JP2008021479A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく、燃料電池内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定することである。
【解決手段】燃料電池スタック12に空気を供給するエアコンプレッサ14と、燃料電池スタック12の燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧モニタ60とを設ける。制御部62は、エアコンプレッサ14の作動後、測定された燃料電池セル積層体の電圧が燃料電池スタック12内の目標残留水量に対応する目標電圧以上に達したことを条件に、エアコンプレッサ14の作動を停止させる手段を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部とを備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池スタックは、例えばアノード側電極、電解質膜およびカソード側電極から成る膜−電極アセンブリ(MEA)とセパレータとを1組の燃料電池セルとして、これを複数組積層した燃料電池セル積層体により構成している。すなわち、各燃料電池セルは、高分子イオン交換膜から成る電解質膜の一方の面にアノード側電極を、他方の面にカソード側電極を、それぞれ配置して、さらに両側にセパレータを設けることにより構成している。そして、このような燃料電池セルを複数組積層した燃料電池セル積層体とし、さらに集電板、絶縁板およびエンドプレートで狭持することにより、高電圧を発生する燃料電池スタックを構成する。
このような燃料電池では、アノード側電極に燃料ガス、例えば水素を含むガスを供給すると共に、カソード側電極に、酸化ガス、例えば空気を供給する。これにより、燃料ガスおよび酸化ガスが電池反応に供されて、起電力を発生し、カソード側電極では、水が生成される。
従来から、特許文献1、特許文献2に記載されているように、燃料電池においては、カソード側電極に水が存在するため、燃料電池を氷点下で始動しようとした場合に、燃料電池内の水分が凍結しやすく、燃料電池内で電気化学反応が行われにくいといった問題があることが知られている。すなわち、燃料電池内に残留する水分が凍結してしまうと、燃料電池セル内で酸化ガス不足や水素不足が生じ、燃料電池が発電不能となり能力を発揮できない。また、水分の凍結により流路の一部で体積膨張が生じて、水分の存在箇所を破壊し、耐久性を著しく悪化させる可能性もある。
これに対して、特許文献1、特許文献2に記載された燃料電池システムの場合、燃料電池の内部のカソード側電極側の酸化ガス流路中の水分を掃気する掃気ガス供給手段を設けている。また、燃料電池の発電停止時において、燃料電池内の残留水分が過剰である場合に、ガス流路内の残留水分を、加湿されていない空気により外部に排出するようにしている。
また、特許文献1、特許文献2に記載された燃料電池システムの場合には、燃料電池内部の残留水量を推定するために、燃料電池に供給する酸化ガスの、燃料電池の入口側の圧力を検出する入口圧力センサと、出口側の圧力を検出する出口圧力センサとを備えている。そして、入口圧力センサにより検出された入口圧力値PA、および出口圧力センサにより検出された出口圧力値PBの間の入口出口圧力差Pdif(=PA−PB)が所定の圧力差Pdif’以下(Pdif≦Pdif’)になっているか否かの判定を行っている。すなわち、燃料電池セルを構成する酸化ガス流路内の残留水が多い場合に入口出口圧力差Pdifは大きな値となり、残留水が少なくなるに従って入口出口圧力差Pdifは小さな値になる。そして、入口出口圧力差Pdifが所定の圧力差Pdif’を超える場合に、酸化ガス流路内の残留水が過剰であると推定し、乾燥空気による掃気処理(パージ)を行う。これに対して、入口出口圧力差Pdifが所定の圧力差Pdif’以下である場合には、酸化ガス流路内に水が残留していないと推定し、掃気処理をしない。
特開2005−209634号公報 特開2005−209635号公報 特開2005−302304号公報 特開2003−297399号公報
上記のような特許文献1、特許文献2に記載された燃料電池システムの場合、酸化ガスの入口圧力値PAと出口圧力値PBとの間の入口出口圧力差Pdifを求めることにより、酸化ガス流路内の残留水が過剰か否かを推定している。このような燃料電池システムの場合、残留水量を精度よく推定できれば、燃料電池の内部を掃気する時間を最適化できる可能性はある。ただし、このような燃料電池システムで、残留水量の推定の精度を高くすることは難しい。すなわち、ガスが流れるガス経路中には水蒸気が含まれる場合があるため、酸化ガスの入口圧力値PAと出口圧力値PBとには、燃料電池の入口側と出口側とのそれぞれのガス経路中での水蒸気量が大きく関係してしまう。このため、入口出口圧力差Pdifも、燃料電池の入口側のガス中と、出口側のガス中とでそれぞれどれだけの量、水蒸気が存在しているかで大きく変化する。さらに、入口出口圧力差Pdifは、燃料電池の温度によっても変化する。したがって、入口出口圧力差Pdifを測定することでは、燃料電池内の残留水の量を精度よく推定すること、言い換えれば、残留水量の推定誤差を十分に小さくすることは難しい。残留水量の推定誤差を十分に小さくできない場合、燃料電池の内部を掃気する時間を最適化することが難しくなるだけでなく、氷点下において燃料電池を良好に再起動させることも難しくなる。
