JP2008027854A - 電子放出材料及びその製造方法、電子放出材料が形成された基材、電子放出装置 - Google Patents

電子放出材料及びその製造方法、電子放出材料が形成された基材、電子放出装置 Download PDF

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徹 野口
Akira Magario
章 曲尾
Morinobu Endo
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Abstract

【課題】気相成長炭素繊維が均一に分散された高効率の電子放出材料及びその製造方法、電子放出材料が形成された基材、電子放出装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子放出材料の製造方法は、エラストマー30に、気相成長炭素繊維40を混合させ、かつ剪断力によって分散させて炭素繊維複合材料1を得る工程を含む。炭素繊維複合材料1は、気相成長炭素繊維40を8〜41体積%含むことを特徴とする。気相成長炭素繊維は、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維である。屈曲指数=Lx÷D (1)(Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ、D:気相成長炭素繊維の直径)
【選択図】図5

Description

本発明は、電子放出材料及びその製造方法、電子放出材料が形成された基材、電子放出装置に関する。
近年、カーボンナノチューブを電子放出材料に応用する研究が行なわれている。電子放出材料は、例えば、省エネルギー化の要求から薄型テレビなどのディスプレイ(FED)や平面照明装置として、電界を印加することによって電子を放出させる電子放出装置に用いられる。電子放出装置は、低電界における電子放出と、高電流密度と、長寿命と、が要求される。しかしながら、カーボンナノチューブは、低電界で高い電流密度を達成することができるが、電子放出時に破壊されるため、寿命が短かいことがわかった(例えば、特許文献1参照)。また、通常カーボンナノチューブは凝集した粉体状もしくは束(バンドル)状に製造されるため、均一に分散させることが困難で、高価なカーボンナノチューブを効率よく利用することができない。
カーボンナノチューブの中でも工業的な量産性に優れた気相成長炭素繊維(気相法炭素繊維)を電子放出材料とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、気相成長炭素繊維においても、カーボンナノチューブと同様の課題を有していた。
特開2003−77386号公報 特開2000−173449号公報
そこで、本発明の目的は、気相成長炭素繊維が均一に分散された高効率の電子放出材料及びその製造方法、電子放出材料が形成された基材、電子放出装置を提供することにある。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法は、
エラストマーに、気相成長炭素繊維を混合させ、かつ剪断力によって分散させて炭素繊維複合材料を得る工程を含み、
前記気相成長炭素繊維は、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維であって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む。
屈曲指数=Lx÷D (1)
Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ
D:気相成長炭素繊維の直径
本発明の電子放出材料の製造方法によれば、エラストマー中に気相成長炭素繊維が均一に分散された炭素繊維複合材料からなる電子放出材料が得られる。また、この製造方法によれば、エラストマーをマトリクスとしながらも金属のような電気伝導性を有すると共に、効率よく電子放出可能な電子放出材料を得ることができる。特に、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の含有量を8〜41体積%とすることで、高効率に最適化された電子放出特性を有する電子放出材料を得ることができ、高価な気相成長炭素繊維を効率よく利用することができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記気相成長炭素繊維は、平均直径が136〜176nmであって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を19〜41体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記炭素繊維複合材料は、平均直径が136〜176nmの前記気相成長炭素繊維を31〜41体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記気相成長炭素繊維は、平均直径が67〜107nmであって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜19体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記炭素繊維複合材料と溶剤とを混合して塗布液を得る工程と、
前記塗布液を基材上に塗布して薄膜を形成する工程と、
を含むことができる。
本発明の電子放出材料の製造方法によって得られた基材においては、基材上に気相成長炭素繊維が均一に分散された薄膜が形成される。エラストマー中に均一に気相成長炭素繊維が分散された炭素繊維複合材料を溶剤中に溶解すると、気相成長炭素繊維が懸濁した塗布液が得られる。これは、気相成長炭素繊維とエラストマーとの濡れがよいため、溶剤に沈殿することなく、塗布液中に気相成長炭素繊維が均一に懸濁するためである。この塗布液を基材上に塗布することによって、気相成長炭素繊維が均一に分散された薄膜を基材に形成することができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万とすることができる。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記エラストマーは、前記気相成長炭素繊維に対して親和性を有する不飽和結合または基を有することができる。このような構成とすることで、炭素繊維複合材料を得る工程において、エラストマーの不飽和結合または基が、気相成長炭素繊維の活性な部分、特に気相成長炭素繊維の末端のラジカルと結合することにより、気相成長炭素繊維の凝集力を弱め、エラストマーに気相成長炭素繊維を均一に分散させることができる。
本発明に用いられるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよいが、ゴム系エラストマーの場合、気相成長炭素繊維の混合し易さから未架橋体が好ましい。本発明に用いられるエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒であることが好ましい。また、本発明に用いられるエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。
本発明にかかる電子放出材料の製造方法において、
前記薄膜を形成する工程は、スピンコート法、ディッピング法、スクリーン印刷法、スプレー法、インクジェット法から選ぶことができる。
本発明にかかる電子放出材料は、前記電子放出材料の製造方法によって得られた電子放出材料からなる。
本発明にかかる基材は、前記電子放出材料の製造方法によって得られた電子放出材料が形成された基材からなる。
本発明にかかる電子放出材料は、
エラストマー中に、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な気相成長炭素繊維が分散された炭素繊維複合材料であって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む。
屈曲指数=Lx÷D (1)
Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ
D:気相成長炭素繊維の直径
本発明の電子放出材料によれば、気相成長炭素繊維をエラストマーで包み込むことで、長寿命でありながら、低電界における電子放出を可能とすることができる。また、本発明の電子放出材料は、エラストマーをマトリクスとしながら、金属に近い電気伝導性を有するので、電子注入が可能である。さらに、エラストマーをマトリクスとしているため、電子放出材料の形態の自由度が高く、多くの用途に柔軟に対応可能である。特に、高効率の電子放出特性が得られるように最適化されているので、高価な気相成長炭素繊維を効率よく利用することができる。
本発明にかかる電子放出材料において、
