JP2008039762A - 電磁妨害波測定システムと、それを用いた選別システム - Google Patents

電磁妨害波測定システムと、それを用いた選別システム Download PDF

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Abstract

【課題】広帯域にわたる妨害波の振幅確率分布の測定を複数の周波数帯に分割して一括で行い、測定結果をわかり易く表示するデータを出力する電磁妨害波測定システムと、それを用いた電子・電気機器の選別システムを実現する。
【解決手段】電磁妨害波測定システムは、電波信号を入力し、入力信号から測定しようとする周波数帯域の信号を選択し、その出力信号を周波数変換してデジタル信号に変換し、複数の周波数の信号を選択し、信号処理を行なってそれぞれの振幅確率分布を得て、出力するデータを選択して出力する。ここで、振幅確率分布の作成には、選択された複数の周波数の信号を量子化してその統計分布を求め、指定された周波数ごとの信号強度と強度頻度との組を出力する。上記の量子化の開始時間と終了時間は、それぞれの振幅確率分布作成手段について共通として、同一時間の測定データを得る。
【選択図】図1

Description

この発明は、電磁妨害波の異なる複数の周波数に対する振幅確率分布を、それぞれの周波数に対して同時かつ連続的に測定し、その振幅確率分布の測定結果の表示において、定められた閾値との関係を測定者が簡単に判断できる表示データを出力する電磁妨害波測定システムと、それを用いた電磁波利用機器の選別システムに関している。
電波の高度利用の観点から、微弱な不要輻射を含めて、電波通信の妨害波となる電波の放射を抑制することが求められている。このような電波の発生源となりうるのは、無線通信機、レーダ装置、電子レンジはもちろん、パーソナルコンピュータや蛍光灯、あるいは簡単なスイッチに至るまで、電流を扱う機器全般である。
また、電波通信に用いる高周波電磁界の強度を周波数の関数として測定するためには、通常、スペクトラムアナライザが用いられる。この装置を用いると上記の妨害波についても測定することができる。
スペクトラムアナライザで、例えば、家庭用の電子レンジから漏れる電波を観測すると、漏れ電波の強度が時間とともに変動することが分かる。これは、主に電子レンジ内部のターンテーブルによる変動や被加熱物の変化による変動である。また、移動する電気機器からの漏れ電波についても時間と共に変動することが知られている。これは、電気機器の方向性についての漏れ電波の非一様性に起因している。
このような不要輻射を、一定地点で一定方向からのものについて観測する場合に、そのスペクトル形状が時間的に変動することが度々起こる。このため、不要輻射を定量化する場合には、周波数ごとの振幅確率分布を測定することが求められる。
振幅確率分布を測定する既に知られた装置としては、特許文献1に記載されたスペクトラムアナライザの他に、振幅確率分布とほぼ同等の妨害波パラメータであるCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function)を測定する装置がある。これらの測定装置は、測定者によって設定された特定の周波数を中心周波数とし、設定された測定帯域幅内の電波のスペクトルを測定し、さらに、演算装置を用いて前記のスペクトルから振幅確率分布ないしCCDFを得るものである。
振幅確率分布を測定するために使われる測定装置の例を図6に示す。この装置は、入力した信号を濾波し、増幅した後に周波数変換して周波数帯域を下げ、狭帯域の通過特性をもった増幅器で増幅し、検波したのち、検波信号を増幅して、APD(振幅確率分布)測定部で信号処理をして表示するものである。APD測定部では、図7(a)に示す入力信号から、図7(b)に示すデータを得ることができる。図7(b)は、上記の狭帯域の通過特性をもった増幅器で選択された信号についての振幅確率分布を示す。横軸は、妨害波包絡線強度であり、縦軸は、妨害包絡線があるレベルを超える時間割合を示す。
通常、上記の妨害波は、広帯域に渡って想定する必要がある。しかし、既存の振幅確率分布測定装置は、妨害波測定を広帯域で行うために十分な帯域幅を有しておらず、測定帯域を変えるために中心周波数を変えて行なう測定を複数回行なう必要がある。測定すべき帯域を複数に分けて、それぞれを時間的にずれた測定することになり、時間的に変動する被測定物については用いることができない。また、測定時間時間が増大し、測定者の負担が増大する。特に、変動する妨害波を、所望の測定帯域内で同時測定しないために、妨害波振幅確率分布の正確な周波数特性を得ることができず、周波数特性の時間変動に関する情報を得ることもできない。
