JP2008042130A - 油入電気機器の内部異常診断方法 - Google Patents

油入電気機器の内部異常診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油が隔壁ゴム状膜で区画される油入電気機器の本体内部の異常を簡易な方法で診断することができ、且つアセチレンガスなどの低沸点ガスの発生源を判定することができる油入電気機器の内部異常診断方法を提供すること。
【解決手段】変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油とを区画する隔壁ゴム状膜に対するアセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無を判定する工程と、油入電気機器から変圧器本体絶縁油の試料を採取し、該試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分を検出する工程と、該アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無の判定結果と、該炭化水素ガス成分検出工程におけるアセチレンガス又はメチルビニルアセチレンガスの検出の有無とにより、アセチレンガスの発生源を判定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、油入電気機器の内部、特にコンサベータを使用している変圧器本体内の異常診断方法に関するものである。
油入電気機器に使用されているコンサベータは、図1に示すように、変圧器本体上部に設置され、負荷変動により変圧器内の本体絶縁油11が膨張、収縮する際にコンサベータ10の内部の隔壁ゴム状膜12が応動することにより絶縁油の体積増減を吸収し、かつ外気と本体絶縁油11の接触による劣化を防止する。また、隔壁ゴム状膜12は、変圧器本体絶縁油11と切換開閉器室油13とを区画する隔壁の役割を果たしている。このため、隔壁ゴム状膜12には、膨張収縮に応動する伸縮性、切換開閉器室油13からガスの透過を防止して本体絶縁油11の清浄性を保つガス不透過性及び耐油性に優れる材料のものが使用されている。切換開閉器室油13はタップ切換時に発生するアーク放電のため、使用中に徐々に汚損して絶縁性が低下すると共に、アセチレンやメチルビニルアセチレンなどのガス成分が増加してくる。一方、変圧器本体絶縁油は、変圧器本体内部において放電又は過熱等の異常が起きた場合、アセチレンやメチルビニルアセチレンなどのガス成分が増加してくる。
油入電気機器の保守管理に関する効果的な一手法として、油中ガス分析による保守管理が電力会社他多数のユーザーで採用され、事故防止に役立っている(例えば、非特許文献1)。油中ガス分析による異常診断は、機器を停止することなく絶縁油を採取し、油中に溶存しているガス成分を抽出、分析してガスの量及び種類から放電や過熱などの異常を早期に発見する技術である。
油入電気機器の内部異常診断は、当初、絶縁油中に溶存しているエチレンガス、アセチレンガスなど数種類の低沸点ガスを、電気協同研究、第54巻、第5号(1999)に報告されている分析方法(以下、電協研法と称する)を用いて行なっていた。近年では、分析技術の進歩に伴い、メチルビニルアセチレン、2−メチル−1,3ブタジエン等多種類の高沸点微量ガスを高感度で分析する新しい油中分析方法(以下、「第2の油中ガス分析方法」と言う。)が提案されている(特許文献1)。この第2の油中ガス分析方法により油入電気機器の内部異常診断を行なえば、各種絶縁材料の損傷に伴い特徴的に検出される成分及び本体絶縁油の放電、過熱分解時に検出される成分を同定し、損傷材料、損傷部位、異常様相の的確な識別、更には運転継続可否の的確な判定をすることができる(例えば、特許文献2)。
電気協同研究、第54巻、第5号(1999) 特開平9−72892号公報 特開2002−350426号公報
しかしながら、電協研法による油中ガス分析によりアセチレンガスなどの低沸点ガスを検出し、内部異常の疑いがある場合でも、多面的な追跡調査の結果、機器内部には異常が確認されない場合があった。
従って、本発明の目的は、変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油が隔壁ゴム状膜で区画される油入電気機器の本体内部の異常を簡易な方法で診断することができ、且つアセチレンガスなどの低沸点ガスの発生源を判定することができる油入電気機器の内部異常診断方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者等は鋭意検討を行った結果、(1)変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油とを区画する隔壁ゴム状膜は、ガス不透過性であるにも拘わらず、アセチレンガスを透過すること、しかしメチルビニルアセチレンガスは透過しないこと、(2)電協研法による油中ガス分析から本体絶縁油中にアセチレンガスが検出された場合、変圧器本体内部から発生した場合と切換開閉器室油からゴム状膜を透過してくる場合の2通りがあり