前記気相成長炭素繊維は、平均直径が136〜176nmであって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を19〜41体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料において、
前記炭素繊維複合材料は、平均直径が136〜176nmの前記気相成長炭素繊維を31〜41体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料において、
前記気相成長炭素繊維は、平均直径が67〜107nmであって、
前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜19体積%含むことができる。
本発明にかかる電子放出材料において、
前記炭素繊維複合材料は、150℃における動的弾性率(E’:単位はMPa)と23℃における破断伸び(EB:単位は%)との積が5000以上であることができる。
本発明にかかる電子放出装置は、
前記電子放出材料を含む陰極と、
前記陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、
を具備し、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加することで前記電子放出材料から電子を放出する。
本発明にかかる電子放出装置によれば、長寿命でありながら省電力化が可能である。しかも、高効率の電子放出特性が得られる量の気相成長炭素繊維を含む電子放出材料を用いることによって高価な気相成長炭素繊維を効率よく利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーと気相成長炭素繊維との混練法を模式的に示す図である。図2は、本実施の形態で用いたスピンコート法による塗布液の塗布を模式的に示す図である。図3は、凝集した気相成長炭素繊維と電気伝導を模式的に示す図である。図4は、本実施の形態にかかる薄膜中の気相成長炭素繊維の状態と電気伝導を模式的に示す図である。図5は、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料(電子放出材料)の一部を拡大して示す模式図である。図6は、気相成長炭素繊維が少ない炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。図7は、気相成長炭素繊維が多すぎる炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。図8は、本実施の形態にかかる電子放出装置を用いたフィールド・エミッション・ディスプレイの構成を示す模式図である。図9は、本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。図10は、本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。図11は、本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。図12は、本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。図13は、本実施の形態にかかる曲面照明装置の構成を示す模式図である。図14は、本実施の形態にかかる管状照明装置の構成を示す模式図である。
本実施の形態にかかる電子放出材料の製造方法は、エラストマーに、気相成長炭素繊維を混合させ、かつ剪断力によって分散させて炭素繊維複合材料を得る工程を含み、気相成長炭素繊維は、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維であって、炭素繊維複合材料は、気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む。
本実施の形態にかかる基材は、前記電子放出材料の製造方法によって得られた電子放出材料が形成された基材からなる。
本実施の形態にかかる電子放出材料は、エラストマー中に、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な気相成長炭素繊維が分散された炭素繊維複合材料であって、前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む。
屈曲指数=Lx÷D (1)
(Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ、D:気相成長炭素繊維の直径)
本実施の形態にかかる電子放出装置は、前記電子放出材料を含む陰極と、前記陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、を具備し、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加することで前記電子放出材料から電子を放出する。
(I)エラストマー
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは気相成長炭素繊維を分散させるために良好な弾性を有している。エラストマーは、粘性を有しているので凝集した気相成長炭素繊維の相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによって気相成長炭素繊維同士を分離することができる。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいため気相成長炭素繊維を分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、非架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわち気相成長炭素繊維を分散させるために適度な弾性を有することになる。また、エラストマーは粘性を有しているので、エラストマーと気相成長炭素繊維とを混合したときに、エラストマーは高い分子運動により気相成長炭素繊維の相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすく、弾性が小さい(粘性は有している)ため、気相成長炭素繊維を分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、気相成長炭素繊維、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
気相成長炭素繊維は、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、気相成長炭素繊維のラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーと気相成長炭素繊維とを結合することができる。このことにより、気相成長炭素繊維の凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、エラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高いエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低いエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。
本実施の形態のエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは未架橋体が好ましい。
(II)気相成長炭素繊維
気相成長炭素繊維は、直線状の繊維形態を有し、屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維であることが好ましい。屈曲指数は、気相成長炭素繊維の剛直性を示すものであって、顕微鏡などで撮影した多数の気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さと直径とを測定し、計算することで得られる。気相成長炭素繊維を含むカーボンナノファイバーの屈曲部分(欠陥)は、電子顕微鏡で繊維を幅方向に横切る白い線として写る。気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さLxとし、気相成長炭素繊維の直径をDとしたとき、屈曲指数はLx÷Dで定義される。したがって、屈曲指数が小さい気相成長炭素繊維は短い間隔で折れ曲がることを示し、屈曲指数が大きい気相成長炭素繊維は直線部分が長く、屈曲していないことを示す。本実施の形態における気相成長炭素繊維の直線部分の長さLxの測定は、1万〜5万倍で撮影した気相成長炭素繊維の写真データを例えば2〜10倍に拡大した状態で行なう。拡大表示した写真では、繊維を幅方向に横切る屈曲部分(欠陥)確認することができる。このようにして確認した隣接する屈曲部分(欠陥)の間隔を、気相成長炭素繊維の直線部分の長さLxとして複数箇所計測して行なう。なお、平均直径13nmの多層カーボンナノチューブ(MWNT)の屈曲指数は約2であり、本実施の形態に用いる気相成長炭素繊維に比べて欠陥が多く、屈曲間隔が短く湾曲している。
