JP2006147656A - 油中ガス診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転換器が備えられた油中電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンを検出し、重大事故の前駆現象とフロート現象とを判別して油中電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置を提供する。
【解決手段】油中ガス診断装置は、転換器により配線が切り換えられる油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンを分析することにより該油入電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置において、上記転換器の動作回数を計数する動作計数器と、上記油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンの量を検出する油中ガス分析装置と、あらかじめ求められた上記転換器が1回動作して配線の接続が1回切り換えられたときに発生するアセチレンの発生量と上記転換器の動作回数との積を比較値とし、上記検出されたアセチレンの量が上記比較値以上のとき重大事故の前駆現象が起こったと診断する診断装置と、を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、負荷時タップ切換器が備えられる油入電気機器内の絶縁油中のガスを分析することにより油入電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置に関する。
従来、油入電気機器の保守管理の効果的な方法として、油中のガス分析が各電力会社で採用されている。特に、電気共同研究会の電力用変圧器保守管理専門委員会が油中ガス分析による油中電気機器の保守管理基準をまとめ、現在までそれに基づく多くの適用実績があり、有効に活用されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、変圧器タンクに設けられ、かつ内部に絶縁油等が封入された切換開閉器を備えた負荷時タップ切換開閉装置の異常診断方法では、切換開閉器内の絶縁油等をガス分析し、分解生成物の種類、生成量および生成比の変化から、切換開閉器の内部異常を診断している(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−235436号公報 電力用変圧器保守管理専門委員会、「油入変圧器の保守管理」、電気共同研究、社団法人電気共同研究会、平成11年2月、第54巻、第5号(その1)、p.9−14
しかし、負荷時タップ切換器を内蔵する変圧器では、通常運転において極性切換器または転位切換器(以下の説明において総称して転換器と称す。)でタップ巻線と主巻線との間の接続を切り換えるときタップ巻線および主巻線が電気的に浮遊し、タップ巻線および主巻線と油との間で静電容量により結合されたエネルギーが油中に放出され、微小放電が発生する(以下の説明において負荷時タップ切換器のフロート現象と称す。)。異常でないにも関わらず、この時発生したアセチレンが油中に溶解するため、従来の油中ガス分析では、内部の重大事故の前駆現象となる微小放電とフロート現象に伴う微小放電との判別が困難であるという問題がある。
この発明の目的は、転換器が備えられた油中電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンを検出し、重大事故の前駆現象とフロート現象とを判別して油中電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置を提供することである。
この発明に係わる油中ガス診断装置は、転換器により配線が切り換えられる油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンを分析することにより該油入電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置において、上記転換器の動作回数を計数する動作計数器と、上記油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンの量を検出する油中ガス分析装置と、あらかじめ求められた上記転換器が1回動作して配線の接続が1回切り換えられたときに発生するアセチレンの発生量と上記転換器の動作回数との積を比較値とし、上記検出されたアセチレンの量が上記比較値以上のとき重大事故の前駆現象が起こったと診断する診断装置と、を備える。
この発明に係わる油中ガス診断装置の効果は、通常運転において転換器が動作されてタップ巻線と主巻線との間の接続が切り換えられたときに発生するアセチレンの量が予め算出された上記転換器が1回動作して配線の接続が1回切り換えられたときに発生するアセチレンの発生量と転換器の動作回数との積から得られる正常な動作において発生するアセチレンの量が求まるので、検出された油中のアセチレンの量がこの正常な動作において発生するアセチレンの量を超えているとき、重大事故の前駆現象が起こっていると診断することができる。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる油中ガス診断装置が装備された変圧器の構成図である。図2は、実施の形態1に係わる負荷時タップ切換器の構成図である。図3は、実施の形態1に係わる機器診断装置の機能ブロック図である。図1では、変圧器の内部が分かるように断面図として表している。