一方、本発明者は、燃料電池内部の残留水量が少なくなるにしたがって、燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体の、発電しない状態(いわゆる開回路状態)での電圧がある時点まで上昇する関係があると知見した。また、このことから、燃料電池内部の残留水量が少なくなると、ある時点まで、複数の燃料電池セルの間の電圧差である燃料電池セル間電圧差が上昇する関係があることも本発明者が知見した。したがって、本発明者は、燃料電池セル積層体の電圧または燃料電池セル間電圧差を測定することにより、燃料電池内部の残留水量を精度よく推定できると考えるに至った。
本発明は、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく燃料電池内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定して、燃料電池の内部を掃気する時間を最適化でき、しかも氷点下でも燃料電池を良好に再起動させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧測定手段と、燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、制御部と、を備え、制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した電圧値が所定値以上であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システムである。
また、本発明に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、複数の燃料電池セルの電圧を測定する電圧測定手段と、燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、制御部と、を備え、制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した複数の燃料電池セルの2個の燃料電池セルの電圧値の間の差である燃料電池セル間電圧差が所定値以上であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システムである。
また、本発明に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧測定手段と、燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、制御部と、を備え、前記制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した電圧値の時間変化率が所定値以下、例えば0以下であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システムである。
本発明に係る燃料電池システムの場合、掃気ガス供給部により燃料電池内に掃気ガスを供給させた後、燃料電池セル積層体の電圧の測定値または燃料電池セル間電圧差が所定値以上となること、または燃料電池セル積層体の電圧値の時間変化率が所定値以下となることを条件として掃気ガス供給部の作動を停止させるので、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく燃料電池内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。このため、燃料電池の内部を掃気する時間を最適化でき、しかも氷点下でも燃料電池を良好に再起動させることができる。すなわち、本発明によれば、上記のように燃料電池内部の残留水量が少なくなると、燃料電池セル積層体の電圧および燃料電池セル間電圧差がある時点まで上昇し、また、電圧値の時間変化率が減少するという関係を利用して燃料電池内の残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。
一方、燃料電池の電解質膜の膜抵抗値を測定することにより残留水量を推定することも従来から考えられているが、この場合には、抵抗測定のために燃料が消費される。これに対して、電圧測定には燃料の消費が少ない。このため、本発明によれば、燃料消費を少なくできる。また、燃料消費が許容できる場合には、本発明において、膜抵抗値の抵抗測定手段を付加することにより、残留水量の推定の精度をより向上させることもできる。
なお、特許文献3には、燃料電池スタックの燃料ガス排出側に水素循環流路を設けて、燃料電池スタックで消費されなかった水素を燃料ガス供給経路に戻すようにした燃料電池システムが記載されている。また、運転時に燃料電池スタック内に不純物の濃度が高くなったり、水が詰まった場合に燃料電池セルの電圧が低下することから、燃料電池セル電圧を監視して、燃料電池セル電圧が所定値以上低下した場合に燃料ガス排出側に設けたパージ弁を開放して水素および不純物を外部に排出するようにしている。このような特許文献3に記載された燃料電池システムは、本発明の場合と異なり、燃料電池セル積層体の電圧の測定値または燃料電池セル間電圧差が所定値以上となること、または、電圧値の時間変化率が所定値以下となることを条件として掃気ガス供給部の作動を停止させることは考慮されていない。また、特許文献3に記載された燃料電池システムは、本発明の場合と異なり、燃料電池の内部を掃気する時間を最適化することも考慮されていない。
