JP2008032266A - 蒸気発生装置及びこれを搭載した加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸気発生室と水中で連通し、且つ上部空間が大気に対し開放された水位検知室に水位検知手段を配置した蒸気発生装置において、水が沸騰した際に生じる泡が蒸気発生室の蒸気導出管に水の膜を張り、水位検知手段が偽りの高い水位を検知する現象を防止する。
【解決手段】加熱調理器1は、加熱室20に熱媒体である過熱水蒸気または熱風を供給する。過熱水蒸気のもととなる飽和水蒸気を生成する蒸気発生装置60は、蒸気発生室64と、蒸気発生室64内の水を沸騰させる蒸気発生ヒータ65と、蒸気発生室64の上部空間より、水の沸騰によって生じた水蒸気を導出する蒸気導出管64aと、蒸気発生室64と水中で連通し、且つ上部空間が大気に対し開放された水位検知室63に配設された容器水位センサ75を備える。蒸気導出管64aの断面形状の径は、蒸発室64内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとする。
【選択図】図6

Description

本発明は蒸気発生装置及びこれを搭載した加熱調理器に関する。
加熱室に食材を入れて加熱調理を行うオーブン形式の調理器の加熱様式には、輻射熱によるもの、熱媒体によるもの、高周波加熱によるものなど、様々な種類がある。これらを組み合わせて用いる場合も多い。熱媒体によるものの場合、代表的な熱媒体は空気を加熱して得られる熱風と100℃以上の過熱状態の水蒸気、すなわち過熱水蒸気である。特許文献1には熱媒体として過熱水蒸気と熱風の選択使用が可能な調理器が記載されている。特許文献2には水を加熱して蒸気を発生する蒸気発生器が記載されている。
特開2006−84082号公報(第4−16頁、図1−17) 特開2000−266302号公報(第3−4頁、図1−6)
蒸気発生装置には、空焚き防止のため、水位検知手段が設けられる。蒸気発生室の水位が所定レベル以下に低下したことを水位検知手段が検知すると、水の補充がなされる。水位検知手段は、蒸気発生室自体に設けられることもあれば、蒸気発生室に水中で連通する別の空間を水位検知室として、そこに設けられることもある。水位検知手段を蒸気発生室とは別の水位検知室に設けた構成では、水の沸騰による水面の波立ちの影響を避けられる反面、次の現象の影響を受ける。
それは、蒸気発生室の蒸気導出管に、水が沸騰した際に生じる泡が接触し、蒸気導出管の中に水が表面張力で膜(水膜)を張って蒸気導出管を閉塞してしまう現象である。この現象が生じると水蒸気の送出が妨げられ、蒸気発生室の蒸気圧が上昇する。蒸気圧により、水膜は蒸気導出管の奥の方に押しやられようとするが、この箇所には水蒸気が凝縮して生じた凝縮水が存在し、水膜の移動は凝縮水によって妨げられる。結局、水膜が破れるまで蒸気発生室の蒸気圧は上昇を続けることになる。
蒸気発生室の蒸気圧が高まったとしても、水の行き場がなければ水位は変わらない。ところがこの場合、蒸気発生室に連通する水位検知室が水の行き場となって、蒸気発生室の水位が低下する一方、水位検知室の水位は上昇するという現象が生じる。水面の上昇または下降の応答性を良くするため、水位検知室の上部空間は大気に対し開放させてあるので、この現象の発生は避けられない。すなわち、水位検知手段の検知する水位は、蒸気発生室の実際の水位ではなく、偽りの高い水位ということになる。蒸気発生室の実際の水位は低くなっているにも関わらず、水位検知手段が高い水位を検知しているので水の補充は行われない。この状態が続くと空焚きになってしまう。
蒸気発生装置を備えた加熱調理器を家庭用として設計する場合、全体のサイズを大きくできないので、蒸気発生装置も小型のものを使用せざるを得ない。蒸気発生装置が小型であると、蒸気発生室の水面から蒸気導出管までの距離が短くなる。その結果、沸騰水の泡が蒸気導出管に接触する確率がますます高まる。つまり、家庭用として加熱調理器の小型化を図るのに伴い、水膜対策が喫緊の課題となっていた。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、蒸気発生室と水中で連通し、且つ上部空間が大気に対し開放された水位検知室に水位検知手段を配置した蒸気発生装置において、水が沸騰した際に生じる泡が蒸気発生室の蒸気導出管に付着して蒸気導出管を閉ざす水膜となり、その結果蒸気発生室の蒸気圧が上昇して、水位検知手段の検知する水位検知室の水位が、蒸気発生室の実際の水位を反映しない、偽りの高い水位となるという現象を防止することにある。
