JP2008027824A - 電子銃フィラメントのモニタ方法、および制御方法 - Google Patents

電子銃フィラメントのモニタ方法、および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラメントの細り具合(断面積の変化)によりフィラメントの消耗状態を検出する、特に、フィラメントの細り具合(断面積の変化)をエミッション電流の電流値を測定することなく検出する。
【解決手段】フィラメント電流の通電による加熱によって熱電子を放出する電子銃フィラメントの消耗状態をモニタする電子銃フィラメントのモニタ方法において、熱電子放出が零となるカットオフ点におけるフィラメント電流を求め、このフィラメント電流に基づいてフィラメントの消耗状態をモニタする。カットオフ点におけるフィラメント電流は、エミッション電流が零となるフィラメント電流から求める。熱電子放出が零となるカットオフ点でのフィラメント電流を用いることによって、従来のようなエミッション電流の測定を要することなく、フィラメントの消耗状態をモニタし、フィラメント電流の最適値を予測する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子線を用いた装置において、電子線を放出する電子銃フィラメントの消耗状態モニタする方法、およびフィラメントに流す最大電流を制御する方法に関し、例えば液晶検査装置や電子顕微鏡に適用することができる。
液晶検査装置や電子顕微鏡では電子線を放出する機構として電子銃フィラメントを用いるものが知られいる。この電子銃フィラメントとして、通電により加熱したフィラメントから熱電子を放出するものが知られている。このフィラメントの材料としては一般にタングステン線をヘアピン形状に成形したものが用いられる。このタングステン線に通電すると、熱電子が放出される。電子銃フィラメントは、フィラメントの下流側に負電圧を印加したウェネルト電極を備える。このウェネルト電極は、電子レンズ作用によって電子ビームを絞る作用がある。
タングステン材のフィラメントは、温度が高い程蒸発の程度が高いという性質があり、通電による加熱によって次第に断面積が減る。例えば、1000時間といった長期間使用した後にフィラメントは、そのタングステン線材の断面積が表面の蒸発によって減少し、最後には断線して寿命に至る。
フィラメントが断線した場合には交換する必要があるが、交換作業は時間を要すると共に、その間は装置の稼働を停止させなければならないため、フィラメントの交換時期を予め設定することが管理上から望ましい。そして、このフィラメントの交換時期を定めるには、各装置内に設置されているフィラメントの消耗状態をモニタすることが必要である。
このような要求から、電子銃のフィラメント状態監視装置(例えば、特許文献1参照)や、フィラメント劣化状態測定や交換時期に関する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
特許文献1の監視装置には、フィラメントとウェネルト電極との位置関係をエミッション電流の監視によって把握し、このエミッション電流について基準値と実測値とを比較することによって、フィラメント状態を判断することが示されている。
また、特許文献2に示される方法では、エミッション電流を一定に保つためのフィラメント電流を制御すると共に、このフィラメント電流の値によってフィラメントの劣化状態を測定し、また、測定した劣化状態と予め設定された劣化状態とを比較して、フィラメントの交換時期を指示することが示されている。
特開平5−182620号公報 特開平7−151816号公報
フィラメント材の蒸発の程度はフィラメントの温度に依存し、この温度は主にフィラメントを加熱するために通電する電流に依存する。例えば、電子銃フィラメントの加熱電流を3%程度増加させると、白熱電球のフィラメントと同様に、寿命はほぼ半分となることが報告されている。同質の素材からなるフィラメントに通電した場合、使用開始時と長期間使用した後とでは、そのフィラメントの断面積が変化し、径が細くなる。
単位面積当たりに流れる電流量について見ると、使用開始時と長期間使用した後とで同じ電流量をフィラメントに通電した場合には、断面積が減少している長期間使用後のフィラメントには断面積当たりより多くの電流が流れることになり、温度が上昇して蒸発が促進されてフィラメントの劣化が進むことになる。したがって、フィラメントを取り付けた当初に設定した電流を通電して加熱を行うと、加熱により得られる温度が目的とする以上に上昇することになり、フィラメントの劣化が進み、寿命が短くなるという問題がある。
上述した特許文献1は、フィラメントとウェネルト電極との位置を適正な位置に設定することによって、フィラメントの寿命の短命を防止するものであり、フィラメントの断面積の減少による劣化状態を知ることはできない。
