一般的に、光ディスク記録再生装置にはAPC(Automatic Power Control)回路が備えられている。APC回路は、光ディスク記録再生装置において、安定した情報の読み込み、または、書き込みがなされるように、レーザーダイオードから出射されるレーザー光のパワーを目標とするレーザーパワーに一定に保つように動作する。すなわち、APC回路は、レーザーダイオードから出射されるレーザー光のレーザーパワーを安定に保つための制御を行う。
始めに、APC回路の概要を説明する。図11は、一般的なAPC回路100の構成を示す図である。APC回路100は、レーザーダイオード101(図11においてはLDと略)、LD(レーザーダイオード)駆動回路102、フォトディテクター103(図11においてはPDと略)、I/V(電流/電圧)アンプ104、エラーアンプ105、およびマイクロコンピュータ106からなる。レーザーダイオード101は、LD駆動回路102によって駆動され、レーザーを照射する。フォトディテクター103は、レーザーダイオード101から照射されるレーザー光を検出すると、受光量に応じた量の電流を発生する。フォトディテクター103によって発生する電流は、I/Vアンプ104によって電圧信号に変換される。この変換された電圧信号は、レーザーダイオード101のレーザーパワーを表す。一方、エラーアンプ105は、内部に備えているデジタルアナログコンバータ(以下DACと略す)に、あらかじめ目標とするレーザーパワーを表す基準電圧が設定されている。エラーアンプ105は、I/Vアンプ104によって変換された電圧信号を受け取ると、受け取った電圧信号と前記基準電圧との差を誤差信号として出力する。そして、エラーアンプ105から出力された誤差信号はLD駆動回路102に入力される。
LD駆動回路102は、レーザーダイオード101のレーザーパワーが、目標とするレーザーパワーとなって一定に保たれるように動作する。具体的には、エラーアンプ105から入力された誤差信号に応じて、レーザーダイオード101を駆動する電流に含まれるPC電流(パワーコントロール電流)を制御する。つまり、エラーアンプ105が、レーザーダイオード101を駆動するPC電流(パワーコントロール電流)を制御していることになる。
次に、一般的なレーザーダイオードの動作特性について説明する。図12は、一般的なレーザーダイオードの動作特性を示す図である。図12には、レーザーダイオードの順方向の電流値(図12のレーザー電流(mA)に対応)とレーザーパワー(図12のPo(mW)に対応)との関係が示されている。図12には低温、常温、高温におけるレーザーダイオードの特性が示されている。
図12に示される動作特性は、一般的に、レーザーダイオードのI−P(電流−電力)特性と呼ばれる。図12に示すとおり、レーザーダイオードは、順電流を増加させても、ある大きさ以上の電流が流れなければ発光しない。レーザーダイオードが発光を開始する電流値を閾値電流値と称する。図12においては、閾値電流値は40〜50mAに相当する。レーザーダイオードの特性として、ある一定のレーザーパワーのレーザーを照射する場合、温度が高くなる程、大きな電流を必要とする。また、図12には、光ディスクにレーザーを照射して情報を記録したり消去したりする場合の電流波形の一例も示されている。この電流波形については後述する。
以下に、APC回路100について、より詳細に説明する。
図13は、レーザーダイオード駆動回路102の内部の構成を示す図である。レーザーダイオード駆動回路102は、PC端子160、+B端子164、LD_CNT端子163、IOUT端子161、GND端子162、駆動回路115、加算器130、N-chMOSトランジスタ131、および3つのDAC(Pw_DAC112・Pw_DAC113・Pw_DAC114)を備えている。これらのDACには、それぞれ、書き込み用、消去用、バイアス用の3種類のレーザーパワーを決定するデジタル値が設定されている。このデジタル値に応じて、レーザーダイオード101には、書き込み用、消去用、バイアス用のいずれかのレーザーパワーが得られるような電流が流れる。以下では、DACに設定されているデジタル値をDAC値と称す。
Pw−DAC(Power write−DAC)112には、書き込み時のレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。書き込む場合にレーザーダイオード101に流れる電流と照射されるレーザー光のレーザーパワーを、それぞれ、Pw(Power Write)電流、Pwレーザーパワーと呼ぶ。