、一概にその発生源が決定できないものの、これに第2の油中ガス分析方法を適用し、メチルビニルアセチレンガスが未検出であれば、ガス透過性の結果から該アセチレンガスはゴム状膜を透過して混入したものと判定でき、メチルビニルアセチレンガスが検出されれば、該アセチレンガスは変圧器本体内部から発生したものと判定できること、(3)従って、予めゴム膜に対するアセチレンガスとメチルビニルアセチレンガスのガス透過の有無を調べ、更に本体絶縁油のガス分析を電協研法と第2の油中ガス分析法を併用して行なえば、簡易な方法で油入電気機器の本体内部の異常を診断することができ、且つアセチレンガスなどの低沸点ガスの発生源を判定することができるなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油とを区画する隔壁ゴム状膜に対するアセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無を判定する工程と、油入電気機器から変圧器本体絶縁油の試料を採取し、該試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分を検出する工程と、該アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無の判定結果と、該炭化水素ガス成分検出工程におけるアセチレンガス又はメチルビニルアセチレンガスの検出の有無とにより、油入電気機器の本体内部の異常又はアセチレンガスの発生源を判定することを特徴とする油入電気機器の内部異常診断方法を提供するものである。
本発明によれば、アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの隔壁ゴム状膜に対する透過性の有無を判断し、変圧器本体絶縁油のガス分析を電協研法と第2の油中ガス分析法を併用して行なうため、機器の解体調査を行なうことなく、簡易な方法で変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油が隔壁ゴム状膜で区画される油入電気機器の本体内部の異常を診断することができ、且つアセチレンガスなどの低沸点ガスの発生源を判定することができる。
本発明の油入電気機器の内部異常診断方法(以下、単に「異常診断方法」とも言う。)において、油入電気機器とは変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油が隔壁ゴム状膜で区画された構造のコンサベータを有するものである。本発明における油入電気機器の一例を図1を参照して説明する。図1は油入電気機器のコンサベータの構造を示す簡略図である。図1中、コンサベータ10は、変圧器本体上部に設置され、外箱14内には、変圧器本体絶縁油11が充填されたゴムセル22と、負荷時タップ切換器を収容する切換開閉器室油13が充填された切換開閉器室23とを有する。変圧器本体絶縁油11と切換開閉器室油13は隔壁ゴム状膜(以下、単に「ゴム膜」とも言う。)12で区画され、変圧器本体とゴムセル22は連結管15で連結されている。なお外箱内であって、ゴムセル22外には、水溜め部18に溜まった水を抜く水抜き弁17と、フロート20の位置から液面を表示するダイヤル油面計19とを有している。なお、符号21はブリーザ連結管、16は仕切り板、22は空気抜栓である。このようなコンサベータ10の切換開閉器室油13は、タップ切換時に発生するアーク放電のため、使用中に徐々に汚損して絶縁性が低下すると共に、アセチレンやメチルビニルアセチレンなどのガス成分が増加してくる。このため、後述するように、切換開閉器室油13中のガス成分のゴム膜に対するガス透過現象が生じるか否かが問題となる。一方、コンサベータの中でも変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油がゴム膜12で区画されていない構造、すなわち、切換開閉器室と変圧器本体のコンサベータが分離された構造のものは、ガス透過現象が生じないため、本発明の異常診断方法の対象外となる。
本発明のガス透過の有無を判定する工程(以下、「ガス透過判定工程」とも言う。)において用いる隔壁ゴム状膜としては、例えば図1のコンサベータ10において変圧器本体絶縁油11と切換開閉器室油13とを区画するゴム膜12である。すなわち、本発明で使用するゴム膜は、本発明の異常診断方法が適用されるコンサベータで使用するゴム膜であれば、特に制限されず、例えば、図2に示すように、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム34を芯材とし、該芯材から両外側に向けて、接着層33、ポリアミド繊維32及びニトリルゴム31をそれぞれ積層した7層構造の膜が使用できる。また、上記7層構造の膜に対して、芯材と接着層部分をニトリルゴム(NBR)で置き換えた5層構造の膜も使用できる。接着層を形成する接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤やフェノール系接着剤が挙げられる。通常、この種のゴム膜12は、数種類のものが存在するが、何れも図2のような多層構造を有しており、後述するガス透過の有無を判定する方法の結果についても同様の傾向を示す。