(1)上記目的を達成するために本発明は、蒸気発生装置が、蒸気発生室と、前記蒸気発生室内の水を沸騰させる加熱手段と、前記蒸気発生室の上部空間より、前記水の沸騰によって生じた水蒸気を導出する蒸気導出管と、前記蒸気発生室と水中で連通し、且つ上部空間が大気に対し開放された水位検知室と、前記水位検知室に配設された水位検知手段を備え、前記蒸気導出管の断面形状の径を、前記蒸発室内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとしたことを特徴としている。
この構成によると、沸騰水の泡が蒸気導出管に接しても、蒸気導出管は管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさであるため、水膜が張りにくい。そのため、蒸気発生室の蒸気圧が異常に上昇する可能性が減少し、水位検知手段が偽りの高い水位を検知することも少なくなるので、空焚きに進展する可能性が減少する。
(2)また上記構成の蒸気発生装置においては、前記蒸気導出管の断面形状を円とし、その直径を、前記蒸発室内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとすることが好ましい。
この構成によると、蒸気導出管の断面形状が円であるため、どこで断面形状を測定しても同じ径であり、水膜が張る現象を安定して起こりにくくすることができる。
(3)また上記構成の蒸気発生装置においては、前記蒸気導出管の直径を13mm以上とすることが好ましい。
この構成によると、ほぼ確実に水の膜を張らせないようにすることができる。
(4)また上記構成の蒸気発生装置においては、前記蒸気導出管の直径を15mm以上とすることが好ましい。
この構成によると、一層確実に水の膜を張らせないようにすることができる。
(5)また上記構成の蒸気発生装置においては、前記蒸気導出管は、その出口部に比べ入口部の直径が大であることが好ましい。
この構成によると、蒸気導出管の中で泡が最初に接触する入口部の直径を大きくして、管内に水の膜が張る現象を効果的に防止できる。その反面、出口部は小径であるから蒸気発生装置の大型化を避けることができ、また従来用いられている蒸気供給用配管に無理なく接続することができる。
(6)また本発明に係る加熱調理器は、熱媒体である水蒸気を得るために上記のような蒸気発生装置を搭載した加熱調理器であることが好ましい。
この構成によると、空焚きの懸念なく蒸気発生装置を稼働し、水蒸気を発生させて、熱媒体として利用することができる。
本発明によると、蒸気発生装置の蒸気導出管に水の膜が張らず、蒸気発生室の蒸気圧が異常に上昇することがなく、水位検知手段が偽りの高い水位を検知することが低減され、安定した水位検知を行うことができる。
本発明に係る蒸気発生装置を搭載した加熱調理器の一例を図1−5に基づき説明する。図1は正面図、図2は加熱室の扉を開いた状態の正面図、図3はトレイ使用状況を説明する模型的断面図、図4は全体構成説明図、図5は制御ブロック図である。
加熱調理器1は直方体形状のキャビネット10を備える。キャビネット10の正面には扉11が設けられる。扉11は下端を中心に垂直面内で回動するものであり、上部のハンドル12を握って手前に引くことにより、図1に示す垂直な閉鎖状態から図2に示す水平な開放状態へと90゜姿勢変換させることができる。扉11は、耐熱ガラスをはめ込んだ透視部を備える中央部分11Cの左右に、金属製装飾板で仕上げられた左側部分11L及び右側部分11Rを対称的に配置した構成を備える。右側部分11Rには操作部13が設けられている。
扉11を開くと図2のようにキャビネット10の正面が露出する。扉11の中央部分11Cに対応する箇所には加熱室20が設けられている。扉11の左側部分11Lに対応する箇所には水タンク収納部80が設けられている。扉11の右側部分11Rに対応する箇所には特に開口部は設けられていないが、その箇所の内部に制御基板が配置されている。
加熱室20は直方体形状で、扉11に面する正面側は全面的に開口部となっている。加熱室20の残りの面はステンレス鋼板で形成される。加熱室20の周囲には断熱対策が施される。
