JP2008021424A - 電解質、電池用部材、電極及び全固体二次電池 - Google Patents

電解質、電池用部材、電極及び全固体二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】全固体二次電池の構成部材である電極や固体電解質層のイオン伝導性を向上し、全固体二次電池の電池特性を向上する。
【解決手段】実質的にリチウムイオン伝導性無機固体物質のみからなり、膜厚を500μm以下に規制した電解質層を、好ましくはブラスト法又はエアロゾルデポジション法にて形成させる。無機固体電解質としては、高純度の硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は、単体燐及び単体硫黄から製造することができる。正極活物質には硫化物、酸化物及び遷移金属複合酸化物等、負極活物質には炭素材料等が用いられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体電解質、電池用部材及び全固体二次電池に関する。さらに詳しくは、電極層又は電解質層がバインダー材等を含まずに、実質的に極材やリチウムイオン伝導性固体物質のみからなる固体電解質、電池用部材、電極、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池等の全固体二次電池に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる高性能リチウム電池等二次電池の需要が増加している。
使用される用途が広がるに伴い、二次電池の更なる安全性の向上及び高性能化が要求されている。
リチウム電池の安全性を確保する方法としては、有機溶媒電解質に代えて無機固体電解質を用いることが有効である。
無機固体電解質は、その性質上不燃で、通常使用される有機溶媒電解質と比較し安全性の高い材料である。そのため、該電解質を用いた高い安全性を備えた全固体リチウム電池の開発が望まれている。
全固体リチウム電池において、従来は、シート状や薄膜等の固体電解質層の成形体を形成するためにはバインダーが用いられている。しかしながら、電解質層にバインダーを混入させると、イオン伝導パスが切断され固体電解質層のイオン伝導性が低下する問題がある。
従って、固体電解質のみからなる電解質層が検討されているが、固体電解質だけからなる単一層の薄膜は形成が困難である。
また、電池を構成した際の電解質中のLiイオン伝導性は電解質層厚みに依存するため、固体電解質層の薄膜化が望まれる。
このような問題に対し、特許文献1では、活物質粒子を気流とともに集電体に吹き付けて接着させるコールドスプレー法による化学電池用電極の製造方法が開示されている。しかし、この方法においては、300〜500℃に加熱したガスを超音速流にした気流を用いる必要があるため、使用できる活物質粒子がシリコン等に限定される問題があった。また、高温かつ超高速の気流を必要とするため、精密な装置が必要であった。
特開2005−310502号公報
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、全固体二次電池の構成部材である電極や固体電解質層のイオン伝導性を向上し、全固体二次電池の電池特性を向上することを目的とする。
本発明によれば、以下の電解質、電池用部材、電極及び全固体二次電池が提供される。
1.実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなり、膜厚が500μm以下である電解質。
2.ブラスト法又はエアロゾルデポジション法により形成した1の電解質。
3.集電体と、この集電体上の少なくとも一部に1又は2の電解質を有する電池用部材。
4.ブラスト法又はエアロゾルデポジション法により、集電体と、この集電体上の少なくとも一部に、極材層を形成させた電極。
5.上記1〜4のいずれかに記載の電解質、電池用部材及び電極の少なくとも1つを有する全固体二次電池。
6.前記電解質が、硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は、単体燐及び単体硫黄からなる5に記載の全固体二次電池。
本発明により、全固体二次電池の電極や固体電解質層のイオン伝導性を向上できる。この電極や電解質を使用することで、全固体二次電池の電池特性を向上できる。
A.電解質
本発明の電解質は、実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなり、膜厚が500μm以下である。
「実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなる電解質」とは、従来の電解質層のようにバインダー(結着材)等の、所謂「つなぎ」成分を含まずに、電解質がリチウムイオン伝導性固体物質のみからなることを意味する。
このように電解質を形成することによりイオン伝導性を向上できる。
本発明において、電解質の膜厚は500μm以下である。500μmより厚い場合、電解質中のLiイオンの移動性は十分でなく好ましくない。好ましくは電解質の膜厚は、0.01〜500μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。
電解質においては、イオン伝導度を向上させるため、固体電解質の粒子同士が密着し、粒子間の接合点や面を多く存在させ、イオン伝導パスをより多く確保することが重要である。そのため、固体電解質粒子間の隙間に生じる空間(単位体積における空間体積と固体電質粒子の体積の割合:空隙率)が少ない程、固体電解質が密に詰まっており、イオン伝導度は高くなる。本発明の電解質は固体電解質が密に詰まった形態である。
