JP2008022648A - パワーモジュールの故障検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は複数の半導体素子を使用するパワーモジュールの故障検出装置に関し、簡単な構成で半導体素子の故障検出を高精度に行うことを課題とする。
【解決手段】複数のパワー素子13,14を搭載したパワーモジュール10の故障検出装置において、前記複数のパワー素子13,14の各温度を検出する温度検出素子と、この温度検出素子により検出される複数のパワー素子13,14の相(3相モータのU,V,Wの各相)内或いは相間における各温度を比較し、この温度差に基づき故障の検出を行う構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明はパワーモジュールの故障検出装置に係り、特に複数の半導体素子を使用するパワーモジュールの故障検出装置に関する。
車載用の各種モータにおいて、高効率化及び高性能化を実現するためにインバータ化が図られている。このインバータ化に伴い、インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)等のパワーモジュールが車載されるようになってきている。
3相モータはUVWの各相を有し、パワーモジュールは各相に単数または複数のパワー半導体素子を設けた構成とされている。この各パワー半導体素子は、パワーモジュールの駆動時に発熱することが知られている。
パワー半導体素子が正常である場合には、発熱温度は既定の適正温度範囲内となる。しかしながら、パワー半導体素子に異常が発生した場合には、発熱温度は適正温度範囲を超え、モータの正常駆動が補償できなくなる。このため、各パワー半導体素子に温度検出用素子を組み込んでおき、この温度検出用素子からの出力によりパワー半導体素子の異常を検出することが行われている。
例えば、特許文献1に開示された異常検出装置では、例えばパワーモジュールに設けられる複数の温度検出用素子(ダイオード)を2組以上に分け、各組の温度検出素子を直列に接続したときの出力電圧に所定以上の差分が生じた場合には異常が発生したと判定する構成とされていた。
特開2004−080865号公報
しかしながら、従来の異常検出装置では、複数の温度検出素子を2組以上に分けると共に各組の温度検出素子を直列に接続する必要があるため、パワーモジュール及び異常検出装置の回路構成に種々の制限が生じ、設計の自由度が低下してしまうという問題点があった。また、複数の組の間で出力電圧の差分を求め、これが所定値以上である場合に異常が発生したと判定する構成であったため、一つの組を構成する複数の温度検出素子の内、どの温度検出素子に異常が発生しているのかを検出することはできないという問題点があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で半導体素子の故障検出を高精度に行いうるパワーモジュールの故障検出装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、
複数の半導体素子を搭載したパワーモジュールの故障検出装置において、
前記複数の半導体素子の各温度を検出する温度検出手段と、
前記複数の半導体素子の各温度を比較し、該複数の半導体素子間の温度差に基づき故障の検出を行う故障検出手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載のパワーモジュールの故障検出装置において、
前記パワーモジュールは、3相交流モータ用で、かつ1相あたり複数の半導体素子を有したインバータであり、
前記故障検出手段は、同相の内における前記複数の半導体素子間の温度差を検出し、該温度差が既定温度以上であると判断した際、故障検知の出力を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3記載の発明は、
請求項1記載のパワーモジュールの故障検出装置において、
前記パワーモジュールは、3相交流モータ用で、かつ1相あたり単数の半導体素子を有したインバータであり、
前記故障検出手段は、異なる相における前記半導体素子間の温度差を検出し、該温度差が既定温度以上であると判断した際、故障検知の出力を行うことを特徴とするものである。
また、請求項4記載の発明は、
請求項3記載のパワーモジュールの故障検出装置において、
更に、前記3相交流モータがモータロック中である場合は、前記故障検出手段の故障検出を中止する故障検出中止手段を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、複数の半導体素子の各温度を比較し、この複数の半導体素子間の温度差に基づき故障の検出を行うため、半導体素子に温度が駆動補償温度を超える前に半導体素子の故障を検出することが可能となり、よって早期に故障検出を行うことが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