特許第3374154号公報 特許第3156152号公報
近年の電子機器の高速化、小型化に伴い、それらの電子機器が放射する電磁波は広帯域化している。これらの電子機器からの放射により妨害を受けるデジタル無線通信システムの広帯域化もまた著しい。そのため、電子機器の放射する妨害波からデジタル無線通信システムを保護するためには、妨害波を広帯域で正確に測定する必要がある。
本発明は、従来の測定装置では不可能であった広帯域にわたる妨害波の振幅確率分布の測定を、複数の周波数帯に分割して一括で行い、測定結果を測定者にわかり易く表示することのできる表示データを出力する電磁妨害波測定システムと、その表示データを用いた電磁波利用機器の選別システムを実現するものである。
本発明は、以下の効果を奏するものである。
(1)この発明では、広帯域の周波数において選択した複数の周波数で、妨害波の振幅確率分布が一度に同時計測できるので、時間変動のある振幅確率分布についても相関の正確な計測ができる。
(2)また、指定された信号強度に対応する頻度と周波数との組の複数を表示データとして出力するので、測定者に理解し易い形式で測定結果が表示される。
(3)また、可変周波数フィルタを用いることで、構成を簡略化できる。
(4)また、フーリエ変換器を用いることで、周波数成分の選択が容易になる。
(5)また、被測定物の回転と測定時間とを同期させることで偏りのない測定が行なえる。
(6)また、製造システムに適用することで、製品の選別が行なえるようになる。
(7)また、3次元表示を行なうことで、被測定物でおこる現象の理解が容易になり、測定器としての利便性が向上する。
本発明の電磁妨害波測定システムは、通常はアンテナが接続されて電波信号を入力する入力部と、入力した信号から測定しようとする予め決められた周波数帯域の信号を選択する広帯域の濾波手段と、上記の濾波手段の出力信号を低周波数側に、なるべく直流成分に近い周波数領域に周波数変換する周波数変換手段と、上記の周波数変換手段の出力信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換手段と、測定点とするための予め指定されたそれぞれ異なる複数の周波数について、前記のそれぞれの周波数に相当する信号を上記のアナログ−デジタル変換手段の出力から選択する信号選択手段と、上記のそれぞれの信号選択手段の出力信号について信号処理を行なうそれぞれの振幅確率分布作成手段と、前記のそれぞれの振幅確率分布作成手段の出力から選択された出力を表示データとして出力する出力手段と、を備えるものである。ここで、上記の振幅確率分布作成手段は、上記の信号選択手段の出力信号について、予め決められた開始時間から終了時間までの時間を複数の時間に分割し、その分割されたそれぞれの時間の代表時刻について、前記出力信号の強度を求め、前記の強度を分割されたそれぞれの時間について累積して、強度に対する該強度の出現頻度のグラフデータ作成として出力するものであって、つまり指定された周波数ごとの電波強度と強度頻度との組を出力するもので、
上記の開始時間と終了時間は、それぞれの振幅確率分布作成手段について共通であり、同一時間の測定データを得るものである。
また、上記の出力手段は、上記のそれぞれの振幅確率分布作成手段の出力から選択された複数の出力について、指定された信号強度に対応する頻度と周波数との組の複数を表示データとして出力するものである。
また、前記信号選択手段は、指定された周波数成分を選択できる可変周波数フィルタを用いると、上記の信号選択手段と、振幅確率分布作成手段を、最低限の数にすることができる。
また、上記の信号選択手段として、フーリエ変換器を使うと、随時フーリエ変換を行なうことで、任意の周波数を選択することができるようになり、装置としての構成も簡単になる。
また、被測定物からの放射は不均一であるから、被測定物を回転する必要がある。通常は、被測定物を高速に回転させることは出来ないので、回転する被測定物から放射される電波を受信して入力することになる。その際、被測定物の回転に要する時間の自然数倍を、上記の予め決められた開始時間から終了時間までの時間と同じにすることによって、偏りのない測定が可能になる。
また、本発明は、製造装置における検査システムにも適用できる。このためには、上記の電磁妨害波測定システムにおける出力手段の出力信号を受けて、前記の出力信号が予め決められた閾値の範囲にあるかどうかを判定する判定手段と、上記の判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、をさらに備えるものとする。
