JP2008035113A - 音声信号増幅回路およびそれを用いたオーディオ装置ならびにボリウム切換方法 - Google Patents

音声信号増幅回路およびそれを用いたオーディオ装置ならびにボリウム切換方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数のスピーカのボリウムを切り換える時の違和感を低減する。
【解決手段】利得切換部は、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し(S16)、切換指示データを受信するまでそれを繰り返す(S18・No)。利得切換部は、切換指示データを受信すると(S18・Yes)、それまでに受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の各々の利得をタイミングを揃えて切り換える(S22)。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数チャンネルの音声信号を増幅する技術に関する。
立体的で臨場感のある音響効果の実現のために、音声信号が多チャンネル化し、使用されるスピーカの数も飛躍的に増加している。例えば、映画界の音響システムで主流となっている5.1チャンネルが近年ではDVD−Videoやデジタル放送、カーオーディオなどにも応用されている。5.1チャンネルは、フロント・レフト、フロント・ライト、リア・レフト、リア・ライト、センター、サブウーファの6チャンネルを基本とする。カーオーディオの分野では、フロントシートの人がカーナビゲーションの音声を聴く一方でリアシートの人はDVDプレーヤからの音声を聞くといったことも行われており、このような流れからもスピーカの数の増加が進んでいる。
音声信号の増幅に関連する技術として、ボリウム切換時のノイズの低減を意図するものが提案されている(下記特許文献1)。特許文献1は、ボリウム制御用出力をゆるやかに変化させることによりボリウム切換時のショック音を低減させる技術を開示している。
特開2002−26670号公報 特開2005−286532号公報
複数チャンネルの音声信号を対象とする音響システムにおいてボリウムを切り換えることを考えたとき、本発明者は次のような課題を認識した。
例えばユーザのボリウム切換指示に従ってチャンネルごとのボリウムデータがマイクロコンピュータから送信されたとき、マイクロコンピュータとボリウム制御側とを接続するバスの制約から、ボリウム制御側では各チャンネルのボリウムデータがタイムラグを伴って受信される。そうすると、チャンネルごとのボリウムの切換にもタイムラグが発生し、ユーザは違和感を感じてしまう。このことはチャンネルの数が多くなるほど顕著になる。
この対策として、マイクロコンピュータとボリウム制御側とを接続するバスのバス幅を大きくする、あるいはバス幅は同じでも転送速度が早いものを用いるといったことが考えられる。しかし、バス幅を大きくすることはピン数の増大につながるし、転送速度を速めることは消費電力の増大につながる。また、それらの対策は標準的なバスの使用を妨げることにもなりかねない。したがって、現状ではボリウムデータの受信のタイムラグをなくすことは非現実的と言わざるを得ない。
また、特許文献1に開示されたような切換ノイズ対策の技術を用いる場合、ボリウム制御用出力の変化を緩やかにするための構成を回路規模の制約から複数のチャンネルで共用すると、ひとつのチャンネルについてボリウム制御用出力を緩やかに変化させている間は他のチャンネルのボリウムを変えることができなくなる。そうすると、タイムラグによりユーザが感じる違和感はより深刻となる。例えば5.1チャンネルのシステムにおいて、センター、フロント・ライト、リア・ライト、リア・レフト、フロント・レフトの順にボリウムが切り換わると、ユーザは音声が回るような感じを受けるだろう。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、複数チャンネルの音声信号のボリウム切換時に各チャンネルのボリウム切換タイミングを揃えることにある。
本発明のある態様は、音声信号増幅回路である。この回路は、複数チャンネルの音声信号をチャンネルごとに増幅する複数の可変利得増幅器と、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データに基づいてその複数の可変利得増幅器の利得を切り換える利得切換部とを備える。利得切換部は、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し、利得の切換を指示する切換指示データの受信を契機として、それまでに受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるように構成されている。
この態様によると、切換指示データの受信を契機として各チャンネルの可変利得増幅器の利得を切り換えるので、各チャンネルのボリウムの切換タイミングが揃えられる。
