JP5017917B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、この燃料電池の内部の残留水分を掃気する掃気ガス供給部とを備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池スタックは、例えばアノード側電極、電解質膜およびカソード側電極から成る膜−電極アセンブリ(MEA)とセパレータとを1組の燃料電池セルとして、これを複数組積層することにより構成している。すなわち、各燃料電池セルは、高分子イオン交換膜から成る電解質膜の一方の面にアノード側電極を、他方の面にカソード側電極を、それぞれ配置して、さらに両側にセパレータを設けることにより構成している。そして、このような燃料電池セルを複数組積層し、さらに集電板、絶縁板およびエンドプレートで狭持することにより、高電圧を発生する燃料電池スタックを構成する。
このような燃料電池では、アノード側電極に燃料ガス、例えば水素を含むガスを供給すると共に、カソード側電極に、酸化ガス、例えば空気を供給する。これにより、燃料ガスおよび酸化ガスが電池反応に供されて、起電力を発生し、カソード側電極では、水が生成される。
従来から、燃料電池において、特許文献1、特許文献2に記載されているように、発電運転後に電解質膜が過剰の加湿状態になることにより電池性能が低下したり、カソード側電極側で過剰な水分が滞留して運転効率が低下すると言った問題があることが知られている。また、燃料電池を氷点下で始動しようとした場合に、燃料電池内の水分が凍結しやすく、燃料電池内で電気化学反応が行われにくいといった問題があることも知られている。
これに対して、特許文献1、2に記載された燃料電池システムの場合、燃料電池の内部のカソード側電極側の酸化ガス流路中の水分を掃気する掃気ガス供給手段を設けている。また、燃料電池の運転中、または発電停止時において、燃料電池内の残留水分が過剰である場合に、ガス流路内の残留水分を、加湿されていない空気により外部に排出するようにしている。
また、特許文献1、特許文献2に記載された燃料電池システムの場合には、燃料電池内部の残留水量を推定するために、燃料電池に供給する酸化ガスの、燃料電池の入口側の圧力を検出する入口圧力センサと、出口側の圧力を検出する出口圧力センサとを備えている。そして、入口圧力センサにより検出された入口圧力値P、および出口圧力センサにより検出された出口圧力値Pの間の入口出口圧力差Pdif(=P−P)が所定の圧力差Pdif’以下(Pdif≦Pdif’)になっているか否かの判定を行っている。入口出口圧力差Pdifは、燃料電池セルを構成する酸化ガス流路内の残留水が多い場合に大きな値となり、残留水が少なくなるに従って小さな値になる。そして、入口出口圧力差Pdifが所定の圧力差Pdif’を超える場合に、酸化ガス流路内の残留水が過剰であると推定し、乾燥空気による掃気処理(パージ)を行う。これに対して、入口出口圧力差Pdifが所定の圧力差Pdif’以下である場合には、酸化ガス流路内に水が残留していないと推定し、掃気処理をしない。
特開2005−209634号公報 特開2005−209635号公報
上記のような特許文献1、特許文献2に記載された燃料電池システムの場合、酸化ガスの入口圧力値Pと出口圧力値Pとの間の入口出口圧力差Pdifを求めることにより、酸化ガス流路内の残留水が過剰か否かを推定している。このような燃料電池システムの場合、残留水量を精度よく推定できれば、燃料電池の内部を掃気し、適切な残留水の量にするまでの掃気時間を短くできる可能性はある。ただし、このような燃料電池システムで、残留水量の推定の精度を高くすることは難しい。すなわち、ガスが流れるガス経路中には水蒸気が含まれる場合があるため、酸化ガスの入口圧力値Pと出口圧力値Pとは、燃料電池の入口側と出口側とのそれぞれのガス経路中での水蒸気量が大きく関係してしまう。このため、入口出口圧力差Pdifも、燃料電池の入口側のガス中と、出口側のガス中とでそれぞれどれだけの量、水蒸気が存在しているかで大きく変化する。さらに、入口出口圧力差Pdifは、燃料電池の温度によっても変化する。したがって、入口出口圧力差Pdifを測定したのでは、燃料電池内の残留水の量を精度よく推定すること、言い換えれば、残留水の量の推定誤差を十分に小さくすることは難しい。
さらに、例えば燃料電池が小型の場合等、燃料電池内部を流れる酸化ガスの流量が少なくなるような場合には、酸化ガスの入口圧力値Pと出口圧力値Pとの大きさ自体がそれぞれ小さくなり、この場合には、入口出口圧力差Pdifの大きさも小さくなってしまう。したがって、入口出口圧力差Pdifから燃料電池内部の残留水の量を精度よく推定することがさらに難しくなる。
本発明の目的は、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく、燃料電池内における残留水量を推定できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、燃料電池内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、燃料電池を冷却する冷媒を流す冷媒経路と、冷媒経路における燃料電池の入口側の入口温度を検出する入口温度センサと、冷媒経路における燃料電池の出口側の出口温度を検出する出口温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、燃料電池の発電運転を停止して、燃料ガスの供給を止めて酸化ガスの供給を継続するとき、または燃料電池の発電運転中で、燃料ガスの供給量に対する酸化ガスの供給量の比を通常運転のときよりも多くするときに、燃料電池内部の残留水分の気化によって、冷媒経路における燃料電池の入口温度よりも出口温度が低くなる条件の下で、燃料電池の入口温度および出口温度の間の差である入口出口温度差として、予め求めた入口出口温度差と残留水量との関係に基づいて、燃料電池内部の残留水量を推定する残留水量推定手段と、推定された残留水量により掃気ガスの掃気時間を含む掃気条件を決定し、掃気ガス供給部の作動状態を制御する掃気ガス供給制御手段とを有する燃料電池システムである。