調理器1は、食材を熱媒体で加熱するとともに、高周波を用いて加熱することも可能になっている。以下、主として図4を参照しつつ加熱の仕組みを説明する。
加熱室20の底部の下には高周波発生装置21が組み込まれている。すなわち加熱室20の底部はガラスやセラミックなどの誘電体で形成され、その下にアンテナ室22が形成されている。アンテナ室22はアンテナ23を収容し、アンテナ23はアンテナモータ24によって水平面内で揺動する。アンテナ室22にはマグネトロン25より導波管26を通じて高周波が送り込まれ、送り込まれた高周波をアンテナ23が加熱室20内に供給する。マグネトロン25は高周波駆動電源27(図5参照)によって発振する。
加熱室20の底部の下には、高周波発生装置21の他、下部ヒータ28が配置されている。下部ヒータ28は後述する熱媒体ヒータ42と協働して加熱室20内の熱媒体を所定温度に加熱する。
調理器1は熱媒体として過熱水蒸気または熱風を用いるものであり、熱媒体は外部循環路30を通って循環する。外部循環路30の始端となるのは、加熱室20の奥の側壁の上部に形成された吸込口31である。吸込口31は小径の透孔の集合からなる。
吸込口31に続くのは送風装置32である。送風装置32は加熱室20の奥の側壁の外面に取り付けられている。送風装置32は遠心ファン33及びこれを収容するファンケーシング34と、遠心ファン33を回転させるファンモータ35(図5参照)を備える。遠心ファン33としてはシロッコファンを用いる。ファンモータ35には高速回転が可能な直流モータを使用する。
ファンケーシング34から吐出された熱媒体はダクト36を通じて熱媒体生成装置40に送り込まれる。熱媒体生成装置40は、加熱室の天井部の上に形成された昇温室41の中に熱媒体ヒータ42を配置して構成されるものであり、平面的に見て天井部の中央部にあたる箇所に設けられる。熱媒体ヒータ42はシーズヒータからなる。
熱媒体生成装置40で昇温された熱媒体は上方及び側方より噴流として加熱室20に供給される。その噴流を形成する仕組みにつき以下説明する。
加熱室20の上部には上部熱媒体供給口43が設けられる。上部熱媒体供給口43を構成するのは、昇温室41の底部となり、また加熱室20の天井部の一部ともなる噴気カバー44である。噴気カバー44は垂直断面が台形のドームを上下反転した形状であり、そこに形成された複数の噴気孔が噴流形成部を構成する。噴気カバー44の中央に広い面積を占める水平部には熱媒体を真下に噴出させる垂直噴気孔45が複数形成され、水平部を囲む斜面部には熱媒体を斜め下に噴出させる斜め噴気孔46が複数形成されている。
加熱室20の左右両側壁の外側には、左右対称的に側部熱媒体供給口47(図3参照)が設けられる。どちらの側部熱媒体供給口47にも、熱媒体生成装置40よりダクト48を通じて熱媒体が送り込まれる。側部熱媒体供給口47の加熱室20に面する側は開口となっており、そこから熱媒体が噴流となって噴き出す。すなわちこの箇所が噴流形成部となる。側部熱媒体供給口47の底部は噴流の方向を定めるガイド部49となっている。
熱媒体である過熱水蒸気のもととなる飽和水蒸気を生成するため、調理器1は蒸気発生装置60を備える。蒸気発生装置60は中心線を垂直にして配置された筒型の容器61を有する。
容器61の内部は円筒形の隔壁62により同心円状に区画され、内側の区画は水位検知室63、外側の区画は蒸気発生室64となっている。隔壁62は容器61の底近くまで届き、水位検知室63と蒸気発生室64は水中で連通している。また水位検知室63の上部空間は大気に対し開放している。蒸気発生室64の中には、水の加熱手段として、シーズヒータをコイル状に巻いた蒸気発生ヒータ65が配置されている。蒸気発生室64の上部には、蒸気供給管66へと続く蒸気導出管64aが設けられる。蒸気導出管64aは、図では容器61の天井に配置されているが、容器61の側面に配置されていても構わない。
蒸気導出管64aは、軸線方向に垂直に断面した場合、外側の輪郭形状及び内側の通路断面形状がともに円形となっている。ここで「蒸気導出管の断面形状」とは、「軸線方向に垂直な通路の断面形状」と定義する。この定義は特許請求の範囲及び明細書全体に適用される。「断面形状の径」は断面の形状により定まる寸法であって、例えば円であれば「直径」ということになる。