図1は、歩本発明の一実施例であるパワーモジュールの故障検出装置(以下、単に故障検出装置という)を適用したパワーモジュール10を示している。本実施例に係るパワーモジュール10はインテリジェント・パワー・モジュール(IPM)であり、車載されて3相モータを駆動するのに用いられるものである。
このパワーモジュール10は、大略すると放熱板11、絶縁基板12、パワー素子13,14、制御基板15、及び樹脂ケース16等により構成されている。
放熱板11は熱伝導性の良好な金属板(例えば、アルミ板)よりなり、後述するパワー素子13等を搭載するための基台としても機能するものである。このパワー素子14の上部には、絶縁基板12を介してパワー素子13,14が実装されている。絶縁基板12は、例えばセラミック基板或いは樹脂基板であり、放熱板11にはんだ等を用いて固定されている。
パワー素子13,14は、パワーモジュール10に接続されたモータの駆動を行うための半導体素子である。図1に示す左側3個のパワー素子13はパワーモジュール10に接続された第1のモータを駆動するものであり、図1に示す右側1個のパワー素子14はパワーモジュール10に接続された第2のモータを駆動するものである。
3個のパワー素子13は、第1のモータ(3相モータ)のU相、V相、W相の各相ごとにそれぞれ3個並列に接続された、いわゆる1相あたり3素子づかいの構成とされている。これに対してパワー素子14は、第2のモータ(3相モータ)のU相、V相、W相の各相ごとにそれぞれ1個が設けられた、いわゆる1相あたり1素子づかいの構成とされている。
このパワー素子13,14と主入力端子18との間、パワー素子13,14と主出力端子19との間、及びパワー素子13,14と制御基板−素子中継端子23(以下、単に中継端子という)との間は、アルミワイヤ17により電気的に接続されている。
上記した絶縁基板12、パワー素子13,14等は、樹脂ケース16内に配設されている。この樹脂ケース16の上部には、放熱板11と対向するように制御基板15が配設されている。この制御基板15はパワー素子13,14の駆動制御を行うものであり、制御素子22及び各種電子部品24が実装されている。この制御基板15は、大略するとパワー素子13を制御する3素子並列駆動回路部20と、パワー素子14を制御するパワー素子駆動回路部21とにより構成されている。
また、本実施例に係るパワーモジュール10は、パワー素子13,14が実装された絶縁基板12と,制御素子22が実装された制御基板15とを積層構造とすることにより、装置の小型化を図っている。このため、パワー素子13,14と制御基板15を電気的に接続する手段として中継端子23を用いている。この中継端子23は導電性金属よりなる柱状の電極であり、これによりパワー素子13,14と制御基板15は電気的に接続される。
ところで、前記したようにパワーモジュール10を構成するパワー素子13,14は、モータ制御時にパワーモジュールの駆動時に発熱することが知られている。パワー半導体素子13,14が正常である場合には、発熱温度は既定の適正温度範囲内となる(以下の説明では、この適正温度範囲を通常使用領域ともいう)。
しかしながら、パワー半導体素子に異常が発生した場合には、発熱温度は通常使用領域を超えてモータの駆動を補償できなくなる。このため、本実施例に係るパワーモジュール10においても、各パワー半導体素子13,14に温度検出用素子(例えば、ダイオード等)を組み込んでおき、この温度検出用素子からの出力によりパワー素子13,14の異常を検出する構成としている。このパワー素子13,14の異常検出は、制御基板15に配設された制御素子22により行われる。
次に、本実施例におけるパワー素子13,14の異常検出の原理について、図2を参照して説明する。同図はパワー素子の温度特性を示す図であり、横軸は時間を示し、縦軸はパワー素子の温度を示している。また、閾値となる温度Tkよりも低い温度はパワー素子が正常に駆動する通常使用領域であり、この閾値温度Tkを超えた場合にはパワー素子が破壊するおそれがある素子破壊領域である。
また、同図において実線で示す特性は、パワー素子が正常である場合の温度特性推移(正常素子温度推移という)であり、同図において破線で示す特性は、パワー素子が異常である場合の温度特性推移(異常素子温度推移という)である。
いま、パワー素子に故障が発生しているとし、当該パワー素子に併設された温度検出素子の出力のみから検出しようとした場合、温度推移は図中破線で示す異常素子温度推移となり、パワー素子に異常はこの温度が閾値温度Tkを超えた時点(時刻t3)で始めて検出されることとなる。
