JP2008028468A - 高周波伝送線路及び高周波フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】伝送損失が少ない高周波伝送線路、及び帯域除去性に優れた高周波フィルタを提供する。
【解決手段】誘電性支持体1上に、少なくとも二本の帯状導電膜2が離隔した状態で並列に設けられた高周波伝送線路であって、帯状導電膜2は、誘電性支持体1側から順に第一の金属薄膜20、第二の金属薄膜21及びプラスチックフィルム22からなり、第一及び第二の金属薄膜20,21の電気抵抗が異なり、第一及び第二の金属薄膜20,21に多数の微細孔23が形成されている高周波伝送線路は伝送損失が少ない。かかる高周波伝送線路を具備する高周波フィルタは、帯域除去性に優れている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波を伝送する線路及びそれを用いた高周波フィルタに関し、特に金属薄膜及びプラスチックフィルムを有する帯状の導電膜を具備する高周波伝送線路及びそれを用いた高周波フィルタに関する。
パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理機器や、携帯電話等の無線通信機器や、情報通信網には、高周波伝送線路が使用されている。従来、高周波伝送線路として、図31に示すような、線状の内導体200に誘電体100及び外導体200'を被覆した同軸ケーブルが汎用されており、図32に示すような、金属管200からなる導波管も大電力の伝送等に多用されている。しかし同軸ケーブルや導波管には、柔軟性に欠ける、製造コストが高い、重いといった問題がある。
軽量性や柔軟性に優れた高周波伝送線路としては、図33に示すような、誘電体基板(例えばポリイミドフィルム)100の一面に平行な一対の導体線路200,200を設けた平行線路;図34に示すような、誘電体基板100の両面に接地導体200',200'を設け、中心部に導体200を設けたストリップ線路;図35に示すような、誘電体基板100の一面に接地導体200'を設け、他方の面にストリップ導体200を設けたマイクロストリップ線路;図36に示すような、誘電体基板100の一面にストリップ導体200を設け、それを挟んで両側に接地導体200',200'を配置したコプレナ線路等の平面型伝送線路が挙げられる。例えば特開2000-151201号(特許文献1)は、柔軟性を有する高周波伝送線路として、プラスチックフィルム(材質:ポリイミド、ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びその多孔質体からなる群から選ばれた少なくとも一種)を基材とし、これに導電性膜を設けたストリップ線路、マイクロストリップ線路及びコプレナ線路を記載している。
しかし従来の高周波伝送線路では、誘電体の誘電率の影響により、線路を伝搬する電磁波の速度が低下することがあり、これが高速化や高周波化に対する障害となっていた。そこで特開2005-303778号(特許文献2)は、高周波特性に優れているとともに伝送損失が少ない伝送線路として、図37に示すような、くぼみ101が形成された基板(Si、ガラス等)100と、くぼみ101上に形成されたメンブレン(材質:ポリイミド等、エッチングによりくぼみ101を形成するためのスリット101'を有する)100'と、メンブレン100'上に形成された中心導体200と、その両側に形成された電極200',200'とを有する伝送線路を提案している。しかしこの伝送線路は構造が大きく、複雑であり、製造コストが高い。
高周波伝送線路のエネルギー損失は、表皮効果(導体の表面から内部に入る程、高周波電流が指数関数的に減衰する現象)による導体損失と、誘電体材料による誘電体損失とに大別することができるが、一般的に誘電体損失より導体損失の方が支配的である。そのため導体表面に近いほど表面抵抗(表皮抵抗ともいう)が大きく、導体損失(ジュール損失)が大きい。高周波電流が集中する導体の薄い領域を表皮深さと呼ぶ。例えば導体が銅の場合、1GHzの高周波に対する表皮深さは約2.1μmである。しかし従来、伝送線路の導体膜は、透過により失われる放射損失を回避したり、金属メッキや金属焼き付け等により導体を作製する場合の基板や導電膜の表面粗さ等の問題を回避したりするため、表皮深さより十分に厚くしていた。
そこで特開平7-336113号(特許文献3)は、比較的簡単な構造で、かつ導体損失が少ない高周波伝送線路として、厚さが使用周波数に対する表皮深さの1.14倍から2.75倍の範囲である導体膜(例えば銅膜等)が、誘電体基板(例えばサファイア等からなる)上に形成された高周波伝送線路を提案している。特許文献3は、この伝送線路として同軸ケーブル、導波管、ストリップ線路及びマイクロストリップ線路を記載している。
特開平9-326608号(特許文献4)は、表皮効果の抑制効果に優れた高周波伝送線路として、セラミック誘電体基板(例えばZrTiO4等からなる)の少なくとも一面に、薄膜導体膜(例えば銅等からなる)と薄膜誘電体膜(例えばSiO2等からなる)とが交互に積層された薄膜多層電極を有する高周波伝送線路であって、上記薄膜多層電極の薄膜導体膜と薄膜誘電体膜の各厚さが、使用周波数において、誘電体基板に生じる電磁界の位相と上記薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位相とが互いに実質的に一致するように設定された高周波伝送線路を提案している。
しかし近年、データ伝送の大容量化が一層進み、それに伴い、伝送線路の一層の高周波化及び低損失化が求められている。また機器の小型化に伴い伝送線路の微細化も必要となっている。
また高周波システムにおいて、必要な周波数の信号のみを取り出したり、不要な周波数の信号を除去したりするためのフィルタは重要な役割を担っている。比較的簡単な構造の高周波フィルタとして、高周波伝送線路を用いた高周波フィルタが提案されている。例えば特許文献3及び4は、上記各伝送線路に入力端子及び出力端子を設けた高周波フィルタを提案している。特許文献3及び4の高周波フィルタは、伝送損失が少ない伝送線路を用いているので、通過帯域の損失が小さい。しかし特定の周波数の信号を除去する性能、すなわち帯域除去性の一層の向上が求められる。
特開2000-151201号 特開2005-303778号 特開平7-336113号 特開平9-326608号