本発明で使用するリチウムイオン伝導性固体物質は、特に限定されず、有機化合物、無機化合物、あるいは有機・無機両化合物からなる材料を用いることができ、リチウムイオン電池分野で公知のものが使用できる。リチウムイオン伝導性が高いことから、硫化リチウムと五硫化二燐、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄から生成するリチウムイオン伝導性無機固体電解質を使用することが好ましい。以下、好ましい固体電解質について説明する。
リチウムイオン伝導性無機固体電解質は、硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は、単体燐及び単体硫黄から製造することができる。具体的には、これら原料を溶融反応した後、急冷するか、または、原料をメカニカルミリング法(以下、MM法と示すことがある。)により処理して得られる硫化物ガラスを加熱処理したものである。
LiSは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、以下に説明するように高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、少なくとも硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、得られる電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)である。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物であり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。
さらに、この結晶化物について下記の熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度のリチウムイオン伝導性無機固体電解質を得ることはできない。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウム電池のサイクル性能を低下させることがない。
従って、高イオン伝導性電解質を得るためには、不純物が低減された硫化リチウムを用いる必要がある。
この固体物質で用いられる硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。
例えば、以下の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
上記のようにして得られた硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号等が挙げられる。
具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
上記硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=70:30(モル比)程度である。
硫化物ガラスの作製方法としては、溶融急冷法やメカニカルミリング法がある。
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物ガラスが得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は1〜10000K/sec程度、好ましくは1〜1000K/secである。
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、メカニカルミリング法にて所定時間反応させることにより、硫化物ガラスが得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス状電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス状電解質の製造と同時に、ガラス状電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は種々の形式を用いることができるが、遊星型ボールミルを使用するのが特に好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
MM法の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス質状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
このようにして得られた電解質は、ガラス状電解質であり、通常、イオン伝導度は1.0×10−5〜8.0×10−4(S/cm)程度である。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物ガラスの具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
その後、得られた硫化物ガラスを所定の温度で熱処理し、固体電解質を生成させる。
固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは190℃〜340℃、より好ましくは、195℃〜335℃、特に好ましくは、200℃〜330℃である。
