JP2008038705A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成でオイルジェットの動作不良を判定することでピストンの過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】シリンダボア2を往復移動可能なピストン3と、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室4と、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口20aとオイルをオイル噴射口20aに供給する供給流路21を開閉可能な開閉手段22を有するオイル噴射手段20と、内燃機関1の運転状況に応じて開閉手段22を制御する開閉制御手段34と、内燃機関1の回転速度を検出する回転速度検出手段23と、内燃機関1の始動時に開閉制御手段34が開閉手段22を制御して供給流路21を閉止した際に回転速度が低下した場合に開閉手段22を故障と判定する故障判定手段35とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダボア2を往復移動可能なピストン3と、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室4と、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口20aとオイルをオイル噴射口20aに供給する供給流路21を開閉可能な開閉手段22を有するオイル噴射手段20と、内燃機関1の運転状況に応じて開閉手段22を制御する開閉制御手段34と、内燃機関1の回転速度を検出する回転速度検出手段23と、内燃機関1の始動時に開閉制御手段34が開閉手段22を制御して供給流路21を閉止した際に回転速度が低下した場合に開閉手段22を故障と判定する故障判定手段35とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に、ピストンに向けて冷却用のオイルを噴射するオイル噴射手段を有する内燃機関の制御装置に関するものである。
従来から、乗用車、トラックなどの車両に搭載される内燃機関として、シリンダボアを往復移動可能なピストンと、このピストンの裏面にオイルを噴射するオイルジェットを備える内燃機関がある。このオイルジェットは、燃焼ガスにさらされ熱負荷が高くなるピストンの裏面にオイルを噴射することで、このピストンを冷却し、これにより、高負荷運転時での異常燃焼を防止しノッキングの抑制を図っている。ところが、冷間始動時ではピストンを含む燃焼室の温度が低く、これにより、燃料噴霧の微粒化が悪く、燃焼も悪い。このとき、上述のようにピストンの裏面にオイルを噴射するとピストンが過剰に冷却され、燃料噴霧の微粒化及び燃焼の悪化をさらに助長し、その結果、未燃焼炭化水素(HC)や粒子状物質(PM:Particulate Matter)の排出量が増加する可能性がある。
この問題に対し、例えば、特許文献1に記載の筒内直噴式火花点火エンジンは、ピストンの冷却を行うオイルを供給するオイルジェットを備え、低負荷低速回転時にこのオイルジェットを停止することで燃料噴霧の微粒化の促進を図っており、また、例えば、特許文献2に記載の内燃機関のピストン冷却装置は、ピストンの下面側へ向けて潤滑油を噴射するオイルジェット機構を備え、排気系の触媒温度が触媒活性化温度以下のときは、このオイルジェット機構を停止して未燃焼HCを低減しており、すなわち、冷間始動時の低負荷時にオイルジェット機構を停止することで、ピストンの冷却を抑制して、未燃焼HC排出量の低減を図っている。
ところで、近年、厳しさを増す排出ガス法規制を受けて、このような内燃機関において車載式故障診断装置(OBD:On Board Diagnosis)が注目されている。車載式故障診断装置とは、車両自身が排出ガス対策装置の異常を検知・監視し、異常発生時には警報表示して運転車に知らせるとともに、その故障内容を記憶保持する装置である。そして、オイルジェットを備える内燃機関では、オイルジェット停止要求中にこのオイルジェットが故障し、オイルの噴射を停止できない場合、上述のようにピストンが過剰に冷却され、燃料噴霧の微粒化及び燃焼の悪化をさらに助長し、その結果、未燃焼HCやPMの排出量が増加してしまうので、このオイルジェットの故障診断は上記排出ガス法規制の観点から極めて重要である。
このようなオイルジェットの故障を診断する内燃機関の制御装置として、例えば、特許文献3に記載のエンジン制御装置は、オイルジェットの動作不良を検出するためにオイルポンプとオイルジェットとの間に設けられるオイル圧センサと、オイルジェットのチェック弁が開弁されノズルからオイルが噴射されているか否かを検出するオン/オフセンサを備えている。そして、このオイル圧センサが検出するオイルの圧力が設定圧力よりも高い場合において、オン/オフセンサがノズルからのオイルの噴射を検出していない場合にオイルジェットが動作不良であると判定される。すなわち、オイル圧が設定圧力よりも高ければ、本来ならばチェック弁が開弁してノズルからオイルが噴射されているはずであるにもかかわらず、実際にはオイルが噴射されておらず、よって、オイルジェットのチェック弁の故障が判定される。
しかしながら、上述した特許文献3に記載されているエンジン制御装置では、オイルジェットの故障判定の実現には、オイル圧センサと、オン/オフセンサが必須な構成となっており、これにより、エンジン制御装置の構成が複雑になると共に製造コストが増加することから、より簡易な構成でオイルジェットの動作不良の判定が可能な構成が望まれていた。
そこで本発明は、簡易な構成でオイルジェットの動作不良を判定することでピストンの過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による内燃機関の制御装置は、シリンダボアを往復移動可能なピストンと、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室と、前記ピストンに向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口と前記オイルを前記オイル噴射口に供給する供給流路を開閉可能な開閉手段を有するオイル噴射手段と、内燃機関の運転状況に応じて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記内燃機関の始動時に前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記回転速度が低下した場合に前記オイル噴射手段を故障と判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による内燃機関の制御装置では、前記故障判定手段は、前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記回転速度が低下した後、前記開閉手段を制御して前記供給流路を開放した際に前記回転速度が低下しない場合に前記開閉手段を故障と判定することを特徴とする。