従って、本発明の目的は、伝送損失が少なく、微細化が容易で、軽量性に優れた高周波伝送線路を提供することである。本発明のもう一つの目的は、帯域除去性に優れた高周波フィルタを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、(1) プラスチックフィルムの一面に電気抵抗の異なる二層の金属薄膜を有し、かつ金属薄膜に多数の微細孔を有する一対の帯状導電膜を、誘電性支持体上に設けると、伝送損失が少なく、微細化が容易で、軽量性に優れた高周波伝送線路が得られること、及び(2) かかる一対の帯状導電膜を、二層の金属薄膜が支持体側となるように、誘電性支持体上に設けると、帯域除去性に優れた高周波フィルタが得られることを発見した。本発明はかかる発見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明の高周波伝送線路は、誘電性支持体上に、少なくとも二本の帯状導電膜が離隔した状態で並列に設けられており、前記帯状導電膜が、前記誘電性支持体側から順に第一の金属薄膜、第二の金属薄膜及びプラスチックフィルムからなり、第一及び第二の金属薄膜の電気抵抗が異なり、第一及び第二の金属薄膜に多数の微細孔が形成されていることを特徴とする。
電気抵抗は第一の金属薄膜の方が第二の金属薄膜より大きいのが好ましい。かかる電気抵抗の差が2Ω・cm以上であるのが好ましい。第一の金属薄膜がニッケルからなり、第二の金属薄膜が銅からなるのが好ましい。第一及び第二の金属薄膜は蒸着膜であるのが好ましい。前記微細孔の平均開口径は0.5〜100μmであるのが好ましい。前記微細孔の平均分布密度は500個/cm2以上であるのが好ましい。
本発明の高周波フィルタは上記高周波伝送線路を具備することを特徴とする。
本発明の高周波伝送線路は伝送損失が少ない。さらに構造がシンプルであり、軽量性や柔軟性にも優れており、微細化も容易である。かかる高周波伝送線路は、航空機、自動車等の信号伝送用途、各種情報処理機器、各種無線通信機器、情報通信網等の信号伝送用途、高周波回路、プリント配線基板等の用途に好適である。
本発明の高周波フィルタは帯域除去性に優れている。かかる高周波フィルタは、各種情報処理機器の信号伝送において、ハッカー防止用フィルタ等への応用が期待される。
[1] 高周波伝送線路
図1は本発明の高周波伝送線路(以下特段の断りがない限り、「伝送線路」とよぶ)の一例を示す。この伝送線路は、板状の誘電性支持体1上に、平行な一対の帯状導電膜2,2が平面配置されている。帯状導電膜2は、誘電性支持体1側から順に第一の金属薄膜20、第二の金属薄膜21及びプラスチックフィルム22からなり、第一及び第二の金属薄膜20,21及びプラスチックフィルム22に多数の微細孔23が形成されている。誘電性支持体1及び帯状導電膜2は接着層3を介して接合されている。
(1) 誘電性支持体
誘電性支持体(以下特段の断りがない限り、「支持体」とよぶ)1を構成する誘電体は特に制限されない。誘電体として、例えば熱可塑性又は熱硬化性の樹脂;GaAs等の半導体;アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエステル;ポリイミド(PI);ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリアミド(PA);ポリアミドイミド(PAI);ポリエーテルサルフォン(PES);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリカーボネート(PC);アクリル樹脂;ポリスチレン(PS);スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(ABS)樹脂;ポリウレタン;フッ素樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル(PCV);熱可塑性エラストマー等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリイミド(PI)、ポリオレフィン及びポリ塩化ビニル(PCV)からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
支持体1の形状及びサイズは、伝送する電磁波の周波数や形状保持性や必要な強度に応じて適宜設定できる。
(2) 帯状導電膜
(a) 第一及び第二の金属薄膜
第一及び第二の金属薄膜20,21は電気抵抗が異なる。常温における第一の金属薄膜20の電気抵抗と、第二の金属薄膜21の電気抵抗との差は、2Ω・cm以上であるのが好ましく、4Ω・cm以上であるのがより好ましい。限定的ではないが、電気抵抗は第一の金属薄膜20の方が第二の金属薄膜21より大きいのが好ましい。
第一及び第二の金属薄膜20,21を形成する各金属は、銅[抵抗率(20℃):1.6730×10-6 Ω・cm]、アルミニウム[抵抗率(20℃):2.6548×10-6 Ω・cm]、銀[抵抗率(20℃):1.59×10-6 Ω・cm]、金[抵抗率(20℃):2.35×10-6 Ω・cm]、ニッケル[抵抗率(20℃):6.84×10-6 Ω・cm]、鉄[抵抗率(20℃):9.71×10-6 Ω・cm]、コバルト[抵抗率(20℃):6.24×10-6 Ω・cm]、マグネシウム[抵抗率(20℃):4.45×10-6 Ω・cm]、珪素[抵抗率(0℃):3〜4×10-6 Ω・cm]、チタン[抵抗率(20℃):42×10-6Ω・cm]、クロム[抵抗率(0℃):12.9×10-6Ω・cm]、亜鉛[抵抗率(20℃):5.916×10-6Ω・cm]、ガリウム[抵抗率(20℃):17.4×10-6Ω・cm]、モリブデン[抵抗率(0℃):5.2×10-6Ω・cm]、ルビジウム[抵抗率(20℃):12.5×10-6Ω・cm]、ロジウム[抵抗率(20℃):4.51×10-6Ω・cm]、パラジウム[抵抗率(20℃):10.8×10-6Ω・cm]、カドミウム[抵抗率(0℃):6.83×10-6Ω・cm]、錫[抵抗率(0℃):11.0×10-6Ω・cm]、タングステン[抵抗率(27℃):5.65×10-6Ω・cm]、レニウム[抵抗率(20℃):19.3×10-6Ω・cm]、及び白金[抵抗率(20℃):10.6×10-6Ω・cm]からなる群から選ばれるのが好ましい。電気抵抗が異なる限り、第一及び第二の金属薄膜20,21を形成する各金属は、単一元素からなっていても、合金からなっていてもよい。
例えば好ましい金属の組合せとして、第一の金属薄膜20がニッケル、亜鉛、錫、チタン、コバルト、鉄及びクロムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなり、第二の金属薄膜21が銅及び/又はアルミニウムからなる組合せが挙げられる。中でも第一の金属薄膜20がニッケルからなり、第二の金属薄膜21が銅からなる組合せがより好ましい。