この実施の形態1に係わる油中ガス診断装置1による油中ガス診断の対象の油中電気機器として変圧器2を例に挙げて説明する。この変圧器2は、図1に示すように、変圧器本体3と負荷時タップ切換器4とから構成されており、タンク5内に収納されている。タンク5内には絶縁油6が充填されている。
また、変圧器本体3の高圧側巻線は、主巻線8とタップ巻線9から構成されている。そして、タップ巻線9には、図2に示すように、7つのタップ11が設けられている。
負荷時タップ切換器4は、図1、図2に示すように、タップ巻線9に接続されているタップ11と接触子12との接続を切り換えるタップ選択器13、接触子12を切り換えてタップ11と高圧側端子との接続を切り換える切換開閉器15、主巻線8とタップ巻線9との接続を切り換える極性切換器16、タップ選択器13および切換開閉器15を駆動する切換器駆動装置17、極性切換器16を動作する極性切換器動作装置19から構成されている。
次に、油中ガス診断装置1について説明する。
油中ガス診断装置1は、タンク5内の絶縁油6を採油し、この採油された絶縁油6から油中ガスを抽出し、この抽出された油中ガスを分析する油中ガス分析装置21、極性切換器16の動作回数を計数する動作回数計数器22、油中ガス分析結果に基づき変圧器2の状態を診断する機器診断装置23から構成されている。動作回数計数器22は、極性切換器動作装置19から極性切換器16へ送られる動作指令を計数している。動作回数計数器22は、極性切換器動作装置19が動作する度に動作回数に1を加算して、その動作回数のデータを機器診断装置23に送信する。
油中ガス分析装置21では、水素(H)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)、アセチレン(C)、エタン(C)、エチレン(C)について分析される。なお、以下の説明では、アセチレンに注目するが、常にこれらのガスについて分析されている。
次に、機器診断装置23の機能について説明する。
機器診断装置23は、図3に示すように、あらかじめ算出された極性切換器16の動作1回当たりのアセチレンの量が記憶されている記憶手段25、動作回数計数器22から送られてきた極性切換器16の動作回数と動作1回当たりのアセチレンの量との積から正常アセチレン量を得るアセチレン量算出手段26、油中ガス分析装置21で分析されたアセチレンの量が正常アセチレン量を超えているとき、重大事故の前駆現象が変圧器で起こったと診断する機器診断手段27から構成されている。機器診断装置23は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。
なお、極性切換器16の動作1回当たりに発生するアセチレンの量は、変圧器2の使用開始前に、試験的に極性切換器16を動作して、動作前後のアセチレンの量に関する分析結果から得ている。
ここでアセチレンの発生の要因について説明する。1つの要因は、極性切換器16により主巻線8とタップ巻線9との接続が切り換えられるときのフロート現象であり、微小放電が起こり、アセチレンが発生する。フロート現象は、図2に示すように、主巻線8の一端をタップ巻線9の一方の端部から他方の端部に接続を極性切換器16により切り換えるとき、主巻線8とタップ巻線9とが電気的に浮遊することであり、フロート現象が起こると静電容量によるエネルギーが放出され、微小放電が発生する。
その他の要因は、重大事故の前駆現象としての放電現象であり、アセチレンは特に放電現象を判別する重要な指標になっている。
このようにフロート現象に伴って発生するアセチレンの量は、極性切換器16の動作毎にばらつきがあるのと、発生後の経過時間に伴って減少していくので、これらを考慮して、動作1回当たりに発生するアセチレン量と動作回数とを掛け算し、その積に所定の係数を掛け算した値を診断する時点における比較値とする。なお、ばらつきや経時変化が少ないときには、動作1回当たりに発生するアセチレン量と動作回数との積を比較値としてもよい。
次に、変圧器本体3が正常な状態のときと変圧器本体3に重大事故の前駆現象が起こったときとの油中ガス診断装置1による診断の様子を説明する。
記憶手段25には、極性切換器16の動作1回当たりのアセチレンの量として、a(ppm)が記憶されており、極性切換器16の動作回数n(回)が動作回数計数器22から入力された時点で絶縁油6中の油中ガスを分析し、分析アセチレン量c(ppm)を得ている。なお、nは正の整数である。
このとき分析された分析アセチレン量c(ppm)であった。また、機器診断手段27は、動作回数n(回)と動作1回当たりのアセチレンの量a(ppm)との積に所定の係数αを掛け算することにより正常アセチレン量α×a×n(ppm)を求める。そして、機器診断手段27は、分析アセチレン量c(ppm)が正常アセチレン量α×a×n(ppm)を越えているか否かを判断する。変圧器本体3が正常な状態ではフロート現象に伴うアセチレンの発生だけなので、分析アセチレン量c(ppm)は、多くても正常アセチレン量α×a×n(ppm)以下である。