請求項3に係る発明による内燃機関の制御装置では、前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記空燃比検出手段が検出した前記空燃比に基づいて前記オイル噴射手段による前記オイルの噴射量を推定するオイル噴射推定手段とを備えることを特徴とする。
請求項4に係る発明による内燃機関の制御装置では、前記燃料を噴射するインジェクタと、前記開閉手段が故障と判定された際に、前記オイル噴射推定手段により推定された前記オイルの噴射量に応じて前記インジェクタによる前記燃料の噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備えることを特徴とする。
請求項5に係る発明による内燃機関の制御装置では、シリンダボアを往復移動可能なピストンと、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室と、前記ピストンに向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口と前記オイルを前記オイル噴射口に供給する供給流路を開閉可能な開閉手段を有するオイル噴射手段と、内燃機関の運転状況に応じて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記内燃機関の始動時に前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記空燃比がリーンになった場合に前記オイル噴射手段を故障と判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、故障判定手段によって内燃機関の始動時に開閉制御手段が開閉手段を制御して供給流路を閉止した際に回転速度が低下した場合にオイル噴射手段を故障と判定するので、簡易な構成でオイルジェットの動作不良を判定することでピストンの過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる。
また、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、故障判定手段によって内燃機関の始動時に開閉制御手段が開閉手段を制御して供給流路を閉止した際に空燃比がリーンになった場合にオイル噴射手段を故障と判定するので、簡易な構成でオイルジェットの動作不良を判定することでピストンの過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる。
以下に、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るエンジンの模式的断面図、図2は、本発明の実施例1に係るエンジンのタイムチャート、図3は、本発明の実施例1に係るエンジンのオイルジェット動作正常時におけるタイムチャート、図4は、本発明の実施例1に係るエンジンのオイルジェット動作不良時におけるタイムチャート、図5は、本発明の実施例1に係るエンジンのオイル噴射量と空燃比との関係を示す線図、図6は、本発明の実施例1に係るエンジンの動作を説明するフローチャート、図7は、本発明の実施例1に係るエンジンの故障判定制御を説明するフローチャートである。本実施例1では本発明に係る内燃機関の制御装置を図1に示す内燃機関としてのエンジン1に適用して説明する。
図1に示すように、実施例1に係る内燃機関としてのエンジン1は、乗用車、トラックなどの車両に搭載されるエンジンであり、シリンダボア2に往復運動可能に設けられるピストン3が2往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行う、いわゆる4サイクルエンジンである。
このエンジン1は、シリンダボア2を往復移動可能なピストン3と、空気と燃料との混合気が燃焼可能であると共にピストン3の移動方向の一方側に設けられる燃焼室4と、ピストン3の移動方向の他方側に設けられるクランク室5を備える。ここで、ピストン3の移動方向は、円筒形状に形成されるシリンダボア2の軸線方向である。つまり、ピストン3を挟んでこのシリンダボア2の軸線方向の一方側に燃焼室4、他方側にクランク室5が設けられる。また、このエンジン1は、シリンダボア2、ピストン3、燃焼室4、クランク室5をそれぞれ複数備える。なお、以下の説明では、複数ある気筒のうちの1つについて説明する。
さらに、エンジン1は、燃焼室4に連通する吸気ポート6及び排気ポート7と、燃焼室4内に燃料を直接噴射することが可能なインジェクタ8と、燃焼室4の上方に位置して混合気に着火する点火プラグ9と、ピストン3の往復運動に連動して回転可能なクランクシャフト10を備える。さらに、エンジン1は、シリンダヘッド11、シリンダブロック12及びクランクケース13を備える。
シリンダヘッド11は、シリンダブロック12上に締結され、クランクケース13は、シリンダブロック12の下部に締結される。シリンダブロック12は、内部に上述した円筒形状のシリンダボア2が形成される。このシリンダブロック12は、複数のシリンダボア2を形成するボア壁面2aと、複数のクランク室5を形成するクランク室壁面5aを有し、このボア壁面2aとクランク室壁面5aとは、ボア壁面2aの下端部、クランク室壁面5aの上端部において連続している。
ピストン3は、このシリンダボア2に上下移動自在に嵌合する。クランク室5は、シリンダボア2に各々連通する。クランクケース13は、内部に潤滑油(オイル)を貯留する。クランクシャフト10は、複数のクランク室5を貫通して回転自在に支持される。上述のピストン3は、それぞれコネクティングロッド14を介してこのクランクシャフト10に連結される。また、クランクシャフト10は、その軸周りにカウンタウェイト15を有する。各ピストン3の往復運動は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト10に伝えられ、ここで回転運動に変換されて、エンジン1の出力として取り出される。
