JP2008034344A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギーの浪費を抑えて効率的に水分を燃料電池から排出可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜形の燃料電池に反応ガスを供給する供給手段と、燃料電池の発電停止後に、燃料電池を構成する電解質膜の含水量を取得する含水量取得手段と、含水量取得手段により取得された含水量に基づいて、燃料電池内部の水分を除去するための反応ガスが断続的に供給されるように供給手段の動作を制御する制御手段とを含む燃料電池システムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関し、特に、燃料電池停止時における燃料電池内部の水分を調整する技術に関する。
燃料電池の一つとして、固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」と表記)の両側を触媒層と拡散層とをそれぞれ有する二つの電極で挟んでなる固体高分子電解質膜形燃料電池(PEFC)がある。従来、発電停止期間中に酸化ガスの供給を断続的に行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−327492号公報 特開2001−332281号公報 特開2003−297399号公報 特開2002−246054号公報
従来技術では、酸化ガスの供給に伴い、燃料電池内部の水分が除去される。この水分の除去によって燃料電池内部の水分が過度に少なくなり、燃料電池内部が乾燥すると、燃料電池の次回起動が適切に行われなくなる虞があった。
本発明の目的は、燃料電池内部に適正な水分量が残される状態で効率的に水分を燃料電池から排出可能な燃料電池システムを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために以下の構成を採用する。
即ち、本発明は、固体高分子電解質膜形の燃料電池に反応ガスを供給する供給手段と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池を構成する電解質膜の含水量を取得する含水量取得手段と、
前記含水量取得手段により取得された含水量に基づいて、前記燃料電池内部の水分を除去するための反応ガスが断続的に供給されるように前記供給手段の動作を制御する制御手段とを含む燃料電池システムである。
また、本発明は、固体高分子電解質膜形の燃料電池を経由する反応ガスの循環路と、
前記循環路上に配置され、循環路内の反応ガスを循環させる循環手段と、
前記循環路上に配置され、前記燃料電池から排出された反応ガスに含まれる水分を除去する除去手段と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池を構成する電解質膜の含水量を取得する含水量取得手段と、
前記含水量取得手段により取得された含水量に基づいて、前記循環路内の反応ガスが前記燃料電池に断続的に供給されるように前記循環手段の動作を制御する制御手段と
を含む燃料電池システムである。
電解質膜は、良好なプロトン移動を確保するために或る程度の湿度(含水量)を有している必要がある。本発明によれば、電解質膜の含水量を確実に適正量とすることが可能となる。
好ましくは、前記制御手段は、前記含水量取得手段により取得された含水量に応じて前記反応ガスの断続的な供給の終了を判定する。このようにすれば、電解質膜の含水量が適正量となった時点で反応ガスの断続的な供給、即ち水分排出を終了することができる。
また、本発明において、制御手段は、前記含水量取得手段により取得された含水量に応じて前記反応ガスの断続的な供給の開始を判定するようにしても良い。
また、本発明によれば、燃料電池に対して断続的に反応ガスを供給するため、供給間に供給の中断時間が生じる。この中断時間内に、供給中の反応ガス流によって燃料電池外部に排出されにくい位置に存していた水分が拡散し、中断時間経過後に再開される反応ガス供給によって、燃料電池外部に排出される。このように、断続的な反応ガス供給によって、或る期間において連続的に反応ガスを供給する場合に比べて、供給手段の反応ガス供給のためのエネルギー消費量を抑えることができ、且つ水分排出量あたりのエネルギー消費量を小さくすることができる。即ち、効率的な水分排出を行うことができる。
本発明において、断続的な反応ガスの供給を行う場合における個々の反応ガスの供給時間、中断時間は、予め決められた固定の時間を設けることができる。或いは、電解質膜の含水量に基づいて供給時間及び中断時間を調整することもできる。
例えば、本発明において、制御手段は、前記反応ガスの供給中における、所定時間あたりの含水量の変化量に応じて前記反応ガスの供給を中断するか否かを判定するように構成することができる。
また、例えば、本発明において、制御手段は、前記反応ガスの供給の中断時における、所定時間あたりの含水量の変化量に応じて前記反応ガスの供給を再開するか、反応ガスの断続的な供給を終了するかを判定するように構成することができる。
このようにすれば、供給時間及び中断時間を固定にする場合よりも、掃気(水分排出)のためのエネルギー消費量を抑えることが可能となる。
本発明における前記含水量取得手段は、前記電解質膜のインピーダンスから前記電解質膜の含水量を推定するように構成することができる。
この場合、例えば、制御手段は、反応ガスの供給中における前記含水量取得手段で推定された含水量の変化量が所定の閾値を超える場合に前記反応ガスの供給を中断するか否かを判定するように構成することができる。
