以下に、本発明の空気清浄機の一実施形態について図面を参照しながら詳述する。ここでの空気清浄機は、加湿機能付きの空気清浄機であり、更にイオン放出機能も併せ持つものを例に挙げて説明する。図1は本発明の一実施形態である空気清浄機の外観を示す正面視での斜視図である。図2、図3はその空気清浄機の内部構造を示す側面視での断面図であって、図2は可動板が第2の通気路を閉ざした状態を示し、図3は可動板が第2の通気路を開いた状態を示している。
本実施形態での空気清浄機1は、運転時には室内の適所で床上に置かれたり壁に掛けられたりするものであり、大きくは、本体2と、前パネル3とより外殻が構成される。本体2は、全体として概ね扁平な箱を垂直に立てたような外形であって、その正面には、直方体状に大きく凹んだエアフィルタ収納部が形成されている。このエアフィルタ収納部には、その正面側の開口より順に、エアフィルタとして脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5が重ね合わされた状態で収納される。
脱臭フィルタ4は、長方形の枠にポリエステル製の不織布を取り付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上から更にポリエステル製の不織布をかぶせたものである。脱臭フィルタ4は空気中の臭い成分であるアセトアルデヒドやアンモニアや酢酸等を吸着する役割を担う。一方、集塵フィルタ5は、いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタであって、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳んだ上、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着したものである。集塵フィルタ5は微細な塵埃を捕集する役割を担う。
エアフィルタ収納部に収納された脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5は、エアフィルタ収納部の開口に装着されたフィルタ押さえ枠6によって、エアフィルタ収納部からの脱落が防止される。フィルタ押さえ枠6は、概ね矩形の形状をしており、マトリクス状に多数の通気口が形成されている。
脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5が収納されてフィルタ押さえ枠6が装着された本体2の正面に対し、前パネル3が、所定の隙間をあけて取り付けられ、脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5を含めてフィルタ押さえ枠6を完全に覆い隠す。ここでの前パネル3は、本体2へ向けて折れ曲がった上部からのフック(不図示)を本体2の上部に引掛けられて支持されるとともに、左右両側の下部を係止部7によって固定される。前パネル3の裏面と本体2の正面との隙間は、その左右と下が外部に開放しており、ここから外部の空気が導入される。
本体2には、エアフィルタ収納部の奥に、隔壁21を挟んで、送風機8が配置される。ここでの送風機8は、ファンモータ9とファン10から成り、その正面側をその隔壁21によって隔離され、その下側を隔壁22によって隔離され、その背面側を隔壁23によって隔離されている。このうち正面側の隔壁21にファンモータ9が固定され、背面側の隔壁23には、送風機8に通じる多数の通気孔が形成されている。ファン10としては、ターボファンを採用しているが、ファンの種類はこれに限定されない。プロペラファンを採用することも、クロスフローファンを採用することも可能である。ターボファンの場合、ファン径に比較して厚さを大きくとり、騒音レベルを下げる工夫がなされている。ファンモータ9としては、制御の容易性を重視して直流モータを採用することが好ましい。
また、本体2には、送風機8の上方に相当する上部に、上向きに開口する第1の吹出し口11と、前方上向きに開口する第2の吹出し口12と、が形成され、電源のオン/オフや運転設定を行うための操作ボタン、及び運転状態を表示する表示ランプ等より成る操作・表示部13が設けられている。
送風機8の駆動すなわちファンモータ9によるファン10の回転に従い、前パネル3と本体2との隙間から外部の空気である室内の空気が導入される。導入された空気は、フィルタ押さえ枠6の通気口を通じてエアフィルタに達し、脱臭フィルタ4及び集塵フィルタ5によって臭いや塵埃のない空気に浄化される。浄化された空気は、エアフィルタ収納部の奥の隔壁21の下部に形成された開口24を経て本体2の背面壁25に達し、隔壁23と背面壁25との間を上昇した後、隔壁23の通気孔からファン10の中心に吸い込まれる。ファン10の中心に吸い込まれた空気は、ファンブレード同士の間を通りファン10の外周から吐出され、上方に導かれて第1の吹出し口11、第2の吹出し口12より外部である室内へ吹き出される。このような空気の流れが通気路に対応する。