燃焼室4は、ピストン3を挟んでクランク室5の反対側に設けられる。この燃焼室4は、複数のシリンダボア2に対応して複数形成され、シリンダヘッド11の下面11a、シリンダボア2のボア壁面2a及びピストン3の他方の端面である頂面3aにより画成される。
この燃焼室4の上部、つまり、シリンダヘッド11の下面11aに上述した吸気ポート6及び排気ポート7が各々2つずつ形成される。この吸気ポート6及び排気ポート7の開口には吸気弁16及び排気弁17が設けられる。この吸気弁16及び排気弁17は、吸気ポート6及び排気ポート7をそれぞれ開閉可能とし、吸気ポート6と燃焼室4、燃焼室4と排気ポート7とをそれぞれ連通することができる。吸気ポート6は、その吸気方向上流側に空気を導入する吸気通路(吸気管)18が接続され、排気ポート7は、その排気方向下流側に排気ガスを排出する排気通路(排気管)19が接続される。
インジェクタ8は、シリンダヘッド11の吸気ポート6側に装着される。また、インジェクタ8は、先端をシリンダボア2の中心線に向けて上下方向に対して所定角度傾斜して設けられる。このインジェクタ8は、ピストン3の頂面3aに向けて燃料噴霧を噴射する。点火プラグ9は、燃焼室4の天井部分、すなわち、シリンダヘッド11の下面11aの吸気ポート6と排気ポート7の間に装着される。
さらに、このエンジン1は、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射するオイル噴射手段としてのオイルジェット20と、オイルをオイルジェット20に供給する供給流路21を備える。具体的には、このオイルジェット20は、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口としてのノズル20aと、オイルをノズル20aに供給する供給流路21を開閉可能な開閉手段としての切替弁22を有する。また、このエンジン1は、回転速度検出手段としてのクランク角センサ23と、空燃比検出手段としてのA/Fセンサ24と、エンジン1の各部を制御する電子制御ユニット(以下「ECU」という)30を備える。
オイルジェット20は、ピストン3の移動方向の他方側、すなわち、クランク室5側に設けられる。さらに具体的には、オイルジェット20は、ノズル20aがシリンダブロック12におけるボア壁面2aの下端部を貫通すると共に、このノズル20aの開口がピストン3の裏面3b(頂面3aとは反対側の面)の方向を向くように設けられる。供給流路21は、一方の端部がオイルジェット20のノズル20aに接続されると共に、他方の端部にオイルポンプ25が接続される。オイルポンプ25は、供給流路21にオイルを圧送するものである。そして、切替弁22は、この供給流路21上のノズル20aとオイルポンプ25との間に設けられる。
したがって、オイルポンプ25により圧送される冷却用のオイルは、供給流路21を通ってオイルジェット20に供給され、ノズル20aを介してピストン3に向けて噴射可能となる。そして、この間、供給流路21を開閉する開閉弁としての切替弁22により、供給流路21を流路面積が0となるように全閉とすることでオイルジェット20によるオイルの噴射が停止され、供給流路21を流路面積が最大となるように全開とすることで噴射が開始される。
ECU30は、処理部31、記憶部32及び入出力部33を有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部33にはエンジン1の各部を駆動する不図示の駆動回路、クランク角センサ23、A/Fセンサ24等の各種センサが接続されており、入出力部33は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部32には、エンジン1を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部32は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、処理部31は、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、エンジン1の運転状況に応じて切替弁22を制御する開閉制御手段としての開閉制御部34を有している。
当該エンジン1に設けられる切替弁22の制御は、車両の各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部31が前記コンピュータプログラムを当該処理部31に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより、切替弁22を制御する。その際に処理部31は、適宜記憶部32へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように切替弁22を有するエンジン1を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU30とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
クランク角センサ23は、エンジン1のクランクシャフト10の回転速度を検出する。具体的には、クランク角センサ23は、クランクシャフト10の回転角度であるクランク角を検出し、ECU30に対してクランク角信号を出力する。ECU30は受信したクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジン1のエンジン回転数(rpm)を算出する。なおここで、エンジン回転数は、言い換えれば、クランクシャフト10の回転速度に対応し、このクランクシャフト10の回転速度が高くなれば、クランクシャフト10の回転数、エンジン回転数も高くなる。
