JP2008024151A - 車両の後部荷室構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】シート折畳み時におけるシートバックと荷室フロア面との間の段差の解消と、荷室およびシートの使い勝手確保との両立を図りつつ、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消する車両の後部荷室構造を提供する。
【解決手段】シート33は、シートクッション33C上にシートバック33Bを倒伏して折畳み可能に構成し、荷室ボード40はフロアパネル4aに沿って平坦に収納された収納状態と、折畳まれたシートバック33B後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設け、荷室ボード40は複数のボード部41,42に分割されて、該ボード部の一部41を長さ可変に構成したものである。
【選択図】図15

Description

この発明は、車両のフロアパネル上にシートクッションとシートバックとを備えたシートを配設し、このシートの後方に荷室空間が形成されると共に、該荷室空間には少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボードが設けられたような車両の後部荷室構造に関する。
従来、シートクッションとシートバックとを備えたシート(リヤシート)において、シートクッションをシートバックと独立して、一対のリンクを介して車両前方に移動可能に構成すると共に、この前方に移動したシートクッションの座面上に、リクライニング軸を支点としてシートバックを略水平に前倒しすべく構成し、シートバックを倒伏させた時、リヤシート後方の後部荷室と客室とを連通させて、荷室スペースの拡大を図るように構成したものがある(特許文献1参照)。
一方、リヤシートの後部に、車幅方向に延びるケースを介してトノカバーを設けると共に、リヤシート背面のフックと上記ケースとの間にシート状部材を設け、シートバックの起立状態下においては上述のシート状部材をU字状に撓ませると共に、シートバックの前倒し時には、倒伏したシートバックとケースとの間にシート状部材を張設して、該シート状部材で荷室(後部荷室)を上下に仕切る構造が開示されている(特許文献2参照)。
この特許文献2に開示されたものは、シート状部材がシートと連動してリヤ荷室を仕切る構造であるが、上述のシート状部材の上部に荷物が搭載できるものではない。
ところで、リヤシートのシートバックをシートクッション上に倒伏させた時、フラットな荷室を形成することが要請されるが、荷室フロアと前倒しされたシートバックの上面との間には段差が形成されるのが一般的であり、シートバック倒伏時において該シートバックの上面と荷室フロアとの間の段差を解消しつつ、荷室の使い勝手を向上させることは困難であった。
特開2004−359158号公報 特開平6−270745号公報
そこで、この発明は、シートバックが倒伏してシートクッション上に折畳み可能なシートを設け、シート後方の荷室空間に上下方向に移動可能に設けられた荷室ボードは、フロアパネルに沿って平坦に収納される収納状態と、シート折畳み時におけるシートバック後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設けられ、該荷室ボードは複数のボード部に分割されて、該ボード部の一部が長さ可変可能に構成されることにより、シート折畳み時におけるシートバックと、荷室フロア面との間の段差の解消と、荷室およびシートの使い勝手確保との両立を図りつつ、上記ボード部の一部を長さ可変に構成することで、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消することができる車両の後部荷室構造の提供を目的とする。
この発明による車両の後部荷室構造は、車両のフロアパネル上にシートクッションとシートバックとを備えたシートを配設し、該シートの後方に荷室空間が形成されると共に、該荷室空間には少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボードが設けられた車両の後部荷室構造であって、上記シートはシートクッション上にシートバックが倒伏して折畳み可能に構成され、上記荷室ボードはフロアパネルに沿って平坦に収納された収納状態と、上記シートが折畳まれた状態でのシートバック後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設けられ、上記荷室ボードは複数のボード部に分割されると共に、該ボード部の一部が長さ可変可能に構成されたものである。
上述のシートは、リヤシートに設定してもよい。