また、例えば、制御手段は、反応ガスの供給の中断時において前記含水量取得手段で推定された含水量の変化量が所定の閾値を下回る場合に、前記反応ガスの供給を再開するか、反応ガスの断続的な供給を終了するかを判定するように構成することができる。
或いは、含水量取得手段は、前記反応ガスが流れる電極中の湿度から前記電解質膜の含水量を推定するように構成することができる。
本発明は、前記電解質膜の含水量の目標値と、この目標値に基づく含水量の適正範囲とが記憶装置上に予め保持されており、
前記含水量取得手段は、前記反応ガスの供給が中断されてから一定時間が経過した後の前記電解質膜の含水量を取得し、
前記制御手段は、取得された含水量と前記目標値の差分が前記適正範囲に収まる場合に、前記中断時間経過後に前記反応ガスの供給を再開することなく断続的な供給を終了する
ことを判定する構成を採用することができる。
この場合、前記適正範囲よりも広い所定範囲が記憶装置上にさらに予め保持されており、前記制御手段は、前記含水量と前記目標値の差分が前記適正範囲に収まらないが前記所定範囲に収まる場合に、前記中断時間経過後に前記反応ガスの供給を所定時間行い、該所定時間が経過すると断続的な供給を終了することを判定する構成を採用することができる。
また、本発明は、固体高分子電解質膜形の燃料電池に反応ガスを供給する供給手段と、
前記燃料電池中の電解質膜の、燃料極と接する面と空気極と接する面との間のインピーダンスを測定する測定手段と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記測定手段で得られるインピーダンスの変化に応じて反応ガスが前記燃料電池に断続的に供給されるように、前記供給手段による反応ガスの供給開始及び供給停止を制御する制御手段と
を備える燃料電池システムである。
本発明によれば、燃料電池内部に適正な水分量が残される状態で効率的に水分を燃料電池から排出することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
〔実施形態1〕
〈燃料電池システムの構成〉
図1は、本発明の実施形態1における燃料電池システムの構成例を示す図である。この燃料電池システムは、移動体(例えば車両)に搭載される。燃料電池1として、固体高分子型燃料電池(PEFC)が適用されている。燃料電池1は、複数のセルを積層してなるセルスタックで構成されている。但し、図1には、単セルの構成が図示されている。
セルは、固体高分子電解質膜2と、固体高分子電解質膜2を両側から挟む燃料極(アノ
ード)3及び空気極(酸化剤極:カソード)4と、燃料極3及び空気極4を挟む燃料極側セ
パレータ5及び空気極側セパレータ6とからなる。
燃料極3は、拡散層と触媒層とを有している。水素ガスや水素リッチガスなどの水素を含む燃料ガスが反応ガスとして燃料供給系により燃料極3に供給される。燃料極3に供給された燃料ガスは、拡散層で拡散され触媒層に到達する。触媒層では、水素がプロトン(
水素イオン)と電子とに分離される。水素イオンは固体高分子電解質膜2を通って空気極
4に移動し、電子は外部回路7を通って空気極4に移動する。
一方、空気極4は、拡散層と触媒層とを有する。空気等の酸化剤ガスが酸化剤供給系により空気極4に供給される。空気極4に供給された酸化剤ガスは、拡散層で拡散され触媒層に到達する。触媒層では、酸化剤ガスと、固体高分子電解質膜2を通って空気極に到達した水素イオンと、外部回路7を通って空気極に到達した電子とによる反応を通じて水が生成される。これらのような燃料極及び空気極における反応の際に外部回路7を通る電子が、外部回路7上の負荷8に対する電力として使用される。
図1には、燃料電池1に対する酸化剤供給系として、反応ガスたる酸化剤ガス(空気)を供給する供給手段としてのエアポンプ9が示されている。エアポンプ9は、吸気口から取
り入れた空気を供給管10を介して空気極4に供給する。空気極4に供給された酸化剤ガスは、空気極4を通過した後、燃料電池1に接続された排気管11(燃料電池の外部)に排出される。また、電極反応により空気極4内で生じる水(生成水)は、空気極4を通過する酸化剤ガスによって排気管11内へ運ばれる。生成水の一部は、電解質膜2を通過して燃料極3に到達する。
また、図1に示す燃料電池システムでは、燃料電池1の発電停止時にエアポンプ9を制御し、空気極4内を掃気して空気極4内の余分な水分を除去する。このため、燃料電池システムは、エアポンプ9の動作を制御するECU((Electronic Control Unit)12を備えている。
ECU12は、例えば、CPUのようなプロセッサ,CPUによって実行又は使用されるプログラムやデータを格納した記憶装置(メモリ),外部から情報を得たり外部へ情報(
制御信号)を出力するための入出力インタフェース等から構成されている。ECU12は
、プロセッサがプログラムを実行することによって、発電停止時における掃気制御を実現する制御手段として機能する。
掃気時において、ECU12は、図示せぬバッテリに蓄電された電力をエアポンプ9に対して供給/供給停止することによって、エアポンプ9の動作を制御する。また、ECU12は、エアポンプ9の回転量を制御して、エア流量を調整することもできる。
ECU12は、膜抵抗計測部13で計測される燃料電池1(セルスタック)の交流インピーダンス(膜抵抗)の計測値が入力されるように構成されている。膜抵抗計測部13は、例えば、電解質膜2の各端面に配置された電極を含み、この電極間(電解質膜の両端面間)のインピーダンス(膜抵抗)を計測し、ECU12に通知するように構成されている。
〈掃気時における制御方法〉
次に、掃気時におけるECU12によるエアポンプ9の制御方法(掃気方法)について説明する。図2は、エアポンプ9から空気極4に供給される空気の流量(エア流量)と、スタック(空気極4)における水蒸気分圧と、時間との関係を示す説明図である。