第一及び第二の金属薄膜20,21の厚さは、伝送する電磁波の周波数に応じて適宜設定すればよい。第一の金属薄膜20の電気抵抗の方が、第二の金属薄膜21の電気抵抗より大きい場合、限定的ではないが、第一の金属薄膜20の厚さは10 nm〜1μmが好ましく、第二の金属薄膜21の厚さは100 nm〜10μmが好ましい。
第一及び第二の金属薄膜20,21としては、蒸着膜、箔、めっき膜等が挙げられるが、蒸着膜が好ましい。蒸着膜は一般的に純度が高く、耐酸化性に優れている。
(b) プラスチックフィルム
プラスチックフィルム22を構成する樹脂は特に制限されず、有極性又は無極性のいずれでもよい。樹脂として、例えばポリエステル;ポリイミド(PI);ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリアミド(PA);ポリアミドイミド(PAI);ポリエーテルサルフォン(PES);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリカーボネート(PC);アクリル樹脂;ポリスチレン(PS);スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(ABS)樹脂;ポリウレタン;フッ素樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル(PCV);熱可塑性エラストマー等が挙げられる。中でもプラスチックフィルム22は、各々耐熱性の高いポリエステル、PPS、PA、PI、PAI、PES及びPEEKからなる群から選ばれた少なくとも一種からなるのが好ましく、ポリエステル及び/又はPIからなるのがより好ましく、ポリエステルからなるのが特に好ましい。
(i) ポリエステルフィルム
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等、種々のポリエステル樹脂からなるフィルムを使用することができる。中でも、PETフィルム及びPBTフィルムは市販品として安価に入手できるので、好ましい。以下これらを例にとって、詳細に説明する。
(i-1) PETフィルム
PETフィルムは、基本的にエチレングリコールとテレフタル酸とからなる飽和ポリエステルフィルムである。但しPETフィルムの特性を損なわない範囲で、エチレングリコール以外のジオール成分、又はテレフタル酸以外のカンボン酸成分を共重合成分として含んでいてもよい。そのようなジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンメタノール等が挙げられ、またジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸等が挙げられる。PETフィルムは、例えば東レ(株)の「ルミラー」や、東洋紡績(株)の「東洋紡エステルフィルム」や、ユニチカ(株)の「エンブレット」等のように、通常二軸延伸フィルムとして市販されている。
PETフィルムは、一般に誘電率(106Hz)が約3であり、誘電正接(106Hz)が約0.01〜0.02であり、約250〜270℃の融点及び約70〜80℃のガラス転移温度を有する。なお誘電率及び誘電正接はASTM D150により測定することができ、融点はASTM D4591により測定することができ、ガラス転移温度はJIS K7121により測定することができる(以下同じ)。
(i-2) PBTフィルム
PBTフィルムは、基本的に1,4-ブタンジオールとテレフタル酸とからなる飽和ポリエステルフィルムである。但し熱収縮性等の物性を損なわない範囲で、1,4-ブタンジオール以外のジオール成分、又はテレフタル酸以外のカンボン酸成分を共重合成分として含んでいてもよい。そのようなジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンメタノール等が挙げられる。またジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸等が挙げられる。PBTフィルムを構成するPBT樹脂の具体例としては、例えば東レ(株)から商品名「トレコン」として市販されているホモPBT樹脂を挙げることができる。
PBTフィルムは、一般に誘電率(106Hz)が約3〜4であり、誘電正接(106Hz)が約0.02であり、約220〜230℃の融点及び約20〜45℃のガラス転移温度を有する。
PBTフィルムの熱収縮率は、MD(機械方向)及びTD(幅方向)ともに2%以下であるのが好ましい。ここでMD及びTDの熱収縮率はそれぞれ、PBTフィルムを150℃に10分間加熱する条件で測定したものである。熱収縮率が2%以下のPBTフィルムは、空冷インフレーション成形法により製造することができる。PBTフィルムを空冷インフレーション成形法により製造する方法として、特開2004-268257号に記載の方法を挙げることができる。
(i-3) ポリエステルフィルム中の他の添加成分
ポリエステルフィルムは、単一樹脂成分からなるものに限定されず、複数の樹脂成分からなるものでもよい。樹脂成分の組合せとしては、複数のポリエステル樹脂の組合せの他に、一種又は二種以上のポリエステル樹脂に本発明の効果を阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂を添加したものが挙げられる。他の熱可塑性樹脂としては、PPS;PA;PI;PAI; PES;PEEK;ポリカーボネート;ポリウレタン;フッ素樹脂;ポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。他の熱可塑性樹脂を含有する場合、その割合はポリエステルフィルム全体を100質量%として、5〜20質量%であるのが好ましく、5〜15質量%であるのがより好ましく、5〜10質量%であるのが特に好ましい。従って特に断りがない限り、本明細書において使用する用語「PETフィルム」及び「PBTフィルム」はそれぞれ、PET又はPBTの単体のみならず、PET又はPBT+他の熱可塑性樹脂からなる組成物を含むものと理解すべきである。
ポリエステルフィルムは、必要に応じて、可塑剤、酸化肪止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、染料や顔料等の着色剤、流動性の改善のための潤滑剤、無機充填剤等の添加剤を適宜含有しても良い。
(ii) ポリイミドフィルム