ここで、本実施形態では、エアフィルタ収納部の奥の隔壁21に形成された開口24から隔壁22に沿って奥に延びる通気路が、仕切り壁27によって上下に仕切られ、下から順に第1の通気路31、第2の通気路32となっている。つまり、エアフィルタから送風機8までの通気路が、第1の通気路31と第2の通気路32に一旦分岐した後互いに合流している。
第1の通気路31には、その断面領域のほぼ全域を遮るように加湿フィルタ14が配されている。具体的には、本体2の下部には、一方の側部から着脱可能なトレイ15が収納され、このトレイ15内に一定の水位に水が貯められる。加湿フィルタ14は、ジグザグに折り畳まれた吸水材から成り、トレイ15内に差し込まれて下部が水に浸され、その水を吸い上げて水分を含んだ状態になる。トレイ15には、水を貯留した給水タンク16が連結され、その給水タンク16から水が適時供給される。給水タンク16は、トレイ15の着脱がなされる側の本体2の側部に着脱可能に収納されている。
一方、第2の通気路32には、この第2の通気路32を開閉する可動板35が設けられている。本実施形態では、可動板35は、第2の通気路32のやや上方に配置された左右方向に沿った支軸36に支持され、その支軸36を中心として円弧状に湾曲した湾曲板であって、支軸36を支点に回動するようになっている。可動板35の回動の駆動は、ステッピングモータ等のデジタル制御モータによってなされる。従って、可動板35の回動位置は常時認識される。
可動板35は回動の限界位置が規定されており、図2に示すように、可動板35の奥側の縁から外方に突出する突起37が仕切り壁27の奥側の端面に当接することで、可動板35の最も手前に回動した姿勢が規定され、この姿勢のとき、可動板35が第2の通気路32を閉ざす。この状態で、送風機8が駆動されると、エアフィルタを通じて浄化された空気は、第2の通気路32が可動板35によって閉ざされているため、第1の通気路31に流入し、加湿フィルタ14に至る。その空気は、加湿フィルタ14を通じる際に加湿フィルタ14から水分を取り込んで加湿され、その後、隔壁23と背面壁25との間を上昇し、最終的に第1の吹出し口11、第2の吹出し口12より外部へ吹き出される。そうすると、このときには、空気の浄化は勿論のこと、効率よく加湿も行われる。
これとは逆に、図3に示すように、可動板35の突起37が背面壁25から突出する突片26に当接することで、可動板35の最も奥に回動した姿勢が規定され、この姿勢のとき、可動板35が第2の通気路32を開くとともに第1の通気路31からの合流口を閉ざす。この状態で、送風機8が駆動されると、エアフィルタを通じて浄化された空気は、第1の通気路31の合流口が可動板35によって閉ざされているため、第1の通気路31には結局は流入せず、他方第2の通気路32が開かれているため、第2の通気路32に流入する。その空気は、可動板35に沿って案内され、その後、隔壁23と背面壁25との間を上昇し、最終的に第1の吹出し口11、第2の吹出し口12より外部へ吹き出される。そうすると、このときには、加湿はほとんど行われず、空気の浄化が主体的に行われる。
従って、本実施形態の空気清浄機1においては、第2の通気路32に対し必要に応じて可動板35を開閉させれば、加湿の効率を調整することができ、その結果として、空気の浄化と加湿を効率よく有効に行える。
なお、本実施形態では、第2の吹出し口12と送風機8の間に、正負のイオンを同時に又は一方を個別に発生するイオン発生器17が配設されている。イオン発生器17が駆動されると、ファン10から主として第2の吹出し口12へ向かう空気に、イオン発生器17からイオンが放出され、浄化された空気、更には加湿された空気が、イオンを含んで主に第2の吹出し口12より室内に吹き出される。
続いて、図4に、空気清浄機1の動作にまつわる主要構成をブロック図で示す。空気清浄機1の全体の動作は制御部40によって制御される。制御部40には、温度センサ41、湿度センサ42、埃センサ43、臭いセンサ44といったセンサ類が接続されている。温度センサ41は室内の空気の温度を検出する。湿度センサ42は室内の空気の湿度を検出する。一般には、温度センサ41と湿度センサ42は一体化されたセンサである。埃センサ43は発光素子と受光素子より成り、室内の空気中に浮遊する塵埃等の粒子を検出する。臭いセンサ44は金属酸化物半導体から成るセンサ表面にガスが吸着すると抵抗値が変化することを利用した半導体ガスセンサであって、室内の空気中の臭い成分を検出する。つまり、埃センサ43と臭いセンサ44は、空気の汚れ度合いを検出する汚れ検出器として機能する。温度センサ41、湿度センサ42、埃センサ43、臭いセンサ44による検出値は、制御部40に出力される。