上側のグラフに示すように、ECU12は、燃料電池1による発電が停止される迄の間、例えば一定の流量で発電用の空気を空気極4に供給する。その後、燃料電池1の発電が停止されると、ECU12は、エアポンプ9の流量を増加させる。エア流量の増加によって、空気極4に滞留した生成水(液滴)を排出するためである。なお、ECU12は、発電停止信号(例えば、イグニションコイルのオフ信号)を受信して、燃料電池1の発電停止を検知することができる。
一方、下側のグラフに示すように、燃料電池1の発電が停止され掃気が開始されると、例えば、ほぼ一定状態であった水蒸気分圧は、或る時間を境に急速に低下し、零に近づく。これは、掃気開始によって空気極4内の液滴や、空気極4内や電解質膜2の表面に分布していた水蒸気が燃料電池1の外部(排気管11)に排出されてしまい、空気極4内の流速が低い部分で蒸気拡散の律速に従って拡散する微少な水蒸気や、電解質膜2内で膜内水分拡散の律速に従って拡散し、電解質膜2の表面に現れる微少な水分のみが空気極4に存在する状態となるからである。
このように、掃気が開始されてから或る程度の時間が経過すると、空気極4内の湿度が下がり、時間あたりの水分排出量が著しく低下する。このような状態で掃気を継続することは、エネルギーの効率的な利用の観点から好ましくない。そこで、ECU12は、最初の掃気を開始してから所定時間が経過すると、エアポンプ9を停止させて、エア流量を零
にする。これによって、エアポンプ9の動力(電力)の浪費を抑える。
一方、エアポンプ9による掃気が停止(中断)されることで、電解質膜2内の水分が律速に従って拡散し、電解質膜2表面から空気極4内に拡散する。これによって、空気極4内の水蒸気分圧(湿度)が上昇する。そして、エアポンプ9による掃気が中断されてから所定時間が経過した後、ECU12は、掃気を再開する。
中断時間は、空気極4内の湿度(水蒸気分圧)が掃気を再開するに適した値まで上昇する時間を考慮して決定される。中断時間は、例えば、飽和分圧に近づいた状態となる時間を適用できる。或いは、図2に示すように、湿度が燃料電池1の発電(運転)時における空気極4の湿度を上回る状態となった時に掃気が再開される時間とすることができる。
掃気再開によって、空気極4に拡散した水分(水蒸気)は、エアポンプ9からの空気によって燃料電池1の外部(排気管11)へ持ち去られる。このとき、排出対象の水分は、空気極4に拡散した水蒸気であるので、エア流量は、液滴を排出する場合よりも低い値とすることができる。例えば、掃気開始時におけるエア流量よりも低い値を適用することができる。或いは、図2に示すように、発電時における流量よりも低い値を適用することができる。これによって、掃気に要する消費電力量を抑えることができる。
このように、燃料電池1の内部(空気極4)内の水分排出(掃気)を、一旦中断した後に再開する、即ち、掃気が断続的に行われる。これによって、水分排出に要する総電力量を抑えることができ、効率の良い水分排出を行うことができる。
また、ECU12は、上述した断続的な掃気(水分排出)を、電解質膜2の含水量を考慮して行う。燃料極3からのプロトンは、電解質膜2内の水分によって空気極4に運ばれる。このため、電解質膜2が或る程度の含水量を有しなければ、プロトン移動の良好な状態を確保できず、燃料電池1の起動時に適正な発電を行うことができないからである。従って、電解質膜2が発電に適した含水量となった時点で、掃気を停止しなければならない。このため、ECU12は、膜抵抗計測部13で計測される膜抵抗値から電解質膜2の含水量を推定する。
図3は、掃気時間とスタック抵抗(膜抵抗)との関係を示す説明図である。掃気が開始されると、空気極4内の水滴及び水蒸気、並びに電解質膜2の表面の水分が空気により燃料電池1の外部に持ち去られる。電解質膜2表面の乾燥によって、電解質膜2内の水分分布に偏りが発生し、図3に示すように、膜抵抗が急激に上昇する。
これに対し、掃気が停止されると、電解質膜2内の水分が徐々に電解質膜2の表面に向かって拡散し、空気極4内に拡散するので、電解質膜2内の水分の偏りが緩和され、膜抵抗が徐々に減少する。その後、一定時間放置状態が継続すると、膜抵抗値は含水量に応じた一定の値を維持する状態となる(定常状態となる)。
ECU12は、掃気の中断によって一定時間放置状態を維持し、電解質膜2内の水分分布が定常状態(均質化が図られた状態)にする。この状態で、ECU12は、膜抵抗値の測定値を膜抵抗測定部13から受け取り、電解質膜2の適正な含水量から求まる所定の膜抵抗値(「目標値」と称する。図3では破線で示す)と比較する。このとき、前者が後者よりも高い場合(両者間の偏差が残る場合)には、ECU12は、掃気を再開して空気極4内の水分を排出する。これによって、電解質膜2の含水量が低減される。ECU12は、このような掃気の中断及び再開を行い、最終的に、膜抵抗値が目標値とほぼ同様の値となった時点で掃気を終了する。
図4は、ECU12による処理の例を示すフローチャートである。図4に示す処理は、発電停止をECU12が検知した時点で開始する。最初に、ECU12は、エアポンプ9のエア供給量を増加させる(ステップS1)。次に、ECU12は、自身が有しているタイマによる計時を開始し、所定時間T1が経過するのを待つ(ステップS2)。所定時間T1が経過するまでの間、連続して空気極4のエアによる掃気が行われ、空気極4内の液滴が排出される。
所定時間T1が経過すると(S2;YES)、ECU12は、エアポンプ9に対する電力供給を停止してその動作を停止させ(ステップS3)、タイマをリセットし、所定時間T2(所定の中断時間)の計時を開始する(ステップS4)。これにより、所定時間T2が経過するまでの間、電解質膜2の水分が空気極4内に拡散するのを待つ状態となる。