ポリイミド(PI)フィルムは、基本的に芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの脱水縮合反応物からなる。PIフィルムとしては、ピロメリット酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルとの脱水縮合反応物を主成分とするものが好ましい。PIフィルムは、一般に誘電率(106Hz)が約3.4であり、誘電正接(106 Hz)が約0.01である。PIフィルムも他の熱可塑性樹脂や添加剤を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂の含有量はPIフィルム全体を100質量%として、5〜20質量%であるのが好ましい。PIフィルムの市販品としては、例えば東レ・デュボン(株)の「カプトン」や、鐘渕化学工業(株)の「アピカル」や、宇部興産(株)の「ユーピレックス」や、三菱樹脂(株)の「ダイアラミー」等を挙げることができる。
(iii) フィルムの組合せ
プラスチックフィルム22は単層に限らず、積層して使用することもできる。例えば、異なるプラスチックフィルム同士を熱融着したり、ポリエチレン等の接着層を介して接着したりすることにより、積層フィルムを形成することができる。
(iv) フィルムの厚さ
プラスチックフィルム22の厚さに特に制限はないが、実用的には約4〜50μmとするのが好適である。プラスチックフィルム22の厚さを約4μm未満とするのは技術的に困難であり、コスト高になる。特にポリエステルフィルムの厚さを約50μm超にすると、フィルム価格が高騰する。この厚さは約4〜16μmとするのがより好ましい。
(c) 微細孔
図2に示すように、微細孔23は、少なくとも帯状導電膜2の第一及び第二の金属薄膜20,21を貫通しているのが好ましい。図1(c)に示すように、微細孔23は、第一の金属薄膜20からプラスチックフィルム22まで貫通していてもよい。微細孔23は、第一及び第二の金属薄膜20,21を貫通していれば、プラスチックフィルム22の厚さ方向の途中まで達していてもよい。微細孔23の平均開口径は0.5〜100μmであるのが好ましい。微細孔23の平均開口径を0.5μm未満とするのは技術的に困難であり、コスト高になる。また微細孔23の平均開口径を100μm超にすると、帯状導電膜2の強度が低下する恐れがある。微細孔23の平均開口径は、0.5〜50μmであるのがより好ましく、0.5〜20μmであるのが特に好ましい。
微細孔23の平均分布密度は500個/cm2以上であるのが好ましい。微細孔23の平均分布密度が500個/cm2未満であると、伝送損失が多かったり、帯域除去性が低かったりする。なお微細孔23の平均分布密度の上限は技術的に可能な限りいくらでも良く、特に制限されない。ただし帯状導電膜2の伝送損失及び帯域除去性を良好にし、かつ膜強度を保持するために、微細孔23の平均分布密度は1×103〜3×104個/cm2であるのがより好ましく、1×104〜3×104個/cm2であるのが特に好ましい。
図1(c)に示すように、微細孔23が第一及び第二の金属薄膜20,21を貫通し、プラスチックフィルム22まで形成されている場合、プラスチックフィルム22中の微細孔23は、その壁面に金属薄膜層20,21が形成されているのが好ましく、これにより伝送損失が一層少なくなる。ただしプラスチックフィルム22中の微細孔23の壁面に金属薄膜層20,21を形成することに限定する趣旨ではない。
(3) 接着層
接着層3に特に制限はないが、接着性を有するフィルム状のプラスチックからなるのが好ましい。接着性プラスチックとして、例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVA)、ポリビニルアセタール系樹脂[例えばポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB等]、塩化ビニル樹脂、ホットメルト接着剤、シーラントフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムは、ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)とポリエチレンとの混合物からなるフィルム等により形成することができる。
[2] 高周波伝送線路の形状
図1に示す伝送線路において、帯状導電膜2,2の幅d1,d2は、伝送する電磁波の周波数に応じて適宜設定すればよい。限定的ではないが、幅d1,d2は1〜10 mmであるのが好ましく、1.5〜7mmであるのがより好ましい。幅d1,d2が、1mm以上であれば、高周波に対して十分な伝達性を有する。幅d1,d2を10 mm超としても、膜価格が高騰する。ただし幅d1,d2は、必ずしも同じである必要はない。
二本の帯状導電膜2,2の間隔d3は、0.3〜25 mmであるのが好ましく、1〜10 mmであるのがより好ましく、1.5〜7mmであるのが特に好ましい。間隔d3が0.3 mm未満だと伝達性が不十分であり、一方25 mm超だと放射損失が多い。限定的ではないが、板状の支持体1の厚さDは0.3〜10 mmであるのが好ましく、0.5〜5mmであるのがより好ましい。
図3は伝送線路のさらに別の例を示す。図3において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、板状の支持体1の短手方向両端部と中央部(二本の帯状導電膜2,2間)に、凸部10を有する以外図1の伝送線路と実質的に同じである。凸部10を設けると、伝達性が向上する。凸部10の高さhは1〜10 mmであるのが好ましく、1.5〜7mmであるのがより好ましい。
図4は伝送線路のさらに別の例を示す。図4において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、一対の帯状導電膜2,2が、L字状断面を有する誘電性支持体1の内側に、各々の水平面が直交するように配置されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。各帯状導電膜2,2の幅は図1の伝送線路と同じでよい。ただし帯状導電膜2,2の幅は、必ずしも同じである必要はない。二本の帯状導電膜2,2の間隔d4は、1〜10 mmであるのが好ましく、1.5〜7mmであるのがより好ましい。間隔d4が1mm未満だと伝達性が不十分であり、一方10 mm超だと放射損失が多い。
図5は伝送線路のさらに別の例を示す。図5において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、誘電性支持体1が、断面がU字状の2つの支持体を、開放端を外方に向けてL字状に接合した形状である以外図4の伝送線路と同じである。