また、特許文献4には、燃料電池スタックの燃料ガス供給側に加湿器と加湿器を迂回するバイパス経路を設けて、加湿器バイパス弁により燃料ガスが加湿器とバイパス経路とのいずれを通過するかを選択するようにした燃料電池システムが記載されている。また、燃料電池の停止シーケンスを開始した場合に、燃料ガスを、バイパス経路を通過させたドライ水素として、燃料電池スタックに供給し、燃料電池の発電電圧の測定値が規定値以下となったことを条件にドライ水素の供給を停止している。このような特許文献4に記載された発明は、ドライ水素の供給を停止する条件を、本発明の場合と異なり、電圧の測定値が規定値以下となることとしているため、供給停止の制御の条件が全く異なる。このような特許文献4に記載された燃料電池システムの場合、後で詳しく説明するように燃料電池スタック内の水量が減少しすぎて電極および電解質膜が過度に乾燥する可能性がある。
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図4は、第1の発明の実施の形態を示している。図1は、本実施の形態の略構成図である。
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12を有する。この燃料電池スタック12は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池セル積層体とすると共に、燃料電池セル積層体の積層方向両端部に、集電板と、エンドプレートとを設けている。そして、燃料電池セル積層体と集電板とエンドプレートとをタイロッド、ナット等で締め付けている。なお、集電板とエンドプレートとの間に絶縁板を設けることもできる。
各燃料電池セルの詳細図は省略するが、例えば、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とにより狭持して成る膜−アセンブリと、その両側のセパレータとを備えたものとする。また、アノード側電極には燃料ガスである水素ガスを供給可能とし、カソード側電極には酸化ガスである空気を供給可能としている。そして、アノード側電極で触媒反応により発生した水素イオンを、電解質膜を介してカソード側電極まで移動させ、カソード側電極で酸素と電池化学反応を起こさせることにより、水を生成する。アノード側電極からカソード側電極へ外部回路を通じて電子を移動させることにより起電力を発生する。
また、燃料電池スタック12の内部で、セパレータの近くには、冷媒流路を設けている。この冷媒流路に冷媒である冷却水を流すことにより、燃料電池スタック12の発電に伴う発熱により温度が上昇しても、その温度が過度に上昇しないようにしている。
また、酸化ガスである空気は、掃気ガス供給部でもあるエアコンプレッサ14により加圧され、加湿器16で加湿された後、燃料電池スタック12のカソード側電極側の酸化ガス流路に供給される。また、空気を加湿器16を通過させてから燃料電池スタック12に供給する本経路18とは別に、この本経路18と並行にバイパス経路20を設けている。このバイパス経路20を通過する空気は、加湿器16を通過せずに、燃料電池スタック12に供給される。バイパス経路20の途中には加湿器バイパス弁21を設けている。
なお、加湿器バイパス弁と共に、図1に破線22a、22bで示す位置に弁を設け、加湿器バイパス弁21と弁22a(または22b)との開度を制御することもできる。また、加湿器バイパス弁を設けずに、図1に点イまたは点ロで示す位置に三方弁を設け、この三方弁により互いに通じさせる流路を選択するようにすることもできる。
燃料電池スタック12に供給され、各燃料電池セルで電池化学反応に供された後の空気は、燃料電池スタック12から排出され、加湿器16を通過した後、圧力制御弁23を介して大気に放出される。圧力制御弁23は、燃料電池スタック12に送られる空気の供給圧力が、燃料電池スタック12の運転状態に応じた適切な圧力値になるように制御される。
加湿器16は、燃料電池スタック12から排出された後の空気から得た水分を、燃料電池スタック12に供給される前の空気に与えて、加湿する役目を果たす。例えば、加湿器16は、多数の中空糸膜の内側と外側とに水分含有量の異なるガスが供給された場合に、水分含有量の多いガス中の水分が中空糸膜を通過するようにして、水分含有量の少ないガスに水分を与える。
また、燃料ガスである水素ガスは、燃料ガス供給装置である高圧水素タンク等の図示しない水素ガス供給装置から圧力制御弁である燃料制御弁24を介して燃料電池スタック12に供給される。燃料電池スタック12のアノード側電極側の燃料ガス流路に供給され、電池化学反応に供された後の水素ガスは、燃料電池スタック12から排出された後、気液分離機26で水分を除去されてから、循環路28を通り、水素ガス供給装置から供給された水素ガスと合流して、再び燃料電池スタック12に供給される。燃料電池スタック12に供給される水素ガスは、循環路28中に設けられた水素ポンプ30により昇圧される。