Pe−DAC(Power Erase−DAC)113には、消去時のレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。光ディスクから情報を消去する場合にレーザーダイオード101に流れる電流と照射されるレーザー光のレーザーパワーを、それぞれ、Pe(Power Erase)電流、Peレーザーパワーと呼ぶ。
Pb−DAC(Power Biase−DAC)114には、バイアスによるレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。レーザーダイオード101に流れるバイアス電流をPb(Power Biase)電流と呼ぶ。また、このとき照射されるレーザーパワーをPbレーザーパワーと呼ぶ。
なお、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114には、マイクロコンピュータ111によってDAC値が初期設定される。一般的なAPC回路100においては、DAC値は初期設定のみがなされ、その後は変更されない。APC回路100のレーザーパワーの変更は、後述するエラーアンプ105のDAC値を変更することのみによって行われる。
レーザーダイオード駆動回路102は、駆動回路(Drive)115を備えている。駆動回路115は、エラーアンプ105から受け取る誤差信号に応じて、レーザーダイオード101に流れる電流を制御する。すなわち、駆動回路115は、エラーアンプ105から受け取る誤差信号に応じて、レーザーダイオード101のレーザーパワーを制御する。なお、エラーアンプ105から受け取る誤差信号をPC電圧と呼ぶ。また、駆動回路115によって制御されてレーザーダイオード101に流れる電流を、PC(Power Control)電流と呼ぶ。
ここで、図12に示されている電流波形について説明する。図12に示されているとおり、Pw電流、Pe電流、Pb電流の大きさは、それぞれ、Pw−DAC、Pe−DAC、Pb−DACに初期設定されたDAC値によって定まる電流に、駆動回路115によって制御されるPC電流を加えた大きさになる。ここで、Pw−DAC、Pe−DAC、Pb−DACに初期設定されたDAC値によって定まる電流は固定されているため、Pw電流、Pe電流、Pb電流の大きさは、PC電流の変動によってのみ変動する。例えば、PC電流が増加すれば、結果として、Pw電流、Pe電流、Pb電流も増大する。
図12には、上述したとおり、低温、常温、高温におけるレーザーダイオード101のI−P特性が示されている。図12に示されているとおり、常温におけるレーザーダイオード101のPwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーの大きさは、それぞれ、Pw1、Pe1、Pb1である。しかしながら、高温状態になると、レーザーダイオード101のI−P特性は、右方向(すなわち、前記の閾値電流値が大きくなる方向)へシフトする。このとき、レーザーダイオード101に流れる電流値が変わらなければ、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーは、それぞれ、Pw2、Pe2、Pb2となり、常温時の各レーザーパワーに比べて低下する。
このようにしてレーザーダイオード101のレーザーパワーが低下すると、フォトディテクター103において検出される受光量が減少し、発生する電流も小さくなる。したがって、I/Vアンプ104に入力される電流も小さくなる。
図14は、I/Vアンプ104の内部の構成を示す図である。I/Vアンプ104は、入力端子(IN)151、演算増幅器150、抵抗154、基準電位(Verf)153、および出力端子152を備えている。入力端子151は、演算増幅器150の反転入力端子(−)と接続されている。基準電位153は、演算増幅器150の非反転入力端子(+)に接続されている。抵抗154は、演算増幅器150の出力と演算増幅器150の反転入力端子(−)とを互いに接続している。
I/Vアンプ104の動作は以下のとおりである。I/Vアンプ104は、前記のPw電流、Pe電流、Pb電流が入力されると、それぞれの電流に対応する電圧信号を出力する。すなわち、Pw電流、Pe電流、Pb電流の各電流を、電圧信号に変換する。ここで、I/Vアンプ104から出力される電圧は、Vrefを基準としており、レーザーが全く照射されていないときの出力電圧はVrefとなる。一方、出射されるレーザー光のレーザーパワーが大きくなれば、I/Vアンプから出力される電圧は低下する。したがって、レーザーダイオード101のレーザーパワーが低下し、I/Vアンプ104に入力される電流が小さくなる場合、I/Vアンプ104から出力される電圧は高くなる。