図6は伝送線路のさらに別の例を示す。図6において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、一対の帯状導電膜2,2が、U字状断面を有する誘電性支持体1の内側に、対向配置されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。各帯状導電膜2,2の幅は図1の伝送線路と同じでよい。ただし帯状導電膜2,2の幅は、必ずしも同じである必要はない。二本の帯状導電膜2,2の間隔d6は、1〜10 mmであるのが好ましく、1.5〜7mmであるのがより好ましい。間隔d6が1mm未満だと伝達性が不十分であり、一方10 mm超だと放射損失が多い。
図7は伝送線路のさらに別の例を示す。図7において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、板状の誘電性支持体1の両面に、帯状導電膜2,2が設けられている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。
図8は伝送線路のさらに別の例を示す。図8において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路では、板状の誘電性支持体1の両面に、帯状導電膜からなる接地導体2,2が設けられており、板状誘電体支持体1の中心部に、帯状導電膜からなるストリップ導体2が、接地導体2,2と平行になるように設けられたストリップ線路が形成されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。
図9は伝送線路のさらに別の例を示す。図9において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、板状の誘電性支持体1の一面に、帯状導電膜からなるストリップ導体2が設けられており、他方の面に一様に形成された帯状導電膜からなる接地導体2を有するマイクロストリップ線路が形成されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。ストリップ導体2の幅や、ストリップ導体2と接地導体2との間隔は伝送する電磁波の周波数に応じて適宜設定すればよい。
図10は伝送線路のさらに別の例を示す。図10において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、板状の誘電性支持体1の一面の中央部に帯状導電膜からなるストリップ導体2が設けられており、ストリップ導体2の両側に近接して帯状導電膜からなる2つの接地導体2,2が設けられたコプレナ線路が形成されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。ストリップ導体2の幅や、ストリップ導体2と接地導体2,2との各間隔は伝送する電磁波の周波数に応じて適宜設定すればよい。
図11は伝送線路のさらに別の例を示す。図11において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、断面が円環状の円筒状誘電性支持体1の内周面に帯状導電膜からなる中心導体2を設け、外周面に帯状導電膜からなる接地導体2を設けた同軸線路を形成している以外図1の伝送線路と実質的に同じである。同軸線路の径(内径及び外径)は伝送する電磁波の周波数に応じて適宜設定すればよい。
図12は伝送線路のさらに別の例を示す。図12において図1と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この伝送線路は、切り欠き部を有する筒状の誘電性支持体1の外周面に沿って、一対の帯状導電膜2,2が平行に巻回されている以外図1の伝送線路と実質的に同じである。
以上のような本発明の伝送線路は伝送損失が少ない。その理由は定かではないが、例えば高周波の伝播時に微細孔23に渦電流が発生して、線路のインピーダンスや電流密度が低下するといったことが推測される。
[3] 高周波伝送線路の製造方法
本発明の高周波伝送線路は、帯状導電膜2を形成し、得られた帯状導電膜2を支持体1に接着することにより製造する。
(1) 帯状導電膜の製造方法
帯状導電膜2は、プラスチックフィルム22の一面に第二の金属薄膜21を形成し、さらに第一の金属薄膜20を積層した後、以下に述べるポーラス加工により微細孔23を形成し、次いでスリットすることにより製造することができる。
(a) 金属薄膜形成工程
第一及び第二の金属薄膜20,21の形成方法に特に制限はないが、蒸着法、箔を接合する方法、めっき法(電気めっき法、無電解めっき法等)等が挙げられる。中でも蒸着法が好ましい。金属の蒸着方法に特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等の化学気相蒸着法等公知の方法を適用することができる。ただし経済性の点では真空蒸着法が好ましい。
プラスチックフィルム22と蒸着する金属との密着性を高めるために、蒸着操作の前にプラスチックフィルム22に洗浄を兼ねた表面処理を施すのが好ましい。表面処理としては、ブラスト、エンボス加工等による機械的処理;コロナ放電、プラズマ、火炎処理等による物理化学的処理;溶剤、酸性溶液、アルカリ性溶液等による化学的処理等がある。表面処理後のフィルム22を加熱又は真空加熱処理して、フィルム22中の水分やガス分を除去してもよい。
真空蒸着法は、一般的に半連続式(フィルムの送り出し、蒸着及び巻取りを真空中で行う方法)又は連続式(フィルムの送り出しと巻取りは大気中で、蒸着のみを真空中で行う方法)により行う方法である。具体的には、10-2 Pa程度の高真空下で、金属を高周波誘導加熱方式又は抵抗加熱方式(輻射)により加熱し、蒸発させ、その蒸気をプラスチックフィルム又は第二の金属薄膜21を形成したプラスチックフィルム22に凝縮させ、金属蒸着層を形成する。
化学気相蒸着法(CVD法)を用いる場合、低温で薄膜を形成できるプラズマCVD法を用いるのが好ましい。プラズマCVD法は、対向する電極間もしくはコイルに高周波電力を印加して低圧反応ガスのプラズマを発生させて金属蒸着層を形成するか、減圧下で反応ガスの高周波グロー放電分解により金属蒸着層を形成する方法である。出発原料としてハロゲン化金属、有機金属、有機金属錯体、金属アルコラート等を用い、さらに窒素、アンモニア、一酸化二窒素、酸素、一酸化炭素、メタン、水素等の反応性ガスをヘリウム、アルゴン等のキャリアガスとともに用いる。
銅蒸着層を形成する場合、例えば原料ガスとして銅アセチルアセトナート[Cu(acac)2]を用いるが、水素を添加することにより炭素を効果的に除去することができる。
アルミニウム蒸着層を形成する場合、例えば原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)を用い、0.03 〜0.06 W/cm3のプラズマパワー密度下、下記式(1):

