図11に示すようにパス20では、キャリッジ21(ヘッド31)が左から右に移動するため、個体識別コードはラインL20の右側に印刷される。個体識別コードを印刷する際には、ノズル#90だけでなく、マゼンタインク用のノズル列Mの全てのノズル(#1〜#90)を使用可能とする。即ち、ラインL1からラインL20は1つのノズルのみを用いて印刷されたが、個体識別コードは複数のノズルを用いて印刷される。但し、本実施形態のノズル間隔Dは90dpiであり、ノズル同士の間隔が比較的広い。その為、1つのノズル列のみを用いて1回のパスで文字を印刷しようとすると、文字にスジが生じてしまい、コンピュータ60が文字を認識できないおそれがある。そこで、パス20の後に、テストシートTSを所定搬送量Fよりも少ない搬送量で微小送りして、固体識別コードの印刷を完成させる。つまり、パス20の後に、テストシートTSを微小送りして(1/360インチ)、パス21からパス23において個体識別コードの印刷の続きを行う。本実施形態では、テストシートTSの微小送りを3回行って、個体識別コードの印刷を完了する。その結果、個体識別コードの文字の解像度が上がり、コンピュータ60が正確に文字を認識することができる。
図12は、本実施形態の比較例として、ラインL8が印刷された後に個体識別コードが印刷される様子を示す図である。図12のように、仮に、ラインL20ではなくラインL8の印刷後に、個体識別コードが印刷されるとする。パス8(ラインL8を印刷するパス)では、キャリッジ21が左から右へ移動する。そして、テストシートTSが1/4インチ搬送された後、パス9において、キャリッジ21が右から左に移動しながら、まず、個体識別コードが印刷される。その直後にラインL9が印刷される。
このような場合、個体識別コードを印刷したことで、メニスカス(ノズルで露出しているインクの自由表面)が完全に安定する前に、ラインL9を印刷される可能性がある。そうすると、吐出されるインク量が通常と異なり、ラインL9の太さと他のラインの太さが異なってしまう。さて、搬送誤差はラインL8とラインL9の間隔から求めるので、ラインの太さが異なると、ラインの正確な絶対位置(後述)が求められなくなる。その結果、正確な搬送誤差を求められなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、通常領域のライン(L1〜L20)が全て印刷された後に、個体識別コードを印刷している。そうすることで、通常領域のラインを印刷する際のノズルの状態は常に同じになる。通常領域のあるラインと、その次のラインを印刷する間に、テストシートTSが所定搬送量F分だけ搬送されるので、ノズルのメニスカスが安定する時間を十分に確保することが出来る。つまり、通常領域の全てのラインは、ノズルのメニスカスが安定している状態で印刷されるので、ラインの太さが全て一定になる。そして、正確な搬送誤差を導くことが出来る。
ところで、本実施形態では、文字の解像度を上げるため、テストシートTSを微小送しながら個体識別コードの印刷を完了させる。そのため、例えば、パス9で個体識別コードの一部を印刷し、その後、テストシートTSを微小送りしながら個体識別コードの印刷を完成させ、更にテストシートTSを1/4インチ搬送させて、ラインL10を印刷したとする。そうすると、ラインL9とラインL10の間隔が1/4インチではなく、1/4インチに微小送りした分の長さが含まれる。言い換えると、ラインL9とラインL10の間隔には、3回の微小送りによる搬送誤差と、1/4インチ搬送されたときの搬送誤差が含まれてしまう。
また、もし、ラインL9とラインL10の間隔を1/4インチにしようとすると、個体識別コードの印刷後に、テストシートTSは1/4インチから微小送りした長さを引いた長さ(以下、1/4インチ弱とする)を搬送される。この場合、印刷された測定用パターンをみると、ラインL9とラインL10の間隔は、他の隣り合うラインの間隔と同様に(誤差を含まないと)1/4インチとなる。しかし、ラインL9が印刷されてからラインL10が印刷されるまでの搬送動作が、他のラインが印刷されてから次のラインが印刷されるまでの搬送動作と異なる。例えば、ラインL1が印刷された後、1回の搬送でテストシートTSは1/4インチ搬送され、ラインL2が印刷される。即ち、ラインL1とラインL2の間隔には、テストシートTSが1回で1/4インチ搬送されたときの搬送誤差が含まれる。これに対して、ラインL9の印刷後、テストシートTSは3回微小送りされ、そして、1/4インチ弱搬送される。そのため、ラインL9とラインL10の間隔には、テストシートTSが3回微小送りされたときの搬送誤差と、テストシートTSが1/4インチ弱搬送されたときの搬送誤差が含まれてしまう。このように、ラインL9の後に個体識別コードを印刷しようとすると、ラインL9とラインL10の間隔に含まれる搬送誤差と、他の隣り合うラインの間隔が有する搬送誤差は、異なる種類の搬送誤差となってしまう。
そこで、本実施形態のように、通常領域のラインを印刷した後に、個体識別コードを印刷することで、隣り合うラインの間隔は全て、テストシートTSが1回で1/4インチ搬送されたときの誤差が含まれるようになる。
また、通常領域のラインを印刷した後に個体識別コードを印刷するということは、テストシートTSを微小送りしながら、印刷することができるということになる。そうすれば、解像度が高い文字が印刷でき、コンピュータ60が正確に個体識別コードを認識し、正しいプリンタ1のメモリ53に補正値を記憶させることができる。
更に、本実施形態では測定用パターンのラインをテストシートTSの中央に印刷するので、個体識別コードを印刷するスペースが限られてしまう。もし、個体識別コードの文字の解像度が低いと、コンピュータ60が文字を認識するために、個体識別コードの文字を大きくしなければならない。そして、個体識別コードの文字の大きさに合わせて、テストシートTSのサイズも大きくする必要がある。テストシートTSが大きくなるということは、印刷量が増えて、印刷時間が増加してしまう。しかし、本実施形態のように、解像度の高い文字が印刷できれば、テストシートTSのサイズを大きくする必要はなく、印刷時間が短縮され、検査工程時間も短縮される。
以上をまとめると、通常領域の全てのラインを印刷した後に個体識別コードを印刷することで、以下のような効果が得られる。第1に、ノズルが常に同じ状態でラインを印刷することが出来る。第2に、通常領域の全てのライン間隔に、テストシートTSが所定間隔(1/4インチ)搬送されたときに生じる搬送誤差が含まれることになる。第3に、解像度の高い文字を印刷出来るので、コンピュータ60が正確に文字を認識することができる。そして、解像度の高い文字は、文字を大きく印刷しなくても、コンピュータ60が正確に認識できるので、テストシートTSのサイズを大きくする必要がなく、印刷時間が短縮され、検査時間も短縮される。
〈下端領域でのラインの印刷〉
図13Aは、テストシートTSの下端領域にラインLb1が印刷される様子を示している。図13Bは、テストシートTSの下端領域にラインLb2が印刷される様子を示している。テストシートTSの通常領域において、複数のラインと個体識別コードの印刷された後、下端領域に2本のラインLb1およびLb2が印刷される。