蒸気供給管66の出口部はファンケーシング34の吸込側に接続される。蒸気供給管66はゴム管やシリコンチューブなど柔軟性のあるチューブで構成する。蒸気導出管64aが容器61に一体成形されたものであれば、蒸気導出管64aが蒸気供給管66に挿入され、両者の連結がなされることになる。
水位検知室63の上部空間に対し、給水管67とオーバーフロー管68が接続される。給水管67は水タンク収納部80(図2参照)に収納された水タンク81の水を容器61に注ぎ込むためのものであり、途中に給水ポンプ69が設けられている。容器61の底部は漏斗状に成形され、そこから排水パイプ70が導出される。排水パイプ70の途中には排水バルブ71が設けられている。
給水ポンプ69は、直接水タンク81から水を吸い上げるのでなく、水タンク81が接続する中継タンク72から水を吸い上げるものである。水タンク81の底部からは水タンク収納部80の奥に向かって出口管82が突き出し、この出口管82が中継タンク72から横向きに突き出す入口管73に接続する。
水タンク81を水タンク収納部80から引き出し、出口管82が入口管73から離れたとき、そのままでは水タンク81内の水と中継タンク72内の水が流出してしまう。これを防ぐため、出口管82と入口管73にカップリングプラグ74a、74bを装着する。図5のように出口管82を入口管73に接続した状態では、カップリングプラグ74a、74bは互いに連結し、通水可能な状態になる。出口管82を入口管73から切り離せば、カップリングプラグ74a、74bはそれぞれ閉鎖状態になり、水タンク81と中継タンク72からの水の流出が止まる。
給水管67は中継タンク72に上から入り込み、先端を中継タンク72の底部近くに届かせている。オーバーフロー管68は中継タンク72の上部空間に接続されている。中継タンク72の上部空間は図示しない圧力開放口を通じて大気に開放しており、これにより水位検知室63の上部空間も大気に開放していることになる。排水管70は水タンク81の給水口83に接続されている。
水位検知室63には容器61の水位検知手段である容器水位センサ75が配設される。中継タンク72には自身の水位検知手段として水位センサ76が配設される。容器水位センサ75は水位検知室63の天井部から垂下する1対の電極棒により構成され、水位センサ76は中継タンク72の天井部から垂下する計4本の電極棒により構成される。電極棒の一方は基準電位のGND電極であり、他方は陽極である。水位センサ76を構成する4本の電極棒の内、2本は他のものより長く、中継タンク72の底部近くまで届く。もう1本の電極棒はそれより短く、最後の1本の電極棒はそれよりもさらに短い。なお容器水位センサ75は蒸気発生ヒータ65より少し高い位置にある。
加熱室20には、そこから熱媒体を機外に逃がす排気路77が形成されている。ダクト36にも排気路78が形成される。排気路78の入口には電動式のダンパ79が設けられている。
調理器1の動作制御を行うのは図5に示す制御装置90である。制御装置90はマイクロプロセッサ及びメモリを含み、所定のプログラムに従って調理器1を制御する。制御状況は操作部13の中の表示部14に表示される。表示部14は例えば液晶パネルにより構成される。制御装置90には操作部13に配置した各種操作キーを通じて動作指令の入力を行う。操作部13には各種の音を出す音発生装置も配置されている。
制御装置90には、操作部13及び表示部14の他、アンテナモータ24、高周波駆動電源27、下部ヒータ28、ファンモータ35、熱媒体ヒータ42、蒸気発生ヒータ65、給水ポンプ69、排水バルブ71、ダンパ79、容器水位センサ75、及び水位センサ76が接続される。この他、加熱室20内の温度を測定する温度センサ91と加熱室20内の湿度を測定する湿度センサ92が接続される。
食材Fを加熱室20内で支持するのは、食材支持網110と共に食材支持ユニットUを構成するトレイ100である。加熱室20の内部には、挿入されたトレイ100を所定高さに支持するトレイ受けが設けられる。本実施形態では、加熱室20の両側壁に、トレイ100の左辺と右辺を係合させてトレイ100を水平に支持するトレイ受けが形成される。
