JP2008038607A - 排気ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気負圧の脈動の振幅を抑制し、排気ブレーキによる制動力を損なうことなく、吸気通路内へのオイルの噴き出しを回避する排気ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】エンジン(1)の気筒(4)に連通する排気通路(22)に配設され、排気通路の閉鎖により制動力を生じさせる排気ブレーキ(28)と、エンジンの気筒に連通する吸気通路(8)に配設され、吸気通路の閉鎖により気筒に向かう吸気を遮断する吸気絞り(18)と、気筒で発生したブローバイガスからオイルを分離し、ブローバイガスを吸気絞りよりも上流の吸気通路に返戻させるブリーザ(30)と、排気ブレーキによって排気通路が閉鎖された場合に、吸気絞りに吸気通路の閉じ制御を実施させる制御手段(54)とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気ブレーキ装置に係り、詳しくは、排気通路の閉鎖により制動力を生じさせる排気ブレーキ装置に関する。
この種の装置は、車両の減速時に強力なエンジンブレーキ性能を発揮させる。より詳しくは、車両の走行中に排気ブレーキが排気通路を閉鎖すると、エンジン内の排気圧力が上昇して制動力を発生させる。
一方、気筒内では未燃のブローバイガスが発生する。このブローバイガスは、気筒内面とピストン外面との隙間からクランク軸に向けて移動するが、クランクケース内におけるブローバイガスには気化した霧状のオイルが混入される。そこで、エンジンにはブリーザが備えられており、ブリーザカバー内にて当該ブローバイガスからオイルを分離する。そして、このカバー内のブローバイガスは吸気負圧に応じて吸気通路に向けて返戻される。これに対し、分離されたオイルはブリーザのU字管内に貯留された後、オイルパンに向けて返戻される。
ここで、上記排気通路の閉鎖時には、クランクケース内の圧力(ケース内圧)が高くなる。次いで、エンジン回転速度が高くなると、気筒では大量のブローバイガスが発生し、ケース内圧は更に高くなる。これに対し、エンジン回転速度が高くなると、ブリーザカバー内の圧力(ブリーザ内圧)は低くなる。吸気絞りによる吸気通路の開放に伴って吸気負圧が大きくなるからである。
つまり、通常時には、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧は、U字管の一端側位置ヘッドと他端側位置ヘッドとの差(U字管ヘッド差)よりも小さくなるとの関係にあるものの、上記排気通路の閉鎖時にエンジン回転速度が高くなると、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧がU字管ヘッド差よりも大きくなり、このU字管の能力以上に圧力が上昇した場合には、U字管内に貯留されたオイルが吸気通路内に噴き出すことになる。そして、オイルが吸気に混入され、気筒内で燃えると、燃焼温度が上昇し、気筒周辺部品の破損を招く。このため、例えば、エンジンの最高回転速度を低めに制限すること、或いは、最高回転速度を低めに制限しないが、ケース内圧を低くすること(例えば、特許文献1参照)が考えられる。
特開2005−113707号公報
ところで、エンジンの最高回転速度は車両の使用状況によって変更される点を鑑みると、前者の如く低めの最高回転速度を設けるのは実用性の点で問題が生ずる。なお、U字管の能力を大きくすることも実用性の点で問題がある。一方、後者の如くケース内圧を低くするためには、上述の構成で云えば、排気ブレーキを若干開くことによって達成可能である。排気圧力が下降し、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧がU字管ヘッド差よりも小さくなるからである。
しかしながら、排気ブレーキを若干開く場合には、排気ブレーキによる制動力が大きく損なわれてしまうとの問題がある。
ここで、本発明者は、吸気負圧の脈動の非常に大きな振幅が当該制動力の損失に関する問題の原因であることを導いている。