JP2008023493A - 吸着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の既存吸着材よりも、気体吸着活性が高く、特に窒素に対する吸着容量の高い銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを提供することにより、常温常圧、あるいは常温減圧下でも大容量の窒素を吸着可能とする。
【解決手段】本発明の吸着材は、少なくとも銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含む吸着材であって、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲であるものである。また、少なくとも有機一銅化合物を含むものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸着材に関するものである。
気体吸着材料は、真空保持、希ガス中の微量ガスの除去、蛍光灯中のガスの除去等様々な分野で用いられている。
半導体製造工業で用いられている希ガスは、希ガス中の窒素、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、水素、水蒸気などを除去し、高純度に精製することが望まれている。特に、その中でも安定な分子である窒素を室温付近で除去することが極めて困難である。
例えば、希ガス中の窒素、あるいは炭化水素などを除去するものとしては、ジルコニウム、バナジウム及びタングステンからなる三元合金のゲッター材がある(例えば、特許文献1参照)。
上記三元合金は、100〜600℃の温度で、微量の不純物を含む希ガスと接触させることにより、希ガスから窒素等の不純物を除去するものである。
また、窒素に対して高ガス吸着効率を備える無蒸発ゲッター合金としては、ジルコニウム、鉄、マンガン、イットリウム、ランタンと、希土類元素の1種の元素を含む合金がある(例えば、特許文献2参照)。
上記の窒素に対して高ガス吸着効率を備える無蒸発ゲッター合金は、300〜500℃の間の温度で10〜20分間活性化処理を行うことにより、水素、炭化水素、窒素等の吸着に対して、室温でも作用することができるものである。
また、低温で窒素を除去する合金としては、Ba−Li合金がある(例えば、特許文献3参照)。
Ba−Li合金は、乾燥材と一緒に、断熱ジャケット内の真空を維持するためのデバイスとして使用され、室温においても窒素等のガスに対して反応性を示す。
また、精製対象ガスから窒素などの不純物ガスを除去するものとしては、銅イオン交換したZSM−5型ゼオライトからなる吸着材がある(例えば、特許文献4参照)。
これは、従来既存のイオン交換方法によって、ZSM−5型ゼオライトに銅イオンを導入し、熱処理を行うことによって、窒素吸着活性を付与するものであり、平衡圧力10Paにおける最大窒素吸着量は、0.238mol/kg(5.33cc/g)にて報告されている。従来の既知の方法で調製された銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトでは、イオン交換率は最大でも150%程度であった。また、70%から140%の範囲において、優れた吸着性能を示すと報告され、実際に最大吸着量は121%のイオン交換率の際に得られている。
特開平6−135707号公報 特表2003−535218号公報 特表平9−512088号公報 特開2003−311148号公報
しかしながら、特許文献1に記載の吸着材では、300〜500℃で加熱し続けることが必要であり、高温での加熱であるため、エネルギーコストが大きく環境にも悪く、また、低温でのガス吸着を望む場合は使用できない。
また、特許文献2に記載の吸着材では、300〜500℃の前処理が必要であり、高温での前処理が困難な場合のガス除去、例えばプラスチック袋中のガスを常温下で除去することは困難である。
また、特許文献3に記載の吸着材では、活性化のための熱処理を必要とせず、常温での窒素吸着が可能であるが、そのため、取り扱い時に空気中の水分、窒素などと反応してしまうという問題がある。そして、一旦反応すると不可逆反応であるために、必要時までいかに活性を保持するか、取り扱い性が課題である。また、窒素吸着に対するさらなる大容量化が望まれていると共に、BaはPRTR指定物質であるため、工業的に使用するには環境や人体に対して問題のないものが望まれている。
また、特許文献4に記載の吸着材では、常温で窒素などの気体吸着が可能であるが、より大容量で気体吸着可能な吸着材が望まれている。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、気体吸着活性が高く、特に窒素に対する吸着容量の高い銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを得ることにより、常温常圧、あるいは常温減圧下でも大容量の気体を吸着可能とすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の吸着材は、少なくとも銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含む吸着材であって、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲であるものである。
また、上記構成に加えて、少なくとも有機一銅化合物を含むものである。
イオン交換率が130%以上、250%以下の範囲で、好ましくは、有機一銅化合物を含むものは、窒素およびその他気体の吸着活性サイトが増大し、大容量気体吸着が可能となる。