図2に示すように、トレイ受けは上から下まで3段にわたって設けられている。最上段の第1トレイ受け101は側部熱媒体供給口47より加熱室20に流入する側部熱媒体流より上の位置にトレイ100を支持する。中段の第2トレイ受け102は前記側部熱媒体流が上から吹きかけられる位置にトレイ100を支持する。最下段の第3トレイ受け103は第2トレイ受け102より下方に所定距離隔たった位置にトレイ100を支持する。第1、第2、第3のトレイ受け101、102、103を構成するのは、それぞれ加熱室20の側壁面から突き出すうね状の突部である。
調理中に脂肪や肉汁が滴り落ちるような食材、あるいは下面に熱媒体を通さねばならないような食材の場合、トレイ100の上に食材支持網110を載置し、その上に食材Fを載置する。
調理器1の動作は次の通りである。熱媒体として過熱水蒸気を使用する場合は、扉11を開け、水タンク81を水タンク収納部80から引き出し、給水口83より水タンク81内に水を入れる。十分に水を入れた水タンク81を水タンク収納部80に押し込み、所定位置にセットする。出口管82が中継タンク72の入口管73にしっかりと接続されたことを確認したうえで、食材支持網110を介して食材Fを載置したトレイ100を加熱室20に挿入し、扉11を閉じる。それから操作部13の操作キー群の中で必要なものを押して調理メニューの選択や各種設定を行い、調理をスタートさせる。
出口管82が入口管73に接続されると、水タンク81と中継タンク72が連通し、双方の水位が同じになる。このため、中継タンク72内の水位を測定する水位センサ76によって水タンク81内の水位も測定される。水タンク81内の水量が選択された調理メニューを遂行するのに十分であれば、制御装置90は水蒸気の発生を開始する。水タンク81内の水量が選択された調理メニューを遂行するのに不十分であれば、制御装置90はその旨を警告報知として表示部14に表示する。そして水量不足が解消されるまで水蒸気の発生を開始しない。
水蒸気の発生が可能な状態になると、給水ポンプ69が運転を開始し、蒸気発生装置60への給水が始まる。この時、排水バルブ71は閉じている。
水は容器61の底の方から溜まって行く。一定量の水が給水されたらそこで給水は停止する。なお、制御系の故障などで給水ポンプ69の運転が止まらないようなことがあると、容器61内の水位は所定レベルを超えても上昇し続けるが、溢水レベルに達すれば、容器61内の水はオーバーフロー管68を通じて中継タンク72に戻る。従って容器61から水が溢れるようなことはない。
給水停止後、蒸気発生ヒータ65への通電が開始される。蒸気発生ヒータ65は蒸気発生室64内の水を直接加熱する。連通部を通じての蒸気発生室64との水の出入りによって、また隔壁62を通じての熱伝導によって、水位検知室63内の水の温度も上昇するが、その上昇度合いは蒸気発生室64内の水に比べれば緩やかである。
蒸気発生室64内の水が沸騰し、飽和水蒸気が発生したら、蒸気発生ヒータ52への通電が停止される。そして送風装置32及び熱媒体ヒータ42への通電が開始される。送風装置32は吸込口31を通じて加熱室20内の空気を吸い込む。また水蒸気供給管66を通じて蒸気発生装置60より飽和水蒸気を吸い込む。送風装置32が吐出する空気と飽和水蒸気の混合気体はダクト36を通じて熱媒体生成装置40に送り込まれる。この時ダンパ79は排気路78の入口を閉ざしている。
熱媒体生成装置40に入った飽和水蒸気は熱媒体ヒータ42により300℃にまで熱せられ、過熱水蒸気となる。過熱水蒸気は上部熱媒体供給口43より下向き及び斜め下向きの噴流として加熱室20に噴き出す。過熱水蒸気の一部はダクト48を通じて側部熱媒体供給口47に送り込まれ、側部熱媒体供給口47より、やや下向きになった側部熱媒体流として加熱室20に噴き出す。これらの過熱水蒸気によってもたらされる熱で加熱室20内の食材Fは加熱される。
過熱水蒸気による加熱では、食材Fは、対流伝熱(水蒸気の比熱0.48cal/g/℃)に加えて、表面で過熱水蒸気が凝縮する際に生じる凝縮熱(潜熱)によっても加熱される。凝縮熱は539cal/gと大きいため、食材Fに大量の熱を与えることができ、食材Fは急速に加熱される。また加熱水蒸気は食材Fの中で温度の低い部分に優先的に凝縮するので、加熱ムラが少なくなる。
過熱水蒸気は、表面温度の低い食材Fに付着すると直ちに凝縮して凝縮水となり、凝縮熱で大量の熱を伝達する。その後食材Fから水分が蒸発し始め、復元過程を経てから乾燥が始まる。従って食材Fは、内部に水分を保持しつつ、表面はパリッとした仕上がりになる。また熱風による調理に比べ、脱油効果、減塩効果、ビタミンC破壊抑制効果、油脂酸化抑制効果ともに大きい。
