JP2008038371A - 斜面安定化構造、斜面安定化工法及び斜面緑化工法 - Google Patents

斜面安定化構造、斜面安定化工法及び斜面緑化工法 Download PDF

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Abstract

【課題】施工が簡易でありながら、斜面を安定化する力が強く、しかも周辺環境との違和感が生じ難く、緑化を図るに植生基盤材を厚く被覆する必要がなく、崩落防止効果が施工斜面全面にわたって発揮される、斜面安定化構造とする。
【解決手段】斜面(G)に面して可撓性を有する網状部材11が配され、この網状部材11の複数の穴部11aに、斜面(G)に挿入された棒材2がそれぞれ挿通され、この棒材2に対して、裏面6aに滑り止め部(6A)が設けられた押し込み部材6が、網状部材11と突き当たり、かつ、斜面(G)側へ移動することができるように、取り付けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、斜面安定化構造、斜面安定化工法及び斜面緑化工法に関するものである。
斜面を安定化する工法としては、例えば、ブロック工法、フリーフレーム工法、ノンフレーム工法などがある。ブロック工法及びフリーフレーム工法は、斜面上に、コンクリートやモルタル等からなるブロックを配して、あるいはコンクリートやモルタル等を吹き付けて、格子枠を形成する工法であり、必要に応じて、各交点がアンカーやロックボルト等の棒材で補強される。これらの工法においては、格子枠内を植生基盤材で覆い、斜面の緑化を図ることもある。一方、ノンフレーム工法は、頭部に支圧板が取り付けられたアンカーやロックボルト等の棒材を適宜の間隔をおいて斜面に挿入するとともに、隣接する棒材頭部同士を直径8mm程度のワイヤーやロープ等の線状連結材で連結する工法である(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。この工法においても、斜面を植生基盤材で覆い、斜面の緑化を図ることがある。
ブロック工法及びフリーフレーム工法は、斜面を安定化する力が強く、多くの実績を有しているが、施工が複雑であるため工期が長くなる、格子枠の存在により周辺環境との違和感が生じ易い、緑化を図るには格子枠を隠すために植生基盤材を厚く被覆しなければならない、等の問題点をかかえている。一方、ノンフレーム工法は、施工が簡易であるため工期が短くなる、周辺環境との違和感が生じにくい、緑化を図るのに植生基盤材を厚く被覆する必要がない、等の利点を有するが、斜面を安定化する力が弱く、また、この安定化力を補強するために用いられる線状連結材も、斜面が複雑・多様に変化するため、その効果が確実ではないという問題点を抱えている。さらに、ブロック工法、フリーフレーム工法及びノンフレーム工法のいずれにおいても、格子枠内における、あるいは支圧板配置箇所以外の部位における、斜面の崩落防止効果が弱いとの問題を有している。
特許第3033678号公報 特開平11−222867号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、施工が簡易でありながら、斜面を安定化する力が強く、しかも周辺環境との違和感が生じ難く、緑化を図るに植生基盤材を厚く被覆する必要がなく、崩落防止効果が施工斜面全面にわたって発揮される、斜面安定化構造、斜面安定化工法及び斜面緑化工法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
斜面に面して可撓性を有する網状部材が配され、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通され、この棒材に対して、裏面に滑り止め部が設けられた押し込み部材が、前記網状部材と突き当たり、かつ、斜面側へ移動することができるように、取り付けられている、ことを特徴とする斜面安定化構造。
〔請求項2記載の発明〕
前記滑り止め部は、前記押し込み部材の裏面から突出する複数の凸部で構成されており、この凸部は、いずれも角部を有しない、請求項1記載の斜面安定化構造。
〔請求項3記載の発明〕
前記押し込み部材及び前記網状部材の斜面側には、前記棒材に取り付けられた受け部材が設けられており、この受け部材の表面は、前記押し込み部材裏面の凸部と係合する形状とされている、請求項2記載の斜面安定化構造。
〔請求項4記載の発明〕
前記受け部材の前記斜面と当接する側の面には、複数の凸部が設けられている、請求項3記載の斜面安定化構造。
〔請求項5記載の発明〕
