〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜10、20、及び21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
まず、図2に基づいて本発明の一実施形態である光ディスク装置(情報記録再生装置)1の構成について説明する。図2は、光ディスク装置1の構成を示すブロック図である。光ディスク装置1は、図2に示すように、光ヘッド11、ピックアップ12、記録再生回路群10、制御部20、及び格納部(記録条件保存手段)3を備えている。
光ヘッド11は記録用のレーザビームを光ディスク2の記録部位に照射することによって、光ディスク2の情報記録面上のトラックに情報を記録マークとして記録するものである。光ヘッド11の光源としては、レーザ発光ダイオードなどが好適に用いられるが、これに限られずその他の半導体レーザや、He−Neレーザなどの非半導体レーザであっても良い。ピックアップ12は光ヘッド11を光ディスク2の記録部位へ移動させるものである。
記録再生回路群10は、ピックアップ駆動回路13、レーザ駆動回路14、及び再生回路15を備える。ピックアップ駆動回路13は、ピックアップ12を光ディスク2の記録部位へ移動させるものである。レーザ駆動回路14は、光ヘッド11からレーザビームを光ディスク2に照射させるものである。再生回路15は、光ヘッド11が検出した反射光を、再生信号に変換して、制御部20に入力するものである。格納部3は様々なデータを制御部20とやりとりするものである。
つぎに、図1に基づいて、格納部3、及び制御部20の構成要素の詳細について説明する。格納部3は一時記憶部31と記憶部32とからなる。
制御部20は、条件変更手段4、記録条件設定部(記録条件設定手段)21、記録指令部22、再生指令部26、記録条件選択部(記録条件選択手段)27、及び再生信号品質計測部(再生信号品質計測手段)28を備えている。条件変更手段4は、マーク長条件設定部(マーク長条件設定手段)23、記録条件テーブル作成部(記録条件テーブル作成手段)24、及び記録条件読み出し部(記録条件読み出し手段)25を備えている。
条件変更手段4は、あらかじめ設定された記録条件を変更する基準となる記録マーク長が短くなるように記録パルスを変化させ、かつ、記録パワーを増加させるように制御するものである。ここで、条件変更手段4の各構成要素の詳細について説明する。マーク長条件設定部23は記録条件を変更する基準となるマーク長条件Nを設定するものである。記録条件テーブル作成部24は、上記マーク長条件Nと記録条件の規定値とに基づいて記録条件テーブルを作成するものである。記録条件読み出し部25は、上記記録条件テーブル内の記録条件を順次、読み出して、記録条件設定部21に読み出した記録条件を通知するものである。
つぎに、制御部20の条件変更手段4以外の構成要素について説明する。記録条件設定部21は、記録再生回路群10のレーザ駆動回路14の記録条件を設定するものである。記録指令部22は、記録再生回路群10のピックアップ駆動回路13及びレーザ駆動回路14に記録指令を出すものである。
再生指令部26は、記録再生回路群10のピックアップ駆動回路13及びレーザ駆動回路14に再生指令を出すものである。この再生指令により、ピックアップ駆動回路13は、ピックアップを記録部位に移動させ、レーザ駆動回路14は光ヘッド11を駆動して光ディスクの記録部位に再生用のレーザビームを照射させる。再生信号品質計測部28は入力された再生信号にもとづいて、再生信号品質の評価の基準となる指標値を計測するものである。記録条件選択部27は、上記指標値に基づき上記記録条件テーブル内の記録条件のうち最も良い記録条件を選択するものである。
つぎに、図2に基づいて光ディスク装置1の動作について説明する。図2に示すように、回転する光ディスク2の情報記録面上の図示しないトラックへ、制御部20がピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を移動させる。
そして、制御部20がレーザ駆動回路14に対して記録条件を設定し、レーザ駆動回路14からレーザ駆動波形が出力される。出力されたレーザ駆動波形に基づいて、光ヘッド11から記録用のレーザビームを光ディスク2の情報記録面に照射することによって、光ディスク2の情報記録面上に情報が記録マークとして記録される。
また、光ディスク装置1は、制御部20がピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を光ディスク2の記録部位へ移動させる。そして、制御部20がレーザ駆動回路14を介して光ヘッド11から再生用のレーザビームを光ディスク2に照射する。
光ヘッド11が検出した反射光は、再生回路15において再生信号に変換され、制御部20に入力される。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク2の情報記録面上のトラックに記録された記録マークに基づいて情報を再生する。
(単一の記録パルスを用いた場合1−1)
つぎに、本実施の形態1における記録条件設定方法の一例について、図1、図3及び図20に基づいて格納部3及び制御部20の動作とともに説明する。この記録条件設定方法は、以下で説明するように、図3のステップ103で、試し書きを行う記録条件のテーブルを作成し、その作成された記録条件テーブルに基づいて記録条件の設定を行うものである。ここでは、単一の記録パルスからなる記録ストラテジを用いた場合の記録条件設定方法について説明する。
まず、図20に基づいて、本記録条件設定方法における記録マークを形成するための、単一のパルスで構成された一般的なレーザ出力波形の一例について説明する。図20は記録マークを形成するための、単一のパルスで構成された一般的なレーザ出力波形の一例を示す波形図である。
図20に示すように、単一の記録パルスからなる記録ストラテジの各パラメータについては2Tから8Tまでのレーザ出力波形がある。なお、上述したように、一般に、記録マークは、記録及び再生を行なう際に基準となる時間であるチャネルクロックの周期をTとして、Tの整数倍の長さで形成される。したがって、例えば、2Tの出力波形とは記録マークを2Tのマーク長で形成する場合に対応するレーザ出力波形の意である。
つぎに、図1及び図3に基づいて本記録条件設定方法における光ディスク装置1の格納部3及び制御部20の動作について説明する。図1は光ディスク装置1における制御部20及び格納部3の構成を示すブロック図である。また、図3は本記録条件設定方法の処理の流れを示すフローチャートである。ここで、本記録条件設定方法は、図2に示すように、制御部20において、再生回路15より入力される再生信号を用いて、良好な再生信号品質を得られるように、レーザ駆動回路14の記録条件を設定する方法である。
まず、ステップ101(以下「ステップ」は単に「S」と記載する。)では、図3に示すように、規定値の記録条件を設定する。具体的には、図1に示すように、光ディスクのメーカーが、上記規定値の記録条件を格納部3の記憶部32にあらかじめ記憶させておく。すなわち、上記規定値は、例えば、記録対象の光ディスクに適した記録条件として、光ディスクのメーカーによってあらかじめ設定されるものであり、光ディスク装置内の記憶装置に記憶されているか、或いは光ディスクの所定領域に記録されている。本実施の形態では、上述のように、上記規定値が光ディスクのメーカーによってあらかじめ光ディスク装置内の記憶部32に記憶されている場合について説明する。なお、上記規定値は、記録に用いられる記録パワーを含む、記録ストラテジの各パラメータの規定値である。
つぎに、S102では、図3に示すように、マーク長条件Nを設定する。具体的には、図1に示すように、マーク長条件設定部23が、記録条件の変更の基準となるマーク長の値であるNが入力されると、値Nを格納部3の一時記憶部31に格納する。なお、マーク長条件Nとは、記録条件を変更する基準となる書き込み対象の記録マーク長である。(1,7)RLL(Run Length Limited code)の変調方式を用いた記録ストラテジの場合、マーク長条件Nを、単一の記録パルスを用いて形成する記録マークのうち、最短の記録マークである2Tを設定する。つまり、マーク長条件Nを2とする。