テストシートTSが非NIP状態になると、コントローラ50は、マゼンタインク用ノズル#90で最初のラインLb1を印刷する。その後、コントローラ50は、排紙ローラ15を1回転させることにより、テストシートTSを1インチ搬送する。そして、マゼンタインク用ノズル#3でラインLb2を印刷する。このラインLb1とラインLb2の間隔は、設計上では3/90インチとなる。つまり、設計上のラインLb1とラインLb2の間隔(3/90インチ)と、実際に印刷されたラインLb1とラインLb2の間隔の差が下端領域における搬送誤差となる。
下端領域の搬送誤差も、同じノズル(マゼンタインク用ノズル#90)で印刷された2本のラインの間隔から求められることが理想的である。しかし、排紙ローラ15によるAC成分の搬送誤差の影響が無くなるように、排紙ローラ15を1回転させると、テストシートTSの下端はノズル#90の下を通り過ぎてしまう。そこで、ラインLb1を印刷し、排紙ローラ15を1回転させた後でも、テストシートTSと対向している下流側のノズルでラインLb2を印刷する。最も下流側のノズル#1でラインLb2を印刷しようとすると、Lb1とLb2の間隔が1/90インチとなり、間隔が狭すぎるので測定しにくくなる。反対に、ノズル#1よりも上流側過ぎるノズルを用いてラインLb2を印刷すると、ラインLb2がスキャナ70で読み取れる範囲外に位置してしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、ラインLb1とラインLb2の間隔が適度に開き、ラインLb2がスキャナ70の読み取り範囲内に印刷されるように、ノズル#3を用いてラインLb2を印刷する。
ところで、本実施形態では、テストシートTSに測定用パターンを印刷するために、1つのノズル列であるマゼンタインク用のノズル列Mのみを使用している。そのため、検査中のプリンタ1には、マゼンタインクのカートリッジを1つ取り付けてテストシートTSの印刷を行えばよいことになる。
===測定用パターンと基準パターンの読み取り(S102)===
〈スキャナ70の構成〉
まず、測定用パターンの読み取りに用いられるスキャナ70の構成について説明する。図14Aは、スキャナ70の縦断面図である。図14Bは、上蓋71を外した状態のスキャナ70の上面図である。
スキャナ70は、上蓋71と、原稿72が置かれる原稿台ガラス73と、この原稿台ガラス73を介して原稿72と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ74と、読取キャリッジ74を副走査方向に案内する案内部75と、読取キャリッジ74を移動させるための移動機構76と、スキャナ70内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ74には、原稿72に光を照射する露光ランプ77と、副走査方向と垂直な方向である主走査方向のラインの像を検出するラインセンサ78と、原稿72からの反射光をラインセンサ78へ導くための光学系79とが設けられている。図中の読取キャリッジ74の内部の破線は、光の軌跡を示している。
原稿72の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋71を開いて原稿72を原稿台ガラス73に置き、上蓋71を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ77を発光させた状態で読取キャリッジ74を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ78により原稿72の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ60のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ60は、原稿72の画像データを取得する。
〈測定用パターンと基準パターンの読み取り〉
ところで、スキャナ70がテストシートTSの画像を読み取る際に、読み取り誤差が発生してしまうことがある。読み取り誤差とは、実際の画像の位置と読み取った画像の位置との差のことである。例えば、読取キャリッジ74を読み取り開始位置から1インチ移動させたとき、読み取り開始位置から実際には1インチ離れた画像を、読み取り開始位置から1インチと60μm離れた位置に画像があると読み取ってしまうことなどがある。そのため、スキャナ70で読み取ったテストシートTSのラインの間隔には、プリンタ1の搬送誤差とスキャナ70による読み取り誤差が含まれることになる。
そこで、本実施形態では、テストシートTSと基準シートSSも一緒にスキャナ70で読み取らせる。図15Aは、基準シートSSの説明図である。基準シートSSには、360dpi間隔に多数のラインが形成されており、予めスマートスコープ等の測定機器によりその間隔が正確であると確認されている。つまり、スキャナ70で読みとった基準シートSSのラインの間隔には、スキャナ70による読み取り誤差のみしか含まれていない。ゆえに、基準シートSSも一緒にスキャナ70で読み取ることで、テストシートTSのラインの間隔に含まれたスキャナ70の読み取り誤差を補正することができる。
図15Bは、原稿台ガラス73にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子を上から見た図である。基準シートSSの各ラインとテストシートTSの各ラインが、スキャナ70の主走査方向に平行になるように、基準シートSSとテストシートTSがセットされている。また、基準シートSSとテストシートTSをセットする際に、この2枚のシートの反りを抑え、2枚のシートが原稿台ガラス73の所定の位置にセットされるような治具(不図示)を用いても良い。また、基準シートSSは、多数のプリンタの検査に対して使用されるので、紙ではなくPETフィルムなどの丈夫な素材で構成されている。
そして、スキャナ70がテストシートTSと基準シートSSの画像を読み取った後、その画像データはコンピュータ60に伝送される。
===補正値の算出(S103)===
図16は、補正値算出処理のフロー図である。補正値取得プログラムは、各処理をコンピュータ60に実行させるためのコードを有する。そして、コンピュータ60はそのコードに従って各処理を実行し、補正値を算出する。
〈画像の分割(S131)〉
図17Aは、スキャナ70から取得した画像データの示す画像が描かれている。図17Bは、分割された画像が描かれている。
まず、コンピュータ60はスキャナ70からの画像データを、基準パターンの画像と測定用パターンの画像に分割する。これは、基準シートSSとテストシートTSが個々に傾いてスキャナ70にセットされたおそれがあるので、それぞれ別々に傾きを補正するためである。
また、測定用パターンの画像のうち、破線で囲った部分の画像データ(図17B)をコピーし、コンピュータ60内のメモリに保存する。破線で囲った部分には、個体識別コードと、個体識別コードの画像の傾きを補正するためのラインL16の画像が含まれるようにする。これは、個体識別コードの画像の傾きは、複数のラインの画像の傾きとは別に、ラインL16の傾きを基に補正されるからである。
つまり、各画像データ(基準パターン、測定用パターン、個体識別コード)の傾きを補正するために、スキャナ70で読み取った画像データ(図17A)を3つの画像データ(図17B)にする。
〈各画像の傾きの検出(S132)〉
図18Aは、スキャナ70で読み取った測定用パターンの画像の一部であり、傾きを検出する様子を示している。コンピュータ60内において、画像データの位置を特定するために、スキャナ座標系(x方向・y方向)を定める。ラインL1は、x方向に対して傾きθの大きさで、傾斜している。この傾きθを算出し、画像データの傾きを補正する。