また、好ましくは、残留水量推定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、入口出口温度差により燃料電池内部の残留水量を推定するものとする。
また、本発明に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、燃料電池内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、燃料電池を冷却する冷媒を流す冷媒経路と、この冷媒経路の途中で燃料電池の入口側の入口温度を検出する入口温度センサと、冷媒流路の途中で燃料電池の出口側の出口温度を検出する出口温度センサと、燃料電池内の電解質膜の電気的な膜抵抗値を測定する膜抵抗測定手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、予め求めた膜抵抗値と残留水量との間の関係と、燃料電池の発電運転を停止して、燃料ガスの供給を止めて酸化ガスの供給を継続するとき、または燃料電池の発電運転中で、燃料ガスの供給量に対する酸化ガスの供給量の比を通常運転のときよりも多くするときに、燃料電池内部の残留水分の気化によって、冷媒経路における燃料電池の入口温度よりも出口温度が低くなる条件の下で、燃料電池の入口温度および出口温度の間の差である入口出口温度差として、予め求めた入口出口温度差と残留水量との間の関係と、に基づいて推定された残留水量により掃気ガスの掃気時間を含む掃気条件を決定し、掃気ガス供給部の作動状態を制御する掃気ガス供給制御手段を有する燃料電池システムである。
また、好ましくは、燃料電池の燃料ガス供給停止時に、膜抵抗測定手段は、燃料電池内の電解質膜の膜抵抗値を測定し、残留水量推定手段は燃料電池内部の残留水量を推定し、掃気ガス供給制御手段は、掃気ガス供給部を作動させ、掃気ガス供給部の作動状態を制御するものとする。
また、好ましくは、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定するものとする。
また、好ましくは、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定するものとする。
また、好ましくは、制御部は、複数の時点における膜抵抗値の測定結果により、燃料電池の将来の残留水量を予測し、この予測された将来の残留水量に基づいて、掃気ガス供給部の作動状態を制御するものとする。
本発明に係る燃料電池システムによれば、入口出口温度差によって残留水量を推定するので、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく、燃料電池内における残留水量を推定できる。
また、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定するものとする構成、および、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定する構成、および、制御部は、複数の時点における膜抵抗値の測定結果により、燃料電池の将来の残留水量を予測し、この予測された将来の残留水量に基づいて、掃気ガス供給部の作動状態を制御する構成によれば、膜抵抗値の抵抗測定の回数を少なくできる。このため、燃料不足が生じることを有効に防止できる。
すなわち、特許文献1、2に記載された燃料電池システムにおいては、電解質膜中の残留水の量を推定するために、電解質膜の膜抵抗値を測定している。抵抗測定には、インピーダンス測定方式、電流遮断方式等にかかわらず、燃料電池の燃料を消費する。このため、燃料電池の発電停止後において、燃料を供給しない場合、抵抗測定を数多く行ない、放電が多くなると、特に燃料電池の燃料ガスの排出部近くで、燃料不足を招くと言った問題がある。そして、燃料不足になると、燃料電池の劣化がかなり促進される可能性がある。
これに対して、本発明に係る燃料電池システムの、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定するものとする構成、および、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定する構成、および、制御部は、複数の時点における膜抵抗値の測定結果により、燃料電池の将来の残留水量を予測し、この予測された将来の残留水量に基づいて、掃気ガス供給部の作動状態を制御する構成によれば、膜抵抗値の抵抗測定の回数を少なくできるため、燃料不足が生じることを有効に防止できる。このため、電解質膜の劣化を有効に防止できる。
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図3は、第1の発明の実施の形態を示している。図1は、本実施の形態の略構成図であり、図2は、同じくフローチャートであり、図3は、同じくタイムチャートである。
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12を有する。この燃料電池スタック12は、複数の燃料電池セルを積層すると共に、燃料電池スタック12の積層方向両端部に、集電板と、エンドプレートとを設けている。そして、複数の燃料電池セルと集電板とエンドプレートとをタイロッド、ナット等で締め付けている。なお、集電板とエンドプレートとの間に絶縁板を設けることもできる。