実際、記録マーク長が短いほど、冷却パルス幅の設定可能な最大値が小さくなり、熱干渉の影響を受けやすくなる。したがって、熱干渉の影響が最も大きい最短マークを設定する。これにより、良好な再生信号品質を得ることができる。なお、マーク長条件の設定が終了した場合には、その終了を、マーク長条件設定部23が、記録条件テーブル作成部24に通知する。
次に、S103に進み、図3に示すように、試し書きを行う記録条件のテーブルを作成する。具体的には、図1に示すように、記録条件テーブル作成部24が、マーク長条件設定部23からマーク長条件の設定終了の通知を受けると、格納部3の記憶部32に格納されている記録条件の規定値と格納部3の一時記憶部31に格納されている値Nとを読み出し、これらの値に基づいて記録条件テーブルを作成するとともに格納部3の一時記憶部31に格納する。
つぎに、図3のS103において作成される記録条件のテーブルについて詳細に説明する。ここでは、記録マークの始端部分又は終端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件のテーブルを作成する。なお、以下では、変調方式として(1,7)RLL(Run Length Limited code)を採用した場合を例に挙げて説明する。
ただし、採用される変調方式は、(1,7)RLL(Run Length Limited code)の変調方式に限られるものではない。また、RLLコード(Run Length Limited code)とは、磁気的、光学的デジタル記録において、反転間隔の最小値と最大値とを制限したコードである。
本記録条件設定方法では、図2の光ディスク2に試し書きをする場合に参照される記録条件テーブルとして、記録パルスの立ち下がり時間dTeを大きくする方に変化させ(単一の記録パルスにおける終了位置の時点を、記録しようとする記録マークにおける始端の時点に近づけ)、かつ、記録パルスの記録パワーPwを増加させる記録条件テーブルを作成する場合とする。
つぎに、本記録条件テーブルの作成方法について、図4に基づいて、さらに詳しく説明する。図4は、上記記録条件テーブルにおける記録条件の変化の組み合わせ例を示している。上記記録条件テーブルの作成においては、マーク長条件Nの値が2なので、マーク長2Tの記録マーク(以下、「2Tマーク」のように省略する)を形成するための記録ストラテジの各パラメータを用いる。すなわち、上記録条件テーブルの作成においては、2Tマークを形成するための記録ストラテジの各パラメータのうち、記録パルスの記録パワーPw、記録パルスの立ち下がり時間dTeの2種類のパラメータを用いることとする。
まず、図4に示すように、記録パルスの立ち下がり時間dTeを図3のS101で設定した記録条件の規定値を中心として、+1ステップ〜+3ステップで、1ステップ刻みで変化させる。ここで、1ステップとは、対象となるパラメータの変化量である。例えば、図2のレーザ駆動回路14における設定可能な値など、任意に設定することができる。
ここでは、1ステップを0.25Tとした。つまり、ここで「+1ステップ」とは、記録パルスの立ち下がり時間dTeを0.25T大きくすることを示している。また、記録パルスの記録パワーPwを、例えば、図3のS101で読み取った記録条件の規定値を基準として、+5%〜+15%の範囲で、5%刻みで変化させる。つまり、図4に示すような条件a11〜a33の9通りの記録条件を有する記録条件テーブルが作成される。なお、図1に示すように、記録条件テーブルの作成が終了した場合には、その終了を、記録条件テーブル作成部24が、記録条件読み出し部25に通知する。
次に、S104に進み、図3に示すように、試し書きを行う際の所定記録パターンにしたがって、上記記録条件テーブルを参照しながら、記録条件を変化させて光ディスクに記録する。具体的には、図1に示すように、記録条件読み出し部25が、記録条件テーブル作成部24から記録条件テーブルの作成が終了した通知を受けた後、格納部3の一時記憶部31に格納されている記録条件テーブルを読み出し、該記録条件テーブル内のすべての記録条件の読み出しが終了するまで、順次、読み出した記録条件を記録条件設定部に通知する。次に、記録条件設定部21が、上記通知を受けた記録条件に基づいて図2の記録再生回路群10のレーザ駆動回路14の記録条件を設定する。また、図1の記録条件設定部21は、記録条件の設定毎に、記録指令部22に記録条件の設定が終了したことを通知する。その後、記録指令部22が、上記通知を受けて、図2の記録再生回路群10に対して記録指令をだす。さらに、記録再生回路群10が、上記指令を受けて、ピックアップ駆動回路13によりピックアップ12を光ディスク2の記録部位に移動させ、その移動終了後、レーザ駆動回路14により光ヘッド11を駆動して記録パルスを照射させて試し書きの記録を行う。
つぎに、本記録条件設定方法において記録に用いられる所定記録パターンについて詳細に説明する。本記録条件設定方法では、記録に用いられる所定記録パターンとして、上記(1,7)RLL(Run Length Limited code)変調方式で変調した後のデータを用いる。例えば、1セクタ毎又は1トラック毎など、基準となりうる記録単位毎に、記録条件を変化させて、所定記録パターンを光ディスク2に記録する。
本記録条件設定方法では、光ディスクのユーザ領域に1トラック単位で、(1,7)RLL(Run Length Limited code)の変調方式における最短マーク長である2Tから最長マーク長である8Tまでの各マーク長を含むランダムパターンを所定記録パターンとして記録を行う。この際、図1に示すように、光ディスク装置1の格納部3の一時記憶部31に記憶されている上記記録条件テーブル内の記録条件を参照する。なお、上記試し書きが終了した場合には、その終了を、記録指令部22が再生指令部26に通知する。
次に、図3に示すように、S105に進み、S104で記録した上記所定記録パターンを再生する。具体的には、図1に示すように、再生指令部26が、記録指令部22から上記試し書きが終了した通知を受けると、図2の記録再生回路群10に再生指令を出す。つぎに、図2に示すように、記録再生回路群10が、上記再生指令を受けて、ピックアップ駆動回路13によりピックアップ12を光ディスク2の記録部位に移動させ、その移動終了後、レーザ駆動回路14により光ヘッド11を駆動して再生用のレーザビームを照射させて上記試し書きの記録の再生を行う。
さらに、図3に示すように、S106に進み、S105で得られた再生信号より再生信号品質の指標値を得る。具体的には、図2に示すように、まず、再生回路15が、上記再生が行われている際に、光ヘッド11が検出した反射光を、再生信号に変換して、制御部20に入力する。なお、図1に示すように、上記再生信号は、制御部20の再生信号品質計測部28に入力される。このとき、図1に示すように、再生指令部26は上記再生が行われることを、そのつど再生信号品質計測部28に通知するとともに、上記再生が終了した場合には、その終了を再生信号品質計測部28に通知する。つぎに、図1示すように、再生信号品質計測部28が、再生指令部から上記再生が行われることを通知された後、再生回路15から上記再生信号を受け取り、該再生信号に基づいて、該再生信号の品質を計測し、該品質の指標値を得る。なお、再生信号品質計測部28は、上記品質の指標値を得ると、該指標値と対応する記録条件とを格納部3の一時記憶部31に記憶させる。該指標値として、例えば、ジッタを用いる他に、エラーレートなどを用いることができる。
次に、図3に示すように、S107に進み、S103で作成した記録条件テーブル内の条件が全て終了したかどうかを判断する。具体的には、図1に示すように、記録条件読み出し部25が、上記録条件テーブル内のすべての記録条件の読み出しが終了するまで、順次、読み出した記録条件を記録条件設定部21に通知する。この際、再生信号品質計測部28は、順次、読み出した記録条件とこれに対応する指標値とを一時記憶部31に記憶させる。
ここで、図3に示すように、S107で、記録条件テーブル内の条件が全て終了した場合は、S108に進む。具体的には、図1に示すように、再生信号品質計測部28が、記録条件読み出し部25から記録条件の読み出しがすべて終了したことを通知された後、すべての記録条件に対応する指標値の計測が終わり、すべての指標値と対応する記録条件との、一時記憶部31への記憶が完了すると、その終了を記録条件選択部27に通知する。このすべての指標値と対応する記録条件とは、すべての指標値と対応する記録条件とによるテーブル(以下、「指標値・記録条件テーブル」と呼ぶ)として記憶される。図6はこの指標値・記録条件テーブルの一例を示す図である。図6では、指標値として、ジッタを用いている。