まず、コンピュータ60は、画像データの中から、左からKX2番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。同様に、左からKX3番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。なお、取り出される画素の中にラインL1を示す画素が含まれるように、パラメータKX2、KX3、KY1及びJYが設定されている。
図18Bは、取り出された画素の濃度を示すグラフである。グラフの横軸はy方向の画素の位置、グラフの縦軸は画素の濃度を示している。ラインL1はy方向にY画素分の幅を持った画像であるため、ラインL1のy方向の重心位置を決定する必要がある。そこで、コンピュータ60は、ラインL1のy方向の最高濃度位置を求める。最高濃度位置を中心とする所定の範囲を演算範囲とし、ラインL1のy方向の重心位置を求める。図中では、左からKX2番目の画素のうち、ラインL1のy方向の重心位置をKY2とし、左からKX3番目の画素のうち、ラインL1のy方向の重心位置をKY3とする。そして、コンピュータ60は、次式によりラインL1の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY3)/(KX3−KX2)}
なお、コンピュータ60は、基準パターンの画像の傾きと、個体識別コードの画像の傾きも検出する。基準シートSSの一番上端側のラインの傾きθを、基準パターンの画像の傾きとする。ラインL16の傾きθを個体識別コードの画像の傾きとする。その際、ラインL16と個体識別コードの画像(図17Bの破線で囲まれた部分)がメモリから取り出され、ラインL16の傾きθが算出される。傾きθの検出方法は、上記の方法とほぼ同様であるので、説明を省略する。
<各画像の傾きの補正(S133)>
次に、コンピュータ60は、S132において検出した各傾きθに基づいて、各画像を別々に回転処理し、画像の傾きを補正する。測定用パターンの画像の傾きはラインL1の傾きθを基に補正し、基準パターンの画像の傾きは、基準シートSSの一番上端側のラインの傾きθを基に補正する。そして、個体識別コードの画像の傾きはラインL16の傾きθを基に補正する。画像の回転処理のアルゴリズムには、バイリニア法が用いられる。このアルゴリズムは良く知られているので、説明は省略する。
ところで、テストシートTSは移動方向に伸びた搬送ローラ13により搬送される。そのため、テストシートTSの右端と左端では搬送誤差量が異なる可能性がある。つまり、給紙されたとき、テストシートTSの上端が移動方向に対して平行であったとしても、テストシートTSが搬送されるにつれて、テストシートTSが傾いてしまうことがある。また、個体識別コードはテストシートTSの下端側に印刷される。即ち、ラインL1が印刷されたときのテストシートTSの傾きと、個体識別コードが印刷されたときのテストシートTSの傾きに差が生じてしまうことがある。この場合、もし、ラインL1の傾きθにより、個体識別コードの画像の傾きを補正したとすると、個体識別コードの画像の傾きは正確に補正されない。そうすると、コンピュータ60が個体識別コードの文字を正しく認識することが出来ず、算出した補正値を誤ったプリンタのメモリに記憶させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、ラインL1よりも個体識別コードに近いラインL16の傾きθを用いて、個体識別コードの傾きを補正する。その結果、個体識別コードが印刷されたときのテストシートTSの傾きに近い傾きθ(ラインL16の傾きθ)により、個体識別コードの画像の傾きが正確に補正される。そして、コンピュータ60は個体識別コードの文字を正しく認識し、算出した補正値が正しいプリンタ1のメモリ53に記憶される。
また、ラインL16よりも後に印刷されたライン(L17からL20)の傾きの方が、個体識別コードの画像の傾きに近くなる。但し、ラインL17からラインL20を個体識別コード側に長く印刷すると、個体識別コードと重なってしまう。そこで、本実施形態では、個体識別コードに近く、且つ、個体識別コード側に長く印刷しても個体識別コード側と重なることないラインL16の傾きθを基に、個体識別コードの画像の傾きを補正する。
<印刷時の傾きの検出(S134)>
次に、コンピュータ60は、測定用パターンの印刷時の傾き(スキュー)を検出する。測定用パターンを印刷するときにテストシートTSの下端が搬送ローラ13から外れると、テストシートTSの下端がヘッド31に接触し、テストシートTSが動くことがある。このようなことが起こると、その測定用パターンにより算出された補正値が不適切なものになる。そこで、測定用パターンの印刷時の傾きを検出することにより、テストシートTSの下端がヘッド31に接触したか否かを検出し、接触した場合にはエラーとする。
図19は、測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。まず、コンピュータ60は、ラインL1(一番上のライン)とラインLb2(一番下のライン、テストシートTSの下端が搬送ローラ13を通過した後に形成されるライン)における左側の間隔YLと、右側の間隔YRとを検出する。そして、コンピュータ60は、間隔YLと間隔YRの差を算出し、この差が所定範囲内であれば次の処理(S135)へ進み、この差が所定範囲外であればエラーとする。
<余白量の算出(S135)>
図20は、余白量Xの説明図である。図中の実線の四角形(外側の四角形)は、S133の回転補正後の画像を示している。図中の点線の四角形(内側の斜めの四角形)は、回転補正前の画像を示している。回転補正後の画像を長方形状にするため、S133の回転補正処理が行われる際に、回転後の画像の四隅に直角三角形状の余白が付加される。
回転補正し、余白が付加された測定用パターンの画像データのx方向の中央の地点から測定用パターンの各ラインまでの距離を各ラインの絶対位置とする。この場合、図20に示す余白量Xもラインの絶対位置に含まれることになる。基準シートSSとテストシートTSの傾きとは別々に傾きを補正しているため、基準シートSSとテストシートTSの余白量Xが異なる可能性がある。そうすると、基準パターンと測定用パターンの余白量Xが異なってしまう。そして、スキャナ70にセットした際の基準パターンと測定用パターンの相対的な位置関係がずれてしまう。
本実施形態では、基準パターンと測定用パターンの相対的な位置関係より、スキャナ70による読み取り誤差を補正する(後述)。そのため、基準パターンと測定用パターンの相対的な位置関係が余白量Xの差によってずれてしまわないように、余白量Xを差し引いて、各ラインの絶対位置を算出する。余白量Xは以下のように求める。
X=(w cosθ−w´/2)×tanθ
<スキャナ座標系での各ラインの重心位置の算出(S136)>
次に、コンピュータ60は、スキャナ座標系での基準パターンと測定用パターンの各ラインの重心位置を算出する。なお、各画像における左上の画素の位置を、スキャナ座標系の原点とする。
