JP2008025110A - 建造物の外壁断熱施工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 施工を単純化し作業効率の向上が図れるとともに、材料コストの低減も図れて施工コスト全体の著しい低減を図ることができ、それでいて、仕上がりのよい外壁断熱を施工できる建造物の外壁断熱施工法を提供する。
【解決手段】 建造物の鉄骨コンクリート製外壁1の構成要素であるH形鋼2のフランジ部2bパネル受け部材5を固定して水平方向に向けて開口する溝状のパネル差込空間7を形成した後、そのパネル差込空間7に上方から断熱パネル6の両端部を差し込んで該断熱パネル6を順次鉛直に落とし込み、かつ、その落とし込まれた断熱パネル6の両端部をパネル受け部材5に固定し、しかる後、断熱パネル6と外壁1との間に硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡して断熱層10を形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば冷凍冷蔵倉庫など鉄骨コンクリート製外壁を躯体として構築されている建造物の外壁に対してその外側または内側に一定間隔をおいた箇所に、複数の断熱パネルを水平方向に並列させて鉛直に建て込み固定することにより、所謂外断熱式または内断熱式として施工される建造物の外壁断熱施工法に関する。
この種の外壁断熱施工法として、従来一般には、図5に示すように、躯体となるコンクリート製外壁20に下地材21及びアンカー22を介して、例えば軽量みぞ形鋼からなる断熱パネル受け部材23を固定し、このパネル受け部材23に断熱パネル24を位置決めし当接させたうえ、該断熱パネル24を貫通ビス25でパネル受け部材23に順次固定する施工法が採用されており、また、施工後に断熱パネル24と外壁20との間に硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡させて一体的な断熱層を形成するにあたっては、断熱パネル24を鋼管などの剛性補強部材で膨らみ変形などが生じないように支保させた状態で該断熱パネル24と外壁20との間に硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡させて断熱層を形成する施工法が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−195409号公報
しかしながら、上記特許文献1に示されたような従来の外壁断熱施工法では、外壁20にパネル受け部材23を固定するための下地材21及びアンカー22の使用及びそのパネル受け部材23に断熱パネル24を固定するための長い貫通ビス25の使用が必要で、材料コストが高くなるだけでなく、断熱パネル24を一枚ずつパネル受け部材23に対して位置決めしながら固定しなければならないので、施工に多大な手間がかかって作業効率が悪く、それだけ施工コストも上昇しやすいという問題がある。
また、断熱パネル24と外壁20との間に硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡させて断熱層を形成する場合は、ウレタン発泡圧により、断熱パネル24が膨らみ変形したり、各断熱パネル24の表面位置のずれによる仕上がり不良をなくしたり、断熱パネル24を受け部材23に固定する貫通ビス25が抜け移動したりしないようにするために、鋼管などの剛性補強部材を当接し支保させるという仮設工事及び断熱層形成後にそれら支保工を取り除くことが必要となり、施工手間が一層増えて作業効率が益々悪化し、施工コストがさらに一段と上昇するという問題があった。