本発明の別の態様もまた、音声信号増幅回路である。この回路は、複数チャンネルの音声信号をチャンネルごとに増幅する複数の可変利得増幅器と、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データに基づいてその複数の可変利得増幅器の利得を切り換える利得切換部とを備える。利得切換部は、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについてその受信が完了するのを待ってから、受信した複数の利得制御データに基づいて各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるように構成されている。
この態様によると、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについてその受信が完了するのを待ってから各チャンネルの可変利得増幅器の利得を切り換えるので、各チャンネルのボリウムの切換タイミングが揃えられる。
本発明のさらに別の態様は、オーディオ装置である。この装置は、上記の音声信号増幅回路と、ユーザの指示に応じてその音声信号増幅回路に複数の利得制御データの各々を送信するマイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサと音声信号増幅回路とを接続するバスとを備える。
この態様によると、違和感の少ない自然なボリウム切換がユーザ指示に応じて実現されるので、オーディオ装置の価値が高められる。
本発明のさらに別の態様は、複数チャンネルの音声信号のボリウムを切り換えるボリウム切換方法である。この方法は、マイクロプロセッサが、ユーザのボリウム切換指示に基づいて、ボリウム切換対象の各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データを生成するステップと、マイクロプロセッサが、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで音声信号増幅回路に送信するステップと、音声信号増幅回路が、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信するステップと、マイクロプロセッサが、複数の利得制御データの各々を送信した後に、利得の切換を指示する切換指示データを音声信号増幅回路に送信するステップと、音声信号増幅回路が、切換指示データの受信を契機として、受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるステップとを含む。
本発明のさらに別の態様もまた、複数チャンネルの音声信号のボリウムを切り換えるボリウム切換方法である。この方法は、ユーザのボリウム切換指示に基づいて、ボリウム切換対象の各チャンネルについてボリウムを個別に指定する複数の利得制御データを生成するステップと、マイクロプロセッサが、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで音声信号増幅回路に送信するステップと、音声信号増幅回路が、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信するステップと、音声信号増幅回路が、複数の利得制御データの受信が完了するまで待機するステップと、音声信号増幅回路が、受信した複数の利得制御データに基づいて各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるステップとを含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、複数チャンネルの音声信号のボリウムを切り換える時の違和感を低減することができる。
図1は、実施の形態にかかるオーディオシステム300の構成を概念的に示す。オーディオシステム300は、例えばホームシアターやカーオーディオシステム等をはじめとする様々な音響システムに応用できる。ここではその具体的な用途は特に限定せず、例示のために5.1チャンネルのシステムとしてオーディオシステム300を説明する。
オーディオシステム300は、音源130と、オーディオ装置200と、スピーカ群150とを備える。
オーディオ装置200は、音声信号増幅回路100と、マイクロプロセッサ120とを備える。オーディオ装置200は、例えばホームシアターやカーオーディオシステムのデッキである。
音声信号増幅回路100およびマイクロプロセッサ120は、バス110を介して接続される。バス110は、例えばI2C(Inter-IC Control)バスのようなシリアルバスであってもよい。
音源130は、5.1チャンネルに対応した音声信号を音声信号増幅回路100に入力する。なお、音声信号は多チャンネルであるが、図1では音源130と音声信号増幅回路100とを結ぶ経路を1本の太線で示している。
音声信号増幅回路100は、入力された音声信号をチャンネルごとに増幅し、それぞれ対応するスピーカに出力する。