図21Aは、測定用パターンのラインの重心位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。図中の点線で示す範囲の画像の画像データが、各ラインの重心位置を算出する際に用いられる。図21Bは、測定用パターンのラインの重心位置の算出の説明図である。横軸は、画素のy方向の位置を示している。縦軸は、画素の濃度を示している。画像の傾きを補正したとき(S132)と同様に、測定用パターンと基準パターンの各ラインの重心位置を求める。そして、各ラインの重心位置からS135で求めた余白量Xを差し引く。
<測定用パターンの各ラインの絶対位置の算出(S137)>
次に、S136において求めた測定用パターンと基準パターンの重心位置(余白量Xを差し引いた値)より、コンピュータ60は、測定用パターンの各ラインの絶対位置を算出する。
測定用パターンのn番目のラインの重心位置L(n)とn+1番目のラインの重心位置L(n+1)の間隔は、所定搬送量F(1/4インチ)にプリンタ1による搬送量誤差とスキャナ70による読み取り誤差が加わった値となる。ゆえに、搬送誤差を補正する補正値を求めるため、読み取り誤差が含まれないラインの絶対位置を算出する必要がある。そのために、読み取り誤差のみが含まれている基準パターンのラインと、測定用パターンのラインの相対的な位置関係により、ラインの絶対位置を算出する。
図22は、基準パターンのラインと測定用パターンのラインの位置関係を示している。以下に、測定用パターンのn番目のラインL(n)の絶対位置の求め方について説明する。ラインL(n)は、基準パターンのi番目のラインK(i)とi+1番目のラインK(i+1)の間に位置する。また、ラインK(i)とラインK(i+1)の間隔をSとし、ラインK(i)とラインL(n)の間隔をS(m)とする。
ところで、基準パターンと測定用パターンは同時にスキャナ70に読み取られている。つまり、スキャナ70の読み取り開始位置からラインK(i)までの間隔が有する読み取り誤差量と、読み取り開始位置からラインL(n)までの間隔が有する読み取り誤差量は、ほぼ等しい。(但し、厳密に言えば、ラインK(i)とラインL(n)の間隔S(m)を読取キャリッジ74が移動する間にも読み取り誤差eは生じている。しかし、この誤差eは、プリンタ1による搬送誤差に比べたら大変微小であるため、誤差eはゼロとする。)ゆえに、基準パターンのラインK(i)及びラインK(i+1)と測定用パターンのラインL(n)の位置関係は、スキャナ70にセットした時と読み取った画像とで変わらない。そこで、まず、間隔Sに対するラインL(n)の比率Hを求める。
H=S(m)/S
={L(n)−K(i)}/{K(i+1)−K(i)}
そして、ラインK(i)とラインK(i+1)の重心位置から求めた間隔Sには読み取り誤差が含まれている可能性があるが、実際の基準パターンのライン間隔は1/36インチである。そこで、間隔Sを1/36インチとすることで、ラインK(i)に対するラインL(n)の絶対位置を求めることができる。ラインK(i)の絶対位置Ka(i)を基準とし、ラインL(n)の絶対位置La(n)を求める。
La(n)={Ka(i+1)−Ka(i)}×H+Ka(i)
=1/36インチ×H+Ka(i)
ここで、仮にラインK(i−1)を基準として、ラインK(i−1)の絶対位置Ka(i−1)をゼロとする。そうすると、ラインK(i−1)とラインK(i)の実際の間隔は1/36インチであるので、ラインK(i)の絶対位置Ka(i)は、1/36となる。こうすることで、ある基準に対するラインL(n)の絶対位置を求めることができる。本実施形態では、基準パターンの1番目のラインをゼロ(基準)として、測定用パターンの各ラインの絶対位置を求める。
<補正値の算出(S138)>
次に、S137で求めた測定用パターンのラインの絶対位置La(n)により補正値を求める。補正値は、理論上のライン間隔と実際のライン間隔との差に基づいて算出する。パスnとパスn+1との間で行われた搬送動作の搬送誤差を補正する値をC(n)として、以下のように求める。
C(n)=理論上のライン間隔(1/4インチ)−(La(n+1)−La(n))
このようにして補正値C(1)〜補正値C(19)を算出する。
但し、下端領域にあるラインLb1及びLb2を用いて補正値Cbを算出する場合、ラインLb1とラインLb2の理論上のライン間隔は3/90インチとして計算する。
<補正値の平均化(S139)>
さて、S138において求めた補正値C(n)には、DC成分の搬送誤差だけでなく、AC成分の搬送誤差も含まれている。AC成分の搬送誤差は搬送ローラ13の位置によって異なるが、本実施形態では原点センサなどで搬送ローラ13の位置を管理していない。そのため、補正値C(n)を基に実際に搬送誤差の補正をする際に、補正値C(n)を求めた時の搬送ローラ13の位置と、実際に搬送誤差を補正する際の搬送ローラ13の位置が異なってしまった場合、搬送誤差を正しく補正することができない。そこで、AC成分の搬送誤差を含まない、DC成分の搬送誤差のみを補正する補正値が必要となる。
ところで、搬送ローラ13が1回転したときには、AC成分の搬送誤差は生じない。言い換えると、搬送ローラ13が1回転したときに生じる搬送誤差には、AC成分の搬送誤差は含まれず、DC成分の搬送誤差のみを含むこととなる。そこで、実際に搬送誤差を補正する際、補正値C(n)ではなく、搬送ローラ13が1回転する間に生じた4個の補正値C(n)を平均値化した補正値Ca(n)を用いる。
Ca(n)={C(n−1)+C(n)+C(n+1)+C(n+2)}/4
=[1インチ−{La(n+3)−La(n−1)}]/4
図23は、測定用パターンのラインと補正値Caとの関係の説明図である。具体例を挙げると、補正値Ca(2)は以下のよう求めることができる。
Ca(2)={C(1)+C(2)+C(3)+C(4)}/4
=[1インチ−{La(5)−La(1)}]/4
ラインL1が印刷された後、搬送ローラ13が1回転して、ラインL5が印刷される。つまり、ラインL1とラインL5の間隔には、DC成分の搬送誤差のみが含まれるので、平均値化した補正値Ca(2)にはAC成分の搬送誤差が含まれていないことになる。このように、搬送ローラ13が1回転したときの搬送誤差を求めることで、AC成分の搬送誤差が含まれていないDC成分のみの搬送誤差が求められる。そのために、所定搬送量Fは、搬送ローラ13の円周の長さをn等分した長さに設定する。
そして、平均値化した補正値Ca(2)は、ラインL1とラインL5の間隔の中央付近の搬送誤差を補正するために用いられる。即ち、補正値Ca(2)は、ラインL2とラインL3の間隔の搬送誤差を補正するために用いられる。そして、本実施形態では、測定用パターンのラインを1/4インチごとに印刷し、補正値C(n)を求めるため、1インチごとではなく1/4インチの細かい範囲で搬送誤差を補正することができる。
また、平均値化した補正値Ca(n)を算出する際にn−1がゼロ以下になる場合、補正値C(n−1)は補正値C(1)を適用する。例えば、平均値化した補正値Ca(1)は次式のように求める。
Ca(1)={C(1)+C(1)+C(2)+C(3)}/4
平均値化した補正値Ca(n)を算出する際にn+1が20以上になる場合、補正値C(n+1)は補正値C(19)を適用する。例えば、平均値化した補正値Ca(19)は次式のように求める。
Ca(19)={C(18)+C(19)+C(19)+C(19)}/4
コンピュータ60は、このようにして平均値化した補正値Ca(1)〜Ca(19)を算出する。なお、下端領域に用いられる補正値Cbは、AC成分の搬送誤差を含まないラインLb1とラインLb2の間隔から求められた搬送誤差であるため、S138で求めた補正値Cbを平均値化する必要はない。