本発明の吸着材は、少なくとも銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含む吸着材であって、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲であることにより、従来既存の吸着材よりも、一層大容量の気体種を吸着、固定化できる。
また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、吸着量は同等以上となる。
本発明の請求項1に記載の吸着材の発明は、少なくとも銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含む吸着材であって、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲であるものである。
従来から、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトが、窒素を化学吸着可能であることは知られており、ZSM−5型ゼオライトを、塩化銅水溶液やアンミン酸銅水溶液、酢酸銅水溶液など、銅の可溶性塩の水溶液にてイオン交換し、その後、熱処理を行うことにより、銅イオンを1価へ還元し、窒素吸着活性を付与するものである。
しかし、従来の既知の方法で調製された銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトでは、イオン交換率は最大でも150%程度であり、また、70%から140%の範囲において、特に120%近傍で優れた吸着性能を示すとの報告があった。
ここで、本発明における銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率の求め方について、以下に説明する。
まず、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを過塩素酸などで溶解し、EDTA滴定やICP測定などによって、ゼオライトの単位重量あたりに含まれる銅モル量を求める。
一方で、熱重量測定を用いて加熱による重量減少率からゼオライトに含まれる水分量を計測し、水分を除いたゼオライトの真重量を求める。
上記2つのデータから、ゼオライトの真重量に対して銅が含まれている割合がわかり、銅と交換されるまえに含まれていた陽イオンに対して、イオン交換された割合を算出することができる。
ここで示すイオン交換率とは、銅交換前の陽イオンがNaとすると、2つのNaあたりにCu2+が交換されることを前提とした計算値であり、銅がCuとして交換された場合、計算上は100%を越えて算出され、完全に交換された場合は200%となるが、理論的に200%を超えることはない。
しかしながら、我々はイオン交換率が、200%以上となる現象を見出し、130%以上、250%以下の範囲において、気体の吸着容量が増大し、かつ、窒素、一酸化炭素のみならず、水素、酸素などの気体種の吸着までが可能となることを見出した。
従来、吸着量を最大とするためのイオン交換率の最適範囲は、70%から140%の範囲と考えられてきたが、本発明による最適範囲は、130%以上、250%以下であり、より望ましくは、140%以上、220%以下である。
また、本発明によるイオン交換率130%以上、250%以下の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの特徴は、常温・常圧において白褐色を帯びており、従来既存のイオン交換率70%から140%の範囲の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの淡青色とは、明らかに色が異なるものである。
これについて詳細は明らかでないが、銅がゼオライト中に導入される形態が異なるためであると考えられる。その結果、イオン交換率の最適範囲も異なっているものと考えられる。
すなわち、従来既存のイオン交換で交換される銅の形態は、通常、銅2価イオンまたは銅1価イオンである。よって、イオン交換率は、200%を越えることはない。
一方、本発明においては、銅は、有機一銅化合物イオン複合体の形態でイオン交換されていると推測される。ここでの有機一銅化合物イオン複合体とは、有機物および銅化合物の重合物やオリゴマーのイオンを指し、1つのイオン中に銅が1つであっても、複数含まれていてもよい。その結果、1つのイオン交換サイトに、1つの銅を持つイオンだけではなく、複数の銅を有するイオンが交換されるため、見かけ上、イオン交換率が200%を超えるのである。
なお、有機一銅化合物イオン複合体の形態でのイオン交換は、イオン交換溶液の適切な加熱や、マイクロ波照射、超音波による加熱などで実現できる。
本発明によるイオン交換率の増大により、吸着活性サイトが増大し、吸着量の増大および低圧領域での吸着活性の増大が得られるものである。
また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、同等以上の吸着が得られるという効果も確認された。
また、本発明の吸着材は、少なくともイオン交換率が130%以上、250%以下の範囲の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトが一部含まれているものであり、その他の吸着材や加工のためのバインダーなどが含まれていても良い。
例えば、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトに加え、水分吸着材や酸素吸着材などが、ともに存在していて吸着材を形成していてもよい。