各燃料電池セルの詳細図は省略するが、例えば、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とにより狭持して成る膜−アセンブリと、その両側のセパレータとを備えたものとする。また、アノード側電極には燃料ガスである水素ガスを供給可能とし、カソード側電極には酸化ガスである空気を供給可能としている。そして、アノード側電極で触媒反応により発生した水素イオンを、電解質膜を介してカソード側電極まで移動させ、カソード側電極で酸素と電池化学反応を起こさせることにより、水を生成する。アノード側電極からカソード側電極へ外部回路を通じて電子を移動させることにより起電力を発生する。すなわち、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池スタック12は、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する。
また、燃料電池スタック12の内部で、セパレータの近くには、冷媒流路を設けている。この冷媒流路に冷媒である冷却水を流すことにより、燃料電池スタック12の発電に伴う発熱により温度が上昇しても、その温度が過度に上昇しないようにしている。
また、酸化ガスである空気は、掃気ガス供給部でもあるエアコンプレッサ14により加圧され、加湿器16で加湿された後、燃料電池スタック12のカソード側電極側の酸化ガス流路に供給される。また、空気を加湿器16を通過させてから燃料電池スタック12に供給する本経路18とは別に、この本経路18と並行にバイパス経路20を設けている。このバイパス経路20を通過する空気は、加湿器16を通過せずに、燃料電池スタック12に供給される。バイパス経路20の途中には圧力制御弁21を設けている。
燃料電池スタック12に供給され、各燃料電池セルで電池化学反応に供された後の空気は、燃料電池スタック12から排出され、加湿器16を通過した後、圧力制御弁22を介して大気に放出される。圧力制御弁22は、燃料電池スタック12に送られる空気の供給圧力が、燃料電池スタック12の運転状態に応じた適切な圧力値になるように制御される。
加湿器16は、燃料電池スタック12から排出された後の空気から得た水分を、燃料電池スタック12に供給される前の空気に与えて、加湿する役目を果たす。例えば、加湿器16は、多数の中空糸膜の内側と外側とに水分含有量の異なるガスが供給された場合に、水分含有量の多いガス中の水分が中空糸膜を通過して、水分含有量の少ないガスに水分を与える。
また、燃料ガスである水素ガスは、燃料ガス供給装置である高圧水素タンク等の水素ガス供給装置から圧力制御弁である燃料制御弁24を介して燃料電池スタック12に供給される。燃料電池スタック12のアノード側電極側の燃料ガス流路に供給され、電気化学反応に供された後の水素ガスは、燃料電池スタック12から排出された後、気液分離機26で水分を除去されてから、循環路28を通り、水素ガス供給装置から供給された水素ガスと合流して、再び燃料電池スタック12に供給される。燃料電池スタック12に供給される水素ガスは、循環路28中に設けられた水素ポンプ30により昇圧される。
また、燃料電池スタック12を冷却するための冷媒である冷却水は、冷却水経路32を流れる。この冷却水経路32は、燃料電池スタック12内の内部冷却水流路34と、燃料電池スタック12の冷却水出口36と分岐部38とを結ぶ冷却水送り出し経路40と、この分岐部38から分岐した本経路42およびバイパス経路44とを備える。また、本経路42とバイパス経路44との合流部に三方弁46を設け、三方弁46と冷却水ポンプ48とを中間経路50により結んでいる。さらに、冷却水ポンプ48と、燃料電池スタック12の冷却水入口52とを、冷却水送り込み経路54により通じさせている。冷却水ポンプ48は、吐出流量を変化させることができる。
冷却水は、冷却水ポンプ48により昇圧され燃料電池スタック12に供給された後で、燃料電池スタック12の内部冷却水流路34を通る際に、燃料電池スタック12が発電運転により温度上昇している場合には、燃料電池スタック12を冷却する。燃料電池スタック12を通過した冷却水は本経路42の途中に設けられたラジエータ56に送られて、温度上昇時には放熱される。ラジエータ56通過後の冷却水は三方弁46を通過後、再び冷却水ポンプ48に送られる。バイパス経路44は、本経路42とは別に、この本経路42と並行に設けている。このバイパス経路44を通過する冷却水は、燃料電池スタック12から送り出された後、ラジエータ56を通過せずに三方弁46に送られる。
また、冷却水ポンプ48から送り出された冷却水の一部はイオン交換樹脂58を通過後、本経路42とバイパス経路44との分岐部38に送られる。イオン交換樹脂58を通過後の冷却水は、金属イオン等のイオンが取り除かれる。また、冷却水送り込み経路54の途中で、冷却水入口52付近には、冷却水の入口温度を検出する入口温度センサ(入口温度検出手段)60を設けている。また、冷却水送り出し経路40の途中で、冷却水出口36付近には、冷却水の出口温度を検出する出口温度センサ(出口温度検出手段)62を設けている。入口温度センサ60および出口温度センサ62は、制御部(ECU)64に接続されて、入口温度の測定値を表す信号および出口温度の測定値を表す信号を制御部64に送る。
制御部64は、燃料電池スタック12の内部の残留水量推定手段と、エアコンプレッサ14の回転数および回転時間である作動状態を制御するエアコンプレッサ制御手段、すなわち掃気ガス供給制御手段とを有する。また、制御部64には、燃料電池システムのイグニッションスイッチとして機能する図示しない起動スイッチが接続されており、起動スイッチからON状態に対応する発電開始信号を受け取ることを条件に、発電開始処理がされ、OFF状態に対応する発電停止信号を受け取ることを条件に、発電停止処理がされる。
また、制御部64は、起動スイッチからの信号や、入口温度の測定値を表す信号、出口温度の測定値を表す信号等の、入力信号を与えられることに対応して、エアコンプレッサ14の作動状態、圧力制御弁21、22、燃料制御弁24、三方弁46等の制御を行う。
制御部64は、上記のように、燃料電池スタック12の内部の残留水量推定手段を有するが、これは、入口温度センサ60により検出した、燃料電池スタック12の冷却水入口52付近の冷却水温度(入口温度)Tと、出口温度センサ62により検出した、燃料電池スタック12の冷却水出口36付近の冷却水温度(出口温度)Tとから、燃料電池スタック12の内部の残留水量を推定するものである。これについて、本実施の形態のタイムチャートである、図3を用いて詳しく説明する。