また、S104において平均値化した補正値Ca(n)のデータをプリンタ1に記憶させる前に、傾きが補正された(S133)個体識別コードの画像データの内容と、補正値Ca(n)のデータを送信するプリンタ1の個体識別コードが等しいかを確認する必要がある。まず、コンピュータ60は、文字認識用プログラムに従って、メモリに保存されている個体識別コードの画像データの内容を文字として認識する。次に、コンピュータ60は、プリンタ1内のメモリ53に記憶されている個体識別コードのデータを受信する。そして、個体識別コードの画像データの内容とプリンタ1の個体識別コードが等しければ、コンピュータ60は、次の処理(補正値の記憶:S104)に進む。もし、個体識別コードの画像データの内容とプリンタ1の個体識別コードが一致しなければエラーとなる。
===補正値の記憶(S104)===
次に、コンピュータ60は、平均値化した補正値Ca(n)をプリンタ1のメモリ53に記憶させる。メモリ53には、補正値Ca(n)だけでなく、補正値Ca(n)の境界位置情報も記憶させる。境界位置情報とは、補正値Ca(n)がどの地点で用いられるのかを示す情報である。例えば、補正値Ca(1)に関連付けられる境界位置情報は、測定用パターンのラインL2の理論上の位置であり、補正値Ca(2)に関連付けられる境界位置情報は、測定用パターンのラインL3の理論上の位置である。この境界位置情報とは、補正値Ca(n)を適用する範囲の下端側の境界を示す情報である。
例えば、搬送前にノズル#90と対向する紙Sのある位置がラインL2の理論上の位置と一致し、搬送後にノズル#90と対向する紙Sの他の位置がラインL3の理論上の位置と一致する場合、補正値Ca(2)を用いて搬送誤差が補正される。
なお、補正値Ca(1)の上端側の境界位置情報はゼロである。即ち、メモリ53に記憶される境界位置情報は、紙の上端を基準地点としている。また、非NIP状態では、補正値Cbのみしか用いないので、境界位置情報を一緒にメモリ53に記憶させる必要はない。
プリンタ製造工場では、製造されるプリンタ毎に、各プリンタの個体の特徴を反映した補正値Ca(n)と境界位置情報がメモリ53に記憶される。
===ユーザーの下での印刷時の搬送動作===
メモリ53 に記憶された補正値Ca(n)を実際に使用する際に、コントローラ50は、紙Sのどの位置に補正値Ca(n)が適用されるかを管理する必要がある。本実施形態では、補正値Ca(n)を求めるためにノズル#90が用いられている。そのため、コントローラ50は、ノズル#90と対向する紙Sの位置(以下、基準位置とする)を基準として、どの補正値Ca(n)を適用するかを管理する。また、補正値Ca(1)の上端側の境界位置情報はゼロである。ゆえに、コントローラ50は、ノズル#90と移動方法に並んでいる光学センサ44が紙Sの上端を検知した地点を、境界位置の基準地点と判断する。
更に、実際にプリンタ1を使用する際の紙Sの目標搬送量fと、補正値Caを求めたときの搬送量(1/4インチ)が異なる場合には、目標搬送量fに合わせた補正値Ca´を求める必要がある。また、搬送前に紙Sの基準位置と、補正値Ca(n)の境界位置がずれていたり、目標搬送量fの範囲が2つの補正値Ca(n)とCa(n+1)の範囲をまたいだりする可能性がある。そのため、それぞれのケースに応じた補正値Ca´に換算する必要がある。
図24Aは、第1のケースの補正値Ca´(n)の説明図である。搬送開始前の基準位置が補正値Ca(n)の上端側の位置と等しく、目標搬送量fが補正値Ca(n)の適用範囲L(1/4インチ)と等しい場合には、補正値Ca(n)がそのまま用いられる。
図24Bは、第2のケースの補正値Ca´(n)の説明図である。搬送開始前と搬送後の基準位置が補正値Ca(n)の適用範囲内に位置し、目標搬送量fが補正値Ca(n)の適用範囲Lよりも短い場合、以下に示す補正値Ca´(n)を用いる。
Ca´(n)=Ca(n)×(f/L)
図24Cは、第3のケースの補正値Ca´(n)の説明図である。搬送開始前の基準位置が補正値Ca(n)の適用範囲内に位置し、搬送後の基準位置が補正値Ca(n+1)の適用範囲内に位置するまで紙Sが搬送される場合、以下に示す補正値Ca´(n)を用いる。
Ca´(n)=Ca(n)×(f1/L)+Ca(n+1)×(f2/L)
図24Dは、第4のケースの補正値Ca´(n)の説明図である。搬送開始前の基準位置が補正値Ca(n)の適用範囲内に位置し、搬送後の基準位置が補正値Ca(n+2)の適用範囲内に位置するまで紙Sが搬送される場合、以下に示す補正値Ca´(n)を用いる。
Ca´(n)=Ca(n)×(f1/L)+Ca(n+1)
+Ca(n+2)×(f2/L)
なお、非NIP状態の搬送誤差に対しては補正値Cbを用いる。この補正値Cbは、紙Sが非NIP状態であるときに1インチ搬送される場合の補正量である。そのため、非NIP状態の搬送量fが1インチ(=L)でない場合は、以下に示す補正値Cb´を用いる。
Cb´=f/L
また、テストシートTSと実際に印刷する用紙サイズが異なる場合、補正値Ca(n)の適用範囲を印刷する用紙に適応することができない。そこで、印刷用紙の搬送特性とテストシートTSの搬送特性が近似している地点を対応させ、対応する地点の補正値Ca(n)を使用する。そうして、補正値Ca(n)を組み合わせ、印刷用紙用にデータを作成する。
===実施形態2:個体識別コードの印刷===
前述の実施形態では、測定用パターンの個体識別コードを印刷する際に、1つのノズル列(マゼンタ用インクノズル列Mのノズル#1〜#90)を用いて印刷する。そして、文字を1つのノズル列のみで印刷する場合、印刷された文字にスジが生じてしまい、コンピュータ60が文字を認識できないおそれがあるので、テストシートTSを微小送りして、個体識別コードの印刷を行っている。
この実施形態2では、個体識別コードを印刷する際に、複数のノズル列を用いて印刷する。図4の4つのノズル列のうちの2列を用いた場合について説明する。2つのノズル列を用いるということは、1つの画素にドットを2回着弾することである。つまり、1つのノズル列のみを用いて印刷するよりも2つのノズル列を用いて印刷する方が、文字を太く印刷することができるので、個体識別コードの文字の認識率が上がる。
その結果、テストシートTSを微小送りすることなく、1回のパスで個体識別コードの印刷を終了することも可能となり、測定用パターンの印刷時間を短縮することができる。但し、1回のパスで個体識別コードを印刷し、測定用パターンのラインを所定搬送量(1/4インチ)毎に印刷できたとしても、図12の比較例のようにライン(L8)とライン(L9)を印刷する間に個体識別コードを印刷することはできない。なぜなら、個体識別コードを印刷した直後に印刷されるラインは、メニスカスが完全に安定する前に印刷される可能性があるからである。そのため、実施形態2においても前述の実施形態と同様に、通常領域のラインが印刷された後に、個体識別コードが印刷される。また、2つのノズル列を用いるため、インクカートリッジを前述の実施形態よりも多く取り付ける必要がある。
ところで、2つのノズル列を用いるということは、インクを2色使用することも可能となる。例えば、マゼンタインクとブラックインクで、個体識別コードを印刷するとする。そうすることで、印刷された文字の色が濃くなるため、コンピュータ60が文字を認識しやすくなる。逆に、2つのノズル列を用いるからといって、インクを2色使用しなくてもよい。マゼンタインク用ノズル列Mとブラックインク用ノズル列Kを用いて、個体識別コードを印刷するとしても、コストの安いマゼンタインクのみしか使用しなくてもよい。その際には、ブラックインク用ノズル列にもマゼンタインクのカートリッジを取り付ける。