A/Fセンサ24は、排気系としての排気通路19に設けられる。このA/Fセンサ24は、燃焼室4から排気ポート7に排気された排気ガスのうち、不図示の排気ガス浄化触媒に導入される前の排気ガスの排気ガス空燃比を検出し、ECU30に出力するものである。なお、このA/Fセンサ24により検出された空燃比(推定空燃比)は、吸入空気と燃料とからなる混合ガスの空燃比(理論空燃比)をフィードバック制御するために用いられる。すなわち、A/Fセンサ24は、排気ガス中の酸素濃度と未燃ガス濃度から排気空燃比をリッチ域からリーン域までの全域にわたり検出し、これをECU30にフィードバックすることにより燃焼室4での燃焼を運転状況に合わせた最適な燃焼状態に制御可能となる。また、シリンダブロック12にはエンジン冷却水温を検出する水温センサ26が設けられており、検出したエンジン冷却水温をECU30に出力している。
このエンジン1では、ピストン3がシリンダボア2内を下降することで、吸気通路18および吸気ポート6を介して燃焼室4内に空気が吸入され(吸気行程)、この空気とインジェクタ8から燃焼室4内へ噴射される燃料とが混合して混合気を形成する。そして、このピストン3が吸気行程下死点を経てシリンダボア2内を上昇することで混合気が圧縮され(圧縮行程)、ピストン3が圧縮行程上死点付近に近づくと点火プラグ9により混合気に点火され、該混合気が燃焼し、その燃焼圧力によりピストン3を下降させる(膨張行程)。燃焼後の混合気は、ピストン3が膨張行程下死点を経て吸気行程上死点に向かって再び上昇することで排気ポート7、排気通路19を介して排気ガスとして放出される(排気行程)。このピストン3のシリンダボア2内での往復運動は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト10に伝えられ、ここで回転運動に変換され、出力として取り出されると共に、このピストン3は、カウンタウェイト15、クランクシャフト10が慣性力によりさらに回転することで、このクランクシャフト10の回転に伴ってシリンダボア2内を往復する。このクランクシャフト10が2回転することで、ピストン3はシリンダボア2を2往復し、この間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行い、燃焼室4内で1回の爆発が行われる。
この間、オイルジェット20は、ピストン3の裏面3bに向かってオイルを噴射することで、燃焼ガスにさらされ熱負荷が高くなるピストン3を冷却し、これにより、高負荷運転時での異常燃焼を防止しノッキングが抑制される。ここで、このエンジン1の冷えた状態からの冷間始動時ではピストン3の温度が低く筒内の温度も低い。これにより、燃料噴霧の微粒化の悪化、燃焼が悪化するおそれがある。このとき、上述のようにピストン3の裏面3bにオイルを噴射するとピストン3が過剰に冷却されてしまい、燃料噴霧の微粒化の悪化、燃焼の悪化をさらに助長し、その結果、未燃焼炭化水素(HC)や粒子状物質(PM:Particulate Matter)の排出量が増加してしまうおそれがある。しかしながら、このエンジン1では、冷間始動においては開閉制御部34が制御信号を送信して切替弁22を制御し、供給流路21を閉止してオイルジェット20によるオイルの噴射を停止するので、ピストン3の熱がオイルによって過剰に冷却されることが抑制され、ピストン3の昇温がすばやく行われ、ピストン3の頂面3aに付着した燃料の微粒化および気化が促進され、未燃焼炭化水素(HC)や粒子状物質(PM)の排出量の低減することができる。
ところで、本実施例のようにピストン3を冷却するオイルジェット20を備えるエンジン1では、オイルジェット20の停止要求中にこのオイルジェット20が故障し、オイルの噴射を停止できない場合、上述のようにピストン3が過剰に冷却されてしまい、燃料噴霧の微粒化の悪化、燃焼の悪化をさらに助長し、その結果、未燃焼HCやPMの排出量が増加してしまうおそれがあるので、このオイルジェット20の故障診断は排出ガス法規制の観点から極めて重要である。
そこで、このエンジン1は、始動時においてこのエンジン1の回転数に応じてオイルジェット20の故障を判定する故障判定部35を備えることで、簡易な構成でオイルジェット20の動作不良の判定を行っている。ここで、オイルジェット20の動作不良とは、オイルジェット20によるオイルの噴射の開始・停止が開閉制御部34から送信される制御信号に基づいて適切に行われない状態をいい、さらに具体的には、切替弁22によるノズル20aへのオイルの供給開始・停止が開閉制御部34から送信される制御信号に基づいて適切に行われない状態をいう。
具体的には、ECU30の処理部31は、故障判定部35を有し、この故障判定部35は、エンジン1の始動時に開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際にエンジン1の回転数が低下した場合にこの切替弁22を故障と判定する。
すなわち、開閉制御部34が切替弁22を閉位置に制御しオイルジェット20のオイル噴射を停止する閉鎖信号を送信した場合、この切替弁22が正常に作動し供給流路21が全閉となれば、オイルジェット20によるオイルの噴射が停止される。これにより、エンジン1の冷間始動時におけるエンジン回転数、オイルジェット20の作動要求、ピストン3の温度の関係は、図2に実線で示すように、ピストン3の昇温がすばやく行われ、冷間始動時のアイドル回転数は一定に維持される。
ところが、開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に閉鎖信号を送信したにもかかわらず、切替弁22が正常に作動せず、供給流路21が全閉とならなければ、オイルジェット20によるオイルの噴射は停止されず、ピストン3がオイルによって冷却される。これにより、エンジン1の冷間始動時におけるエンジン回転数、オイルジェット20の作動要求、ピストン3の温度の関係は、図2に点線で示すようにピストン3の昇温が遅くなり、ピストン3の頂面3aに付着した燃料噴霧の微粒化及び燃焼が悪化し、結果的にエンジン回転数が低下する。したがって、故障判定部35は、冷間始動時のアイドル中に、切替弁22の駆動回路が開閉制御部34から閉鎖信号を受信しているにもかかわらず、エンジン回転数が低下した場合、切替弁22の故障の可能性が有ると判定することができる。
さらに、この故障判定部35は、開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を開放した際にエンジン回転数が低下しない場合に切替弁22を故障と判定する。これは、冷間始動時のアイドル中にエンジン回転数が低下した場合でも、このエンジン回転数の低下が他の構成の不具合に起因している可能性もあることから、エンジン回転数低下の原因がオイルジェット20の動作不良に起因していることを確認するためである。すなわち、故障判定部35は、エンジン1の始動時に開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際にエンジン1の回転数が低下した場合にこの切替弁22の故障の可能性が有ると判定し、さらに、開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を開放した際にエンジン回転数が低下しない場合に切替弁22を故障と判定する。