また、上述した特許文献2は、エミッション電流を所望の大きさに保ったときのフィラメント電流の大きさを検出するものであり、稼働状態のフィラメントの劣化状態を測定する。この特許文献2では、エミッション電流を所望の大きさに保つことが必要であるが、このエミッション電流を所望の大きさに保つには、稼働状態において、エミッション電流を測定すると共に、エミッション電流を制御することが必要となる。しかしながら、稼働状態においては、エミッション電流を形成する熱電子の流れは、装置内に設けた種々の電極とその電位に依存して変化するため、エミッション電流を正確に測定し、制御することは困難である。
そこで、本発明は上記課題を解決して、フィラメントの細り具合(断面積の変化)によりフィラメントの消耗状態を検出することを目的とし、特に、フィラメントの細り具合(断面積の変化)をエミッション電流の電流値を測定することなく検出することを目的とする。
また、フィラメントの細り具合(断面積の変化)に適した最適なフィラメント電流を、エミッション電流の電流値を測定することなく求め、これによって、フィラメント電流の最適な制御を行うことを目的とする。
本発明は、熱電子放出が零となるカットオフ点でのフィラメント電流を用いることによって、従来のようなエミッション電流の測定を要することなく、フィラメントの消耗状態をモニタし、フィラメント電流の最適値を予測する。
フィラメントから放出される熱電子の放出量はそのフィラメントの温度に依存し、その特性はフィラメント材料に固有である。熱電子はカットオフ点において放出をはじめ、温度の上昇に伴って熱電子放出量は著しく変化し、一定の温度以上では飽和する傾向を示す。
熱電子のカットオフ特性によって、フィラメント電流が所定の大きさよりも小さい場合にはエミッション電流は流れず、フィラメント電流が所定の大きさを超えたときにはじめてエミッション電流が流れる。本発明は、このカットオフ特性を利用し、カットオフ点のフィラメント電流に基づいてフィラメントの消耗状態をモニタし、また、フィラメント電流の最適値を予測する。
本発明は、電子銃フィラメントの消耗状態をモニタする方法と、電子銃フィラメントのフィラメント電流を制御する方法の各態様を備える。
本発明の電子銃フィラメントの消耗状態をモニタする方法は、フィラメント電流の通電による加熱によって熱電子を放出する電子銃フィラメントの消耗状態をモニタする電子銃フィラメントのモニタ方法であって、熱電子放出が零となるカットオフ点におけるフィラメント電流を求め、このフィラメント電流に基づいてフィラメントの消耗状態をモニタする。このカットオフ点におけるフィラメント電流は、エミッション電流が零となるフィラメント電流から求めることができる。
また、本発明の電子銃フィラメントの制御方法は、フィラメント電流の通電による加熱によって熱電子を放出する電子銃フィラメントのフィラメント電流を制御する電子銃フィラメントの制御方法であって、熱電子放出が零となるカットオフ点におけるフィラメント電流を求め、求めたフィラメント電流から電子銃フィラメントの消耗状態を予測し、予測した電子銃フィラメントの消耗状態に対応してフィラメントの最大電流の限界値を定める。
このモニタ方法によれば、稼働中におけるエミッション電流の電流値を求めることなく、カットオフ点でのフィラメント電流からフィラメントの消耗状態をモニタすることができる。
カットオフ点でのフィラメント電流は、例えば、エミッション電流が流れない状態からフィラメントを漸増させていき、エミッション電流が流れはじめるときのフィラメント電流から求めることができる他、エミッション電流が流れる状態からフィラメントを漸減させていき、エミッション電流が流れなくなるときのフィラメント電流から求めることができる。いずれにおいても、カットオフにおけるフィラメント電流をエミッション電流の有無によって検出するものであり、このときのエミッション電流は、フィラメント電流を検出するトリガとするだけであって、その電流値は不要であるため、エミッション電流の誤差等による影響を避けることができる。
また、電子銃フィラメントは、熱電子の下流側にウェネルト電極を備える構成であり、ウェネルト電極を通過した熱電子をエミッション電流をとして検出する。
このウェネルト電極は、通常フィラメントに対して負電圧を印加することによって、電子ビームを絞るために用いられる。本発明は、このウェネルト電極の電位をフィラメントに対して零電圧付近、あるいはフィラメントに対して僅かに正となる電圧に設定することによって、ウェネルト電極の開口部を通過した熱電子がエミッション電流として検出できるようにする。
この本発明のモニタ方法によれば、エミッション電流は単に電流が流れたか否かのみをモニタするだけでよく、エミッション電流の電流値を求める必要はないため、エミッション電流の大きさに影響を受けることなくフィラメントの消耗状態をモニタすることができる。
また、本発明の制御方法によれば、稼働中におけるエミッション電流の電流値を求めることなく、カットオフ点でのフィラメント電流に基づいてフィラメントの最大電流の限界値を定め、フィラメント電流の最適値の予測を行うことができる。
