JP2008023839A - インクジェット記録シート - Google Patents
インクジェット記録シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008023839A JP2008023839A JP2006198701A JP2006198701A JP2008023839A JP 2008023839 A JP2008023839 A JP 2008023839A JP 2006198701 A JP2006198701 A JP 2006198701A JP 2006198701 A JP2006198701 A JP 2006198701A JP 2008023839 A JP2008023839 A JP 2008023839A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- recording sheet
- general formula
- ion
- acid
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【課題】水性染料インクの定着性に優れ、高温高湿環境下での画像の滲みと耐水性が改良されたインクジェット記録シートに関する。さらに詳しくは、長期の保存性が要求されるフルカラー写真印刷用に好適に使用できるインクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表される層状化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
また、支持体上に一般式(1)及び/または一般式(2)で示される化合物と他の顔料を含む多孔質のインク受容層を設けてなる請求項1記載のインクジェット記録シート。
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表される層状化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
また、支持体上に一般式(1)及び/または一般式(2)で示される化合物と他の顔料を含む多孔質のインク受容層を設けてなる請求項1記載のインクジェット記録シート。
【選択図】なし
Description
本発明は水性染料インクの定着性に優れ、高温高湿環境下での画像の滲みと耐水性が改良されたインクジェット記録シートに関する。さらに詳しくは、長期の保存性が要求されるフルカラー写真印刷用に好適に使用できるインクジェット記録シートに関する。
インクジェットプリンターによる記録方式は、騒音が少ないこと、多色印刷が容易であること、高速記録が可能であること、他の記録方式のプリンターに比べて小型で安価であること等の理由により、多方面で広く利用されている。また、近年、デジタルカメラの写真印刷用として普及しており、インク液滴の微細化技術や、高速度印刷技術の進歩により、銀塩写真並みの画質が家庭で簡単に得られるようになった。インクジェット用インクについては、溶媒は水系のものと有機溶媒系のものがあり、色素は水又は溶媒に可溶な染料を使用するものと、溶媒に不溶の顔料を使用するものがある。ただし、家庭用のインクジェットプリンターとしては、溶媒が安全無害の水性であり、色素は鮮やかな発色を示し、かつ色再現領域が広い水溶性染料を使用するものが多い。
水に可溶な染料を使用するインクジェットプリンターの画像の安定性は銀塩写真に比較して未だ劣っているのが現状である。光、NOx、SOx、又はオゾンなどによる画像の劣化は、染料の分子構造の改良により大幅に改善されたが、反面、高温高湿環境に曝されたときに発生する画像の滲み(熱湿滲みと称する)は低下傾向にある。また印刷後、十分な乾燥を行わないでアルバムに綴じたときに発生する滲みも改善を要する点であり、どちらも染料の定着が不十分なため、染料分子がインク受容層を拡散して発生するためと思われる。
写真印刷用のインクジェット記録シートとしては、樹脂被覆紙上にインク受容層を設けたものが銀塩写真プリントに近い光沢と質感を有するので広く使用されている。このタイプのインクジェット記録シートは紙基材上にインク受容層を設けたものと比較して、紙層によるインク吸収が行われないため、インク吸収能力が一般に劣る。またインク中にはインクジェットノズルの乾燥防止のため高沸点有機溶剤が添加されており、該高沸点有機溶剤がいつまでもインク受容層に残留するため、染料が拡散しやすく、画像に滲みが発生しやすい。特に高温高湿環境に保管された場合や、印刷後、十分な乾燥を行わないでアルバムに綴じたときに発生しやすい。
この画像の滲みを改良するため、種々の試みが行われている。例えば特許文献1にはハイドロタルサイト類を含有することを特徴とするインクジェット記録媒体が提案されている。該発明のハイドロタルサイト類とは水酸化炭酸マグネシウムアルミニウムと記されているが、水酸化マグネシウムの八面体シート中のマグネシウムイオンを部分的にアルミニウムイオンで置き換えた構造であり、過剰の電荷を中和するためにシート間にアニオンが挟まっている。インクジェット記録に用いられる染料としては水溶性が高い直接染料または酸性染料が主に用いられており、アニオン性であるので、ハイドロタルサイトの層間アニオンとイオン交換することにより、層間に定着される。層間に定着された染料は運動しにくいため、画像の滲みが減少する。ハイドロタルサイト単独ではインク吸収性に劣るため他の顔料、例えばシリカと混合使用することも、特許文献1又は特許文献2で提案されている。しかし、ハイドロタルサイトは、水酸化マグネシウムをベースとする構造であるために、配合した水性塗工液は強いアルカリ性を示し、インクの受容層に用いると色調に偏りを生じることがあった。
特許文献3、特許文献4、特許文献5には一般式(3)で表されるリチウムとアルミニウムからなる化合物を主成分として含む画像形性材料が開示されている。この化合物は水酸化アルミニウムをベースとする構造であり、ハイドロタルサイト類と同様、層間のアニオンは交換可能であり、また水酸化アルミニウムをベースとするため、水性塗工液に配合してもほぼ中性を示す。そのため、インクの受容層に用いても色調に偏りを生じないことがわかった。
しかし、本発明者らの検討結果では、一般式(3)の化合物の染料定着能力は十分ではなく、特に染料の定着に時間を要し、印刷直後の耐水性が弱く、改良が求められていた。
本発明は、水性染料インクを使用するインクジェットプリンターで印刷された画像の高温高湿環境下での滲みと画像の耐水性を改良し、特に長期保管のケースが多いフルカラーの写真印刷用として好適なインクジェット記録シートを提供しようとするものである。
本発明者らは、以下の構成により課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
(1)下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表される層状化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
(1)下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表される層状化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
(3)前記顔料が、平均二次粒子径1μm以下の微細顔料である(2)記載のインクジェット記録シート。
(4)一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物の平均二次粒子径が1μm以下である(2)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
(5)前記顔料が、シリカ微粒子表面にカチオン性樹脂を吸着させたものである(2)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
(6)前記顔料が、シリカ微粒子表面を多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、多価金属含有酸化物、カチオン性基含有シランカップリング剤の少なとも一種類で表面処理したものである(2)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
(7)水溶性ジルコニウム化合物及び水溶性アルミニウム化合物から選択される一種以上の化合物をインク受容層中に含むことを特徴とする(2)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
(8)支持体が非透気性支持体である(2)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
本発明のインクジェット記録シートに水性染料を使用するインクジェットプリンターで印刷された画像は、高温高湿環境下に長期間保存された場合でも画像の滲みがない。そのため長期間、画質を損なうことなく保存が可能である。また、印刷後十分な乾燥を行わないで、アルバムに綴じた場合や合成樹脂製のクリアーファイル中に入れた場合でも滲みの懸念が少ない。また印刷直後に水に接触した場合でも染料が溶出することが少なく、画像の耐水性に優れている。支持体を非透気性支持体とし、顔料や上記層状化合物の平均二次粒子径を1μm以下とした場合には、銀塩の印画紙に近い高光沢と質感が容易に得られるのでフルカラー写真の印刷に適しており、長期の保管にも耐える。もちろん、本発明のインクジェット記録シートに水性の顔料インクを用いて印刷することや、油性インクによる印刷も可能である。
本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
(層状化合物)
一般式(1)で表される層状化合物としては、例えば、特開平08−311284号公報、国際公開WO97/828号公報に開示されているものが使用できる。上記化合物(I)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体シートの空位(ベーカント)にリチウムイオン及び2価の金属イオンを入れて基本骨格とし、その中間層にアニオンが導入されたものである。二価の金属としては、特に限定されないが、無色でありかつ無害なMg、Ca、Znなどが好ましい。
(層状化合物)
一般式(1)で表される層状化合物としては、例えば、特開平08−311284号公報、国際公開WO97/828号公報に開示されているものが使用できる。上記化合物(I)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体シートの空位(ベーカント)にリチウムイオン及び2価の金属イオンを入れて基本骨格とし、その中間層にアニオンが導入されたものである。二価の金属としては、特に限定されないが、無色でありかつ無害なMg、Ca、Znなどが好ましい。
層間のアニオンは交換可能であり、インクジェットプリンター用水性インクに使用されている染料は主として酸性染料または直接染料でありアニオン性であるため、層間のアニオンと交換して定着される。この現象はインターカレーションと呼ばれており、層間に定着された染料は運動しにくく、そのため高温高湿環境下でも拡散しにくいと考えられる。本化合物は、一般式(3)の化合物において一価のリチウムイオンの一部またはすべてを二価の金属で置換した構造をしており、その分八面体シートのプラス荷電が増え、それを中和するために層間のアニオン量が多い。そのため染料の定着能力が高い。
Aは有機または無機のアニオンであり、特に限定されないが、例えばハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、縮合リン酸イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、次ホウ酸イオン、四ホウ酸イオン、五ホウ酸イオン、水酸化物イオン、ケイ酸イオン、縮合ケイ酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸イオンなど)、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、アジピン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオンなど)、フェノールイオン(フェノールイオン、クレゾールイオン、レゾルシン、クロロフェノールイオンなど)などが例示される。好ましくは低pHでも安定なアニオン状態を保つ強酸のアニオン、例えば塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオンである。
製造法の要点を以下に述べるが、特に限定するものではない。第1の製造法は、水溶性アルミニウム塩と、水溶性二価金属塩をpH7以上で反応させた後、炭酸リチウム又は水酸化リチウム等の水溶性リチウム化合物を加えて加熱処理する方法である。より具体的には、先ず、水溶性アルミニウム化合物と、マグネシウム及び/又は亜鉛などの二価の金属化合物と、アルカリとをpH7以上、好ましくはpH8〜10程度を維持しながら水溶液中で反応させることにより、アルミニウムと二価の金属との複合水酸化物塩とする。水溶性アルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等を使用できる。二価の金属化合物としては、これらの金属と塩酸、硝酸、硫酸、重炭酸、カルボン酸との塩を使用できる。アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、好ましくは炭酸塩を好適に使用できる。