その後、所定時間T2が経過すると(S4;YES)、ECU12は、エアポンプ9に対する電力供給を再開することでエアポンプ9による掃気を再開させ(ステップS5)、タイマをリセットし、所定時間T3の計時を開始する(ステップS6)。これにより、所定時間T3が経過するまでの間、空気極4内に拡散した水分(水蒸気)が燃料電池1の外部に排出される。
所定時間T3が経過すると(S6;YES)、ECU12は、再び掃気を中断し(ステッ
プS7)、タイマをリセットして所定時間T4の計時を開始し、この所定時間T4が経過
するまでの間、空気極4内に水蒸気が拡散するのを待つ状態となる(ステップS8)。
所定の中断時間(所定時間T4)が経過すると(S8;YES)、ECU12は、電解質膜2の含水量が適正範囲に到達したかを判定する(ステップS9)。所定時間T4は、これが経過する迄の間に、電解質膜2内の水分が一様に近づき、ほぼ定常状態となるように規定されている。
ECU12は、所定時間T4が経過すると、膜抵抗計測部13で測定された膜抵抗値を受け取り、この膜抵抗値と目標値との差分を算出し、この差分が適正範囲内か否かを判定する。なお、目標値及び適正範囲は、ECU12を構成する記憶装置上に予め格納されている。
差分が適正範囲内に入っていなければ(S9;NO)、電解質膜2の含水量が適正範囲に到達していない、即ち余分な水分が残っているものとして、処理がステップS5に戻される。これに対し、差分が適正範囲内に入っていれば(S9;YES)、ECU12は、電解質膜2の含水量が適正範囲に到達したものと判断して、掃気を再開することなく掃気を終了させる。
図5は、図4に示した処理に応じた掃気の一例を示す図であり、エア流量とスタック(
空気極4)の水蒸気分圧との関係が示されている。図5では、燃料電池1の発電が停止さ
れてから、4回の掃気時間t1(所定時間T1),t3(所定時間T3),t5(所定時間T
3)及びt7(所定時間T3)の間に、3回の中断時間t2(所定時間T2),t4(所定時間T4)及びt6(所定時間T4)が挟まれた例が示されている。中断時間t2,t4及びt
6において、水蒸気分圧は飽和分圧に近づくように上昇し、その後の掃気時間t3,t5及びt7において水蒸気が掃気時間t1よりも小さいエア流量で排出されている。
なお、図5に示す例では、図4に示した処理と異なり、掃気時間t7が経過すると掃気が完了するようになっている。図4の処理をこのような処理が行われるように変形することも可能である。例えば、ステップS9で算出される差分が、あと一回の掃気で適正範囲に収まると予想される値である(この判断は、記憶装置上に適正範囲とは別途予め用意さ
れた所定範囲(適正範囲より広い)に差分値が収まるか否かで行うことができる)場合に、
次の掃気時間終了後に掃気を完了するようにECU12が判断し、そのような判断に基づく制御を行う構成とすることができる。
掃気時間及び中断時間として規定される時間t1〜t7のそれぞれは、同じ長さであっても良く、異なる時間であっても良い。図5に示す例では、掃気時間及び中断時間が一定になっている。或いは、掃気時間及び中断時間は、再開毎に短くなるように規定し、含水量が微調整されるようにすることもできる。
〈実施形態の作用効果〉
以上説明した実施形態1によれば、制御手段たるECU12は、反応ガスの供給手段たるエアポンプ9の動作制御によって断続的な掃気を実行する。掃気用の空気を水分拡散を待って断続的に送ることで、掃気に使用するエネルギーの総和を抑えることができる。言い換えれば、掃気を連続的に実行し微少な水分を随時排出する場合に比べて、圧損も含めた水分排出量あたりの動力損失を小さくすることができる。
また、掃気再開時のエア流量を掃気開始時のエア流量よりも小さくすることで、消費電力やエアポンプ9の駆動による騒音を抑えることができる。
また、所定の中断時間が経過した時点(一定時間の放置後)で、膜抵抗(インピーダンス)測定が行われるので、電解質膜2における水分濃度が一様に近づいた時点でのインピーダンス測定が行われることになり、これから適正な含水量を測定(推定)することができる。このように、ECU12は、発電停止後の電解質膜2の含水量を取得する含水量取得手段、さらに詳細には、反応ガスの供給が停止(中断)されてから一定時間経過後の含水量を取得する含水量取得手段として機能する。これによって、正確な含水量測定を通じた含水量の制御が可能となる。
これにより、車載搭載時のような、掃気に使用できるエネルギー量が限られた環境下で、適正な燃料電池1内の水分調整を行うことができ、氷点下環境下での水分凍結による弊害を抑えることができる。
〈変形例〉
図1に示した燃料電池システムにおいて、膜抵抗計測部13の代わりに、図6に示すような湿度計(湿度センサ)を適用することができる。図6に示すように、湿度計14は、空気極4内の湿度を計測し、ECU12に伝達するように構成されている。空気極4内の湿度は、例えば、図7に示すように、掃気停止後、或る程度の勾配を以て上昇する。この勾配は、電解質膜2の含水量に依存し、含水量が多い程大きく(図7のグラフA参照)、含水量が小さくなると勾配も小さくなる(図7のグラフB参照)。従って、この湿度の上昇勾配から電解質膜2の含水量を一意に求める(推定する)ことができる。
ECU12は、中断時間において、湿度計14から受信される湿度の積算により勾配を監視し、その勾配が適正な含水量(適正範囲)に合致するまで、断続的な掃気を行う。即ち、図4に示したステップS9において、ECU12は、勾配(積算値)が適正な含水量の範囲となった(積算値の目標値との差分が所定範囲に入った)か否かを判定し、そうであれば掃気を終了し、そうでなければ掃気を再開する。これによって、消費電力を抑えつつ、電解質膜2の含水量が適正になるように、水分排出を行うことができる。