具体的には、上述したように切替弁22の駆動回路が閉鎖信号を受信しているにもかかわらずエンジン回転数が低下している状態で、開閉制御部34により切替弁22を開位置に制御しオイルジェット20のオイル噴射を開始する開放信号を送信し、その後再び閉鎖信号を送信する。このとき、エンジン回転数低下の原因が切替弁22の故障によるものでなければ、この切替弁22が正常に作動し、これにより、オイルジェット20による実際のオイル噴射は、停止状態から噴射が開始されることで噴射状態となり、その後再び停止状態に移行することになる。すなわち、エンジン回転数、オイルジェット20の作動要求、ピストン3の温度の関係は、図3に実線で示すように、オイルの噴射が開始されることで、ピストン3の温度が一旦低下しこれに伴って、燃料噴霧の微粒化及び燃焼が悪化することからエンジン回転数がさらに低下する。そして、オイルの噴射が停止されることで、ピストン3の温度が再び上昇しこれに伴って、燃料噴霧の微粒化及び燃焼も改善されエンジン回転数も上昇する。
一方、エンジン回転数低下の原因が切替弁22の故障によるものであれば、オイルジェット20による実際のオイル噴射は、切替弁22の駆動回路が閉鎖信号を受信しているにもかかわらず、実際には切替弁22の動作不良によりオイルの噴射を停止できていなかったことになる。すなわち、開閉制御部34により切替弁22を開位置に制御しオイルジェット20のオイル噴射を開始する開放信号を送信し、再び閉鎖信号を送信しても、オイルの噴射は一貫して継続されているので、エンジン回転数、オイルジェット20の作動要求、ピストン3の温度の関係は、図4に実線で示すように、ピストン3の温度が低下することがなくエンジン回転数も大きく変動しない。
つまり、故障判定部35は、切替弁22の駆動回路が閉鎖信号を受信している状態から、開閉制御部34により開放信号を送信しこれに続いて再び閉鎖信号を送信することで一連の診断信号を送信した際に、エンジン回転数が変動するか否かに基づいて切替弁22の故障を判断することができる。すなわち、故障判定部35は、開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に診断信号を送信しても、この診断信号に応じてエンジン回転数に変動がない場合に、エンジン回転数低下の原因が他の構成の不具合ではなく切替弁22の動作不良に起因しており、よって、切替弁22が故障していると判定する。
ここで、ECU30の処理部31は、さらに、A/Fセンサ24が検出した空燃比に基づいてオイルジェット20によるオイルの噴射量を推定するオイル噴射推定手段としてのオイル噴射推定部36を有する。
切替弁22の故障によりオイルの噴射が停止できない場合、上述したように、ピストン3の温度が十分に上昇せずピストン3の頂面3aに付着した燃料噴霧の微粒化が悪化することから、図4に示すように、A/Fセンサ24により検出される空燃比も変動しリーン側に振れる。すなわち、A/Fセンサ24により検出される空燃比は、ピストン3の温度に応じて変動する。そして、このピストン3の温度は、オイルジェット20によるオイルの噴射量に応じて変動することから、結果的に、A/Fセンサ24により検出される空燃比は、このオイルジェット20によるオイルの噴射量に応じて変動する。
A/Fセンサ24により検出される空燃比は、図5に示すように、切替弁22が正常に動作しオイルの噴射が完全に停止している場合に対して切替弁22が正常に動作せずオイルが噴射されている場合の方がオイル流量に応じてリーン側に振れる。つまり、オイル噴射量と空燃比との関係は、オイル流量の増加に応じてピストン3の温度が低下し付着した燃料噴霧の微粒化が悪化して空燃比がリーン側に振れる関係となり、記憶部32は、このオイル噴射量と空燃比との関係を示すマップをあらかじめ記憶している。そして、オイル噴射推定部36は、記憶部32からこのマップを読み出し、実際にA/Fセンサ24により検出される空燃比の正常時空燃比(ストイキ)からの変化量δ(図4参照)に基づいてオイルジェット20によるオイルの噴射量を推定する。故障判定部35は、オイル噴射推定部36により推定されたオイルの噴射量に基づいて切替弁22の故障の判定が可能となる。すなわち、故障判定部35は、正常なオイルの噴射量に対して明らかに故障と判定できる上限・下限の閾値をとって、その領域内にオイル噴射推定部36により推定されたオイルの噴射量がある場合に切替弁22が故障していると判定する。これにより、例えば、多少流量が流れるような位置(半開位置)で切替弁22が故障した場合でも切替弁22の故障を判定することができ、さらに、誤差を低減し高精度に切替弁22の故障を判定することができる。
また、ECU30の処理部31は、切替弁22が故障と判定された際に、オイル噴射推定部36により推定されたオイルの噴射量に応じてインジェクタ8による燃焼室4への燃料の噴射量を補正する燃料噴射量補正手段としての燃料噴射量補正部37を有する。
上述したように、切替弁22が正常に動作せずオイルが噴射され続け、空燃比がリーン側に振れた状態で放置されると失火してしまうおそれがある。そこで、燃料噴射量補正部37は、実際にA/Fセンサ24により検出される空燃比の正常時空燃比(ストイキ)からの変化量δ(図4参照)に応じて燃料噴射量を増量する制御信号をインジェクタ8の駆動回路に送信し、空燃比がストイキとなるようにインジェクタ8による燃料の噴射量を補正し、これにより、切替弁22の故障時における失火を回避する。
次に図6を参照して、上記のように構成されるエンジン1の動作を説明する。以下の動作は、主としてECU30により実行される。まず、ECU30により水温センサ26から送信されるエンジン冷却水温信号と、クランク角センサ23から送信されるクランク角信号に応じたエンジン回転数に基づいてエンジン1が冷間始動時のアイドル中か否かが判断される(S100)。具体的には、ECU30は水温センサ26が検出したエンジン冷却水温信号を受信し、この冷却水温が所定温度以下であるか否かで冷間始動であるか否かを判定し、エンジン回転数があらかじめ設定されるアイドル回転数(例えば、600rpm程度)であるか否かでアイドル中であるか否かを判定する。冷却水温が所定温度以上、又は、エンジン回転数がアイドル回転数でなければ、冷間始動時のアイドル中ではないので(S100:No)、そのまま終了する。なお、アイドル中か否かの判断は、不図示のアクセルポジションセンサの信号やシフトレバーセンサの信号等に基づいて行ってもよい。