上記反応で得られたアルミニウムと二価の金属との複合共沈物を適量の水で洗浄後、炭酸リチウムや水酸化リチウムなどの水溶性リチウム塩を加えて加熱処理する。リチウム塩の量は、アルミニウムと二価の金属との複合共沈物のAl2O3とM2+Oの含量に対して、Li/Al2O3(モル比)=1−(M2+O/Al2O3)(モル比)となるように調整すると良い。加熱処理温度は常温から200℃までの温度の範囲が適当である。好ましくは90℃以上、特に好ましくは110〜160℃の温度で反応を行うのが良好である。処理温度が低い場合には、結晶化の程度が低くなる。反応時間は0.5〜40時間、より好ましくは3〜15時間である。
一般式(1)の化合物の第2の製造法は、水酸化アルミニウムを水媒体中で、炭酸リチウム等の水溶性のリチウム塩と、2価の金属を含む水溶性化合物で加熱処理する方法である。例えば、炭酸型のリチウムマグネシウムアルミニウム複合水酸化物の場合、加える炭酸リチウム及び炭酸マグネシウム又は塩基性炭酸マグネシウム量は、水酸化アルミニウムのAl2O3含量に対して、{Li/Al2O3(モル比)}+{MgO/Al2O3(モル比)}=1となるように調整すると良い。この際には、リチウム源として水酸化リチウムのような水溶物を使用しても良く、この場合には、炭酸イオン源として炭酸ナトリウムのような炭酸塩を添加して補えば良い。加熱処理温度は常温から200℃迄の温度の範囲が適当である。好ましくは90℃以上、特に好ましくは110〜140℃の温度で反応を行うのが良好である。処理温度が低い場合には、結晶化の程度が低くなる。反応時間は0.5〜40時間が好ましく、より好ましくは3〜15時間である。
一般式(1)の化合物はそのまま使用しても良いが、さまざまな改良、修飾を行ったものを使用することもできる。例えば特開平08−311284号公報には、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、脂肪酸のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤で表面処理することが記載されている。また、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤で処理して用いても良い。
特開平07−68925号公報には、交換性陰イオンを有する層状無機高分子の交換性陰イオンを、層間化合物の層間距離を拡げしかも層間を部分的に疎水化できる有機陰イオン、例えば高級脂肪酸陰イオンで置換させた層状無機高分子を含むことを特徴とするインクジェット記録用印画紙が開示されている。
特開平11−78209号公報には、一般式(3)の化合物にフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸などの有機酸を吸着させたものを使用することが開示されており、この技術を一般式(1)の化合物に適用することもできる。国際公開WO97/828号公報には、層間アニオンにケイ酸アニオンを用いることが示されている。また、特開2000−211917号公報に開示されているような層間アニオンとして過塩素酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどの無機酸素酸イオンを用いることも好ましい。
一般式(2)で表される層状化合物としては、例えば、国際公開WO98/16470号公報で開示されている化合物が挙げられる。
この層状化合物は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体層の空位(ベーカント)にリチウムイオン及び二価の金属イオンとを入れたものを骨格とする基本層と、アニオンと結晶水とからなる中間層とからなるリチウムアルミニウム系化合物に、二価金属の水酸化物や酸化物をほぼ無定型の形で複合化させた複合金属水酸化物塩である。ベーカントに導入された二価金属は、一価金属であるリチウムのみが八面体空位に入った一般式(3)の化合物より中間層のアニオン量を増大させ、その結果、染料とのイオン交換量が増大する。二価の金属としては、特に限定されないが、無色でありかつ無害なMg、Ca、Znなどが好ましい。
Aは有機または無機のアニオンであり、特に限定されないが、例えばハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、縮合リン酸イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、次ホウ酸イオン、四ホウ酸イオン、五ホウ酸イオン、水酸化物イオン、ケイ酸イオン、縮合ケイ酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸イオンなど)、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、アジピン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオンなど)、フェノールイオン(フェノールイオン、クレゾールイオン、レゾルシン、クロロフェノールイオンなど)などが例示される。好ましくは低pHでも安定なアニオン状態を保つ強酸のアニオン、例えば塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオンである。
二価金属としてマグネシウム又は亜鉛を、アニオンとして炭酸イオンを含む化合物について、具体的に製造方法を述べると、水酸化アルミニウムを水媒体中で、炭酸リチウムと、炭酸マグネシウムや塩基性炭酸マグネシウム等のマグネシウムの炭酸塩又は亜鉛の炭酸塩と、水溶性マグネシウム又は水溶性亜鉛、水酸化マグネシウム又は水酸化亜鉛、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛の群から選択された1種以上とを加熱処理反応させることによって製造できる。水溶性マグネシウム又は水溶性亜鉛の例としては、塩化マグネシウム又は塩化亜鉛、硝酸マグネシウム又は硝酸亜鉛、硫酸マグネシウム又は硫酸亜鉛の組み合わせ等を挙げることができる。炭酸リチウムと、マグネシウム又は亜鉛の炭酸塩との使用量は水酸化アルミニウムのAl2O3含量に対し、〔Li/Al2O3(モル比)〕+〔(MgO+ZnO)/Al2O3(モル比)〕=1となるように使用するとよいが、リチウム成分はやや過剰量に投入してもよい。加熱処理の温度範囲は、好ましくは常温から160℃迄の間の適宜な温度であり、より好ましくは90℃以上〜140℃、特に好ましくは110〜140℃である。処理温度が常温よりも低い場合は結晶化の程度が低くなる。上記炭酸イオン型の複合金属水酸化物塩は、酸類、例えば硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸、又は有機酸例えば酢酸等のモノカルボン酸(一塩基性有機酸、過塩素酸)で処理することにより、層間の炭酸イオンを他のアニオンに置換することができる。上記処理により得られる他のアニオン型複合金属水酸化物塩は、出発原料を適宜組み合わせることにより、上記の炭酸イオン型の複合金属水酸化物塩の工程を経由することなく、層間のイオンがハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、モノカルボン酸イオン等である化合物とすることもできる。この化合物は、オートクレーブ等を用いた水熱処理を行うことにより、BET比表面積及び二次粒子径を適宜な範囲に調整することができる。水熱処理の温度範囲は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜160℃である。
一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物の平均二次粒子径は1μm以下が好ましい。本発明において二次粒子径とは、動的光散乱法により測定され、キュムラント法を用いた解析から算出される値である。平均粒子径を1μm以下とすることにより、比表面積が増大して、少ない添加量で短時間の内にインク中の染料を定着できるようになる。また高光沢のインクジェット記録シートを製造しやすい。さらに、光を乱反射することが少ないので、インク受容層に配合しても印字濃度を低下させることが少なくなる。さらに好ましい平均粒子径は0.005μm〜0.5μmであり、最も好ましくは0.005μm〜0.3μmである。
平均粒子径を好ましい範囲とする方法は、特に限定するものでないが、湿式若しくは乾式の粉砕方法、例えばビーズミル、ボールミル、振動ミル、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、ロールミル、ジェットミルなどを単独で、若しくは組み合わせて用いれば良い。
一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物を用いて、インクジェット記録シートを製造する方法に限定はないが、紙などの基材中に内添する方法や、支持体の上に塗工層を設け、この塗工層中に含ませることができる。
紙基材としては、各種化学パルプ、セミケミカルパルプ、機械パルプ、再生パルプ(古紙パルプ)、麻、ジュート、ケナフ等の非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維短繊維などを適宜配合して抄紙したものを使用することができる。また、所謂ECFパルプ、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に50〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度が好ましい範囲である。一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物の内添量は、特に制限はないが1〜30質量%程度が好ましい。1質量%未満では染料の定着に不足するおそれがあり、30質量%を超えると、紙力が低下傾向になる。必要に応じて、他の填料を添加することができ、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト、酸化チタン、有機填料などが好ましく使用される。填料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、填料の内填量は、対木材パルプ1〜30質量%程度が好ましい。
インクジェット記録シートとしては支持体の上にインク受容層を設けたものが、高精細、高濃度の画像を印刷できるので好ましい。インク受容層は、他の支持体に設けた塗工層を別の支持体に転写することによって形成されることもあるが、通常はインク受容層形成用塗工液を支持体上に塗工し、乾燥することによって形成される。すなわち一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物にバインダー樹脂を配合して塗工液を製造し、支持体に塗工することによりインクジェット記録シートを作成することができる。ただし、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物は細孔容積が小さく、バインダー樹脂を配合して塗工しただけでは、インク吸収速度やインク吸収量において不十分な場合がある。そのため、他の顔料、好ましくは細孔容積の大きい顔料を併用し、多孔質のインク受容層とすることが好ましい。また、該顔料の平均二次粒子径を1μm以下にすることにより、高光沢のインク受容層が得られ、写真印刷用として適切なものとなる。さらに好ましい平均二次粒子径は、0.02μm〜0.8μmであり、最も好ましい平均二次粒子径は0.05μm〜0.5μmである。
一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物と併用する他の顔料としては、シリカ、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、重質炭酸カルシウム、沈降法炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、クレー、カオリン、焼成カオリン、ゼオライト、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪藻土、などの無機顔料;アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の樹脂からなる有機顔料が挙げられ、これらの顔料は真球状でも不定形でも良く、無孔質でも多孔質でも良い。これらの顔料は、1種を用いても良く2種以上を混合して用いても良い。これらの顔料のなかではシリカの細孔容積が大きいので好ましく用いられる。
シリカ微粒子として、コロイダルシリカが広く知られている。その製造方法に関して多くの方法が知られているが、ケイ酸ソーダの希釈水溶液をカチオン交換樹脂で処理して酸性の活性ケイ酸水溶液を調製し、この活性ケイ酸水溶液の一部に対しケイ酸ソーダをアルカリとして添加して安定化させて加熱重合することにより、シリカのシード粒子が単分散した液(シード液)を作り、アルカリ性条件を保持しながら活性ケイ酸水溶液の残部(フィード液)をこれに徐々に添加してケイ酸を重合させ、コロイダルシリカの単分散粒子を成長させる方法が広く行われている。また一次粒子が非球状のもの、細長い形状のもの、鎖状のもの、ネックレス状に連結したものもある。これらのコロイダルシリカは平均粒子径が非常に小さい(一般的に0.007μm〜0.2μm)のでインク受容層に用いると高い光沢が得られるが、細孔容積は一般に小さいものが多い。