===実施形態3:個体識別コードの印刷===
前述の実施形態では、測定用パターンの個体識別コードを印刷する際に、1つのノズル列(マゼンタ用インクノズル列M)を用いて印刷すると説明した。
図25は、ヘッド80の下面において、ノズル列が千鳥状に配列されている様子を示す図である。実施形態3では、ヘッド80を用いる。ヘッド80の下面には、2つのイエローインクノズル列Y1及びY2と、2つのマゼンタインクノズル列M1及びM2と、2つのシアンインクノズル列C1及びC2と、2つのブラックインクノズル列K1及びK2が形成されている。各ノズル列はノズルを90個備えており、ノズル列長は1インチである。つまり、ノズル間隔Dは、1/90インチとなる。また、同色インクの2つのノズル列のうち、右側のノズル列の方が左側のノズル列に比べ、搬送方向の上流側に1/180インチずれて配置されている。
この実施形態3では、千鳥状にずれた2つのノズル列、マゼンタインク用ノズル列M1及びM2を用いて、個体識別コードを印刷する。その結果、前述の実施形態のように図4のヘッド31のうちの1つのノズル列のみを用いて印刷するよりも、千鳥状に配列された2つのノズル列を用いて印刷すると、印刷された文字の解像度が2倍となる。
その結果、テストシートTSを微小送りすることなく、1回のパスで個体識別コードの印刷を終了することも可能となるので、測定用パターンの印刷時間を短縮することができる。但し、実施形態3では1回のパスで個体識別コードを印刷することができるが、個体識別コードを印刷した直後に通常領域のラインを印刷しようとすると、メニスカスが完全に安定する前にラインが印刷される可能性がある。そのため、実施形態3においても前述の実施形態と同様に、通常領域のラインが印刷された後に、個体識別コードが印刷される。また、図4のヘッド31を用いるのに対して、図25のようなヘッド80を用いる方が、コストがかかる。
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、スキャナで読み取った個体識別コードの画像の傾き補正方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
前述の実施形態では、テストシートTSの通常領域に測定用パターンを印刷する際、複数のラインを印刷した後に、個体識別コードを印刷する方法を例に挙げたが、これに限らない。複数のラインを印刷した後に個体識別コードを印刷しなくとも、スキャナ70で読み取った個体識別コードの画像の傾きを、スキャナ70で読み取った複数のラインの画像とは別に補正すれば、個体識別コードの画像の傾きは正確に補正される。但し、この場合、ノズルが常に同じ状態でラインが印刷される効果や、テストシートTSが所定間隔搬送されたときに生じる搬送誤差を求められる効果や、解像度の高い文字を印刷出来る効果等は得られない。
また、前述の実施形態では、測定用パターンの複数のラインのうち、個体識別コードに近いラインL16の傾きθを基に、個体識別コードの画像の傾きを補正しているが、これに限らない。以下に、ラインL16の傾きθを用いないで、個体識別コードの画像の傾きを補正する実施例を示す。
〈個体識別コードの画像の傾き補正:補正例1〉
図26Aは、補正例1の測定用パターンを示している。補正例1では個体識別コード付近に、搬送方向に伸びたラインLcが印刷される。前述の実施形態で個体識別コード側に伸びていたラインL16は、その他のラインと同様の長さである。ラインLcはパス20において、ラインL20が印刷された後に印刷される。そして、ラインLcはマゼンタインクノズル列Mのノズル#1からノズル#90の全てのノズルから同時にインクが吐出されることにより形成される。
ところで、ヘッド31の下面に形成されたノズル列は搬送方向と常に平行である。そのため、テストシートTSの左右の側辺が搬送方向と平行な状態であれば、マゼンタインクノズル列Mのノズルから同時にインクを吐出されることにより形成されたラインLcも搬送方向と平行になる(但し、ノズルから吐出されたインクはテストシートTSに対して垂直方向に吐出されるとする)。しかし、テストシートTSの側辺が搬送方向に対して角度θ’傾いた状態でラインLcが形成されると、ラインLcはテストシートTSの側辺に対して角度θ’傾くことになる。つまり、ラインLcがテストシートTSの側辺に対して角度θ’傾いていた場合、パス20でテストシートTSが搬送方向に対して角度θ’が傾いていたことになる。ゆえに、パス20で印刷される個体識別コードもテストシートTSの側辺に対して角度θ’傾いていることになる。そして、コンピュータ60が個体識別コードの内容を認識するためにはこの角度θ’を補正する必要がある。実際には、テストシートTSに印刷された個体識別コードをスキャナ70に読み取らせて、読み取った個体識別コードの画像から、コンピュータ60は個体識別コードの内容を認識する。
図26Bは、スキャナ座標系(x方向y方向)に対する、個体識別コードの画像の傾きを示している。前述の実施形態と同様に、スキャナ70で読み取った基準シートSSとテストシートTSの画像は、基準パターンの画像と、測定用パターンの画像と、個体識別コード及びラインLcの画像(図26Bの破線で囲まれた部分)に分けられる(S131:画像の分割)。そして、各画像の傾きを検出する(S132:各画像の傾きの検出)。
図26Bに示すように、スキャナ70に読み取られた個体識別コードの画像はスキャナ座標系のy方向に対して、角度θ傾いている。この傾きθは、印刷時のテストシートTSの側辺に対する個体識別コードの傾きθ’と、スキャナ70の副走査方向に対してテストシートTSの側辺が傾いてセットされたときの傾きを合わせた傾きである。
傾きθは、前述の実施形態と同様の方法で求める。破線で囲まれた画像の左上を原点Oとし、上からy1番目の画素であって、左(原点O)からJX個の画素を取り出す。また、上(原点O)からy2 番目の画素であって、左からJX個の画素を取り出す。そして、取り出した画素の中からラインLcのx方向の最高濃度位置を求める。その最高濃度位置を中心とする所定の範囲を演算範囲とし、ラインLcのx方向の重心位置を求める。上からy1番目の画素のうち、ラインLcのx方向の重心位置をx2とし、上からy2番目の画素のうち、ラインLcのx方向の重心位置をx1とする。そして、コンピュータ60は、次式によりラインLcの傾きθを算出する。
θ=tan−1{(x2−x1)/(y2−y1)}
その後、ラインLcの傾きθに基づいて、個体識別コードの画像の傾きを補正する(S133:各画像の傾きの補正)。このとき、測定用パターン(複数のライン)の画像の傾きは、ラインL1の画像の傾きθを基に、個体識別コードの画像とは別に補正される。
ところで、前述の実施形態では、パス16で印刷されたラインL16の傾きθを基に、個体識別コードの画像の傾きを補正している。それに対して、補正例1ではパス20で印刷されたラインLcの傾きθを基に、パス20で印刷された個体識別コードの画像の傾きを補正する。もし、パス16からパス20までの間にテストシートTSが傾いて搬送されてしまうと、パス16におけるテストシートTSの傾きと、パス20におけるテストシートTSの傾きに差が生じる。そうすると、ラインL16の傾きθを基に個体識別コードの画像の傾きを補正しても、正確に補正されないおそれがある。つまり、前述の実施形態に比べ、この補正例1の方が個体識別コードの画像の傾きが正確に補正される。