本実施の形態に用いられる気相成長炭素繊維は、平均直径が67〜107nmもしくは136〜176nmであって、平均長さが5〜20μmであることが好ましい。気相成長炭素繊維は、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)の中でも特に欠陥の少ない気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工社の登録商標)を用いることが好ましい。ナノサイズの炭素繊維としては、例えば、グラファイトの1枚面を1層に巻いた単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ:SWNT)、2層に巻いた2層カーボンナノチューブ(ダブルウォールカーボンナノチューブ:DWNT)、3層以上に巻いた多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)などがあるが、本実施の形態に用いる気相成長炭素繊維はこれら屈曲指数が5未満の欠陥の多いカーボンナノチューブを含まない。カーボンナノチューブを含む炭素繊維複合材料の電子放出特性は、用いられるカーボンナノチューブの種類に応じて最適なカーボンナノチューブの体積割合がある。炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の最適体積割合は、8〜41体積%である。特に、平均直径が136〜176nmの気相成長炭素繊維の炭素繊維複合材料中における最適体積割合は、好ましくは19〜41体積%であり、さらに好ましくは31〜41体積%である。また、平均直径が67〜107nmの気相成長炭素繊維の炭素繊維複合材料中における最適体積割合は、8〜19体積%であることが好ましい。
このような剛直な気相成長炭素繊維は、各種気相成長法により製造することができる。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、気相成長炭素繊維を合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。気相成長炭素繊維は、例えばベンゼン、トルエン、天然ガス等の有機化合物を原料に、フェロセン等の遷移金属触媒の存在下で、水素ガスとともに800℃〜1300℃で熱分解反応させることによって得られる、昭和電工株式会社によって商品化されている平均直径が150nm(実測平均直径156nm)、平均長さ5〜20μm、屈曲指数平均値が5以上8未満のVGCF(Vapor-Grown Carbon Fiber、昭和電工社の登録商標)もしくは実測平均直径が87nm、平均長さ5〜20μm、屈曲指数平均値が8以上15以下の気相成長炭素繊維であることが好ましい。また、気相成長炭素繊維は、ホウ素、炭化ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素等の黒鉛化触媒と共に約2300℃〜3200℃で黒鉛化処理してもよい。
気相成長炭素繊維は、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(III)炭素繊維複合材料を得る工程
本実施の形態では、炭素繊維複合材料を得る工程として、図1を用いてロール間隔が0.5mm以下の薄通しを行なうオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば1.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。
まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内に気相成長炭素繊維40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、エラストマー30と気相成長炭素繊維40の混合物が得られる。この混合物をオープンロールから取り出す。さらに、第1のロール10と第2のロール20の間隔dを、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔に設定し、得られたエラストマーと気相成長炭素繊維の混合物をオープンロールに投入して薄通しを行なう。薄通しの回数は、例えば10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このようにして得られた剪断力により、エラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していた気相成長炭素繊維がエラストマー分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。
また、気相成長炭素繊維の投入に先立って、金属もしくは非金属の粒子をバンク32に投入しておくと、ロールによる剪断力は金属粒子のまわりに乱流状の流動を発生させ、気相成長炭素繊維をエラストマー30にさらに分散させることができる。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーと気相成長炭素繊維との混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。なお、エラストマーとしてEPDMを用いた場合には、2段階の混練工程を行なうことが望ましく、第1の混練工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、EPDMと気相成長炭素繊維との混合は、第2の混練工程より50〜100℃低い第1の温度で行なわれる。第1の温度は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の第1の温度である。ロールの第2の温度は、50〜150℃の比較的高い温度に設定することで気相成長炭素繊維の分散性を向上させることができる。
このとき、本実施の形態のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)や分子運動によって表される弾性と、粘性と、気相成長炭素繊維との化学的相互作用と、を有することによって気相成長炭素繊維の分散を容易にするので、分散性および分散安定性(気相成長炭素繊維が再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。より具体的には、エラストマーと気相成長炭素繊維とを混合すると、粘性を有するエラストマーが気相成長炭素繊維の相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によって気相成長炭素繊維の活性の高い部分と結合する。この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーと気相成長炭素繊維との混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴って気相成長炭素繊維も移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していた気相成長炭素繊維が分離されて、エラストマー中に分散されることになる。本実施の形態によれば、混合物が狭いロール間から押し出された際に、エラストマーの弾性による復元力で混合物はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した混合物をさらに複雑に流動させ、気相成長炭素繊維をエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散した気相成長炭素繊維は、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
エラストマーに気相成長炭素繊維を剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集した気相成長炭素繊維を分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
本工程(混合・分散工程)によって得られた炭素繊維複合材料は、架橋剤によって架橋させて成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。
エラストマーと気相成長炭素繊維との混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
