JP2008041462A - 安全扉つきコンセント - Google Patents

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Abstract

【課題】
第一に200V用電源として規格化されているコンセントにおいて、感電事故の虞を減じながらも、その内部構成を簡素化した安全扉付コンセントを提供すること。
【解決手段】
一対の刃受穴23,24を、その長手方向の同一線上に配置してなる規格化されたコンセントにおいて、前記同一線上に配置された刃受穴23,24を開閉する安全扉と、当該安全扉を刃受穴の短手方向に付勢する弾性手段50とを設けた安全扉付コンセントとし、望ましくは当該安全扉を2つの扉片30,40で構成し、当該扉片を刃受穴の短手方向にスライド自在に設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は安全扉つきコンセントに関し、特に刃受穴が、その長手方向に並んでいる、規格化されたコンセントにおける安全扉つきコンセントに関する。
従来より、電気プラグを差し込むコンセントは、室内等の低位置に設けられていることが多く、幼児等がこのコンセントに興味をもって、いたずらで差し込み口の一方から導電性の金属棒等を差し込んだとき感電する危険があった。これに対して、例えば、特許文献1(実開平2−143786号公報)には、電極端子差し込み部に回転して電極差し込み口が開閉する蓋が付いたコンセントが開示されているが、蓋を回転させて金属棒を差し込んだときに感電する危険があった。
また、2つの電極差し込み口のいずれか一方に金属棒等を差し込んだときに感電する危険を防止するコンセントとして、本願特許出願人は先に特許文献2(実公昭48−17999号公報)にかかるさし込接続器を提案している。このさし込接続器は、幼児が悪戯に針金又は金属片を一方のさし込口に差し込んだとしても、他極側のさし込口にも金属片などが差し込まれない限り当該一方のさし込口は解放しないものとして構成されている。
更に、逆ハの字形に並ぶ2極と接地極とからなる3極コンセントに関し、栓刃差し込み口を閉じて充電部に導電性異物が差し込まれることによる感電事故を防ぐ扉を備えたものが特許文献3(特開平8−17509号公報)で提案されている。
実開平2−143786号公報 実公昭48−17999号公報 特開平8−17509号公報
上記特許文献1及び2に記載されたコンセント乃至はさし込接続器は、刃受穴が長さ方向に平行になっているコンセントを前提にして、それに好適な刃受穴の開閉構造を提案するものでは有るが、刃受穴が長さ方向に直線状に配置されているコンセントについては具体的に示されていない。
殊に近年では一般家庭においても200V電力を使用する電化製品が頻繁に使用される様になってきており、その為のコンセントも壁面の低い位置や移動可能なワゴンなどに設置される必要が高まっている。このような200V用のコンセントでは、これまでの100V電源以上に感電した場合の危険性が高まり、幼児などによる事故を確実に阻止しなければならないものとなっている。
このような中、前記特許文献3では200V用電源として規格化されている、逆ハの字形に並ぶ2極と接地極とからなるコンセントに関して、感電事故を防ぐ為の扉を設けたものが提案されているが、当該文献で提案されているのは、接地極の挿入により他の2極の刃受穴を開口させるものであるから、刃受穴を開閉する為の扉自体が大きくなってしまい、その結果、コンセントの内部構成を簡素化する上での障害となってしまう。
そこで本発明は、第一に200V用電源として規格化されているコンセントにおいて、感電事故の虞を減じながらも、その内部構成を簡素化した安全扉付コンセントを提供することを課題とする。
また、本発明では、第二に200V用電源として規格化されているコンセントにおいて、感電事故の虞を減じながらも、簡易な構造として故障し難いものとした安全扉付コンセントを提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明では特に200V用電源として規格化されているコンセントにおいて、一対の刃受穴が、その長手方向の同一線上に配置されてなるコンセントに着目して、感電事故の虞をなくすべく安全扉を設けた安全扉付コンセントを提供するものである。