上記構成によれば、シートバックをシートクッション上に倒伏して折畳むと共に、荷室ボードを使用状態に移動すると、シートバックと荷室フロア面との間の段差が解消され、シートバックと荷室ボードとが前後方向に連続したフラットな荷室面が形成されるので、この荷室面上に前後方向寸法が大きい荷物の搭載が許容される。
また、上述の荷室ボードをフロアパネルに沿って平坦に収納される収納状態に移動すると、上下方向の寸法が大きい荷室スペースが形成されるので、この荷室スペースに高さが大きい荷物の搭載が許容される。
しかも、上述の荷室ボードを複数のボード部に分割して、該ボード部の一部が長さ可変となるように構成したので、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消することができる。
このように、シート折畳み時におけるシートバックと荷室フロア面との間の段差の解消と、荷室およびシートの使い勝手確保との両立を図りつつ、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消することができる。
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネルには該フロアパネルより下方に凹設された収納部が設けられ、該収納部の上方を上記荷室ボードで開閉すべく構成したものである。
上記構成によれば、荷物をシート後方の荷室空間と、収納部とに区別して格納することができると共に、荷室ボードで収納部の上方を開放すると収納部内とのアクセスが容易となり、収納部に対して荷物を簡単に出し入れすることができる。
この発明の一実施態様においては、上記荷室ボードはシートバックの起立した状態での背面に沿って上下方向に延びて配設される起立状態に移動可能に構成されたものである。
上記構成によれば、荷室ボードを起立状態に選択すると、シート後方の荷室空間と、収納部内とが上下方向に連通するので、高さ寸法が大きい大型の荷物の積載に対応することができ、また、荷室ボードは収納状態と使用状態と起立状態とに選択できるので、荷室のアレンジ性の向上を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記荷室ボードはアッパボードとロアボードとから成り前側に位置するスライドボードと、上記スライドボードに対して回動可能に連結された後部ボードとから形成され、上記スライドボードの前後方向の長さが可変に構成されたものである。
上記構成によれば、アッパボードとロアボードとからなるスライドボードのスライド構造により、確実な長さ可変構造を達成することができる。
この発明の一実施態様においては、上記荷室ボードが収納状態と使用状態とに移動する時、上記スライドボード前端部の軌跡を制御するリンク部材を設けたものである。
上記構成によれば、上述のリンク部材によりスライドボードの前端部の軌跡が制御されるので、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間をより一層確実に解消することができる。
この発明によれば、シートバックが倒伏してシートクッション上に折畳み可能なシートを設け、シート後方の荷室空間に上下方向に移動可能に設けられた荷室ボードは、フロアパネルに沿って平坦に収納される収納状態と、シート折畳み時におけるシートバック後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設けられ、該荷室ボードは複数のボード部に分割されて、該ボード部の一部が長さ可変可能に構成したので、シート折畳み時におけるシートバックと、荷室フロア面との間の段差の解消と、荷室およびシートの使い勝手確保との両立を図りつつ、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消することができる効果がある。
シート折畳み時におけるシートバックと荷室フロア面との間の段差の解消と、荷室およびシートの使い勝手確保との両立を図りつつ、倒伏させたシートバック後端部と使用状態下における荷室ボード前端部との間の隙間を解消するという目的を、車両のフロアパネル上にシートクッションとシートバックとを備えたシートを配設し、該シートの後方に荷室空間が形成されると共に、該荷室空間には少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボードが設けられた車両の後部荷室構造において、上記シートはシートクッション上にシートバックが倒伏して折畳み可能に構成され、上記荷室ボードはフロアパネルに沿って平坦に収納された収納状態と、上記シートが折畳まれた状態でのシートバック後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設けられ、上記荷室ボードを、複数のボード部に分割し、該ボード部の一部を長さ可変可能に構成するという構造にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の後部荷室構造を示すが、まず、図1を参照して車体構造について説明する。