これに対して本実施例では、複数のパワー素子の各温度を比較し、この複数のパワー素子間の温度差に基づき故障の検出を行うことを特徴としている。これについて、具体的に説明する。
いま、2つのパワー素子が時刻t0で同時に駆動を開始し、その内の一方のパワー素子が時刻t1で故障したとする。この場合、故障したパワー素子は、正常なパワー素子に比べて発熱量が高くなり、よって異常素子温度推移と正常素子温度推移とは異なったものとなる。即ち、異常素子温度推移は、正常素子温度推移よりも全体に高い特性を取ることとなる。この異常素子温度と正常素子温度との差は、故障後の時間の経過に伴い増加する。
よって、複数のパワー素子の各温度を比較した際、両者間に温度差が発生し、その温度差が大きくなった場合、いずれかのパワー素子に故障が発生したと判断することができる。本実施例では、この温度差が既定温度Tmax(以下、過熱検知閾値Tmaxという)以上である場合、パワー素子に故障が発生していると判定する構成としている。尚、この過熱検知閾値Tmaxは、実験等により得られる値である。
上記のようにしてパワー素子の故障検出を行うことにより、個々のパワー素子ごとに異常検出を行っていた場合には、時刻t3で始めて故障検出が行われるのに対し、本実施例ではこれよりも早い時刻t2(t2<t3)で故障検出を行うことができる。よって、本実施例に係る故障検出処理を行うことにより、早期に異常検出を行うことが可能となる。
上記原理に基づき、図1に示したパワー素子13,14の故障検出の具体的処理について説明する。前記したように、3素子並列駆動回路部20はモータのU相、V相、W相の各相に対して3個のパワー素子13が設けられた3素子づかいの構成とされている。このように、各相に複数(3個)のパワー素子13が設けられた構成では、この3個のパワー素子13の間における素子間の温度差を検出し、この温度差が過熱検知閾値Tmaxである場合には、3個のいずれかのパワー素子13に異常が検出されていると判定する。
この際、3個のパワー素子13を13A〜13Cとした場合、パワー素子13Aとパワー素子13Bとの温度差、パワー素子13Bとパワー素子13Cとの温度差、パワー素子13Cとパワー素子13Aとの温度差のそれぞれに基づき異常検出を行うため、パワー素子13A〜13Cのいずれが故障しているのかも容易に判断することができる。
これに対し、3素子並列駆動回路部21はモータのU相、V相、W相の各相に対して1個のパワー素子13が設けられた1素子づかいの構成とされている。このように、各相に単数のパワー素子14が設けられた構成では、U相、V相、W相の各相間における素子間の温度差を検出し、この温度差が過熱検知閾値Tmaxである場合には、各相のいずれかのパワー素子14に異常が検出されていると判定する。この際、各相間の温度差を検出する構成であっても、上記と同様の理由により、各相のいずれのパワー素子14に故障しているのかを容易に判定することができる。
図3は、故障検出処理の一例を示すフローチャートである。この故障検出処理は、制御基板15に設けられた制御素子22において実施される。
同図に示す処理が起動すると、先ず制御素子22はステップ10(図ではステップをSと略称している)において、これから故障検出を実施しようとするパワー素子が、1相あたり1個づかいであるかどうかを判定する。ステップ10で、これから故障検出するのがパワー素子13であり、よって1相あたり1個づかいでないと判断された場合、処理はステップ12に進み、故障検出モードを相内素子温度比較モードとする。
故障検出モードが相内素子温度比較モードとなると、ステップ14において、制御素子22は1相に配設されている複数(本実施例ではn=3)のパワー素子13に併設されている温度検出素子より温度T1〜Tnを検出する。
続くステップ16では、ステップ14で検出された1相内の各パワー素子13の温度より、各パワー素子13間の各温度差を演算する。本実施例のように、1相あたり3個づかいである場合には、3つの温度差が演算される。
このように各温度差が演算されると、続くステップ16では、各温度差が過熱検知閾値Tmax以上であるかどうかが判定される。そして、各温度差が過熱検知閾値Tmax未満であると判定された場合、処理はステップ14に戻り、以後ステップ14とステップ16の処理を繰り返す。一方、ステップ16において、温度差が過熱検知閾値Tmax以上であると判定された場合、制御素子22はステップ18においてパワー素子13に故障が発生していることを出力する(この出力を過熱FAIL出力という)。
これに対し、ステップ10において、これから故障検出するのがパワー素子14であり、よって1相あたり1個づかいであると判断された場合、処理はステップ20に進み、故障検出モードを相間素子温度比較モードとする。