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、施工を単純化して作業効率の向上が図れるとともに、材料コストの低減も図れて施工コスト全体の著しい低減を図ることができ、それでいて、仕上がりのよい外壁断熱を得ることができる建造物の外壁断熱施工法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る建造物の外壁断熱施工法は、建造物の鉄骨コンクリート製外壁に対してその外側または内側に一定間隔をおいた箇所に、複数の断熱パネルを水平方向に並列させて鉛直に建て込み固定する建造物の外壁断熱施工法であって、前記外壁の構成要素で前記水平方向に間隔を隔てて位置する鉄骨の一部は外壁の外側または内側に突出されており、その鉄骨の突出部にパネル受け部材を固定して前記断熱パネルの厚さに相当する幅を有し前記水平方向に向けて開口する溝状のパネル差込空間を形成した後、水平方向で隣接し互いに対向状態に開口するパネル差込空間に上方から断熱パネルの両端部を差し込んで該断熱パネルを順次鉛直に落とし込み、かつ、その落とし込まれた断熱パネルの両端部を前記パネル受け部材に固定することを特徴としている。
上記のような特徴を有する本発明によれば、外壁の構成要素である鉄骨の一部の突出部とその突出部に固定されたパネル受け部材とで形成される溝状のパネル差込空間に断熱パネルを上方から落とし込むといった施工の単純化を図れるので、断熱パネルをパネル受け部材に対して一枚ずつ位置決めしながら固定するといった手間のかかる作業が不要で、作業効率を著しく向上することができる。しかも、外壁の構成要素である鉄骨の一部をパネル差込空間の形成に利用するために、材料コストの低減も図ることができ、上記した作業効率の向上と相俟って、施工コスト全体の低減を図ることができるという効果を奏する。
特に、前記外壁と落とし込み固定された断熱パネルとの間に、硬質ポリウレタンフォーム用原液を注入し発泡して断熱層を形成する場合(請求項2)、そのウレタン発泡圧を前記鉄骨の一部とパネル受け部材で形成される溝状のパネル差込空間で受け止めることが可能で、鋼管などの剛性補強部材による特別な支保工が必要でないため、断熱層形成も含めて外壁断熱全体の作業効率を一層向上して施工コストの大幅な削減を図りつつ、断熱パネルの表面位置のずれをなくして直線性に優れた仕上がりのよい外壁断熱を施工することができる。
また、前記鉄骨の突出部と水平方向で隣接して施工された二つの断熱パネルの各端部とにより形成される目地部にも、目地カバーを介して硬質ポリウレタンフォーム用原液を注入し発泡して目地断熱層を形成することによって(請求項3)、外壁断熱全体の断熱性及び外観仕上がりを高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1乃至図3は本発明に係る建造物の外壁断熱施工法を、施工工程にしたがって示す要部の横断平面図である。まず、図1に示すように、冷凍冷蔵倉庫など鉄骨コンクリート造りの建造物における躯体となる鉄骨コンクリート製外壁1の構成要素で水平方向に所定の間隔を隔てて鉛直に立設される鉄骨の一部、具体的には、H形鋼2が使用され、このH形鋼2のウェブ部2aの略半分及び一方のフランジ部2bが外壁1の外側に突出されており、その突出するフランジ部2bの両端部に木製ブロック3,3及びビス4,4を介して略Z字形状の金属製パネル受け部材5,5を固定することにより、後述する断熱パネル6の厚さに相当する幅wを有し水平方向に向けて開口する溝状のパネル差込空間7,7を形成する。なお、図中の8は前記H形鋼2のウェブ部2aを補強するアングルである。また、鉄骨としては、H形鋼に限らず、チャンネル鋼やアングル鋼などを用いてもよい。
次に、水平方向で隣接しその開口部が互いに対向状態にあるパネル差込空間7,7に上方から断熱パネル6の両端部6a,6aを差し込んで該断熱パネル6を順次鉛直に落とし込むとともに、その落とし込まれた断熱パネル6の両端部6a,6aを、図2に示すように、ビス9,9を介して前記パネル受け部材5,5に固定する。なお、断熱パネル6としては、アルミなど対向する一対の表面材間に硬質ポリウレタンフォームを挟在させたサンドイッチ構造のものが用いられるが、それ以外、どのような構造の断熱パネルを用いてもよい。
上記のようにして複数の断熱パネル6が水平方向に並列されて建て込み施工された後、それら断熱パネル6と前記外壁1との間に形成される空間部に、硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡させて硬質ウレタンフォームによる断熱層10を形成することにより、図3に示すように、前記外壁1と断熱層10と断熱パネル6とが接着一体化された外断熱式の外壁断熱が施工される。