図1において、車室1の床面(底部)を形成するフロアパネル2を設け、このフロアパネル2の後部にはキックアップ部3を連設している。
このキックアップ部3はフロアパネル2から上方に立上がる縦壁部3aと、この縦壁部3aから後方に延びるキックアップフロア部3bとを備えている。
このキックアップフロア部3bのさらに後方には、後方に延びる凹状の荷室フロアパネル4を形成し、この荷室フロアパネル4の上方に荷室空間5を形成する一方、上述の凹状の荷室フロアパネル4には仕切り板6と収納ボックス7とを取付けている。
ここで、仕切り板6の前側にはジャッキ(図示せず)が格納され、また上述の収納ボックス7はその上方が開口された形状に構成されている。
一方、上述の凹状の荷室フロアパネル4の後端開放側には車幅方向に延びるリヤエンドパネル8を取付け、このリヤエンドパネル8のリヤ側の面には車幅方向に延びるリヤエンドメンバ9を接合固定して、このリヤエンドメンバ9と上述のリヤエンドパネル8との間には車幅方向に延びるリヤエンド閉断面9aを形成して、後部車体剛性を確保すべく構成すると共に、リヤエンドメンバ9のさらに後方にはリヤバンパ10を配設している。
さらに、荷室空間5(つまり後部荷室)の後方には後部荷室開口11を形成し、この後部荷室開口11をリヤゲート12によって開閉可能に覆うように形成して、ハッチバック型の車両を構成している。
ここで、上述のリヤゲート12は、リヤゲートインナパネル13と、リヤゲートアウタパネル14と、リヤウインド15とを備え、荷室空間5と対向する車室側の所定部が内装材としてのリヤゲートトリム16で覆われている。
一方、ルーフパネル17の後端部には車幅方向に延びるリヤヘッダ18(車体剛性部材)を接合固定し、ルーフパネル17の後端部とリヤヘッダ18との間には車幅方向に延びるヘッダ閉断面18aを形成して、後部車体剛性を確保すべく構成すると共に、このヘッダ閉断面18aの直後に設けられたヒンジ部材(図示せず)を介して、上述のリヤゲート12を開閉可能に支持している。
同様に、ルーフパネル17の前端部には車幅方向に延びるフロントヘッダ19(車体剛性部材)を接合固定し、ルーフパネル17の前端部とフロントヘッダ19との間には車幅方向に延びるヘッダ閉断面19aを形成して、前部車体剛性を確保すべく構成している。
そして、上述のフロントヘッダ19、ルーフパネル17およびリヤヘッダ18の車室1側を図1に示すように、内装材としてのトップシーリング20で一体的に覆っている。
また、上述のルーフパネル17の前後方向中間部には、車幅方向に延びるルーフレインフォースメント21(車体剛性部材)を接合固定し、このルーフレインフォースメント21とルーフパネル17との間には車幅方向に延びる閉断面21aを形成して、ルーフ部の剛性を確保すべく構成している。
さらに、上述のフロアパネル2には、ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)とキックアップ部3の縦壁部3aとの間において車両の前後方向に延び、かつ車室1の内側へ突出したトンネル部22を設けている。
このトンネル部22はフロア剛性の中心となるもので、該トンネル部22の左右の側壁部と、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面をもった左右のサイドシル(詳しくは、サイドシルインナ)との間には、車幅方向に延び、かつ前後方向に離間した複数のフロアクロスメンバ23,24(車体剛性部材)を接合固定し、これら各フロアクロスメンバ23,24と上述のフロアパネル2との間には、車幅方向に延びる閉断面23a,24aを形成して、下部車体剛性を確保すべく構成している。
また、上述のキックアップフロア部3bの後部下面には、リヤクロスメンバ25(車体剛性部材)を接合固定し、これら両者3b,25間には車幅方向に延びる閉断面25aを形成して、下部車体剛性を確保すべく構成している。
なお、図中、26はフロントウインド、27はフロントドア、28はリヤドア、29は車体剛性部材としてのセンタピラー、30はキックアップ部3の車外側下部に設けられた大型車両補機としての燃料タンクである。
ところで、図1、図2に示すように、上述のフロアパネル2上にはシートクッション31C、シートバック31B、ヘッドレスト31Hを備えた運転席シート31と、シートクッション32C、シートバック32B、ヘッドレスト32Hを備えた助手席シート32とを配設している。