190℃より低いと高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、340℃より高いとイオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。
熱処理時間は、190℃以上220℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、220℃より高く340℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、240時間より長いと、イオン伝導性の低い結晶が生じるとなる恐れがある。
このようにして得られたリチウムイオン伝導性無機固体電解質は、通常、イオン伝導度は、7.0×10−4〜5.0×10−3(S/cm)程度である。
このリチウムイオン伝導性無機固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。
このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
本発明で使用するリチウムイオン伝導性固体物質としては、特に、リチウム(Li)元素、リン(P)元素及び硫黄(S)元素を含有する固体電解質であって、下記(1)及び(2)の条件を満たすことものが好ましい。
(1)固体電解質の固体31PNMRスペクトルが、90.9±0.4ppm及び86.5±0.4ppmに、結晶に起因するピークを有する。
(2)固体電解質に占める(1)のピークを生じる結晶の比率(x)が60mol%〜100mol%である。
条件(1)の2つのピークは、高イオン伝導性結晶成分が固体電解質に存在する場合に観測されるものである。具体的には、結晶中のP 4−とPS 3−に起因するピークである。
条件(2)は、固体電解質中に占める上記結晶の比率xを規定するものである。
固体電解質中において高イオン伝導性の結晶成分が所定量以上、具体的には60mol%以上存在すると、リチウムイオンが高イオン伝導性の結晶を主に移動するようになる。従って、固体電解質中の非結晶部分(ガラス部分)や、高イオン伝導性を示さない結晶格子(例えば、P 4−)を移動する場合に比べて、リチウムイオン伝導度が向上する。比率xは65mol%〜100mol%であることが好ましい。
上記結晶の比率xは、原料である硫化物ガラスの熱処理時間及び温度を調整することにより制御できる。
尚、固体31PNMRスペクトルの測定は、例えば、日本電子株式会社製のJNM−CMXP302NMR装置を使用して、観測核を31P、観測周波数を121.339MHz、測定温度を室温、測定法をMAS法として行なう。
比率xの測定方法は、固体31PNMRスペクトルについて、70〜120ppmに観測される共鳴線を、非線形最小二乗法を用いてガウス曲線に分離し、各曲線の面積比から算出する。詳細は特願2005−356889を参照すればよい。
この固体電解質では、固体LiNMR法で測定される室温(25℃)におけるスピン−格子緩和時間T1Liが400ms以下であることが好ましい。緩和時間T1Liは、ガラス状態又は結晶状態とガラス状態を含む固体電解質内における分子運動性の指標となり、T1Liが短いと分子運動性が高くなる。従って、放電時におけるリチウムイオンの拡散がしやすいため、イオン伝導度が高くなる。本発明においては、上述したように、高イオン伝導性の結晶成分が所定量以上含むため、T1Liを400ms以下にできる。T1Liは、好ましくは350ms以下である。
尚、Liのスピン−格子緩和時間T1Liは、例えば以下のようにして求めることができる。
日本電子株式会社製のJNM−CMXP302NMR装置を使用して、下記の条件で測定すると0−1ppmの範囲にピークがあるLiNMRスペクトルが得られる。
・NMR測定条件
観測核 :Li
観測周波数:116.489MHz
測定温度 :室温(25℃)
測定法 :飽和回復法(パルス系列:図1参照)
90°パルス幅:4μs
マジック角回転の回転数:6000Hz
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:5s
積算回数:64回
化学シフトは、外部基準としてLiBr(化学シフト−2.04ppm)を用いて決定する。
図1のτを変化させて測定を行った時に得られるこのピークの強度の変化を非線形最小二乗法を用いて、以下の式に最適化することによりT1Liを決定する。
Figure 2008021424
M(τ):τのときのピーク強度
この固体電解質は、少なくとも10V以上の分解電圧を持ち、不燃性の無機固体である。また、リチウムイオン輸率が1であるという特性を保持しつつ、室温において10−3S/cm台という極めて高いリチウムイオン伝導性を示す。従って、リチウム電池の固体電解質用の材料として極めて適している。また、耐熱性の優れた固体電解質である。
また、本発明においては硫化リチウム(LiS):三硫化二硼素(B):LiaMObで表わされる化合物のモル%比が、X(100−Y):(1−X)(100−Y):Yで表わされる組成を有するリチウムイオン伝導性固体電解質も好ましく使用できる。
ここで、Mは燐(P)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)から選ばれる元素を示し、a及びbは独立に1〜10の数を示し、Xは0.5〜0.9の数を示し、Yは0.5〜30モル%を示す。