もちろん、イオン交換率が130%以上、250%以下の範囲の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトが単独であっても、イオン交換率が130%以上、250%以下の範囲外の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトとの混合体であってもよい。
請求項2に記載の吸着材の発明は、請求項1に記載の発明において、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトと共に、少なくとも有機一銅化合物を含むことを特徴とするものである。
本発明の吸着材に含まれる有機一銅化合物を、蛍光X線、および、FT−IRにより分析した結果、蛍光X線からは、銅を主成分とする有機複合体であることが確認された。さらに、FT−IRの結果を加え、有機一銅を含む酸化物、水酸化物などの複合物であることが明らかとなった。これを本発明においては、有機一銅化合物と表記し、そのイオンを有機一銅化合物イオン複合体と示す。
本発明における有機一銅化合物のFT−IRスペクトルを図1に示す。蛍光X線の結果及び図1より、有機一銅化合物はO−H結合、C=O結合、C−H結合などを含む銅の有機複合体であると考えられる。
イオン交換溶液中に存在するこれらの有機一銅化合物が、有機一銅化合物イオン複合体の形態でイオン交換されるとともに、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトにも含まれる。この有機一銅化合物は、イオン交換率を求めるにあたって、過塩素酸などでゼオライトを溶解する際にも一緒に溶解されるため、イオン交換率を増大する要因となる。
また、この有機一銅化合物の存在自体が、何らかの形で吸着活性に寄与し、吸着量の増大を促進していると推測される。おそらくは、熱処理により有機一銅化合物自身も、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトともに還元処理がなされ、吸着活性を有していると考えられる。
また、熱処理の際、有機一銅化合物中の有機成分が、銅イオンの還元を促進する作用を有するために、吸着活性サイトである銅1価の割合を増大させ、その結果、気体吸着量の増大が得られるものである。また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、同等以上の吸着が得られるのである。
請求項3に記載の吸着材の発明は、請求項1または2に記載の発明において、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトが、少なくとも、銅イオンと、有機一銅化合物とを含むイオン交換溶液にてイオン交換されたことを特徴とするものである。
ここでの有機一銅化合物とは、銅と有機物の重合物やオリゴマーなどの有機一銅化合物であり、さらに酸化物や水酸化物を含むものであってもよい。
これらを含むイオン交換溶液にてイオン交換することにより、イオン交換率が130%以上となり、その結果、吸着量の増大および低圧領域での吸着活性の増大が得られるものである。
また、熱処理の際、有機一銅化合物中の有機成分が、銅イオンの還元を促進する作用を有するために、吸着活性サイトである銅1価の割合を増大させ、その結果、気体吸着量の増大が得られるものである。
また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、同等以上の吸着が得られるという効果も確認された。
請求項4に記載の吸着材の発明は、請求項3に記載の発明において、銅イオンが、カルボキシラトを含む化合物から生じたものであること特徴とするものである。
ここでのカルボキシラトを含む化合物とは、酢酸銅およびプロピオン酸銅、蟻酸銅などであり、これらが加熱やマイクロ波、超音波などの刺激により、有機一銅化合物イオン複合体を形成に効果的に作用し、これらを含むイオン交換溶液にてイオン交換することにより、イオン交換率が130%以上となり、その結果、吸着量の増大および低圧領域での吸着活性の増大が得られるものである。
また、これらは、熱処理時の銅1価への還元を促進する作用を有するため、銅1価サイトの割合を増大し、その結果、気体吸着量の増大が得られるものである。
請求項5に記載の吸着材の発明は、請求項4に記載の発明において、カルボキシラトを含む化合物が、酢酸銅であることを特徴とするものである。
酢酸銅は、カルボキシラトを含む化合物の中でも、そのイオンサイズが適当であることから、イオン交換効率に優れるものである。また、工業的にも安価で生産性にも優れている。
請求項6に記載の吸着材の発明は、請求項2から5のいずれか一項に記載の発明において、有機一銅化合物が、イオン交換溶液を加熱することにより形成されたことを特徴とするものである。
我々は、イオン交換溶液が、中でもカルボキシラトを含むイオン交換溶液が、加熱されることにより、有機一銅化合物イオン複合体を生成しやすく、これがイオン交換されることにより、吸着活性が増大することを見出した。
ここでの有機一銅化合物イオン複合体とは、加熱により不安定になり、分解あるいは半分解した有機物と、銅イオンとが、複雑に結合した有機物および銅化合物の重合物やオリゴマーのイオンを指し、1つのイオン中に銅が1つであっても、複数含まれていてもよい。
その結果、1つのイオン交換サイトに、1つの銅を持つイオンだけではなく、複数の銅を有するイオンが交換されるため、見かけ上、イオン交換率が増大し、200%を超えるものもできるのである。