また、燃料電池スタック12を冷却するための冷媒である冷却水は、冷却水経路32を流れる。冷却水経路32は、燃料電池スタック12の冷却水入口34と冷却水出口36とに接続されている。この冷却水経路32は、冷却水出口36と分岐部38とを結ぶ冷却水送り出し経路40と、この分岐部38から分岐した本経路42およびバイパス経路44とを備える。また、本経路42とバイパス経路44との合流部に三方弁46を設け、三方弁46と冷却水ポンプ48とを中間経路50により結んでいる。さらに、冷却水ポンプ48と、燃料電池スタック12の冷却水入口34とを、冷却水送り込み経路52により通じさせている。冷却水ポンプ48は、吐出流量を変化させることができる。
冷却水は、冷却水ポンプ48により昇圧され燃料電池スタック12に供給された後で、燃料電池スタック12の内部冷却水流路54を流れることにより、燃料電池スタック12が発電運転により温度上昇している場合に燃料電池スタック12を冷却する。燃料電池スタック12を通過した冷却水は本経路42の途中に設けられたラジエータ56に送られて、温度上昇時には放熱される。ラジエータ56通過後の冷却水は三方弁46を通過後、再び冷却水ポンプ48に送られる。一方、バイパス経路44を流れる冷却水は、ラジエータ56を通過せずに三方弁46に送られる。
また、冷却水ポンプ48から送り出された冷却水の一部はイオン交換樹脂58を通過後、本経路42とバイパス経路44との分岐部38に送られる。イオン交換樹脂58を通過後の冷却水は、金属イオン等のイオンが取り除かれる。
一方、燃料電池スタック12に電圧モニタ60を接続して、燃料電池セル積層体の電圧を測定している。電圧の測定値を表す信号である電圧信号は制御部(ECU)62に入力される。制御部62は、燃料電池スタック12の内部の残留水量を推定する残留水量推定手段と、エアコンプレッサ14の回転数および回転時間である作動状態を制御するエアコンプレッサ制御手段、すなわち掃気エア供給制御手段とを有する。また、制御部62には、燃料電池システムのイグニッションスイッチとして機能する図示しない起動スイッチが接続されており、起動スイッチからON状態に対応する発電開始信号を受け取ることを条件に、発電開始処理がされ、OFF状態に対応する発電停止信号を受け取ることを条件に、発電停止処理がされる。
また、制御部62は、起動スイッチからの信号、電圧モニタ60からの電圧信号、冷却水入口付近または冷却水出口付近に設けた温度センサ(図示せず)からの検出信号等の、入力信号を与えられることに対応して、エアコンプレッサ14の作動状態、加湿器バイパス弁21、圧力制御弁23、燃料制御弁24、三方弁46等の制御を行う。
制御部62は、上記のように、燃料電池スタック12の内部の残留水量推定手段を有するが、これは、電圧モニタ60により測定した燃料電池スタック12の燃料電池セル積層体の電圧値から、燃料電池スタック12の内部の残留水量を推定するものである。これについて図2を用いて説明する。図2は、燃料電池の燃料供給停止後に、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12に掃気ガスとして空気を供給した場合における、燃料電池スタック12(図1)内の残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との関係の、本発明者が知見した1例を示している。
図2は、横軸により時間を表しており、縦軸により残留水量と燃料電池セル積層体の電圧とを表している。また、曲線aが残留水量と時間との関係を、曲線bが電圧と時間との関係を表している。なお、燃料電池スタック12への空気の供給流量は一定としている。図2から分かるように、燃料電池スタック12に空気の供給を行うにしたがって、残留水量(曲線a)は徐々に減少するのに対して、電圧(曲線b)は、時間の経過にしたがって徐々に上昇した後、ある時点を境に発電効率の低下により徐々に減少する。
本実施の形態はこのような知見に基づいて発明したもので、残留水量が低下するのにしたがって電圧が上昇する場合の関係を利用している。すなわち、図2に矢印イで示す範囲の関係を利用している。これに対して、上記の特許文献4に記載された燃料電池システムの場合は、燃料電池スタック内の残留水量が低下するのにしたがって燃料電池の電圧が低下する、図2に矢印ロで示す範囲の関係を利用したもので、本発明とは基本となる着眼点が大きく異なる。また、特許文献4に記載された燃料電池システムの場合、残留水量が図2の矢印ロで示す範囲で、規定値以下となった場合にドライ水素の燃料電池スタックへの供給を停止している。このような特許文献4に記載された燃料電池システムの場合、残留水量が減少しすぎてしまう可能性がある。
本実施の形態は、従来着眼されていなかった残留水量が減少するのにしたがって燃料電池の電圧が上昇するとの関係を利用して、制御部62の残留水量推定手段が、燃料電池セル積層体の測定電圧から燃料電池スタック12内の残留水量を推定する。そして、制御部62のエアコンプレッサ制御手段は、測定電圧が目標となる残留水量に対応する目標電圧以上となるまでエアコンプレッサ14により燃料電池スタック12に空気を供給する。また、エアコンプレッサ制御手段は、測定電圧が目標電圧以上となった場合に、エアコンプレッサ14の作動を停止させる。
次に、図3に示すフローチャートと、図4に示すタイムチャートとを用いて、燃料電池の発電運転停止後の残留水の掃気方法を説明する。なお、図4では、横軸で時間を表しており、(A)で燃料電池スタック12内部の残留水量を、(B)で燃料電池スタック12の発電量を、(C)で燃料電池セル積層体の電圧を表している。まず、ステップS1(図3)で、起動スイッチが停止される(OFFになる)と、制御部62が燃料供給停止の指令を表す信号を受けて、発電停止処理が実行される。この場合、ステップS2において、水素ガス供給装置からの水素ガスの供給を制御する燃料制御弁24が閉じられ、水素ガスの新たな供給が停止され、発電が停止される(図4のt0)。