即ち、前記課題を解決するために、本発明にかかる安全扉付コンセントでは、一対の刃受穴を、その長手方向の同一線上に配置してなる規格化されたコンセントにおいて、前記同一線上に配置された刃受穴を開閉する安全扉と、当該安全扉を刃受穴の短手方向に付勢する弾性手段とを設けた。
かかる本発明のコンセントでは、同一線上に設けられた一対の刃受穴だけを安全扉で閉塞するように形成しており、接地極用の刃受穴が設けられる場合であっても、その開閉を要件としていないことから、安全扉自体を小型化することができ、よってコンセントの内部構成の簡略化を図ることができる。これは、接地極以外の栓刃用の刃受穴が意図せず開口するものでなければ、接地極用の刃受穴が常に開口していても、感電事故の観点では問題は生じない点に着目することにより達成できたものである。ただし、コンセント内部の簡略化が要求されていない場合には、この接地極用の刃受穴も開閉自在に形成することもできる。
上記本発明における「一対の刃受穴を、その長手方向の同一線上に配置してなるコンセント」とは、例えば2つの矩形の刃受穴を長さ方向に並べたタンデム形コンセント(更に接地極用の刃受穴を伴うタンデム形接地極付コンセントを含む)や、矩形の刃受穴の長手方向にL字状の刃受穴を横向きに配置し、両刃受穴の長手方向を同一線上に配置したエルバー形コンセント更に接地極用の刃受穴を伴うエルバー形接地極付コンセントを含む)等を意図するものであるが、その他にも刃受穴をその長さ方向に直線状に配置した各種のコンセントが含まれる。
上記安全扉は、一対の刃受穴における各刃受穴に対応させて配置された一対の扉片で構成されており、各扉片は、一対の刃受穴の内、対応する刃受穴の対向位置に存在する作用部分と、他の刃受穴の対向位置に存在する座部分とを備えており、当該作用部分は、栓刃の挿入力を弾性手段の弾性力に抗して扉片を開く向きの力に変換する傾斜面を伴っている事が望ましい。
このように形成すれば、一対の刃受穴のうち、何れか一方にだけ針金を差し込んだだけでは刃受穴が開口しない構成となるためである。即ち、何れか一方の刃受穴に針金を差し込んだとしても、その針金が差し込まれた刃受穴に対応する扉片は移動するが、他の刃受穴に対応する扉片は移動せず、よって移動した扉片の奥に他の扉片の座部分が存在することとなり、当該刃受穴の開口を阻止することができる。
さらに、上記安全扉を構成する各扉片は、前記作用部分と座部分とがそれぞれ矩形に形成されて、両部分は、共に長手方向に向きを揃えて配置されている事が望ましい。即ち、作用部分が横長であれば、座部分も横長に配置することが望ましい。これは、各扉片の作用部分と座部分とを、コンセントにおける横一列に設けられた刃受穴に対応させたものであり、一対の刃受穴を横一列に配置した構成を伴うコンセント独自の安全扉形状となる。そしてこの様に形成された各扉片は、2つを組み合わせた状態において、各扉片の作用部分が前記刃受穴と対向し、その奥に扉片の座部分が存在する様に形成されることが望ましい。このような構成を実現する為に、各扉片同士は、組み合わせた状態において相いに交差する部分を備えることが望ましい。そしてこの交差部分は各扉片の移動に際して相互に干渉することのないように、一定の間隙を以って形成されていることが望ましい。
上記の如く安全扉が一対の扉片で構成されているコンセントにおいては、さらに弾性部材が、当該一対の扉片を同一方向から付勢するものであり、当該扉片は刃受穴の短手方向にスライド自在に設けられている事が望ましい。同一方向から各扉片を弾性付勢することにより、1つの弾性部材でこれを実現することが可能となり、コンセントの内部構成を簡易なものとすることができる。また、各扉片を刃受穴の短手方向にスライド自在に設けることにより、その開閉時の移動量を少なくして余分な空間をなくすことができる。