スピーカ群150は、フロント・レフト、フロント・ライト、リア・レフト、リア・ライト、センター、サブウーファの各チャンネルに対応する6つのスピーカである。各スピーカは、音声信号増幅回路100から音声信号の増幅出力を受信し、それを音声に変えて出力する。
マイクロプロセッサ120は、各チャンネルのボリウムをそれぞれ個別に指定する複数の利得制御データを、ユーザからの指示に基づいて、バス110を介して音声信号増幅回路100に送信する。この利得制御データに基づいて音声信号増幅回路100の利得が定められる。
図2は、図1のバス110のフォーマットを示すとともに、マイクロプロセッサ120から音声信号増幅回路100に送信される利得制御データを示す。ここでは、I2Cバスのフォーマットを例に説明する。
利得制御データは、スレーブアドレスと、セレクトアドレスと、ボリウムデータとを含む。これらはそれぞれ8ビットのデータであり、マイクロプロセッサ120がユーザの指示に基づいて各8ビットを生成する。フォーマットの最初には先頭を示すための1ビット(S:Start condition)が挿入される。スレーブアドレスとセレクトアドレス、ボリウムデータの後ろにはそれぞれ各8ビットが受信されたことを示すための1ビット(A:Acknowledge bit)がある。フォーマットの最後は終わりを示すための1ビット(P:Stop condition)である。
スレーブアドレスは、操作対象となるデバイスを特定する。ボリウム調節が指示されたとき、ここには音声信号増幅回路100を特定するデータが入る。
セレクトアドレスは、ボリウム調節が指示されたとき、ボリウム調節対象となるチャンネルを指定する。
ボリウムデータは、指定されたチャンネルのボリウムを指定する。これは、そのチャンネルの可変利得増幅器の利得を指定することと等価である。
なお、スレーブアドレスとセレクトアドレス、ボリウムデータを全て含むものを1つの利得制御データとして説明したが、スレーブアドレスを含めずにセレクトアドレスおよびボリウムデータを1つの利得制御データとみなしてもよい。あるいはスレーブアドレスおよびセレクトアドレスを含めずにボリウムデータを1つの利得制御データとみなしてもよい。要するに、利得制御データは、それを受信したときに、利得調節の対象となるチャンネルとそのチャンネルにおいて目標とするボリウムを知りうるようなデータであると理解できる。もっとも、「利得を知りうる」とは利得制御データ単体を受信して利得を知りうる場合に限らず、前後のデータとの相互関係からそれを知りうる場合も含む。
図3は、図2の利得制御データを複数並べた場合を示す。チャンネルごとのボリウムを指定するためにスレーブアドレスおよびセレクトアドレスを毎回送信してもよいが、転送効率を上げるために図3のフォーマットではスレーブアドレスおよびセレクトアドレスを1回だけ送信するようにしている。例えば、ボリウムデータ1をセレクトアドレスで指定したチャンネルのデータとして設定し、ボリウムデータ2をセレクトアドレス+1で指定したチャンネルのデータとして設定し、同様にボリウムデータ3ないし6をセレクトアドレス+2ないし+5で指定したチャンネルのデータとして設定してもよい。このような設定により、スレーブアドレスおよびセレクトアドレスを1回だけ送信する場合でも、ボリウムデータ1ないし6を、例えば、センター用、フロント・ライト用、リア・ライト用、リア・レフト用、フロント・レフト用、サブウーファ用といった順番の利得制御データ列として送信できる。
図3においては、セレクトアドレスおよびボリウムデータ1と、ボリウムデータ2ないし6のそれぞれが利得制御データであると考えてもよい。複数の利得制御データの各々は異なったタイミングで受信されると図3から理解できる。すなわち、音声信号増幅回路100は、複数の利得制御データを各チャンネル用ごとに順次受信する。
図4は、図1の音声信号増幅回路100の構成を示す。図4において、図1に示したものと同一または同様の構成要素には同一の符号を付して適宜その説明を省略する。音声信号増幅回路100は、1つの半導体基板上に一体集積化される。なお、「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗などが半導体基板の外部に設けられていてもよい。1つの半導体基板上に一体集積化することにより、オーディオ装置200などの電子機器への搭載が容易となる。
音声信号増幅回路100は、可変利得増幅器群72と、利得切換部52とを備える。利得切換部52は、ソフト切換回路54を有する。なお、マイクロプロセッサ120からのデータをバッファするメモリの図示は省略している。
可変利得増幅器群72は、チャンネルごとに設けられた可変利得増幅器である。各チャンネルの可変利得増幅器は、音源130から入力される音声信号をそれぞれ増幅し、対応するチャンネルのスピーカに出力する。
利得切換部52は、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データをマイクロプロセッサ120からバス110を介して受信し、各チャンネルの可変利得増幅器の利得を切り換える。