また、キックアップフロア部3b上には、シートクッション33Cと、シートバック33Bと、2つのヘッドレスト33H,33Hとを備えたベンチシート型のリヤシート33を配設し、このリヤシート33の後方に上述の荷室空間5を形成している。
ここで、上述のリヤシート33は、そのシートバック33Bがシートクッション33C上に倒伏動作を行ない折畳み状態を形成可能に構成したものである。
なお、図2において、34はインストルメントパネル、35はステアリングホイールである。
次に、図3〜図16を参照して車両の後部荷室構造について詳述する。
図3は図1の要部拡大側面図、図4は図3の要部平面図であって、上述の荷室空間5には、少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボード40が設けられている。
上述の荷室ボード40は、その上部に荷物を搭載することができるように、所定剛性を有するように構成されると共に、この荷室ボード40は車幅方向つまり左右方向には非分割に形成されている。
また、この荷室ボード40は、アッパボード41Uとロアボード41Lとから成り前側に位置するスライドボード41と、このスライドボード41に対して回動可能に連結された後部ボード42との複数のボード部に分割されると共に、上述のスライドボード41が前後方向に長さ可変に構成されている。
すなわち、前側に位置するロアボード41Lと、後側に位置するアッパボード41Uとのオーバラップ部分は共に薄肉に形成されており、このオーバラップ部分の断面構造(図4のA−A線矢視断面)を図5(a)(b)に示すように、アッパボード41Uの下部には前後方向に延びるアッパレール36が一体形成され、ロアボード41Lの上部には前後方向に延びるロアレール37が一体形成され、これら両レール36,37が摺動可能に嵌合されて、これら両レール36,37に沿って、スライドボード41の長さが可変可能に構成されたものである。
なお、レール36,37の形状は図5(a)に示すように矩形状であってもよく、また、図5(b)に示すように略台形状であってもよい。また、上述のアッパレール36およびロアレール37はスライドボード41に対して左右一対設けられるが、図4においてはその右側部のみを示している。
ここで、上述のアッパボード41Uの後端部と後部ボード42の前端部とは、これら各ボード41U,42の側面左右に設けたリンクピン43,44と、2軸タイプのリンク部材45とにより回動可能に連結されており、前側に位置するリンクピン43は車幅方向外方に突出して、ガイド軸を兼ねるように構成されている。
また、後部ボード42の後端側コーナ部に形成された凹部46には、支軸47を、車幅方向に向けて一体的に突設し、該支軸47を荷室フロアパネル4の荷室フロア面4aに取付けたVブロック形状の軸受け部材48により位置規制するように構成している。
この軸受け部材48は、図12に示すように、上方が開放されたV溝48aを有し、このV溝48aで支軸47を軸受けするものであって、該支軸47の着脱を許容しつつ、該支軸47の位置規制を行なうものである。
さらに、スライドボード41において前側に位置するロアボード41Lの前端部には、車幅方向外方に突出するガイド軸49を突設している。このガイド軸49は荷室側方の荷室サイドトリム50に形成された円弧状のガイド孔51を介して荷室サイドトリム50の背面側(車外側)へ導出される一方、ホイールハウスインナパネル52に、ブラケット53および軸54を介してリンク部材55を枢支し、このリンク部材55の遊端部に上述のガイド軸49を枢支させている。上述のリンク部材55は、荷室ボード40が後述する収納状態と使用状態とに移動する時、スライドボード41の前端部つまりロアボード41Lの前端部の軌跡を上記ガイド孔51と同一軌跡に制御するための部材である。
ここで、上述の各要素43〜49、53〜55は荷室ボード40に対して左右対称となるように設けられているが、図4では図示の便宜上、その右側部のみを示している。
上述の荷室サイドトリム50の後部には支軸47を中心とする円弧状のガイド部としてのガイド溝56が凹設形成されており、上述のガイド軸を兼ねるリンクピン43は、このガイド軸56に沿って移動可能に設けられている。
すなわち、図2、図4,図6に示すように、アッパボード41Uの後部中央には2つの開口部57,58を互に前後に離間して開口形成して取手部60を形成すると共に、該取手部60には支軸61を介して2つのレバー62,63を枢支している。
これらのレバー62,63は平面視で略L字状に形成されており、2つのレバー62,63を平面視で略X字状に組合わせている。