一方、細孔容積の大きい多孔質シリカとしては湿式法で製造される含水非晶質シリカがある。これはケイ酸アルカリ溶液に鉱酸を混合し、ゲル化あるいは沈降させた後、湿式粉砕して得られるものである。例えば、ケイ酸アルカリ水溶液に対して2段に分けて酸添加を行い、シリカを沈殿させることにより細孔容積0.5ml/g以上の含水ケイ酸非晶質シリカを得る方法(沈降法)が行われている。また、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加して、混合物全体をゲル化させたのち粉砕、洗浄、乾燥を行って多孔質の含水非晶質シリカを製造する方法(ゲル法)も行われている。このような湿式法で得られるシリカは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しており、一次粒子間あるいは二次粒子間の空隙により一般に0.5ml/g以上の高い細孔容積を保持している。しかしその粒子径が3〜20μmであることから、光の散乱度が高く、その分散液は一般に白濁し、バインダーとの混合塗膜を作成した場合にも、その塗膜は不透明で、低光沢のマット調となる。
上記の含水非晶質シリカを機械的手段で湿式粉砕処理する方法は、コロイド状シリカ微粒子の分散液を得る方法として公知であり、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどで合成無定型シリカに強い機械的力を加えることにより、一次粒子が凝集してなる平均粒子径が10nm〜1000nmの二次粒子よりなるコロイド状シリカ微粒子を製造することができる。
また、乾式法により得られるシリカを水中で機械的に粉砕する方法もシリカの二次粒子が水中にコロイド状に分散した分散液を得る方法として公知である。乾式法シリカとは、四塩化珪素などの揮発性珪素化合物を火焔中で高温分解する方法により製造される微粒子状シリカである。乾式法シリカの水分散液は湿式法シリカと比べると機械的に微粒子化することが容易であるので、最近の光沢インクジェット記録シートには好んで用いられている。
さらに、特開2001−354408号公報で開示されている、活性ケイ酸を縮合させて得られる微細シリカも好ましく使用できる。この方法では機械的手段によらずに直接、上記の粒子径や細孔容積を有する微細シリカを製造でき、かつ粒度分布が狭いので透明度や光沢が良好な塗工層となる。
上記のシリカ微粒子表面はアニオン性であるが、カチオン性樹脂を表面に吸着させたり、表面を多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、多価金属含有酸化物、カチオン性基含有シランカップリング剤から選ばれる少なとも一種類で表面処理することが好ましい。一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物による染料の定着はインターカレーションによって起こるため、ある程度の時間を要し、印刷直後に水に接触した場合には染料が溶出して画像が滲むことがある。しかし、上記の処理によりシリカ表面をカチオン性とすることにより大幅に改善できる。
シリカ微粒子表面にカチオン性樹脂を吸着させ、カチオン性とする方法は既知である。例えば特開平10−272833号公報には、圧力式ホモジナイザーを用いて粉砕した平均粒径10〜300nmのシリカ微粒子を含有する分散液に、カチオン性樹脂を添加し、増粘または凝集した微粒子を再分散させて平均粒径500nm以下とした分散液を塗工・乾燥した層を設けてなるインクジェット記録シートが開示されている。特開2001−80204号公報には、フュームドシリカ(乾式法シリカ)とカチオン化合物を含む分散液を機械的粉砕により平均粒子径1μm以下に分散または粉砕したスラリー状混合物を含有する塗工液を支持体に塗工してなるインクジェット記録シートが開示されている。特開2002−302552号公報にはカチオン性樹脂水溶液に40℃以下の乾式シリカ分散液を添加しながら、且つ20℃〜45℃の温度範囲内で分散せしめた後、高圧ホモジナイザーによる分散処理を行うことを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法が開示されている。また、カチオン性樹脂水溶液中に、直接シリカ粉体を少しずつ真空吸引し、分散を行ってシリカ表面にカチオン性樹脂を吸着させる方法も行われている。
カチオン性樹脂としては公知のものが使用できる。代表的なカチオン性樹脂としては、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第1〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートの重合物、第1〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体の重合物、ビニルアミン重合物又はその誘導体、アリルアミン重合物又はその誘導体、ジアリルアミン重合物、ジアリルメチルアミン重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルアミン−二酸化イオウ共重合、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物、アクリルアミド−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン性樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン性樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミド共重合体の加水分解物、ポリビニルアミジン系樹脂等のカチオン性樹脂が例示でき、単独又は数種類を組み合わせて使用しても良い。
シリカ微粒子表面を多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、多価金属含有酸化物、カチオン性基含有シランカップリング剤から選ばれる少なとも一種類で表面処理してカチオン化する方法も公知である。シリカ微粒子分散液に水溶性多価金属塩や水溶性多価金属塩基性塩を添加して、場合によっては加熱することにより表面に多価金属イオンや多価金属水酸化物、多価金属酸化物を吸着させたり、化学的に結合させてシリカをカチオン性にすることができる。例えば米国特許第3007878号公報、特公昭47−26959号公報、及び特開平02−172812号公報にはコロイダルシリカを塩基性塩化アルミニウムで処理してカチオン性とする方法が開示されている。
塩基性塩化アルミニウムはシリカ表面をカチオン化するのに好ましい化合物であるが、その他にも、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、スズ、ビスマスなどの多価金属含有化合物を使用することもできる。特公平4−60435号公報にはシリカの表面にカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛の少なくとも1種以上の化合物をシリカ当たり酸化物基準で0.5〜20重量%の量で被覆したインクジェット記録紙用填料が開示されている。特開平1−259982号公報にはカルシウム、マグネシウム及び/又はバリウムで表面処理した微粒子シリカを用いることが開示されている。
アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムを含む化合物は、得られるカチオン性シリカ微粒子が安定であること、また無害であることから特に好ましい。ジルコニウムを含む化合物の中でも、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、が好ましく、特に酸塩化ジルコニウム、塩基性塩化ジルコニルが好ましい。アルミニウムを含む化合物の具体例としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウムなどが挙げられるが、これらの中でも塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウムが好ましい。
シリカ微粒子表面をカチオン性基含有シランカップリング剤で処理してカチオン性にすることも公知の技術で行うことができる。特開平01−241486号公報にはカチオン性シランカップリング剤で被覆された微粉珪酸、及び合成珪酸塩を用いた被記録材が開示されている。カチオン性のシランカップリング剤の一例としては、第1級、第2級、第3級のアミノ基、又は第4級アンモニウム基を分子構造内に有するものが挙げられ、これらの具体例としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、SH−6026、SZ−6050(東レダウコーニング製)の商品名で市販されている特殊アミノシラン等が挙げられる。上記のようなシランカップリング剤分子中のシリル基は、シリカ等の無機顔料表面の水酸基と結合を作るため、これらのシランカップリング剤を用いてシリカを処理することによって、表面に第1〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム基を有するシリカ微粒子が得られる。ここで、第1〜第3級のアミノ基を有するシランカップリング剤を用いる場合、カチオン性を発現するためには、アミノ基を酸で中和して、塩とする必要がある。酸は塩酸、硝酸、などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸を用いれば良い。中和後のpHは3〜7が好ましく、4〜6.5が特に好ましい。酸による中和は、シリカ微粒子にシランカップリング剤を作用させる前、あるいは作用させた後のいずれでも構わない。
シリカ微粒子表面を、多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、及び多価金属含有酸化物から選ばれる少なくとも一種類と、カチオン性基含有シランカップリング剤の両方を用いてカチオン化する方法は特開2005−213504号公報中に開示されており、この方法も用いることができる。
本発明に用いる顔料の細孔容積は、0.4ml/g〜2.0ml/gが好ましい。ここで細孔容積とは、窒素ガス吸着法により測定され、直径が100nm以下の細孔の全細孔容積の値である。細孔容積が0.4ml/g未満の場合、インクを吸収するのに塗工量を多くしなければならず不経済であるばかりか、一般に吸収速度が遅く、インク吐出量の多いベタ印字部分の画質に劣る傾向がある。細孔容積が2.0ml/gを超える場合には、インク受容層の密度が小さくなりすぎ、塗工の工程中にひび割れが発生しやすくなる。
本発明に用いる顔料の比表面積は、20m2/g以上400m2/g未満が好ましい。ここで比表面積とは、窒素ガス吸着法により測定され、BET法を用いて求められる値である。比表面積が大きいほど一次粒子が小さく、光を乱反射しなくなるために、高い印字濃度が得られる。しかし、比表面積が大きすぎると、乾燥時の毛管収縮力が大きすぎ、塗工の工程中にひび割れが発生しやすくなる。
(インク受容層形成用塗工液)
インク受容層を形成する塗工液は、溶媒(通常は水)に、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物とバインダー樹脂を必須成分として配合し、必要に応じて他の顔料を配合し、さらに必要に応じてさまざまな添加剤を配合して調製される。
インク受容層を形成する塗工液は、溶媒(通常は水)に、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物とバインダー樹脂を必須成分として配合し、必要に応じて他の顔料を配合し、さらに必要に応じてさまざまな添加剤を配合して調製される。
バインダー樹脂は特に限定されるものではなく、例えば、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などの蛋白質類;澱粉や酸化澱粉、加工澱粉等の各種澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、完全けん化ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコールなどの合成水溶性樹脂;スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂ラテックス;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合体または共重合体であるアクリル系樹脂ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂ラテックス等が挙げられる。なかでも、特に、ポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく使用される。これらのバインダー樹脂は、1種を用いても良く2種以上を混合して用いても良い。