図3は、横軸に時間を表しており、(A)で燃料電池スタック12内部の残留水量を、(B)で冷却水の出口温度Tを、(C)で冷却水の入口温度Tを表している。燃料電池スタック12の発電運転を停止する(時間t)と、最初は入口温度Tよりも出口温度Tが高いが、入口温度Tを一定と仮定すると、出口温度Tは内部の残留水の蒸発により熱が奪われて急激に温度低下し、入口温度T以下になる(T≦T)。そして、入口温度Tから出口温度Tを引いた入口出口温度差Tdif(=T−T)が徐々に大きくなる。この場合には、燃料電池スタック12が冷却水を温度低下させる冷却器のようになる。その後、燃料電池スタック12内部の残留水量が所定値以下になると、蒸発できる水の量が減少し、入口出口温度差Tdifが徐々に小さくなる。このことから、入口出口温度差Tdifと、燃料電池スタック12の内部の残留水量とが大きく相関関係を持っていることが分かる。また、冷却水入口付近の入口温度と、冷却水出口付近の出口温度とが、冷却水入口および冷却水出口のそれぞれでの水蒸気量の違いに大きく影響されることはない。
本実施の形態はこのような知見に基づいて発明したものであり、制御部64に、入口温度センサ60により検出した冷却水の入口温度Tと、出口温度センサ62により検出した冷却水の出口温度Tとを表す信号がそれぞれ入力されることにより、制御部64が、入口出口温度差Tdifを求める。また、制御部64には、予め燃料電池システム10の種類毎に異なる、入口出口温度差Tdifと残留水量との相関関係を記憶させておき、その相関関係と入口出口温度差Tdifとから、残留水量を推定する。制御部64は、この残留水量の推定値に基づいて、目標となる残留水量を得るための乾燥空気等の空気の燃料電池スタック12内への掃気流量である供給流量と、掃気残時間である供給残時間とを決定、すなわち算出し、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12に空気を送り込む際の掃気状態である供給状態が、上記の算出した掃気流量と掃気残時間とになるように、エアコンプレッサ14の作動状態を制御する。
次に、図2に示すフローチャートを用いて、通常発電運転停止後の残留水の掃気方法を説明する。まず、ステップS1で、起動スイッチが停止される(OFFになる)と、制御部64が燃料供給停止の指令を表す信号を受けて、発電停止処理が実行される。この場合、ステップS2において、水素ガス供給装置からの水素ガスの供給を制御する燃料制御弁24が閉じられ、水素ガスの新たな供給が停止される。
次に、ステップS3で、制御部64が、冷却水ポンプ48による冷却水の吐出流量が一定の所定流量Qcwになり、エアコンプレッサ14により燃料電池スタック12内に供給する空気の供給流量が一定の所定流量Qcaになるように、冷却水ポンプ48とエアコンプレッサ14とを制御する。そして、燃料電池スタック12内の酸化ガス流路中に空気を供給して、掃気、すなわちパージする。この場合、エアコンプレッサ14から送り出された空気は、加湿器16を設けていないバイパス経路20を通過させても、本経路18を通過させてもよい。好ましくは、空気はバイパス経路20を通過させる。なお、この場合の冷却水の吐出流量および空気の供給流量は、それぞれ一定の所定値になるように限定するものではなく、変化させることもできる。
なお、冷却水の冷却水経路32に設ける三方弁46は、冷却水がバイパス経路44を通過するように弁の位置を制御する。これは、必要以上に燃料電池スタック12を冷却することを防止して、燃料電池スタック12の温度をある程度高く保つためである。燃料電池スタック12が過度に冷却されてしまうと、燃料電池スタック12内からの水分の持ち去りの時間が長くなり、掃気時間が過度に長くなってしまう可能性がある。冷却水をバイパス経路44に通過させることにより、このような不都合をなくせる。
次に、ステップS4で、燃料電池スタック12中における残留水量が目標残留水量であるか否かの判定処理を行う。この判定処理は、燃料電池システム10の通常発電運転停止時に残留水を少なくする、またはほぼなくして、再起動時における起動性を良好に確保するために行う。すなわち、氷点下の環境でも、迅速な始動を行わせやすくできる。そして、残留水量が目標残留推量に達した場合には、冷却水の供給および酸化ガス流路への空気の供給を停止し、掃気、すなわちパージを停止する。
ステップS4では、冷却水の入口温度の検出値Tから出口温度の検出値Tを引いた、入口出口温度差Tdif(=T−T)を求め、これに対応する残留水量を推定する。このために、まず、ステップS4aで、現在の時間が図3に示す時間tを過ぎたか否かを判定する。この時間tを過ぎた後では、図3に示す入口出口温度差Tdifと、図3の(A)で示す残留水量とが、1対1で対応するようになる。すなわち、時間t以前においては、入口出口温度差Tdifが残留水量に1対1では対応しないが、時間t以降では、そのようなことがなくなる。この時間tを過ぎたか否かの判定のために、入口出口温度差の時間微分d(Tdif)/dtを求め、この時間微分d(Tdif)/dtが0以下になっている{d(Tdif)/dt≦0}か否かを判定する。
そして、d(Tdif)/dt≦0の条件を満たしたならば、次に、ステップS4bで、残留水量を推定する。このために、ステップS4bでは、入口出口温度差Tdifが、目標残留水量に対応する目標温度差Tdif’以下か否かを判定する。
もしも、入口出口温度差Tdifが目標温度差Tdif’を超える場合には、燃料電池スタック12中に水分が残留していると推定する。すなわち、残留水が多いと、この残留水の蒸発量も多くなるため、冷却水の出口温度Tは入口温度Tよりも大きく温度低下する。これに対して、残留水が少ないと、この残留水の蒸発量が少なくなるため、冷却水の出口温度Tの入口温度Tに対する温度低下分が小さくなり、徐々に入口出口温度差Tdifが小さくなる。本実施の形態は、このような関係を利用して、入口出口温度差Tdifから目標残留推量に対応する目標温度差Tdif’以下に達したか否かを判定する。もし目標温度差Tdif’以下に達していないと判定された場合には、冷却水の供給およびエアコンプレッサ14による空気の供給をし続ける。これに対して、入口出口温度差Tdifが目標温度差Tdif’以下になったと判定された場合には、残留水量が目標残留水量に達したと推定して、ステップS5に移る。そして、ステップS5で、冷却水ポンプ48およびエアコンプレッサ14の作動を停止する。