一方、上記従来の技術によるケース内圧の低減手法では、吸気負圧の脈動の振幅を抑制する点については格別の配慮がなされておらず、オイルが吸気通路内に噴き出すとの課題が依然として残されている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、吸気負圧の脈動の振幅を抑制し、排気ブレーキによる制動力を損なうことなく、吸気通路内へのオイルの噴き出しを回避する排気ブレーキ装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく、請求項1記載の排気ブレーキ装置は、エンジンの気筒に連通する吸気通路及び排気通路と、排気通路に配設され、排気通路の閉鎖により制動力を生じさせる排気ブレーキと、吸気通路に配設され、吸気通路の閉鎖により気筒に向かう吸気を遮断する吸気絞りと、気筒で発生したブローバイガスからオイルを分離し、ブローバイガスを吸気絞りよりも上流の吸気通路に返戻させるブリーザと、排気ブレーキによって排気通路が閉鎖された場合に、吸気絞りに吸気通路の閉じ制御を実施させる制御手段とを具備することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明では、制御手段は、エンジンの回転速度が高い領域にて、吸気絞りによる吸気通路の閉じ制御を実施することを特徴としている。
更に、請求項3記載の発明では、制御手段は、吸気絞りの開度を、エンジンの回転速度が低い場合には吸気通路を閉じる方向には調整せず、エンジンの回転速度が高くなるに連れて吸気通路を閉じる方向に調整することを特徴としている。
更にまた、請求項4記載の発明では、制御手段は、吸気通路内の圧力が分離されたオイルを吸気通路に向けて移動させ得る所定値に達した場合には、吸気絞りによる吸気通路の閉じ制御を実施することを特徴としている。
従って、請求項1記載の本発明の排気ブレーキ装置によれば、排気ブレーキと吸気絞りとの開度を調整する制御手段を備え、この制御手段は、排気ブレーキによって排気通路が閉鎖された場合には、吸気絞りに吸気通路の閉じ制御を実施させている。これにより、吸気通路内の吸気は気筒に向けて送られ難くなるので、吸気負圧の脈動の振幅が抑制され、ブリーザ内圧が増加する。また、吸気通路内の吸気量の減少によってブローバイガスの発生が抑制され、気筒内、ひいてはクランクケース内の圧力が減少する。この結果、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧が小さくなり、分離されたオイルが吸気通路に向けて移動せず、エンジン周辺部品の保護が図られる。
更に、ケース内圧及びブリーザ内圧の双方を制御し、これらケース内圧とブリーザ内圧との差圧が小さくされているので、従来のようなエンジン回転速度の制限が不要になるし、また、排気ブレーキによって生じた制動力が従来よりも高い値にて保持可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、吸気絞りによる吸気通路の閉じ制御は、エンジンの回転速度が高い領域にあり、且つ、排気ブレーキによって排気通路が閉鎖された場合に実施するので、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧が大きくなり易い状況を未然に防止可能となる。
更に、請求項3記載の発明によれば、吸気絞りの開度はエンジン回転速度に応じて可変に制御され、特に、エンジン回転速度が低い場合には吸気通路を閉じる方向に調整しないことから、この領域では排気ブレーキによって生じた制動力が排気ブレーキを開いた場合に比してより一層高い値にて保持可能となるし、排気ブレーキ本来の能力を長く保持可能となる。そして、エンジン回転速度が高くなるに連れて吸気通路を閉じる方向に調整するので、従来のようなエンジン回転速度の制限が不要になる。
また、エンジン回転速度が低い領域から高い領域に向けて吸気絞りの開度を滑らかに閉じ制御すれば、トルクショックの低減に寄与する。
更にまた、請求項4記載の発明によれば、吸気絞りによる吸気通路の閉じ制御は、分離されたオイルが吸気通路に向けて移動する可能性があり、且つ、排気ブレーキによって排気通路が閉鎖された場合に実施するので、この場合にも、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧が大きくなり易い状況を未然に防止可能となる。
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1に示されたディーゼル機関(以下、単にエンジンとする)1には、クランクケース2内に複数の気筒4が設けられ、各気筒4には吸気通路8、燃料噴射弁20及び排気通路22が接続されている。
吸気通路8の上流側には過給機12及びインタークーラ14が介装され、また、吸気通路8の適宜位置には吸気圧センサ16や吸気スロットル(吸気絞り)18が配設されている。本実施例の吸気スロットル18はバタフライ弁で構成され、この弁が吸気通路8を閉鎖すると、気筒4に向かう吸気が遮断される。そして、吸気通路8内の吸気は、過給機12を介してインタークーラ14に達し、吸気スロットル18で調整された後、吸気弁10の開閉に応じてピストン6で区画された燃焼室に導入される。次いで、燃料噴射弁20から供給される燃料の燃焼により、クランク軸やフライホイールを作動させる。