前記滑り止め部は、摩擦増加部材で構成されており、この摩擦増加部材は、前記棒材を中心に同心円状となる部位に少なくとも設けられている、請求項1記載の斜面安定化構造。
〔請求項6記載の発明〕
前記網状部材の前記斜面と当接する側の面及び表面の少なくとも一方には、突起が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の斜面安定化構造。
〔請求項7記載の発明〕
斜面に面して可撓性を有する網状部材が配され、かつ、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に接着剤を介在させる滑り止め加工を施したうえで、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込む、ことを特徴とする斜面安定化工法。
〔請求項8記載の発明〕
斜面に面して可撓性を有する網状部材及び所定幅の平板状部材が配され、かつ、この平板状部材の長手方向に関して異なる少なくとも2箇所以上の部位であって前記網状部材の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に滑り止め加工が施された状態で、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材及び前記平板状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込む、ことを特徴とする斜面安定化工法。
〔請求項9記載の発明〕
前記棒材挿通部位の固定又は押し込みを行った後、前記網状部材表面上をモルタル又はコンクリートで被覆する、請求項7又は請求項8記載の斜面安定化工法。
〔請求項10記載の発明〕
可撓性を有し、かつ表面に突起が設けられた網状部材が斜面に面して配され、かつ、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に滑り止め加工が施された状態で、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込んだ後、前記網状部材表面上を植生基盤材で被覆する、ことを特徴とする斜面緑化工法。
本発明によると、施工が簡易でありながら斜面を安定化する力が強く、しかも周辺環境との違和感が生じ難く、緑化を図るに植生基盤材を厚く被覆する必要がなく、崩落防止効果が施工斜面全面にわたって発揮される、斜面安定化構造、斜面安定化工法及び斜面緑化工法となる。また、本発明は、急傾斜地では地震時の水平力にも効果があり、例えば、斜面の崩れ落ちなどが防止される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に本実施の形態に係る斜面安定化構造1の平面図を、図2に同構造1を構築する工法のフロー図を示した。
本実施の形態に係る斜面安定化構造1を構築するにあたっては、適宜、斜面を構成する地盤Gの清掃や施工機械・足場の設置、位置出しなどを行った後、図2の(1)に示すように、アンカーやロックボルト等の棒材2を、打設するなどして、地盤Gに挿入する。この際、棒材2の緊張力を増すためには、掘削などによって形成された棒材2の周りの孔にグラウトなどの固化剤2Cを打設しておくのが好ましいが、この打設は、地盤G表面まで行わない方が良い。固化剤2Cを地盤G表面まで打設すると、後述する押し込み部材6,6…の地盤G中への押し込みに際して、障害となるおそれがある。
棒材2,2…は、例えば、図3の(a)に示すように、ノンフレーム工法で採用されているような、三角形網目の交点に位置するように挿入することや、図3の(b)に示すように、千鳥状に挿入することなどができる。本実施の形態では、図1に示すように、後の工程で地盤Gの表面(斜面)に面して格子状に配される平板状部材5,5…の各交点に位置するように挿入する。この形態によると、最終的に構築される斜面安定化構造1は、斜面に対して、ブロック工法と同様の圧力を与えるものとなるため、ブロック工法で培われてきた経験を生かすことができる。なお、後述するように、棒材2,2…は、網状部材11の穴部11a,11a…にも挿通されるものであるが、この挿通は、穴部11a,11a…の位置を若干調節しながら網状部材11を配するのみで対応することができる。
地盤Gに棒材2,2…を挿入したら、図2の(2)に示すように、固化剤2C上側の空隙部に、発泡ウレタン等の弾塑性部材3,3…を充填、設置するなどし、この弾塑性部材3,3…上側に、図2の(3)に示すように、受け部材4,4…を載置する。受け部材4,4…は、例えば、皿状とされ、中心部に棒材2の貫通孔が形成されており、この貫通孔に棒材2が通された状態で、弾塑性部材3,3…上側に載置される。受け部材4,4…と固化剤2Cとの間に介在される弾塑性部材3,3…は、受け部材4,4…の動きが固化剤2Cに伝わるのを緩衝する役割を果たす。本形態では採用していないが、受け部材4,4…の斜面と当接する側の面に、複数の凸部が設けられていても好ましいものとなる。この形態によると、受け部材4,4…の斜面に対する固定力が増す。