また、加熱は、イオン交換前の溶液を予め加熱しても良いが、加熱しながらイオン交換する方が、イオン交換効率向上に優れる。
本発明による加熱によるイオン交換率の増大により、吸着活性サイトが増大し、その結果、吸着量の増大および低圧領域での吸着活性の増大が得られるものである。
また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、同等以上の吸着が得られるという効果も確認された。
請求項7に記載の吸着材の発明は、請求項6に記載の発明において、加熱温度が、50℃以上90℃以下の範囲であることを特徴とする。
加熱によるイオン交換率の増大は、50℃以上が顕著である。また、加熱が過ぎると、有機一銅化合物イオン複合体が分解し、銅水酸化物あるいは銅酸化物に変質し、イオン交換率の増大に寄与しない場合もあるため、90℃以下が好ましい。より好ましくは80℃以下である。
請求項8に記載の吸着材の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の吸着材が、窒素を吸着したことにより、前記吸着材のFT−IRスペクトルに銅1価イオンに吸着した窒素分子の3重結合伸縮振動に帰属できる2295cm−1付近のピークが現れることを特徴とするものであり、窒素を吸着した状態の請求項1から7のいずれか一項に記載の吸着材(大容量の窒素を吸着、固定化が可能となった銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライト)は、吸着材のFT−IRスペクトルに銅1価イオンに吸着した窒素分子の3重結合伸縮振動に帰属できる2295cm−1付近のピークが現れることで、確認できる。
以下、本発明の吸着材の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1における銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの製造方法を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態における、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトからなる吸着材の製造は、銅イオンと、有機一銅化合物とを含むイオン交換溶液を用いたイオン交換工程(STEP1)と、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを洗浄する洗浄工程(STEP2)と、乾燥工程(STEP3)と、銅イオンを還元するための熱処理工程(STEP4)とからなるものである。
銅イオンを交換する前の原料であるZSM−5型ゼオライトは、市販の材料を使用することができるが、シリカ対アルミナ比は、2.6以上50以下であることが望ましい。この範囲を望ましいとしたのは、シリカ対アルミナ比が50を超えると、銅イオン交換量が少なく、すなわち窒素吸着活性が減少するからであり、シリカ対アルミナ比が2.6未満のZSM−5型ゼオライトは理論的に合成が不可能であるという理由からである。
イオン交換工程(STEP1)では、銅イオンを含む溶液として、酢酸銅、プロピオン酸銅など、従来既存の化合物の水溶液が利用可能である。中でも、気体吸着量の増大を実現するためには、銅イオンがカルボキシラトを含む化合物から生じたものであることが好ましく、酢酸イオン、プロピオン酸イオンなどを生じる酢酸銅、プロピオン酸銅などが好ましい。
また、STEP1においては、有機一銅化合物イオン複合体の形態でのイオン交換を行うために、イオン交換溶液の適切な加熱や、マイクロ波照射、超音波照射などが必要である。最も工業的に容易なのは加熱によるプロセスである。
イオン交換回数や銅イオン溶液の濃度、イオン交換時間などは、特に限定するものではないが、本発明によるとイオン交換回数は、従来既存のプロセスより低減し、同等以上の吸着量が得られるものである。
イオン交換回数は、従来既存のプロセスで10〜30回を必要とした能力を発現するために必要な回数は、1回〜5回程度である。
銅イオン溶液の濃度は0.005M〜0.05Mの範囲が望ましく、より好ましくは0.01M〜0.03Mである。
イオン交換時間は、10〜60分程度である。
イオン交換温度は、50℃〜90℃が好ましい。より好ましくは50℃以上、80℃以下である。
なお、洗浄工程(STEP2)では、蒸留水を用いて洗浄することが望ましい。また、乾燥工程(STEP3)では、100℃未満の条件で乾燥することが望ましく、室温での減圧乾燥でも良い。
また、熱処理工程(STEP4)では、減圧下、望ましくは10−5Pa未満の条件下で、500℃以上800℃以下の温度で熱処理することが望ましい。熱処理時間は、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの量によるが、銅イオンを2価から1価へ還元可能な十分な時間が必要である。なお、500℃以上800℃以下の温度での熱処理が望ましいとしたのは、500℃未満では、1価への還元が不十分になる恐れがあり、800℃を超えると、ゼオライトの構造が破壊される恐れがあるという理由からである。
このようにして製造した銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトは、イオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲となり、イオン交換率の増大により、吸着活性サイトが増大し、吸着量の増大および低圧領域での吸着活性の増大が得られるものである。また、従来既存のものよりイオン交換回数が低減し、同等以上の吸着が得られるのである。