図5は、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料を模式的に示す断面図である。本工程によって得られた本実施の形態の炭素繊維複合材料1は、基材(マトリックス)であるエラストマー30に気相成長炭素繊維40が均一に分散されている。気相成長炭素繊維40の周囲には、エラストマー30の一部が混練中に分子鎖切断され、それによって生成されたフリーラジカルが気相成長炭素繊維40の表面をアタックして吸着したエラストマー30の分子の凝集体と考えられる界面相36が形成される。界面相36は、例えばエラストマーとカーボンブラックとを混練した際にカーボンブラックの周囲に形成されるバウンドラバーに類似するものと考えられる。このような界面相36は、気相成長炭素繊維40を被覆して保護し、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の量が増えるにつれて界面相36同士が連鎖する。界面相36は、気相成長炭素繊維40を被覆することで電子放出による気相成長炭素繊維40の破壊を防ぐと考えられ、寿命の改善された電子放出材料を得ることができる。しかも、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維40が最適体積割合にあると、界面相36同士が適度に連結して陰極側から陽極側へ向かって電気伝導(図5には点線で示した)して電子放出を効率よく行うと推測できる。この状態を例えばパーコレーションと呼ぶ。
これに対して、炭素繊維複合材料1a中における気相成長炭素繊維の体積割合が小さいと、図6に示すように、界面相36同士の連結が少なくなり、電気伝導性も低下すると共に電子放出の効率も低下すると推測できる。また、図5のパーコレーションの状態よりも気相成長炭素繊維の体積割合を増やしていくと、図7に示す炭素繊維複合材料1bのように、連鎖した界面相36に囲まれてナノメートルサイズに分割されたエラストマーの小さなセル34が形成されると推測できる。この状態を例えばセルレーションと呼ぶ。このようなセルレーションの状態になると、縦横無尽に連結した界面相36が、陰極から陽極へのスムーズな電気伝導を阻害して電子放出の効率を低下させてしまうことになる。したがって、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の体積割合を8〜41体積%とすることで界面相同士が適度に連結し、電子放出特性を最適化することができ、高価な気相成長炭素繊維を効率よく利用することができる。平均直径が136〜176nmの気相成長炭素繊維の場合、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の体積割合を19〜41体積%とすることで優れた電子放出特性を得ることができ、31〜41体積%とすることでさらに優れた電子放出特性を得ることができる。また、平均直径が67〜107nmの気相成長炭素繊維の場合、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%とすることで優れた電子放出特性を得ることができる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、後述する薄膜の形態で電子放出材料として用いることもできるし、用途によって他の形態でも電子放出材料として用いることも可能である。例えば、オープンロール法によって得られたシート状でもよいし、本工程で得られた炭素繊維複合材料を、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法などで複雑な形状としてもよいし、押出成形法、カレンダー加工法などによってシート状、角棒状、丸棒状などの連続形状品として成形してもよい。また、炭素繊維複合材料のエラストマーは、架橋してもよいし、無架橋であってもよい。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、高い柔軟性を維持しながら高い剛性を有しており、150℃における動的弾性率(E’/150℃:単位はMPa)と23℃における破断伸び(EB:単位は%)との積が5000以上であることが好ましい。「E’」と「EB」との積は、柔軟性と剛性とを示す指標とすることができる。気相成長炭素繊維を含む炭素繊維複合材料は、単層カーボンナノチューブ(SWNT)や多層カーボンナノチューブ(MWNT)などに比べて剛直で湾曲していないので、比較的大きなナノメートルサイズのセルを形成する。このため、比較的高い柔軟性を維持できると推測できる。このように高い剛性と高い柔軟性を兼ね備えることで、電子放出材料として工業的な製造過程で取り扱うことが容易である。したがって、製品の歩留まりも向上し、工業的な生産性の向上に寄与することができる。例えば従来の電子放出材料は、基板に気相成長炭素繊維を成長したものであれば表面の傷やハンドリングに十分注意が必要であった。
気相成長炭素繊維は、通常、相互に絡み合って媒体に分散しにくい性質を有するが、本実施の形態の炭素繊維複合材料においては、気相成長炭素繊維がエラストマーに既に分散した状態で存在するので、これを原料として溶剤中に溶解するなどすることで気相成長炭素繊維を媒体に容易に分散させることができる。
本実施の形態にかかる薄膜の形態を有する電子放出材料の製造方法は、炭素繊維複合材料と溶剤とを混合して塗布液を得る工程と、塗布液を基材上に塗布して薄膜を形成する工程と、を含むことができる。塗布液を得る工程及び薄膜を形成する工程について、以下説明する。
(IV)塗布液を得る工程
本実施の形態にかかる塗布液を得る工程は、炭素繊維複合材料と溶剤とを混合させる。本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、気相成長炭素繊維とエラストマーとの濡れがよいため、溶剤中に溶解させても沈殿しない。これは、気相成長炭素繊維が、溶解したエラストマー分子に絡まったままの状態で塗布液中に均一に懸濁するためである。しかも、気相成長炭素繊維は、界面相に覆われたまま塗布液中に存在する。
この工程で用いられる溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系やシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系などの溶媒の1種以上を含むものをエラストマーの種類によって適宜選択することができる。溶剤としては、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シンナー(混合溶剤)、エチレングリコール、モノエチルエーテル(別名セロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)、オルト−ジクロロベンゼン、クロルベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロルエタン(別名二塩化エチレン)、1,2−ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)、1,1,2,2−テトラクロルエタン(別名四塩化アセチレン)、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン)、トリクロルエチレン、1,1,1−トリクロルエタン、二硫化炭素、ノルマルヘキサン、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、オルト−ジクロルベンゼン、キシレン(オルト)、キシレン(メタ)、キシレン(パラ)、クレゾール(オルト)、クレゾール(メタ)、クレソール(パラ)、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、1,4−ジオキサン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトン、工業ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサ)、石油エーテル、石油ナフサ(軽質)、石油ナフサ(重質)、石油ベンジン、テレビン油、ミネラルスピリットなどの有機溶剤などから適宜エラストマーに合わせて選択することができる。例えば、炭素繊維複合材料のエラストマーが天然ゴム(NR)やスチレン系(SBS)の場合にはトルエン、EPDMの場合にはシクロヘキサンが用いられる。
(V)薄膜を形成する工程
本実施の形態にかかる塗布液を基材上に塗布して薄膜を形成する工程は、基材上に塗布液を均一の厚さに塗布する方法を採用することができる。そのような塗布する方法としては、スピンコート法、ディッピング法、静電塗装などのスクリーン印刷法、スプレー法、インクジェット法から選ばれる方法によって実施されることが好ましい。さらに、このようにして塗布された塗布液は、減圧恒温炉中で凍結乾燥や熱処理乾燥、あるいは紫外線などによる硬化によって薄膜を形成する。薄膜の膜厚は、薄膜の成形方法によって異なるが、例えば0.5〜10μmが好ましい。