エンジン1が冷間始動時のアイドル中である場合(S100:Yes)には、開閉制御部34により切替弁22の駆動回路にオイルジェット20の停止信号としての閉鎖信号を送信する(S102)。その後、ECU30によりアイドル状態から走行状態に移行したか否かが判断され(S104)、走行中であると判断された場合(S104:Yes)には、そのまま終了する。走行中でない、すなわち、アイドル状態が継続されていると判断された場合(S104:No)には、オイルジェット故障判定制御(S106)に移行する。
そして、故障判定部35によりオイルジェット20に故障があるか否かが判定され(S108)、故障がないと判断された場合(S108:No)には、S104に戻って以降の処理を繰り返す。故障があると判断された場合(S108:Yes)には、燃料噴射量補正部37によりオイル噴射推定部36が推定したオイルジェット20のオイルの噴射量に応じて、すなわち、実際にA/Fセンサ24により検出される空燃比の正常時空燃比(ストイキ)からの変化量δ(図4参照)に応じて燃料噴射量を増量する制御信号をインジェクタ8の駆動回路に送信し、インジェクタ8の燃料の噴射量を補正する(S110)。その後、S104に戻って以降の処理を繰り返す。
次に、図7を参照して、S106のオイルジェット故障判定制御を説明する。まず、故障判定部35により開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際にエンジン1の回転数が低下したか否かを判定する(S200)。エンジン1の回転数が低下していないと判定された場合(S200:No)には、オイルジェット20の動作不良はないものとし、そのまま終了する。エンジン1の回転数が低下したと判定された場合(S200:Yes)には、オイルジェット20が動作不良を起こしている可能性があると判定し、開閉制御部34により切替弁22の駆動回路に開放信号を送信しこれに続いて再び閉鎖信号を送信することで一連の診断信号を送信する(S202)。そして、ECU30はこの診断信号に伴ったエンジン回転数の変化量、A/Fセンサ24が検出する空燃比の変化量δ(図4参照)を一旦記憶する(S204)。そして、オイル噴射推定部36によりこの空燃比の変化量δに基づいてオイルジェット20によるオイルの噴射量を推定し(S206)、終了する。故障判定部35は、これらの処理に基づいて上述したS108のオイルジェット20の動作不良の判断を行う。
以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン1によれば、シリンダボア2を往復移動可能なピストン3と、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室4と、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射可能なノズル20aとオイルをノズル20aに供給する供給流路21を開閉可能な切替弁22を有するオイルジェット20と、エンジン1の運転状況に応じて開閉手段を制御する開閉制御部34と、エンジン回転数を検出するクランク角センサ23と、エンジン1の始動時に開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際にエンジン回転数が低下した場合に切替弁22を故障と判定する故障判定部35を備える。
したがって、冷間始動時のアイドル中において開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に閉鎖信号を送信したにもかかわらず、切替弁22が正常に作動せず、供給流路21が全閉とならなければ、オイルジェット20によるオイルの噴射は停止されず、ピストン3がオイルによって冷却され、燃料噴霧の微粒化及び燃焼が悪化し、エンジン回転数が低下することから、故障判定部35によってエンジン回転数が低下した場合に切替弁22の故障の可能性が有ると判定されるので、冷間始動時においてエンジン回転数を監視するだけの簡易な構成でオイルジェット20の動作不良を判定することでピストン3の過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる。また、別途新たなセンサを設けることなく、既存のセンサから得られるパラメータによって故障を判定することができるので構造が複雑化せず、製造コストも抑えることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン1によれば、故障判定部35は、開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際に前記エンジン回転数が低下した後、切替弁22を制御して供給流路21を開放した際にエンジン回転数が低下しない場合に切替弁22を故障と判定する。したがって、開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に開放信号を送信してもこの開放信号に応じてエンジン回転数に変動がない場合に、故障判定部35により切替弁22の故障が判定され、エンジン回転数の低下が他の構成の不具合に起因している可能性が排除されるので、切替弁22の故障判定の精度が向上する。