本実施の形態による、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトからなる吸着材において、イオン交換溶液の種類および濃度、イオン交換時の温度、イオン交換回数を変えてイオン交換率や気体吸着特性を評価した結果を、実施例1から実施例6に示す。気体吸着特性は、窒素の吸着量を、吸着容量を測定可能なオートソーブ1−C(カンタクロム社製)にて測定した。なお、使用したZSM−5型ゼオライトのシリカアルミナ比は14であり、熱処理は600℃にて行い、4時間保持とした。なお、比較対象は、従来の既存プロセスを経て作製された比較例1から2とした。
(実施例1)
イオン交換溶液は、0.01Mの酢酸銅水溶液を用いた。50℃で、1時間のイオン交換を5回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例1の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、135%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは12.7cc/g、10Paでは5.5cc/gであった。
比較例1と比較すると、イオン交換回数は1/6に低減しているにもかかわらず、窒素吸着量は、13200Paでは1.9cc/g、10Paでは1.9cc/gの増大が認められた。
これは、実施例1では加熱により有機一銅化合物イオン複合体の形態でのイオン交換を行うために、イオン交換率および吸着活性が高まったためと考えられる。一方、比較例1は25℃でのイオン交換であるために、銅2価としてのみのイオン交換である。
(実施例2)
イオン交換溶液は、0.03Mの酢酸銅水溶液を用いた。50℃で、1時間のイオン交換を5回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例2の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、178%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは18.6cc/g、10Paでは7.8cc/gであった。
実施例1と比較すると、イオン交換率の増大とともに飛躍的に窒素吸着量が増大していることがわかる。これは、酢酸銅濃度の増大により、一層有機一銅化合物イオン複合体の形態でのイオン交換が促進されたものと考えられる。
比較例1と比較しても、より一層の窒素吸着量の増大が確認できる。
(実施例3)
イオン交換溶液は、0.03Mの酢酸銅水溶液を用いた。70℃で、1時間のイオン交換を5回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例3の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、217%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは31.4cc/g、10Paでは9.9CC/9であった。
実施例2と比較すると、イオン交換率の増大とともに飛躍的に窒素吸着量が増大していることがわかる。これは、加熱温度の増大により、一層、有機一銅化合物イオン複合体の形態でのイオン交換が促進されたものと考えられる。特に13200Paでの吸着量の増大が著しく、有機一銅化合物を含むことによる比表面積の増大も寄与しているものと考えられる。
比較例1と比較しても、より一層の窒素吸着量の増大が確認できる。
(実施例4)
イオン交換溶液は、0.03Mの酢酸銅水溶液を用いた。70℃で、1時間のイオン交換を3回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例4の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、204%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは21.7cc/g、10Paでは7.9cc/gであった。
実施例3と比較すると、イオン交換率および窒素吸着量が低減しているが、これはイオン交換回数が少ないためである。
しかしながら、比較例1と比較すると、イオン交換回数は1/10で、窒素吸着量は2倍以上の性能を有することが確認できる。
(実施例5)
イオン交換溶液は、0.03Mの酢酸銅水溶液を用いた。90℃で、1時間のイオン交換を5回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例5の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、231%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは17.9cc/g、10Paでは5.5cc/gであった。
実施例3と比較すると、イオン交換率は増大しているが、窒素吸着量が低減している。これは、有機一銅化合物イオン複合体の一部が熱のために分解し、銅水酸化物あるいは銅酸化物に変質したためと考えられる。
しかしながら、比較例1と比較すると、イオン交換回数は1/6で、窒素吸着量に優れ、本発明の効果は確認できる。
(実施例6)
イオン交換溶液は、0.03Mのプロピオン酸銅水溶液を用いた。70℃で、1時間のイオン交換を5回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。