そして、各レバー62,63の一端と上述の左右一対のリンクピン43,43とをワイヤW1,W1で連結する一方、各レバー62,63の他端をスライダ59で押圧操作すべく構成している。
上述の開口部57から乗員が片手操作にてスライダ59を押圧操作すると、図6に仮想線で示すように、2つのレバー62,63は支軸61を中心に回動し、これら各レバー62,63の一端に連結したワイヤW1,W1が引っ張られるので、左右一対のリンクピン43,43は、スプリング64(図7参照)の外方付勢力に抗して車幅方向内方に引っ張られる。
上述の円弧状のガイド溝56は、図7に示すように、その円弧の下端部および上端部の凹溝深さが深い保持部56a,56cと、これら各保持部56a,56c間において凹溝深さが浅い摺動部56bとを有し、上述のスライダ59を軽く押圧すると、リンクピン43は溝深さが浅い摺動部56bに対応するように内方へ移動し、スライダ59を強く押圧すると、リンクピン43はガイド溝56から完全に外れ、スライダ59に対する押圧力を解除すると、リンクピン43はスプリング64の付勢力により溝深さが深い保持部56aまたは保持部56cに挿入(圧入)される。
したがって、図7に実線で示すようにリンクピン43が円弧状のガイド溝56の下側の保持部56aに位置する状態から、スライダ59を軽く操作して、このリンクピン43を車幅方向内方へ移動させて、該リンクピン43を摺動部56bに対応させると、図7に仮想線αで示すように、このリンクピン43をガイド溝56の摺動部56bに沿って上方へ移動させることができ、上側の保持部56cにおいてスライダ59に対する押圧力を解除すると、図7に仮想線βで示すように、リンクピン43を上側の保持部56cに挿入することができる。
図8、図9は上述のリンク部材55をアンロック可能にロックするためのリンクロック構造を示す側面図、図10、図11はその要部拡大図であって、軸54に枢支されたリンク部材55の基端部上側には係止凹部55aが形成されている。
一方、図4に示すホイールインナパネル52にはブラケット65および軸66を介してロック部材67を枢着し、このロック部材67を図示しないスプリング等の付勢手段により常時ロック方向に付勢している。
このロック部材67は図8、図10の状態下においては、その先端部がリンク部材55基端の円周面に圧接している。
また、上述のホイールハウスインナ52にはプーリ軸68を介してガイドプーリ69を枢支し、ロック部材67の遊端側に取付けたワイヤW2を、上記ガイドプーリ69で案内した後に、このガイドプーリ69の下方部に位置するL字状のレバー70の一端に接続している。
このL字状のレバー70は支軸71を中心に回動可能に構成されており、該レバー70の他端にはスライダ72のロッド73が当接しており、このスライダ72はガイド74で案内されて、ガイド溝56の開口部56dから該ガイド溝56内に突没可能に構成されている。
図8、図10は荷室ボード40の収納状態(図3参照)に対応し、荷室ボード40を、取手部60を持って使用状態(図15参照)に上方移動させる時、ロアボード41L前端部のガイド軸49はガイド孔51に沿って移動し、アッパボード41U後端部のリンクピン43はガイド溝56に沿って移動するが、この荷室ボード40の収納状態(図3参照)から使用状態(図15参照)への移動時にはリンク部材55は軸54を支点として回動する。
このため、該リンク部材55の遊端がガイド孔51の上端部に相当する位置まで回動すると、常時ロック方向に付勢されたロック部材67の先端が、図9、図11に示すように係止凹部55aに係入して、リンク部材55乃至ロアボード41Lの姿勢を保持し、このロック部材67が係止凹部55aに係入する時、ワイヤW2を前方に引っ張るので、レバー70の他端が後方に移動して、ロッド73を介してスライダ72をガイド溝56内に挿入する。
このスライダ72の後端部は前高後低状のテーパ部72aに形成されており、使用状態(図15参照)の荷室ボード40を収納状態(図3参照)に下降移動させる時、図11に仮想線で示すリンクピン43が上記テーパ部72aに当接すると、スライダ72は前方へ移動して、ガイド溝56から没入し、このスライダ72の移動によりロッド73が同方向へ移動するので、レバー70の他端が前方に移動し、これによりワイヤW2を後方に引っ張るので、ロック部材67は軸66を支点としてアンロック方向に回動し、該ロック部材67の先端が係止凹部55aから外れて、ロックが解除され、リンク部材55は図8、図10に示す位置に復帰するものである。
しかも、上述の荷室ボード40は図3に示す収納状態と、図13に示す開放状態と、図14に示す起立状態と、図15に示す使用状態と、図16に示す起立状態とに選択的(択一的)に移動可能に設けられている。