このように本実施の形態によれば、発電運転停止時に、燃料電池スタック12内の残留水分量を推定できる。特に、本実施の形態の場合、冷却水の入口出口温度差Tdifを求めることで、残留水量を推定している。このため、ガス経路の互いに離れた部分の間での圧力差を利用することなく、燃料電池内における残留水量を精度よく推定できる。したがって、この残留水の量を適切にするまでの残留水の掃気時間を精度よく制御でき、掃気時間を短くできる。この結果、エネルギの無駄な消費を抑えることができる。また、本実施の形態によれば、燃料電池スタック12の構造に応じて、冷却水ポンプ48等により冷却水の燃料電池スタック12への供給流量をある程度絞ることで入口出口温度差Tdifを大きくして、残留水量の推定の感度を高くすることを容易に行える。
また、本実施の形態の場合には、抵抗計測機器等の抵抗計測手段が不要となり、単純な構成で低コストのシステム構成とすることができる。また、燃料制御弁24を閉じた後、掃気時に抵抗測定が不要となることから、燃料不足が生じることを有効に防止できる。さらに、水素ポンプ30等の補機が燃料不足の状態で無理に駆動する等により損傷、劣化を招くような問題の発生を有効に防止できる。また、燃料電池セルの電解質膜の膜抵抗値の測定をせずに済むため、電解質膜の劣化を有効に防止できる。また、掃気時に燃料を消費しない、または消費するとしてもその消費量を十分に少なくできるため、燃料供給停止指令後の水素供給経路の水素圧力を所定の圧力に保ちやすくできる。
[第2の発明の実施の形態]
次に、図4から図8は、第2の発明の実施の形態を示している。本実施の形態の燃料電池システム10の場合には、上記の図1に示した第1の発明の実施の形態において、燃料電池スタック12の電解質膜の膜抵抗値を測定するための抵抗計測器(図示せず)と、抵抗計測用に燃料電池スタック12に接続した負荷装置(図示せず)とを設けている。その他の燃料電池システムの構成は、上記の図1に示した構成と同様であるため、以下この図1の符号を用いて説明する。
制御部64は、燃料電池スタック12の内部の残留水量推定手段およびエアコンプレッサ14の回転数および回転時間である作動状態を制御するエアコンプレッサ制御手段を有する。このうちの残留水量推定手段は、入口温度センサ60により検出した冷却水の入口温度Tと、出口温度センサ62により検出した冷却水の出口温度Tとの間の入口出口温度差Tdif(=T−T)と、抵抗計測器により測定された膜抵抗値とから、燃料電池スタック12の内部の残留水量を推定するものである。
そして、次のようにして、通常発電運転停止後の燃料電池スタック12内の残留水の掃気を行う。まず、図4のステップS1で、起動スイッチが停止されると、制御部64が燃料供給停止を表す信号を受けて、発電停止処理が実行される。この場合、ステップS2において、燃料制御弁24が閉じられ、水素ガスの新たな供給が停止される。
次に、ステップS3で、抵抗計測器が電解質膜の膜抵抗値Rを測定する。なお、この膜抵抗値Rの測定は、起動スイッチの停止後、発電が停止される、すなわち、燃料制御弁24が閉じられるまでの僅かな時間で行ってもよい。なお、予め運転中に電解質膜の膜抵抗値を計測しておき、その値でステップ3の膜抵抗値を代用してもよい。
次に、ステップS4で、冷却水の流量が一定の所定流量Qcwになり、エアコンプレッサ14により送り出す空気の燃料電池スタック12への供給流量が一定の所定流量Qcaになるように、冷却水ポンプ48およびエアコンプレッサ14等を制御する。この場合、エアコンプレッサ14から送り出された空気は、加湿器16を設けないバイパス経路20を通過させても、本経路18を通過させてもよい。好ましくは、空気はバイパス経路20を通過させる。なお、この場合の冷却水流量および空気の供給流量は、それぞれ一定の所定値になるように限定するものではなく、変化させることもできる。
次に、ステップS5で、燃料電池スタック12中における残留水量が目標残留水量であるか否かの判定処理を行う。この判定処理では、燃料電池スタック12の冷却水入口52付近の入口温度の検出値Tから冷却水出口36付近の出口温度の検出値Tを引いた、入口出口温度差Tdifを求め、これに対応する残留水量を推定する。このために、まず、ステップS5aで、現在の時間が図6に示す時間tを過ぎたか否かを判定する。この時間tを過ぎた後では、図3で示す入口出口温度差Tdifと、図3の(A)で示す残留水量とが、1対1で対応するようになる。本実施の形態の場合も、この時間tを過ぎたか否かの判定のために、入口出口温度差Tdifの時間微分d(Tdif)/dtを求め、この時間微分d(Tdif)/dtが0以下になっている{d(Tdif)/dt≦0}か否かを判定する。
そして、時間tに達したと判定されたならば、ステップS5bで、抵抗計測器が、電解質膜の膜抵抗値Rを測定する。その後、ステップ5cで、求めた入口出口温度差Tdifが目標残留水量に対応する目標温度差Tdif’以下に達したか否かの判定を行い、目標温度差Tdif’以下に達したならば、ステップS5dで抵抗計測器が時間tで、電解質膜の膜抵抗値Rを測定する。次に、ステップS5eで、制御部64は、測定した3点の膜抵抗値R、R、Rから、時間と膜抵抗値との関数を算出する。この関数は時間を変数とした2次、3次等の、2次以上の関数とする。図6および図7に示すように、燃料電池スタック12内の残留水量は電解質膜の膜抵抗値と大きく相関関係を持っている。すなわち、残留水量が少ないと、膜抵抗値は高くなるが、残留水量が多くなると、膜抵抗値は小さくなる。電解質膜は乾きすぎず、湿り過ぎない適度な湿り範囲とすることが好ましい。この理由は、電解質膜中の残留水量が多すぎると、ある温度以下で一部が凍る場合があり、残留水量が少なすぎると、発電性能が低下するためである。