本発明によれば、フィラメントの細り具合(断面積の変化)によりフィラメントの消耗状態を検出することができ、特に、フィラメントの細り具合(断面積の変化)をエミッション電流の電流値を測定することなく検出することができる。
また、フィラメントの細り具合(断面積の変化)に適した最適なフィラメント電流を、エミッション電流の電流値を測定することなく求め、これによって、フィラメント電流の最適な制御を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1を用いて、熱電子放出が零となるカットオフ点におけるエミッション電流とフィラメント電流との関係を説明する。
図1(a)は、フィラメントの熱電子と温度との関係を模式的に示している。なお、この関係はフィラメントの材料に依存し、図1(a)は、例えばタングステン等の素材によりフィラメントを形成したときの一例を、説明上から概括的に示したにすぎず、必ずしも図示する特性となるものではない。
熱電子は、フィラメントがカットオフ点の温度以下では放出されず、カットオフ点を超えてはじめて放出される。なお、この熱電子が放出し始める温度をカットオフ点と呼ぶこともある。熱電子の放出量は、カットオフ点の温度を超えた一定の温度以上において飽和状態となる。このカットオフ点の温度は、フィラメントの材料に固有の温度である。
図1(b)は、フィラメントの温度とフィラメント電流との関係を示している。ここで、符号Aは劣化状態が小さな場合を示し、符号Bは劣化状態が大きな場合を示している。フィラメントの劣化状態が小さな場合(符号Aで示す)と劣化状態が大きい場合(符号Bで示す)では、カットオフ点の温度(カットオフ温度)Tcutにおけるフィラメント電流は、IfcutAからIfcutBに変化する。
この熱電子の流れをエミッション電流とすると、図1(a)と図1(b)の関係から、図1(c)に示すフィラメント電流とエミッション電流との関係が得られる。
図1(c)において、フィラメント電流が、カットオフ点に対応するフィラメント電流Ifcutよりも小さい場合にはエミッション電流Ieは流れず、フィラメント電流がカットオフ電流Ifcutを超えてはじめてエミッション電流Ieが流れ始める。そして、このカットオフ電流Ifcutはフィラメント状態に応じて変化し、例えばフィラメントの劣化状態が大きくなるに従ってカットオフ電流Icutの大きさが小さくなる特性を示す。
したがって、図1(c)のフィラメント電流Ifとエミッション電流Ieとの関係において、エミッション電流Ieが零であるときのフィラメント電流Ifcutの大きさ(カットオフ電流IfcutA、カットオフ電流IfcutB)をフィラメントの劣化状態を示す指標とすることができる。
なお、フィラメントの消耗状態を数値等の指標値で表し、この指標値とカットオフ点でのフィラメント電流If(電流カットオフ電流Ifcut)とを対応付けておくことによって、カットオフ点でのフィラメント電流Ifからフィラメントの消耗状態を表す指標値に変換し、フィラメント電流に代えてこの指標値によってフィラメントの消耗状態を判定してもよい。
本発明の電子銃フィラメントのモニタおよび制御の概略手順、および概略構成について、図2〜図7を用いて説明する。
本発明の電子銃フィラメントのモニタおよび制御は、上述したカットオフ点でのフィラメント電流を用いて行う。図2はこの手順を説明するためのフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、カットオフ点でのフィラメント電流Ifcutを求め(S1)、求めたカットオフ点でのフィラメント電流Ifcutからフィラメントの消耗状態を推定し(S2)、推定したフィラメントの消耗状態から最適なフィラメント電流Ifを求める(S3)。
図3は、本発明において、カットオフ点におけるフィラメント電流を検出するための概略構成を説明するために図である。なお、図3では電子銃の構成のうちで、主にカットオフ点のフィラメント電流を検出する構成部分を示し、その他の部分は省略している。
図3において、電子銃1は、フィラメント2と、フィラメントの下流側に配置したウェネルト電極3およびアノード電極4を備える。フィラメント2はフィラメント電流源11からの電流によって加熱され、熱電子を放出する。フィラメント2から放出された熱電子は、ウェネルト電極3およびアノード電極4を通過した後に処理対象に照射される。処理対象は、この電子線照射によって検査や観察が行われる。なお、ここでは、検出系については省略する。
フィラメント2は、例えば、タングステン等の材料からなり、高電圧電源12によって負の加速電圧が印加され、同時に、フィラメント電流源11によって加熱電流(フィラメント電流If)が印加されて加熱が行われる。
ウェネルト電極3は、バイアス電源13によってバイアスされる。通常は、負の電圧が印加され、これによってフィラメント2から放出された熱電子を絞って、ウェネルト電極3とアノード電極4との間でクロスオーバーを形成する。