このリチウムイオン伝導性固体電解質は、後述する溶融反応物を急冷して得られる硫化物系ガラス、該ガラスを熱処理して得られる硫化物系結晶化ガラス、更には熱処理前の硫化物系ガラス及び熱処理で形成される硫化物ガラスの任意の割合の混合物を含むものである。
このリチウムイオン伝導性固体電解質には、他の構成成分として、ケイ素、燐、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、インジウムから選ばれる元素を添加することもできる。
このリチウムイオン伝導性固体電解質は、硫化リチウム:三硫化二硼素又は三硫化二硼素に相当するモル比の硼素と硫黄元素の混合物:LiaMObで表わされる化合物のモル%比が、X(100−Y):(1−X)(100−Y):Yからなる原料混合物を溶融反応後、急冷することにより製造することができる。M(珪素(Si)を除く),a、b、X及びYは、前記と同じである。
また、このリチウムイオン伝導性固体電解質は、硫化リチウム:三硫化二硼素又は三硫化二硼素に相当するモル比の硼素と硫黄元素の混合物:LiaMObで表わされる化合物のモル%比が、X(100−Y):(1−X)(100−Y):Yからなる原料混合物を溶融反応後、急冷し、更に100〜350℃で熱処理することにより製造することもできる。
このリチウムイオン伝導性固体電解質の原料である、硫化リチウム、三硫化二硼素、硼素及び硫黄は、特に制限はないが高純度であるほうが好ましい。
更に、LiaMOb(但し、Mは燐、アルミニウム、ホウ素、硫黄、ゲルマニウム、ガリウム、インジウムから選ばれる元素を示し、a及びbは独立に1〜10の数を示す。)で表わされる化合物も、特に制限はないが高純度であるほうが好ましい。
LiaMObで表わされる化合物としては、ホウ酸リチウム(LiBO)及びリン酸リチウム(LiPO)を好ましく挙げることができる。
上記Mが燐、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、ガリウム、インジウムから選ばれる元素である化合物は、ホウ酸リチウム及びリン酸リチウムと同様な結晶構造をとるものであれば特に制限はない。
これらの化合物としては、例えば、LiAlO、LiBOなどが挙げられる。
本発明で用いられる三硫化二硼素、硼素、硫黄及び一般式LiaMObで表わされる化合物は、高純度である限り市販品を使用することができる。
本発明においては、原料混合物中のLiaMObで表わされる化合物の含有量は、0.5〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは1〜15モル%である。
また、硫化リチウムの含有量は、好ましくは50〜99モル%、より好ましくは55〜85モル%、更に好ましくは60〜80モル%であり、そして残部は三硫化二硼素、又は三硫化二硼素に相当するモル比の硼素と硫黄元素の混合物である。
上記混合物の溶融反応温度は、通常400〜1000℃、好ましくは600〜1000℃、更に好ましくは700〜1000℃であり、溶融反応時間は、通常0.1〜12時間、好ましくは0.5〜10時間である。
上記溶融反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は0.01〜10000K/sec程度、好ましくは1〜10000K/secである。
このようにして得られた溶融反応物(硫化物系ガラス)は、ガラス質(完全非晶質)であり、通常、イオン伝導度は0.5〜10×10−4(S/cm)である。
このリチウムイオン伝導性固体電解質は、上記溶融反応物(硫化物ガラス)を熱処理することにより製造することもできる。
熱処理は、100〜350℃、好ましくは150〜340℃、更に好ましくは180〜330℃であり、熱処理時間は、熱処理温度に左右されるが、通常0.01〜240時間、好ましくは0.1〜24時間である。
この熱処理により、イオン伝導度の向上した固体電解質を得ることができる。
このようにして得られた固体電解質は、通常、3.0×10−4〜3.0×10−3(S/cm)のイオン伝導度を示す。
本発明の電解質は、例えば、粒子状のリチウムイオン伝導性固体物質を、ブラスト法やエアロゾルデポジション法にて製膜することで製造できる。また、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)又は溶射法等でもリチウムイオン伝導性固体物質の製膜が可能である。しかしながら、簡便な装置や室温条件下、電解質の結晶状態を変化させない温度範囲で製膜できることから、上述のブラスト法やエアロゾルデポジション法、が好ましい。
以下、ブラスト法及びエアロゾルデポジション法による製造方法を説明する。
1.ブラスト法
ブラスト法は、ブラスト加工装置により噴射材(本発明ではリチウムイオン伝導性固体物質)を、被処理対象(本発明では集電体)に噴射し、被処理対象の表面に噴射材からなる層を形成する方法である。
本発明で使用するブラスト加工装置は、サンドブラスト等に使用される公知のものが使用できる。例えば、直圧式ブラスト加工装置が使用できる。ブラスト加工装置に使用する噴射ノズルについては、噴射材の噴射速度の向上の観点から、下記式(1)及び(2)の要件を満たすものを使用することが好ましい。
Figure 2008021424
ここで、式中の記号は下記のものを示す。尚、当該記号に添字がある場合、添字として1が付いているものは噴射ノズル入口における値を、添字として2が付いているものは噴射ノズル出口における値を示し、添字のついていないものは、任意位置xでの値を示すものとする。
g:重力加速度 g=9.8〔m/sec
κ:気体の比熱比〔(c/c)〕
R:気体定数〔kJ/(kg・K)〕