特に上記弾性部材としては、下向きC字状の板バネを用いることができ、この場合には当該バネの開口部で各扉片を弾性付勢することができる。但し、このように1つの板バネを使用する以外にも、各扉片毎に板バネを設置したり、また1つ又は2つのコイルバネやゴムその他の弾性部材を設けることもできる。
更に本発明にかかるコンセントでは、同一線上に配置された一対の刃受穴の他、この一対の刃受穴の間の中央線上で且つ刃受穴の短手方向の何れか一方の側に接地極用の刃受穴を伴って構成されたものとすることもできる。かかる構成のコンセントでは、前記扉片を前記刃受穴の短手方向であって、当該接地極穴が存在する側とは反対側にスライド自在に設ける事が望ましい。即ち、直線状に並んだ刃受穴の他、接地極側の刃受穴を伴うコンセントにおいては、直線状にならんでいる刃受穴を開閉する扉片は、接地極側の刃受穴が設けられているのとは反対側であって、且つ刃受穴の短手方向に摺動自在に設けられていることが望ましい。扉片を開閉させる為には少なくとも弾性部材などの配置が必要となり、このような構成部材を接地極側の刃受穴から離れた位置に設けることにより、内部構成が偏在する事態をなくすと共に、接地極側の接続端子の配置空間を確保する為である。
更に本発明では、上記安全扉付コンセントを配置することで、感電事故が発生するおそれをなくした建築物を提供する。
即ち、壁面にコンセントを配置してなる建築物であって、当該コンセントは床面から170cm以下の高さに設置されており、当該コンセントとして、上記本発明にかかる安全扉付コンセントが使用されている建築物である。
上記コンセントの接地高さは、主として幼児乃至は小児の手が届いてしまう場合に、特に感電事故の問題が発生するものであるから、床面からの高さが望ましくは150cm以下、特に望ましくは130cm以下の位置にコンセントが設置されている建築物において、感電事故防止の効果が顕著に得られることになる。
なお、上記本発明にかかる建築物は、特に壁面にコンセントが形成された場合であるが、その他にも建築物内で使用される家具などであって、コンセントが設置されるものも同様である。
即ち本発明では、コンセントを配置してなる家具であって、当該コンセントは床面から170cm以下の高さに設置されており、当該コンセントとして、上記本発明にかかる安全扉付コンセントが使用されている家具も本明細書中に開示する。
以上の様に構成された本発明の安全扉付コンセントによれば、200V用電源として頻繁に使用されているコンセント形状、特に2つの刃受穴をその長さ方向に直線状に配置したタンデム形のコンセントや、横長の刃受穴の長さ方向にL字状の刃受穴を横向きに配置したエルバー形のコンセントにおいて、内部構造を簡易なものとしながらも、感電事故を阻止することのできる安全扉付コンセントが提供される。また、前記それぞれの極配置のコンセントにさらに接地極を有するコンセントであって、前述の効果を有した、接地極を含む安全扉付コンセントも提供される。
特に、安全扉を一対の扉片で構成し、各扉片に夫々の刃受穴に対応する作用部分と座部分とを形成した場合、何れかの刃受穴に針金その他の物を差し込んだとしても、当該刃受穴は開口しないものとなる。その際、接地極側の刃受穴が常に開口していたとしても、単にその刃受穴に金属片を差し込んでも何等感電事故は生じないことから、より簡易な構造でありながらも感電事故を阻止することのできる安全扉付コンセントが提供される。
更に、一対の扉片を同一方向から弾性付勢するように弾性部材を形成及び配置することにより、より一層その内部構成を簡易なものとすることができる。これは、接地極を含むコンセントの内、接地極を除いた他の電極用の刃受穴を直線状に配置し、且つこの直線状に配置された刃受穴を開閉することにより実現したものであり、特に各扉片を刃受穴の短手方向に摺動するように配置したことにより実現したものである。
そして、上記本発明にかかる安全扉付コンセントを設置した建築物では、幼児や小児の感電事故を極力阻止できるとの効果が得られる、安全性の向上した建築物となる。
以下、図面に基づいて本発明にかかる安全扉付コンセントの実施の形態を具体的に示す。