一方、重大事故の前駆現象としての微小放電が起こったときは、前駆現象としての微小放電に伴ってアセチレンが多く発生するので、分析アセチレン量c(ppm)は、少なくとも正常アセチレン量α×a×n(ppm)を越えた値になる。
このように正常な動作に伴ってアセチレンが発生する油入電気機器について、油中のアセチレンを分析して油入電気機器の状態の診断を行うとき、正常な動作に伴って発生するアセチレンの量を推測して、診断時点で分析されたアセチレンの量とその推測したアセチレンの量とを対比するので、真に重大事故に係わる前駆現象が変圧器に起こっていることを正確に診断できる。
また、アセチレンの量の増量が検出されたときでも、負荷時タップ切換器4のフロート現象によると診断されれば、運転停止や内部点検の一連の対策が不要になる。
また、正常アセチレン量に動作に伴うアセチレン発生量のばらつきと発生後の減少とを考慮しているので、真に重大事故に係わる前駆現象が変圧器に起こっていることをより正確に診断できる。
なお、実施の形態1では、極性切換器16による主巻線8とタップ巻線9との接続の切り換えを説明したが、転位切換器により配線を切り換える変圧器に関しても同様にこの発明を適用することができる。
また、実施の形態1では変圧器2を例示したが、油中で配線が切り換えられる油入電気機器であれば、この発明に係わる油中ガス診断装置1の診断の対象になりうる。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係わる油中ガス診断装置の構成図である。
実施の形態2に係わる油中ガス診断装置1Bは、機器診断装置23Bが油中ガス分析装置21Bの筐体内に装備されている。
このような油中ガス診断装置1Bは、機器診断装置23Bを油中ガス分析装置21Bの筐体内に一体として装備することにより、コンパクトな構成にすることができるので、油中ガス分析装置21Bだけを運搬すればよくなる。
この発明の実施の形態1に係わる油中ガス診断装置が装備された変圧器の構成図である。 実施の形態1に係わる負荷時タップ切換器の構成図である。 実施の形態1に係わる機器診断装置の機能ブロック図である。 この発明の実施の形態2に係わる油中ガス診断装置が装備された変圧器の構成図である。
符号の説明
1、1B 油中ガス診断装置、2 変圧器、3 変圧器本体、4 負荷時タップ切換器、5 タンク、6 絶縁油、8 主巻線、9 タップ巻線、11 タップ、12 接触子、13 タップ選択器、15 切換開閉器、16 極性切換器、17 切換器駆動装置、19 極性切換器動作装置、21、21B 油中ガス分析装置、22 動作回数計数器、23、23B 機器診断装置、25 記憶手段、26 アセチレン量算出手段、27 機器診断手段。

Claims (4)

  1. 転換器により配線が切り換えられる油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンを分析することにより該油入電気機器の状態を診断する油中ガス診断装置において、
    上記転換器の動作回数を計数する動作計数器と、
    上記油入電気機器内の絶縁油に溶解されているアセチレンの量を検出する油中ガス分析装置と、
    あらかじめ求められた上記転換器が1回動作して配線の接続が1回切り換えられたときに発生するアセチレンの発生量と上記転換器の動作回数との積を比較値とし、上記検出されたアセチレンの量が上記比較値以上のとき重大事故の前駆現象が起こったと診断する診断装置と、
    を備えることを特徴とする油中ガス診断装置。
  2. あらかじめ求められた上記転換器が1回動作して配線の接続が1回切り換えられたときに発生するアセチレンの発生量と上記転換器の動作回数との積に所定の係数を掛け算した値を上記比較値とすることを特徴とする請求項1に記載する油中ガス診断装置。
  3. 上記転換器は、負荷時タップ切換器の極性切換器または転位切換器であることを特徴とする請求項1または2に記載する油中ガス診断装置。
  4. 上記診断装置と上記油中ガス分析装置とが一体に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載する油中ガス診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008042130A (ja) * 2006-08-10 2008-02-21 Tokyo Electric Power Co Inc:The 油入電気機器の内部異常診断方法
CN107677507A (zh) * 2017-10-11 2018-02-09 广东电网有限责任公司东莞供电局 一种用于主变有载开关的取油样装置
CN109103007A (zh) * 2018-08-21 2018-12-28 上海华明电力设备制造有限公司 一种油浸式气体绝缘分接开关

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