故障検出モードが相間素子温度比較モードとなると、ステップ22において、制御素子22は複数相(本実施例ではU,V,Wの3相)のそれぞれのパワー素子14に併設されている温度検出素子より温度T1〜Tn(本実施例ではn=6)を検出する。即ち、本実施例では、温度T1はU相に対応するパワー素子14の温度であり、T2はV相に対応するパワー素子14の温度であり、T3はW相に対応するパワー素子14の温度である。
続くステップ24では、ステップ22で検出された各相間の各パワー素子14の温度より、各相間におけるパワー素子14の各温度差を演算する。本実施例のように、相がU,V,Wの3相である場合には、3つの温度差が演算される。
このように各温度差が演算されると、続くステップ24では、各温度差が過熱検知閾値Tmax以上であるかどうかが判定される。そして、各温度差が過熱検知閾値Tmax未満であると判定された場合、処理はステップ22に戻る。
一方、ステップ16において、温度差が過熱検知閾値Tmax以上であると判定された場合、処理はステップ26に進み、モータがロック中であるかどうかが判断される。ここで、モータがロック中であるとは、モータ自体には電力供給が行われて回転しようとしているが、これが何らかの外力により回転が規制されて回転できない状態をいう。
このモータロック状態では、モータに接続されたパワーモジュール10内のパワー素子14は、故障が生じていなくても過熱する。このため、ステップ26では、現在パワーモジュール10に接続されたモータがロック中であると判断(NOの判断)した場合には、ステップ24の判定は信頼性がないとして処理をステップ22に戻す構成とした。これにより、モータロックによるパワー素子14の過熱を故障よる過熱と誤判定することを防止でき、よって過熱検知処理の精度及び信頼性を高めることができる。
一方、ステップ26でモータがモータロック状態ではないと判断されると、制御素子22はステップ18においてパワー素子13に故障が発生していることを出力する(この出力を過熱FAIL出力という)。
上記のように、本実施例による故障検出処理によれば、相内或いは相間の複数のパワー素子13,14の温度差に基づき故障の検出を行うため、パワー素子13,14が過熱検知閾値Tmax(駆動補償温度)を超える前にパワー素子13,14の故障を検出することが可能となり、よって早期に故障検出を行うことが可能となる。
また、複数のパワー素子を2組以上に分けて各パワー素子を直列に接続しなければならない従来の異常検出装置に比べ、回路構成の簡単化を図ることができ、よって設計の自由度を高めることができる。更に、簡単な構成で、故障が発生しているパワー素子13,14を特定することができ、よって故障したパワー素子13,14のメンテナンスを容易に行うことができる。
図1は、本発明の一実施例である故障検出装置を適用したパワーモジュールの断面図である。 図2は、本発明に係る故障検出装置の原理を説明するための図である。 図3は、本発明の一実施例である故障検出装置の故障検出処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 パワーモジュール
11 放熱板
12 絶縁基板
13,14 パワー素子
15 制御基板
16 樹脂ケース
20 3素子並列駆動回路部
21 パワー素子駆動回路部
22 制御素子
23 中継端子

Claims (4)

  1. 複数の半導体素子を搭載したパワーモジュールの故障検出装置において、
    前記複数の半導体素子の各温度を検出する温度検出手段と、
    前記複数の半導体素子の各温度を比較し、該複数の半導体素子間の温度差に基づき故障の検出を行う故障検出手段とを有することを特徴とするパワーモジュールの故障検出装置。
  2. 前記パワーモジュールは、3相交流モータ用で、かつ1相あたり複数の半導体素子を有したインバータであり、
    前記故障検出手段は、同相の内における前記複数の半導体素子間の温度差を検出し、該温度差が既定温度以上であると判断した際、故障検知の出力を行うことを特徴とする請求項1記載のパワーモジュールの故障検出装置。
  3. 前記パワーモジュールは、3相交流モータ用で、かつ1相あたり単数の半導体素子を有したインバータであり、
    前記故障検出手段は、異なる相における前記半導体素子間の温度差を検出し、該温度差が既定温度以上であると判断した際、故障検知の出力を行うことを特徴とする請求項1記載のパワーモジュールの故障検出装置。
  4. 更に、前記3相交流モータがモータロック中である場合は、前記故障検出手段の故障検出を中止する故障検出中止手段を有することを特徴とする請求項3記載のパワーモジュールの故障検出装置。
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