S108では、図3に示すように、試し書きした記録条件テーブル内の条件の中から、再生信号品質が最も良好である条件を選択する。具体的には、図1に示すように、記録条件選択部27が、再生信号品質計測部28によって格納部3の一時記憶部31に記憶された、指標値・記録条件テーブルに基づいて試し書きした記録条件テーブル内の条件の中から、再生信号品質が最も良好である条件を選択する。図6に基づいて説明すれば、記録条件b12に対応する指標値であるジッタが6%のときが、最も良い再生信号品質であるので、この例の場合は、記録条件選択部27は、記録条件b12を選択する。
つづいて、図3に示すように、S109に進み、S108で選択した条件を記録条件として設定する。具体的には、図1に示すように、記録条件選択部27が、格納部3の記憶部32に選択した記録条件を記憶させている。なお、選択した記録条件は直接、記録条件設定部21に通知して図2のレーザ駆動回路14の記録条件を設定させるようにしても良い。
一方、S107で、図3に示すように、記録条件テーブル内の条件が全て終了していない場合は、S110に進む。具体的には、上述したように、図1の記録条件読み出し部25が格納部3の一時記憶部31に格納されている記録条件テーブルを読み出し、該記録条件テーブル内のすべての記録条件の読み出しが終了するまで、順次、読み出してゆく。
図3のS110では、記録条件テーブル内の条件で、まだ試し書きされていない条件を選択する。具体的には、図1に示すように、記録条件読み出し部25が、順次、記録条件を読み出して、記録条件設定部21に通知する。
このような記録条件設定方法によって、書き込み対象の記録マークの1つ後の記録マークに対する記録パルスの熱干渉の影響を少なくして、書き込み対象である記録マークの終端部分を形成することが可能となる。また、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることもできる。
(単一の記録パルスを用いた場合1−2)
つぎに、本実施の形態1における記録条件設定方法の他の一例について説明する。ここでは、単一の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合において、記録マークの始端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件のテーブルを作成し、これを参照して試し書きを行う場合について説明する。なお、図3のフローチャートにおいて、単一の記録パルスを用いた場合1−1の記録条件設定方法における処理と同等の部分は、説明を省略する。
本記録条件設定方法では、記録パルスの立ち上がり時間dTsを大きくする方に変化させ(単一の記録パルスにおける開始位置の時点を、記録しようとする記録マークにおける終端の時点に近づけ)、かつ、記録パルスの記録パワーPwを増加させる記録条件とする。
この場合、図3のS103では、記録パルスの立ち上がり時間dTsと記録パルスの記録パワーPwとを組み合わせた記録条件テーブルを作成する。例えば、図4の記録条件テーブルの、記録パルスの立ち下がり時間dTeを記録パルスの立ち上がり時間dTsに置き換えた、図5に示す条件b11〜b33の9通りの記録条件を有する記録条件テーブルが作成される。
ここで、上記記録条件テーブルを参照して試し書きを行う。これにより、書き込み対象の記録マークの1つ前の記録マークに対する記録パルスの熱干渉の影響を受けずに、書き込み対象である記録マークの始端部分を形成することが可能である。さらに、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることもできる。
したがって、例えば、(1,7)RLL(Run Length Limited code)変調方式による変調において、冷却パルス幅が設定可能な最大値が最も小さい2Tマークに関する記録ストラテジを本記録条件設定方法で設定することで、熱干渉の影響が最も大きい最短の記録マークに対する記録ストラテジを設定することができる。また、これにより、良好な再生信号品質を得ることができる。
(複数の記録パルスを用いる場合1−1)
ところで、単一の記録パルスではなく、複数の記録パルスからなる記録ストラテジによって、記録マークを形成する方法も知られている。複数の記録パルスを用いることによって、熱量を均一にすることができ、均一な幅の記録マークを形成することができる。そこで、図8に基づいて、本実施の形態1における記録条件設定方法のさらに他の一例として、複数の記録パルスからなる記録ストラテジを用いた場合の記録条件設定方法について説明する。
図8は本実施例における記録マークを形成するための、複数の記録パルスで構成された一般的なレーザ出力波形の一例を示す波形図である。なお、図3のフローチャートにおいて、上述した処理と同等の部分は、説明を省略する。
まず、複数の記録パルスからなる記録ストラテジについて説明する。図8に示すように、複数の記録パルスからなる記録ストラテジは、1つの記録パルスを用いて2Tマークの記録を行う。もし、2Tより長いマークを記録する場合は、記録マーク長より1小さい数の記録パルスを用いる。例えば、図8では、5Tマークを記録する場合、パルス幅が大きいもの及び小さいものなど4つの記録パルスを用いている。
つぎに、図7に基づいて5Tの記録マークの形成するための、複数の記録パルスで構成された一般的なレーザ出力波形の一例を説明する。図7は5Tマークの記録ストラテジのみの場合の出力波形を示している。ここで、複数の記録パルスからなる記録ストラテジの各パラメータについて、図7に基づいて説明する。
記録パルスは、始端部分のファーストパルス(最初の記録パルス)、終端部分のラストパルス(最後の記録パルス)、残りの中間部のマルチパルス部で構成される。ファーストパルスは、ファーストパルスの記録パワーPwf、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfs、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeで構成される。一方、ラストパルスは、ラストパルスの記録パワーPwl、ラストパルスの立ち上がり時間dTls、ラストパルスの立ち下がり時間dTleで構成される。また、マルチパルス部は、マルチパルス部の記録パワーPwmとパルス幅で構成され、熱量が一定になるようにパラメータが設定される。
ここで、図7に示すように、記録しようとする記録マークの始端の時点からファーストパルスの開始位置の時点までの時間をファーストパルス立ち上がり時間と定義し、dTfsとする。また、記録しようとする記録マークの始端の時点から2T(この値は2Tでなくても良い)だけ進んだ時点から、ファーストパルスの終了位置の時点までの時間をファーストパルス立ち下がり時間と定義し、dTfeとする。一方、記録しようとする記録マークの終端の時点からT(この値はTでなくても良い)だけ後退した時点からラストパルスの開始位置の時点までの時間をラストパルス立ち上がり時間とし、dTlsとする。また、記録しようとする記録マークの終端の時点からラストパルスの終了位置の時点までの時間をラストパルス立ち下がり時間と定義し、dTleとする。なお、記録しようとする記録マークの終端の時点から2T(この値は2Tでなくても良い)だけ進んだ時点から、冷却パルスの終了位置の時点までの時間を、冷却パルスの立ち下がり時間と定義し、dTcとする。
つぎに、図7を用いて、ファーストパルス及びラストパルスに関する各パラメータについてさらに詳しく説明する。まず、ファーストパルスの記録パワーPwfが大きくなると、記録マークの始端部分の熱量が大きくなり、記録マークの開始位置が記録マークの始端部分の方へ移動する。一方、ファーストパルスの記録パワーPwfが小さくなると、記録マークの始端部分の熱量が小さくなり、記録マークの開始位置が記録マークの終端部分の方へ移動する。
また、ラストパルスの記録パワーPwlが大きくなると、記録マークの終端部分の熱量が大きくなり、記録マークの終了位置が記録マークの終端部分の方へ移動する。一方、ラストパルスの記録パワーPwlが小さくなると、記録マークの終端部分の熱量が小さくなり、記録マークの終了位置が記録マークの始端部分の方へ移動する。