ソフト切換回路54は、各チャンネルのボリウム切換の際にボリウムの変化をゆるやかにするための回路である。ボリウムの変化をゆるやかにする技術としては、例えば上述の特許文献1・2に記載されたような公知技術を用いることができる。ソフト切換回路54は、全チャンネルのボリウム切換のために共用される。なお、図4では、利得の変化をゆるやかにするためにソフト切換回路54が出力する信号を「Soft」と標記している。
利得切換部52は、利得制御データを受信しても、その利得制御データがボリウム切換の対象とするチャンネルの可変利得増幅器の利得をすぐには切り換えず、後述する切換指示データを受信を契機として切り換える。あるいはボリウムを切り換えるべき各チャンネルについて利得制御データの受信が完了するのを待ってから切り換える。
切換指示データは、例えば図3のフォーマットのセレクトアドレスに切換指示のために設けたアドレスを指定し、ボリウムデータに代えて所定のビットパターンを含むようなデータであってもよい。ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについての利得制御データの受信完了を知るためには、図3の最後の1ビット(P)を利用してもよい。なお、通常は1回の指示で全チャンネルのボリウムを切り換えるから、ボリウムデータ1ないし6の受信完了は、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについて利得制御データの受信が完了したことを意味する。もっとも、一部のチャンネルについてはボリウムを切り換える必要がないとき、その一部のチャンネル以外の各チャンネルがボリウムを切り換えるべき各チャンネルに相当する。例えばカーオーディオにおいて前後のシートで別の音源の音声を流している場合などにそのような状況が生じるだろう。
図5は、図1のオーディオ装置200における利得切換動作を示すフローチャートである。
オーディオ装置200のユーザは、例えばボタン操作などにより、ボリウムの切換を指示する(S12)。マイクロプロセッサ120は、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データをユーザの指示に基づいて生成し、これを音声信号増幅回路100の利得切換部52に送信する(S14)。利得切換部52は、複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し(S16)、切換指示データを受信するまでそれを繰り返す(S18・No)。利得切換部52は、切換指示データを受信すると(S18・Yes)、それまでに受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の各々の利得をタイミングを揃えて切り換える(S22)。
図6は、図1のオーディオ装置200における別の利得切換動作を示すフローチャートである。図6において、図5と同一または同様のステップには同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図5に示す動作では、切換指示データの受信を契機として可変利得増幅器の利得を切り換えた。図6に示す動作では、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについて利得制御データの受信が完了するまで利得制御データの受信を繰り返し(S58・No)、その完了を待って(S58・Yes)可変利得増幅器の利得を切り換える(S22)。なお、S58の「全ての利得制御データ」は、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルの利得制御データの全てという意味である。ボリウムを切り換えるべきチャンネルは全チャンネルである場合もあるし、上述のように状況によっては一部のチャンネルを除く各チャンネルであるときもある。
本実施の形態によれば、音声信号増幅回路100が各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるので、各チャンネルのスピーカから出力される音声のボリウム切換のタイミングが揃えられる。これによりボリウム切換の際にユーザが感じる違和感を低減することができ、オーディオ装置200の価値の向上につながる。
また、本実施の形態ではボリウム切換のタイミングを揃えるために切換指示データを受信を契機とするか、あるいはボリウムを切り換えるべき各チャンネルについて利得制御データの受信が完了するのを待つこととしている。このため、タイミングを揃えるために音声増幅の回路構成に特段の変更を加える必要がない。必要があるとしてもメモリ容量を若干増やす程度で足り、音声信号増幅回路100はシンプルな構成にて実現できる。また、タイミングを揃えるために、マイクロプロセッサ120と音声信号増幅回路100とを接続するバスのバス幅を大きくしたりバスのデータ転送速度を既存のものから速める必要もない。このことがI2Cバスのようなシリアルバスの使用を可能とし、オーディオ装置200ではそういったバスを用いることとしている。したがって、オーディオ装置200の適用範囲は著しく広いといえる。