図3に示す状態(収納状態)は、スライドボード41と後部ボード42とが荷室フロア面4aに沿って平坦に収納され、かつ、これら各ボード41,42にて収納ボックス7の上端開口部を覆った状態であり、この収納状態下においては荷室空間5に上下寸法が大きい荷物の搭載が許容されると共に、荷室空間5と収納ボックス7とに荷物を区別して収納、搭載することができる。
図3に示す荷室ボード40の収納状態から、リンク部材45のリンクピン43を支点として後部ボード42を車両前方側へ引き起こすと図13に示す状態(開放状態)となる。
つまり、後部ボード42の開放により収納ボックス7の上端開口部後側がアクセス可能に開放されるので、収納ボックス7に対する荷物の出し入れを容易に行なうことができる。
図3に示す荷室ボード40の収納状態から、取手部60(図2参照)を持って、荷室ボード40を引き上げる時、スライダ59(図6参照)を強く押圧操作してリンクピン43をガイド溝56から完全に外し、この状態で荷室ボード40をガイド軸49を支点として引き上げると、この荷室ボード40は図14に示すように、シートバック33Bの起立した状態での背面に沿って上下方向に延びて配設される起立状態となる。
つまり、図14に示す荷室ボード40の起立状態では、リヤシート33後方の荷室空間5と、収納ボックス7内とが上下方向に連通するので、高さ寸法が大きい大型の荷物の積載に対応することができ、この荷室ボード40の起立状態は図2に示す係止手段としてのフック75にて係止保持することができる。
上述のフック75は、シートバック33Bに取付けられたゴム帯などの伸縮部材76の先端に設けたもので、このフック75を開口部57または開口部58に係止することで、荷室ボード40の起立状態を保持することができる。
図3に示す状態からリヤシート33のシートバック33Bをシートクッション33C上に倒伏して折畳むと共に、図3の収納状態の荷室ボード40における取手部60(図2参照)を持って該荷室ボード40を上方に引き上げる場合、図6に示すスライダ59を軽く押圧して図7に示すリンクピン43をガイド溝56の摺動部56bに対応させた状態で、荷室ボード40を上方に持ち上げると、リンクピン43はガイド溝56に沿って上方に移動し、またガイド軸49はガイド孔51に沿って上方に移動するので、後部ボード42は支軸47を支点として上方回動し、スライドボード41はその前後のガイド軸49およびリンクピン43に案内されて上動して、図15に示す使用状態となる。
この使用状態時においては、リンク部材55がロック部材67(図11)でロックされると共に、リンクピン43は図7に示す上側の保持部56cに挿入され、しかも、ロアボード41Lが図5で示した各レール36,37に沿って前方に移動し、スライドボード41の前後長さが長くなる。
つまり、図15に示す荷室ボード40の使用状態では、そのスライドボード41は、リヤシート33が折畳まれた状態でのシートバック33B後端部と略同一高さに位置し、かつ倒伏されたシートバック33Bの背面と各ボード41L,41Uの上面とが前後方向に連続したフラットな荷室面を形成するので、シートバック33Bと荷室フロア面4aとの間の段落が解消されると共に、荷室空間5と、倒伏したシートバック33B上方の車室1とが前後に連通されて荷室スペースが拡大する。この結果、前後方向の寸法が大きい荷物の搭載が許容される。
しかも、スライドボード41の前後方向の長さが長くなり、かつロアボード41Lの前端部の軌跡がリンク部材55にて制御されるので、倒伏されたシートバック33Bの後端部と、スライドボード41の前端部との間の隙間が解消される。
図15に示す荷室ボード40の使用状態から、シートバック33Bの倒伏状態を維持したままで、図6に示すスライダ59を軽く押圧操作してリンクピン43を図7に仮想線βで示す保持部56cから摺動部56bに対応させた後に、取手部60(図2参照)を持って荷室ボード40を下方に移動させると、図11に仮想線で示すリンクピン43がスライダ72のテーパ部72aに当接することで、ロック部材67によるロックを解除し、リンク部材55は図8で示す位置に復帰し、荷室ボード40のみが図3の状態となり、スライドボード41はその前後方向の長さが短くなってコンパクトに収納される一方、上下寸法が大きい荷室スペースが形成されるので、高さが高い荷物の搭載が許容される。
図15に示す状態からリヤシート33のシートバック33Bを通常の乗員着座状態に復帰させて、このシートバック33Bを起立した状態に成す一方、図15の使用状態下の荷室ボード40を上方に引き上げる際、図6に示すスライダ59を強く押圧操作して、図7に示すリンクピン43をガイド溝56から完全に外した後に、ガイド軸49を支点として荷室ボード40を引き上げると、この荷室ボード40は図16に示すように、シートバック33Bの起立した状態での背面に沿って上下方向に延びて配設される起立状態となる。