また、ステップS5eでは、目標残留水量に対応する目標抵抗値RTAR に達すると予測される時間tを求め、これから残りの掃気残時間t−tを求める。ステップS5fで、この掃気残時間t−tを経過した時点であることを判定したならば、目標残留水量に達したと推定し、ステップS6で、冷却水ポンプ48およびエアコンプレッサ14の運転を停止する。なお、図7に示すように、目標残留水量に幅を持たせて最適残留水量範囲とし、膜抵抗値の目標抵抗値をこの最適残留水量範囲に対応する最適抵抗範囲とすることもできる。
本実施の形態の場合、制御部64は、入口温度センサ60により検出された入口温度T、および出口温度センサ62により検出された出口温度Tの間の入口出口温度差Tdifと、測定された膜抵抗値の大きさとにより燃料電池スタック12内部の残留水量を推定する手段と、推定された残留水量に基づいて残留水の掃気時間を含む掃気状態を決定し、エアコンプレッサ14の掃気状態を制御する手段とを有する。このため、上記の第1の実施の形態の場合よりも、燃料電池スタック12内の残留水量、特に電解質膜中の残留水量を、より精度よく推定できる。
また、本実施の形態の場合、電解質膜の膜抵抗値R、R、Rの測定回数が3回と少なくて済み、また、この測定のタイミングを適切にでき、時間と膜抵抗値との関数から必要な掃気残時間を求めることができる。このため、過度に抵抗測定を行う必要がなくなり、且つ、高精度で残留水量を制御できる。また、膜抵抗値の測定回数を低減できることにより、燃料不足が生じることを有効に防止でき、且つ、水素ポンプ30等の補機が無理に駆動する等により損傷、劣化を招くような問題の発生を有効に防止できる。また、掃気時に燃料の消費を十分に少なくできるため、燃料供給停止指令後の水素供給経路内での水素圧力を所定の圧力に保ちやすくできる。
その他の構成および燃料電池システム10の通常発電運転停止後の残留水の掃気方法は、上記の第1の実施の形態の場合と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、図8は、掃気開始後の掃気時間に対応する膜抵抗値を3点ずつ測定(○印部分、×印部分)し、その他の部分をこの3点の測定結果から予測した、時間と膜抵抗値との関数を表す曲線(予測曲線)(図8の破線a、b)と、実際に連続的にほぼすべての時点で測定した時間と膜抵抗値との関係を表す曲線(測定曲線)(実線c、d)とを示している。このような予測曲線a、bと、測定曲線c、dとから、予測値が実際に測定した関係にほぼ近いことが分かる。なお、予測曲線aおよび測定曲線cと、予測曲線bおよび曲線dとは、それぞれ同じ条件で求めた曲線である。
なお、図示は省略するが、本実施の形態において、膜抵抗値Rを測定する時間tの条件を、冷却水の入口出口温度差Tdifの時間微分d(Tdif)/dtが0以下になった{d(Tdif)/dt≦0}ことを条件とせずに、時間tから所定時間経過した時間である、時間t、tで膜抵抗値R、Rを測定することもできる。この場合、例えば、時間tにおいて測定した膜抵抗値Rと、膜抵抗値R、Rとの3点の測定値を用いて、膜抵抗値と時間との関数を求める。そして、目標残留水量に対応する膜抵抗値RTARとなるまでの掃気残時間を求め、この掃気残時間に達した場合に、さらに求めた冷却水の入口出口温度差Tdifが目標残留水量に対応する目標温度差Tdif’以下に達したか否かを判定して、掃気を終了した場合でも、精度よく残留水量を推定し、残留水量を適切にするまでの掃気時間を精度よく制御できる。
また、精度は落ちるものの、膜抵抗値として膜抵抗値R、Rを測定するのみで、目標残留水量に対応する膜抵抗値RTARとなるまでの掃気残時間を算出することもできる。この場合、予め掃気時の膜抵抗値と時間とのカーブをマッピングしておき、近いものを選択する。あるいは、掃気時のカーブの、膜抵抗値をXとした、時間微分値(dX/dt)をマッピングしておき、相関式で推定する際に、Rにおける時間微分値(dX/dt)をマップより読み込み、カーブを推定してもよい。
[第3の発明の実施の形態]
次に、図9は、第3の発明の実施の形態を示している。本実施の形態の燃料電池システム10の場合には、燃料電池の通常発電運転時において、燃料電池スタック12内の残留水量を適切に調節すべく、この燃料電池スタック12内に送る空気の流量を上げる、すなわち掃気する処理を行う。このような本実施の形態の燃料電池システム10の構成自体は、上記の図1で、燃料電池スタック12の電解質膜の膜抵抗値を測定するための図示しない抵抗計測器と、抵抗計測用に燃料電池スタック12に接続した図示しない負荷装置とを設けた構成と同様である。このため、本実施の形態の説明においても、図1と同等部分には同一符号を付して説明する。
本実施の形態の場合、次のようにして、通常発電運転中における掃気を行う。まず、図9のステップS1で、起動スイッチが起動される(ON状態になる)と、ステップS2で、制御部64がこれを検知して、通常発電運転処理が実行される。この場合には、水素ガス供給装置から水素ガスが燃料電池スタック12の燃料ガス流路に送られ、同時にエアコンプレッサ14により空気が取り込まれ、燃料電池スタック12の酸化ガス流路へ送られる。また、燃料電池スタック12を冷却するために、燃料電池スタック12内部に冷却水を送り、循環させる。また、このような通常発電運転において、一定時間ごとに抵抗計測器により燃料電池スタック12の膜抵抗値Ri(R、R・・・)を測定する。同時に、ステップS3として、この膜抵抗値Riが、所定膜抵抗値Ri’以下(Ri≦Ri’)か否かを判定する。この所定膜抵抗値Ri’として、例えば、上記の第2の実施の形態におけるRを使用する。