バインダー樹脂の配合量は、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物と、必要に応じて添加されるその他の顔料の合計100質量部に対して5〜100質量部程度が好ましい。このときインク受容層が多孔質となるように、具体的には顔料の細孔容積の選択と、バインダー樹脂の添加量を適切に調節することにより、細孔容積を0.2〜2.0ml/gの範囲になるよう調節するとインク吸収速度やインク吸収量において十分なインクジェット記録シートが得られる。インク受容層の細孔容積が0.2ml/g未満の場合、塗布量を多くしないとインクを吸収できないのでインクジェット記録シートの製造コストが高くなる。また、2.0ml/gを越える細孔容積ではインク受容層の機械的強度が低下し、インク受容層に傷がついたり、剥がれたり、割れたりしやすくなり好ましくない。尚、ここでいうところの細孔容積は窒素吸着法によって測定され、細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積である。
一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物の塗工層における含有量は通常1〜40g/m2の範囲がインク定着性と製造コストのバランスがとれており好ましい。さらに好ましくは2〜30g/m2である。インク受容層全体としての塗工量は乾燥後の質量で2〜50g/m2とするのが好ましく、5〜40g/m2とするのがより好ましい。塗工量を2g/m2以上とすることにより、インク吸収性、画像の鮮明性、印字保存性が向上する。塗工量を50g/m2以下とすることにより、塗膜強度やカールを良好に保つことができる。なお、インク受容層は複数層積層しても良く、その場合、層間でインク受容層組成が異なっていても良い。
本発明のインクジェット記録シートにおいては、水溶性ジルコニウム化合物及び水溶性アルミニウム化合物から選択される一種以上の化合物を含むことが画像の滲みを最小にするので好ましい。ここで水溶性とは20℃の水100gに1g以上溶解することを目安とする。水溶性ジルコニウム化合物の中でも、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、塩基性塩化ジルコニルが好ましく、特にジルコニウムイオンが複数個結合してポリマー状となった化合物が好ましく、そのような化合物として塩基性塩化ジルコニルが知られている。水溶性アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムが好ましく、特にアルミニウムイオンが複数個結合してポリマー状となった化合物が好ましく、そのような化合物として塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムなどが知られている。塗工液への配合量は一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物と、必要に応じて添加されるその他の顔料の合計100質量部に対し、酸化物換算(Al2O3又はZrO2)で1〜50質量部が好ましく、より好ましくは2〜30質量部である。
他の任意成分としては、一般の記録シート製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、耐光性改善助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐ガス性改善助剤、ブロッキング防止剤、防腐剤などの各種助剤等が適宜添加される。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれであってもよい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル塩系等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミン塩系、4級アンモニウム塩系等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系、ポリエチレングリコール系(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物)、多価アルコール系(グリセリンおよびペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アルカノールアミド等)等が挙げられる。
上記界面活性剤の中でも、インクジェットプリンターのインクとの親和性が高いことから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、さらには、ノニオン系界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤は、分子中にアセチレン性三重結合を形成する互いに隣接した炭素原子に酸素原子が結合されているため、ノニオン性でありながら、非常に強い極性を有している。そのため、少量の添加でも表面活性効果が高く、支持体に対する塗工液の濡れ性を向上させることができる。また、一般的に、界面活性剤は気泡形成性が強いため、泡立ちという問題を生ずるが、アセチレングリコール系界面活性剤は消泡性を有しており、泡立ちを抑制できる。アセチレングリコール系界面活性剤は、分子中にアセチレン結合とアルコール性水酸基とを有する化合物であり、その中でも、アルキニレングリコール化合物とエチレンオキサイドとの付加反応生成物が好ましい。特に好ましいアセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールにエチレンオキサイドを付加した化合物である。
酸化防止剤としては特開平1−115677号公報や特開2002−36717号公報に開示されている分子中に硫黄原子を含む化合物が好ましい。
上記の材料を配合して、塗工液を調製するが、すべての材料を配合した後の塗工液のpHは2〜7の範囲が好ましい。特に好ましくは3〜6である。pHが2未満であると、塗工装置の腐食の懸念がある他、インクジェットプリンターで印刷した画像の色調が偏ることがある。またpH7以上では塗工液の増粘やゲル化が発生することが多く、また染料の定着が悪化し、滲みや耐水性が悪化する傾向がある。
シリカ微粒子表面にカチオン性樹脂を吸着させてカチオン化したものは、吸着されたカチオン性樹脂が第1〜第3級のアミノ基を有するものの場合は、pHが上昇するとプロトンが結合したアミノ基の割合が減少し、カチオン性が減少するので染料を強固に定着することができなくなる。また、表面のカチオン電荷が減少するため、分散液の安定性が減少し、塗工液の増粘やゲル化を引き起こす。第4級アンモニウム基を有するカチオン性樹脂の場合、pHが高くても電荷が減少することはないが、シリカ表面のシラノール基が解離してアニオン性が高くなるため、カチオン性樹脂との相互作用が強くなり、塗工液の増粘やゲル化が発生する。
カチオン性基含有シランカップリング剤で表面処理されたシリカ微粒子の場合もカチオン性樹脂の場合と同様のメカニズムで、塗工液pHが高くなると染料の定着が悪化し、滲みや耐水性が悪化したり、塗工液の増粘やゲル化が発生する。
多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、多価金属含有酸化物から選ばれる少なくとも一種類で表面処理されたシリカ微粒子を用いた場合には、pHが高くなると等電点に近づくため表面電荷が減少して染料の定着が悪化し、滲みや耐水性が悪化したり、塗工液の増粘やゲル化が発生する。
また本発明の好ましい態様として、水溶性ジルコニウム化合物及び水溶性アルミニウム化合物から選択される一種以上の化合物が塗工液に配合されるが、pHが高いとそれぞれ水酸化ジルコニウム及び水酸化アルミニウムとして不溶化するため、滲みの防止効果が小さくなる。
塗工液のpH調整は、必要に応じて酸又は酸性化合物を添加することにより行えば良い。酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などカルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸;アスコルビン酸などが例示される。酸性物質としては、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、アンチモンの強酸塩や、塩化アンモニウムなどの有機弱塩基と強酸の塩が例示される。pHが低すぎる場合にはアルカリで調整すればよい。アルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、アミン類などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録シートには、各種支持体を使用することができる。王研式透気度が500秒/100ml未満の透気性を有する支持体を用いた場合は、支持体自体にインク吸収能力があるため、インク受容層は比較的少ない塗工量で済む。しかし透気度が低い支持体の場合、インクを吸収して膨張するため、皺やボコツキが発生しやすく、銀塩写真としての風合いを損なう面もある。その点、非透気性支持体はインクが浸透しないため、印字しても皺やボコツキが発生せず、銀塩写真の風合い、又は光沢感が容易に得られる。
本発明において、非透気性の支持体とは、王研式透気度が500秒/100ml以上、好ましくは800秒/100ml以上、より好ましくは1000秒/100ml以上であるような支持体を意味する。このような支持体としては、例えば、ポリエチレン樹脂を被覆した、所謂樹脂被覆紙、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した、ユポ(商品名:ユポ・コーポレーション社製)に代表される所謂合成紙、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PETなど)、ポリスチレンなどのフィルム、金属蒸着紙、樹脂含浸などにより透気度を高くした紙類などが挙げられる。中でも、樹脂被覆紙、合成紙、フィルムは表面の平滑性が高いため、高光沢のインクジェット記録シートが容易に得られるので好ましい。
特に、酸化チタンを練り込んだポリエチレンを紙表面に樹脂被覆した支持体は、銀塩写真印画紙にも使用されており、好ましく用いられる。ポリエチレン被覆層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。ポリエチレン被覆層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆時にポリエチレン樹脂の穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールに困難がある場合が多く、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。また、インク受容層との接着性を高めるため、樹脂層表面にコロナ放電処理を施したり、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどのサブコート層を設けることが好ましい。
このポリエチレン樹脂を被覆した、所謂樹脂被覆紙に用いる紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されているものが使用される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度が好ましい範囲である。また、所謂ECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、顔料を添加することができる。顔料には、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
また、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明性が優れているプラスチックフィルムを用いると、バックプリントやOHPシート等の光透過性記録媒体として利用できるインクジェット記録シートを作製することができる。これらの支持体は、その表面に形成するインク受容層との接着力が不十分な場合にはサブコート層を施したり、コロナ放電処理などの各種の易接着処理を施すことができる。
支持体の厚さは、プリンターの通紙性を考慮すると50〜500μmが好ましい。また、インクジェット記録シートのカール抑制や、搬送性の向上のため、基材シートのインク受容層とは反対側に裏面層を設けることもできる。裏面層の構成及びそれに伴う基材シート裏面の易接着処理等はその用途に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、塗工性、コストを鑑みると顔料と親水性樹脂を主成分とする裏面層を設けることが好適である。但し、裏面層の吸水性が高すぎると、印刷後に積層した記録シートが貼り付いたり、べたついたりするため好ましくない。更に両面印刷を想定し、インク受容層を含む塗工層を両面に設けても良く、ラベルやシール用途に対応すべく、裏面に粘着剤を塗工した後、剥離紙と組み合わせても良い。
インク受容層の塗工は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗工装置で形成することができる。塗工後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げ処理を行っても良い。