また、複数の周波数帯域で測定する場合に、上記の出力手段から出力される振幅確率分布と信号強度と周波数と見やすく表示するため、3次元グラフとして表示する手段をさらに備えるが、上記の3次元グラフは、コンピュータディスプレイや紙などの2次元面に描画したものである。ここで想定する3次元グラフとしては、(1)立体の鳥瞰図、(2)網目状立体の鳥瞰図、(3)等高線図、(4)カラーマップ、(5)明暗マップ、あるいは(6)シュムープロットである。
また、検査基準となる閾値レベルを表示したり、空周波数帯を探したりする場合に便利なように、上記の3次元グラフは、いずれかの次元の値を入力された定数値としたグラフを、上記の3次元グラフと重ねて、かつ上記の3次元グラフから区別できるように、表示する表示手段をさらに備える。
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。
図1は、本発明の電磁妨害波測定システム10を示すブロック図である。各ブロックは、制御部8で制御される。入力部1には、通常は、アンテナが接続されており受信した電波信号を入力するが、高周波信号を直接入力してもよい。さらに、入力した信号から、測定しようとする予め決められた周波数帯域の信号を選択する広帯域の濾波手段2を含むが、これは、通常の広帯域フィルタを用いることができる。また、上記の濾波手段の出力信号を低周波数側に、なるべく直流成分に近い周波数領域に周波数変換する周波数変換手段3を含むが、これは、通常の周波数混合型のものを使うことが出来る。上記の周波数変換手段の出力信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換手段4としては、高速、広帯域のものが望ましい。測定点とするための予め指定されたそれぞれ異なる複数の周波数について、前記のそれぞれの周波数に相当する信号を選択する複数の信号選択手段5としては、自由に設定を変更できるデジタル型の物が知られており、それを用いることができる。上記のそれぞれの信号選択手段の出力信号について信号処理を行なうそれぞれの振幅確率分布作成手段6としては、例えば、図6のAPD測定部に示すものである。また、前記のそれぞれの振幅確率分布作成手段の出力から選択された出力を表示データとして出力する出力手段7としては、マイクロプロセッサ(MPU)を用いて容易に構成することができる。上記の振幅確率分布作成手段6では、上記の信号選択手段の出力信号について、予め決められた開始時間から終了時間までの時間を複数の時間に分割し、その分割されたそれぞれの時間の代表時刻について、前記出力信号の強度を求め、前記の強度を分割されたそれぞれの時間について累積して、強度に対する該強度の出現頻度のグラフデータ作成として出力するものであれば、図6のAPD測定部に限定するものではない。他のものとしては。ゲートアレイなどのデジタル回路を用いて構成することは容易である。いずれの場合でも、指定された周波数ごとの電波強度と強度頻度との組を出力するようにする。また、上記の開始時間と終了時間は、それぞれの振幅確率分布作成手段について極僅かな差を除いて共通であることが肝要である。これは、同一時間の測定データを得るためである。
図2は、特に、信号選択手段5から出力手段7に至る構成を示す。ここでは、信号選択手段5として、周波数固定の周波数フィルタ(51〜5n)を多数用いるものである。任意に通過周波数を設定できるフィルタを用いることで、測定しようとする周波数の数までに減らすことができる。振幅確率分布作成手段6としては、図6のAPD測定部に示すものを用いる。また、出力手段7としては、MPUを用いた出力回路を用いる。ここで、出力手段7から振幅確率分布作成手段6に向かう制御信号は、振幅確率分布を取得する開始時間と終了時間を、全てのAPD測定部について揃えるものである。ただし、出力手段7のMPUは、測定者からの入力データの処理も行なうものとしている。
図3は、信号選択手段5にFFT(高速フーリエ変換器)を用いた例を示す。FFTによって、性能内の任意の周波数における信号強度を得ることができる。データフロー型のFTTであれば、連続してフーリエ変換を行なうことが出来るが、保存されたデータを用いる型のFFTであれは、その開始時点と終了時点は、振幅確率分布を取得する場合と同様に出力回路のMPUから指示して振幅確率分布作成手段6と統一することができる。
図4は、上記の電磁妨害波測定システムを、電気機器製造の検査工程に、電磁波利用機器の選別システムとして適用する場合の例を示す図である。図に記載はないが、電波暗室に於いて用いることが望ましい。