また、制御部40には、トレイ水位検知スイッチ45、エアフィルタ取外し検知スイッチ46、トレイ・給水タンク取外し検知スイッチ47といった検知スイッチ類が接続されている。トレイ水位検知スイッチ45は、トレイ15内に貯められた水が正常な水位より下がって水不足の水位に達したことを検知する。トレイ15内の水が水不足の水位に達したということは、給水タンク16が空になって水の補給が必要になったことを想定した状況である。エアフィルタ取外し検知スイッチ46は、前パネル3が取り外され、更にはフィルタ押さえ枠6、脱臭フィルタ4及び集塵フィルタ5が取り外されたことを検知する。トレイ・給水タンク取外し検知スイッチ47は、更にトレイ15と給水タンク16が取り外されたことを検知する。
また、制御部40には、操作・表示部13を構成する各種の操作ボタン48及び各種の表示ランプ49が接続されている。操作ボタン48としては、電源をオン/オフするための電源ボタンや、空気浄化機能の運転設定を行うための空気浄化設定ボタンや、加湿機能の運転設定を行うための加湿設定ボタンや、イオンの放出をオン/オフするためのイオン放出ボタン等が含まれる。それらのうち空気浄化設定ボタンが押される度に、風量自動、風量弱、風量強といったように空気浄化の運転モードが切り替わる。特に本実施形態では、その空気浄化の運転モードの1つとして、詳細は後述する複合運転モードが含まれる。加湿設定ボタンが押される度に、加湿自動、加湿弱、加湿強、加湿切といったように加湿の運転モードが切り替わる。使用者の操作に従った操作ボタン48からの入力は、制御部40に出力される。
表示ランプ49としては、電源ボタンの操作に従った電源のオン/オフを点灯/消灯で表す電源表示ランプや、空気浄化設定ボタンの操作に従った空気浄化の運転モードを点灯で表す空気浄化運転モード表示ランプや、加湿設定ボタンの操作に従った加湿の運転モードを点灯で表す加湿運転モード表示ランプや、イオン放出ボタンの操作に従ったイオン放出のオン/オフを点灯/消灯で表すイオン放出表示ランプや、現在の湿度をレベル表示する湿度表示ランプや、給水タンク16への水の補給を点灯で促す給水表示ランプ等が含まれる。表示ランプ49は、制御部40からの指令に従って点灯/消灯する。それらのうち湿度表示ランプの表示は、湿度センサ42からの検出値に基づく。給水表示ランプの表示は、トレイ水位検知スイッチ45からの検知出力に応じてなされる。
また、制御部40には、可動板35を回動させるデジタル制御モータの回転駆動(可動板35の開閉動作)を制御する可動板モータ駆動回路50、送風機8のファンモータ9の回転駆動(送風機8の回転動作)を制御するファンモータ駆動回路51、及び、イオン発生器17の駆動を制御するイオン発生器駆動回路52が接続されている。それらの可動板モータ駆動回路50、ファンモータ駆動回路51、イオン発生器駆動回路52には、操作ボタン48からの入力操作や、各種センサ類からの検出値や、各種検知スイッチからの検知出力に基づいて制御部40から指令が送られ、可動板35、送風機8、イオン発生器17が駆動する。
ここでの制御部40による可動板35、送風機8、イオン発生器17それぞれの駆動の態様に関する一例を以下に列記する。
制御部40は、埃センサ43、臭いセンサ44の少なくとも一方からの検出値に基づいて、送風機8すなわちファンモータ9の回転数を調整する。具体的には、加湿切モードの状態であって風量自動モードで空気浄化の運転がなされているとき、埃センサ43や臭いセンサ44からの検出値に応じてファンモータ9の回転数を段階的に切り替える。例えば、検出値から空気が汚れていると判断されれば、高い回転数でファンモータ9を回転させて大風量で空気を流動させ、積極的に空気浄化機能を発揮させる。検出値から空気がきれいになったと判断されれば、騒音や消費電力を抑える観点から、ファンモータ9を低い回転数での回転に切り替えて小風量で空気を流動させ、空気浄化機能を低度で維持する。再び空気が汚れたと判断されれば、ファンモータ9を高い回転数での回転に切り替える。これが繰り返される。これにより、室内の空気をきれいに浄化することが可能になる。なおその際、可動板35は第2の通気路32を開く姿勢にされている。