:噴射ノズル入口における気体の温度〔K〕
p:噴射ノズル入口から任意位置xにおける気体の圧力〔Pa〕
:噴射ノズル入口における気体の圧力〔Pa〕
:噴射ノズル出口における気体の圧力〔Pa〕
G:気体の重量流量〔N/sec〕
x:噴射ノズル入口からの任意位置〔m〕
L:噴射ノズル長さ〔m〕
尚、本例にあっては、κ=1.4、R=286.85J/kg・K、T=293K、p=1.08MPa、p=0.10MPa、L=0.024m、d=φ3=0.003mとしている。この結果、p=p=0.57kgf/cm、T=T=244K、w=313m/sec、a=7.1×10−6、G=1.73N/secとなる。
ブラスト加工装置については、特開2005−144566号公報や、素形材(2005.3:12−17頁)を参照できる。
本発明において、ブラスト加工時の噴射材の噴射速度は、150m/sec〜450m/sec、好ましくは200m/sec〜300m/secとすることが好ましい。この範囲であれば、電解質をアルミや銅などの集電体上に固体電解質の薄膜層として形成可能であり好ましい。
噴射圧力は0.01MPa〜5MPaとすることが好ましい。より好ましくは、0.1MPa〜2MPaである。この範囲であれば、固体電解質の薄膜形成が可能であり好ましい。
噴射材の平均粒径は、0.1μm〜100μmが好ましく、より好ましくは1μm〜50μmとする。平均粒径は、トルエン溶媒に原料粉末を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(シスメックス社製 型番:マスターサイザー2000)で測定した値を意味する。この範囲であれば、良好な固体電解質の薄膜層が形成できる。
2.エアロゾルデポジション法
エアロゾルデポジション法は、微粒子又は超微粒子状のリチウムイオン伝導性固体物質をガスと混合してエアロゾル化し、ノズルを通して集電体に噴射して、リチウムイオン伝導性固体物質からなる電解質層を形成する方法である。この方法によれば、リチウムイオン伝導性固体物質を高温下に曝すことなく電解質層形成できる。
エアロゾルデポジション法で使用する装置や製膜条件等は、例えば、特開2001−3180号公報やAIST Today(産業技術研究所の広報誌),vol.4 No.8 Topicsを参照できる。
B.電池用部材
本発明の電池用部材は、全固体二次電池の固体電解質層として使用されるものであり、集電体と、この集電体上の少なくとも一部に電解質層を有する。そして、電解質層が実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなり、電解質層の膜厚が500μm以下である。
本発明では集電体として、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
本発明の電池用部材では、この集電体上の少なくとも一部に、実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなる電解質層がある。電解質層は、上述した本発明の電解質である。
このように電解質層を形成することにより、電池用部材のイオン伝導性を向上できる。
C.電極
固体の極材においては、電子伝導性に加えてイオン伝導度を向上させるため、極材の粒子同士が密着し、粒子間の接合点や面を多く存在させ、イオン伝導パスをより多く確保することが重要である。そのため、電解質等のイオン伝導活物質を混合し、極材とする方法も用いられる。又、極材粒子間の隙間に生じる空間(単位体積における空間体積と極材粒子の体積の割合:空隙率)が少ない程、極材層が密に詰まっており、イオン伝導度は高くなる。
本発明において集電体としては、上述した電池用部材と同じものが使用できる。
極材層を形成する材料としては、正極材と負極材がある。
正極材としては、電池分野において正極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用できる。好ましくは、TiSが使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi,BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe)が使用できる。
負極材としては、電池分野において負極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、極材に電解質層で使用する固体電解物質を混合して使用してもよい。
本発明の電極は、上記正極材又は負極材を集電体の少なくとも一部に膜状に形成することで作製できる。製膜方法としては、上述した電池用部材の製造と同様、ブラスト法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法又は溶射法等が挙げられる。このような方法により製膜することで、極材層の空隙率をより小さくすることができ、イオン伝導度を向上させることができる。
尚、簡便な装置や室温条件下、電解質の結晶状態を変化させない温度範囲で製膜できることから、ブラスト法やエアロゾルデポジション法、が好ましい。
D.全固体二次電池
本発明の全固体二次電池は、上述した本発明の電解質、電池用部材、及び電極の少なくとも1つを有する。
また、正極と負極からなる一対の電極と、正極と負極の間に電解質層を有し、この電解質層が実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなり、電解質層の膜厚が500μm以下である。