さらに、冷間始動時のアイドル中にエンジン回転数が低下し、故障判定部35によって切替弁22の故障の可能性が有ると判定された後に、開閉制御部34により診断信号としての開放信号を送信するので、切替弁22の動作確認を必要最小限に済ませることができ、これにより、エンジン回転数の低下が他の構成の不具合に起因していた場合のピストン温度の変動を最小限に抑えることができる。また、故障判定処理におけるオイルジェット20によるオイルの噴射開始・停止も最小限に抑えることができるので、騒音等も極力抑えることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン1によれば、エンジン1の空燃比を検出するA/Fセンサ24と、A/Fセンサ24が検出した空燃比に基づいてオイルジェット20によるオイルの噴射量を推定するオイル噴射推定部36を備える。したがって、A/Fセンサ24により検出される空燃比はオイルジェット20のオイルの噴射量に応じて変動することから、実際にA/Fセンサ24により検出される空燃比の正常時空燃比からの変化量δ(図4参照)に基づいてこのオイルジェット20のオイルの噴射量を推定することができる。これにより、例えば、多少流量が流れるような位置(半開位置)で切替弁22が故障した場合でも、故障判定部35により切替弁22の故障を判定することができ、さらに、誤差を低減し高精度に切替弁22の故障を判定することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン1によれば、燃料を噴射するインジェクタ8と、切替弁22が故障と判定された際に、オイル噴射推定部36により推定されたオイルの噴射量に応じてインジェクタ8による燃料の噴射量を補正する燃料噴射量補正部37を備える。したがって、切替弁22が正常に動作せずオイルが噴射され続けた場合でも、燃料噴射量補正部37によりオイル噴射推定部36が推定したオイルジェット20のオイルの噴射量に応じて、すなわち、実際にA/Fセンサ24により検出される空燃比の正常時空燃比からの変化量δに応じて燃料噴射量を増量する制御信号をインジェクタ8の駆動回路に送信し、インジェクタ8の燃料の噴射量を補正するので、空燃比がリーン側に振れた状態を補正することができ、切替弁22の故障時における失火を回避することができる。
図8は、本発明の実施例2に係るエンジンの故障判定制御を説明するフローチャートである。実施例2に係るエンジンは、実施例1に係るエンジンと略同様の構成であるが、故障判定手段が空燃比に基づいて故障を判定する点で実施例1に係るエンジンとは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、実施例1と同一の図面を参照して構成を説明する。
この実施例2に係るエンジン201の故障判定手段としての故障判定部35は、エンジン1の始動時に開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際に、A/Fセンサ24が検出する空燃比がリーン側に振れた場合に切替弁22を故障と判定するように構成される。
上述したように、開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に閉鎖信号を送信したにもかかわらず、切替弁22が正常に作動せず、供給流路21が全閉とならなければ、オイルジェット20によるオイルの噴射は停止されず、ピストン3がオイルによって冷却される。そして、ピストン3の昇温が遅くなり、ピストン3の頂面3aに付着した燃料噴霧の微粒化及び燃焼が悪化するので、A/Fセンサ24が検出する空燃比はリーン側に振れる。すなわち、実施例1の図7に示したS200における故障判定部35によるエンジン1の回転数が低下したか否かの判定に代えて、図8のS210に示すように、A/Fセンサ24が検出する空燃比がリーン側に振れたか否かを判定することで、オイルジェット20の動作不良の可能性を判定することができる。
以上で説明した本発明の実施例2に係るエンジン201によれば、シリンダボア2を往復移動可能なピストン3と、空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室4と、ピストン3に向けて冷却用のオイルを噴射可能なノズル20aとオイルをノズル20aに供給する供給流路21を開閉可能な切替弁22を有するオイルジェット20と、エンジン1の運転状況に応じて開閉手段を制御する開閉制御部34と、エンジン1の空燃比を検出するA/Fセンサ24と、エンジン1の始動時に開閉制御部34が切替弁22を制御して供給流路21を閉止した際に空燃比がリーンになった場合に切替弁22を故障と判定する故障判定部35とを備える。
したがって、冷間始動時のアイドル中において開閉制御部34が切替弁22の駆動回路に閉鎖信号を送信したにもかかわらず、切替弁22が正常に作動せず、供給流路21が全閉とならなければ、オイルジェット20によるオイルの噴射は停止されず、ピストン3がオイルによって冷却され、燃料噴霧の微粒化及び燃焼が悪化し、A/Fセンサ24によって検出される空燃比がリーン側に振れることから、故障判定部35によってこの空燃比がリーン側に振れた場合に切替弁22の故障の可能性が有ると判定されるので、冷間始動時において空燃比を監視するだけの簡易な構成でオイルジェット20の動作不良を判定することでピストン3の過冷却を防止し、確実に未燃焼HC排出量を低減することができる。
なお、上述した本発明の実施例に係るエンジンは、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、エンジン1、201は、直噴型エンジンとして説明したがポート噴射型のエンジンでもよい。以上の説明では、オイルをオイルジェット20のノズル20aに供給する供給流路21を開閉可能な開閉手段は切替弁22であるものとして説明したが、電磁式のソレノイドを用い、このソレノイドにより供給流路21を開閉するようにしてもよい。
また、以上の説明では、エンジン1、201の回転速度を検出する回転速度検出手段はクランク角センサ23であるものとして説明したが他のセンサであってもよく、また、エンジン1、201の空燃比を検出する空燃比検出手段は、A/Fセンサ24であるものとして説明したが、排気系に設けたO2センサ等であってもよい。
また、以上の説明では、オイル噴射推定部36は、A/Fセンサ24が検出した空燃比に基づいてオイルジェット20によるオイルの噴射量を推定するものとして説明したが、クランク角センサ23が検出するエンジン回転数に応じてオイルの噴射量を推定するように構成してもよい。この場合、図5に点線で示すように、エンジン回転数は、切替弁22が正常に動作しオイルの噴射が完全に停止している場合に対して切替弁22が正常に動作せずオイルが噴射されている場合の方がオイル流量に応じて低下する。