一方、排気通路22の下流側には触媒コンバータ26が介装され、また、この触媒コンバータ26の上流側における排気通路22の適宜位置にはエキブレ(排気ブレーキ)28が配設されている。本実施例のエキブレ28もバタフライ弁で構成され、この弁が排気通路22を閉鎖すると、排気圧力が上昇して制動力(吸収馬力)が発生する。なお、このエキブレ28の作動は、エキブレスイッチ38のオン状態において、アクセルスイッチ40のオフ状態、つまり、アクセルペダルの踏み込みが解除された場合に実施される。そして、燃焼室内の排気は排気弁24の開閉に応じて排気通路22に導出され、触媒コンバータ26に送られる。
ところで、上記クランクケース2の側方部分にはブリーザ30が配設されている。このブリーザ30はブリーザカバー32、U字管34及びガス通路36から構成されており、ブリーザカバー32は、その上部にブローバイガスの吸入口を有している。ブローバイガスは気筒4内で発生し、気筒4の内面とピストン6の外面との隙間から上記クランク軸に向けて移動した後に上昇し、気化した霧状のオイルとともに上記吸入口からブリーザカバー32内に導入される。
このブリーザカバー32内では、分離管の外周側でブローバイガスを旋回させ、遠心分離の原理に基づくサイクロン方式や、パンチメタルや金網等にブローバイガスを衝突させる付着分離方式等のいずれの方式においても、ブローバイガスからオイルを分離可能である。そして、このブローバイガスはブリーザカバー32の上部に設けられたガス通路36を介して吸気通路8に向けて返戻される。なお、このガス通路36の排気口は吸気スロットル18の上流側の吸気通路8に接続されており、ブローバイガスは吸気負圧に応じて吸気通路8内に適宜還流される。
一方、ブリーザカバー32の下部には、下向きに湾曲部を有するU字管34が配設されており、このU字管34の一端側がブリーザカバー32の底部に接続され、U字管34の他端側は上記一端側よりも低い位置にてクランクケース2の側部に接続されている。これにより、分離されたオイルは上記一端側の導入口からU字管34内に導入され、U字管34内に貯留される。その後、オイルは上記他端側の導出口からオイルパンに向けて返戻される。
ここで、電子コントロールユニット(ECU)50の入力側には、上述した吸気圧センサ16、エキブレスイッチ38、及びアクセルスイッチ40の他、エンジン回転速度Neを検出するクランク角センサ42等のエンジン1の運転状態を検出する各種センサが電気的に接続されている。これに対し、ECU50の出力側には、上述した吸気スロットル18、燃料噴射弁20、及びエキブレ28等の各種アクチュエータが電気的に接続されている。
そして、ECU50には、エキブレ28による排気通路22の閉鎖度合を調整するエキブレ制御部52が備えられ、このエキブレ制御部52は、エンジン回転速度Neが高い領域にある場合には、吸気スロットル18による吸気通路8の閉じ制御を実施する制動力保持部(制御手段)54を有している。
より詳しくは、本実施例の制動力保持部54は、吸気通路8を全開状態(約90°)から目標の開度となるよう吸気スロットル18を閉じ側に制御している。
図2を参照すると、エキブレ制御部52による制御フローチャートが示されており、以下、上記のように構成された排気ブレーキ装置の本発明に係る作用について説明する。
同図のステップS201では、エキブレスイッチ38がオン状態にされたか否かを判別し、そして、運転者によってエキブレスイッチ38がオン状態にある場合、すなわち、YESと判定されたときにはステップS202に進み、クランク角センサ42の信号からエンジン回転速度Neを読み込む。
次に、ステップS203では、この回転速度Neが所定値αよりも高いか否かを判別し、回転速度Neが、U字管34の能力以上にクランクケース2内の圧力(ケース内圧)とブリーザカバー32内の圧力(ブリーザ内圧)との差圧を上昇させる所定値αを超えている場合、すなわち、YESと判定されたときにはステップS204に進む。
このステップS204では、エキブレ28が作動しているか否かを判別する。そして、アクセルスイッチ40のオフ状態に伴ってエキブレ28が排気通路22を閉鎖している場合、すなわち、YESと判定されたときにはステップS205に進み、制動力保持部54が吸気スロットル18に対して吸気通路8を全開状態から目標開度に変更する信号を送り、吸気通路8の閉じ制御を実施する。一方、上記ステップS201にて、エキブレスイッチ38がオフ状態である、若しくはステップS203にて回転速度Neが所定値α未満である、又はステップS204にてエキブレ28が未作動であると判定された場合には一連のルーチンを抜ける。