つぎに、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsが小さくなると、ファーストパルスの開始位置は記録マークの始端部分の方へ移動し、ファーストパルスのパルス幅は大きくなる。その結果、記録マークの開始位置が記録マークの始端部分の方へ移動し、記録マークは長くなる。一方、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsが大きくなると、ファーストパルスの開始位置は記録マークの終端部分の方へ移動し、ファーストパルスのパルス幅は小さくなる。その結果、記録マークの開始位置が記録マークの終端部分の方へ移動し、記録マークは短くなる。
また、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeが小さくなると、ファーストパルスの終了位置は記録マークの終端部分の方へ移動し、ファーストパルスのパルス幅は大きくなる。その結果、記録マークの始端部分の熱量が大きくなる。一方、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeが大きくなると、ファーストパルスの終了位置は記録マークの始端部分の方へ移動し、ファーストパルスのパルス幅は小さくなる。その結果、記録マークの始端部分の熱量が小さくなる。
さらに、ラストパルスの立ち上がり時間dTlsが小さくなると、ラストパルスの開始位置は記録マークの始端部分の方へ移動し、ラストパルスのパルス幅は大きくなる。その結果、記録マークの終端部分の熱量が大きくなる。一方、ラストパルスの立ち上がり時間dTlsが大きくなると、ラストパルスの開始位置は記録マークの終端部分の方へ移動し、ラストパルスのパルス幅は小さくなる。その結果、記録マークの終端部分の熱量が小さくなる。
また、ラストパルスの立ち下がり時間dTleが小さくなると、ラストパルスの終了位置は記録マークの終端部分の方へ移動し、ラストパルスのパルス幅は大きくなる。その結果、記録マークの終了位置が記録マークの終端部分の方へ移動し、記録マークは長くなる。一方、ラストパルスの立ち下がり時間dTleが小さくなると、ラストパルスの終了位置は記録マークの始端部分の方へ移動し、ラストパルスのパルス幅は小さくなる。その結果、記録マークの終了位置が記録マークの始端部分の方へ移動し、記録マークは短くなる。
ここで、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合における記録条件テーブルを作成する場合について説明する。始めに、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの終端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件のテーブルを作成する。
つぎに、本実施の形態1における記録条件設定方法のさらに他の一例について説明する。なお、図3のフローチャートにおいて、上述した処理と同等の部分は、説明を省略する。また、記録条件は、本記録条件設定方法では、ラストパルスの立ち下がり時間dTleを大きくする方に変化させ(複数の記録パルスのうち、最後の記録パルスの終了位置の時点を記録しようとする記録マークの始端の時点に近づけ)、かつ、ラストパルスの記録パワーPwlを増加させる記録条件とする。
まず、図3のS102で、マーク長条件Nを設定する。ここで、(1、7)RLL(Run Length Limited code)の変調方式を用いた、図8に示す記録ストラテジの場合、マーク長条件Nを、複数の記録パルスを用いて形成する記録マークのうち、最短の記録マークである3Tを設定する。つまり、マーク長条件Nを3とする。
ところで、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合も、単一の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合と同様に、記録マーク長が短いほど、冷却パルスのパルス幅が設定可能な最大値が小さくなり、熱干渉の影響が大きくなる。
したがって、マーク長条件Nを、複数の記録パルスを用いて形成する記録マークのうち、最短の記録マークである3Tとし、マーク長条件Nを3と設定することで、最も熱干渉の影響が大きい記録ストラテジを設定することができ、良好な再生信号品質を得ることができる。
次に、図3のS103で、ラストパルスの立ち下がり時間dTleとラストパルスの記録パワーPwlを組み合わせた記録条件テーブルを作成する。例えば、図4の記録条件テーブルの、記録パルスの立ち下がり時間dTeをラストパルスの立ち下がり時間dTleに置き換え、記録パルスの記録パワーPwをラストパルスの記録パワーPwlに置き換えた、図9に示す条件c11〜c33の9通りの記録条件を有する記録条件テーブルを作成する。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象の記録マークの1つ後の記録マークに対する記録パルスの熱干渉の影響を受けずに、書き込み対象である記録マークの終端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能である。また、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
(複数の記録パルスを用いる場合1−2)
つぎに、本実施の形態1における記録条件設定方法のさらに他の一例として、他の記録条件テーブルを作成する場合について説明する。ここでは、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの始端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件のテーブルを作成する。
ここで、本記録条件設定方法について説明する。なお、図3のフローチャートにおいて、上述した処理と同等の部分は、説明を省略する。また、記録条件は、本記録条件設定方法では、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsを大きくする方に変化させ(複数の記録パルスのうち、最初の記録パルスの開始位置の時点を記録しようとする記録マークの終端の時点に近づけ)、かつ、記録パルスの記録パワーPwを増加させる記録条件とする。
ここでは、図3のS103で、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsとファーストパルスの記録パワーPwfを組み合わせた記録条件テーブルを作成する。例えば、図4の記録条件テーブルの、記録パルスの立ち下がり時間dTeをファーストパルスの立ち上がり時間dTfsに置き換え、記録パルスの記録パワーPwをファーストパルスの記録パワーPwfに置き換えた、図10に示す条件d11〜d33の9通りの記録条件を有する記録条件テーブルが作成される。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象の記録マークの1つ前の記録マークに対する記録パルスの熱干渉の影響を受けずに、書き込み対象である記録マークの始端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能である。また、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の光ディスク装置1の他の実施の形態について図3〜5、9〜15、及び20に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図11に基づいて、本実施の形態の光ディスク装置1における記録条件設定方法について説明する。図11は、本実施の形態の光ディスク装置1における記録条件設定方法におけるフローチャートである。
図11に示すように、本記録条件設定方法におけるフローチャートは、図3のフローチャートのS102から続くものであり、図3のS104へと続くものである。また、前記実施の形態1のS103に相当するステップは本実施の形態においては、図11に示すように、S201となっている。よって、S102までとS104からの説明は、上述の通りであるので省略する。
ところで、前記実施の形態1では、熱干渉の影響を少なくして正しい位置に形成することができる十分な冷却パルス幅を設定している。一方、本実施の形態では、さらに記録ストラテジの他のパラメータを変化させて、さらに良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができるようになっている。