つまり、図16に実線で示す荷室ボード40の起立状態にあっても、図14で示した状態と同様に、リヤシート33後方の荷室空間5と、収納ボックス7内とが上下方向に連通するので、高さ寸法が大きい大型の荷物の積載に対応することができ、この荷室ボード40の起立状態も図2に示すフック75にて係止保持することができる。
このフック75は伸縮部材76を介してリヤシート33のシートバック33Bに取付けられているので、単一のフック75にて図14に示す低位置での起立状態の荷室ボード40の係止保持と、図16に示す高位置での起立状態の荷室ボード40の係止保持とに対応できるが、それぞれの状態に対応すべく2つのフックを用いてもよいことは勿論である。
このように、図1〜図16で示した実施例の車両の後部荷室構造は、車両のフロアパネル(キックアップフロア部3b参照)上にシートクッション33Cとシートバック33Bとを備えたリヤシート33を配設し、該リヤシート33の後方に荷室空間5が形成されると共に、該荷室空間5には少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボード40が設けられた車両の後部荷室構造であって、上記リヤシート33はシートクッション33C上にシートバック33Bが倒伏して折畳み可能に構成され、上記荷室ボード40はフロアパネル(荷室フロア面4a参照)に沿って平坦に収納された収納状態(図3参照)と、上記リヤシート33が折畳まれた状態でのシートバック33B後端部と略同一高さに位置する使用状態(図15参照)とに選択的に移動可能に設けられ、上記荷室ボード40は複数のボード部(スライドボード41、後部ボード42参照)に分割されると共に、該ボード部の一部(スライドボード41参照)が長さ可変可能に構成されたものである。
この構成によれば、シートバック33Bをシートクッション33C上に倒伏して折畳むと共に、荷室ボード40を図15に示す使用状態に移動すると、シートバック33Bと荷室フロア面4aとの間の段差が解消され、シートバック33Bと荷室ボード40とが前後方向に連続したフラットな荷室面が形成されるので、この荷室面上に前後方向寸法が大きい荷物の搭載が許容される。
また、上述の荷室ボード40をフロアパネル(荷室フロア面4a参照)に沿って平坦に収納される収納状態(図3参照)に移動すると、上下方向の寸法が大きい荷室スペースが形成されるので、この荷室スペースに高さが大きい荷物の搭載が許容される。
しかも、上述の荷室ボード40を複数のボード部に分割して、該ボード部の一部(スライドボード41参照)が長さ可変となるように構成したので、倒伏させたシートバック33B後端部と使用状態下(図15参照)における荷室ボード40前端部との間の隙間を解消することができる。
このように、リヤシート33の折畳み時におけるシートバック33Bと荷室フロア面4aとの間の段差の解消と、荷室5およびシート33の使い勝手確保との両立を図りつつ、倒伏させたシートバック33B後端部と使用状態下における荷室ボード40前端部との間の隙間を解消することができ、さらには多人数乗車への対応を図ることができる。
また、上記フロアパネル(荷室フロア面4a参照)には該フロアパネルより下方に凹設された収納部(収納ボックス7参照)が設けられ、該収納部(収納ボックス7)の上方を上記荷室ボード40で開閉すべく構成したものである。
この構成によれば、荷物をリヤシート33後方の荷室空間5と、収納部(収納ボックス7)とに区別して格納することができると共に、荷室ボード40で収納部(収納ボックス7)の上方を開放すると収納部(収納ボックス7)内とのアクセスが容易となり、収納部(収納ボックス7)に対して荷物を簡単に出し入れすることができる。
さらに、上記荷室ボード40はシートバック33Bの起立した状態での背面に沿って上下方向に延びて配設される起立状態に移動可能に構成されたものである。
この構成によれば、荷室ボード40を起立状態に選択すると、リヤシート33後方の荷室空間5と、収納部(収納ボックス7参照)内とが上下方向に連通するので、高さ寸法が大きい大型の荷物の積載に対応することができ、また、荷室ボード40は収納状態(図3参照)と使用状態(図15参照)と起立状態(図14、図16参照)とに選択できるので、荷室のアレンジ性の向上を図ることができる。
加えて、上記荷室ボード40は、アッパボード41Uとロアボード41Lとから成り前側に位置するスライドボード41と、上記スライドボード41に対して回動可能に連結された後部ボード42とから形成され、上記スライドボード41の前後方向の長さが可変に構成されたものである。
この構成によれば、アッパボード41Uとロアボード41Lとからなるスライドボード41のスライド構造により、確実な長さ可変構造を達成することができる。