図1は本実施の形態にかかる安全扉付コンセントの正面側分解斜視図であり、図2は図1の分解斜視図を背面側から表した背面側分解斜視図である。図3はこの実施の形態にかかる安全扉付コンセントを組み立てた状態における(A)正面図、(B)右側面図、(C)背面図、(D)底面図であり、図4は安全扉付コンセントの内部構造を示しており、(A)は端子の配置状態を示す正面図、(B)は蓋部材20に対するスペーサ60の配置状態を示す背面図、(C)は端子の配置状態を示す縦断面図である。そして図5は各扉片30,40を示す6面図であり、図6はこの扉片30,40で構成された安全扉の作用を示す略図である。さらに、図7は各種形状のコンセントを示す要部正面図であり、図8は安全扉付コンセントが設置された建築物及び家具を示す略図である。
図1及び図2を参照しながらこの実施の形態にかかる安全扉付コンセントの構成を示すと、このコンセントは背面側に存在するボディー部材90と正面側に存在する蓋部材20によって、配線器具における規格化された寸法の筐体が形成されており、両者は、筐体の正面側に配置される取付枠10の側辺に形成された鍵部11によって一体化されている。即ち、この取付枠10は、蓋部材20に被せられるとともに鍵部11がボディー部材90の外壁に係止されることで、蓋部材20とボディー部材90との結合を行っている。
そしてこのボディー部材90と蓋部材20で構成された筐体内には、2つの扉片30,40で構成された安全扉と、各扉片30,40を付勢する弾性部材50(板バネ)と、当該板バネ50及び2つの扉片30,40を保持するスペーサ60と、2つの刃受端子70及び1つの接地極端子80と、各端子毎に設けられた線外し部材74,84とが配置されている。
上記筐体を構成する蓋部材20には、本実施の形態では直線状に並ぶ2つの刃受穴23,24と、この2つの刃受穴23,24の間の中央線上で且つ当該刃受穴23,24の短手方向の下方側に接地極用の刃受穴21とが設けられており、2つの刃受穴23,24は矩形に形成されて、共に横向きに長く且つ長手方向の同一線上に配置されている。なお、このような刃受穴の形状は、その他にも電気用品取締法などで規格化されている形状に形成することができる。また蓋部材20の背面側に接合されるボディー部材90は、その内部が複数のリブによって少なくとも3室(91,91,91)に区画されている。
各直線状に並んでいる刃受穴23,24の奥に位置することになる各刃受端子70は、蓋部材20に形成された刃受穴23,24に対向する逆Ω字形の刃受部71と、この刃受部71に一体形成されて背面に向かって(即ちボディー部材90に向かって)開口する収容部72とからなり、また接地極側の刃受端子70は、カバー体に形成された接地極用の刃受穴21に対向するY字状に先端を開いた刃受部81と、この刃受部81に一体形成されて背面に向かって(即ちボディー部材90に向かって)開口する収容部82とからなる。そして各刃受端子70の収容部72,82内には、それぞれ2つの押えバネ(73又は83)と線外し(74又は84)とが収容されており、この状態で、刃受端子70の収容部側は、ボディー部材90に形成された各室91に納められている。
各刃受端子70への結線作業は、ボディー部材90の裏面の電線挿通孔92に先端被覆を剥いだ電線を差し込んで押えバネ(73又は83)によって固定することで行い、結線解除は電線挿通孔92に隣接する解除孔93にドライバー等の先端を押し込んで線外し(74又は84)を押すことで押えバネ(73又は83)を強制的に撓ませることによって行う。
なお、ここで示した押えバネ(73又は83)は、各収容部(72又は82)の側壁に電線を押し付けることで電線と刃受端子(70又は80)との電気的な接続を行うとともに、斜め方向を向いた端縁によって電線の抜け止めを行うものであり、1つの刃受端子(70又は80)について上述のように2個配設されている。一方は通常接続用、他方は送り接続用である。また、押えバネの上記一端縁を押し戻すことで電線の引き抜きが可能な状態とする線外し(74又は84)は、1つの刃受端子70について1個配設され、上述の結線解除操作を行えば、線外し(74又は84)が2個の押えバネ(73又は83)の端縁を同時に押し戻すことになる。