(単一の記録パルスを用いる場合2−1)
つぎに、本実施の形態2における記録条件設定方法の一実施例について説明する。
まず、図20に示す単一の記録パルスからなる記録ストラテジを用いた場合の、記録条件設定方法について説明する。始めに、単一の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの終端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件に加えて、更に記録パルスの別のパラメータを変化させる記録条件のテーブルを作成する。
つぎに、本記録条件設定方法について説明する。なお、記録条件は、本記録条件設定方法では、記録パルスの立ち下がり時間dTeを大きくする方に変化させ(単一の記録パルスにおける終了位置の時点を、記録しようとする記録マークにおける始端の時点に近づけ)、かつ、記録パルスの記録パワーPwを増加させる記録条件に加えて、更に記録パルスの立ち上がり時間dTs(記録パルスの開始位置の時点)を変化させる記録条件とする。
すなわち、前記実施の形態1では、単一の記録パルスからなる記録ストラテジにおいて、記録パルスの立ち下がり時間dTeを大きくする方に変化させると同時に、記録パルスの記録パワーPwを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成し、該記録条件テーブルに基づいて記録条件の設定を行った。
しかし、本記実施の形態2では、さらに、記録パルスの立ち上がり時間dTsを変化させる記録条件を有する記録条件のテーブルを用いて記録条件の設定を行う点が上記実施例と異なる。本実施の形態では、2種類の記録条件のテーブルを作成し、各テーブルの記録条件を複合して用いる。
ここで、図11に基づいて、本記録条件設定方法におけるS201における記録条件テーブルの作成方法について説明する。まず、前記実施の形態1と同様に、記録パルスの立ち下がり時間dTeを大きくする方に変化させると同時に、記録パルスの記録パワーPwを大きくする方向へ変化させる第1の記録条件テーブルを作成する。例えば、図4に示す記録パルスの立ち下がり時間dTeと記録パルスの記録パワーPwを組み合わせた、条件a11〜a33の記録条件を有する記録条件テーブルを作成する。
次に、記録パルスの立ち上がり時間dTsを変化させる第2の記録条件テーブルが作成される。図12は、記録パルスの立ち上がり時間dTsを変化させる記録条件テーブルを作成するステップにおける第2の記録条件テーブルの例を示している。
ここで、第1の記録条件テーブルの作成においては、マーク長条件Nの値が2なので、2Tの記録マークを形成するための記録ストラテジの各パラメータを用いる。さらに、第2の記録条件テーブルの作成においては、2Tの記録マークを形成するための記録ストラテジにおける各パラメータのうち、記録パルスの立ち上がり時間dTsの1種類のパラメータを用いる。
図11のS201で、記録パルスの立ち上がり時間dTsを、例えば、図3のS101で設定した規定値を中心として、該規定値の記録パルスのパルス幅より大きくならないような変化量である、−1ステップ〜+1ステップで、1ステップ刻みで変化させる。つまり、例えば、図12に示す条件e1〜e3の3通りの記録条件を有する記録条件のテーブルが作成される。
すなわち、記録パワーPwを読み取った規定値より大きくする方向へ変化させるので、記録パルスの幅を、読み取った規定値の記録パルスの幅より大きくならないように設定する。
ここで、図11のS201において、図4及び図12に示す記録条件テーブルが作成されているとき、S201では、第1の記録条件テーブル中の条件a11〜a33のそれぞれと、第2の記録条件テーブル中の条件e1〜e3とのそれぞれを組み合わせた、27(9×3)通りの記録条件で、記録パターンが記録される。
また、S201では、例えば、まずe1と、条件a11〜a33とのそれぞれを組み合わせた9通りの記録条件で記録パターンが記録され、次いで、条件e2及びe3について、順次に、条件a11〜a33を組み合わせた各々9通りの記録条件で記録パターンが記録される。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象である記録マークの終端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能であり、さらに記録マークの始端部分の調整を行うことで、より良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
(単一の記録パルスを用いる場合2−2)
つぎに、本実施の形態2における記録条件設定方法の他の一例として、他の記録条件テーブルを作成する場合について説明する。ここでは、単一の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの始端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件に加えて、更に記録パルスの別のパラメータを変化させる記録条件のテーブルを作成する。
ここで、本記録条件設定方法について説明する。なお、記録条件は、本記録条件設定方法では、記録パルスの立ち上がり時間dTsを大きくする方に変化させ(単一の記録パルスにおける開始位置の時点を、記録しようとする記録マークにおける終端の時点に近づけ)、かつ、記録パルスの記録パワーPwを増加させる記録条件に加えて、更に記録パルスの立ち下がり時間dTeを変化させる(記録パルスの終了位置の時点を変化させる)記録条件とする。
すなわち、前記実施の形態1では、単一の記録パルスからなる記録ストラテジにおいて、記録パルスの立ち上がり時間dTsを大きくする方に変化させると同時に、記録パルスの記録パワーPwを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成し、作成された該記録条件テーブルに基づいて記録条件の設定を行った。
しかし、本記録条件設定方法では、さらに、記録パルスの立ち下がり時間dTeを変化させる記録条件を有する記録条件のテーブルを用いて記録条件の設定を行う点が上記実施の一形態1の場合と異なる。本記録条件設定方法では、2種類の記録条件のテーブルを作成し、各テーブルの記録条件を複合して用いる。
まず、前記実施の形態1と同様に、記録パルスの立ち上がり時間dTsを大きくする方に変化させると同時に、記録パルスの記録パワーPwを大きくする方向へ変化させる第1の記録条件テーブルが作成される。例えば、図5に示す記録パルスの立ち上がり時間dTsと記録パルスの記録パワーPwとを組み合わせた、条件b11〜b33の記録条件を有する記録条件テーブルが作成される。
次に、図11のS201で、例えば、図13に示すように、記録パルスの立ち下がり時間dTeを変化させる条件f1〜f3の3通りの記録条件を有する第2の記録条件テーブルが作成される。
図3のS104では、第1の記録条件テーブル内の条件b11〜b33の9通りの記録条件と、第2の記録条件テーブル内の条件f1〜f3の3通りの記録条件との、それぞれの条件を組み合わせた27(9×3)通りの記録条件で記録される。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象である記録マークの始端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能であり、さらに記録マークの終端部分の調整を行うことで、より良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
(複数の記録パルスを用いる場合2−1)
つぎに、本実施の形態2における記録条件設定方法のさらに他の一例として、図8に示す複数の記録パルスからなる記録ストラテジを用いた場合の、記録条件設定方法について説明する。
始めに、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの終端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件に加えて、更に記録パルスの別のパラメータを変化させる記録条件のテーブルを作成する。