また、ソフト切換回路54によりボリウム切換時の可変利得増幅器の利得の変化がゆるやかになるため、切換時のショック音が防止される。また、ソフト切換回路54を各チャンネルの可変利得増幅器にて共用するので、回路規模の増大が抑えられる。ここで、ソフト切換回路54を共用するとき、利得制御データを受信するつど可変利得増幅器の利得を切り換えるとボリウム切換時の違和感が深刻化するところ、本実施の形態では上述のようにして可変利得増幅器の利得切換のタイミングを揃えているため、そのような問題が好適に解決される。
本実施の形態の効果を明確に理解するために、図7および図8のボリウム切換波形を比較する。図7は、比較例におけるボリウム切換波形を示す。図8は、本実施の形態におけるボリウム切換波形を示す。
比較例は、ソフト切換回路54を共用する構成において、利得制御データを受信するつど可変利得増幅器の利得を切り換える例である。比較例の場合、ソフト切換回路54をチャンネルの数と同じ回数動作させることとなり、1つのチャンネルについてボリウムをゆるやかに変化させている間、他のチャンネルについてはボリウムの切換を待たなければならない。すなわち、最初のチャンネルについてボリウムのゆるやかな切換が終わるのを待ってから次のチャンネルのボリウムがゆるやかに切り換えられ、さらに次のチャンネルではその間も依然として切換待ち状態となっている。したがって、図7のようにチャンネルごとにタイムラグがある切換波形となり、ユーザはボリウム切換のたびに違和感を感じてしまう。
これに対し、本実施の形態では上述のようにして各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるので、ソフト切換回路54の動作は1回のボリウム切換につき1回で済む。これにより、図8に示されるように、比較例とは異なる同時切換の波形が得られる。したがって、ボリウム切換時にユーザが感じる違和感は低減され、自然なボリウム切換が実現される。
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を示す。
実施の形態ではマイクロプロセッサ120と音声信号増幅回路100とを接続するバスをシリアルバスとしたが、これには限定されず、パラレルバスを用いてもよい。
実施の形態では利得切換部52が各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えた。変形例ではこれに加え、利得切換部52は利得制御データを受信するつど可変利得増幅器の利得を切り換える動作も実行可能に構成される。どちらの動作を実行するかは事前の設定により適宜決めればよい。これによればユーザにおける選択の自由度が得られる。
実施の形態ではソフト切換回路54を全てのチャンネルにて共用としたが、これにも限定されず、ソフト切換回路54は一部のチャンネルには共用されなくてもよい。また、一部のチャンネルで可変利得増幅器の利得の変化をゆるやかにする必要がなければ、そのチャンネルの可変利得増幅器にソフト切換回路54を使用する必要はない。これによれば回路設計の自由度が増す。
実施の形態では5.1チャンネルのシステムとしてオーディオシステム300を説明したが、これにも限定されない。音声信号のチャンネル数は複数である限り任意である。
実施の形態にかかるオーディオシステムの構成を概念的に示す図である。 図1のバスのフォーマットを示すとともに、マイクロプロセッサから音声信号増幅回路に送信される利得制御データを示す図である。 図2の利得制御データを複数並べた場合を示す図である。 図1の音声信号増幅回路の構成を示す回路図である。 図1のオーディオ装置における利得切換動作を示すフローチャートである。 図1のオーディオ装置における別の利得切換動作を示すフローチャートである。 比較例におけるボリウム切換波形を示す図である。 本実施の形態におけるボリウム切換波形を示す図である。
符号の説明
52・・・利得切換部、54・・・ソフト切換回路、72・・・可変利得増幅器群、100・・・音声信号増幅回路、110・・・バス、120・・・マイクロプロセッサ、130・・・音源、150・・・スピーカ群、200・・・オーディオ装置、300・・・オーディオシステム。

Claims (10)

  1. 複数チャンネルの音声信号をチャンネルごとに増幅する複数の可変利得増幅器と、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データに基づいて前記複数の可変利得増幅器の利得を切り換える利得切換部とを備え、
    前記利得切換部は、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し、利得の切換を指示する切換指示データの受信を契機として、それまでに受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるように構成されたことを特徴とする音声信号増幅回路。