次に、ステップS3(図3)で、制御部62が、冷却水ポンプ48による冷却水の吐出流量が一定の所定流量Qcwになり、エアコンプレッサ14による燃料電池スタック12内への空気の供給流量が一定の所定流量Qcaになるように、冷却水ポンプ48とエアコンプレッサ14とを制御する。そして、燃料電池スタック12内の酸化ガス流路中に空気を供給して、掃気、すなわちパージする。この場合、エアコンプレッサ14から送り出された空気は、加湿器16を設けていないバイパス経路20を通過させても、本経路18を通過させてもよい。好ましくは、空気はバイパス経路20を通過させる。なお、この場合の冷却水の吐出流量および空気の供給流量は、それぞれ一定の所定値になるように限定するものではなく、変化させることもできる。
また、冷却水の冷却水経路32に設ける三方弁46は、冷却水がバイパス経路44を通過するように弁の位置を制御する。この理由は、必要以上に燃料電池スタック12を冷却することを防止して、燃料電池スタック12の温度をある程度高く保つためである。燃料電池スタック12が過度に冷却されてしまうと、燃料電池スタック12内からの水分の持ち去りの時間が長くなり、掃気時間が過度に長くなってしまう可能性がある。冷却水をバイパス経路44に通過させることにより、このような不都合をなくせる。
次に、ステップS4で、燃料電池スタック12中における残留水量が目標残留水量であるか否かの判定処理を行う。この判定処理は、燃料電池システム10の発電運転停止時に残留水を少なくする、またはほぼなくして、再起動時における起動性を良好に確保するために行う。すなわち、氷点下の環境でも、迅速な始動を行わせやすくできる。そして、残留水量が目標残留推量に達した場合には、冷却水の供給および酸化ガス流路への空気の供給を停止し、掃気、すなわちパージを停止する。
すなわち、上記の図2を用いて説明したように、燃料電池スタック12内の残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との間に相関関係がある、すなわち、残留水量が少なくなるにしたがって電圧が上昇することが分かっているので、電圧を測定することにより残留水量が目標残留水量になるように制御できる。より具体的には、上記のステップS4で、図4(A)(C)に示すように、目標残留水量に対応する目標電圧値Vtを予め求めておき、エアコンプレッサ制御手段が、測定される電圧値Vが目標電圧値Vt以上に達したか否かを判定する。エアコンプレッサ制御手段は、電圧値Vが目標電圧値Vt以上に達していなければ、目標残留水量に達していない、すなわち残留水が多いと判定して、空気の供給をし続ける。これに対して、エアコンプレッサ制御手段が、電圧値Vが目標電圧値Vt以上に達したならば、目標残留水量に達したと推定して、ステップS5で、冷却水ポンプ48およびエアコンプレッサ14の作動を停止させる(図4のt1)。
このように本実施の形態によれば、発電運転停止後に、燃料電池スタック12内の残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。特に、本実施の形態の場合、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12内に空気を供給させた後、燃料電池セル積層体の電圧の測定値が所定値Vt以上となることを条件としてエアコンプレッサ14の作動を停止させるので、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく燃料電池スタック12内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。このため、燃料電池スタック12の内部を掃気する時間を最適化でき、しかも氷点下でも燃料電池を良好に再起動させることができる。
また、本実施の形態の場合には、抵抗計測機器等の抵抗計測手段が不要となり、単純な構成で低コストのシステム構成とすることができる。また、燃料制御弁24(図1)を閉じた後、掃気時に抵抗測定が不要となることから、燃料不足が生じることを有効に防止できる。特に、従来から知られている燃料電池システムにおいては、抵抗計測等により燃料を消費すると、燃料電池スタックの燃料ガス出口付近で燃料不足を生じやすいが、抵抗計測を行わない本実施の形態の場合にはこのような不都合をなくせる。さらに、水素ポンプ30(図1)等の補機が燃料不足の状態で無理に駆動する等により損傷、劣化を招くような問題の発生を有効に防止できる。また、燃料不足による電解質膜の劣化を有効に防止できる。また、掃気時に燃料を消費しない、または消費するとしてもその消費量を十分に少なくできるため、燃料供給停止指令後の水素供給経路の水素圧力を所定の圧力に保ちやすくできる。
なお、燃料電池スタック12内の残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との関係が図5に示すようになることが分かっているので、目標となる残留水量に幅を持たせて目標残留水量範囲とし、燃料電池セル積層体の目標電圧値をこの目標残留水量範囲に対応する目標電圧範囲とし、制御部62により、燃料電池セル積層体の測定電圧が目標電圧範囲内にある場合にエアコンプレッサ14の作動を停止させることもできる。