ここで、本記録条件設定方法について説明する。なお、記録条件は、本記録条件設定方法では、ラストパルスの立ち下がり時間dTleを大きくする方に変化させ(最後の記録パルスの終了位置の時点を記録しようとする記録マークの始端の時点に近づけ)、かつ、ラストパルスの記録パワーPwlを増加させる記録条件に加えて、更にラストパルスの立ち上がり時間dTlsを変化させる(最後の記録パルスの開始位置の時点を変化させる)記録条件とする。
すなわち、前記実施の形態1では、複数の記録パルスからなる記録ストラテジにおいて、ラストパルスの立ち下がり時間dTleを大きくする方に変化させると同時に、ラストパルスの記録パワーPwlを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成し、作成された該記録条件テーブルに基づいて記録条件の設定を行った。
しかし、本記録条件設定方法では、さらにラストパルスの立ち上がり時間dTlsを変化させる記録条件を有する記録条件のテーブルを用いて記録条件の設定を行う点が実施の形態1の場合と異なる。本記録条件設定方法では、2種類の記録条件のテーブルを作成し、各テーブルの記録条件を複合して用いる。
まず、前記実施の形態1と同様に、ラストパルスの立ち下がり時間dTleを大きくする方に変化させると同時に、ラストパルスの記録パワーPwlを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成するステップによって、例えば、図9に示すラストパルスの立ち下がり時間dTleとラストパルスの記録パワーPwlを組み合わせた、条件c11〜c33の記録条件を有する第1の記録条件テーブルが作成される。
次に、図11のS201で、例えば、図14に示す、ラストパルスの立ち上がり時間dTlsを変化させる条件g1〜g3の3通りの記録条件を有する第2の記録条件テーブルが作成される。
すなわち、S201で、ラストパルスの立ち上がり時間dTlsを、例えば、S101で設定した規定値を中心として、該規定値のラストパルスの幅より大きくならないような変化量である、−1ステップ〜+1ステップで、1ステップ刻みで変化させる。また、ラストパルスの記録パワーPwlをS101で読み取った規定値より大きくする方向へ変化させるので、ラストパルスの幅を、図3のS101で設定した規定値のラストパルスの幅より大きくならないように設定する。
S104では、第1の記録条件テーブル内の条件c11〜c33の9通りの記録条件と、第2の記録条件テーブル内の条件g1〜g3の3通りの記録条件との、それぞれの条件を組み合わせた27(9×3)通りの記録条件で記録される。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象である記録マークの終端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能になる。さらにラストパルスの立ち上がり時間dTlsを変化させることで、記録マークの終端部分を、ラストパルスの立ち下がり時間dTleの設定可能な最小値以下で微調整することができ、より良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
(複数の記録パルスを用いる場合2−2)
つぎに、本実施の形態2における記録条件設定方法のさらに他の一例として、他の記録条件テーブルを作成した場合について説明する。ここでは、複数の記録パルスを用いて記録マークを形成する場合の、記録マークの始端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件に加えて、更に記録パルスの別のパラメータを変化させる記録条件のテーブルを作成する。
ここで、本実施例の記録条件設定方法について説明する。なお、記録条件は、本実施例では、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeを大きくする方に変化させ(最初の記録パルスの開始位置の時点を記録しようとする記録マークの終端の時点に近づけ)、かつ、ファーストパルスの記録パワーPwfを増加させる記録条件に加えて、更にファーストパルスの立ち下がり時間dTleを変化させる(最初の記録パルスの終了位置の時点を変化させる)記録条件とする。
すなわち、前記実施の形態1では、複数の記録パルスからなる記録ストラテジにおいて、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsを大きくする方に変化させると同時に、ファーストパルスの記録パワーPwfを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成するステップによって作成された記録条件テーブルに基づいて記録条件の設定を行った。
しかし、本実施の形態2では、さらにファーストパルスの立ち下がり時間dTfeを変化させる記録条件を有する記録条件のテーブルを用いて記録条件の設定を行う点が実施の形態1の場合と異なる。本実施の形態2では、2種類の記録条件のテーブルを作成し、各テーブルの記録条件を複合して用いる。
まず、前記実施の形態1と同様に、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsを大きくする方に変化させると同時に、ファーストパルスの記録パワーPwfを大きくする方向へ変化させる記録条件テーブルを作成するステップによって、例えば、図10に示すファーストパルスの立ち下がり時間dTfsとファーストパルスの記録パワーPwfを組み合わせた、条件d11〜d33の記録条件を有する第1の記録条件テーブルが作成される。
次に、図11のS201で、例えば、図15に示す、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeを変化させる条件h1〜h3の3通りの記録条件を有する第2の記録条件テーブルが作成される。
すなわち、図11のS201で、ファーストパルスの立ち下がり時間dTfeを、例えば、S101で設定した規定値を中心として、該規定値のファーストパルスの幅より大きくならないような変化量である、−1ステップ〜+1ステップで、1ステップ刻みで変化させる。
また、ファーストパルスの記録パワーPwfを図3のS101で設定した規定値より大きくする方向へ変化させるので、ファーストパルスの幅を、上記規定値のファーストパルスの幅より大きくならないように設定する。
図3のS104では、第1の記録条件テーブル内の条件d11〜d33の9通りの記録条件と、第2の記録条件テーブル内の条件h1〜h3の3通りの記録条件との、それぞれの条件を組み合わせた27(9×3)通りの記録条件で記録される。
本記録条件設定方法によって、以下に示す効果が得られる。上記ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsを大きくする方に変化させると同時に、ファーストパルスの記録パワーPwfを大きくする方向へ変化させる記録条件を有した記録条件のテーブルに基づいて記録条件を設定することで、書き込み対象である記録マークの始端部分を、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能になる。
さらにファーストパルスの立ち下がり時間dTfeを変化させることで、記録マークの終端部分を、ファーストパルスの立ち上がり時間dTfsの設定可能な最小値以下で微調整することができ、より良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図3、9、10、及び16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1又は2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1又は2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図16に示すように、本実施の形態におけるフローチャートは、図3のフローチャートのS102から続くものであり、図3のS104へと続くものである。また、前記実施の形態1の図3におけるS103に相当するステップは本実施の形態においては、図16のS301となっている。よって、S102までとS104からの説明は、上述したとおりであるので省略する。