図2は本発明の全固体二次電池の一実施形態の構成図である。
全固体二次電池10は、正極20及び負極30からなる一対の電極間に電解質40が挟まれている構成を有する。正極20は集電体21と正極材22からなり、負極30は集電体31と負極材32からなる。これらは本発明の電極である。電解質40は集電体41と固体電解質層42からなり、正極材22と負極材32に挟持されている。
尚、本実施形態では、上述した本発明の電極及び電池用部材を使用しているが、これに限られず電極又は電池用部材の一方のみを使用してもよい。本発明の電池用部材を使用した場合は、リチウムイオン全固体二次電池となる。
また、集電体21,31,41は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。例えば、集電体31には銅箔を使用し、集電体21及び41にはアルミニウム箔を使用してもよい。
さらに、集電体41は省略可能である。
本発明の全固体二次電池は、上述した本発明の電池用部材及び/又は電極各部材を貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各部材を積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
本発明の全固体二次電池は、上記の電池用部材及び/又は電極を接合したことにより実用レベルの全固体電池となる。
また、本発明の電池は薄型化が可能であるため、積層して高出力を得ることができる。さらに、高度の集積が可能である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
尚、イオン伝導性、電池特性の評価については国際公開第2005/119706号の実施例に記載されている方法で行った。
ブラストを用いた固体電解質層の形成、極材の形成及び形成された膜厚の測定等については、特開2005−144566の実施例に記載された方法でおこなった。
製造例1(リチウムイオン伝導性固体物質の製造)
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法にしたがって製造した。
具体的には、攪拌翼のついた10リットルオートクレーブに、N一メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpmで130℃に昇温した。
昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cm/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。
昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。
水を系外に留去すると共に、反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。
脱硫化水素反応が終了後(約80分間)、反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP一硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間攪拌した。
この温度のままNMPをデカンテーションした。
さらに、NMP100mLを加え、105℃で約1時間攪拌し、この温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。
デカンテーション終了後、230℃で減圧下3時間乾燥した。
得られた硫化リチウム中の不純物含有量をイオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、亜硫酸リチウム(LiSO)は0.0008質量%未満、硫酸リチウム(LiSO)は0.001質量%未満、チオ硫酸リチウム(Li)は0.001質量%未満、N一メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)は、0.04質量%であった。
(3)リチウムイオン伝導性固体物質の製造
上記製造例にて精製したLiSとP(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。LiS 70モル部、P 30モル部を添加してなる混合物を約50gと粒径10mmΦのアルミナ製ボール175ケを500mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)にて、窒素雰囲気下、室温(25℃)にて、回転速度を290rpmとし、36時間メカニカルミリング処理(エネルギーとしては、38.5kWh/kg電解質)することで、白黄色の粉末として硫化物系ガラスを得た。
得られた粉末について、粉末X線回折測定を行った(CuKα:λ=1.5418Å)。結果、LiSの結晶ピークは、完全に消失しガラス化していることが確認できた。このX線回折スペクトルを図3に示す。
このガラス粉末を密閉容器にいれ、300℃、2時間熱処理して、リチウムイオン伝導性固体物質を得た。上記と同様に、粉末X線回折測定を行った結果、図4に示す結晶ピークが得られた。
得られた電解質のイオン伝導度は、2×10−3S/cmであった。
製造例2(リチウムイオン伝導性固体物質の製造)