2 Al(CH3)3 + H2 → 2 Al(CH3)2 + 2CH4 ・・・(1)

、及び下記式(2):

Al(CH3)2 + H2 → Al + 2CH4 ・・・(2)

により表される反応を選択的に生じさせる。式(1)はプラズマ中で起こる反応を表し、式(2)はフィルム表面で起こる反応を表す。
ニッケル蒸着層を形成する場合、例えば原料ガスとして塩化ニッケルガスを用い、これを水素ガスで還元する方法が挙げられる。
第一及び第二の金属薄膜20,21に良好な耐酸化性を付与するために、第二の金属薄膜21を蒸着した後、得られた蒸着フィルムを大気に曝すことなく、連続的に第一の金属薄膜20を蒸着するのが好ましい。その具体的方法として、例えば第二の金属薄膜21を蒸着した後、フィルムを巻取らずに、同じ蒸着装置中で出発原料を変えて連続的に第一の金属薄膜20を蒸着する方法が挙げられる。
(b) ポーラス加工工程
第一及び第二の金属薄膜20,21を形成したプラスチックフィルム22に微細孔23を形成するには、例えば特許第2063411号、特許第2542772号、特許第2643730号、特許第2703151号、特開平9-99492号、特開平9-57860号、特開2002-059487号等に開示の方法を採用することができる。例えば特許第2063411号に開示の方法を利用すると、鋭い角部を有する多数のモース硬度5以上の粒子が表面に付着した第一ロールと、表面が平滑な第二ロールとの間に、第一及び第二の金属薄膜20,21を形成したフィルム22を通過させるとともに、各ロール間を通過するフィルムへの押圧力を各ロールと接触するフィルム面全体に亘って均一となるように調節することにより、第一ロール表面の多数の粒子の鋭い角部でフィルムに微細孔23を多数形成することができる。第二ロールとしては、例えば鉄系ロール、表面にNiメッキ、Crメッキ等を施した鉄系ロール、ステンレス系ロール、特殊鋼ロール等を用いることができる。微細孔23の平均開口径や平均分布密度は、第一ロールに付着される微粒子の粒径や密度を調整することにより調整できる。
上記のように、微細孔23は、少なくとも帯状導電膜2の第一及び第二の金属薄膜20,21を貫通しているのが好ましいので、金属薄膜形成面を第一ロールに当接させるポーラス加工を行うのが好ましい。第一ロール及び第二ロール間の押圧力を調節することにより、貫通孔(第一及び第二の金属薄膜20,21並びにプラスチックフィルム22を貫通する孔)及び未貫通孔(第一及び第二の金属薄膜20,21を貫通するが、プラスチックフィルム22を貫通しない孔)の一方又は両方を形成することができる。微細孔23は帯状導電膜2の全面に一様に設けるのが好ましい。
金属薄膜形成面を第一ロールに当接させ、比較的高い押圧力でポーラス加工を行うことにより、第一ロール表面の多数の微粒子の角部で、第一及び第二の金属薄膜20,21を形成したフィルム22に多数の微細孔23が形成されると同時に、フィルム22に形成された微細孔23の壁面に沿って第一及び第二の金属薄膜20,21が塑性変形する。その結果、図1(c)に示すように、プラスチックフィルム22中の微細孔23は、その壁面に金属薄膜層20,21が形成される。
第一及び第二の金属薄膜20,21を有するプラスチックフィルム22に高密度で微細孔23を形成する場合、上記第一及び第二のロールを有する穿孔ユニットを2式設け、二段階で微細孔23を形成してもよい。
(c) スリット工程
得られた微細孔付き導電膜を所望の幅にスリットする。スリット方法は特に制限されず、公知のスリッタを用いる方法が挙げられる。
(2) 積層
所望の形状及びサイズの支持体1を成形する。得られた支持体1に対して、上記のようにして得られた帯状導電膜2を、その第一の金属薄膜20が支持体1側となるように、接着層3を介して積層することにより、伝送線路が得られる。
[4] 高周波フィルタ
本発明の高周波フィルタは上記高周波伝送線路を具備する。かかる高周波フィルタは帯域除去性に優れている。例えば約550〜800 MHzの周波数の信号に対する伝達率をほぼ0とすることができる。そのため帯域除去フィルタとして有用である。高周波フィルタは、上記高周波伝送線路に入力端子及び出力端子を設ければ得られる。第一の金属薄膜20の電気抵抗の方が、第二の金属薄膜21の電気抵抗より大きい場合、図13に示すように、第二の金属薄膜21に端子4を設けるのが好ましい。
以上の通り図面を参照して本発明を説明したが、本発明はそれらに限定されず、本発明の趣旨を変更しない限り種々の変更を加えることができる。例えば図3〜図5に示す伝送線路において、各帯状導電膜2,2の水平面が交わる角度は、ほぼ0度(図3の伝送線路)やほぼ90度(図4及び図5の伝送線路)に限らず、これら以外でもよい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
(帯状導電膜の作製)
PETフィルム:二軸延伸PETフィルム[厚さ:12μm、誘電率:3.2(1 MHz)、誘電正接:1.0%(1 MHz)、融点:265℃、ガラス転移温度:75℃、商品名:「ルミラー」(東レ(株)製)]。
上記PETフィルムの一面に、蒸着法により0.3μmの厚さの銅層を形成し、その上に蒸着法により40 nmの厚さのニッケル層を形成した。次いで定位置に固定した第一ロール(粒径30〜60μmの合成ダイヤモンド微粒子を電着したもの)と金属製第二ロールとの間に、得られたニッケル/銅蒸着フィルムを、金属層が第一ロール側となるようにして通過させた。得られた多孔質ニッケル/銅蒸着PETフィルムの微細孔の平均開口径は1〜5μmであり、微細孔の密度は2×104〜2.5×104 個/cm2であった。得られた多孔質銅蒸着PETフィルムをスリットし、5mmの幅を有する帯状導電膜を作製した。
(伝送線路の作製)
2本の上記帯状導電膜を、ニッケル層が支持体側となるように、板状のPCV製支持体に平行に接着し、図3に示す平行線路型の伝送線路を作製した(長さ:6.25 cm、二本の帯状導電膜の間隔d3:3mm)。
(高周波伝達率の測定)
図14に示すように、上記伝送線路の帯状導電膜2,2の一端に高周波発振器5を接続し、他端に高周波受信器6を接続した。反射波防止のための終端抵抗R(100Ω)を、受信器6の直前に設けた。図15に示すように、伝送線路の両端部のPETフィルム22及び支持体1を除去し、ニッケル層20の下の接着層3に絶縁体8を接合した状態で、鰐口クリップ7を用いて、帯状導電膜2,2の銅層21に高周波発振器5及び高周波受信器6を接続した。本実施例で用いた高周波発振器のスプリアス特性を表1に示す。
Figure 2008028468
表1から明らかなように、この高周波発振器は高調波の発生が少なく、高調波以外のスプリアスがない。