過熱水蒸気による調理の際、熱媒体ヒータ42への通電が連続的に行われる訳ではない。時々下部ヒータ28への通電に切り替えられる。ちなみにヒータの消費電力は、例えば、蒸気発生ヒータ65が1300W、熱媒体ヒータ42も1300W、下部ヒータ28が700Wといった具合に設定される。一般家庭の電力事情を考えた場合、これらのヒータを2個以上同時に通電対象とすることはできないので、デューティー制御により時分割で順次通電対象を切り替えて最適結果が得られるようにしている。これは熱風による加熱の場合も同様である。
加熱室20内の水蒸気量が多くなった場合、余剰の水蒸気は排気路77から機外に放出される。その水蒸気が調理器1の周辺に結露して錆やカビを発生させるといったことのないよう、機外に出す前に水蒸気を凝縮させ、ドレンの形で排出する仕組みを採用してもよい。
蒸気発生装置60で蒸気を発生し続けていると、容器61内の水位が低下する。水位が所定レベルに低下したことを容器水位センサ75が検知すると、制御装置90は給水ポンプ69の運転を再開する。給水ポンプ69は中継タンク72内の水を吸い上げ、容器61に一定量の水を補充する。水補充完了後、制御装置90は給水ポンプ69の運転を再び停止する。
調理終了後、制御装置90が表示部14にその旨の表示を出し、また合図音を鳴らす。調理終了を音と表示により知った使用者は扉11を開け、加熱室20からトレイ100を引き出す。それ以後の調理の予定がなければ排水バルブ71が開き、容器61内の水は水タンク81に戻される。
熱媒体として熱風を使用する調理メニューを選択した場合は、水タンク81内の水量を問うことなく、すぐに熱媒体ヒータ42への通電と、送風装置32の運転が開始される。今度は熱風の噴流で食材Fが加熱されることになる。過熱水蒸気による加熱の場合と同様、熱媒体ヒータ42と下部ヒータ28は時分割で通電制御される。
過熱水蒸気または熱風で調理を行っている際に扉11を開けると、使用者の方に過熱水蒸気または熱風が流れる可能性がある。調理終了後も同様である。そのため、高温の熱媒体が循環している期間中に扉11が開けられたときは、ダンパ79が動作して排気路78の入口を開き、排気路78に高温熱媒体を誘導するようになっている。
高周波加熱による調理メニューを選択した場合は、高周波発生装置21が駆動される。高周波発生装置21は、単独でも使用され得るし、過熱水蒸気または熱風との併用も可能である。
前述の通り、食材Fはトレイ100に載置された状態で加熱室20に入れられるが、その時どのトレイ受けにトレイ100を支持させるかは調理メニューによって異なる。過熱水蒸気による調理を選択したときは、トレイ100は第2トレイ受け102に支持されるべきものであり、その旨が表示部14に指示として表示される。熱風による調理は、第1トレイ受け101、第2トレイ受け102、第3トレイ受け103のいずれにトレイ100を支持させた状態でも可能である。熱風による調理の場合、第1トレイ受け101と第3トレイ受け103の両方に1枚ずつトレイ100を支持させて上下2段で調理を行うこともできる。2段調理を選択したときは、第1トレイ受け101と第3トレイ受け103を使用すべき旨が表示部14に表示される。
第2トレイ受け102でトレイ100を支持する場合、トレイ100の上には食材支持網110を置き、食材Fをトレイ面から浮かせて支持する。第1トレイ受け101または第3トレイ受け103に支持されたトレイ100においても食材支持網110は効用を発揮する。しかしながら第2トレイ受け102に支持されたトレイ100にあっては、側部熱媒体供給口47から斜め下に噴出する側部熱媒体流を食材Fの下に回り込ませるため、少なくともこの場合の食材支持網110の使用はほぼ必須となる。
第2トレイ受け102に支持されたトレイ100の上の食材Fには、上部熱媒体供給口43より下向きに過熱水蒸気が吹き付けられる。また側部熱媒体供給口47からの過熱水蒸気の側部熱媒体流がトレイ100の上面に当たって上向きに方向を変えることにより、食材Fの下面にも過熱水蒸気が吹き付けられる。このように上下から過熱水蒸気が吹き付けられることにより、食材Fは対流伝熱による熱と凝縮熱(潜熱)を満遍なく受け取り、効率的に加熱される。食材Fから滴り落ちる脂肪や肉汁はトレイ100に受けられ、調理後に廃棄処理される。