また、前記H形鋼2の一方のフランジ部2bと水平方向に隣接して施工された断熱パネル6,6の各端部を受け止めるパネル受け部材5,5とにより形成される目地部については、図3に示すように、目地カバー11を取り付け、その内部に硬質ウレタンフォーム用原液を注入し発泡することにより、目地断熱層12を形成する。
上記した外壁断熱施工工程からも明らかなように、本発明による建造物の外壁断熱施工法では、外壁1を構成するH形鋼2のフランジ部2bとそのフランジ部2bに固定されたパネル受け部材5とで形成される溝状のパネル差込空間7に断熱パネル6を上方から落とし込むといった単純な施工形態がとれるので、作業効率の著しく向上が図れる。また、外壁1の構成要素であるH形鋼2の一部(フランジ部)をパネル差込空間7の形成に有効に利用しているため、材料コストの低減も図れ、上記した作業効率の向上と相俟って、施工コスト全体の低減を図ることが可能である。
さらに、外壁1と断熱パネル6との間に、硬質ポリウレタンフォーム用原液を注入し発泡して断熱層10を形成するにあたって、ウレタン発泡圧を前記パネル差込空間7で受け止めることが可能で、鋼管などを用いた特別な支保工が不要であり、断熱層10の形成も含めて外壁断熱全体の作業効率をより向上し施工コストの大幅な削減を図りつつ、各断熱パネル6の表面位置のずれをなくして直線性に優れた仕上がりのよい外壁断熱を施工することができる。
なお、上記実施の形態は、断熱パネル6及び断熱層10を建造物の外壁1の外側に形成する、いわゆる、外断熱式の外壁断熱施工について説明したが、前記断熱パネル6及び断熱層10を建造物の外壁1の内側に形成する、いわゆる、内断熱式の外壁断熱施工に適用してもよいこともちろんである。
また、上記実施の形態では、外壁1と断熱パネル6との間の全域に硬質ウレタンフォームによる断熱層10を形成する外壁断熱施工について説明したが、図4に示すように、断熱パネル6,6の接合部にのみ局所的に断熱層10Aと目地断熱層12を形成するものであっても、また、断熱層10,10Aを形成せず、目地断熱層12のみを形成し、この目地断熱層12及び断熱パネル6並びに外壁1と断熱パネル6の間の空気層により外壁断熱を行うものであってもよい。
本発明に係る建造物の外壁断熱施工法の第1工程を説明する要部の横断平面図である。 第2工程を説明する要部の横断平面図である。 第3工程を説明する要部の横断平面図である。 他の実施の形態を説明する要部の横断平面図である。 従来の外壁断熱施工法を説明する要部の横断平面図である。
符号の説明
1 鉄骨コンクリート製外壁
2 H形鋼(鉄骨の一例)
2b フランジ部(突出部の一例)
5 パネル受け部材
6 断熱パネル
7 パネル差込空間
10,10A 断熱層
11 目地カバー
12 目地断熱層

Claims (3)

  1. 建造物の鉄骨コンクリート製外壁に対してその外側または内側に一定間隔をおいた箇所に、複数の断熱パネルを水平方向に並列させて鉛直に建て込み固定する建造物の外壁断熱施工法であって、
    前記外壁の構成要素で前記水平方向に間隔を隔てて位置する鉄骨の一部は外壁の外側または内側に突出されており、その鉄骨の突出部にパネル受け部材を固定して前記断熱パネルの厚さに相当する幅を有し前記水平方向に向けて開口する溝状のパネル差込空間を形成した後、水平方向で隣接し互いに対向状態に開口するパネル差込空間に上方から断熱パネルの両端部を差し込んで該断熱パネルを順次鉛直に落とし込み、かつ、その落とし込まれた断熱パネルの両端部を前記パネル受け部材に固定することを特徴とする建造物の外壁断熱施工法。
  2. 前記外壁と落とし込み固定された断熱パネルとの間には、硬質ポリウレタンフォーム用原液を注入し発泡して断熱層が形成される請求項1に記載の建造物の外壁断熱施工法。
  3. 前記鉄骨の突出部と水平方向で隣接して施工された二つの断熱パネルの各端部とにより形成される目地部にも、目地カバーを介して硬質ポリウレタンフォーム用原液を注入し発泡して目地断熱層が形成される請求項1または2に記載の建造物の外壁断熱施工法。

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