受け部材4,4…を載置したら、必要に応じて平板状部材5,5…や網状部材11が配される場所に存在する不陸や突起物などを除去し、図2の(4)に示すように、斜面(地盤Gの表面)に面して可撓性を有する網状部材11(図1では一部のみを示し、残りは省略している)を、又はこれとともに所定幅の平板状部材5,5…を、配する。網状部材11を配することによって、斜面の崩落防止効果が施工斜面全面にわたって発揮される。また、平板状部材5,5…を配することによって、斜面を安定化する力がより強くなる。さらに、両者5,11…とも、コンクリートやモルタル等からなるブロックや格子枠と比較して薄いため、周辺環境との違和感が生じ難く、緑化を図るに植生基盤材を厚く被覆する必要がない。
網状部材11及び平板状部材5,5…の両方を配する場合、その上下関係は特に限定されないが、一般には、図1に示すように、平板状部材5,5…が斜面側(下側)となるように配する方が好ましい。通常、平板状部材5,5…よりも網状部材11の方が、強度が弱くなるため、地盤Gと平板状部材5,5…とに挟まれて網状部材11が磨耗するのを防止する趣旨である。ただし、網状部材11に十分な強度がある場合は、網状部材5,5…が斜面側(下側)となるように配する方が好ましい。網状部材11が平板状部材5,5…によって、地盤Gに対して、例えば、格子状に押さえ付けられ、網状部材11のずれが防止されるためである。
ここで網状部材11は、穴部11a,11a…に棒材2,2…が挿通されるように位置調節しながら、地盤Gの施工斜面全面を覆うように配する。この際、1枚の網状部材11によって全面を覆うようにしてもよいが、2枚、3枚、4枚又はそれ以上の複数枚の網状部材11によって全面を覆うようにすることもできる。ただし、1枚の網状部材11の大きさ(広さ)は、取扱容易性及び強度の観点からは、1〜5×10〜100mとするのが好ましく、1〜5×10〜50mとするのがより好ましい。
一方、平板状部材5,5…を配する形態としては、種々の形態が考えられるが、長手方向に関して異なる少なくとも2箇所以上の部位に、本実施の形態では、図1に示すように、横方向に配する平板状部材5,5…に関しては、5箇所の部位に、縦方向に配する平板状部材5,5…に関しては、3箇所の部位に、先に地盤Gに挿入した棒材2,2…が挿通された状態となるようにする。
網状部材11の端部や平板状部材5,5…の両端部5A,5A…は、そのままの状態(つまり、何ら処理を施さない。)とすることや、グランドアンカーなどで固定した状態とすることや、地盤Gに挿入した棒材2,2…が挿通された状態とし、あるいはこの状態に加えて更に後述する押し込み部材6,6…で押さえ込んだ状態とすることなどができるが、本実施の形態では、安定化の対象となる地盤Gの両側端部及び上下端部に、それぞれコンクリートやモルタルなどからなるフレーム9A又は9B…を設け、このフレーム9A又は9B…に、例えば、留め具8,8…などによって固定している。これによって、斜面を安定化する力が、いっそう増すことになる。
網状部材11や平板状部材5,5…は、地盤Gの表面(斜面)を押さえ込むためのものであり、斜面の形状変化に沿わせることができるものであればよく、可撓性を有する部材を広く使用することができる。具体的には、例えば、網状部材11であれば、円柱状の炭素繊維補強コンクリート(CFRC)や、高張力ポリエステル、高密度ポリエステル、アラミド繊維、プラスチック繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、PC鋼線などを網状に組んだものを、平板状部材5,5…であれば、円柱状の炭素繊維補強コンクリート(CFRC)を複数本、例えば4〜6本、並列に設けて帯状としたものや、複数本、例えば3〜5本の円柱状の鋼材をゴム材で覆ったものなどを使用することができる。
ただし、本発明においては、炭素連続繊維補強プラスチック(CFRP)や、ガラス連続繊維補強プラスチック(GFRP)、アラミド連続繊維補強プラスチック(AFRP)等の連続繊維補強プラスチック(FRP)を使用するのが好ましい。連続繊維補強プラスチックは、斜面を押さえ込むのに適した可撓性を有することに加え、耐久性、耐磨耗性、耐水性にも優れるからである。