本発明では、上記したフィラメント電流源11およびバイアス電源13を、監視部31の制御によって可変とする。フィラメント電流源11を制御することによってフィラメント2に流れるフィラメント電流Ifを可変とし、また、バイアス電源13によってウェネルト電極3に印加する電圧を可変とする。
また、フィラメント電流Ifを検出するフィラメント電流計21と、エミッション電流Ieを検出するエミッション電流計22を備える。エミッション電流計22は、アノード電極4が捉える電子線や、処理対象に到達した電子線を検出してエミッション電流を検出する。
監視部31は、バイアス電源13によってウェネルト電極3に印加する電圧をフィラメント2に対して零電圧の付近、あるいは僅かに正電圧とすることによってウェネルト電極3が電子線に与える作用を抑制し、フィラメント2からの熱電子の多くがエミッション電流としてエミッション電流検出器22で検出できるようにする。
監視部31は、フィラメント電流計21で検出したフィラメント電流Ifと、エミッション電流計22で検出したエミッション電流を入力し、フィラメント電流源11の制御によってフィラメント電流の変化に伴うエミッション電流の変化を検出する。
さらに、監視部31は、エミッション電流の変化からカットオフ点を求め、このときのフィラメント電流をカットオフ電流として求め、このカットオフ電流からフィラメント状態を判定し、この判定に基づいてフィラメント電流源11を制御して、フィラメント2に流れるフィラメント電流を制御する。例えば、制御部32は、監視部31によるフィラメント状態の監視に基づいてフィラメント電流源11を制御して、フィラメント2に流れるフィラメント電流Ifの上限を制限し、フィラメントの消耗を抑制する。
次に、カットオフ点でのフィラメント電流検出の手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。
はじめに、監視部31はバイアス電源13を制御し、ウェネルト電極3にフィラメント2に対して零付近のあるいは僅かに正の電位を設定する(S11)。また、監視部31は、エミッション電流計22によってエミッション電流Ieをモニタ(S12)。
この状態で、監視部31はフィラメント電流源11を制御して、フィラメント2に流すフィラメント電流Ifを漸増させる(S13)。このとき、監視部31は、フィラメント電流計21の検出信号とエミッション電流計22の検出信号とを入力して、フィラメント電流Ifの増加とエミッション電流Ieの変化をモニタする。前記した図1(c)に示すように、あるフィラメントにおいて、カットオフ点に至るまでのフィラメント電流Ifが小さい間は、エミッション電流Ieは検出されず、カットオフ点を超えるフィラメント電流Ifが流れてはじめてエミッション電流Ieが検出される(S14)。
このエミッション電流Ieが検出されるときのフィラメント電流Ifcutの値はカットオフ点での電流値である。このフィラメント電流Ifcutの大きさはフィラメントの消耗状態に依存し、フィラメントが同質の材料で表面から中心に至るまでほぼ均一に形成されている場合には、消耗によってフィラメントの断面積が小さくなるほど、このときに流れるフィラメント電流Ifcutは小さくなる(S15)。したがって、このときのフィラメント電流Ifcutからフィラメントの消耗状態を推測することができる。
図5は、求めたフィラメント状態に基づいて、このフィラメントに適して電流設定を行う手順の一例を説明するためのフローチャートであり、ここではフィラメントの最大電流を制限するリミッター値を定める手順について説明する。
フィラメントはフィラメント電流Ifが大きいほど消耗が促進されるため、フィラメント電流の最大電流を制限することによって、フィラメントの消耗を抑制することができる。
図6は、カットオフ点のフィラメント電流Ifcutとフィラメント電流の最大電流Imaxとの関係を示す図である。図6において、フィラメントの状態が例えば状態Aから状態Bに変化すると、カットオフ点に対応するフィラメント電流Ifcutはカットオフ電流IfcutAからカットオフ電流IfcutBに変化する。また、フィラメントに許容される最高温度Tmaxに対応するフィラメント電流についても、フィラメントの状態が状態Aから状態Bに変化するに伴って、ImaxAからImaxBに変化する。したがって、カットオフ点のフィラメント電流Ifcutを参照して、そのときのフィラメント状態のフィラメントに許容されるフィラメント電流を求めることによって、フィラメントの温度を許容温度内に抑えることができる。
ここでは、上記した関係に基づいて、このフィラメント電流の最大電流を制限するリミッター値を、先に求めたカットオフ点のフィラメント電流Ifcutに基づいて求める。
カットオフ点でのフィラメント電流Ifcutによってフィラメントの消耗状態を取得し(S21)、このフィラメントの消耗状態を予め定めておいた設置値と比較して、取得したフィラメント状態がリミッター値を低下させるに必要があるか否かを判定する。