制御部40は、湿度センサ42からの検出値に基づいて、第2の通気路32に対し可動板35を開閉する。具体的には、加湿自動モードで加湿の運転がなされているとき、例えば目標湿度が60%に設定されている場合、湿度センサ42からの検出値が、湿度60%以上であれば、第2の通気路32が開かれるように可動板35を回動させて加湿効率を下げ、湿度60%未満であれば、第2の通気路32が閉ざされるように可動板35を回動させて加湿効率を上げる。これにより、室内の空気を設定の目標湿度に調整することが可能になる。
更に、送風機8すなわちファンモータ9の回転数の調節も併せて行うようにしても構わない。つまり、湿度センサ42からの検出値が、設定の目標湿度以上であれば、第2の通気路32が開かれるように可動板35を回動させるとともに、ファンモータ9の回転数を低くして加湿効率を下げ、目標湿度未満であれば、第2の通気路32が閉ざされるように可動板35を回動させるとともに、ファンモータ9の回転数を高くして加湿効率を上げる。これにより、室内の空気を設定の目標湿度により一層調整することが可能になる。
このような場合において、湿度センサ42からの検出値が設定の目標湿度未満から以上に移った状況では、第2の通気路32が閉ざされた状態から開かれた状態になるように可動板35が回動して切り替えられるとともに、ファンモータ9の回転数が高い状態から低い状態に切り替えられるわけであるが、その切替えの順番は、ファンモータ9を切り替えた後に、可動板35を切り替えるようにした方がよい。可動板35を先に切り替えると、開き始めた第2の通気路32に大風量の空気が流入するため、不快な笛吹き音が発生してしまうからである。
加湿自動モードとしては、上記した運転手法の他に、可動板35が第2の通気路32を閉ざした状態のまま、常に第1の通気路31に空気を流入させ、湿度センサ42からの検出値に基づいて、ファンモータ9の回転数すなわち風量を調節することで加湿効率を調整する手法もある。
なお、加湿自動モードでの運転中、所定時間が経過しても設定の目標湿度に達しない状況のときには、ファンモータ9の回転数を1段階高めるように補正してもよい。このような状況は、空気清浄機1が仕様の畳数を超えた室内で使用されている可能性が高く、仕様の畳数に設定された回転数では加湿能力が不足していると考えられるからである。
制御部40は、操作ボタン48から第2の通気路32に対する可動板35の開閉切替えの入力操作を受けたとき、可動板35の開閉を切り替えるとともに、送風機8すなわちファンモータ9の回転数を可動板35の開閉切替え前後での風量が略等しくなるように切り替える。具体的には、例えば、加湿切モードの状態であって空気浄化の運転がなされている状態から、加湿の運転に切り替わったとき、可動板35が回動して第2の通気路32が開かれた状態から閉ざされた状態になり、これに伴って空気の流入が第2の通気路32から第1の通気路31へ切り替わるわけであるが、切替え前である第2の通気路32には空気の流通抵抗となるものが何ら存在しない一方で、切替え後である第1の通気路31には流通抵抗にもなる加湿フィルタ14が存在する。従って、切替え前後のファンモータ9の回転数が同じであれば、切替え前後で風量が実質的に異なってしまう。そこで、切替えの際は、第2の通気路32が開かれた空気浄化運転のときよりも第2の通気路32が閉ざされた加湿運転のときの方でファンモータ9の回転数が高くなるようにする。このようにすれば、切替え前後で風量がほぼ等しくなり、その結果、空気浄化能力も変わらない。なお、第2の通気路32が開かれた状態の空気浄化運転、第2の通気路32が閉ざされた状態の加湿運転ごとに、ファンモータ9の回転数と風量の相関を予備試験で得ておき、その中から、設定されるファンモータ9の回転数が選定される。
但し、空気浄化の運転から加湿強モードの加湿の運転に切り替わったときは、そもそも使用者が強力な加湿を意図していることから、その場合は、切替え前後での風量を意識せずに、ファンモータ9を大風量をもたらす高い回転数にする。