電磁妨害波測定システム10は、アンテナで受信した信号を入力して、強度に対する該強度の出現頻度の対のデータとして出力するか、指定された信号強度に対応する頻度と周波数との組の複数を出力するものである。判定手段30は、前記の出力を受けて、受けたデータが、指定された閾値にあるかどうかを判定するものである。この結果は、判定結果出力手段31から出力される。
ここで、1つの製品を被測定物として検査する場合には、被測定物からの放射は不均一であるから、被測定物を回転する必要がある。このため、被測定物をターンテーブル20に乗せて回転させる。このターンテーブル20には、回転角検出器21を設けて回転角を検出し、その信号を同期制御器22に送る。同期制御器22は、ターンテーブル20の回転と、振幅確率分布作成手段6の振幅確率分布を取得する開始時間あるいは終了時間を同期させるための同期信号を生成する。この同期信号は、被測定物の回転に要する時間の自然数倍を、上記の予め決められた開始時間から終了時間までの時間と同じにする。これによって、偏りのない測定を行う。
本発明を用いて、多周波数帯で測定を行なうと、例えば図8に示すような、振幅確率と妨害波包絡線レベルの図が得られる。図8は、5つの周波数帯でのグラフであるので、この測定結果の全体を把握するのは、あまり困難でない。しかし、20から数千程度の周波数帯での測定が行なわれることは、度々あるが、測定しようとする周波数帯の数が増加するに従って、測定結果を把握することが益々困難になってくる。
そこで、本発明では、上記の電磁妨害波測定システムで得られる測定結果を3次元表示するものである。例えば、図5において、APD測定ボードからの信号を、データ処理手段70で処理をして、表示手段71で表示する。図9(a)は、表示例のひとつで、20に分割した周波数帯域についての測定結果を、周波数、振幅確率、妨害波包絡線レベルの3次元グラフを用いて示すものである。また、図9(b)は、(a)と同じ次元のグラフであるが、メッシュ状のグラフとしたものである。ここで、測定点間の補間方法は、既によく知られており、図9(a)、(b)においても適宜用いることができる。例えば、線形補間や、非線形関数による補間を適用することは容易である。
また、図10(a)は、妨害波包絡線レベルの強度を色別に表示したカラーマップである。ここでは、光のスペクトル順に赤を高、青を低、としている。色彩の代わりに、明暗を用いても強度を表せる事は明らかである。また、図10(b)は、妨害波包絡線レベルの強度をパラメータにして等高線で表示した等高線図である。また、図11は、妨害波包絡線レベルの強度をいくつかの強度に分類し、その分類をアルファベットで表示したシュムープロットである。
図9、10、11には、固定した妨害波包絡線レベルの値のカーソル線9をもつ。上記の妨害波包絡線レベルの値は、測定者が入力するものである。このカーソル線9は、上記の入力値とデータ処理手段70と等高線図を作成する市販のソフトウェアを用いて容易に作成することができる。以下に説明するように、ビット誤り率(BER)を指定することによって、この妨害波包絡線レベルを指定することができる。このため、本発明を通信装置あるいは通信路に用いることによって、指定した妨害波レベルに対する通信装置のビット誤り率を容易に見出すことができる。同様に、固定した妨害波包絡線振幅確率の値を指定することによって、所望のビット誤り率の条件を満たす通信装置あるいは通信路を容易に見出すことができる。
ここで、妨害波包絡線レベルの値とビット誤り率との関係を説明する。
電磁妨害波のAPDは、「妨害波の包絡線が閾値を超える時間確率」として以下のように定義する。まず、図7にその概要を表す。縦軸は妨害波の包絡線の強度を、横軸は時間を示す。Wi (i=1,2,…,n)は包絡線x(t)が閾値xk (k=1,2,…,m)を超える区間を指しており、n(xk)はx(t)がxkを超える回数を示す。T0は総測定時間である。この時、x(t)がxkを越える時間確率APD(xk)は次式で表される。
Figure 2008039762
閾値を変数xとした場合の時間確率の分布APD(x)をAPDと呼ぶ。
先述のように、振幅確率は「包絡線がある閾値を超える確率」であり、これは包絡線の確率密度分布をある閾値から無限大まで積分した値に相当する。つまり、APDは累積確率分布F(x)を用いて次のように定義することもできる。
Figure 2008039762
APD測定法の特筆すべき性質として、被測定妨害波が周囲のデジタル無線通信システムに与える影響を評価できることが挙げられる。以下にその詳細を述べる。