  2. 複数チャンネルの音声信号をチャンネルごとに増幅する複数の可変利得増幅器と、各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データに基づいて前記複数の可変利得増幅器の利得を切り換える利得切換部とを備え、
    前記利得切換部は、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信し、ボリウムを切り換えるべき各チャンネルについてその受信が完了するのを待ってから、受信した複数の利得制御データに基づいて各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるように構成されたことを特徴とする音声信号増幅回路。
  3. 前記利得切換部が、シリアルバスを介して前記複数の利得制御データの各々を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の音声信号増幅回路。
  4. 前記利得切換部が、I2C(Inter-IC Control)バスを介して前記複数の利得制御データの各々を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の音声信号増幅回路。
  5. 前記利得切換部が、利得制御データを受信するつど可変利得増幅器の利得を切り換える動作も実行可能に構成され、事前の設定に応じて、各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えることに替えて、利得制御データを受信するつど可変利得増幅器の利得を切り換えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音声信号増幅回路。
  6. 前記利得切換部は、各チャンネルのボリウム切換の際にボリウムの変化をゆるやかにするためのソフト切換回路を有し、このソフト切換回路は、少なくとも2チャンネルのボリウム切換のために共用されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の音声信号増幅回路。
  7. 1つの半導体基板上に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の音声信号増幅回路。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の音声信号増幅回路と、
    ユーザの指示に応じて前記音声信号増幅回路に前記複数の利得制御データの各々を送信するマイクロプロセッサと、
    前記マイクロプロセッサと前記音声信号増幅回路とを接続するバスと、
    を備えることを特徴とするオーディオ装置。
  9. 複数チャンネルの音声信号のボリウムを切り換える方法であって、
    マイクロプロセッサが、ユーザのボリウム切換指示に基づいて、ボリウム切換対象の各チャンネルのボリウムを個別に指定する複数の利得制御データを生成するステップと、
    前記マイクロプロセッサが、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで音声信号増幅回路に送信するステップと、
    前記音声信号増幅回路が、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信するステップと、
    前記マイクロプロセッサが、前記複数の利得制御データの各々を送信した後に、利得の切換を指示する切換指示データを前記音声信号増幅回路に送信するステップと、
    前記音声信号増幅回路が、前記切換指示データの受信を契機として、受信した複数の利得制御データに基づいて、その複数の利得制御データがそれぞれボリウム切換の対象とする各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるステップと、
    を含むことを特徴とするボリウム切換方法。
  10. 複数チャンネルの音声信号のボリウムを切り換える方法であって、
    ユーザのボリウム切換指示に基づいて、ボリウム切換対象の各チャンネルについてボリウムを個別に指定する複数の利得制御データを生成するステップと、
    前記マイクロプロセッサが、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで音声信号増幅回路に送信するステップと、
    前記音声信号増幅回路が、前記複数の利得制御データの各々を異なるタイミングで受信するステップと、
    前記音声信号増幅回路が、前記複数の利得制御データの受信が完了するまで待機するステップと、
    前記音声信号増幅回路が、受信した複数の利得制御データに基づいて各チャンネルの可変利得増幅器の利得をタイミングを揃えて切り換えるステップと、
    を含むことを特徴とするボリウム切換方法。
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