図11に示すように、I/Vアンプ104から出力される電圧信号は、エラーアンプ105に入力される。エラーアンプ105はDACを内部に備えており、このDACには、レーザーダイオード101の目標とするレーザーパワーを定めるデジタル値(DAC値)が設定されている。つまり、上述した基準電圧は、このDAC値によって定まる。そして、このDAC値によって、レーザーダイオード101のレーザーパワーは決定される。なお、DAC値は、マイクロコンピュータ111によって設定される。
つまり、エラーアンプ105においては、入力される電圧信号と内部に設定されているDAC値とを比較し、目標とするレーザーパワーが得られるような誤差信号を出力してLD駆動回路102に供給する。より詳細には、LD駆動回路102に供給される電圧は、内部の駆動回路115に入力され、PC電流を制御する。すなわち、レーザーダイオード101のレーザーパワーが一定に保たれるようにPC電流が調整される。
より具体的に説明すれば、エラーアンプ105に入力される電圧信号が上昇している場合、すなわち、レーザーパワーが低下している場合、エラーアンプが出力する電圧は上昇する。そして、LD駆動回路102(より具体的には駆動回路115)は、供給される電圧の上昇に応じて、PC電流を増大させる。これにより、レーザーダイオード101に流れる電流は大きくなり、低下していたレーザーパワーは元のパワーに復帰する。
以上のようなAPC回路100における各部の動作によって、レーザーダイオード101のレーザーパワーは、目標とするレーザーパワーで一定に保たれる。
なお、APC回路には、エラーアンプの違いによって、サンプリング型APC回路と平均値型APC回路とがある。詳細については後述する。
ところで、光ディスク記録再生装置において、光ディスクにレーザービームを照射して情報を記録する場合、記録に最適なレーザーパワーを抽出するためにテストライトが行われる。このテストライトでは、何種類ものレーザーパワーによってディスクに試し記録される。
また、光ディスク記録再生装置において、ディスクへの記録中に、ディスクからの反射光を検出してレーザーパワーの最適化を図るランニングOPC(Optimum Power Control)という手法がある。このランニングOPCを用いれば、例えば、ディスクからの反射光が常に一定になるようにレーザーパワーを制御して、安定した記録品質を得ることができるようになる。
上述したテストライトやランニングOPCにおけるレーザーパワーの制御においては、高速な応答が要求されるが、このようなレーザーパワーの高速な制御が必要とされる場合には、APC回路として、サンプリング型APC回路が広く用いられている。
このサンプリング型APC回路は、エラーアンプに入力される電圧信号について、サンプリング対象とする信号が入力されている期間においてのみサンプルホールドし、APCループにはLPF(ローパスフィルター)を設けることなく、応答特性の高速化を図り、高速にレーザーパワー制御を実現している。
図15は、サンプリング型APC回路のエラーアンプ105aの構成を表す図である。以下、APC回路100のエラーアンプ105として、エラーアンプ105aを適用した場合について説明する。
図15に示すとおり、エラーアンプ105aは、サンプリング部116、入力端子167、SP(サンプリングパルス)端子168、第1の増幅部183、比較部184、第2の増幅部185、および出力端子169を備えている。
入力端子167には、図15に示すように、外部からPeレーザーパワーに対する電圧値、Pwレーザーパワーに対する電圧値、およびPbレーザーパワーに対する電圧値が順次入力される。一方、SP端子168には、外部から所定の周期でhighレベルとなる、パルスが入力される。入力端子167は、アナログスイッチ171と接続されており、該アナログスイッチ171は、SP端子168から入力されるパルスに応じて開閉される。すなわち、パルスがhighレベルとなるときに閉じる(つまり導通する)ようになっている。