また、例えば、図1中に拡大して示すように、平板状部材5,5…には、1つ又は2つ、3つ、4つ若しくはそれ以上の複数の開口12,12…を形成しておくことができる。この開口12,12…が形成された平板状部材5,5…によると、開口部12,12…において、斜面が露出することになるため、周辺環境との違和感が生じ難くなる。特に、緑化を図る場合においては、平板状部材5,5…が存在する部位においても、緑化が図られることになるため、好ましいものとなる。
平板状部材5,5…は、断面矩形とされ、その幅M(図1参照)が、5〜50cmとされているのが好ましく、15〜30cmとされているのがより好ましい。平板状部材5,5…の幅Mが、5cm以上であれば、棒材頭部2A,2A…間距離L(図1参照)を長くすることができ、材料費の削減に資する。一方、平板状部材5,5…の幅Mが、50cmあれば、施工斜面の広狭、性質などにかかわらず、確実に斜面を安定化することができるが、この効果は、50cmを超えてもあまり変わらない。したがって、材料費の削減という観点からは、50cm以下とするのが好ましい。また、上下左右に隣接する棒材頭部2A,2A…間の距離Lが80〜500cmとされている場合は、平板状部材5,5…の幅Mが、5〜50cmとされていると、極めて強度に斜面が安定化される。この効果は、上下左右に隣接する棒材頭部2A,2A…間の距離Lが150〜300cmとされ、かつ平板状部材5,5…の幅Mが、15〜30cmとされていると、よりいっそう増す。これらの効果は、ブロック工法やフリーフレーム工法で培われてきた経験をもとに、本発明者らが研究を重ねた結果、知見されたものである。
網状部材11は、その厚さが、例えば、通常、0.5〜50.0mm、好ましくは1.0〜10.0mmである。一方、平板状部材5,5…は、その厚さが、例えば、通常、1〜50mm、好ましくは3〜30mmである。網状部材11や平板状部材5,5…の厚さを薄くすれば、斜面を緑化するに際して、植生基盤材の被覆厚を数cm〜10cm程度とすることができ、材料費の削減に資する。なお、ブロック工法やフリーフレーム工法によると、植生基盤材の被覆厚は、おおよそ30cm以上となる。
また、網状部材11の穴部11a,11a…の大きさは、特に限定されるものではないが、各穴部11aの大きさが、通常、1〜2500cm2、好ましくは1〜100cm2である。
網状部材11及び平板状部材5,5…を配したら、図2の(5)に示すように、棒材頭部2A,2A…に押し込み部材6,6…を取り付け、この押し込み部材6,6…を、図2の(6)に示すように、棒材引張り部2B,2B…側へ(X方向へ)移動させる。これにより、網状部材11及び平板状部材5,5…の棒材挿通部位が、斜面と押し込み部材6,6…とで挟まれ固定されて、斜面が押さえ込まれる。ただし、かかるX方向への移動は、網状部材11及び平板状部材5,5…が、棒材引張り部2B,2B…側へ(X方向へ)押し込まれるまで行うのが好ましい。この形態によると、斜面に面する網状部材11及び平板状部材5,5…は、棒材2,2…方向へ(Y方向へ)引っ張られることになり、斜面に対してより大きな押さえ込み力Zが作用することになる。なお、図2の(6)では、作用する力の方向表示(X,Y,Z)を見やすくするために、固化剤2C及び弾塑性部材3の記載を省略している。
本工程における押し込み力は、例えば、前述した固化剤2C上側空隙部の周辺を削っておく(空隙部を中心として穴を掘る)ことによって、強くすることができる。また、押し込み部材6,6…は、例えば、超高強度鋼繊維補強モルタル等のセメントコンクリートや、鋼、球状黒鉛鋳鉄等の金属で形成することができる。
押し込み部材6,6…の棒材引張り部2B,2B…側への移動及びこれに伴う網状部材11及び平板状部材5,5…による斜面の押さえ込みは、斜面安定化構造1を構築するにあたってだけではなく、構築後定期的に、あるいは構築後斜面の浸食・変動等が生じた際にも行うことができる。そして、その際などに、網状部材11や平板状部材5,5…の破損等が発見されたら、網状部材11や平板状部材5,5…の取り替え作業も行っておくと良い。
ところで、本実施の形態においては、押し込み部材6,6…が、網状部材11に突き当たって、網状部材11を固定し、あるいは押し込む形態になっているが、これのみによると、棒材2,2…が挿通された穴部11a,11a…が磨耗などによって裂け、網状部材11がずれてしまうおそれがある。そこで、押し込み部材6,6…の裏面に滑り止め部を設け、あるいは押し込み部材6と網状部材11との間に滑り止め加工を施すのが好ましい。