本実施の形態では、塗布液を基材上に塗布する工程として、スピンコート法を用いた例について述べる。図2に示すように、基材として例えば円盤状の基板60をモータ80に連結された基板支持台70上に設置した後、基板支持台70に設けられた図示せぬ真空吸着手段により真空吸着して保持し、モーター80により基板支持台70と基板60とを例えば2000rpmで回転させる。そして、回転した基板60上に塗布ノズル90から上記(IV)で得られた塗布液100を滴下して基板60の全面に均一に塗布し、減圧恒温槽中で展開液を凍結乾燥し、基板60上に薄膜を形成する。基板60としては、金、銅、アルミニウムなどの金属、シリコンウエハなどの半導体、ガラス、高分子材料などを用いることができる。
上記(IV)で得られた塗布液には、気相成長炭素繊維が沈殿することなく均一に懸濁しているため、スピンコート法によって基材に気相成長炭素繊維を均一に分散させることができる。
(VI)薄膜の電磁気特性
本実施の形態にかかる製造方法で基材に形成された薄膜は、気相成長炭素繊維が均一に分散されている。本実施の形態にかかる薄膜は、優れた電磁気特性を有するため、電磁気材料として用いることができる。
薄膜における気相成長炭素繊維の分散の状態は、薄膜をパルス法NMRを用いて反転回復法による測定を行うことで判定できる。パルス法NMRを用いた反転回復法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、薄膜のスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、薄膜は固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、薄膜は柔らかいといえる。
薄膜は、基材であるエラストマーに気相成長炭素繊維が均一に分散されている。このことは、エラストマーが気相成長炭素繊維によって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、気相成長炭素繊維によって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、気相成長炭素繊維の拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる薄膜の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、気相成長炭素繊維を含まないエラストマー単体の場合より短くなる。なお、架橋体の薄膜におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、気相成長炭素繊維の混合量に比例して変化する。
また、エラストマー分子が気相成長炭素繊維によって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、気相成長炭素繊維によってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、気相成長炭素繊維の活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、気相成長炭素繊維を含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。なお、第1のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fn)は、fn+fnn=1であるので、気相成長炭素繊維を含まないエラストマー単体の場合より大きくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる薄膜は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋の薄膜において、110℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないか、あるいは1000ないし10000μ秒であり、第1のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fn)は0.95以上であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.05未満であることが好ましい。
また、本実施の形態にかかる薄膜における気相成長炭素繊維の分散の状態は、薄膜を電子スピン共鳴(以下、ESR)分光装置を用いて線幅の測定を行うことで判定することもできる。さらに、ESR分光装置を用いて炭素の不対電子のシグナルのg値を測定することで、本実施の形態にかかる薄膜の電磁気的特性も判定することができる。
ESR分光装置は、不対電子(スピン)にマイクロ波を照射し、その吸収をスペクトルとして観測することができる。
ESR分光装置によって測定されるg値とは、不対電子を持つフリーラジカルが一定の強さの磁場のもとで作り出すエネルギー場とマイクロ波を吸収するときの見かけの指標である。g値が大きいほど大きな共鳴エネルギーを吸収することになり、フリーラジカルを特徴づける値である。また、ESR分光装置によって測定される線幅とは、不対電子同士の相互作用を示す指標である。なお、ESR分光装置による炭素の不対電子のシグナルのg値及び線幅の測定は、伝導電子の信号が検出されない温度4.5ケルビン(K)で行なわれる。
本実施の形態にかかる薄膜は、電子スピン共鳴分光装置によって測定された4.5ケルビン(K)における炭素の不対電子のシグナルのg値が2.000以上2.002未満であることが好ましい。金属におけるg値は2.000であるので、このような範囲のg値とすることで本発明にかかる薄膜は金属に近い電気伝導性を有していることがわかる。
このような薄膜の電気伝導性について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は、薄膜中の気相成長炭素繊維の状態と電気伝導を模式的に示す図である。
通常、エラストマー中に気相成長炭素繊維が凝集して存在する場合、図3に示すような気相成長炭素繊維側面を流れる電気伝導(図3における矢印50)と気相成長炭素繊維の内部を流れる電気伝導(図3における矢印52)があると考えられる。このような状態においては、気相成長炭素繊維側面を流れる電気伝導(図3における矢印50)が主体となるため、ESR分光装置による炭素の不対電子のシグナルのg値は2.0023となる。
しかし、本実施の形態にかかる薄膜のように気相成長炭素繊維が均一に分散されていると、図4に示すような気相成長炭素繊維の内部を流れる電気伝導(図4における矢印52)が主体となり、また気相成長炭素繊維同士が接触している箇所での電気伝導(図4における矢印53)や図示せぬ連結した界面相での電気伝導もあり、全体として金属(g値が2.000)に近い電気伝導性を有することができる。
さらに、上述したg値を有する本発明にかかる薄膜は、電子スピン共鳴分光装置によって測定された4.5ケルビン(K)における炭素の不対電子のシグナルの線幅が300μT以上であることが好ましい。このような線幅においては、本発明にかかる薄膜は気相成長炭素繊維が均一に分散され、金属のような電気伝導性を有していることがわかる。
さらに、薄膜においては引張強度が大きいことが好ましいが、本発明にかかる薄膜は、原料エラストマーよりも引張強度が向上し、気相成長炭素繊維の含有量を増やすことで引張強度も向上することができる。なお、(VI)においては、薄膜について説明してきたが、炭素繊維複合材料においても同様の電磁気的な特性を有していることは容易に理解できる。
(VII)電子放出材料
本実施の形態にかかる製造方法で得られた電子放出材料は、シート状の炭素繊維複合材料の形態においても、基材に形成された薄膜の炭素繊維複合材料の形態においても、同様に優れた電子放出特性を有する。
本実施の形態にかかる電子放出材料の電子放出特性は、しきい値電界が3V/μm以下であって、飽和電流密度が1mA/cm以上の高効率の電子放出材料である。特に、平均直径が67〜107nmの気相成長炭素繊維を用いた場合、本実施の形態にかかる電子放出材料の電子放出特性は、しきい値電界が1V/μm以下であって、飽和電流密度が1mA/cm以上の高効率の電子放出材料である。本実施の形態にかかる電子放出材料によれば、気相成長炭素繊維をエラストマー、特に界面相で包み込むことで、長寿命でありながら、低電界における電子放出を可能とすることができる。また、本実施の形態にかかる電子放出材料は、エラストマーをマトリクスとしながら、金属に近い電気伝導性を有するので、電子注入が可能である。さらに、エラストマーをマトリクスとしているため、電子放出材料の形態の自由度が高く、多くの用途に柔軟に対応可能である。また、薄膜を構成するエラストマーは、架橋してもよいし、無架橋であってもよい。