発振器5から1.0 Vの電圧で発振した120〜1,050 MHzの信号を伝送し、高周波伝達率(%)[入力振幅(V)/出力振幅(V)×100]を調べた。図16(a)に示すように、発振器5の出力端子50,50から信号が(+)側から出力するように伝送した場合(信号パターン1)と、図16(b)に示すように、発振器5の出力端子50,50から信号が(−)側から出力するように伝送した場合(信号パターン2:信号パターン1に対して位相が1/2波長ずれている)との両方について調べた。発振器5からの出力振幅(V)は、出力端子や接続用ケーブルでの減衰の影響を補正するための係数を各測定周波数に対して求め、実測値データの補正を行うことにより求めた。受信器6への入力振幅(V)は、入力端子や接続用ケーブルでの減衰の影響を補正するための係数を各測定周波数に対して求め、実測値データの補正を行うことにより求めた。結果を図17に示す。図17から、信号パターン1及び2について550〜800 MHzの信号がほぼ除去されたことが分かる。250〜400 MHzの信号に対しては、伝達性に優れていた。
実施例2
長さを25 cmとした以外実施例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図18に示す。図18から、信号パターン1及び2について550〜750 MHz及び950〜1,050 MHzの信号がほぼ除去されたことが分かる。200〜500 MHzの信号に対しては、伝達性に優れていた。
実施例3
長さを37.5 cmとした以外実施例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図19に示す。図19から、550〜800 MHz(信号パターン1及び2)及び950〜1,050 MHz(信号パターン1のみ)の信号がほぼ除去されたことが分かる。200〜500 MHzの信号に対しては、伝達性に優れていた。
実施例4
長さを50 cmとした以外実施例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図20に示す。図20から、特に信号パターン2について550〜800 MHz及び950〜1,050 MHzの信号がほぼ除去されたことが分かる。200〜300 MHzの信号に対しては、伝達性に優れていた。
比較例1
2本の帯状導電膜を、PETフィルムが支持体側となるように、支持体に接着した以外実施例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した(長さ:6.25 cm、二本の帯状導電膜の間隔d3:3mm)。得られた伝送線路について、図21に示すように、伝送線路の両端部の支持体1を除去し、PETフィルム22の下の接着層3に絶縁体8を接合した状態で、鰐口クリップ7を用いて、帯状導電膜2,2のニッケル層20に高周波発振器5及び高周波受信器6を接続した以外実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図22に示す。図22から、信号パターン1及び2について550〜600 MHzの信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜4に比べて除去できる帯域が狭かった。
比較例2
長さを12.5 cmとした以外比較例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、比較例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図23に示す。図23から、信号パターン1及び2について500〜550 MHzの信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜4に比べて除去できる帯域が狭かった。
比較例3
長さを25 cmとした以外比較例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、比較例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図24に示す。図24から、信号パターン1及び2について550〜600 MHzの信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜4に比べて除去できる帯域が狭かった。
比較例4
長さを50 cmとした以外比較例1と同様にして、平行線路型の伝送線路を作製した。得られた伝送線路について、比較例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図25に示す。図25から、信号パターン1及び2について550 MHz付近の信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜4に比べて除去できる帯域が狭かった。
以上のことから、帯状導電膜を、第一の金属薄膜が支持体側となるように接着しないと、広い帯域で信号を除去できないことが分かった。
実施例5
実施例1と同様にして作製した帯状導電膜(幅5mm、長さ30 cm)を2本用いて、切り欠き部を有する筒状のPCV製支持体の外周面に沿って、ニッケル層が支持体側となるように平行に巻回し、図12に示す伝送線路を作製した(二本の帯状導電膜の間隔d3:3mm)。得られた伝送線路について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図26に示す。図26から、信号パターン1について550〜700 MHz及び950〜1,000 MHzの信号がほぼ除去されたことが分かる。150〜500 MHzの信号に対しては、伝達性に優れていた。
比較例5
上記PETフィルムの一面に、蒸着法により0.3μmの厚さの銅層を形成し、その上に蒸着法により40 nmの厚さのニッケル層を形成した。得られたフィルムをポーラス加工しないでスリットし、5mmの幅を有する帯状導電膜(長さ30 cm)を2本作製した。得られた2本の帯状導電膜を用いた以外実施例5と同様にして平行線路型の伝送線路を作製した(二本の帯状導電膜の間隔d3:3mm)。得られた伝送線路について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図27に示す。図27から、信号パターン1及び2について550 MHz付近の信号がほぼ除去されたものの、実施例5に比べて除去できる帯域が狭かった。
以上のことから、帯状導電膜が微細孔を有さないと、広い帯域で信号を除去できないことが分かった。
比較例6