本発明のガス透過判定方法としては、図3に示すように、高濃度ガス含有絶縁油421が充填される上部タンク42と新油の絶縁油431が充填される下部タンク43を、前述のゴム膜44で区画する気密構造の容器41を使用する。上部タンク42には開閉弁45を有する試料油導入兼採取管46が、下部タンク43には開閉弁47を有する試料油導入兼採取管48をそれぞれ備える。
高濃度ガス含有絶縁油としては、少なくともアセチレン及びメチルビニルアセチレンを含有する絶縁油であれば特に制限されず、例えばJIS C2101の絶縁破壊電圧試験法に準じて絶縁破壊させた絶縁油を用いることができる。これにより、アセチレン及びメチルビニルアセチレン等の可燃性ガスを絶縁油に飽和近傍まで溶存させることができる。このような気密構造の密閉容器や高濃度ガス含有絶縁油を用いることにより、上部タンク42は切換開閉器室を模擬でき、また短時間でゴム膜に対するガス透過の有無を判定できる。
ゴム膜に対するガス透過の温度条件としては、常温〜105℃の範囲で適宜決定すればよいが、温度50℃以上で行なうことが、試験時間も短く効率的である。常温未満では試験時間が長くなり過ぎ、105℃を越える温度では絶縁油の許容最高温度以上となり実際的ではない。試験時間は10〜50日が適当であり、この間、例えば10日間隔で下部タンク43から試料油を採取して、ゴム膜透過ガス成分を分析するのが好適である。圧力は常圧でよい。なお、上記ゴム膜に対するガス透過判定工程で用いる密閉容器を備える装置は、異常診断方法の対象となる油入電気機器とは別に、実験室的に製作された装置である。このような実験室的に製作された装置を用いた加速されたガス透過の判定結果は、実機のガス透過の結果と一致しており、実機を模擬している。
下部タンク43から採取された試料油中のガス成分の分析は、アセチレンガスについては電協研法、メチルビニルアセチレンガスについては第2の油中ガス分析方法にそれぞれ準拠して行なえばよい。電協研法は、電気協同研究、第54巻、第5号(1999)に、第2の分析方法は特開平9−72892号公報に、それぞれ詳細に報告されている。電協研法は当業者の周知の分析方法であるため、その詳細な説明は省略し、公知ではあっても周知とまでは言わない第2の油中ガス分析法について以下に説明する。
第2の油中ガス分析方法で用いる装置の構成を図4に示す。図4において、51は試料油を収納する試料油容器、52は試料油容器51の注入口、53は試料油容器51の排出口、54は排出バルブ、55は試料油、56は不活性ガスをキャリアガスとしてバブリングするキャリアガス給気管、57は試料油を加熱するためのヒータ、58はキャリアガスを注入するキャリアガス注入管、59はキャリアガスの流量調節弁、60は二方コック、61はキャリアガス送気管、62はバブリングにより抽出された抽出ガスを取出すガス抽出管、63は抽出ガスをキャリアガスとともに通気する抽出ガス通気管、64は三方コック、65はコールドトラップ容器、65a、65bはコールドトラップ容器65の液体窒素等の冷却媒体の供給口および排出口、66は−130℃程度に冷却することにより分解成分を凝縮捕獲するコールドトラップ、67はコールドトラップ66を加熱するヒータ、68は三方コック、69はキャリアガスを供給するガス給気管、70はヘリウムガス等のキャリアガスが充填されたガスボンベ、71は流量調節弁、72は三方コック、73はガスクロマトグラフ分析器であり、カラム73aと検出器73bとで構成されている。27は冷却媒体容器、75は冷却媒体、76は冷却媒体75を供給するために冷却媒体容器74に圧力を加える加圧管、77は冷却媒体供給管、78は流量調節弁である。
次ぎに、この分析装置50を用いた油中ガス分析方法ついて説明する。先ず、二方コック60及び排出バルブ54を開き、キャリアガス送気管61からキャリアガスを流量調節弁59により流量調節して試料油容器51側の流路に流して当該流路の空気をブローアウトする。次ぎに三方コック64及び72をガスクロマトグラフ分析器73側に開いてコールドトラップ66及びガスクロマトグラフ分析器73の部分の空気をブローアウトする。冷却媒体容器74の加圧管76から圧力を加えて冷却媒体(液体窒素)75をコールドトラップ容器65に導き約−130℃に冷却する。注射器等により試料油を数ミリリットル採取し、試料油容器51の注入口52より試料油容器51内に注入する。三方コック64を試料油容器51側に切換え、試料油容器51をヒータ57により、蒸気圧が53Paになる温度で加熱し、二方コック60を開いて圧力調節弁59により流量調節し、バブリング管56にキャリアガスを供給し、数分間バブリングして試料油中に溶解しているガス成分を抽出する。抽出されたガス成分をキャリアガスとともにコールドトラップ容器65内のコールドトラップ66の内径部に導入し、ガス成分をコールドトラップ66に凝縮捕獲する。コールドトラップ66をヒータ67により200℃以上に急速加熱し、凝縮捕獲したガス成分を気化させてキャリアガスを流しながらガスクロマトグラフ分析器73bに導入して分析する。