[第2の発明の実施の形態]
次に、図6から図7は、第2の発明の実施の形態を示している。本実施の形態の燃料電池システム10の場合には、上記の図1から図4に示した第1の発明の実施の形態において、燃料電池スタック12の燃料電池セル積層体の電圧を測定しないで、その代わりに、燃料電池スタック12を構成するすべての燃料電池セルの電圧を測定する複数の電圧モニタを備えている。そして、制御部62が、複数の燃料電池セルの2個の燃料電池セルの電圧値の間の差である、燃料電池セル間電圧差を求め、求めた燃料電池セル間電圧差により燃料電池スタック12内の残留水量を推定し、目標となる残留水量となるようにエアコンプレッサ14の作動を制御している。
すなわち、本実施の形態においては、上記の第1の実施の形態の場合と異なり、制御部62のエアコンプレッサ制御手段が、測定した2個の燃料電池セルの電圧値の間の差である燃料電池セル間電圧差が所定値以上であることを条件に、エアコンプレッサ14の作動を停止させる。このような本実施の形態は、燃料電池スタック12内の残留水量が低下するのにしたがって燃料電池セル間電圧差が上昇する関係があるとの本発明者の知見に基づいて発明したものである。この場合の残留水量と燃料電池セル間電圧差との関係は、上記の図2に示した残留水量(曲線a)と燃料電池セル積層体の電圧(曲線b)との矢印イの範囲での関係で、図2の縦軸を倍率を変えて燃料電池セル間電圧差とし、図2の曲線bを燃料電池セル間電圧差を表す曲線としたものと同様になる。
残留水量と燃料電池セル間電圧差との関係がこのような関係になるのは、次の理由による。すなわち、上記の第1の実施の形態で説明したように、燃料電池スタック12の残留水量が少なくなるほど燃料電池セル積層体の電圧が高くなることから、残留水量が少なくなるほど、1個の燃料電池セルの電圧が高くなる関係があることが導き出される。また、1個の燃料電池セルの電圧が高いことは、2個の燃料電池セルの間で不可避に生じる電圧差である電圧ばらつきの値が大きくなることにつながる。このような理由により、2個の燃料電池セル間の電圧差が大きくなるにしたがって、残留水量が減少する関係があると考えられる。
本実施の形態は、上記の図1に示した燃料電池システム10において、燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧モニタ60を省略する代わりに、すべての燃料電池セルの電圧値を測定する複数の電圧モニタを設けている。そして、制御部62が、複数の燃料電池セルの2個の燃料電池セルの測定電圧の間の燃料電池セル間電圧差を求めている。例えば、複数の燃料電池セルの電圧値のうち、最小電圧値と最大電圧値とを選択し、最小電圧値と最大電圧値との間の差を燃料電池セル間電圧差として求める。その他の燃料電池システム10の構成は、上記の図1に示した構成と同様であるため、本実施の形態の説明ではこの図1の符号を用いて説明する。
制御部62は、燃料電池スタック12の内部の残留水量推定手段およびエアコンプレッサ14の回転数および回転時間である作動状態を制御するエアコンプレッサ制御手段を有する。このうちの残留水量推定手段は、2個の燃料電池セルの測定電圧の間の燃料電池セル間電圧差から、燃料電池スタック12の内部の残留水量を推定するものである。
そして、燃料電池の発電運転停止後の燃料電池スタック12内の残留水の掃気を行う場合に、図6に示すステップS4で、燃料電池スタック12中における残留水量が目標残留水量であるか否かの判定処理を行う。特に、本実施の形態の場合、燃料電池スタック12内の残留水量と燃料電池セル間電圧差との間に相関関係がある、すなわち、残留水量が少なくなるにしたがって燃料電池セル間電圧差が上昇することが分かっているので、図7(A)(C)に示すように、目標残留水量に対応する目標燃料電池セル間電圧差difVtを求めておき、エアコンプレッサ制御手段が測定された燃料電池セル間電圧差difVが目標燃料電池セル間電圧差difVt以上に達したか否かを判定する。エアコンプレッサ制御手段は、燃料電池セル間電圧差difVが目標燃料電池セル間電圧差difVt以上に達していなければ、目標残留水量に達していない、すなわち残留水が多いと判定して、空気の供給をし続ける。これに対して、エアコンプレッサ制御手段が、燃料電池セル間電圧差difVが目標燃料電池セル間電圧差difVt以上に達したならば、目標残留水量に達したと推定して、ステップS5で、冷却水ポンプ48およびエアコンプレッサ14の作動を停止させる。
本実施の形態の場合、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12内に空気を供給させた後、求めた燃料電池セル間電圧差が所定値difVt以上となることを条件としてエアコンプレッサ14の作動を停止させるので、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく燃料電池スタック12内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。このため、燃料電池スタック12の内部を掃気する時間を最適化でき、しかも氷点下でも燃料電池を良好に再起動させることができる。また、1個の燃料電池セルの電圧が過度に上昇すると燃料電池セルの劣化が促進される可能性があるが、本実施の形態の場合、2個の燃料電池セルの間の燃料電池セル間電圧差を小さくできるため、各燃料電池セルの電圧を小さくしやすくでき、燃料電池セルの劣化を抑えやすくできる。