また、実施形態1では、空気極4に対する水分排出について説明したが、このような水分排出(掃気)に係る構成は、発電停止時における燃料極3からの水分排出にそのまま適用が可能である。
なお、制御手段としてのECU12は、掃気時間(例えば、図5中のt3,t5,t7に
相当)の長さを含水量に基づいて制御(調節)しても良い。また、ECU12は、中断時間(例えば、図5中のt2,t4,t6)の長さを含水量に基づいて制御(調節)しても良い。さ
らに、ECU12は、掃気時のエア流量(エア供給量)を含水量に基づいて制御(調節)しても良い。
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1と共通の構成を有するので、主として異なる構成について説明し、共通点については説明を省略する。図8は、実施形態2に係る燃料電池システムの構成例を示す図である。
図8において、燃料電池1の燃料極3には、図示せぬ水素源(例えば高圧水素ガスタン
ク)からの反応ガスたる燃料ガスが三方弁21の第1入口及び出口並びに配管22を通っ
て供給される。燃料極3を通過した燃料ガスは、配管23に排出される。配管23には、三方弁24の入口が接続されており、三方弁24の第1出口には、配管25を介して排気弁26が接続されている。燃料ガスの排気時には、三方弁24の第1出口及び排気弁26が開かれ、配管23に排出された燃料ガスは、三方弁24及び排気弁26を通過し、図示せぬ希釈器によって希釈された後、外部に排出される。
一方、三方弁24の第2出口には、配管27を介して除湿器(凝縮器)28が接続されており、除湿器28は、配管29を介してポンプ30の入口に接続されており、ポンプ30の出口は、配管31を介して三方弁21の第2入口に接続されている。
このような構成によって、三方弁21の第1入口が閉じられるとともに第2入口及び出口が開かれ、さらに三方弁24の第1出口が閉じられるとともに入口及び第2出口が開かれた状態にされると、燃料極3を含む閉ループ(循環路:水素循環系)が形成される。
閉ループ形成時にて、循環手段たるポンプ30が駆動することによって、閉ループ内に存する燃料ガスが閉ループを循環する。閉ループを循環する燃料ガスの水分は、除去手段たる除湿器28を通過する際に除去され、除去された水分は、ドレーンを通じて外部に排出される。
図8に示した燃料電池システムにおいて、燃料電池1の発電が停止されると、ECU12は、三方弁21及び24を制御して閉ループを形成するとともに、ポンプ30を駆動させて燃料極3の掃気を実行する。掃気によって配管23(燃料電池1の外部)に排出された水分は、除湿器28にて回収され、排出される。
ポンプ30の制御方法として、実施形態1で説明した掃気方法を適用することができる。即ち、図4に示した処理をECU12が行い、断続的にポンプ30を駆動させて反応ガスたる燃料ガスが断続的に燃料電池1に供給されるようにして掃気を行うことで、消費電力を抑えたエネルギー効率のよい掃気を行うことができる。また、膜抵抗計測部13から得られる膜抵抗を元に掃気終了時を判断することで、電解質膜2の含水量が適正範囲となった時点で、掃気を終了することができる。このように、ECU12は、含水量取得手段及び制御手段として機能する。
図9は、実施形態2における掃気時の動作例を示す図であり、ガス循環量とスタック(
燃料極3)の水蒸気分圧との関係が示されている。図5では、燃料電池1の発電が停止さ
れてから、時間t1〜t7が経過するまでの間に、3回の中断時間t2,t4及びt6が挟まれた例が示されている。中断時間t2,t4及びt6において、水蒸気分圧は飽和分
圧に近づくように上昇し、その後の掃気時間t3,t5及びt7において水蒸気が掃気時間t1よりも小さい循環量で排出され、除湿器8にて除去される。
実施形態2によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、実施形態2では水素循環系(燃料極3)の水分を除去する構成を図示したが、実施形態2に示した循環路に係る構成は、空気極4からの水分排出に適用可能である。この場合では、空気が閉ループ(空気循環系)を循環するうちにクロスリークで酸素分圧が低下する。これによって、酸素による触媒劣化を抑えることができる。
なお、実施形態1で説明した構成と、実施形態2で説明した構成とは、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができる。
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態1及び2で説明したように、図10に示すような燃料電池システムで、蒸気拡散や、電解質膜2内の水分拡散の律速を前提にすると、電解質膜2内の水分拡散を待ってから掃気用の空気(エア)を断続的に送ることで、掃気に使うエネルギーを最小限にすることができる。即ち、空気の流量を増やして未飽和の蒸気を排出するよりも、水分が拡散するための時間を設けて断続的に掃気を行い、水分を排出すると、水分排出量あたりの動力損失を小さくすることができる。また、電解質膜の過度の乾燥を抑制することができる。
実施形態1及び2では、掃気時間及び中断時間として、予め定めた時間(固定時間)を規定し、この固定時間が経過する毎に、掃気(供給開始)及び中断(供給停止)を繰り返すようにしていた。これに対し、実施形態3では、電解質膜2の乾燥状態を確認しつつ、掃気及び中断を繰り返し行う(反応ガス供給を断続的に行う)構成例について説明する。
電解質膜2内の水分が十分に均一化した状態(定常状態)では、電解質膜2内の水分量(
含水量)と電極間(膜内)の交流インピーダンスとの関係が、図11に示すようにほぼ一意
となる。従って、定常状態下における交流インピーダンス値は、電解質膜2の乾燥状態の指標として利用することができる。実施形態1では、掃気処理の終了判定(図4のステッ