本実施の形態3では、単一の記録パルスからなる記録ストラテジを用いた場合、書き込み対象である記録マークの始端部分と終端部分との両方において、熱干渉の影響を少なくして形成することが可能であり、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる点が上記実施の形態1及び2の場合と異なる。
すなわち、前後の冷却パルス幅が短い場合、記録マークの始端部分および終端部分の両方とも、熱干渉の影響を受けて、正しい位置で記録マークを形成することができない。そこで、本実施の形態では、記録マークの始端部分および終端部分の両方とも、熱干渉の影響を少なくするように、記録条件の変更を行い、良好な再生信号品質が得ることができる。
(記録マークの両端を短くする場合)
つぎに、本実施の形態3における記録条件設定方法の一例について、図16のフローチャートに基づいて説明する。記録条件設定方法では、記録マークの始端部分かつ終端部分を短くする方向に記録パルスを変化させると同時に、記録パワーを大きくする記録条件のテーブルを作成する。本記録条件設定方法は、こうして作成された記録条件テーブルに基づくものである。
ここで、本記録条件設定方法について説明する。なお、記録条件は、本記録条件設定方法では、ラストパルスの立ち下がり時間dTleを大きくする方に、かつファーストパルスの立ち上がり時間dTfsを大きくする方に変化させ(複数の記録パルスのうち、最後の記録パルスの終了位置の時点を記録しようとする記録マークの始端の時点に近づけ、かつ、最初の記録パルスの開始位置の時点を記録しようとする記録マークの終端の時点に近づけ)、かつ、ファーストパルスの記録パワーPwfとラストパルスの記録パワーPwlを増加させる記録条件とする。
つぎに、図16のS301における記録条件テーブルの作成方法について説明する。S301において、記録条件テーブルを作成するが、ファーストパルスの記録条件テーブルとラストパルスの記録条件テーブルとは独立して作成することができる。
したがって、本記録条件設定方法では、前記実施の形態1のように、例えば、図9のラストパルスに関する条件c11〜c33の9通りの記録条件を有する第1の記録条件テーブルと、図10のファーストパルスに関する条件d11〜d33の9通りの記録条件を有する第2の記録条件テーブルとが用いられる。図3のS104では、2種類の記録条件テーブル内の条件を組み合わせた81(9×9)通りの記録条件で記録される。
本記録条件設定方法によって、書き込み対象である記録マークの始端部分と終端部分との両方において、熱干渉の影響を少なくすることが可能である。また、良好な再生信号品質を得られる記録条件を見つけることができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図1、3、17、及び25に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1〜3では、単一の記録パルスを用いて形成する記録マークのうち、最短の記録マークである2Tをマーク長条件として設定した。しかし、最短の記録マークの記録ストラテジを設定しても、まだ熱干渉の影響が残っている場合がある。
また、複数の記録パルスを用いる場合では、複数の記録パルスを用いて形成する記録マークのうち、最短の記録マークである3Tをマーク長条件として設定した。しかし、まだ熱干渉の影響が残っている場合がある。
そこで、本実施の形態4における記録条件設定方法では、記録マーク長が短いほうから、記録条件を見つけていき、所定の性能を満たす記録条件を見つけた場合、記録条件を設定する処理を行う。
すなわち、従来の問題点に関して、図25で説明したように、書き込み対象である記録マーク長が短いほど、記録マーク長に対する記録パルスの長さが大きくなり、書き込み対象である記録マークのための記録パルスの前後の冷却パルス幅の、設定可能な最大値が小さくなる。
つまり、書き込み対象である記録マーク長が短いほど、前後の冷却パルス幅の設定可能な最大値が小さくなり、熱干渉の影響を受けやすい。よって、記録マークが短いほうから記録条件を設定することによって、熱干渉の影響を受けやすい順番で、つまり再生信号品質が影響を受けやすい順番で、記録条件を設定することができる。
また、所定の記録パターンを、記録条件テーブルの全ての組み合わせを用いて記録する前に、所定の性能を満たす記録条件を見つけることができるため、前記実施の形態1から3に示す例に比べて、記録条件の設定に要する時間を短縮できる。
さらに、光ディスクの情報記録面上に記録する所定の記録パターンの数を減らすことができるため、光ディスク上の所定の記録パターンを記録するエリアをあまり大きくする必要がない点が上記実施例と異なる。
(所定の性能を満たす記録条件を見つける場合)
つぎに、本実施の形態4における記録条件設定方法の一例について、図17のフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローチャートは、前記実施の形態1〜3のいずれかにおける図3のS106に続くものであり、図3のS106までの説明は上述したとおりであるので、省略する。
まず、図17のS401で、図3のS106において得られた再生信号品質の指標値が、所定値より良好な結果であるかどうかの判断を行う。具体的には、図1において、あらかじめ、再生信号品質の指標値の所定値を格納部3に格納しておく。それから、記録条件選択部27が、上記所定値を読み出して、該所定値と図3のS106において得られた再生信号品質の指標値との比較を行う構成とすればよい。
つぎに、所定値より良好な結果である場合は、図17に示すように、S402に進み、記録条件として設定する。具体的には、図1において、記録条件選択部27が上記所定値を読み出して、図3のS106において得られた再生信号品質の指標値が上記所定値よりも良好な結果である場合には、上記指標値を選択し、図1の格納部3の記憶部32に記憶させる構成とすれば良い。
一方、良好な結果が得られていない場合には、図17に示すように、S403に進む。S403では、記録条件テーブル内の記録条件の全てについて実施されたかどうか判断する。具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、上記所定値よりも良好な指標値を得る前に、記録条件テーブル内の記録条件のすべての読み出しが終了した場合にはマーク長条件設定部23に通知し、該通知を受けたマーク長条件設定部23が値Nを変更するように構成すれば良い。
次に、図17のS403において、記録条件テーブル内の条件の全てについて実施されていない場合には、S404に進む。S404では、記録条件テーブル内の実施されていない記録条件に変更する。具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、上記所定値よりも良好な指標値を得る前であり、かつ、記録条件テーブル内の記録条件のすべての読み出しが終了していない場合には、記録条件の読み出しを続行する構成とすれば良い。
さらに、図17のS404で記録条件を変更した後、図3のS104へ戻り、記録を行う。具体的には、上記実施の形態1と同様の構成であるので、説明は省略する。
一方、図17のS403にて、記録条件テーブル内の条件が全て実施されている場合は、S405に進む。S405では、マーク長が最大であるかどうかを判断する。
具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、マーク長が最大であるかどうかを判断する構成とすれば良い。
次に、図17のS405において、マーク長が最大である場合は、全てのマーク長に対して記録条件を設定しても、良好な再生信号品質が得られなかったため、失敗を示すエラー表示などを行い、処理を終了する。具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、マーク長が最大であると判断した場合に、制御部20が、失敗を示すエラー表示などをディスプレイ表示させる構成とすれば良い。
一方、マーク長が最大でない場合は、図17のS406に進む。S406では、マーク長条件NをN+1として、マーク長条件を変更する。具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、マーク長が最大でないと判断した場合に、マーク長条件設定部23に通知し、該通知を受けたマーク長条件設定部23が、マーク長条件NをN+1とする構成とすれば良い。