以上のように、本実施例によれば、エキブレ28及び吸気スロットル18の双方の開度を調整するエキブレ制御部52を備え、このエキブレ制御部52の制動力保持部54は、エキブレ28によって排気通路22が閉鎖された場合には、吸気スロットル18に吸気通路8の全開から目標開度まで閉じる閉じ制御を実施させている。これにより、吸気通路8内の吸気は気筒4に向けて送られ難くなるので、吸気負圧の脈動の大きな振幅が抑制され、ブリーザ内圧が増加する。また、吸気通路8内の吸気量の減少によってブローバイガスの発生が抑制され、ケース内圧が減少する。
この点につき詳述すると、通常時には、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧ΔPは、U字管34の一端側位置ヘッドと他端側位置ヘッドとの差(U字管ヘッド差ΔH)よりも小さくなる、つまり、ΔP<ΔHを満たす関係にある。しかし、エキブレ28の作動時に回転速度Neが高くなると、ケース内圧が上昇する一方でブリーザ内圧が下降するので、これらの差圧ΔがU字管ヘッド差ΔHよりも大きくなり(ΔP>ΔH)、この場合には、図3(a)に示されるように、吸気負圧(図中、実線で示す)の脈動が非常に大きな振幅を有していることが分かる。また、上記差圧ΔP(図中、一点鎖線で示す)の変動幅も大きくなっていることが分かる。そして、このときには、U字管内に貯留されたオイルが吸気通路に向けて移動してしまう。
これに対し、本実施例によれば、吸気スロットル18が目標とする開度に閉じ制御されているので、図3(b)に示されるように、吸気負圧(図中、実線で示す)の脈動の振幅が図3(a)の振幅の約1/10程度に抑えられ、しかも、上記差圧ΔP(図中、一点鎖線で示す)の変動幅も図3(a)の変動幅の約半分程度に抑えられていることが分かる。この結果、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧ΔPがU字管ヘッド差ΔHよりも常に小さくなり、ブリーザカバー32にて分離されたオイルは、U字管34からガス通路36を介して吸気通路8に向けて移動しない。従って、例えばオイルが気筒内で燃焼し、ピストン6を溶融させる懸念も払拭され、エンジン周辺部品の保護が図られる。
更に、本実施例によれば、ケース内圧とブリーザ内圧との双方を制御し、これらの差圧ΔPが小さくされているので、従来の如く回転速度Neの制限が不要になるし、また、エキブレ28によって生じた制動力がこのエキブレを開いた場合よりも高い値にて保持可能となる。
この点についても詳述すると、図4に示される如く、吸気スロットルを全開状態にしてエキブレを全閉状態にした場合には、同図に一点鎖線で示される制動力の曲線が得られるものの、回転速度Neには低めの制限値(図中、一点鎖線で示す)を設けなければ、オイルが吸気通路に噴き出し易くなる。一方、従来のように吸気スロットルを全開状態にしてエキブレを若干開く場合には、同図に破線で示される制動力の曲線しか得られず、制動力が大きく損なわれてしまう。
これに対し、本実施例によれば、エキブレ28を全閉状態にして吸気スロットル18を目標開度まで閉じていることから、回転速度Neの制限値(図中、実線で示す)が高めに設定可能となり、従来のような回転速度Neの低めの制限値が不要になる。しかも、同図に実線で示される制動力の曲線が得られ、制動力が従来よりも高い値にて保持可能となる。
更に、本実施例によれば、吸気スロットル18による吸気通路8の閉じ制御は、エンジン回転速度Neが高い領域にあり、且つ、エキブレ28によって排気通路22が閉鎖された場合に実施するので、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧ΔPがU字管ヘッド差ΔHよりも大きくなり易い状況を未然に防止可能となる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記実施例では、制動力保持部54が吸気スロットル18の開度を目標開度まで閉じた状態に固定しているが、この開度は、回転速度Neが低い場合には吸気通路8を閉じる方向には調整せず、回転速度Neが高くなるに連れて吸気通路8を閉じる方向に調整しても良い。
具体的には、図5に示されるように、回転速度Neが低い場合には図中の一点鎖線と同様に、吸気スロットルを全開状態にしてエキブレを全閉状態にするが、回転速度Neの上昇に連れてエキブレ28を全閉状態のまま吸気スロットル18を目標開度まで閉じている。
このように、回転速度Neが低い場合には吸気通路8を閉じる方向に調整せず、回転速度Neが高くなるに連れて吸気通路8を閉じる方向に調整するので、回転速度Neの低い領域ではエキブレ28によって生じた制動力が図中の破線に比してより一層高い値にて保持可能となるし、図中に一点鎖線で示されたエキブレ本来の能力を長く保持可能となる。しかも、上記図4の実線に比しても高い値にて保持可能となる。また、回転速度Neが高くなるに連れて吸気通路8を閉じる方向に調整することから、従来のような回転速度Neの低めの制限値が不要になる。