なお、前述の実施形態ではスキャナ座標系のx方向に対する傾き(ラインL16の傾き)を基に個体識別コードの画像の傾きを補正しているのに対し、補正例1ではy方向に対する傾きを基に補正している。個体識別コードの画像の傾きを補正するのに、どちらの方向の傾きを基に補正しても問題はない。
〈個体識別コードの画像の傾き補正:補正例2〉
図27Aは、補正例2の測定用パターンを示している。補正例2では個体識別コードの左上にクロス(+)C1が印刷され、右上にクロスC2が印刷されている。2つのクロスC1及びC2はパス20において印刷される。
印刷命令のデータ上では、2つのクロスC1及びC2の各中心の搬送方向の高さは等しい。つまり、テストシートTSの上端と下端が移動方向に対して平行な状態で2つのクロスC1及びC2が印刷されれば、クロスC1の中心とクロスC2の中心を結ぶ線はテストシートTSの上下端と平行になる。しかし、テストシートTSは搬送中に移動方向に対して角度θ’傾くことがある。また、テストシートTSが移動方向に対して角度θ’傾いている場合でも、クロスC1の中心とクロスC2の中心を結ぶ線が移動方向と平行になるように、2つのクロスC1及びC2は印刷される。つまり、クロスC1の中心とクロスC2の中心を結ぶ線はテストシートTSの上下端に対して角度θ’傾いていて印刷される。そして、パス20で印刷されるクロスC1の中心とクロスC2の中心を結ぶ線がテストシートTSの上下端に対して角度θ’傾いている場合、パス20で印刷される個体識別コードもテストシートTSの上下端に対して角度θ’傾いていることになる。
図27Bは、スキャナ座標系(x方向y方向)に対する、個体識別コードの画像の傾きを示している。図27Bに示すように、スキャナ70に読み取られた個体識別コードの画像はスキャナ座標系のx方向に対して、角度θ傾いている。この傾きθは、テストシートTSの上下端に対する個体識別コードの傾きθ’と、テストシートTSをスキャナ70にセットしたときの傾きを合わせた傾きである。傾きθは、各クロスC1及びC2の中心のx方向の重心位置とy方向の重心位置により、求めることができる。クロスC1のx方向の重心位置をx3、y方向の重心位置をy3とし、クロスC2のx方向の重心位置をx4、y方向の重心位置をy4とする。この場合、次式によりラインLcの傾きθを算出される。
θ=tan−1{(x4−x3)/(y4−y3)}
この傾きθを基に、個体識別コードの画像は、測定用パターンの画像とは別に、傾きを補正される。つまり、補正例2では、パス20で印刷された2つのクロスC1及びC2から算出した傾きθにより個体識別コードの画像の傾きを補正されるので、補正例1と同様の効果が得られる。つまり、前述の実施形態に比べ、補正例2の方が正確に個体識別コードの画像の傾きが補正される。
〈個体識別コードの画像の傾き補正:補正例3〉
図28Aは、補正例3の測定用パターンを示している。補正例3では、前述の実施形態の測定用パターン(図8)と同じ測定用パターンを使用する。つまり、パス16で印刷されるラインL16が個体識別コード側に伸びて印刷されている。前述の実施形態と同様に、まず、スキャナ70で読み取ったラインL16の画像の傾きθを求める。その後、補正例3では、ラインL16と個体識別コードの位置関係より、パス16からパス20の間にテストシートTSが傾いて搬送された傾き量(傾きθ’)を求める。そして、個体識別コードの画像の傾きは、測定用パターンの画像とは別に、傾きθと傾きθ’を合わせた傾きを基に補正される。
ところで、図28Aに示すように、印刷命令のデータ上では、個体識別コードの1行目の[No.00001]の左大かっこ([)の左上点の搬送方向の高さと、右大かっこ(])の右上点の搬送方向の高さは等しい。つまり、テストシートTSの上端と下端が移動方向に対して平行な状態で、左大かっこと右大かっこが印刷されれば、左大かっこの左上点と、右大かっこの右上点を結ぶ線はテストシートTSの上下端と平行になる。しかし、テストシートTSは搬送中に移動方向に対して傾くことがある。また、テストシートTSが移動方向に対して傾いている場合でも、左大かっこの左上点と右大かっこの右上点を結ぶ線が移動方向と平行になるように、個体識別コードは印刷される。即ち、個体識別コードはテストシートTSの上下端に対して傾いていて印刷される。そして、テストシートTSの上端に対する個体識別コードの傾きは、テストシートTSの上端に対するラインL16の傾き(スキャナ座標形上では傾きθ)と、左大かっこの左上点と右大かっこの右上点を結ぶ線とラインL16の傾きを合わせた傾き(スキャナ座標形上では傾きθ’)となる。そして、スキャナ70で読み取った画像から傾きθと傾きθ’を求める。以下、傾きθ’の求め方を説明する。
図28Bは、ラインL16に対する個体識別コードの画像の傾きθ’を示している。ラインL16に対する、左大かっこの左上点と右大かっこの右上点を結ぶ線の傾きθ’は、パス16からパス20までにテストシートTSが傾いた傾き量である。つまり、パス16までのテストシートの傾きθと、傾きθ’を合わせた傾きが、テストシートTSの上下端に対する個体識別コードの傾きとなる。傾きθ’を求めるために、まず、左大かっこ([)の左上点からラインL16までのy方向の長さy5と、右大かっこ(])の右上点からラインL16までのy方向の長さy6を求める。そして、左大かっこの左上点からy方向に伸びた線とラインL16が交わる点x5から、右大かっこの右上点からy方向に伸びた線とラインL16と交わる点x6までの長さを求める。そして、コンピュータ60は、次式によりラインL16に対する個体識別コードの傾きθ’を算出する。
θ’=tan−1{(y6−y5)/(x6−x5)}
補正例3では、テストシートTSがパス16からパス20まで搬送される間に傾いた傾きθ’も考慮されて、個体識別コードの画像の傾きを補正されるので、前述の実施形態よりも、正確に個体識別コードの画像の傾きが補正される。但し、傾きを2回に分けて求めるため、コンピュータ60の演算が多少複雑となる。
本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。 図2Aはプリンタの全体構成の概略図であり、図2Bはプリンタの全体構成の断面図である。 搬送ユニットの構成の説明図である。 ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。 図5Aは設計上の搬送ローラの断面図であり、図5Bは搬送ローラがつぶれて断面が楕円形状になってしまった搬送ローラの断面図であり、図5Cは搬送ローラの回転中心が円の中心からずれてしまった搬送量ローラの断面図であり、図5Dは設計上の搬送ローラと設計上の搬送ローラよりも1回り大きい搬送ローラの断面図である。 搬送誤差補正のフロー図である。 搬送誤差補正を行う時のシステム構成図である。 テストシートに印刷された測定用パターンを示している。 テストシートとヘッドの位置関係を示している。 図10Aはパス1におけるヘッドとテストシートと搬送ローラの位置関係を示し、図10Bはパス2におけるヘッドとテストシートと搬送ローラの位置関係を示し、図10Cは非NIP状態でのヘッドとテストシートと搬送ローラの位置関係を示している。 個体識別コード印刷時のテストシートとヘッドの位置関係を示している。 本実施形態の比較例として、ラインL8が印刷された後に個体識別コードが印刷される様子を示している。 