第2トレイ受け102に支持されたトレイ100の上の食材Fを熱風で調理することも勿論可能である。食材支持網110で食材Fを浮かせておけば、食材Fは上下からの熱風で満遍なく加熱される。この場合も食材Fから滴り落ちる脂肪や肉汁はトレイ100に受けられ、調理後に廃棄処理される。
図6は蒸気発生装置60の拡大図である。蒸気発生中、蒸気発生室64の中の水は盛んに沸騰し、泡Bを噴き上げている。泡Bは、蒸気と共に上昇し、蒸気発生室64に開口している、蒸気導出管64aの入口部に達することがある。泡Bは、蒸気導出管64aに接すると、表面張力で水の膜(水膜)を張ろうとする。蒸気導出管64aに水膜が張ると蒸気発生室64の上部空間の蒸気圧が上昇する。すると蒸気発生室64の水位が下降する一方、上部空間が大気に対し開放している水位検知室63の水位が上昇する。このようになると、蒸気発生室64の水位が水補給を必要とする程度に下がっても、容器水位センサ75はそれを検知せず、空焚きの危険が生じる。
また、実施形態のように水位検知室63にオーバーフロー管68が接続されていると、水位検知室63の水位が上昇した際、溢水レベルに達した水がオーバーフロー管68から流れ出し、容器61の中の水量が減ってしまう。その後水膜が破れ、水位検知室63の水位が下がったときは、水位が水の補給が求められるレベル以下になっている可能性が高い。これで給水ポンプ69が駆動され、水が補給されると、蒸発室64内の水温が下がり、沸騰がおさまって、蒸気発生は一時休みのような形になる。結局、中継タンク72にオーバーフローした熱水が持っていた熱量が無駄になり、蒸気発生効率が低下する。また、通常のシーケンスに従った蒸気供給ができなくなってしまうので、場合によっては、食材Fの調理が上手くいかないという可能性もある。
本発明では、水膜が蒸気導出管64aを塞ぐことに伴う問題を次のようにして解決する。すなわち、蒸気導出管64aの断面形状の径(この場合は通路の直径)を、蒸発室64内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとする。
水膜の発生を防止できる蒸気導出管の断面形状の径を実験的に求めた結果が図8の表である。水は水道水である。蒸気導出管は円パイプで、通路の直径が12mm以下のときは水膜が頻繁に発生していたが、13mmになると、水膜は時々発生するだけとなり、水膜発生防止効果が安定して現れるようになった。直径が15mmになると、水膜はほとんど発生せず、水膜発生防止効果は一層確実なものとなった。ここで、水膜発生防止効果とは、水膜を全く発生させないということだけでなく、ほとんど発生しない状態、あるいは、頻繁に発生していたものが時々発生する程度にできることも含むものとする。
以上の実験結果より、蒸気導出管64aの直径は13mm以上であることが望ましく、15mm以上であればさらに望ましいことがわかる。なお蒸気導出管64aの高さは約10mmである。
なお、蒸気導出管64aはその断面形状が円であるため、どこで断面形状を測定しても同じ径であり、水膜が張る現象を安定して起こりにくくすることができる。
家庭用に設計されている加熱調理器1は、キャビネット10の大きさが同じであるならば加熱室20の大きさをできるだけ大きくする方が好ましく、加熱室20の大きさが同じであるならばキャビネット10の大きさをできるだけ小さくする方が好ましい。いずれにせよ、加熱室20以外の内部空間は容積の圧縮を強いられることになり、その空間に配置される構成要素も小型化が求められる。蒸気発生装置60も例外ではない。蒸気発生装置60の小型化により、蒸気発生室64の水面から蒸気導出管64aまでの距離が短くなり、蒸気導出管64aの入口部が蒸気発生室64内の水の沸騰により生じる泡が到達する位置に存在することとなった場合においても、本発明により、蒸気導出管64aに水膜が張るという現象の発生頻度を減少させることができる。その結果、水位検知室63で水位検知をより正確に行えるようになる。