以上の様に構成された蓋部材20と刃受端子70との間には、蓋部材20に形成されている3つの刃受穴21,23,24の内、直線状に並んだ2つの刃受穴23,24と刃受端子70との間を遮断する位置関係で、当該刃受穴23,24を開閉するための安全扉が設けられている。
すなわち、直線状に並んだ2つの刃受穴23,24の奥(背面側)には、図5(A)に示すような第一扉片30と、図5(B)に示すような第二扉片40とで構成される安全扉が設けられている。この内、第一扉片30は、正面図においてH字状に形成された作用部分31と、その下方から側方上向きに突起する座部分33とで形成されており、H字状の作用部分31における横向き部分の下方には、栓刃の挿入力を弾性手段50の弾性力に抗して扉片30を開く向きの力に変換する傾斜面32が形成されている。また第二扉片40は、正面図においてH字状に形成された作用部分41と、その上方から側方下向きに突起する座部分43とで形成されており、H字状の作用部分41における横向き部分の下方には、栓刃の挿入力を弾性手段の弾性力に抗して扉片40を開く向きの力に変換する傾斜面42が形成されている。これら各扉片30,40は夫々の座部分が他方の扉片40,30における傾斜部分の奥(背面側)に存在するように、相互に交差させて配置されている。
これら扉片30,40は、直線状に並んだ2つの刃受穴23,24の内、図1において右側に存在する刃受穴23を第一刃受穴23、左側に存在する刃受穴24を第二刃受穴24とした場合、第一扉片30の作用部分に形成された傾斜面32は、第一刃受穴23を閉塞する位置及び大きさに形成され、座部分33は第二刃受穴24の水平投影領域に存在する大きさ及び形状に形成されており、一方、第二扉片40の作用部分に形成された傾斜面42は、第二刃受穴24を閉塞する位置及び大きさに形成され、座部分43は第一刃受穴23の水平投影領域に存在する大きさ及び形状に形成されている。
また各扉片30,40のH字状に形成された作用部分の背面には、外側の辺に沿うガイドリブ34,44が形成されており、このガイドリブ34,44は他方の扉片40,30が刃受穴24,23の開閉動作において摺動する際、座部分33,43の側面を案内する為の壁として機能することができる。
このように形成された各扉片30,40は、前述の如くそれぞれの作用部分が前方に存在するように交差させて組み合わせ、その奥に設けられるスペーサ60に設置される。このスペーサ60には、各扉片30,40におけるH字状の作用部分31,41の外側の辺が当接する位置に壁状のリブ61が形成されており、このリブ61は各扉片が刃受穴23,24の短手方向に摺動する際、その移動を案内するものとして機能する。
更にこのスペーサ60における扉片30,40の配置箇所の上方は、下向き略C字状の板バネ50が配置されており、当該板バネ50は、その開後端部51で各扉片における作用部分31,41の上端を下向きに弾性付勢している。
特に本実施の形態にかかるコンセント装置では、接地極側の刃受穴21については上記した扉片で構成されるような安全扉は設けられていない。即ち、扉片で構成される安全扉や、弾性部材50、更にはスペーサ60などは、専ら直線状に並んだ2つの刃受穴23,24についてだけ設けられていることから、その内部構成を簡易なものとする事ができる。
次に図6を参照しながら、本実施の形態にかかる安全扉付コンセントの作用を説明する。
図6は各扉片30,40の作動状態を示しており、左側に要部縦断面図、右側に要部縦断面図に対応した要部背面図を示している。また図6中、(A)は栓刃を差し込む前の状態を示しており、(B)は直線状に配置された刃受穴23,24の内、片側(第一刃受穴23)にだけ栓刃を差し込んだ状態を示しており、(C)は両方の刃受穴23,24に栓刃を差し込んだ状態を示している。