また、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の最適体積割合は、8〜41体積%である。特に、平均直径が136〜176nmの気相成長炭素繊維の場合、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の体積割合を19〜41体積%とすることで優れた電子放出特性を得ることができ、31〜41体積%とすることでさらに優れた電子放出特性を得ることができる。また、平均直径が67〜107nmの気相成長炭素繊維の場合、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%とすることで優れた電子放出特性を得ることができる。このような体積割合で気相成長炭素繊維を含む炭素繊維複合材料は、気相成長炭素繊維を含む炭素繊維複合材料における最も好ましい電子放出特性を有する。気相成長炭素繊維の体積割合が8体積%未満及び41体積%を超える範囲においては、炭素繊維複合材料の電子放出特性が低下する。特に、気相成長炭素繊維の体積割合が41体積%を超える範囲においては、エラストマーとの混練が難しくなり、加工性にも劣る。
(VIII)電子放出装置
図8は、本実施の形態にかかる電子放出装置を用いたフィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)110の構成を示す模式図である。フィールド・エミッション・ディスプレイ110は、前記工程で得られた薄膜(電子放出材料)2が電極基板60上に形成された陰極8と、ゲート電極4を挟んで、陰極2から所定の間隔をあけて対向配置されたガラス基板5と、を例えば真空気密容器中に有している。ガラス基板5の陰極2側には陽極6及び蛍光体7が積層して形成されている。したがって、フィールド・エミッション・ディスプレイ110は、薄膜2を含む陰極8と、陽極6と、陰極8と陽極6との間に配置されたゲート電極4と、を具備する、電子放出装置を含む。
陰極8とゲート電極4間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された薄膜2のゲート電極4側の表面から陽極6へ向かって電子(e)を放出する。陰極8から放出された電子(e)は、陽極6に向かって進行し、蛍光体7に当たることによって生じる発光を利用して像を表示することができる。陰極8の薄膜2の表面は、エッチングなどによって表面処理されることで、突起状の電子放出部としてのエミッタを形成してもよいし、エッチングしなくても表面全体が電子放出材料の薄膜2で形成されているためエミッタとして機能することができる。
このような電子放出装置は、薄膜2の全体に分散された気相成長炭素繊維によって電子放出効率が高く、薄膜2が金属と同等の電気伝導性を有するので電子注入が容易である。また、気相成長炭素繊維は、エラストマー特に界面相に覆われているため、長寿命である。
このようにして得られた電子放出材料及び電子放出装置は、フィールド・エミッション・ディスプレイの他、各種用途に用いることができる。例えば、電極基板の表面全体を発光させることで、面発光体(面蛍光体)としてもよいし、あるいは蛍光ランプ、電子顕微鏡、プラズマディスプレイなどの熱陰極動作または冷陰極動作による放電を利用する各種電極として用いることができる。
図9〜図14は、本実施の形態にかかる電子放出材料を用いた照明装置の構成を示す縦断面模式図である。
図9の平面照明装置200は、前記工程で得られた炭素繊維複合材料(電子放出材料)を電極基板として形成した陰極160と、陰極160から所定の間隔をあけて配置された蛍光色素膜130が陰極160側に形成されたガラス板120と、ガラス板120と陰極160との間隔を決めるスペーサ150と、ガラス板120と陰極160との間に形成されたグリッド(陽極)140と、を具備する。ガラス板120、グリッド140、陰極160は、例えば四角形の平板状であり、グリッド140は打抜きや電鋳などにより形成された複数の微小孔を持つ金属板である。ガラス板120は、透明で、陰極160側の表面にスクリーン印刷などの方法で塗布されている。一定厚さのスペーサ150は、その平板状ガラス板120と陰極160の外周端部に配置され、かつガラス板120と陰極160とで挟み込まれ、ガラス板120と陰極160との間に気密な真空状態の空間180を形成する。また、グリッド140の外周端部は、スペーサ150の中間部分に挟み込まれて固定されている。陰極160とグリッド140間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された陰極160のグリッド140側の表面からガラス基板120へ向かって電子が放出され、グリッド140の複数の微小孔を通過する。陰極160から放出され、グリッド140の微小孔を通過した電子は、陽極120に向かって進行し、蛍光色素膜130に当たることによって発光し、照明装置となる。陰極160とガラス板120の間の空間は、真空でもよいが、例えばアルゴンガスなどの所定のガスを封入してもよい。また、ガラス板120は、本実施の形態のように透明でもよいが、既存の照明装置と同様に着色されていてもよい。
また、図10の平面照明装置202においては、例えばアルミニウムなどで形成された基板170上に陰極薄膜162を形成している以外は、図9の実施例と同様である。陰極薄膜162は、前記工程で説明した、基板170上に薄く塗布して得られた薄膜162である。
図11の平面照明装置204は、図9のグリッドをなくして、陽極124が陰極160側の表面に形成された透明なITOガラス板122を有する以外は、図9の実施例と同様である。ITOガラス板122を用いた場合には、蛍光色素膜130はITOガラス122の陰極160側表面に形成された陽極124の上にスクリーン印刷などの方法で塗布される。つまり、ITOガラス板122を用いた場合には、陽極124はガラス板122の本体と蛍光色素膜130との間に配置することになる。したがって、陽極124と陰極160との間へ電圧を印加すると、電子放出材料である陰極160の表面からITOガラス板122へ向かって電子を放出し、蛍光色素130に当たって発光する。なお、ITOガラス板122の替わりに、透明なガラス板にスクリーン印刷で蛍光色素膜を塗布した上に、真空蒸着法などでアルミニウム薄膜の陽極を形成させてもよい。
図12の平面照明装置206は、図8に示したフィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)110と同様の構成であって、図11のITOガラス122と陰極160との間にグリッド140を追加した構成である。このように、平面照明装置200〜206は、薄板状であり、省電力で発光するため、建物の内壁材の一部として施工することも可能である。
図13の曲面照明装置208は、ITOガラス板122、グリッド140、陰極162、基板170が部分的に曲面を形成している。このように、電極などを曲面に形成することで照明装置の形状を自由に設計することが可能である。したがって、住宅などにおける照明装置の形状の自由度が高くなる。なお、蛍光色素膜130は、照明装置として多く用いられる白色蛍光色素が好ましいが、必要に応じて他の色の蛍光色素を選択してもよい。
図14の管状照明装置210は、横断面円形のいわゆる蛍光灯型の照明装置であって、図13の曲面照明装置208と基本的な構成は同じである。ITOガラス板が管状に形成されたガラス外囲器121は、内周面に陽極124が形成され、その上に蛍光色素膜130が形成されている。ガラス外囲器121の両端は、口金152,152によって密封され、密閉された空間180を真空状態に保持する。管状照明装置210の中心には長細い円柱状の電極棒172が配置され、電極棒172の両端は口金152,152に固定されている。電極棒172の外表面は陰極薄膜162で覆われ、さらに陰極薄膜162から所定の間隔を隔てて管状に配置されたグリッド140が電極棒172を取り囲んでいる。したがって、グリッド140と陰極薄膜162との間へ電圧を印加すると、電子放出材料で形成された陰極薄膜162の表面からグリッド140へ向かって放射状に電子を放出し、グリッド140の微小孔を通過した電子が蛍光色素膜130に当たって管全体が発光する。特に、管状照明装置210は、現行の蛍光灯と同様の形態でありながら、管内部に水銀を含んでおらず、リサイクル性のよい照明装置である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、気相成長炭素繊維の平均屈曲指数の測定した。実施例1〜7及び比較例1〜5に用いた各気相成長炭素繊維を、電子顕微鏡(SEM)を用いて1.0kV、1万倍〜10万倍で撮影した写真で繊維の屈曲していない直線部分の長さ(隣接する欠陥の間隔)Lxと繊維の直径Dを測定した。例えば、図15は平均直径87nmで平均長さ10μmの気相成長炭素繊維を1.0kV、1万倍で撮影した電子顕微鏡写真であり、ほとんど湾曲していない多数のカーボンナノファイバーが確認できた。さらに、図16のようにこの気相成長炭素繊維を5万倍で観察した電子顕微鏡写真では、矢印で示す箇所に捩れや屈曲などの欠陥が確認できた。また、例えば図17は、昭和電工社製の平均直径150nm(実測値156nm)で平均長さ10μmの気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工社の登録商標)を1万倍で撮影した電子顕微鏡写真であり、図18はその気相成長炭素繊維を5万倍で観察した電子顕微鏡写真である。図18では、図16と同様に矢印で示す箇所に欠陥が確認できた。Lxの測定では、これらの欠陥の間隔を測定した。その結果を用いて、繊維の種類毎に200箇所の屈曲指数をLx/Dで計算し、その屈曲指数を測定箇所の数(200)で割って平均屈曲指数を求めた。平均直径87nmの気相成長炭素繊維の平均屈曲指数は9.9、実測値156nmの気相成長炭素繊維の平均屈曲指数は6.8であった。なお、参考までに、ILJIN社製の平均直径が13nmのCVD法マルチウォールカーボンナノチューブは平均屈曲指数は2.2であり、同社製の平均直径が120nmのCVD法マルチウォールカーボンナノチューブは平均屈曲指数は2.7あった。各種繊維について、横軸に屈曲指数、縦軸に頻度(%)をとった屈曲度分布のグラフを図19に示した。なお、図19において、平均直径87nmの気相成長炭素繊維は「気相炭素87nm」と表記し、実測値156nmの気相成長炭素繊維は「気相炭素156nm」と表記し、平均直径が13nmのCVD法マルチウォールカーボンナノチューブは「CNT13」と表記し、平均直径が120nmのCVD法マルチウォールカーボンナノチューブは「CNT120」表記とした。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