制御部40は、操作ボタン48から第2の通気路32に対する可動板35の開閉切替えの入力操作を受けたとき、可動板35の開閉を切り替えるとともに、送風機8すなわちファンモータ9の回転数を可動板35の開閉切替え前後での騒音値が略等しくなるように切り替える。具体的には、例えば、加湿切モードの状態であって空気浄化の運転がなされている状態から、加湿の運転に切り替わったとき、可動板35が回動して第2の通気路32が開かれた状態から閉ざされた状態になり、これに伴って空気の流入が第2の通気路32から第1の通気路31へ切り替わるわけであるが、切替え前である第2の通気路32には空気の流通抵抗となるものが何ら存在しない一方で、切替え後である第1の通気路31には流通抵抗にもなる加湿フィルタ14が存在する。従って、切替え前後のファンモータ9の回転数が同じであれば、切替え前後で騒音値が実質的に異なってしまう。そこで、切替えの際は、第2の通気路32が開かれた空気浄化運転のときよりも第2の通気路32が閉ざされた加湿運転のときの方でファンモータ9の回転数がわずかに高くなるように、場合によっては同じする。このようにすれば、切替え前後で騒音値がほぼ等しくなり、その結果、使用者に違和感を与えない。なお、第2の通気路32が開かれた状態の空気浄化運転、第2の通気路32が閉ざされた状態の加湿運転ごとに、ファンモータ9の回転数と騒音値の相関を予備試験で得ておき、その中から、設定されるファンモータ9の回転数が選定される。
但し、空気浄化の運転から加湿強の加湿の運転に切り替わったときは、そもそも使用者が強力な加湿を意図していることから、その場合は、切替え前後での騒音を意識せずに、ファンモータ9を大風量をもたらす高い回転数にする。
制御部40は、所定時間実行後に運転停止もしくは自動的に他の運転モードに移行する運転モード(例えば、イオン発生器17を駆動させる運転モード)の実行中に、トレイ水位検知スイッチ45から検知出力を受けたとき、その所定時間が経過するまで水の補給を表示させず、その後、表示ランプ49のうちの給水表示ランプの点灯によって給水タンク16への水の補給を促す。具体的には、操作ボタン48のうちのイオン放出ボタンがオンされると、例えば15分程度の所定時間だけイオン発生器17が駆動され、イオンが放出される。その途中で、トレイ水位検知スイッチ45から検知出力があった場合、直ちに給水表示ランプを点灯させるわけではなく、そのまま所定時間分のイオン発生器17の駆動を終えてから給水表示ランプを点灯させる。イオン放出を望む使用者の意図に沿うことになるし、トレイ水位検知スイッチ45から検知出力があったとしても、その時点では、一般に、トレイ15も含め給水タンク16にはわずかではあるが水が残っており、限定された時間内でのイオン発生器17の駆動には支障はないからである。
制御部40は、操作ボタン48から運転停止の入力操作を受けたとき、可動板35を最も手前側の姿勢に回動させて保持させる。具体的には、操作ボタン48のうちの電源ボタンがオフされると、空気浄化の運転、加湿の運転の如何にかかわらず、第2の通気路32を完全に閉ざす姿勢に可動板35を回動させ保持する。これにより、前パネル3が取り外され、更にはエアフィルタが取り外されたとしても、内部につながる第2の通気路32が可動板35で閉ざされているため、手指等の不用意な挿入を防止でき、安全になる。
それと同様の安全性の観点から、制御部40は、エアフィルタ取外し検知スイッチ46から検知出力を受けたとき、可動板35を最も手前側の姿勢に回動させて保持させるようにしてもよい。仮に、運転中に、前パネル3が取り外され、更にはエアフィルタが取り外された場合であっても、内部につながる第2の通気路32が可動板35で閉ざされるからである。なお、制御部40は、トレイ・給水タンク取外し検知スイッチ47から検知出力を受けたとき、可動板35を最も手前側の姿勢に回動させて保持させるようにしても構わない。
制御部40は、加湿の運転中に、トレイ水位検知スイッチ45から検知出力を受けたとき、表示ランプ49のうちの給水表示ランプの点灯によって給水タンク16への水の補給を促すとともに、そのまま加湿の運転を継続する。つまり、直ちに加湿の運転を停止するわけではない。これにより、第1の通気路31への空気の流入が続くため、仮に、給水タンク16へ水が補給されない場合、加湿フィルタ14が次第に水分を奪われて乾燥することから、加湿フィルタ14への水垢の付着を防止でき、衛生的である。
制御部40は、温度センサ41からの検出値に基づいて、送風機8すなわちファンモータ9の回転数を調整する。具体的には、温度センサ41からの検出値が所定の温度以下であれば、加湿自動モード、加湿弱モード、加湿強モードでそれぞれ設定されているファンモータ9の回転数を1段階ずつ高めるように補正する。空気の温度が低い場合、加湿性能自体が低下するため、補正が必要だからである。
ところで、操作ボタン48のうちの空気浄化設定ボタンが押されて複合運転モードが選定されると、制御部40は、図5に示すフローに従って空気清浄機1の制御を行う。ちなみに、複合運転モードとは、使用者がこれから部屋を出て行ってその室内から人が長時間居なくなりそうではあるが、その留守中にも室内の隅々まで空気を浄化することを望む場合に好適な運転モードである。