高光沢のインクジェット記録シートを製造する場合には、塗工層をキャスト法で形成しても良い。キャスト法とは支持体または下塗り層を塗工した支持体上に、塗工液を塗工し、そのまま、又は半乾燥の状態で、或いはゲル化剤を塗工して塗工層をゲル化させた後、加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、ドラムから剥離してドラムの鏡面を塗工層に写し取る方法である。また、乾燥された塗工層に溶媒を塗工し、塗工層が湿潤状態にあるうちに加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、ドラムから剥離してドラムの鏡面を塗工層に写し取るリウェットキャスト法も行うことができる。キャスト法に使用する塗工液の処方は、前記した処方、すなわち、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物を含む塗工液であっても良いし、他の処方でも良い。
非透気性の支持体の場合、上記のキャスト法は実施できないが、特開2004−294296号公報、特開2004−293957号公報などに記載されている方法により光沢層を形成することができる。この光沢層形成方法は、光沢層用塗工液層を設ける工程、該塗工液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、及び該塗工液層を乾燥する工程で行われる。光沢層用塗工液層を設ける工程と、該塗工液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程と、該塗工液層を乾燥する工程を連続的に実施しても良いし、各工程を個々の設備に分離して実施しても良い。本法に使用する塗工液の処方は、前記した処方、すなわち、一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物を含む塗工液であっても良いし、他の処方でも良い。
塗工液に平均二次粒子径が1μm以下の微粒子を含む場合、塗工後の乾燥工程でひび割れが発生しやすい。このひび割れを防ぐ方法が種々工夫されており、例えば塗工液中にバインダー樹脂を架橋させる架橋剤を配合する技術が知られている。例えば特開平11−158165号公報にはバインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用し、架橋剤としてホウ酸又はその塩を使用する技術が開示されている。ホウ酸又はその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及びそれらの塩が含まれる。ホウ酸又はその塩の使用量は、塗工液の無機微粒子や親水性バインダーの量により広範に変わり得るが、親水性バインダーに対して概ね1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。また、インク受容層形成用塗工液を塗工した後、乾燥前或いは乾燥中に架橋剤水溶液を塗工して塗工液を架橋しても良い。また、支持体または下塗り層に架橋剤を塗工しておき、その上にインク受容層形成用塗工液を塗工して、該塗工層を架橋させることもできる。
上記の技術以外にもインク受容層形成用塗工液に活性エネルギー線で架橋する物質を添加しておき、塗工後に活性エネルギー線を照射して、塗工層をゲル化もしくは増粘させてから乾燥する技術を採用しても良い。例えば特開2002−160439号公報には平均粒径が1μm以下で細孔容積が0.4〜2.5ml/gの微細顔料と、水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを含有する水性塗工液を塗工し、ついで電子線を照射して該塗工層をハイドロゲル化させたのち乾燥して多孔質のインク受容層を形成する技術が開示されている。特開2004−136644号公報には、支持体上に、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に電離放射線を照射することによって、側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含む多孔質層を有するインクジェット記録用紙が開示されている。また、特開2003−040916号公報には、一定の温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す高分子エマルジョンを塗工液に配合し、感温点以下の温度に冷却することにより、塗工層をゲル化もしくは増粘させた後、乾燥する記録媒体製造方法が開示されている。
以下に本発明の更に詳しい説明を実施例により行う。実施例および比較例に記載した試験項目の測定方法は以下の通りである。
(比表面積、細孔容積測定方法)
試料が水分散液の場合はそのまま105℃で乾燥し、粉体の場合は一旦10質量%の水分散液としてから105℃で乾燥し、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。比表面積は、BET多点法(5点法)を使用し、細孔容積は細孔径100nm以下の全細孔容積の値(窒素相対圧0.9814)を使用した。
試料が水分散液の場合はそのまま105℃で乾燥し、粉体の場合は一旦10質量%の水分散液としてから105℃で乾燥し、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。比表面積は、BET多点法(5点法)を使用し、細孔容積は細孔径100nm以下の全細孔容積の値(窒素相対圧0.9814)を使用した。
(平均二次粒子径測定方法)
動的光散乱法によるレーザー粒度分布計(大塚電子株式会社製FPAR1000)を用いて、サンプルを十分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均二次粒子径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
(インク吸収性の評価方法)
試料のインクジェット記録シートをセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM−G820(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙推奨設定で、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、目視にて画質を次の5段階に評価した。
5点:インクのあふれがなく、色の境界部もはっきりしており、ベタ部も均一である。
4点:インクのあふれはないが、色の境界部が若干ぼやけている。
3点:インクのあふれがベタ印字部で多少目立つ。
2点:インクのあふれが全体的に目立ち、画像が部分的に破綻している。
1点:インクがほとんど吸収されず、画像が完全に破綻している。
動的光散乱法によるレーザー粒度分布計(大塚電子株式会社製FPAR1000)を用いて、サンプルを十分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均二次粒子径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
(インク吸収性の評価方法)
試料のインクジェット記録シートをセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM−G820(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙推奨設定で、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、目視にて画質を次の5段階に評価した。
5点:インクのあふれがなく、色の境界部もはっきりしており、ベタ部も均一である。
4点:インクのあふれはないが、色の境界部が若干ぼやけている。
3点:インクのあふれがベタ印字部で多少目立つ。
2点:インクのあふれが全体的に目立ち、画像が部分的に破綻している。
1点:インクがほとんど吸収されず、画像が完全に破綻している。
(高温高湿下(長期間保管促進試験)における画像の熱湿滲み評価)
L判サイズ(89mm×127mm)に切り取った各記録シートを30℃、湿度80%の環境でセイコーエプソン社製インクジェットプリンタPM−G820(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙推奨・L判縁無し設定によりJIS−X9204「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/SCID」画像識別番号:N1の画像を1サンプルにつき2枚ずつ続けて出力した。2枚目出力後、排出トレイに2枚重なって出力された記録シートをそのままアクリル板の上に移し、その上にL判サイズの厚さ5mmのアクリル板を重ねて静置した。72時間後、1枚目に出力した記録シートを取り出してISO環境中(23℃、相対湿度50%)で24時間乾燥させた。
ISO環境で1サンプルにつき1枚ずつ同設定条件で出力後、積層せずに24時間乾燥させた通常画像と共に、下記指標を基に画質を5段階に評価した。
5点:積層画像に滲みは無く、色調も通常画像とほぼ同じで鮮明である。
4点:積層画像に滲みは無い。通常画像と比較すると淡色部の色調が微妙に異なるが、不自然さはなく差違は比較しないと判別できない程度で鮮明である。
3点:積層画像に若干の滲みがある。通常画像と比較すると色調が全体的に異なる。
2点:積層画像に滲みがひどく、色調も色が沈んで不自然な印象がある。
1点:積層画像は滲みが激しく画像が破綻している。通常画像も鮮明性に欠ける。
L判サイズ(89mm×127mm)に切り取った各記録シートを30℃、湿度80%の環境でセイコーエプソン社製インクジェットプリンタPM−G820(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙推奨・L判縁無し設定によりJIS−X9204「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/SCID」画像識別番号:N1の画像を1サンプルにつき2枚ずつ続けて出力した。2枚目出力後、排出トレイに2枚重なって出力された記録シートをそのままアクリル板の上に移し、その上にL判サイズの厚さ5mmのアクリル板を重ねて静置した。72時間後、1枚目に出力した記録シートを取り出してISO環境中(23℃、相対湿度50%)で24時間乾燥させた。
ISO環境で1サンプルにつき1枚ずつ同設定条件で出力後、積層せずに24時間乾燥させた通常画像と共に、下記指標を基に画質を5段階に評価した。
5点:積層画像に滲みは無く、色調も通常画像とほぼ同じで鮮明である。
4点:積層画像に滲みは無い。通常画像と比較すると淡色部の色調が微妙に異なるが、不自然さはなく差違は比較しないと判別できない程度で鮮明である。
3点:積層画像に若干の滲みがある。通常画像と比較すると色調が全体的に異なる。
2点:積層画像に滲みがひどく、色調も色が沈んで不自然な印象がある。
1点:積層画像は滲みが激しく画像が破綻している。通常画像も鮮明性に欠ける。
(画像耐水性の評価方法)
L判サイズ(89mm×127mm)に切り取った各試料に、ISO環境でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM−G820)のEPSON写真用紙推奨設定で100%イエロー、100%シアン、100%マゼンタ、100%ブラックベタの正方形(一辺10mm)を印字し、プリンターから排出直後に、純水に3分間浸漬し、取り出して風乾後に染料の溶出状態を5段階に評価した。
5点:染料の溶出が認められない。
4点:よく見ると印字部と未印字部の境界に溶出した染料が認められる程度である。
3点:印字部と未印字部の境界に溶出した染料が認められるが程度は軽い(実用レベル
)。
2点:印字部と未印字部の境界に溶出した染料がはっきりと認められる。
1点:印字部全体に染料の溶出が激しい。
L判サイズ(89mm×127mm)に切り取った各試料に、ISO環境でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM−G820)のEPSON写真用紙推奨設定で100%イエロー、100%シアン、100%マゼンタ、100%ブラックベタの正方形(一辺10mm)を印字し、プリンターから排出直後に、純水に3分間浸漬し、取り出して風乾後に染料の溶出状態を5段階に評価した。
5点:染料の溶出が認められない。
4点:よく見ると印字部と未印字部の境界に溶出した染料が認められる程度である。
3点:印字部と未印字部の境界に溶出した染料が認められるが程度は軽い(実用レベル
)。
2点:印字部と未印字部の境界に溶出した染料がはっきりと認められる。
1点:印字部全体に染料の溶出が激しい。
(75度白紙光沢)
村上色彩技術研究所の光沢度計(GM−26 PRO/AUTO)を用い、ISO 8254−1に基づいて測定した。
村上色彩技術研究所の光沢度計(GM−26 PRO/AUTO)を用い、ISO 8254−1に基づいて測定した。
以下に支持体の製造方法を示す。
(原紙A)
CSF(JIS P−8121)が250mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが250mlまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m2、密度1.0g/cm3の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面に、合計で25ml/m2塗工して、樹脂被覆前の原紙A(透気度:1000秒)を得た。