先ず図6(A)は刃受穴23,24に栓刃や針金などが差し込まれる前の状態を示しており、即ちこのコンセントを使用していない時における常態を示している。このような状態においては背面図に示す様に各扉片30,40は摺動領域内で最も下方に位置しており、その作用部分の上端は弾性部材50によって下向きに付勢されている。なおこの背面図においては、各扉片30,40の座部分33,43が露出しているが、その正面側には、作用部分の傾斜面32,42が正面に向かって形成されている。
次に、図6(B)に示す様に、一対の刃受穴23,24の内、何れか一方の刃受穴23(便宜上、第一刃受穴23とする)に栓刃やその他の部材が挿入された場合には、当該栓刃はその刃受穴23に対応する扉片30(便宜上、第一扉片30とする)の傾斜面に当たり、栓刃などの挿入力は弾性手段の弾性力に抗して扉片30を開く向き(上向き)の力に変換されて、当該第一扉片30を上向にスライドさせる。しかしながら、その奥には栓刃が挿入されていない他方の刃受穴24(便宜上、第二刃受穴24とする)に対応した扉片40(便宜上、第二扉片40とする)の座部分43が存在し、この栓刃などの侵入を阻止することから、結局、当該栓刃がその奥に存在する刃受端子70と導通することはない。
そして図6(C)に示す様に、両方の刃受穴23,24に栓刃が挿入された場合には、各栓刃に対応する扉片30,40は、その作用部分の傾斜面32,42によって栓刃の挿入力が弾性手段の弾性力に抗して扉片30,40を開く向きの力に変換されて上方にスライドし、この状態においては各扉片30,40の座部分も上方向にスライドし、栓刃の挿入路に障害が存在しないことになるから、何等問題なく栓刃は各刃受端子70に接続することができる。
本実施の形態では、図7(A)に示す様に、矩形の刃受孔23,24を横向きして直線状に配置して、その下方に接地極21を設けた、所謂タンデム形接地付コンセントについて説明を行ってきたが、その他にも例えば図7(B)に示す様にL字状の刃受穴24bと横長の刃受穴23bとを、それぞれの長さ方向が同じ向きになるように直線状に配置して、その下方に接地極用の刃受穴21bを設けた所謂エルバー形接地付コンセントにも適用することができる。さらに、これらタンデム形接地付コンセント、およびエルバー形接地付コンセントにおいて、接地極の為の刃受穴を表面に設けないタンデム形およびエルバー形コンセントでも実施することができる(図7(C)及び(D))。なお、図7中、図1と同じ機能を有する構成については、数字の後に各態様を識別するアルファベット(b〜d)を付して、その説明を省略する。
以上の様に構成された安全扉付コンセントでは、接地極側の刃受穴21は常に開口しているものの、直線状に配置された2つの刃受穴23,24は、両方に栓刃や異物が挿入される事がない限り開口しないものとなっていることから、より少ない構成により異物の挿入などによる感電事故を阻止することができる。
さらに上記の様に形成した安全扉付コンセント100を、家屋などの建築物H内における低い所に設置することにより、感電事故の発生の可能性を減じることのできる建築物Hが実現する。
即ち、本実施の形態にかかる建築物Hでは、その壁面の数箇所に各種の電気機器に電力を提供する為のコンセント100,101が設置されており、その中の低所に設置されるコンセント100であって、刃受穴をその長さ方向に直線状に配置したコンセントとして、上記図1〜7に示したコンセントを使用した建築物として具体化されている。
この建築物において、床面から170cm、望ましくは150cm、特に望ましくは130cm以下の高さに設置されるコンセント100は、電気機器を接続していない状態においては、その刃受穴が上述のように安全扉で閉塞されている事が望ましく、これにより200Vの電力が供給されるコンセントであっても、子供の悪戯などによる感電事故を極力防止することができる。このような安全扉が設けられるコンセント100は、上記高さに設置される全てのコンセントに採用されることが望ましいが、子供の目の届かない場所(例えば家具の奥など)に存在するコンセントについては、十分な安全性を確保できるのであれば、安全扉の設けられていない従来型のコンセントを設置することもできる。