また、以上の説明では、切替弁22が故障と判定された際に、オイル噴射推定部36により推定されたオイルの噴射量に応じてインジェクタ8による燃料の噴射量を補正する燃料噴射量補正部37を備えることで切替弁22の故障時における失火を回避するものとして説明したが、燃料噴射量補正部37に代えて、推定されたオイルの噴射量に応じてオイルポンプ25を制御し、オイルジェット20から噴射されるオイル噴射量自体を補正するオイル噴射量補正部を備えることでる失火を回避するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る内燃機関の制御装置は、簡易な構成でオイルジェットの動作不良を判定することでピストンの過冷却を防止し、確実にHC排出量を低減することができるものであり、種々の内燃機関に用いて好適である。
1、201 エンジン
2 シリンダボア
3 ピストン
4 燃焼室
5 クランク室
6 吸気ポート
7 排気ポート
8 インジェクタ
9 点火プラグ
10 クランクシャフト
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 クランクケース
20 オイルジェット(オイル噴射手段)
20a ノズル(オイル噴射口)
21 供給流路
22 切替弁(開閉手段)
23 クランク角センサ(回転速度検出手段)
24 A/Fセンサ(空燃比検出手段)
30 ECU
31 処理部
32 記憶部
33 入出力部
34 開閉制御部(開閉制御手段)
35 故障判定部(故障判定手段)
36 オイル噴射推定部(オイル噴射推定手段)
37 燃料噴射量補正部(燃料噴射量補正手段)
2 シリンダボア
3 ピストン
4 燃焼室
5 クランク室
6 吸気ポート
7 排気ポート
8 インジェクタ
9 点火プラグ
10 クランクシャフト
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 クランクケース
20 オイルジェット(オイル噴射手段)
20a ノズル(オイル噴射口)
21 供給流路
22 切替弁(開閉手段)
23 クランク角センサ(回転速度検出手段)
24 A/Fセンサ(空燃比検出手段)
30 ECU
31 処理部
32 記憶部
33 入出力部
34 開閉制御部(開閉制御手段)
35 故障判定部(故障判定手段)
36 オイル噴射推定部(オイル噴射推定手段)
37 燃料噴射量補正部(燃料噴射量補正手段)
Claims (5)
- シリンダボアを往復移動可能なピストンと、
空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室と、
前記ピストンに向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口と、前記オイルを前記オイル噴射口に供給する供給流路を開閉可能な開閉手段を有するオイル噴射手段と、
内燃機関の運転状況に応じて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、
前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記内燃機関の始動時に前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記回転速度が低下した場合に前記オイル噴射手段を故障と判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする、
内燃機関の制御装置。 - 前記故障判定手段は、前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記回転速度が低下した後、前記開閉手段を制御して前記供給流路を開放した際に前記回転速度が低下しない場合に前記開閉手段を故障と判定することを特徴とする、
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記空燃比検出手段が検出した前記空燃比に基づいて前記オイル噴射手段による前記オイルの噴射量を推定するオイル噴射推定手段とを備えることを特徴とする、
請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料を噴射するインジェクタと、
前記開閉手段が故障と判定された際に、前記オイル噴射推定手段により推定された前記オイルの噴射量に応じて前記インジェクタによる前記燃料の噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備えることを特徴とする、
請求項3に記載の内燃機関の制御装置。 - シリンダボアを往復移動可能なピストンと、
空気と燃料との混合気が燃焼可能な燃焼室と、
前記ピストンに向けて冷却用のオイルを噴射可能なオイル噴射口と、前記オイルを前記オイル噴射口に供給する供給流路を開閉可能な開閉手段を有するオイル噴射手段と、
内燃機関の運転状況に応じて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、
前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記内燃機関の始動時に前記開閉制御手段が前記開閉手段を制御して前記供給流路を閉止した際に前記空燃比がリーンになった場合に前記オイル噴射手段を故障と判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする、
内燃機関の制御装置。
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---|---|---|---|
JP2006212499A JP2008038705A (ja) | 2006-08-03 | 2006-08-03 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006212499A JP2008038705A (ja) | 2006-08-03 | 2006-08-03 | 内燃機関の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=39174035
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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2006
- 2006-08-03 JP JP2006212499A patent/JP2008038705A/ja active Pending
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