その他の構成および燃料電池システム10の発電運転停止後の残留水の掃気方法は、上記の第1の実施の形態の場合と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、本実施の形態においては、燃料電池スタック12を構成するすべての燃料電池セルの電圧を測定しているが、複数の燃料電池セルで電圧を測定できれば電圧を測定する燃料電池セルの数を限定するものではない。ただし、電圧を測定する燃料電池セルの数を多くするほど残留推量の推定精度を向上できるのは勿論である。例えば、電圧を測定する燃料電池セルは、燃料電池スタック12の1個置きの燃料電池セルとしてもよい。
また、燃料電池スタック12内の残留水量と燃料電池セル間電圧差との関係は、上記の図5に示した残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との関係で、図5の縦軸を倍率を変えて燃料電池セル間電圧差としたものと同様になることが分かっている。このため、目標となる残留水量に幅を持たせて目標残留水量範囲とし、燃料電池セル間電圧差の目標電圧差をこの目標残留水量範囲に対応する目標電圧範囲とし、制御部62(図1参照)により、測定電圧に基づく燃料電池セル間電圧差が目標電圧差範囲内にある場合にエアコンプレッサ14(図1参照)の作動を停止させることもできる。
なお、本発明の別の実施の形態として、上記の図1から図4に示した第1の実施の形態において、制御部62のエアコンプレッサ制御手段により、燃料電池スタック12の燃料電池セル積層体の測定電圧の時間変化率が、目標となる所定値以下となるまでエアコンプレッサ14により燃料電池スタック12に空気を供給させ、測定電圧の時間変化率が目標所定値以下となった場合に、エアコンプレッサ14の作動を停止させることもできる。
すなわち、上記の図2に示したように、燃料電池スタック12に空気の供給を行うにしたがって、燃料電池スタック12内の残留水量(曲線a)は徐々に減少するが、電圧(曲線b)は、時間の経過にしたがって領域イで徐々に上昇した後、ある時点を堺に領域ロで徐々に減少する。したがって、残留水量がある程度まで減少した、図2の領域イと領域ロとの境界付近で、曲線bの電圧の時間変化率が正の値で減少し、0を経て、負の値となることが分かる。本実施の形態は、このような関係を利用したもので、電圧の時間変化率から残留水量を推定し、燃料電池スタック12の内部を掃気する時間を最適化する。すなわち、本実施の形態の場合には、制御部62の残留水量推定手段により、燃料電池の燃料供給停止後において、電圧の時間変化率が所定値以下(例えば0以下)の場合に、燃料電池スタック12内の残留水量が目標残留水量に達したと推定して、制御部62のエアコンプレッサ制御手段によりエアコンプレッサ14の作動を停止させる。
このような本実施の形態によれば、発電運転停止後に、燃料電池スタック12内の残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。特に、本実施の形態の場合、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12内に空気を供給させた後、燃料電池セル積層体の電圧の測定値の時間変化率が所定値以下となることを条件としてエアコンプレッサ14の作動を停止させるので、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく燃料電池スタック12内における残留水量が目標残留水量に達したことを推定できる。
その他の構成および作用については、上記の図1から図4に示した第1の実施の形態の場合と同様であるので、重複する説明ならびに図示を省略する。
また、図示は省略するが、上記の各実施の形態は、次のような構成と組み合わせることもできる。
(1) 燃料電池セルの電解質膜の膜抵抗値を測定する膜抵抗測定手段を設け、制御部62(図1参照)が、燃料電池セル積層体の電圧または燃料電池セル間電圧差が所定値以上となり、かつ、燃料電池セルの電解質膜の膜抵抗値が所定値以上となることを条件に、エアコンプレッサ14(図1参照)の作動を停止させ、燃料電池スタック12(図1参照)への空気の供給を停止させる。この構成により、燃料電池スタック12内の残留水量の推定精度を向上させることができる。すなわち、膜抵抗値が大きくなるほど残留水量が少なくなり、膜抵抗値が小さくなるほど残留水量が多くなる関係があることが分かっているので、燃料電池セル積層体の電圧または燃料電池セル間電圧差と残留水量との相関関係に、膜抵抗値と残留水量との相関関係を合わせて、残留水量の推定精度をより向上させることができる。ただし、この場合には、上記の各実施の形態の場合と異なり、膜抵抗を測定する分、燃料が消費される。