また、上記高さを越える位置に存在するコンセント(例えばエアコンAC用のコンセント101)については、別段、子供の悪戯のおそれがなければ、安全扉の設けられていない従来型のコンセント101を設置することもできる。
更に、この図8に示す様に、移動型または設置型のワゴン等、各種の家具Wにも本発明にかかる安全扉付コンセント100を設置して、感電事故が発生するおそれを減じた安全扉付コンセント100を有する家具Wとすることもできる。特に移動式の家具の場合には、コンセントは表面に露出して設置されることが多いことから、このような場合でも子供の悪戯などによる感電事故を減じた家具が提供される。
本実施の形態にかかる安全扉付コンセントの正面側分解斜視図 図1の分解斜視図を背面側から表した背面側分解斜視図 本実施の形態にかかる安全扉付コンセントを組み立てた状態における(A)正面図、(B)右側面図、(C)背面図、(D)底面図 安全扉付コンセントの内部構造を示す、(A)は端子の配置状態を示す正面図、(B)は蓋部材に対するスペーサの配置状態を示す背面図、(C)は端子の配置状態を示す縦断面図 各扉片を示す6面図 扉片で構成された安全扉の作用を示す略図 各種形状のコンセントを示しており、(A)はタンデム形接地付コンセント、(B)はエルバー形接地付コンセント、(C)及び(D)は、それぞれタンデム形コンセント及びエルバー形コンセントを示す要部正面図 安全扉付コンセントが設置された建築物及び家具を示す略図
符号の説明
10 取付枠
20 蓋部材
21 接地極側刃受穴
23 第一刃受穴
24 第二刃受穴
30 第一扉片
31 作用部分
32 傾斜面
33 座部分
34 ガイドリブ
40 第二扉片
41 作用部分
42 傾斜面
43 座部分
44 ガイドリブ
50 弾性部材(板バネ)
60 スペーサ
70 刃受端子
80 接地極端子
90 ボディー部材
100 安全扉付コンセント
H 建築物
W 家具

Claims (6)

  1. 一対の刃受穴を、その長手方向の同一線上に配置してなる規格化されたコンセントにおいて、
    前記同一線上に配置された刃受穴を開閉する安全扉と、当該安全扉を刃受穴の短手方向に付勢する弾性手段とを設けたことを特徴とする、安全扉付コンセント。
  2. 前記安全扉は、一対の刃受穴における各刃受穴に対応させて配置された一対の扉片で構成されており、
    各扉片は、一対の刃受穴の内、対応する刃受穴の対向位置に存在する作用部分と、他の刃受穴の対向位置に存在する座部分とを備えており、当該作用部分は、栓刃の挿入力を弾性手段の弾性力に抗して扉片を開く向きの力に変換する傾斜面を伴っている請求項1に記載の安全扉付コンセント。
  3. 前記安全扉を構成する各扉片は、前記作用部分と座部分とがそれぞれ矩形に形成されて、両部分は、共に長手方向に向きをそろえて配置されている請求項2に記載の安全扉付コンセント。
  4. 前記安全扉は、一対の刃受穴における各刃受穴に対応させて配置された一対の扉片で構成されており、
    前記弾性部材は、前記一対の扉片を同一方向から付勢しており、当該扉片は刃受穴の短手方向にスライド自在に設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の安全扉付コンセント。
  5. 前記規格化されたコンセントは、同一線上に配置された一対の刃受穴の他、この一対の刃受穴の間の中央線上で且つ刃受穴の短手方向の何れか一方の側に接地極用の刃受穴を伴って構成されており、
    前記扉片は前記刃受穴の短手方向であって、当該接地極穴が存在する側とは反対側にスライド自在に設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載の安全扉付コンセント。
  6. 壁面にコンセントを配置してなる建築物であって、当該コンセントは床面から170cm以下の高さに設置されており、
    当該コンセントとして、請求項1〜5の何れか一項記載のコンセントが使用されている事を特徴とする建築物。
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