(原紙A)
CSF(JIS P−8121)が250mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが250mlまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m2、密度1.0g/cm3の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面に、合計で25ml/m2塗工して、樹脂被覆前の原紙A(透気度:1000秒)を得た。
(樹脂被覆紙A)
この原紙Aの両面に、コロナ放電処理した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、原紙Aのフェルト面側に、塗工量25g/m2となるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2を、原紙のワイヤー側に、塗工量20g/m2となるように、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆を行った。その後、ポリオレフィン樹脂組成物1で樹脂被覆した側に再度コロナ放電処理した後、市販の写真用ゼラチン(宮城化学工業株式会社製、品名:P−487)の1%熱水溶液を乾燥質量で0.3g/m2になるように塗工し60℃で熱風乾燥して樹脂被覆紙Aを得た。
この原紙Aの両面に、コロナ放電処理した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、原紙Aのフェルト面側に、塗工量25g/m2となるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2を、原紙のワイヤー側に、塗工量20g/m2となるように、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆を行った。その後、ポリオレフィン樹脂組成物1で樹脂被覆した側に再度コロナ放電処理した後、市販の写真用ゼラチン(宮城化学工業株式会社製、品名:P−487)の1%熱水溶液を乾燥質量で0.3g/m2になるように塗工し60℃で熱風乾燥して樹脂被覆紙Aを得た。
(ポリオレフィン樹脂組成物1)
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm3、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバガイギー社製)0.03質量部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09質量部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.3質量部を混合し、ポリオレフィン樹脂組成物1とした。
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm3、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバガイギー社製)0.03質量部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09質量部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.3質量部を混合し、ポリオレフィン樹脂組成物1とした。
(ポリオレフィン樹脂組成物2)
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm3、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)35質量部を溶融混合し、ポリオレフィン樹脂組成物2とした。
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm3、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)35質量部を溶融混合し、ポリオレフィン樹脂組成物2とした。
以下に、シリカ微粒子の製造方法を示す。
(アニオン性シリカ微粒子分散液Aの調製)
イオン交換水890gに市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)110gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この分散液に高圧ホモジナイザーの一種であるマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度11%のアニオン性シリカ微粒子を含む分散液を製造した。この状態の微粒子の細孔容積は1.6ml/g、平均二次粒子径は0.25μmであった。
(アニオン性シリカ微粒子分散液Aの調製)
イオン交換水890gに市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)110gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この分散液に高圧ホモジナイザーの一種であるマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度11%のアニオン性シリカ微粒子を含む分散液を製造した。この状態の微粒子の細孔容積は1.6ml/g、平均二次粒子径は0.25μmであった。
(カチオン性シリカ微粒子分散液Aの調製)
イオン交換水880gにカチオン性樹脂であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:ユニセンスCP−103、センカ社製)の10%水溶液を89g添加攪拌し、ついで市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この混合分散液に高圧ホモジナイザーの一種であるマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度11%のカチオン性微粒子Aを含む分散液を製造した。この状態の微粒子の細孔容積は1.4ml/g、平均二次粒子径は0.31μmであった。
イオン交換水880gにカチオン性樹脂であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:ユニセンスCP−103、センカ社製)の10%水溶液を89g添加攪拌し、ついで市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この混合分散液に高圧ホモジナイザーの一種であるマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度11%のカチオン性微粒子Aを含む分散液を製造した。この状態の微粒子の細孔容積は1.4ml/g、平均二次粒子径は0.31μmであった。
(カチオン性シリカ微粒子分散液Bの調製)
イオン交換水880gに塩基性塩化アルミニウム(商品名:タキバイン♯1500、多木化学(株)製)の23.5%水溶液(Al2O3換算濃度)47gを添加攪拌し、ついで市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この混合分散液を90℃で二時間加熱後、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度12%のカチオン性微粒子Bを含む分散液を製造した。この微粒子の細孔容積は1.5ml/g、平均二次粒子径は0.37μmであった。
イオン交換水880gに塩基性塩化アルミニウム(商品名:タキバイン♯1500、多木化学(株)製)の23.5%水溶液(Al2O3換算濃度)47gを添加攪拌し、ついで市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを攪拌しながら少しずつ添加して分散した。この混合分散液を90℃で二時間加熱後、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度12%のカチオン性微粒子Bを含む分散液を製造した。この微粒子の細孔容積は1.5ml/g、平均二次粒子径は0.37μmであった。
(カチオン性シリカ微粒子分散液Cの調製)
イオン交換水880gにγ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:SH6020、東レダウコーニング社製)11gを添加攪拌し、ついで塩酸で中和してpH6.5に調整した。これに市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを分散した。この混合分散液を90℃で二時間加熱後、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度12%のカチオン性微粒子Cを含む分散液を製造した。この微粒子の細孔容積は1.4ml/g、平均二次粒子径は0.29μmであった。
イオン交換水880gにγ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:SH6020、東レダウコーニング社製)11gを添加攪拌し、ついで塩酸で中和してpH6.5に調整した。これに市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、トクヤマ社製)111gを分散した。この混合分散液を90℃で二時間加熱後、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、固形分濃度12%のカチオン性微粒子Cを含む分散液を製造した。この微粒子の細孔容積は1.4ml/g、平均二次粒子径は0.29μmであった。
以下に実施例及び比較例で用いた層状化合物の製造法を示す。
(一般式(1)に該当する層状化合物A)
Al2O3として7.12質量%の硫酸アルミニウム水溶液1638g及びMgOとして19.8質量%の塩化マグネシウム116gの混合水溶液に水を加えて全量3リットルとした。これをA液と記する。一方、99.5質量%含有する炭酸ナトリウム465g及びAl2O3として18.79質量%のアルミン酸ナトリウム462gの混合水溶液に水を加えて10リットルとした。これをB液と記する。次にオーバーフロー回収機能を有した容器2.5リットルの反応槽に水を1リットル投入し、スターラーで十分に攪拌しながら、定量ポンプを用いてA液、B液をそれぞれ124ml/min、371ml/minの速度で供給して、アルミニウムマグネシウム複合水酸化物を合成した。反応pHは約9であった。上記反応により反応槽からオーバーフローして得られた反応液3リットルをヌッチェで減圧脱水してケーキとした後、Al2O3の含有量の150倍重量に相当する水で洗浄した。この洗浄後、ケーキに水を加えて全量3リットルのアルミニウムマグネシウム複合水酸化物の均一なスラリーとした。次に該スラリーに炭酸リチウムを11.8g加え、5リットルのオートクレーブにて140℃で16時間加熱処理した。この加熱処理後、スラリーをヌッチェで減圧脱水してケーキとした後、水で十分洗浄した。この洗浄後、約110℃で1晩乾燥した。得られた白色の粉末を化学分析したところ、[Al2(Li0.75・Mg0.25)(OH)6]2(CO3)1.25・2.12H2Oの組成であった。この層状化合物Aを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.30μm、0.65μm、1.41μmに調整した。分散液のpHはいずれも7.8であった。
Al2O3として7.12質量%の硫酸アルミニウム水溶液1638g及びMgOとして19.8質量%の塩化マグネシウム116gの混合水溶液に水を加えて全量3リットルとした。これをA液と記する。一方、99.5質量%含有する炭酸ナトリウム465g及びAl2O3として18.79質量%のアルミン酸ナトリウム462gの混合水溶液に水を加えて10リットルとした。これをB液と記する。次にオーバーフロー回収機能を有した容器2.5リットルの反応槽に水を1リットル投入し、スターラーで十分に攪拌しながら、定量ポンプを用いてA液、B液をそれぞれ124ml/min、371ml/minの速度で供給して、アルミニウムマグネシウム複合水酸化物を合成した。反応pHは約9であった。上記反応により反応槽からオーバーフローして得られた反応液3リットルをヌッチェで減圧脱水してケーキとした後、Al2O3の含有量の150倍重量に相当する水で洗浄した。この洗浄後、ケーキに水を加えて全量3リットルのアルミニウムマグネシウム複合水酸化物の均一なスラリーとした。次に該スラリーに炭酸リチウムを11.8g加え、5リットルのオートクレーブにて140℃で16時間加熱処理した。この加熱処理後、スラリーをヌッチェで減圧脱水してケーキとした後、水で十分洗浄した。この洗浄後、約110℃で1晩乾燥した。得られた白色の粉末を化学分析したところ、[Al2(Li0.75・Mg0.25)(OH)6]2(CO3)1.25・2.12H2Oの組成であった。この層状化合物Aを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.30μm、0.65μm、1.41μmに調整した。分散液のpHはいずれも7.8であった。
(一般式(2)に該当する層状化合物B)