サンプリング部116は、アナログスイッチ171、コンデンサ172、グランド電位173、および演算増幅器(A)117を備えている。コンデンサ172はアナログスイッチ171の後段に配されており、一端がアナログスイッチ171に接続されており、他端がグランド電位173に接続されている。演算増幅器(A)117は、コンデンサの後段に配されており、非反転入力端子がコンデンサの一端およびスイッチと接続されており、反転入力端子が演算増幅器自身の出力と接続されている。
第1の増幅部183は、抵抗174、基準電位175、抵抗176、および演算増幅器(B)118を備え、サンプリング部116の後段に配されている。抵抗174は、一端が演算増幅器(A)117の出力端子に接続されている。そして、他端が、後段に配されている演算増幅(B)118の非反転入力端子に接続されている。抵抗176は、演算増幅器118(B)の出力端子と反転入力端子(−)とを互いに接続している。演算増幅(B)118の反転入力端子は、基準電位175に接続されている。
比較部184は、抵抗177、DAC178、抵抗179、および演算増幅器(C)119を備え、第1の増幅部183の後段に配されている。抵抗177は、一端が演算増幅器(B)118の出力端子に接続されている。そして、他端が、後段に配されている演算増幅器(C)119の非反転入力端子に接続されている。抵抗179は、演算増幅器119(C)の出力端子と反転入力端子(−)とを互いに接続している。演算増幅器(C)119の反転入力端子にはDAC178の一端が接続され、DAC178の他端はPW_CNT端子170に接続されている。
第2の増幅部185は、抵抗180、抵抗181、基準電位182、および演算増幅器(C)120を備え、比較部184の後段に配されている。第2の増幅部185の構成は第1の増幅部183と同じであり、詳細な説明は省略する。なお、第2の増幅部185からの出力は、出力端子169を介して、外部へ出力される。
サンプリング型のAPC回路においては、レーザーダイオード101から出射されレーザーがフォトディテクター103によって検出され発生した電流が、I/Vアンプ104によって電圧信号に変換されてエラーアンプ105aへの入力信号となる。このとき入力される信号は、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに応じて異なる電圧値を示すパルス波形となる。
サンプリング型APC回路のエラーアンプ105aにおいては、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルスのうち、いずれか1種類のパルスのみをサンプリングし、サンプリングした種類のパルスのみを誤差信号を生成する対象とする。したがって、エラーアンプ105aは、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルスのうち、いずれか1種類のパルスが入力されるタイミングにおいてのみ、I/Vアンプ104からの入力信号をサンプルホールドする必要がある。
図15には、Peレーザーパワーに対応するパルスをサンプリングする例が示されている。図15に示されているSP端子には、Peレーザーパワーに対応するパルスに同期するパルスが供給されている。これにより、SP端子に供給される同期用のパルスのタイミングにあわせてサンプリングすることによって、Peレーザパワーに対応するパルスのみをサンプリングできる。
図16は、図15に示すエラーアンプ105aの各部の電圧波形を示す図である。具体的には、エラーアンプ105aへの入力電圧の波形とサンプリング部116、第1の増幅部183、比較部184、および第2の増幅部185の出力電圧の波形である。図16に示す破線のDAC値は、図15に示すDAC178に設定されているDAC値である。
エラーアンプ105aへの入力電圧の波形は、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルスであるが、サンプリング部116を構成する演算増幅器(A)117からの出力は、Peレーザーパワーに対応する電圧値のみが抽出されている。
上述したとおり、サンプリング型APC回路のエラーアンプ105aは、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルスのうち、いずれか1種類のパルスのみをサンプリングするために、同期用のパルス信号を生成する必要がある。また、サンプリング型APC回路においては、高速に応答するために、I/Vアンプやエラーアンプに使用される回路素子は、広帯域素子であることが要求される。