(1)平均直径87nmの気相成長炭素繊維を用いたサンプルの作製
電子放出材料の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1、2に示す所定量のエラストマー(「NR」)を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:次に、表1、2に示す量(炭素繊維複合材料におけるCNTの体積%)の気相成長炭素繊維(表1では「CNTの種類」の欄に「気相炭素(87nm)」と記載する)をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:気相成長炭素繊維を投入し終わったら、エラストマーと気相成長炭素繊維との混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした炭素繊維複合材料を投入し、分出しした。
なお、表1、表2における「気相炭素」は実測平均直径87nmで平均屈曲指数が9.9の気相成長炭素繊維であった。表1、表2において、「NR」が天然ゴム(分子量300万、T2n(30℃)700μ秒)であった。
このようにして得られた炭素繊維複合材料をロールで圧延後、プレス成形して、実施例1〜3及び比較例1、2の無架橋の電子放出材料(厚さ1mmのシート形状)を得た。また、実施例4は、第2の工程でパーオキサイド2phrを投入し、175℃で20分間プレス架橋した。さらに、実施例3の無架橋の電子放出材料サンプルは、炭素繊維複合材料を5倍量のトルエンに投入し、攪拌して溶解させて塗布液を得て、アルミニウム製の基板上にスクリーン印刷法で塗布液を塗布し、乾燥させて、基板上に膜厚10μmのフィルム状の薄膜を形成した。
(2)破断伸び(%)と動的弾性率(MPa)の測定
各サンプルをJIS−K6251−1993のダンベル型に切り出した試験片について、東洋精機社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minで引張破壊試験を行い破断伸び(%)を測定した。また、各サンプルを短冊形(40×1×5(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、30℃、動的ひずみ±0.05%、周波数10Hzで動的粘弾性試験を行い150℃における動的弾性率(E’)を測定した。さらに、150℃における動的弾性率(E’/150℃:単位はMPa)と23℃における破断伸び(EB:単位は%)との積(E’×EB)を計算した。これらの結果を表1、表2に示す。
(3)しきい値電界及び飽和電流密度の測定
実施例1〜4及び比較例1〜3の電子放出材料のしきい値及び飽和電流密度を、図11に示した装置(陰極の基板はアルミニウム製)で測定した。しきい値の測定は、陽極と陰極の間に徐々に電圧をかけ、電子放出し始める電界(電圧/電極間距離)をしきい値電界とした。飽和電流密度は、陽極と陰極の間に徐々に電圧をかけ、電流密度がほぼ飽和状態になった値を飽和電流密度とした。測定結果を表1、表2に示した。また、実施例1,2、比較例1〜3の測定結果を図20に示した。
表1、表2、図20から、本発明の実施例1〜4によれば、以下のことが確認された。すなわち、本発明の実施例1〜4は、炭素繊維複合材料における平均直径87nmの気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%の範囲において、しきい値電界が0.4〜1(V/μm)と低く、最適体積割合であることが確認された。また、実施例1〜4の電子放出材料の飽和電流密度も同様に、炭素繊維複合材料における平均直径87nmの気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%の範囲において、13〜25(mA/cm)となり、良好な電子放出特性を有することがわかった。また、図20のようにグラフ化することで、気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%の炭素繊維複合材料において他の体積割合とは明らかに異なる好ましい電子放出特性が得られることがわかった。さらに、電子放出材料のしきい値電界及び飽和電流密度は、架橋の有無に関係なく、また、薄膜やシート状などの形状にもあまり影響されないことがわかった。本発明の実施例1〜4は、炭素繊維複合材料における平均直径87nmの気相成長炭素繊維の体積割合が8〜19体積%の範囲において、E’×EBが5000以上であり、比較例1〜3に比べて高い柔軟性と高い剛性を有することがわかった。なお、比較例3のように平均直径87nmの気相成長炭素繊維が45体積%になると、ロールでの混練が難しく、加工性が悪かった。
(実施例5〜7、比較例4、5)
(5)平均直径156nmの気相成長炭素繊維を用いたサンプルの作製
電子放出材料の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表3、4に示す所定量のエラストマー(「NR」)を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:次に、表3、4に示す量(炭素繊維複合材料におけるCNTの体積%)の気相成長炭素繊維(表3では「CNTの種類」の欄に「気相炭素(156nm)」と記載する)をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:気相成長炭素繊維を投入し終わったら、エラストマーと気相成長炭素繊維との混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした炭素繊維複合材料を投入し、分出しした。
なお、表3、表4における「気相炭素」は平均直径150nm(実測平均値156nm)で平均屈曲指数が6.8の昭和電工社製気相成長炭素繊維「VGCF(昭和電工社の登録商標)」であった。表3、表4において、「NR」が天然ゴム(分子量300万、T2n(30℃)700μ秒)であった。
このようにして得られた炭素繊維複合材料をロールで圧延後、プレス成形して、実施例1〜3及び比較例1、2の無架橋の電子放出材料(厚さ1mmのシート形状)を得た。
(6)破断伸び(%)と動的弾性率(MPa)の測定
実施例5〜7、比較例4、5の各サンプルを、前記(2)と同様に150℃における動的弾性率(E’)を測定し、150℃における動的弾性率(E’/150℃:単位はMPa)と23℃における破断伸び(EB:単位は%)との積(E’×EB)を計算した。これらの結果を表3、表4に示す。
(7)しきい値電界及び飽和電流密度の測定
実施例5〜7及び比較例4、5の電子放出材料のしきい値及び飽和電流密度を、前記(3)と同様に測定した。測定結果を表3、表4に示した。また、実施例5〜7、比較例4、5の測定結果を図21に示した。
表3、表4、図21から、本発明の実施例5〜7によれば、以下のことが確認された。すなわち、本発明の実施例5〜7は、炭素繊維複合材料における平均直径156nmの気相成長炭素繊維の体積割合が19〜41体積%の範囲において、しきい値電界が0.4〜3(V/μm)と低く、最適体積割合であることが確認された。特に、実施例6,7は、炭素繊維複合材料における平均直径156nmの気相成長炭素繊維の体積割合が31〜41体積%の範囲において、しきい値電界が0.8〜0.9(V/μm)と低く、さらに好ましい最適体積割合であることが確認された。また、実施例5〜7の電子放出材料の飽和電流密度も同様に、炭素繊維複合材料における気相成長炭素繊維の体積割合が19〜41体積%の範囲において、2〜15(mA/cm)となり、良好な電子放出特性を有し、特に31〜41体積%の範囲において、4〜15(mA/cm)とさらに好ましい電子放出特性を有することがわかった。また、図21のようにグラフ化することで、平均直径156nmの気相成長炭素繊維の体積割合が19〜41体積%の炭素繊維複合材料において他の体積割合とは明らかに異なる好ましい電子放出特性が得られることがわかった。本発明の実施例5〜7は、炭素繊維複合材料における平均直径156nmの気相成長炭素繊維の体積割合が19〜41体積%の範囲において、E’×EBが5000以上であり、比較例4、5に比べて高い柔軟性と高い剛性を有することがわかった。なお、比較例5のように平均直径156nmの気相成長炭素繊維が45体積%になると、ロールでの混練が難しく、加工性が悪かった。