Al2O3として65質量%含有した水酸化アルミニウム粉体214gと、MgOとして42質量%含有した濃度の炭酸マグネシウム13.9gと、塩化亜鉛32.0gと、炭酸リチウム50.2gに水を加えて全量3リットルのスラリーとした。このスラリーを5リットルのオートクレーブにて150℃4時間加熱処理した。次いで、このスラリーをヌッチェで減圧濾過してケーキとした後、十分水で洗浄した。洗浄後、110℃で一晩乾燥して白色の粉末370gを得た。得られた白色の粉末を化学分析したところ、[Al2(Li0.90・Mg0.10)(ZnO)0.2(OH)6.0]2(CO3)1.10・2.0H2Oの組成であった。この層状化合物Aを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.28μmに調整した。分散液のpHは7.9であった
Al2O3として65質量%含有した水酸化アルミニウム粉体214gと、MgOとして42質量%含有した濃度の炭酸マグネシウム13.9gと、塩化亜鉛32.0gと、炭酸リチウム50.2gに水を加えて全量3リットルのスラリーとした。このスラリーを5リットルのオートクレーブにて150℃4時間加熱処理した。次いで、このスラリーをヌッチェで減圧濾過してケーキとした後、十分水で洗浄した。洗浄後、110℃で一晩乾燥して白色の粉末370gを得た。得られた白色の粉末を化学分析したところ、[Al2(Li0.90・Mg0.10)(ZnO)0.2(OH)6.0]2(CO3)1.10・2.0H2Oの組成であった。この層状化合物Aを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.28μmに調整した。分散液のpHは7.9であった
(一般式(3)に該当する層状化合物C)
水酸化ナトリウム(NaOHとして96%)25.0gと炭酸ナトリウム(Na2CO3として99.7%)7.44gとを撹拌下蒸留水2リットルに加えて、これを40℃に加温した。次いで、この水溶液に、Al/Liのモル比が2.0になるように塩化リチウム(Li2Oとして52.90%)4.33gと塩化アルミニウム(Al2O3として20.48%)49.8gを蒸留水500mlに加えて調製した水溶液を徐々に滴下した。滴下終了後のpHは10.7であった。更に撹拌下90℃の温度で20時間反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過しろ液が中性となるまで純水で十分洗浄し、組成がLiAl(OH)6(CO3)0.5・2H2Oのリチウムとアルミニウムからなる層状化合物Bを得た。この層状化合物Bを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.35μmに調整した。分散液のpHは7.7であった。
水酸化ナトリウム(NaOHとして96%)25.0gと炭酸ナトリウム(Na2CO3として99.7%)7.44gとを撹拌下蒸留水2リットルに加えて、これを40℃に加温した。次いで、この水溶液に、Al/Liのモル比が2.0になるように塩化リチウム(Li2Oとして52.90%)4.33gと塩化アルミニウム(Al2O3として20.48%)49.8gを蒸留水500mlに加えて調製した水溶液を徐々に滴下した。滴下終了後のpHは10.7であった。更に撹拌下90℃の温度で20時間反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過しろ液が中性となるまで純水で十分洗浄し、組成がLiAl(OH)6(CO3)0.5・2H2Oのリチウムとアルミニウムからなる層状化合物Bを得た。この層状化合物Bを濃度が20質量%になるように純水中に分散し、マイクロフルイタイザーによる粉砕分散処理を行って、平均粒子径が0.35μmに調整した。分散液のpHは7.7であった。
以下に、インクジェット記録シートを作成するときに用いる下塗り層塗工液と硼砂液の調整方法を示す。
(下塗り層用塗工液の調製)
市販ゲル法シリカ(商品名:サイロジェット703A、平均1次粒子径:12nm、平均2次粒子径:約300nm、グレースデビソン社製)の20%水分散液の固形分100部に対して、固形分として15部分の完全けん化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、重合度=4500、けん化度=99%以上、クラレ社製)の8%水溶液と、固形分として0.05部のアセチレングリコール系界面活性剤の0.1%水溶液(商品名:オルフィンE1004、日信化学工業社製)並びに希釈水を混合し、固形分濃度16%の下塗り層用塗工液を調製した。
(下塗り層用塗工液の調製)
市販ゲル法シリカ(商品名:サイロジェット703A、平均1次粒子径:12nm、平均2次粒子径:約300nm、グレースデビソン社製)の20%水分散液の固形分100部に対して、固形分として15部分の完全けん化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、重合度=4500、けん化度=99%以上、クラレ社製)の8%水溶液と、固形分として0.05部のアセチレングリコール系界面活性剤の0.1%水溶液(商品名:オルフィンE1004、日信化学工業社製)並びに希釈水を混合し、固形分濃度16%の下塗り層用塗工液を調製した。
(硼砂液の調製)
硼砂2%水溶液100部と前述のアセチレングリコール系界面活性剤オルフィンE1004の0.1%水溶液3部を混合攪拌して硼砂液とした。
硼砂2%水溶液100部と前述のアセチレングリコール系界面活性剤オルフィンE1004の0.1%水溶液3部を混合攪拌して硼砂液とした。
実施例1
平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液に、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比で層状化合物A:PVA145=100:8の塗工液を調製した。この塗工液を原紙Aの上に乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにバー塗工を行い、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液に、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比で層状化合物A:PVA145=100:8の塗工液を調製した。この塗工液を原紙Aの上に乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにバー塗工を行い、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
実施例2
純水160g中に、沈降法シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均一次粒子径10nm、比表面積280m2/g、平均二次粒子径4.5μm、トクヤマ社製)40gを攪拌しながら少しずつ投入して水分散液とした。この分散液に平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でシリカ:層状化合物A:PVA145=100:40:30の塗工液を調製した。この塗工液を原紙Aの上に乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにバー塗工を行い、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
純水160g中に、沈降法シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均一次粒子径10nm、比表面積280m2/g、平均二次粒子径4.5μm、トクヤマ社製)40gを攪拌しながら少しずつ投入して水分散液とした。この分散液に平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でシリカ:層状化合物A:PVA145=100:40:30の塗工液を調製した。この塗工液を原紙Aの上に乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにバー塗工を行い、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
実施例3
アニオン性シリカ微粒子Aを含む分散液と、平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。
樹脂被覆紙Aのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側に、下塗り層用塗工液を乾燥質量で塗工量が10g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥した。次いでこの面に、ロッドバーコーターで硼砂液を10g/m2塗工した後、上記の塗工液を乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
アニオン性シリカ微粒子Aを含む分散液と、平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。
樹脂被覆紙Aのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側に、下塗り層用塗工液を乾燥質量で塗工量が10g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥した。次いでこの面に、ロッドバーコーターで硼砂液を10g/m2塗工した後、上記の塗工液を乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
実施例4
平均粒子径が0.65μmの層状化合物Aの分散液を用いたこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
平均粒子径が0.65μmの層状化合物Aの分散液を用いたこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例5
平均粒子径が0.28μmの層状化合物Bの分散液を用いたこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
平均粒子径が0.28μmの層状化合物Bの分散液を用いたこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6
カチオン性シリカ微粒子分散液Aと、平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。
樹脂被覆紙Aのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側に、下塗り層用塗工液を乾燥質量で塗工量が10g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥した。次いでこの面に、ロッドバーコーターで硼砂液を10g/m2塗工した後、上記の塗工液を乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
カチオン性シリカ微粒子分散液Aと、平均粒子径を0.30μmに調整した層状化合物Aの分散液と、PVA−145の8%水溶液を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。
樹脂被覆紙Aのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側に、下塗り層用塗工液を乾燥質量で塗工量が10g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥した。次いでこの面に、ロッドバーコーターで硼砂液を10g/m2塗工した後、上記の塗工液を乾燥質量で塗工量が13g/m2となるようにダイコーターで塗工し、110℃で10分間熱風乾燥してインクジェット記録シートを得た。
実施例7
実施例6のカチオン性シリカ微粒子分散液Aに代えて、カチオン性シリカ微粒子分散液Bを用いたこと以外は実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6のカチオン性シリカ微粒子分散液Aに代えて、カチオン性シリカ微粒子分散液Bを用いたこと以外は実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例8
実施例6のカチオン性シリカ微粒子分散液Aに代えて、カチオン性シリカ微粒子分散液Cを用いたこと以外は実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6のカチオン性シリカ微粒子分散液Aに代えて、カチオン性シリカ微粒子分散液Cを用いたこと以外は実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例9
実施例3の塗工液に塩基性塩化アルミニウム(多木化学(株)製、タキバイン#1500)を配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化アルミニウム(Al2O3換算)=100:40:20:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例3の塗工液に塩基性塩化アルミニウム(多木化学(株)製、タキバイン#1500)を配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化アルミニウム(Al2O3換算)=100:40:20:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例10