図7に蒸気導出発生装置60の他の実施形態を示す。この実施形態では、蒸気導出管64aを、その出口部に比べ入口部の直径が大であるように形成した。具体的には、入口部の広がったテーパ形状とした。このようにすることにより、蒸気導出管64aの中で泡Bが最初に接触する入口部の断面形状の径を大きくして、管内に水の膜が張る現象を効果的に防止できる。その反面、出口部は小径であるから蒸気発生装置60の大型化を避けることができ、また従来用いられている蒸気供給用配管に無理なく接続することができる。
出口部に比べ入口部の断面形状の径が大である管形状は、テーパ形状に限定されない。他の形状、例えば段階的に断面形状の径を絞り込んで階段形状にしたようなものも採用可能である。
水膜発生防止効果は、水の性質(硬度の違いによる粘性の違いなど)によって左右される。それによって蒸気導出管64aに必要とされる断面形状の径も変わってくるので、現地の水で実験を行って蒸気導出管64aの断面形状の径を定めるのが望ましい。
これまでの実施形態では、蒸気導出管64aの断面形状は図9に示すように円であったが、断面形状は円に限定されるものではない。それ以外の形状も可能である。
図10には断面形状を楕円とした例を示す。この場合、楕円の短径が断面形状の径ということになる。楕円でなく長円形であっても同様である。
図11には断面形状を矩形とした例を示す。この場合、矩形の短辺側の長さが断面形状の径ということになる。正方形であれば任意の辺の長さが断面形状の径ということになる。
図12には断面形状を矩形とし、その角部にアールをつけた例を示す。断面形状の径の考え方は図11と同じである。
以上本発明の各実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することが可能である。
本発明は、蒸気発生装置と、その蒸気発生装置の発生した水蒸気を熱媒体として用いる加熱調理器全般に利用可能である。
加熱調理器の正面図 加熱室の扉を開いた状態の正面図 トレイ使用状況を説明する模型的断面図 全体構成説明図 制御ブロック図 蒸気発生装置の拡大断面図 他の実施形態に係る蒸気発生装置の拡大断面図 蒸気導出管の断面形状の径と水膜の発生状況の関係につき調べた実験結果の表 蒸気導出管の断面形状の例示図 蒸気導出管の断面形状の他の例示図 蒸気導出管の断面形状の他の例示図 蒸気導出管の断面形状の他の例示図
符号の説明
1 加熱調理器
20 加熱室
40 熱媒体生成装置
43 上部熱媒体供給口
47 側部熱媒体供給口
60 蒸気発生装置
61 容器
62 隔壁
63 水位検知室
64 蒸気発生室
64a 蒸気導出管
65 蒸気発生ヒータ(加熱手段)
66 蒸気供給管
75 容器水位センサ(水位検知手段)
100 トレイ
110 食材支持網
F 食材

Claims (6)

  1. 蒸気発生室と、
    前記蒸気発生室内の水を沸騰させる加熱手段と、
    前記蒸気発生室の上部空間より、前記水の沸騰によって生じた水蒸気を導出する蒸気導出管と、
    前記蒸気発生室と水中で連通し、且つ上部空間が大気に対し開放された水位検知室と、
    前記水位検知室に配設された水位検知手段を備え、
    前記蒸気導出管の断面形状の径を、前記蒸発室内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとしたことを特徴とする蒸気発生装置。
  2. 前記蒸気導出管の断面形状は円であり、その直径を、前記蒸発室内の沸騰水の泡が付着して管内に水の膜が張る現象を防止できる大きさとしたことを特徴とする請求項1に記載の蒸気発生装置。
  3. 前記蒸気導出管の断面形状の径を13mm以上としたことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気発生装置。
  4. 前記蒸気導出管の断面形状の径を15mm以上としたことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気発生装置。
  5. 前記蒸気導出管は、その出口部に比べ入口部の断面形状の径が大であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気発生装置。
  6. 熱媒体である水蒸気を得るために請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気発生装置を搭載した加熱調理器。
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