この判定は、例えば、カットオフ点でのフィラメント電流Ifcutの電流値とフィラメント状態との関係をテーブルあるいは演算式等の対応関係によって予め求めておき、取得したフィラメント電流Ifcutの電流値からフィラメント状態を求め、求めたフィラメント状態と予め設定しておいた判定用の設定値とを比較することで行う。
また、フィラメント状態は、カットオフ点でのフィラメント電流Ifcutによって行う他に、例えば、フィラメントの断面積や径の数値で定めてもよい。カットオフ点でのフィラメント電流Ifとフィラメントの断面積や径との関係は、予め実験等によって求め、テーブルあるいは演算式によって求めておくことができる。また、判定の基準となる設定値についても、実験結果等に基づいて予め定めておく(S22)。
フィラメント状態が設定値を超えた場合には、フィラメントの最大電流のリミッター値を下げ、フィラメント電流Ifの制御範囲を低いリミッター値内に抑える。なお、リミッター値についても、実験結果等に基づいて予め定めておく(S23)。
図7は、フィラメント電流の最大電流を制限するリミッター値の設定を説明するための図である。図7は、カットオフ点のフィラメント電流Ifとフィラメントの最大電流のリミッター値との関係を示している。例えば、カットオフ点のフィラメント電流IfAに対してフィラメントの最大電流のリミッター値ImaxAが設定されている。この関係は、実験等によって予め求めてテーブルや演算式の関係で記憶しておくことができる。
本発明の構成によれば、例えば、1日あるいは数日に一度、又は電子銃を使用しはじめるときに、フィラメントのカットオフ電流を測定し、フィラメントの必要な最適電流範囲を測定し、フィラメント電流の上限のリミッターを再設定してから電子銃としての設定や運転に移行する。
電子銃を備える装置では、通常フィラメントの運転状態は外部から観察することはできないため、フィラメントの使用状況によっては、通常数千時間使用可能なものとして予定されるフィラメントが数百時間で切断するなど異常状態となる場合がある。
液晶基板等の基板上に形成されたピクセルを検査するピクセルスコープ等の検査装置では、電子銃は重要な構成要素であり、フィラメントが切れると復旧に長時間を要し、大きな損失を招くおそれがある。このような検査装置を生産ラインに組み込む構成では、この電子銃のフィラメント異常は、生産工程にも大きな影響を与える。そのため、フィラメントの異常を予め予測することは、このような急なフィラメント異常の発生を回避することができ、生産工程への影響を低減させることができる。
熱電子とフィラメント温度との温度特性において、カットオフ点におけるフィラメント電流、エミッション電流、およびフィラメント状態との関係を説明するための図である。 カットオフ点でのフィラメント電流を用いて行う本発明の電子銃フィラメントの監視、制御を説明するためのフローチャートである。 本発明において、カットオフ点におけるフィラメント電流を検出するための概略構成を説明するために図である。 カットオフ点でのフィラメント電流検出の手順を説明するためのフローチャートである。 フィラメントの最大電流を制限するリミッター値を定める手順について説明するためのフローチャートである。 フィラメント状態を監視する手順を説明するためのフローチャートである。 フィラメント電流の最大電流を制限するリミッター値の設定を説明するための図である。
符号の説明
1…電子銃、2…フィラメント、3…ウェネルト電極、4…アノード電極、11…フィラメント電流源、12…高電圧電源、13…バイアス電源、21…フィラメント電流計、22…エミッション電流計、31…監視部、32…制御部。

Claims (3)

  1. フィラメント電流の通電による加熱によって熱電子を放出する電子銃フィラメントの消耗状態をモニタする電子銃フィラメントのモニタ方法であって、
    熱電子放出が零となるカットオフ点におけるフィラメント電流を求め、このフィラメント電流に基づいてフィラメントの消耗状態をモニタすることを特徴とする、電子銃フィラメントのモニタ方法。
  2. カットオフ点におけるフィラメント電流を、エミッション電流が零となるフィラメント電流から求めることを特徴とする、請求項1に記載の電子銃フィラメントのモニタ方法。
  3. フィラメント電流の通電による加熱によって熱電子を放出する電子銃フィラメントのフィラメント電流を制御する電子銃フィラメントの制御方法であって、
    熱電子放出が零となるカットオフ点におけるフィラメント電流を求め、求めたフィラメント電流から電子銃フィラメントの消耗状態を予測し、予測した電子銃フィラメントの消耗状態に対応してフィラメントの最大電流の限界値を定めることを特徴とする、電子銃フィラメントの制御方法。
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