更に、図中に二点鎖線で示されるように、図中に一点鎖線で示されたエキブレ本来の能力と上記図4の実線とを滑らかに接続すべく所定の回転速度Aを境にして、回転速度Neの低い領域から高い領域に向けて吸気絞りの開度を全開状態から目標開度に向けて滑らかに閉じ制御すれば、トルクショックの低減に寄与する。
次に、上記実施例では、回転速度Neの大きさに基づいて吸気スロットル18による吸気通路8の閉じ制御を実施しているが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。
例えば、本発明者は、ブリーザ内圧とケース内圧との差圧が−0.7kPaよりもプラス側の値ならばU字管内に貯留されたオイルが吸気通路に噴き出さないことを得ている。そこで、吸気圧センサ16の検出値から当該差圧を導出できる場合には、この吸気通路8内の圧力の大きさに基づいて吸気スロットル18による吸気通路8の閉じ制御を実施しても良い。
より詳しくは、図6に示されるように、ステップS601では、エキブレスイッチ38がオン状態にされたか否かを判別し、次に、ステップS602にて吸気圧センサ16の信号から吸気負圧Pを読み込む。
続いて、ステップS603では、この吸気負圧Pが所定値βよりも低いか否かを判別し、吸気負圧Pが、分離されたU字管34内のオイルを吸気通路8に向けて移動させ得る上記差圧に相当する所定値βを超えている場合、すなわち、YESと判定されたときにはステップS604に進む。そして、ステップS604ではエキブレ28が作動しているか否かを判別し、ステップS605では、制動力保持部54が吸気スロットル18に対して吸気通路8を全開状態から目標開度にする信号を送り、吸気通路8の閉じ制御を実施する。
このように、吸気スロットル18による吸気通路8の閉じ制御は、分離されたオイルが吸気通路8に向けて移動する可能性があり、且つ、エキブレ28によって排気通路22が閉鎖された場合に実施するので、この場合にも、ケース内圧とブリーザ内圧との差圧ΔPがU字管ヘッド差ΔHよりも大きくなり易い状況を未然に防止可能となる。
本発明の一実施形態に係る排気ブレーキ装置が適用されるエンジンの構成図である。 図1の装置による制動力保持の制御フローチャートである。 (a)は従来の装置による変動圧力の説明図であり、(b)は図1の装置による変動圧力の説明図である。 図1の装置による制動力保持の効果を示す図である。 他の実施例の装置による制動力保持の効果を示す図である。 更に他の実施例の装置による制動力保持の制御フローチャートである。
符号の説明
1 エンジン
4 気筒
8 吸気通路
18 吸気スロットル(吸気絞り)
22 排気通路
28 エキブレ(排気ブレーキ)
30 ブリーザ
50 ECU(電子コントロールユニット)
54 制動力保持部(制御手段)

Claims (4)

  1. エンジンの気筒に連通する吸気通路及び排気通路と、
    該排気通路に配設され、該排気通路の閉鎖により制動力を生じさせる排気ブレーキと、
    前記吸気通路に配設され、該吸気通路の閉鎖により前記気筒に向かう吸気を遮断する吸気絞りと、
    前記気筒で発生したブローバイガスからオイルを分離し、前記ブローバイガスを前記吸気絞りよりも上流の前記吸気通路に返戻させるブリーザと、
    前記排気ブレーキによって前記排気通路が閉鎖された場合に、前記吸気絞りに前記吸気通路の閉じ制御を実施させる制御手段と
    を具備することを特徴とする排気ブレーキ装置。
  2. 前記制御手段は、前記エンジンの回転速度が高い領域にて、前記吸気絞りによる前記吸気通路の閉じ制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の排気ブレーキ装置。
  3. 前記制御手段は、前記吸気絞りの開度を、前記エンジンの回転速度が低い場合には前記吸気通路を閉じる方向には調整せず、前記エンジンの回転速度が高くなるに連れて前記吸気通路を閉じる方向に調整することを特徴とする請求項1に記載の排気ブレーキ装置。
  4. 前記制御手段は、前記吸気通路内の圧力が前記分離されたオイルを前記吸気通路に向けて移動させ得る所定値に達した場合には、前記吸気絞りによる前記吸気通路の閉じ制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の排気ブレーキ装置。
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