さらに、上記荷室ボード40が収納状態(図3参照)と使用状態(図15参照)とに移動する時、上記スライドボード41前端部の軌跡を制御するリンク部材55を設けたものである。
この構成によれば、上述のリンク部材55によりスライドボード41の前端部の軌跡が制御されるので、倒伏させたシートバック33B後端部と使用状態下(図15参照)における荷室ボード40前端部との間の隙間をより一層確実に解消することができる。
図17、図18は前述のリンク部材55をアンロック可能にロックするためのリンクロック構造の他の実施例を示し、図10、図11で示した先の実施例においては、ロック部材67と、スライダ72のロッド73とを、ワイヤW2およびレバー70にて連係させたが、図17、図18に示すこの実施例では、ロック部材67に軸66よりもさらに下方に延びる延長部67aを一体形成し、この延長部67aに設けたピン77と、ロッド73の前端側に設けたピン78との間を連結杆79で連結したものである。
このように構成すると、シンプルな構造でありながら、図10、図11で示した先の実施例とほぼ同様にロック、アンロックを行なうことができる。なお、図17、図18において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略している。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のシートは、リヤシート33に対応し、
以下同様に、
シートが配設されるフロアパネルは、キックアップフロア部3bに対応し、
収納部は、収納ボックス7に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、スライドボード41においてロアボード41Lを前側に、アッパボード41Uを後側に配設したが、これはロアボード41Lを後側に、アッパボード41Uを前側に配設してもよいことは勿論である。
本発明の車両の後部荷室構造を示す側面図 図1の要部斜視図 図1の要部拡大側面図 図3の要部の平面図 図4のA−A線矢視断面図 図4の部分拡大平面図 図4のC−C線矢視断面図 リンクロック構造を示す側面図 ロック部材によるロック状態を示す側面図 図8の要部拡大図 図9の要部拡大図 図4のB−B線矢視断面図 荷室ボードの開放状態を示す側面図 荷室ボードの起立状態を示す側面図 荷室ボードの使用状態を示す側面図 荷室ボードの起立状態を示す側面図 リンクロック構造の他の実施例を示す側面図 ロック部材によるロック状態を示す側面図
符号の説明
3b…キックアップフロア部(フロアパネル)
5…荷室空間
7…収納ボックス(収納部)
33…リヤシート(シート)
33B…シートバック
33C…シートクッション
40…荷室ボード
41…スライドボード
41L…ロアボード
41U…アッパボード
42…後部ボード
55…リンク部材

Claims (5)

  1. 車両のフロアパネル上にシートクッションとシートバックとを備えたシートを配設し、
    該シートの後方に荷室空間が形成されると共に、該荷室空間には少なくとも上下方向に移動可能な荷室ボードが設けられた車両の後部荷室構造であって、
    上記シートはシートクッション上にシートバックが倒伏して折畳み可能に構成され、
    上記荷室ボードはフロアパネルに沿って平坦に収納された収納状態と、
    上記シートが折畳まれた状態でのシートバック後端部と略同一高さに位置する使用状態とに選択的に移動可能に設けられ、
    上記荷室ボードは複数のボード部に分割されると共に、該ボード部の一部が長さ可変可能に構成された
    車両の後部荷室構造。
  2. 上記フロアパネルには該フロアパネルより下方に凹設された収納部が設けられ、
    該収納部の上方を上記荷室ボードで開閉すべく構成した
    請求項1記載の車両の後部荷室構造。
  3. 上記荷室ボードはシートバックの起立した状態での背面に沿って上下方向に延びて配設される起立状態に移動可能に構成された
    請求項1または2記載の車両の後部荷室構造。
  4. 上記荷室ボードはアッパボードとロアボードとから成り前側に位置するスライドボードと、
    上記スライドボードに対して回動可能に連結された後部ボードとから形成され、
    上記スライドボードの前後方向の長さが可変に構成された
    請求項1〜3の何れか1に記載の車両の後部荷室構造。
  5. 上記荷室ボードが収納状態と使用状態とに移動する時、上記スライドボード前端部の軌跡を制御するリンク部材を設けた
    請求項4記載の車両の後部荷室構造。
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