滑り止め部は、その具体的な形態が特に限定されないが、例えば、図4に示すように、押し込み部材6の裏面6aから突出する複数の凸部6A,6A…で滑り止め部が構成されており、この凸部6A,6A…がいずれも角部を有しない形態とするのが好ましい。この形態によると、凸部6A,6A…においても網状部材11が固定されることになるため、棒材2,2…が挿通された穴部11a,11a…にかかる力が緩衝され、磨耗などによって裂けてしまうおそれが減少する。また、凸部6A,6A…が、いずれも角部(とがった部分)を有しなければ、角部と擦れて網状部材11が切れてしまうというおそれもない。
この際、押し込み部材6,6…及び網状部材11の斜面側において、棒材2,2…に取り付けられた受け部材4,4…が、その表面を、押し込み部材裏面6aの凸部6A,6A…と係合する形状とされているのも好ましい形態である。この係合形状は、特に限定されず、例えば、凸部6A,6A…が嵌入する凹部を受け部材4,4…の表面に設けた形態などを例示することができる。また、この係合形状としては、例えば、図4中に点線で示すような、受け部材4の表面4aに、この表面4aから突出する凸部4A,4A…を設けておき、押し込み部材6の凸部6A,6A…と受け部材4の凸部4A,4A…とが係わりあって係合される形態も例示することができる。この形態によると、網状部材11にかかる固定力がより分散され、網状部材11の耐久性が増す。
もちろん、押し込み部材6及び受け部材4は、ボルト等によって1又は複数箇所締結することや、斜面まで突き抜けるアンカー等によって1又は複数箇所固定することなどもできる。
押し込み部材6,6…の滑り止め部は、以上の凸部6A,6A…に替えて、またはこれとともに、ゴム等の摩擦増加部材で構成されているのも好ましい形態である。ただし、この場合は、図5に示すように、この摩擦増加部材6Bが、押し込み部材裏面6aの棒材挿通部6bを中心に同心円状となる部位に少なくとも設けられているのが好ましい。この形態によると、押し込み部材6,6…を棒材引張り部2B,2B…側へ(X方向へ)移動させて、網状部材11を棒材2,2…方向へ(Y方向へ)引っ張るについて、網状部材11に均等な引張力が働くようになる。
さらに、押し込み部材6と網状部材11との間に滑り止め加工を施す形態としては、例えば、押し込み部材裏面6aに、エポキシ樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ウレタン樹脂系等の接着剤を塗布する形態を例示することができる。
一方、平板状部材5,5…は、押し込み部材6,6…の移動や、地盤Gの変動などによって動きが生じるものであるため、本実施の形態においては、図1中に拡大して示すように、平板状部材5,5…の棒材挿通孔5a,5a…を、対応する平板状部材5の長手方向に沿う方向が長い楕円形状としている。これにより、平板状部材5の「ある棒材2」と「この棒材2に隣接する棒材2」との間の部位にかかる緊張力と、「その隣接棒材2」と「この隣接棒材2に更に隣接する棒材2」との間の部位にかかる緊張力と、に差異が生じた場合にも、平板状部材5,5…は、確実に斜面に沿うことになる。また、楕円形状とすることにより、平板状部材5,5…の動きによって棒材挿通孔5a,5a…が破損するのを防止するという効果も期待することができる。
押し込み部材6,6…を棒材引張り部2B,2B…側へ(X方向へ)移動させる方法は、特に限定されない。本実施の形態では、押し込み部材6,6…を、中央部に棒材2,2…の挿通孔6b,6b…が形成された皿状のものとし、かかる挿通孔6b,6b…に棒材2,2…を挿通して押し込み部材6,6…を棒材2,2…に取り付けた後、この棒材2,2…に、押し込み部材6,6…の上方から、ナット等の締結部材7,7…を嵌め込み、締めて固定する形態とした。この形態によれば、締結部材7,7…を更に締めることにより、押し込み部材6,6…が棒材引張り部2B,2B…側へ(X方向へ)移動する。
ところで、本発明に係る斜面安定化構造1によると、網状部材11や平板状部材5,5…は、押し込み部材6,6…や、地盤Gの表面(斜面)とすれることになる。そこで、これらの間には、ゴムや、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、テフロン(登録商標)樹脂等からなる摩擦緩衝材を介在させるとよい。本実施の形態においては、平板状部材5,5…と斜面との間に、摩擦緩衝材たる受け部材4,4…を介在させている。また、介在させる摩擦緩衝材は、網状部材11や平板状部材5,5…と、別体である必要はなく、例えば、網状部材11や平板状部材5,5…の両表面を摩擦緩衝材で覆ったサンドイッチ構造とすることもできる。さらに、網状部材11は、斜面(地盤Gの表面)と当接する側の面に、突起を設けることもできる。この形態によると、網状部材11が斜面上を移動しづらくなるため、斜面と擦れ、磨耗するのが低減される。この突起をどこに設けるかは特に限定されないが、強度の点からは、網状部材11を構成する各線材11A,11A…が交差する交点11b(図1参照)に設けるのが好ましい。この突起は、網状部材11の斜面と当接する側の面のほか、表面にも設けることができる。突起を網状部材11の表面に設けておけば、網状部材11表面上を、例えば、植生基盤材やモルタル、コンクリートで被覆して際の安定性が向上し、また、植生基盤材やモルタル、コンクリートなどの付着力が増加する。