実施例6の塗工液に塩基性塩化アルミニウム(多木化学(株)製、タキバイン#1500)を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化アルミニウム(Al2O3換算)=100:10:15:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6の塗工液に塩基性塩化アルミニウム(多木化学(株)製、タキバイン#1500)を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化アルミニウム(Al2O3換算)=100:10:15:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例11
実施例6の塗工液に塩基性塩化ジルコニル(組成式ZrO(OH)Cl・nH2O、第一稀元素(株)製、ジルコゾールZC−2)を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化ジルコニル(ZrO2換算)=100:10:15:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6の塗工液に塩基性塩化ジルコニル(組成式ZrO(OH)Cl・nH2O、第一稀元素(株)製、ジルコゾールZC−2)を配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物A:PVA−145:塩基性塩化ジルコニル(ZrO2換算)=100:10:15:2の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
比較例1
協和化学工業の合成ハイドロタルサイト(商品名DHT、組成式Mg6Al2(OH)16・CO3.4H2O)をマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)で粉砕分散処理し、平均粒子径が0.33μmで20%の分散液とした。この分散液のpHは9.5であった。実施例3の層状化合物Aに代えて、この合成ハイドロタルサイトを配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:合成ハイドロタルサイト:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
協和化学工業の合成ハイドロタルサイト(商品名DHT、組成式Mg6Al2(OH)16・CO3.4H2O)をマイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)で粉砕分散処理し、平均粒子径が0.33μmで20%の分散液とした。この分散液のpHは9.5であった。実施例3の層状化合物Aに代えて、この合成ハイドロタルサイトを配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:合成ハイドロタルサイト:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
比較例2
実施例3の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物C:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例3の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でアニオン性シリカ微粒子A:層状化合物C:PVA−145=100:40:20の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
比較例3
実施例6の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例6の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子A:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
比較例4
実施例7の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子B:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例7の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子B:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
比較例5
実施例8の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子C:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例8の層状化合物Aに代えて、層状化合物Cを配合し、配合比が固形分質量比でカチオン性シリカ微粒子C:層状化合物C:PVA−145=100:10:15の塗工液を調製した。この塗工液を用いて実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
実施例1〜11、及び比較例1〜5のインクジェット記録シートについて、インク吸収性、熱湿滲み、画像耐水性、及び光沢を評価し、表1に示す。
実施例1〜11が示しているように一般式(1)及び/又は一般式(2)の層状化合物を用いたインクジェット記録シートは熱湿滲みが良好である。それに対しマグネシウムとアルミニウムからなる合成ハイドロタルサイトや、一般式(3)の層状化合物を用いたインクジェット記録シートは熱湿滲みが劣る(比較例1〜5)。層状化合物以外の顔料として、カチオン性シリカ微粒子を用いた場合には、画像耐水性が向上し、さらに水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物を含む場合(実施例9〜11)には、熱湿滲みと画像耐水性が最良となった。実施例2と実施例3を比較すると、層状化合物以外の顔料として平均二次粒子径が1μm以下の微粒子を用いた場合(実施例3)には光沢も良好であり、写真印刷用として好適なものであることがわかる。
実施例1〜11が示しているように一般式(1)及び/又は一般式(2)の層状化合物を用いたインクジェット記録シートは熱湿滲みが良好である。それに対しマグネシウムとアルミニウムからなる合成ハイドロタルサイトや、一般式(3)の層状化合物を用いたインクジェット記録シートは熱湿滲みが劣る(比較例1〜5)。層状化合物以外の顔料として、カチオン性シリカ微粒子を用いた場合には、画像耐水性が向上し、さらに水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物を含む場合(実施例9〜11)には、熱湿滲みと画像耐水性が最良となった。実施例2と実施例3を比較すると、層状化合物以外の顔料として平均二次粒子径が1μm以下の微粒子を用いた場合(実施例3)には光沢も良好であり、写真印刷用として好適なものであることがわかる。
本発明はインクジェット記録シートとして、特に光沢を有する写真印刷用のインクジェット記録シートとして好適に用いられる。
Claims (8)
- 支持体上に一般式(1)及び/または一般式(2)で示される化合物と他の顔料を含む多孔質のインク受容層を設けてなる請求項1記載のインクジェット記録シート。
- 前記顔料が、平均二次粒子径1μm以下の微細顔料である請求項2記載のインクジェット記録シート。
- 一般式(1)及び/または一般式(2)の層状化合物の平均二次粒子径が1μm以下である請求項2〜3のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
- 前記顔料が、シリカ微粒子表面にカチオン性樹脂を吸着させたものである請求項2〜4のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
- 前記顔料が、シリカ微粒子表面を多価金属含有イオン、多価金属含有水酸化物、多価金属含有酸化物、カチオン性基含有シランカップリング剤の少なとも一種類で表面処理したものである請求項2〜4のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
- 水溶性ジルコニウム化合物及び水溶性アルミニウム化合物から選択される一種以上の化合物をインク受容層中に含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
- 支持体が非透気性支持体である請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006198701A JP2008023839A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | インクジェット記録シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006198701A JP2008023839A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | インクジェット記録シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008023839A true JP2008023839A (ja) | 2008-02-07 |
Family
ID=39114969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006198701A Pending JP2008023839A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | インクジェット記録シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008023839A (ja) |
-
2006
- 2006-07-20 JP JP2006198701A patent/JP2008023839A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1806236A1 (en) | Process for producing inkjet recording material | |
US8883274B2 (en) | Ink jet recording material | |
JP2009249430A (ja) | 改質無機顔料、改質無機顔料ゾルの製造方法、インクジェット記録体及びインクジェット記録体の製造方法 | |
JP2001347750A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2006001028A (ja) | インクジェット記録体 | |
JP2006021421A (ja) | インクジェット記録用基材およびインクジェット記録用紙 | |
JP4356692B2 (ja) | インクジェット記録用紙の製造方法 | |
JP2013059939A (ja) | インクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 | |
JP5210110B2 (ja) | インクジェット記録材料 | |
JP2008254430A (ja) | インクジェット記録体用重合体とそれを用いたインクジェット記録体 | |
JP2008023839A (ja) | インクジェット記録シート | |
JPWO2009011242A1 (ja) | 表面処理炭酸カルシウム及びインクジェット印刷記録媒体 | |
JP4085883B2 (ja) | インクジェット記録シート | |
JP2007237570A (ja) | 水性インク受容層形成用塗工液、及びインクジェット記録シート | |
JP2006103197A (ja) | インクジェット記録体 | |
JP3895625B2 (ja) | インクジェット用記録材料 | |
RU2589661C2 (ru) | Среда для печати | |
JP2005246912A (ja) | 無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子含有水性分散液の製造方法および前記複合微細粒子を含むインクジェット記録体 | |
JP2004276595A (ja) | インクジェット記録用紙およびインクジェット記録用紙の製造方法 | |
JP2010017888A (ja) | インクジェット記録シート | |
JP2006001219A (ja) | インクジェット記録体用支持体およびインクジェット記録体 | |
JP2010149339A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2009172915A (ja) | インクジェット用記録材料 | |
JP2008030441A (ja) | インクジェット記録シート | |
JP2006168035A (ja) | インクジェット記録用シート |