膜抵抗値Riが所定膜抵抗値Ri’以下と判定されたならば、残留水量が適切量よりも多すぎると推定して、ステップS4で、制御部64が、カソードストイキが所定値Stとなるように、エアコンプレッサ14により送り出す空気の流量を増大させる。ここで、カソードストイキとは、アノード側に送る水素の量に対して、電池反応を起こさせるのに最も適した酸素の量をカソードストイキが1であるとして、その場合の酸素量に対する酸素量の比を言う。
燃料電池スタック12内の掃気を開始すると、上記の各実施の形態の場合と同様に、燃料電池スタック12の冷却水入口52近くでの入口温度の検出値Tから冷却水出口36近くでの出口温度の検出値Tを引いた入口出口温度差Tdifが、徐々に大きくなり、最大値を迎えた後、徐々に小さくなる。
次に、ステップS5で、燃料電池スタック12内における残留水量が目標残留水量か否かの判定処理を行う。この判定処理では、入口温度の検出値Tから出口温度の検出値Tを引いた、入口出口温度差Tdifを求め、入口出口温度差Tdifが、目標残留水量に対応する目標温度差Tdif’以下か否かを判定する。入口出口温度差Tdifが、残留水量に対応することは、上記の各実施の形態で説明したとおりである。
そして、入口出口温度差Tdifが目標温度差Tdif’以下に達していないと判定された場合には、エアコンプレッサ14による空気の供給流量を変化させない、すなわちカソードストイキStに対応する流量のままとする。これに対して、入口出口温度差Tdifが目標温度差Tdif’以下になったと判定された場合には、残留水量が目標残留水量に達したと推定して、ステップS6に移る。そして、ステップS6で、制御部64が、カソードストイキが通常発電運転の通常ストイキと同じになるように、エアコンプレッサ14により送り出す空気の流量をステップS2の流量まで減少させる。
このような本実施の形態によれば、通常発電運転時において、酸化ガス流路中の残留水量を適切に調節できる。また本実施の形態では、残留水量と冷却水の入口出口温度差Tdifとの相関関係を用いて掃気終了判定を行うため、抵抗測定の回数を低減でき、燃費の悪化を抑えることができる。
また、このように燃料電池スタック12内部の残留水量を調節することで、通常発電運転停止後における掃気時間の短縮を図れる。なお、上記ステップS4の掃気開始のタイミングを、膜抵抗値の測定によらずに、冷却水の入口出口温度差Tdifが所定温度差以上となることを条件に判定してもよい。所定温度差は負荷により与えられる値であり、ステップS4のタイミングは、膜抵抗値または入口出口温度差Tdifの判定条件を満たした後、所定時間経過することを条件としてもよい。
また、ステップS4のタイミングは、燃料電池スタック12の空気を送り込む入口近くでの入口圧力が所定値であり、負荷により与えられる値以上となることを条件としてもよい。さらに、ステップS4のタイミングは、燃料電池スタック12の空気を送り込む入口近くでの入口圧力と、燃料電池スタック12の空気を送り出す出口近くでの出口圧力との間の入口出口圧力が所定値であり、負荷により与えられる値以上となることを条件としてもよい。
[本発明に関する参考例の1例]
次に、図10から図11は、本発明に関連する参考例の1例を示している。本参考例の場合には、上記の図4から図8に示した第2の実施の形態の燃料電池システム10において、冷却水の入口温度を検出する入口温度センサ60(図1参照)と、出口温度を検出する出口温度センサ62(図1参照)とを省略した構成と同様である。このため、以下、図1の符号を用いて説明する。また、本参考例の燃料電池システム10による燃料供給停止後の、燃料電池スタック12内部の掃気方法は、図4および図5でステップS5aおよびステップS5cを省略したものと同様である。すなわち、本参考例においては、上記の各実施の形態の場合と異なり、入口出口温度差から掃気終了のタイミングを判定しない。本参考例の場合には、燃料制御弁24を閉じた時間tにおける電解質膜の膜抵抗値Rと、所定の時間経過後t、tでの電解質膜の膜抵抗値R、Rとをそれぞれ測定する。そして、時間と膜抵抗値との関数から目標残留水量に対応する目標膜抵抗値に達するまでの掃気残時間を計算し、この掃気残時間に達するまで燃料電池スタック12内に空気を送り込む。
このような本参考例によっても、燃料電池スタック12内における残留水の量を精度良く推定し、目標残留水量に精度よく調整することができる。また、電解質膜の膜抵抗値R、R、Rの測定回数が3回と少なくて済むため、過度に抵抗測定を行う必要がなくなる。また、膜抵抗値の測定回数を低減できることにより、燃料不足が生じることを有効に防止でき、且つ、水素ポンプ等の補機が無理に駆動する等により損傷、劣化を招くような問題の発生を有効に防止できる。また、掃気時に燃料の消費を十分に少なくできるため、燃料供給停止指令後の水素供給経路の水素圧力を所定の圧力に保ちやすくできる。ただし、上記の第2の実施の形態のように、電解質膜の膜抵抗値を測定するだけでなく、冷却水の入口温度と出口温度とを測定し、膜抵抗値と入口出口温度差とから、掃気時間を含む掃気条件を決定するのが、より高精度に残留水量を推定し、より高精度に目標残留水量に調整する面からより好ましい。
その他の構成および通常発電運転停止後の掃気方法は、上記の第2の実施の形態の場合と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、本発明は、燃料電池スタックの構造を限定するものではなく、従来から知られている構造等、いろいろな構造を採用できる。また、本発明においては、掃気ガスとして、窒素等の不活性ガスを使用して、燃料電池内にこの不活性ガスを供給し、残留水を掃気することもできる。