この結果、記録条件テーブルの全ての組み合わせを用いて最良条件を選択する場合と比べて、効率よく、所定の性能を満たす記録条件を見つけることができるため、記録条件の設定に要する時間を短縮できる。
また、記録条件を設定するために光ディスク上に記録する所定記録パターン数を減らすことができるため、記録媒体上の所定記録パターンを記録するエリアを小さくすることができる。
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態について図1、17〜19に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜4と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態5における記録条件設定方法では、記録マーク長が短いほうから記録条件を見つけていき、所定の条件を満たす記録条件を見つけた場合、前記記録条件を設定する処理を行う。
さらに、最良記録条件選択手段にて選択された記録条件で得られる再生信号品質が、最良記録条件保存手段に保存された記録条件で得られる再生信号品質より改善されなかった場合、記録条件を選択する処理を終了する処理を行う。
ところで、前記実施の形態4では、記録マークが短いほうから記録条件を設定することによって、熱干渉の影響を受けやすい順番で、つまり再生信号品質が影響を受けやすい順番で、記録条件を設定している。
ここで、マーク長条件Nにおいて最良記録条件選択手段で選択された記録条件で得られる再生信号品質が、マーク長条件N−1において最良記録条件保存手段に保存された記録条件で得られる再生信号品質より改善されなかった場合、マーク長条件Nにおける冷却パルスのパルス幅が十分に確保できており、Nより大きいマーク長条件でも、冷却パルスのパルス幅が十分に確保されると考えることができる。
よって、本実施の形態5において、マーク長条件Nにおいて最良記録条件選択手段にて選択された記録条件で得られる再生信号品質が、マーク長条件N−1において最良記録条件保存手段に保存された記録条件で得られる再生信号品質に比べて、改善されなかった場合、失敗を示すエラー表示などを行い、処理を終了することで、所定の性能を満たす記録条件が記録条件テーブル内に存在するかどうかの判定を行うことができる。
所定の性能を満たす記録条件が存在しない場合でも記録条件のテーブル内の記録条件を記録する場合に比べて、早く判定を行い、光ディスクのおけるトラックを変更し再度記録条件の設定を行ったり、エラー表示をすることで、光ディスク上に記録する所定記録パターン数を減らすことができる。
ここで、マーク長条件について説明する。例えば、現在3Tマークに対する記録ストラテジの記録条件の設定を行っている場合、設定されているマーク長条件Nは3である。よって、マーク長条件Nにおいて最良記録条件選択手段にて選択された記録条件は、3Tマークに対する記録ストラテジの記録条件のテーブル内で最もよい再生信号品質が得られる記録条件のことを指している。また、マーク長条件N−1は2となる。
したがって、マーク長条件N−1において最良記録条件保存手段に保存された記録条件は、2Tマークに対する記録ストラテジの記録条件のテーブル内で最もよい再生信号品質が得られる記録条件のことを指している。
(最良記録条件を保存しておく場合)
つぎに、本実施の形態5における記録条件設定方法の一例について、図18のフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローチャートは、前記実施の形態4における図17のフローチャートのS403で、記録条件テーブル内の条件が全て実施されている場合に続くものであり、S403までの説明は上述したとおりであるので、省略する。
まず、図18のS501では、図17のS403において、記録条件テーブル内のすべての記録条件についての実施が終了している場合には、設定されているマーク長条件Nにおける記録条件テーブル内の条件のうち、最も良好な再生信号品質の指標値が得られる記録条件を選択する。具体的には、図1の記録条件選択部27が、記録条件テーブル内のすべての記録条件についての実施が終了している場合には、設定されているマーク長条件Nにおける記録条件テーブル内の条件のうち、最も良好な再生信号品質の指標値が得られる記録条件を選択するよう構成すれば良い。
次に、図18のS502に進み、設定されているマーク長条件Nにおいて、S501で選択された最良の記録条件の再生信号品質の指標値が、保存されているマーク長条件N−1における最良の記録条件の再生信号品質の指標値と比べて、改善されているかどうかを判断する。具体的には、まず、図1の格納部3が上記マーク長条件N−1における最良の記録条件を保存する構成とする。つぎに、図1の記録条件選択部27が、設定されているマーク長条件Nにおいて、図18のS501で選択された最良の記録条件の再生信号品質の指標値が、保存されているマーク長条件N−1における最良の記録条件の再生信号品質の指標値と比べて、改善されているかどうかを判断するように構成すれば良い。
ここで、指標値が改善されている場合、図18のS503に進む。S503では、S501で選択した最良条件を保存する。その後、図17のS405に進み、マーク長条件が終了であるかどうかを判断する。具体的には、図1の記録条件選択部27が、図18のS501で選択された最良の記録条件の再生信号品質の指標値が、格納部3に保存されているマーク長条件N−1における最良の記録条件の再生信号品質の指標値と比べて、改善されていると判断した場合には、選択した最良条件を格納部3に保存する構成とすれば良い。
一方、指標値が、改善されていない場合、処理を終了する。具体的には、図1の記録条件読み出し部25が、図18のS501で選択された最良の記録条件の再生信号品質の指標値が、格納部3に保存されているマーク長条件N−1における最良の記録条件の再生信号品質の指標値と比べて、改善されていないと判断した場合に、処理を終了し、図2の制御部20が、失敗を示すエラー表示などをディスプレイ表示させる構成とすれば良い。なお、処理の終了では、エラー表示を行って処理を終了してもよいし、光ディスクにおけるトラックを変更して、再度記録条件の設定を開始してもよい。
この結果、マーク長条件を変更して記録条件を設定する場合と比べて、冷却パルスのパルス幅が十分に確保できている場合、失敗を示すエラー表示などを行い、処理を終了するので、効率よく、所定の条件を満たす記録条件が記録条件テーブル内に存在するかどうかの判定を行うことができる。
なお、本記録条件設定方法におけるマーク長条件は、記録条件を設定するマーク長であるが、前のスペース長とそれに続くマーク長の組み合わせや、マーク長とそれに続くスペース長の組み合わせなどで、記録条件を設定することも可能である。例えば、前のスペース長Lsとそれに続くマーク長Lmとの組み合わせで、記録条件を設定することが可能な場合、図17のフローチャートのS406におけるマーク長条件の変更の際に、後に続くマーク長より前のスペース長を優先して増加するようにする。
図19に示すように、まず、マーク長Lmの条件j1と前のスペース長Lsの条件i1〜i7との組み合わせにおいて、条件i1から順番に条件i7まで条件j1との組み合わせで、順番に記録条件の設定を行う。次に条件j2、j3、・・・、j7という順番で、条件i1〜i7と組み合わせるという構成とすれば良い。具体的には、図1のマーク長条件設定部23が、マーク長条件だけでなく、スペース長条件も設定できる構成とすれば良い。
なお、上述した本実施の形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、記録条件の設定は、各トラックにおいて少なくとも1回行うことが好ましいが、必ずしも全てのトラックで行う必要はなく、複数トラックごとであってもよい。
最後に、図2の光ディスク装置1の各ブロック、特に制御部20は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、光ディスク装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光ディスク装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオディスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、光ディスク装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。