PCT/JP2006/300124号の実施例11に記載した方法により、LiS、B、LiPOから成る溶融反応物(硫化物系ガラス)を作成した。具体的には、硫化リチウム(LiS)0.2903g(0.00632モル)、三硫化二硼素(B)0.3204g(0.00272モル)、リン酸リチウム(LiPO)0.0787g(0.00068モル)を、乳鉢でよく混合した後ペレット化し、カーボンコートを施した石英ガラス管中に入れ、真空封入した。
尚、硫化リチウム(LiS)には、製造例1の(1)、(2)の方法により得られたLiSを使用した。
次に、縦型反応炉にいれ、4時間かけて800℃に昇温して、この温度で2時間溶融反応を行った。
反応終了後、石英管を氷水中に投入し急冷した。その後、石英管を開管し、LiS、B、LiPOから成る溶融反応物(硫化物系ガラス)の粉末を得た。
得られた粉末試料についてX線回折を行った結果、明瞭な回折線は観測されず、試料がガラス化していることが確認された。この粉末試料についてイオン伝導度を測定したところ、室温でのイオン伝導度は8.0×10−4Scm−1であった。
この溶融反応物(熱処理前)の粉末試料を230℃で30分間熱処理した。得られた熱処理物の粉末試料についてイオン伝導度の測定を行ったところ、室温でのイオン伝導度は2.4×10−3Scm−1であった。
実施例1(固体電解質層)
特開2005−144566の実施例4と同様の方法を用い、ブラスト法で、アルミ板上に、固体電解質の薄膜層を形成させた。具体的には、集電体である5mm×5mm×1mm厚のアルミ板上に、製造例1で作製したリチウムイオン伝導性固体物質の薄膜を形成し電解質層とした。尚、使用した固体物質の平均粒径は15μmであった。また、ブラスト法の条件は、噴射圧力1.5MPa、噴射速度300m/sec、噴射距離50mmとした。
電解質層の膜厚を透過型電子顕微鏡装置(FE−TEM)で観測したところ、平均膜厚は2μmであった。尚、平均膜厚はFE−TEMで、ランダムに10点観測し、その平均値とした。
この固体電解質層のイオン伝導性を測定したところ、6×10−4S/cmであった。
実施例2(正極)
実施例1と同様にブラスト法により正極を作製した。具体的には、正極材としてコバルト酸リチウムと製造例1のリチウムイオン伝導性固体物質を8:5の重量比で混合したものを、集電体として5mm×5mm×1mm厚のアルミ板を使用した。ブラストの条件は、噴射速度を270m/secに変えた以外実施例1と同様とした。
電解質層の膜厚を透過型電子顕微鏡装置(FE−TEM)で観測したところ得られた正極の正極材層の平均膜厚は200μmで、薄膜が形成されていた。
実施例3
次のようにして測定セルを組み、二次電池としての作動性を確認した。具体的に、実施例1で製作した固体電解質部材を直径1cmの円盤にくり抜いた。実施例2で作成した電極を直径1cmの円盤にくり抜いた。円盤の、固体電解質部材の電解質層の面と、電極の極材層の面とを合わせ、接合した(実施例2の電極を正極とした)。
次に、固体電解質層のアルミ集電体上に、直径1cm、厚さ0.5mmのリチウム金属箔を貼り合せ、更に、リチウム金属箔上に、直径1cm、厚さ0.5mmの銅箔を貼り合せ、負極とした。
このようにして作製した測定セルの電池特性を評価した。
この測定セルを50μAの定電流で充放電させた結果、二次電池として作動することが確認できた。
実施例4(固体電解質層)
実施例1において使用した、製造例1で作製したリチウムイオン伝導性固体物質に代えて、製造例2で作製した溶融反応物(硫化物系ガラス固体電解質)を用い、実施例1と同様にして薄膜を形成し電解質層とした。尚、使用した固体電解質の平均粒径は5μmであった。
この固体電解質層のイオン伝導性を測定したところ、7×10−4S/cmであった。
また、電解質層の膜厚を透過型電子顕微鏡装置(FE−TEM)で観測したところ、平均膜厚は3μmであった。
実施例5
実施例4で製作した固体電解質層を用い、実施例3と同様にして測定セルを組み、二次電池としての作動性を確認した。この測定セルを50μAの定電流で充放電させた結果、二次電池として作動することが確認できた。
本発明の電解質、電池用部材及び電極は、全固体二次電池に使用できる。
本発明の全固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
緩和時間測定時のパルス系列を示す図である。 本発明の一実施形態の全固体二次電池の構成図である。 硫化物系ガラスのX線回折スペクトルである。 リチウムイオン伝導性固体物質のX線回折スペクトルである。
符号の説明
10 全固体二次電池
20 正極
21 集電体
22 正極材
30 負極
31 集電体
32 負極材
40 電解質
41 集電体
42 固体電解質

Claims (6)

  1. 実質的にリチウムイオン伝導性固体物質のみからなり、膜厚が500μm以下である電解質。
  2. ブラスト法又はエアロゾルデポジション法により形成した請求項1の電解質。
  3. 集電体と、この集電体上の少なくとも一部に請求項1又は2の電解質を有する電池用部材。
  4. ブラスト法又はエアロゾルデポジション法により、集電体と、この集電体上の少なくとも一部に、極材層を形成させた電極。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解質、電池用部材及び電極の少なくとも1つを有する全固体二次電池。
  6. 前記電解質が、硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は、単体燐及び単体硫黄からなる請求項5に記載の全固体二次電池。
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