プ9)において、この交流インピーダンス値を用いている。
掃気が継続して行われると、実施形態1等で説明したように、電解質膜2表面の水分が失われる(乾燥する)。このことは、交流インピーダンスの大きな変化(急上昇)となってあらわれる。一方、掃気中断により、電解質膜2内の水分拡散によりその内部の水分分布が均一に近づくと、それに伴って交流インピーダンスは徐々に低下し、やがてほぼ一定になる。
実施形態3では、このような交流インピーダンスの変化を用いて、掃気中断及び掃気終了のタイミングを決定する。具体的には、次のような処理を行う。
(1)図12は、掃気時間と含水量推定値との関係を示すグラフである。掃気によって電解質膜2の表面が乾燥しない(電解質膜2の水分分布が常に一定である)と仮定し、エア流量と飽和蒸気圧とから電解質膜2の含水量変化を求めると、掃気によって電解質膜2の含水量推定値はほぼ一定の割合で低下すると考えることができる(図12の破線の直線:「
予測線」と称する)。
しかしながら、実際には、掃気によって電解質膜2表面が乾燥することにより、交流インピーダンスが急激に上昇する。よって、交流インピーダンスから求まる含水量推定値は、掃気時間の経過によって急激に低下する(図12の実線曲線)。この場合、含水量推定値
の変化量(低下量)の傾きは、予測線の傾きよりも大きくなる(図12の実線直線で示す)。
従って、掃気中、交流インピーダンスから推定される含水量(含水量推定値)の変化量が、エア掃気で排出される水分(予測線から得られる変化量)よりも十分大きくなった場合、電解質膜2の表面が乾燥してきたと判断し、掃気を中断する。
(2)一方、図13に示すように、掃気の中断によって、電解質膜2内の水分が拡散し、均一状態に近づくにつれて、交流インピーダンスから求まる含水量推定値は、定常状態において求まるであろう含水量推定値(図13中の破線直線で示す)に近づいて行き、その値に近づくにつれて、殆ど変化しなくなる。言い換えれば、掃気の中断によって、交流インピーダンスは徐々に低下し、やがては殆ど低下しなくなる(低下速度が落ちる)。
従って、掃気中断中、交流インピーダンス変化が十分緩やかになった場合、電解質膜2内の水分拡散が進んだと判断して、含水量を推定し、十分乾燥していれば掃気処理を終了し、不十分であれば掃気を再開する。
上述したような掃気及び掃気中断が、含水量が適正な値となるまで繰り返して行われることにより、トータルの掃気時間が短縮され、事前の燃料電池の運転状態に拘わらず、電解質膜を一定の乾燥状態(適正な含水量を有する状態)にすることができる。よって、氷点下及び常温の何れであっても適正に燃料電池を起動することが可能となる。
図14は、実施形態3に係る燃料電池システムの構成例を示す図である。図14において、燃料電池システムは、燃料電池(FCスタック)1と、燃料電池1に酸化剤ガス(空気)を供給するエアポンプ9と、燃料電池1における電解質膜2内の交流インピーダンス(電
解質膜2の抵抗(膜抵抗))を計測する、測定手段としての膜抵抗計測部(インピーダンス計測装置)13と、膜抵抗計測部13の計測結果に基づいてエアポンプ9の動作を制御する
制御装置(例えばECU)12Aとを備えている。
図14に示す燃料電池1、エアポンプ9、膜抵抗計測部13、及び制御装置12Aは、実施形態1における燃料電池システム(図1)で説明したものとほぼ同様の構成を有するので、説明を省略する(図1と同じ符号を付してある)。膜抵抗計測部13は、後述する掃気処理において、交流インピーダンスの計測値を随時制御装置12Aに入力する。制御装置(ECU)12Aは、交流インピーダンスの計測値に基づき、掃気開始(再開)、掃気中断及び掃気終了を制御する。
図15は、図14に示した制御装置12Aによって実行される掃気処理(掃気乾燥処理)の例を示すフローチャートである。図15に示す掃気処理は、例えば、燃料電池1の発電停止信号を制御装置12Aが受け取ることによって開始される。
最初に、制御装置12Aは、エア掃気を開始する(ステップS11)。即ち、制御装置12Aは、エアポンプ9に駆動信号を与えて掃気用のエア(空気)を燃料電池1に供給させる。これにより、掃気用の空気が空気極(カソード)4を通過する際に、空気極4に滞留する水分、電解質膜2の表面から蒸発した水蒸気を燃料電池1の外部に持ち去る。これによって、水分が燃料電池1外に排出されるとともに、電解質膜2の含水量が低下する。
制御装置12A内のメモリには、図12に示したようなエア流量と飽和蒸気圧とから推定される電解質膜2の含水量変化のデータ(図12中の破線直線:「水分変化予測データ
」と称する)が予め格納されている。このような水分排出予測データは実験等によって得
ることができる。
制御装置12Aは、掃気を開始する際に、図示せぬ温度センサから、燃料電池1の温度データを得て、この温度データから求まる飽和蒸気圧に応じた流量で空気が空気極4に供給されるように、エアポンプ9の動作(回転量)を制御する。
次に、制御装置12Aは、膜抵抗計測部(インピーダンス計測装置)13から入力される膜抵抗値(交流インピーダンス)の上昇速度が水分排出予測を超えているか否かを判定する(ステップS12)。掃気が継続されることにより、電解質膜2の表面が乾燥してくると、膜抵抗計測部13で計測される交流インピーダンスが急激に上昇する。
制御装置12Aは、膜抵抗計測部13から入力される交流インピーダンス値から、電解質膜2の含水量推定値を算出する。例えば、制御装置12Aのメモリには、図11に示したような交流インピーダンスから含水量を求めるためのデータ(関数データ)が格納されており、制御装置12Aは、当該関数データを用いて含水量の推定値を求める。このような関数データは、エア流量及び飽和蒸気圧に応じて複数個予め格納するように構成することができる。