上記PETフィルムの一面に、蒸着法により0.3μmの厚さの銅層を形成した。得られたフィルムを実施例1と同様にしてポーラス加工し、スリットし、5mmの幅を有する帯状導電膜(長さ100 cm)を2本作製した。得られた2本の帯状導電膜を用いた以外実施例1と同様にして平行線路型の伝送線路を作製した(二本の帯状導電膜の間隔d3:3mm)。得られた伝送線路について、図28に示すように、伝送線路の両端部のPETフィルム22及び支持体1を除去し、銅層21の下の接着層3に絶縁体8を接合した状態で、鰐口クリップ7を用いて、銅層21に高周波発振器5及び高周波受信器6を接続した以外実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図29に示す。この伝送線路は、銅層と支持体の間にニッケル層を有さないので、信号パターン1及び2について550 MHz付近の信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜5に比べて除去できる帯域が狭かった。
比較例7
市販のケーブルテレビ用同軸ケーブル(型名:5C-2V、長さ:1 m)について、実施例1と同様にして高周波伝達率(%)を調べた。結果を図30に示す。この同軸ケーブルは、信号パターン1及び2について550 MHz付近の信号がほぼ除去されたものの、実施例1〜5に比べて、信号を除去できる帯域が格段に狭いだけなく、伝達率も格段に劣っていた。
(a)及び(b)は本発明の一実施例による伝送線路を示す断面図であり、(c)は図1(b)の部分Aを示す拡大断面図である。 本発明の別の実施例による伝送線路を示す拡大断面図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例による伝送線路を示す斜視図である。 本発明の一実施例による高周波フィルタを示す概略斜視図である。 実施例1の伝送線路に、発振器及び受信器を接続した状態を示す概略図である。 実施例1の伝送線路への結線構成を示す部分断面図である。 発振器からの信号パターンを示す概略図である。 実施例1の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 実施例2の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 実施例3の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 実施例4の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例1の伝送線路への結線構成を示す部分断面図である。 比較例1の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例2の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例3の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例4の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 実施例5の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例5の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例6の伝送線路への結線構成を示す部分断面図である。 比較例6の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 比較例7の伝送線路について、周波数と伝達率の関係を示すグラフである。 従来の伝送線路の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路の別の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路のさらに別の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路のさらに別の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路のさらに別の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路のさらに別の例を示す斜視図である。 従来の伝送線路のさらに別の例を示す斜視図である。
符号の説明
1・・・誘電性支持体
10・・・凸部
2,2'・・・帯状導電膜
20・・・第一の金属薄膜
21・・・第二の金属薄膜
22・・・プラスチックフィルム
23・・・微細孔
3・・・接着層
4・・・端子
5・・・高周波発振器
50,50・・・出力端子
6・・・高周波受信器
7・・・鰐口クリップ
8・・・絶縁体
100,100'・・・誘電体
101・・・くぼみ
101'・・・スリット
200,200'・・・導体

Claims (7)

  1. 誘電性支持体上に、少なくとも二本の帯状導電膜が離隔した状態で並列に設けられた高周波伝送線路において、前記帯状導電膜は、前記誘電性支持体側から順に第一の金属薄膜、第二の金属薄膜及びプラスチックフィルムからなり、第一及び第二の金属薄膜の電気抵抗が異なり、第一及び第二の金属薄膜に多数の微細孔が形成されていることを特徴とする高周波伝送線路。
  2. 請求項1に記載の高周波伝送線路において、電気抵抗が第一の金属薄膜の方が第二の金属薄膜より大きく、その差が2Ω・cm以上であることを特徴とする高周波伝送線路。
  3. 請求項1又は2に記載の高周波伝送線路において、第一の金属薄膜がニッケルからなり、第二の金属薄膜が銅からなることを特徴とする高周波伝送線路。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の高周波伝送線路において、第一及び第二の金属薄膜は蒸着膜であることを特徴とする高周波伝送線路。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高周波伝送線路において、前記微細孔の平均開口径は0.5〜100μmであることを特徴とする高周波伝送線路。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の高周波伝送線路において、前記微細孔の平均分布密度は500個/cm2以上であることを特徴とする高周波伝送線路。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高周波伝送線路を具備することを特徴とする高周波フィルタ。
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