図13Aはテストシートの下端領域にラインLb1が印刷される様子を示し、図13Bはテストシートの下端領域にラインLb2が印刷される様子を示している。 図14Aはスキャナの縦断面図であり、図14Bは上蓋を外した状態のスキャナの上面図である。 図15Aは基準シートの説明図であり、図15Bは原稿台ガラスにテストシートと基準シートをセットした様子を上から見た図である。 補正値算出処理のフロー図である。 図17Aはスキャナから取得した画像データの示す画像が描かれており、図17Bは分割された画像が描かれている。 図18Aはスキャナで読み取った測定パターンの画像の一部であり、傾きを検出する様子を示しており、図18Bは取り出された画素の濃度のグラフである。 測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。 余白量Xの説明図である。 図21Aは測定用パターンのラインの重心位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図であり、図21Bは測定用パターンのラインの重心位置の算出の説明図である。 基準パターンのラインと測定用パターンのラインの位置関係を示している。 測定用パターンのラインと補正値との関係の説明図である。 図24Aは第1のケースの補正値の説明図であり、図24Bは第2のケースの補正値の説明図であり、図24Cは第3のケースの補正値の説明図であり、図24Dは第4のケースの補正値の説明図である。 ヘッドの下面において、ノズル列が千鳥状に配列されている様子を示す図である。 図26Aは補正例1の測定用パターンを示し、図26Bはスキャナ座標系に対する、個体識別コードの画像の傾きを示している。 図27Aは補正例2の測定用パターンを示し、図27Bはスキャナ座標系に対する、個体識別コードの画像の傾きを示している。 図28Aは補正例3の測定用パターンを示し、図28BはラインL16に対する個体識別コードの画像の傾きを示している。
符号の説明
1 プリンタ、
10 搬送ユニット、11 給紙ローラ、12 搬送モータ、13 搬送ローラ、
14 プラテン、15 排紙ローラ、16 従動ローラ、17 従動ローラ、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、22 キャリッジモータ、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 検出器群、41 リニア式エンコーダ、42 ロータリー式エンコーダ、
43 紙検出センサ、44 光学センサ、421 スケール、422 検出部、
50 コントローラ、51インターフェース部、52 CPU、53 メモリ、
60 コンピュータ、
70 スキャナ、71 上蓋、72 原稿、73 原稿台ガラス、
74 読取キャリッジ、75 案内部、76 移動機構、77 露光ランプ、
78 ラインセンサ、79 光学系、80 ヘッド、
TS テストシート、SS 基準シート、
C1 クロス1、C2 クロス2

Claims (6)

  1. ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させてラインを形成する動作と、媒体が前記所定方向と交差する搬送方向に所定搬送量分だけ搬送される動作とを、印刷装置が交互に複数回繰り返すことで、複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、
    前記印刷装置が、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、
    前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、
    前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、
    前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、前記複数のラインの画像とは別に補正するステップと、
    前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、
    前記個体識別コードを認識し、前記個体識別コードに対応する前記印刷装置のメモリに前記補正値を記憶させるステップと、
    前記印刷装置が、前記補正値に基づいて、目標搬送量を補正するステップと、
    を有する印刷方法。
  2. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    前記媒体には、前記複数のラインの画像の傾きを補正するための第1ラインと、前記個体識別コードの画像の傾きを補正するための第2ラインが印刷され、
    前記第2ラインは前記第1ラインよりも前記個体識別コードに近い位置に印刷される、
    印刷方法。
  3. 請求項2に記載の印刷方法であって、
    前記複数のラインの中に前記第2ラインが含まれる、
    印刷方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記複数のラインを印刷した後に、前記個体識別コードが印刷される、
    印刷方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記個体識別コードを印刷する際には、前記媒体を前記搬送方向に前記所定搬送量よりも少ない搬送量で搬送する、
    印刷方法。
  6. ノズルを所定方向に移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させてラインを形成する動作と、媒体が前記所定方向と交差する搬送方向に所定搬送量分だけ搬送される動作とを、印刷装置が交互に複数回繰り返すことで、複数のラインを前記媒体に印刷するステップと、
    前記印刷装置が、前記複数のラインが印刷された後に、前記ノズルからインクを吐出させて、前記印刷装置を識別するための個体識別コードを前記媒体に印刷するステップと、
    前記媒体に印刷された前記複数のラインと前記個体識別コードをスキャナに読み取とらせるステップと、
    前記スキャナで読み取った前記複数のラインの画像の傾きを補正するステップと、
    前記スキャナで読み取った前記個体識別コードの画像の傾きを、前記複数のラインの画像とは別に補正するステップと、
    前記複数のラインの画像のラインの間隔に基づいて、補正値を算出するステップと、
    前記個体識別コードを認識し、前記個体識別コードに対応する前記印刷装置のメモリに前記補正値を記憶させるステップと、
    前記印刷装置が、前記補正値に基づいて、目標搬送量を補正するステップと、
    を有する印刷方法であって、
    前記個体識別コードを印刷する際には、前記媒体を前記搬送方向に前記所定搬送量よりも少ない搬送量で搬送し、
    前記媒体には、前記複数のラインの画像の傾きを補正するための第1ラインと、前記個体識別コードの画像の傾きを補正するための第2ラインが印刷され、
    前記第2ラインは前記第1ラインよりも前記個体識別コードに近い位置に印刷され、
    前記複数のラインの中に前記第2ラインが含まれる、
    印刷方法。
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