また、制御装置12Aは、例えば掃気開始から所定の微少時間Δtが経過する毎に、Δtあたりにおける含水量推定値の変化量を算出し、算出された変化量と、水分排出予測データに基づく予測変化量とを比較する。このような処理は、例えば、掃気処理が終了するまでの間、繰り返し行われる。
変化量と予測変化量の比較において、両者の差分が所定範囲に収まる場合には、電解質膜2の含水量が予測通りに減少していることになる(図12)。これに対し、電解質膜2の表面が乾燥すると、交流インピーダンスが急激に上昇する。その結果、交流インピーダンスから求まる含水量推定値が急激に変化(低下)することになる(図12)。
ステップS12において、制御装置12Aは、算出された変化量と予測変化量との差分が所定範囲(所定閾値)を超えると、交流インピーダンスの上昇速度が水分排出予測を超えていると判定し(S12;YES)、エアポンプ9の動作を停止させて、掃気を中断する(
ステップS13)。
掃気の中断によって、電解質膜2では、その内部から表面に向かって水分が律速に従って拡散し、電解質膜2内の水分分布が均一になる状態に近づく、即ち、図13に示したように、含水量推定値が徐々に上昇し(交流インピーダンスが徐々に低下し)、本来の含水量(図13中の破線)に近づくと、変化量が殆どなくなり、その上昇速度は所定速度より小さくなる(交流インピーダンスの低下速度が所定値以下となる)。
制御装置12Aは、掃気を中断すると、交流インピーダンスの低下速度が所定速度以下となる、即ち含水量推定値のΔtあたりの低下量が所定閾値(所定速度)より小さくなるのを待つ(ステップS14)。そして、低下速度が所定速度以下となると(S14;YES)、制御装置12Aは、そのときの交流インピーダンスから求まる含水量推定値と、含水量の目標値との差分が所定範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS15)。目標値及び所定範囲のデータは予めメモリ内に格納される。
ここに、含水量推定値と目標値との差分が所定範囲に収まる場合(S15;YES)には、制御装置12Aは、掃気処理を終了する。差分が所定範囲に収まらない場合(S15;
NO)には、制御装置12Aは、処理をステップS11に戻し、エアポンプ9を再度駆動
させる。このとき、燃料電池1の温度を再度測定して、それに応じた飽和蒸気圧でのエア流量で掃気を行うようにすることができる。この場合、エア流量及び飽和蒸気圧に応じた水分排出予測データが、その後の掃気中断判定、掃気終了判定にて用いられる。
図16は、図15に示した掃気処理の例を示すタイミングチャートである。図16中における白丸印は、図15に示した掃気処理における終了判定タイミング(ステップS14
及びS15の処理)を示し、黒丸印は、図15に示した掃気処理における掃気中断判定タ
イミング(ステップS12)を示す。
図16に示すように、交流インピーダンス(含水量推定値)の値に応じて、掃気中断判定(S12)、掃気終了判定処理(S14及びS15)が行われる。また、図16に示すように、発電が終了した時点で、一旦終了判定処理(S15)が行われる。この点を除き、掃気処理におけるエア流量制御等は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。これによって、掃気時間及び中断時間を固定する場合(実施形態1)に比べて効率の良い掃気処理を行うことが可能となる。 なお、上述した掃気処理の例では、交流インピーダンス値から含水量推定値を求めて掃気終了又は掃気中断判定を行う場合について説明した。上述した水分排出予測データ(含水量変化)は、例えば、図11に示した関係を用いて、掃気時間に対する交流インピーダンスの変化に置換することができる。
このため、水分排出予測データとして、交流インピーダンスの変化予測データ(少なく
とも、掃気開始からΔt毎の交流インピーダンス変化量の予測値)を予めメモリに格納し
ておき、交流インピーダンスの測定値から求まる変化量と、交流インピーダンスの変化予測データから求まるΔtあたりの予測変化量とを比較することで、ステップS12及びS14の判定処理が行われるようにしても良い。この場合は、交流インピーダンス値から含水量推定値を求める処理が省略される。
実施形態3にて説明した掃気処理は、実施形態2で説明した構成に対して適用可能である。
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料電池システムの構成例を示す図である。 図2は、エアポンプから空気極に供給される空気の流量(エア流量)と、スタック(空気極)における水蒸気分圧と、時間との関係を示す説明図である。 図3は、掃気時間とスタック抵抗(膜抵抗)との関係を示す説明図である。 図4は、ECUによる処理の例を示すフローチャートである。 図5は、掃気処理の例を示す説明図である。 図6は、実施形態1の変形例を示す図である。 図7は、電解質膜の含水量と湿度との関係を示す図である。 図8は、本発明の実施形態2における燃料電池システムの構成例を示す図である。 図9は、実施形態2における掃気の一例を示す図である。 図10は、本発明に係る燃料電池システムにおける掃気乾燥処理の原理を説明する図である。 図11は、燃料電池の電解質膜の交流インピーダンスと電解質膜の含水量との関係を示すグラフである。 図12は、交流インピーダンスから求まる電解質膜の含水量推定値と掃気時間との関係を示すグラフである。 図13は、掃気中断中のインピーダンスと含水量との関係を示すグラフであり、掃気中断時間と含水量推定値との関係を示す。 図14は、実施形態3に係る燃料電池システムの構成例を示す図である。 図15は、図14に示した制御装置によって行われる掃気処理(掃気乾燥処理)の例を示すフローチャートである。 図16は、図15に示した掃気処理の例を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1・・・燃料電池