油入電気機器から採取した試料油を上記の分析法で分析すると、抽出されたガス成分はコールドトラップ66で凝縮して捕獲され、200℃以上に急速加熱することにより、蒸発して瞬時にガスクロマトグラフ分析器73に導入されるため、精度よく分析できる。
上記ゴム膜に対するガス透過判定方法の一例を示す。50℃×50日間、10日間隔での試料油採取の試験条件においては、試験後30日でアセチレンが電協研法で要注意と判定される濃度が検出された。一方、試験後50日で、メチルビニルアセチレンは第2の油中ガス分析方法において検出されなかった。また、70℃×50日間、10日間隔での試料油採取の試験条件においては、試験後10日で、アセチレンが電協研法で要注意と判定される濃度が検出され、試験後50日で、異常と判定される濃度が検出された。一方、試験後50日で、メチルビニルアセチレンは第2の油中ガス分析方法において検出されなかった。
上記ガス透過判定方法の結果から、変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油とを区画するゴム膜は、一般的にはガス不透過性であることが知られているが、実際にはアセチレンガスを透過すること、しかしメチルビニルアセチレンは透過しないことが判明した。すなわち、油入電気機器において、切換開閉器室油に溶存するアセチレンは、使用期間中、ゴム膜を透過して変圧器本体絶縁油側へ移動すると思われる。従来、アセチレンガスのゴム膜透過現象については明確になっておらずこのため、変圧器本体絶縁油中にアセチレンが検出された場合、要注意あるいは異常と診断され、更に多面的な追跡調査を行う必要があった。本発明によれば、このガス透過の判定結果と後述する診断の対象となる油入電気機器の変圧器本体絶縁油のガス分析結果とで、容易に機器内部の異常の有無が診断できる。
次ぎに、油入電気機器から変圧器本体絶縁油の試料を採取し、該試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分を検出する工程(以下、「ガス成分検出工程」と言う。)を行なう。
油入電気機器から変圧器本体絶縁油の試料を採取する方法は、従来と同様の方法で行えばよい。試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分の検出は、アセチレンの検出が可能なガス分析方法とメチルビニルアセチレンの検出が可能なガス分析方法を併用して行う。アセチレンの検出が可能なガス分析方法は、電協研法であり、メチルビニルアセチレンの検出が可能なガス分析方法は、前述の第2の油中ガス分析方法である。電協研法と第2の油中ガス分析方法を併用すれば、炭素数2〜5の炭化水素ガス成分の検出が可能であり、炭素数2〜5の炭化水素ガス成分のうち、アセチレンとメチルビニルアセチレンの検出を行えばよい。アセチレンは油中でのアーク放電により、あるいは絶縁油の500℃以上の過熱により油中に検出されるガス成分であること、メチルビニルアセチレンはアーク放電により、あるいは絶縁油中の700℃以上の過熱により油中に検出されるガス成分であることは公知であり、共に変圧器内部の異常を診断する上で有効な指標となるものである。
ガス成分検出工程において、アセチレン及びメチルビニルアセチレンが共に未検出の場合、油入電気機器の本体内部は正常と判定される。
ガス成分検出工程において、アセチレンが検出され、メチルビニルアセチレンが未検出の場合、アセチレンは切換開閉器室油から隔壁を透過して混入したものであり、油入電気機器の本体内部に異常はないと判定される。電協研法のみによる油中ガス分析では、本体絶縁油中にアセチレンが検出された場合、変圧器本体内部から発生した場合と切換開閉器室油からゴム膜を透過してくる場合の2通りがあると判断され、一概にその発生源が決定できない。しかし、第2の油中ガス分析方法からメチルビニルアセチレンが検出されない場合、変圧器本体内部に放電や過熱などの異常が起きていないと判断でき、更に上記ガス透過性の結果から該アセチレンはゴム膜を透過して混入したものと判断できる。
ガス成分検出工程において、アセチレン及びメチルビニルアセチレンが共に検出された場合、油入電気機器の本体内部に異常があると判定される。すなわち、メチルビニルアセチレンが検出された場合、変圧器本体内部に放電や過熱などの異常が起きていると判断でき、アセチレンも変圧器本体内部から発生したものと判定できる。なお、この場合、アセチレンは切換開閉器室油から隔壁を透過して混入したものも含まれる可能が大であるが、本発明においては、「油入電気機器の本体内部に異常がある」と判断されれば、本工程における判定としては十分である。
次ぎに、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(ガス透過判定工程)
図3に示す気密構造の容器を作製し、下記試験条件下でアセチレンとメチルビニルアセチレンのゴム膜透過の有無を調べた。
<試験油;上部タンクに充填される高濃度ガス含有絶縁油>