電子機器からの放射妨害波によってデジタル無線通信システムが干渉を受けている状況を想定する。例としてBPSK変調方式の被干渉システムを考え、信号空間でシンボル(−1)に対しては信号点(−SQRT(Eb)、0)、シンボル(1)に対しては信号点(+SQRT(Eb)、0)が、それぞれ対応するものとする。ここでEbはビット当りの信号エネルギーである。図4はシンボル(−1)の受信時に電磁妨害波の干渉を受けた状況を示している。ここで最悪ケースとして、シンボル判定時点(整合フィルタ出力)での電磁妨害波の位相は、受信しているシンボルから信号間距離が最短の他のシンボルに向かう方向(シンボルを最も誤らせやすい方向)を向いていると考え、妨害波が最小信号間距離の半分(βSQRT(Eb))を超える場合にシンボルが誤るとする。βは、シンボル間最小距離の1/2をSQRT(Eb)で正規化した量である。従ってシンボル誤り率(SER)は、整合フィルタ出力における妨害波xfが最小信号間距離の1/2を超える確率に一致する。
Figure 2008039762
ここでPは1シンボルで伝送されるビット数として、シンボル誤りあたりの誤りビット数を1/P=αと近似する。この時、ビット誤り率(BER)は次式で与えられる。
Figure 2008039762
数4は、整合フィルタ出力における信号及び妨害波を、エネルギーの1/2乗の単位で比較している。一方、実際のAPD測定器は整合フィルタと同じ帯域幅のフィルタの出力における妨害波振幅を計測するが、計測単位は振幅(電力の1/2乗)である。αを1シンボル当たりのビット数の逆数、Tsをシンボル長とすると、数4の信号、妨害波振幅のそれぞれにビットレートR=1/(αTs)を乗じて、物理量を振幅に変換する。
Figure 2008039762
ここでPsは信号電力であり、信号振幅(実効値)AはSQRT(Ps)である。拡散係数SFの直接スペクトラム拡散システムの場合、受信側の逆拡散過程において妨害波電力は平均的に1/SF倍に減少する。一方、APD計測の対象である受信帯域制限された妨害波実効値振幅xはSQRT(xf 2/Ts)で表される。したがって、電磁妨害波のAPDと被干渉デジタル無線通信システムのBER(誤り訂正前)の劣化の関係は以下の式で表される。
Figure 2008039762
ただし、数6の成立には以下の仮定が必要である。
(a)電磁妨害波の位相はデジタル無線通信のシンボルを最も誤らせやすい方向である。
(b)APDの測定帯域幅は、被干渉システムの通信帯域幅に等しい。
(c)APD測定装置の内部雑音レベルは、被干渉システム受信機の内部雑音レベルに等しい。
(d)被干渉システムの受信側は同期検波である。
上記の説明においては、電磁妨害波測定システムについて述べたが、実際の使用上の利便を考えると、図5の様に、通常のスペクトラムアナライザと本発明の電磁妨害波測定システムとが切換可能になっている装置が望ましい。
本発明は、家電製品等の一般の電気機器や電子機器の電磁環境適合性試験において電磁妨害波の放射レベルを評価あるいは判定する装置に適用することができる。
また、電磁妨害波の影響を受けたデジタル無線通信の通信品質を推定する装置に適用することができる。これは、例えば、本発明で計測した電磁妨害波環境において、通信装置がどのような影響を受けるかを評価するものである。このような測定においては、電磁妨害波環境を計測しつつ、通信品質の測定を行なうことが望ましい。
また、本発明を、有線もしくは無線通信の信号強度を統計的に評価する装置に用いることができる。例えば、電源供給の充分でない無線通信装置が強い信号を連続して受信すると、電源ラインの電圧が低下して、受信部での信号歪が増大するので、これに加えて外部擾乱があると信号伝送の誤り率が増加することが起こる。本発明は、このような外部擾乱についての評価を行なって、誤り率との相関を得ることができる。
本発明の電磁妨害波測定システムを示すブロック図である。 本発明の電磁妨害波測定システムの信号選択手段から出力手段に至る構成を示す図である。 信号選択手段にFFT(高速フーリエ変換器)を用いた例を示す図である。 電磁妨害波測定システムを、電気機器製造の検査工程に、電磁波利用機器の選別システムとして適用する場合の例を示す図である。 通常のスペクトラムアナライザと本発明の電磁妨害波測定システムとが切換可能な装置を示す図である。 振幅確率分布を測定するために使われる測定装置の例を示す図である。 APD(振幅確率分布)測定部での信号処理を説明するための図である。 測定で得られる振幅確率と妨害波包絡線レベルの図の例である。 (a)は表示例のひとつで、20に分割した周波数帯域についての測定結果を、周波数、振幅確率、妨害波包絡線レベルの3次元グラフを用いて示すものであり、(b)は、メッシュ状のグラフとしたものである。 (a)は、妨害波包絡線レベルの強度を色別に表示したカラーマップであり、(b)は、妨害波包絡線レベルの強度をパラメータにして等高線で表示した等高線図である。 妨害波包絡線レベルの強度をいくつかの強度に分類し、その分類をアルファベットで表示したシュムープロットである。