先ずステップS5で、風量を固定した風量固定での運転モードに移行する。具体的には、送風機8すなわちファンモータ9の回転数を、上記した風量自動モード単独での回転数よりも高い回転数に切り替えて固定し、その回転数で運転する。その固定の回転数は、例えば、ファンモータ9に予め設定されている回転数のうちの最大の回転数である。なお、複合運転モードは空気浄化の運転モードの1つである。
次に、ステップS10で、現在進行中の複合運転モードである風量固定での運転モードに対しての解除の操作があったか否かが判断される。例えば、使用者が部屋に戻って来て、操作ボタン48のうちの電源ボタンがオフされたときや、空気浄化設定ボタンが押されて複合運転モードを切り替えられたとき等は、複合運転モードが解除される。ここで、複合運転モードの解除操作がなければステップS15に進み、複合運転モードの解除操作があったときは複合運転モードを終了する。
ステップS15では、現在進行中の複合運転モードである風量固定での運転モードが開始されてから所定時間、例えば15分を経過したか否かが判断される。その時間の計測は、制御部40内のタイマで行われる。ここで、所定時間を経過していなければステップS5に戻って風量固定での運転を継続する。一方で、所定時間を経過したときはステップS20に進んでタイマをリセットした後、ステップS25に進む。
ステップS25では、複合運転モードにおける風量自動での運転モードに移行する。ここでの風量自動モードでの運転は、上記した風量自動モード単独での運転と同様に、埃センサ43や臭いセンサ44からの検出値に応じてファンモータ9の回転数が切り替えられる。
次に、ステップS30で、ステップS10での判断と同様に、現在進行中の複合運転モードである風量自動での運転モードに対しての解除の操作があったか否かが判断される。ここで、複合運転モードの解除操作がなければステップS35に進み、複合運転モードの解除操作があったときは複合運転モードを終了する。
ステップS35では、ステップS15での判断と同様に、現在進行中の複合運転モードである風量自動での運転モードが開始されてから所定時間、例えば45分を経過したか否かが判断される。ここで、所定時間を経過していなければステップS25に戻って風量自動での運転を継続する。一方で、所定時間を経過したときはステップS40に進んでタイマをリセットした後、ステップS5に戻って風量固定での運転モードに移行する。その後は上記した通りに動作する。
このように、複合運転モードでは、送風機8の回転数を調整する風量自動での運転モードと、風量自動運転モードでの回転数よりも高い固定の回転数で送風機8を回転させる風量固定での運転モードと、が交互に所定時間ごとに繰り返される。そうすると、室内に人が長時間居なくなりそうな場合に使用者が複合運転モードを選定しておけば、留守の間は、その複合運転モードのうちの実質間欠的に実行される風量固定モードでの運転により、風量自動モードでの運転による風量よりも大風量で空気を流動させることができるため、空気が大きく循環し、その結果、部屋の隅々まで空気を浄化することができる。よって、使用者が部屋に戻って来たとき、直ちにきれいな空気に触れることができる。しかも、複合運転モードのうちの風量自動モードでの運転により、消費電力が抑えられるため、経済的と言える。
なお、複合運転モードにおける風量自動モードで送風機8すなわちファンモータ9に設定される段階的な各回転数を、上記の実施形態では、単独で実行される風量自動モードでの場合と同様としているが、その風量自動モード単独の場合、すなわち複合運転モードに移行する前の風量自動モードの場合よりも、個々に高くしてもよい。ファンモータ9の回転数を高くすると、それに伴って騒音も増すが、複合運転モードでの運転時には人が居ないことを想定しているため、騒音への配慮は不要だからである。但し、消費電力を適度に抑える観点から、各回転数を1段階ずつ高くする程度が好ましい。
また、上記の実施形態では、「複合運転モードにおける風量自動モードの時間を所定時間、例えば45分」としたが、「複合運転モードにおける風量自動モード運転時における空気がきれいな状態、すなわち、最も回転数が低い状態が所定時間、例えば45分継続した場合」としてもよい。これにより、さらに消費電力が抑えられるため、経済的と言える。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、加湿機能のない一般的な空気清浄機、すなわち、トレイ15及び給水タンク16を含めて加湿フィルタ14を備えないし、仕切り板27や可動板35を持たず、エアフィルタから送風機8までの通気路が分岐せずに1本である空気清浄機にも適用が可能である。