(2) 燃料電池の劣化等により燃料電池セル積層体の電圧値または燃料電池セル間電圧差と残留水量との相関関係が変わる可能性があるため、例えば、制御部62(図1参照)が、燃料電池の起動時、運転時等において、燃料電池の負荷(車両駆動用モータ)64(図1参照)や燃料電池セル積層体の電圧、温度、湿度等の環境が一定の条件で、燃料電池セル積層体の電圧とインピーダンスとの相関をとり、予め求めておいた電圧とインピーダンスとの相関関係を表す曲線を補正することもできる。そして、制御部62の残留水量推定手段により、発電停止後に測定された燃料電池セル積層体の電圧から、電圧に対応するインピーダンス、および、インピーダンスと相関がある残留水量を推定することもできる。そして、制御部62のエアコンプレッサ制御手段により、目標残留水量に対応する目標電圧以上に達した時点でエアコンプレッサ14(図1参照)の作動を停止させ、燃料電池スタック12への空気の供給を停止させる。この構成により、電圧と残留水量との相関関係の精度をより向上させ、残留水量の推定精度をより向上させることもできる。上記の一定の条件とは、例えば発電停止と同じ条件または発電停止の条件と相関がとれる条件とし、例えば運転時のアクセルオフ時で発電しない条件、またはアイドル運転時等とする。
また、本発明に関連する発明として、燃料電池セル積層体の電圧または燃料電池セル間電圧差と残留水量との関係が上記の図2または図2から推測できる関係にあることから、燃料電池の発電開始前に、燃料電池セル積層体の電圧または燃料電池セル間電圧差を測定することにより燃料電池の発電前の状態を判定することもできる。燃料電池の状態を発電前に判定できることにより、例えば、燃料電池スタック12(図1参照)内の残留水量が多い場合には、発電開始後に空気を多めに供給するように制御部62(図1参照)によりエアコンプレッサ14(図1参照)の作動を制御したり、氷点下時には発電できない旨を運転者に警告音、警告表示点灯等により知らせることもできる。
なお、本発明は、燃料電池スタックの構造を限定するものではなく、従来から知られている構造等、いろいろな構造を採用できる。
第1の発明の実施の形態の燃料電池システムの基本構成を示す図である。 発電運転停止後に一定流量で燃料電池スタックに空気を供給した場合の、残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との関係の1例を示す図である。 第1の発明の実施の形態の燃料電池システムにおいて、発電運転停止後、燃料電池スタック内の残留水を掃気する方法を説明するためのフローチャートである。 同じく残留水を掃気する場合の、冷却水供給流量と、空気の燃料電池スタックへの供給流量(エア流量)と、燃料電池スタック内部の残留水量と、発電量と、燃料電池セル積層体の電圧とを示すタイムチャートである。 残留水量と燃料電池セル積層体の電圧との関係の1例を示す図である。 第2の発明の実施の形態における、発電運転停止後、燃料電池スタック内の残留水を掃気する方法を説明するためのフローチャートである。 同じく残留水を掃気する場合の、冷却水供給流量と、空気の燃料電池スタックへの供給流量(エア流量)と、燃料電池スタック内部の残留水量と、発電量と、燃料電池セル間電圧差の電圧とを示すタイムチャートである。
符号の説明
10 燃料電池システム、12 燃料電池スタック、14 エアコンプレッサ、16 加湿器、18 本経路、20 バイパス経路、21 加湿器バイパス弁、22a、22b 弁、23 圧力制御弁、24 燃料制御弁、26 気液分離機、28 循環路、30 水素ポンプ、32 冷却水経路、34 冷却水入口、36 冷却水出口、38 分岐部、40 冷却水送り出し経路、42 本経路、44 バイパス経路、46 三方弁、48 冷却水ポンプ、50 中間経路、52 冷却水送り込み経路、54 内部冷却水流路、56 ラジエータ、58 イオン交換樹脂、60 電圧モニタ、62 制御部、64 負荷。

Claims (3)

  1. 酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、
    燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、
    燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧測定手段と、
    燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した電圧値が所定値以上であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、
    燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、
    複数の燃料電池セルの電圧を測定する電圧測定手段と、
    燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した複数の燃料電池セルの2個の燃料電池セルの電圧値の間の差である燃料電池セル間電圧差が所定値以上であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システム。
  3. 酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池セルと、
    燃料電池セルを複数積層した燃料電池セル積層体と、
    燃料電池セル積層体の電圧を測定する電圧測定手段と、
    燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、掃気ガス供給部を作動させ燃料電池セル積層体内に掃気ガスを供給させた後、電圧測定手段により測定した電圧値の時間変化率が所定値以下であることを条件に、掃気ガス供給部の作動を停止させる掃気ガス供給制御手段を有することを特徴とする燃料電池システム。

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