符号の説明
1 入力部
2 濾波手段
3 周波数変換手段
4 アナログ−デジタル変換手段
5 信号選択手段
6 振幅確率分布作成手段
7 出力手段
8 制御部
9 カーソル線
10 電磁妨害波測定システム
20 ターンテーブル
21 回転角検出器
22 同期制御器
30 判定手段
31 判定結果出力手段
51、52、5n 周波数フィルタ
61、62、6n 振幅確率分布測定部
70 データ処理手段
71 表示手段

Claims (8)

  1. 電波信号を入力する入力部と、
    入力した信号から予め決められた周波数帯域の信号を選択する濾波手段と、
    上記の濾波手段の出力信号を低周波数側に周波数変換する周波数変換手段と、
    上記の周波数変換手段の出力信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換手段と、
    予め指定されたそれぞれ異なる複数の周波数について、前記のそれぞれ異なる複数の周波数に相当する信号を上記のアナログ−デジタル変換手段の出力から選択する信号選択手段と、
    上記のそれぞれの信号選択手段の出力信号について信号処理を行なうそれぞれの振幅確率分布作成手段と、
    前記のそれぞれの振幅確率分布作成手段の出力から選択された出力を表示データとして出力する出力手段と、
    を備え、
    上記の振幅確率分布作成手段は、上記の信号選択手段の出力信号について、予め決められた開始時間から終了時間までの時間を複数の時間に分割し、その分割されたそれぞれの時間の代表時刻について、前記出力信号の強度を求め、前記の強度を分割されたそれぞれの時間について累積して、強度に対する該強度の出現頻度のグラフデータとして出力するものであって、
    上記の開始時間と終了時間は、それぞれの振幅確率分布作成手段について共通であることを特徴とする電磁妨害波測定システム。
  2. 上記の出力手段は、上記のそれぞれの振幅確率分布作成手段の出力から選択された複数の出力について、指定された信号強度に対応する頻度と周波数との組の複数を表示データとして出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁妨害波測定システム。
  3. 上記の信号選択手段と、振幅確率分布作成手段とは、同数であって、前記信号選択手段は、指定された周波数成分を選択できる可変周波数フィルタであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電磁妨害波測定システム。
  4. 上記の信号選択手段は、フーリエ変換器であり、
    上記の前記信号選択手段は、前記フーリエ変換器の出力から指定された周波数成分を選択するものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電磁妨害波測定システム。
  5. 回転する被測定物から放射される電波を受信して入力する電磁妨害波測定システムであって、被測定物の与えられた自然数回の回転に要する時間が、上記の予め決められた開始時間から終了時間までの時間と同じであることを特徴とする請求項1、2、3あるいは4のいずれかに記載の電磁妨害波測定システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の電磁妨害波測定システムにおける出力手段の出力信号を受けて、前記の出力信号が予め決められた閾値の範囲にあるかどうかを判定する判定手段と、
    上記の判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、をさらに備えることを特徴とする電磁波利用機器の選別システム。
  7. 上記の出力手段から出力される振幅確率分布と信号強度と周波数とを、3次元グラフとして表示する手段をさらに備え、
    上記の3次元グラフは、2次元面に描画したものであって、(1)立体の鳥瞰図、(2)網目状立体の鳥瞰図、(3)等高線図、(4)カラーマップ、(5)明暗マップ、あるいは(6)シュムープロットであることを特徴とする請求項1に記載の電磁妨害波測定システム。
  8. 上記の3次元グラフは、いずれかの次元の値を入力された定数値としたグラフを、上記の3次元グラフと重ねて、かつ上記の3次元グラフから区別できるように、表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の電磁妨害波測定システム。
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