第1の発明の実施の形態の燃料電池システムの基本構成を示す図である。 同じく通常発電運転停止後、燃料電池スタック内の残留水を掃気する方法を説明するためのフローチャートである。 同じく残留水を掃気する場合の、冷却水供給流量と、空気の燃料電池スタックへの供給流量(エア流量)と、燃料電池スタック内部の残留水量と、冷却水の入口温度および出口温度とを示すタイムチャートである。 第2の発明の実施の形態における、通常発電運転停止後、燃料電池スタック内の残留水を掃気する方法を説明するためのフローチャートの前半部である。 同じくフローチャートの後半部である。 第2の発明の実施の形態における、通常発電運転停止後、燃料電池スタック内の残留水を掃気する場合の、残留水量と、冷却水の入口温度および出口温度と、膜抵抗値とを示すタイムチャートである。 同じく燃料電池スタック内部の残留水量と、冷却水の入口温度および出口温度の間の入口出口温度差と、膜抵抗値との関係を示す図である。 同じく膜抵抗値と時間との関係を表す測定曲線と予測曲線とを、異なる2条件で示す図である。 第3の発明の実施の形態での、通常発電運転時における、燃料電池スタック内部の残留水量を適切に調整する方法を説明するためのフローチャートである。 本発明に関する参考例の1例での、通常発電運転停止後、燃料電池スタック内部の残留水を掃気する方法を説明するためのフローチャートの前半部である。 同じくフローチャートの後半部である。
符号の説明
10 燃料電池システム、12 燃料電池スタック、14 エアコンプレッサ、16 加湿器、18 本経路、20 バイパス経路、21 圧力制御弁、22 圧力制御弁、24 燃料制御弁、26 気液分離機、28 循環路、30 水素ポンプ、32 冷却水経路、34 内部冷却水流路、36 冷却水出口、38 分岐部、40 冷却水送り出し経路、42 本経路、44 バイパス経路、46 三方弁、48 冷却水ポンプ、50 中間経路、52 冷却水入口、54 冷却水送り込み経路、56 ラジエータ、58 イオン交換樹脂、60 入口温度センサ、62 出口温度センサ、64 制御部。

Claims (7)

  1. 酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    燃料電池内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、
    燃料電池を冷却する冷媒を流す冷媒経路と、
    冷媒経路における燃料電池の入口側の入口温度を検出する入口温度センサと、
    冷媒経路における燃料電池の出口側の出口温度を検出する出口温度センサと、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    燃料電池の発電運転を停止して、燃料ガスの供給を止めて酸化ガスの供給を継続するとき、または燃料電池の発電運転中で、燃料ガスの供給量に対する酸化ガスの供給量の比を通常運転のときよりも多くするときに、燃料電池内部の残留水分の気化によって、冷媒経路における燃料電池の入口温度よりも出口温度が低くなる条件の下で、燃料電池の入口温度および出口温度の間の差である入口出口温度差として、予め求めた入口出口温度差と残留水量との関係に基づいて、燃料電池内部の残留水量を推定する残留水量推定手段と、
    推定された残留水量により掃気ガスの掃気時間を含む掃気条件を決定し、掃気ガス供給部の作動状態を制御する掃気ガス供給制御手段と
    を有する燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、残留水量推定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、入口出口温度差により燃料電池内部の残留水量を推定する燃料電池システム。
  3. 酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    燃料電池内に掃気ガスを供給する掃気ガス供給部と、
    燃料電池を冷却する冷媒を流す冷媒経路と、
    この冷媒経路の途中で燃料電池の入口側の入口温度を検出する入口温度センサと、
    冷媒流路の途中で燃料電池の出口側の出口温度を検出する出口温度センサと、
    燃料電池内の電解質膜の電気的な膜抵抗値を測定する膜抵抗測定手段と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    予め求めた膜抵抗値と残留水量との間の関係と、
    燃料電池の発電運転を停止して、燃料ガスの供給を止めて酸化ガスの供給を継続するとき、または燃料電池の発電運転中で、燃料ガスの供給量に対する酸化ガスの供給量の比を通常運転のときよりも多くするときに、燃料電池内部の残留水分の気化によって、冷媒経路における燃料電池の入口温度よりも出口温度が低くなる条件の下で、燃料電池の入口温度および出口温度の間の差である入口出口温度差として、予め求めた入口出口温度差と残留水量との間の関係と、
    に基づいて推定された残留水量により、掃気ガスの掃気時間を含む掃気条件を決定し、掃気ガス供給部の作動状態を制御する掃気ガス供給制御手段を有する燃料電池システム。
  4. 請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池の燃料ガス供給停止時に、膜抵抗測定手段は、燃料電池内の電解質膜の膜抵抗値を測定し、残留水量推定手段は燃料電池内部の残留水量を推定し、掃気ガス供給制御手段は、掃気ガス供給部を作動させ、掃気ガス供給部の作動状態を制御する燃料電池システム。
  5. 請求項4に記載の燃料電池システムにおいて、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差の時間変化率が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定する燃料電池システム。
  6. 請求項5に記載の燃料電池システムにおいて、膜抵抗測定手段は、入口出口温度差が所定値以下になった後に、膜抵抗値を測定する燃料電池システム。
  7. 請求項5に記載の燃料電池システムにおいて、制御部は、複数の時点における膜抵抗値の測定結果により、燃料電池の将来の残留水量を予測し、この予測された将来の残留水量に基づいて、掃気ガス供給部の作動状態を制御する燃料電池システム。
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