以上の作業が終了したら、例えば、平板状部材5,5…で囲まれる部位10,10…の網状部材11上を、植生基盤材で被覆し、斜面の緑化を図ることができる。ここで、緑化を図るのであれば、網状部材11として表面に突起が設けられたものを用いるが好ましい。植生基盤材の崩落を防止する趣旨である。
本実施の形態に係る斜面安定化構造の平面図である。 本実施の形態に係る斜面安定化工法の施工フロー図である。 棒材の配置例である。 押し込み部材及び受け部材の形態例である。 押し込み部材の形態例である。
符号の説明
1…斜面安定化構造、2…棒材、4…受け部材、5…平板状部材、6…押し込み部材、11…網状部材、G…地盤。

Claims (10)

  1. 斜面に面して可撓性を有する網状部材が配され、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通され、この棒材に対して、裏面に滑り止め部が設けられた押し込み部材が、前記網状部材と突き当たり、かつ、斜面側へ移動することができるように、取り付けられている、ことを特徴とする斜面安定化構造。
  2. 前記滑り止め部は、前記押し込み部材の裏面から突出する複数の凸部で構成されており、この凸部は、いずれも角部を有しない、請求項1記載の斜面安定化構造。
  3. 前記押し込み部材及び前記網状部材の斜面側には、前記棒材に取り付けられた受け部材が設けられており、この受け部材の表面は、前記押し込み部材裏面の凸部と係合する形状とされている、請求項2記載の斜面安定化構造。
  4. 前記受け部材の前記斜面と当接する側の面には、複数の凸部が設けられている、請求項3記載の斜面安定化構造。
  5. 前記滑り止め部は、摩擦増加部材で構成されており、この摩擦増加部材は、前記棒材を中心に同心円状となる部位に少なくとも設けられている、請求項1記載の斜面安定化構造。
  6. 前記網状部材の前記斜面と当接する側の面及び表面の少なくとも一方には、突起が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の斜面安定化構造。
  7. 斜面に面して可撓性を有する網状部材が配され、かつ、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に接着剤を介在させる滑り止め加工を施したうえで、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込む、ことを特徴とする斜面安定化工法。
  8. 斜面に面して可撓性を有する網状部材及び所定幅の平板状部材が配され、かつ、この平板状部材の長手方向に関して異なる少なくとも2箇所以上の部位であって前記網状部材の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に滑り止め加工が施された状態で、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材及び前記平板状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込む、ことを特徴とする斜面安定化工法。
  9. 前記棒材挿通部位の固定又は押し込みを行った後、前記網状部材表面上をモルタル又はコンクリートで被覆する、請求項7又は請求項8記載の斜面安定化工法。
  10. 可撓性を有し、かつ表面に突起が設けられた網状部材が斜面に面して配され、かつ、この網状部材の複数の穴部に、前記斜面に挿入された棒材がそれぞれ挿通された状態とし、この棒材頭部に取り付けた押し込み部材を、この押し込み部材と前記網状部材との間に滑り止め加工が施された状態で、前記棒材引張部側へ移動させて、前記網状部材の棒材挿通部位を、前記斜面と前記押し込み部材とで挟んで、少なくとも固定し、又は前記棒材引張部側に押し込んだ後、前記網状部材表面上を植生基盤材で被覆する、ことを特徴とする斜面緑化工法。
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