2・・・固体高分子電解質膜
3・・・燃料極(アノード)
4・・・空気極(カソード)
5・・・燃料極側セパレータ
6・・・空気極側セパレータ
9・・・エアポンプ
10・・・供給管
11・・・排気管
12・・・ECU
12A・・・制御装置
13・・・膜抵抗計測部
14・・・湿度計
21,24・・・三方弁
22,23,27,29,31・・・配管
28・・・除湿器
30・・・ポンプ

Claims (13)

  1. 固体高分子電解質膜形の燃料電池に反応ガスを供給する供給手段と、
    前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池を構成する電解質膜の含水量を取得する含水量取得手段と、
    前記含水量取得手段により取得された含水量に基づいて、前記燃料電池内部の水分を除去するための反応ガスが断続的に供給されるように前記供給手段の動作を制御する制御手段と
    を含む燃料電池システム。
  2. 固体高分子電解質膜形の燃料電池を経由する反応ガスの循環路と、
    前記循環路上に配置され、循環路内の反応ガスを循環させる循環手段と、
    前記循環路上に配置され、前記燃料電池から排出された反応ガスに含まれる水分を除去する除去手段と、
    前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池を構成する電解質膜の含水量を取得する含水量取得手段と、
    前記含水量取得手段により取得された含水量に基づいて、前記循環路内の反応ガスが前記燃料電池に断続的に供給されるように前記循環手段の動作を制御する制御手段と
    を含む燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、前記含水量取得手段により取得された含水量に応じて前記反応ガスの断続的な供給の終了を判定する請求項1又は2記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御手段は、前記含水量取得手段により取得された含水量に応じて前記反応ガスの断続的な供給の開始を判定する請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御手段は、前記反応ガスの供給中における、所定時間あたりの含水量の変化量に応じて前記反応ガスの供給を中断するか否かを判定する
    請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. 前記制御手段は、前記反応ガスの供給の中断時における、所定時間あたりの含水量の変化量に応じて前記反応ガスの供給を再開するか、反応ガスの断続的な供給を終了するかを判定する
    請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記含水量取得手段は、前記電解質膜のインピーダンスから前記電解質膜の含水量を推定する
    請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  8. 前記制御手段は、反応ガスの供給中における前記含水量取得手段で推定された含水量の変化量が所定の閾値を超える場合に前記反応ガスの供給を中断するか否かを判定する
    請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記制御手段は、前記反応ガスの供給の中断時において前記含水量取得手段で推定された含水量の変化量が所定の閾値を下回る場合に、前記反応ガスの供給を再開するか、反応ガスの断続的な供給を終了するかを判定する
    請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記含水量取得手段は、前記反応ガスが流れる電極中の湿度から前記電解質膜の含水量を推定する
    請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  11. 前記電解質膜の含水量の目標値と、この目標値に基づく含水量の適正範囲とが記憶装置上に予め保持されており、
    前記含水量取得手段は、前記反応ガスの供給が中断されてから一定時間が経過した後の前記電解質膜の含水量を取得し、
    前記制御手段は、取得された含水量と前記目標値の差分が前記適正範囲に収まる場合に、前記中断時間経過後に前記反応ガスの供給を再開することなく断続的な供給を終了することを判定する
    請求項3,7,10のいずれかに記載の燃料電池システム。
  12. 前記適正範囲よりも広い所定範囲が記憶装置上にさらに予め保持されており、
    前記制御手段は、前記含水量取得手段で取得された含水量と前記目標値の差分が前記適正範囲に収まらないが前記所定範囲に収まる場合に、前記中断時間経過後に前記反応ガスの供給を所定時間行い、この所定時間が経過した時点で当該断続的な供給を終了することを判定する
    請求項11に記載の燃料電池システム。
  13. 固体高分子電解質膜形の燃料電池に反応ガスを供給する供給手段と、
    前記燃料電池中の電解質膜の、燃料極と接する面と空気極と接する面との間のインピーダンスを測定する測定手段と、
    前記燃料電池の発電停止後に、前記測定手段で得られるインピーダンスの変化に応じて反応ガスが前記燃料電池に断続的に供給されるように、前記供給手段による反応ガスの供給開始及び供給停止を制御する制御手段と
    を備える燃料電池システム。
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