実施例5の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、200%であった。
この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは19.8cc/g、10Paでは7.2cc/gであった。
しかしながら、比較例1と比較すると、イオン交換回数は1/6で、窒素吸着量に優れ、本発明の効果が確認できる。
また、実施例1から実施例6の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトにおいて、窒素以外にも、酸素及び水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素と酸素との混合気体などの気体吸着が確認できた。
また、加熱以外の手段において、マイクロ波及び超音波を用いて、イオン交換溶液中に有機一銅化合物イオン複合体を生成するプロセスにおいても、同様の吸着量増大効果が確認できた。
次に本発明の吸着材に対する比較例を示す。
(比較例1)
従来既存の特許文献4のプロセスにてイオン交換するために、イオン交換溶液として0.01Mの酢酸銅水溶液を用いた。25℃で、1時間のイオン交換を30回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。熱処理は、実施の形態1と同等とした。
比較例5の銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率は、121%であった。
熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは10.8cc/g、10Paでは4.6cc/gであった。
(比較例2)
従来の既存のプロセスにてイオン交換するために、イオン交換溶液として0.01Mの塩化銅水溶液を用いた。90℃で、1時間のイオン交換を20回行うことにより、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを調製した。熱処理は、実施の形態1と同等とした。
熱処理後、25℃まで冷却し、窒素吸着特性を評価したところ、窒素吸着量は13200Paでは5.3cc/g、10Paでは2.0cc/gであった。
比較例2では、加熱したにもかかわらず、本発明における有機一銅化合物イオン複合体を生成しうる物質を含まないため、イオン交換率の増大および窒素吸着量の増大がえられなかったと考える。
以上の実施例1から実施例6と比較例1、比較例2の結果を(表1)に示す。
Figure 2008023493
(表1)から、本発明の実施例の銅交換されたZSM−5ゼオライトのイオン交換率が、比較例1および2と比べて、大きいことが分かる。それに伴い、窒素吸着量も増大している。一方で、イオン交換回数は、比較例の1/10〜1/4に低減しており、イオン交換回数が低減するにもかかわらず、吸着量が増大しているとの結果が得られている。
以上のように、本発明にかかる吸着材は、従来の既存品よりも、より大容量の気体を吸着することが可能である。窒素、酸素、水素などを吸着することが可能であるが、特に窒素に対する吸着性能が高いため、蛍光灯中のガスの除去、希ガス中の微量ガスの除去、気体分離等様々な分野で用いることができる。
本発明による吸着材に含まれる有機一銅化合物におけるFT−IRスペクトルを示す特性図 本発明の実施の形態1における銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの製造方法を示すフローチャート

Claims (8)

  1. 少なくとも銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含む吸着材であって、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトのイオン交換率が、130%以上、250%以下の範囲であることを特徴とする吸着材。
  2. 銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトと共に、少なくとも有機一銅化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着材。
  3. 銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトが、少なくとも、銅イオンと、有機一銅化合物とを含むイオン交換溶液にてイオン交換されたことを特徴とする請求項1または2に記載の吸着材。
  4. 銅イオンは、カルボキシラトを含む化合物から生じたものであること特徴とする請求項3に記載の吸着材。
  5. カルボキシラトを含む化合物が、酢酸銅であることを特徴とする請求項4に記載の吸着材。
  6. 有機一銅化合物が、イオン交換溶液を加熱することにより形成されたことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の吸着材。
  7. 加熱温度が、50℃以上90℃以下の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の吸着材。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の吸着材が、窒素を吸着したことにより、前記吸着材のFT−IRスペクトルに銅1価イオンに吸着した窒素分子の3重結合伸縮振動に帰属できる2295cm−1付近のピークが現れることを特徴とする吸着材。
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