750mlの高濃度ガス含有試験油を得るために、JIS C2101の絶縁破壊電圧試験法に準じて絶縁破壊させた絶縁油を用いた。この試験油中のアセチレン濃度を電協研法で、メチルビニルアセチレン濃度を第2の油中ガス分析方法で測定した。その結果、アセチレン濃度は8,989ppm、メチルビニルアセチレン濃度は177,012カウント(ピーク面積値)であった。
<試験条件>
・ 試験温度;50℃、試験日数;50日
・ 試料採取間隔;10日毎
・ 最小検出感度;アセチレン0.1ppm、メチルビニルアセチレン100カウント
・ ゴム膜;図2に示すPVAフィルムを芯材とする7層構造のゴム膜(実際に変圧器に使用されているゴム膜)
<試験結果>
試験後50日で電協研法で要注意と判定されるアセチレン濃度が検出された。一方、試験後50日でメチルビニルアセチレンは第2の油中ガス分析方法において検出されなかった。
(ガス成分検出工程)
変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油がゴム膜で区画された構造のコンサベータを有する稼動中の変圧器700台以上について、変圧器本体絶縁油の試料を採取した。次いで、電協研法により試料油中のアセチレンの溶存の有無を調べた。その結果、上記診断の対象となった変圧器の中、アセチレンが検出され、且つ電気的試験を実施した上で「変圧器内部異常なし」と判定された変圧器14台について、第2の油中ガス分析方法を実施した。その結果、全ての変圧器において、メチルビニルアセチレンが検出されなかった。以上のことから、本体絶縁油中のアセチレンはゴム膜を透過して混入したものであることが判明した。
参考例
(ガス透過判定工程)
アセチレン濃度8,989ppm、メチルビニルアセチレン濃度177,012カウント(ピーク面積値)に代えて、アセチレン濃度13,883ppm、メチルビニルアセチレン濃度32,885,572カウント(ピーク面積値)の試験油を使用したこと、及び試験温度50℃に代えて70℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果、試験後10日で、アセチレンが電協研法で要注意と判定される濃度が検出され、試験後50日で、異常と判定される濃度が検出された。一方、試験後50日で、メチルビニルアセチレンは第2の油中ガス分析方法において検出されなかった。
油入電気機器のコンサベータの構造を示す簡略図である。 変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油を区画する隔壁ゴム状膜の構造を示す模式的断面図である。 ガス透過判定工程で使用する気密構造の試験容器の模式図である。 第2のガス分析方法で使用する分析装置のフロー図である。
符号の説明
10 コンサベータ
11 変圧器本体絶縁油
12 隔壁ゴム状膜
13 切換開閉器室油
14 外箱
15 連結管
16 仕切り板
17 水抜き弁
18 水溜め部
19 ダイヤル油面計
20 フロート
21 ブリーザ連結管
22 空気抜栓
31 ニトリルゴム
32 ポリアミド繊維
33 接着層
34 ポリビニルアルコール(PVA)フィルム

Claims (5)

  1. 変圧器本体絶縁油と切換開閉器室油とを区画する隔壁ゴム状膜に対するアセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無を判定する工程と、
    油入電気機器から変圧器本体絶縁油の試料を採取し、該試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分を検出する工程と、
    該アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスの透過の有無の判定結果と、該炭化水素ガス成分検出工程におけるアセチレンガス又はメチルビニルアセチレンガスの検出の有無とにより、油入電気機器の本体内部の異常又はアセチレンガスの発生源を判定することを特徴とする油入電気機器の内部異常診断方法。
  2. 試料油中に溶解した少なくとも炭素数2〜5の炭化水素ガス成分の検出は、アセチレンガスの検出が可能なガス分析方法とメチルビニルアセチレンガスの検出が可能なガス分析方法を併用して行うことを特徴とする請求項1記載の油入電気機器の内部異常診断方法。
  3. アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスが共に未検出の場合、油入電気機器の本体内部は正常と判定されることを特徴とする請求項1又は2記載の油入電気機器の内部異常診断方法。
  4. アセチレンガスが検出され、メチルビニルアセチレンガスが未検出の場合、アセチレンガスは切換開閉器室油から隔壁を透過して混入したものであり、油入電気機器の本体内部に異常はないと判定されることを特徴とする請求項1又は2記載の油入電気機器の内部異常診断方法。
  5. アセチレンガス及びメチルビニルアセチレンガスが共に検出された場合、油入電気機器の本体内部に異常があると判定されることを特徴とする請求項1又は2記載の油入電気機器の内部異常診断方法。
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