以上のように、本発明の実施例1〜7によれば、炭素繊維複合材料中における気相成長炭素繊維の最適体積割合が8〜41体積%の範囲において優れた電子放出特性を得ることができた。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーと気相成長炭素繊維との混練法を模式的に示す図である。 本実施の形態で用いたスピンコート法による塗布液の塗布を模式的に示す図である。 凝集した気相成長炭素繊維と電気伝導を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかる薄膜中の気相成長炭素繊維の状態と電気伝導を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料(電子放出材料)の一部を拡大して示す模式図である。 気相成長炭素繊維が少ない炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。 気相成長炭素繊維が多すぎる炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態にかかる電子放出装置を用いたフィールド・エミッション・ディスプレイの構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる平面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる曲面照明装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態にかかる管状照明装置の構成を示す模式図である。 実測平均直径87nmの気相成長炭素繊維の電子顕微鏡写真(1万倍)である。 実測平均直径87nmの気相成長炭素繊維の電子顕微鏡写真(5万倍)である。 実測平均直径156nmの気相成長炭素繊維の電子顕微鏡写真(1万倍)である。 実測平均直径156nmの気相成長炭素繊維の電子顕微鏡写真(5万倍)である。 横軸に屈曲指数、縦軸に頻度(%)をとった屈曲度分布を示す折れ線グラフである。 実測平均直径87nmの気相成長炭素繊維のしきい値及び飽和電流密度の測定結果である。 実測平均直径156nmの気相成長炭素繊維のしきい値及び飽和電流密度の測定結果である。
符号の説明
1 炭素繊維複合材料
2 薄膜(電子放出材料)
4 ゲート電極
5 ガラス基板
6 陽極
7 蛍光体
8 陰極
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
34 セル
36 界面相
40 気相成長炭素繊維
50 気相成長炭素繊維の側面を流れる電気伝導を示す矢印
52 気相成長炭素繊維の内部を流れる電気伝導を示す矢印
53 気相成長炭素繊維同士の接触箇所を流れる電気伝導を示す矢印
60 基板
70 基板支持台
80 モーター
90 塗布ノズル
100 塗布液
110 フィールド・エミッション・ディスプレイ
120 ガラス板
121 ガラス外囲器
122 ITOガラス板
130 蛍光色素膜
140 グリッド
150 スペーサ
152 口金
160 陰極
162 陰極薄膜
170 基板
172 電極棒
180 真空状態の空間
200〜206 平面照明装置
208 曲面照明装置
210 管状照明装置

Claims (18)

  1. エラストマーに、気相成長炭素繊維を混合させ、かつ剪断力によって分散させて炭素繊維複合材料を得る工程を含み、
    前記気相成長炭素繊維は、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維であって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む、電子放出材料の製造方法。
    屈曲指数=Lx÷D (1)
    Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ
    D:気相成長炭素繊維の直径
  2. 請求項1において、
    前記気相成長炭素繊維は、平均直径が136〜176nmであって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を19〜41体積%含む、電子放出材料の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を31〜41体積%含む、電子放出材料の製造方法。
  4. 請求項1において、
    前記気相成長炭素繊維は、平均直径が67〜107nmであって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜19体積%含む、電子放出材料の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記炭素繊維複合材料と溶剤とを混合して塗布液を得る工程と、
    前記塗布液を基材上に塗布して薄膜を形成する工程と、
    を含む、電子放出材料の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、電子放出材料の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、前記気相成長炭素繊維に対して親和性を有する不飽和結合または基を有する、電子放出材料の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、電子放出材料の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒である、電子放出材料の製造方法。
  10. 請求項5において、
    前記薄膜を形成する工程は、スピンコート法、ディッピング法、スクリーン印刷法、スプレー法、インクジェット法から選ばれる、電子放出材料の製造方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の製造方法によって得られた電子放出材料。
  12. 請求項5に記載の製造方法によって得られた電子放出材料が形成された基材。
  13. エラストマー中に、下記式(1)で定義される屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な気相成長炭素繊維が分散された炭素繊維複合材料であって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜41体積%含む、電子放出材料。
    屈曲指数=Lx÷D (1)
    Lx:気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さ
    D:気相成長炭素繊維の直径
  14. 請求項13において、
    前記気相成長炭素繊維は、平均直径が136〜176nmであって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を19〜41体積%含む、電子放出材料。
  15. 請求項14において、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を31〜41体積%含む、電子放出材料。
  16. 請求項13において、
    前記気相成長炭素繊維は、平均直径が67〜107nmであって、
    前記炭素繊維複合材料は、前記気相成長炭素繊維を8〜19体積%含む、電子放出材料。
  17. 請求項13ないし16において、
    前記炭素繊維複合材料は、150℃における動的弾性率(E’:単位はMPa)と23℃における破断伸び(EB:単位は%)との積が5000以上である、電子放出材料。
  18. 請求項13ないし17のいずれかに記載の電子放出材料を含む陰極と、
    前記陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極と、
    を具備し、
    前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加することで前記電子放出材料から電子を放出する、電子放出装置。
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