ただし、上述した構成のため、サンプリング型APC回路は複雑化してしまい、また、用いられる回路素子が高価であるためコストを低下できない。さらに、レーザーダイオードを含む光ピックアップ装置内にAPC回路を一体化させようとした場合、部品点数の増大により小型化が困難である。
これに対し、平均値型APC回路は、I/Vアンプやエラーアンプの内部素子が広帯域素子であることは要求されず、また、エラーアンプにサンプリング部を設ける必要がないため、APC回路の全体構成としては、簡素に実現することができる。しかしながら、光ディスク記録再生装置における記録用レーザーのレーザーパワーの制御に平均値型APC回路を適用した場合、高速な応答が要求されない基本的なレーザーパワーの制御については問題ないが、一様な記録品質を得るための高速なレーザーパワーの制御については要求される速度で応答することができず、実質的には制御できていない。
以下に平均値型APC回路について、より詳細に説明する。図17は、平均値型APC回路のエラーアンプ105bの構成を表す図である。以下、APC回路1のエラーアンプ105として、エラーアンプ105bを適用した場合について説明する。
図17に示すとおり、エラーアンプ105bは、入力端子203、増幅部121、比較部122、ローパスフィルター部123、および出力端子204を備えている。
増幅部121は、抵抗190、基準電位194、抵抗192、および演算増幅器(A)193を備えている。抵抗190は、一端が入力端子203に接続され、他端が演算増幅(A)193の反転入力端子に接続されている。抵抗192は、演算増幅器193(A)の出力端子と反転入力端子(−)とを互いに接続している。演算増幅(A)193の非反転入力端子は、基準電位194に接続されている。
比較部122は、抵抗195、DAC124、抵抗197、および演算増幅器(B)196を備え、増幅部121の後段に配されている。抵抗195は、一端が演算増幅器(A)193の出力端子に接続されている。そして、他端が、後段に配されている演算増幅器(B)196の非反転入力端子に接続されている。抵抗197は、演算増幅器196(B)の出力端子と反転入力端子(−)とを互いに接続している。演算増幅器(B)196の反転入力端子にはDAC124の一端が接続され、DAC124の他端はPW_CNT端子に接続されている。
ローパスフィルター部123は、抵抗199、基準電位200、抵抗201、コンデンサ202、および演算増幅器(C)205を備え、比較部122の後段に配されている。抵抗199は、一端が演算増幅器(B)196の出力端子に接続されている。そして、他端が、後段に配されている演算増幅器(C)205の反転入力端子(−)に接続されている。抵抗201およびコンデンサ202は、演算増幅器205(C)の出力端子と反転入力端子(−)とを互いに接続している。演算増幅器205(C)の非反転入力端子は、基準電位200に接続されている。ローパスフィルター204からの出力は、出力端子204を介して、外部へ出力される。
エラーアンプ105bは、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルス電圧の入力を受け取る。エラーアンプ105bに供給される電圧パルスは、増幅部121によって増幅される。そして、増幅された電圧パルスは、比較部122において、エラーアンプ105bに初期設定されているDAC値と比較され、DAC値によって表される電圧が差し引かれた電圧パルスが出力される。
ローパスフィルター部123は、比較部122から出力されるパルス電圧を積分して平滑化し、直流電圧を出力する。なお、このローパスフィルター部123は、一般的に周波数帯域が2KHz〜5KHzとなるように構成される。これにより、エラーアンプ105bの入出力においては、約0.5msの応答時間を要することになる。この応答時間については、詳細を後述する。
図18は、平均値型APC回路における各部の電圧波形を表す図である。具体的には、I/Vアンプ104の出力電圧(すなわち、エラーアンプ105bへの入力電圧)と、エラーアンプ105bからの出力電圧とが示されている。図18には、上述したとおり、エラーアンプ105bは、Pwレーザーパワー、Peレーザーパワー、Pbレーザーパワーに対応する3種類のパルス電圧の入力を受け取るが、それらのパルス電圧をローパスフィルター部123によって積分することにより直流電圧を出力することが示されている。この直流電圧がLD駆動回路102に供給され、PC電流がレーザーダイオード101に流れる。このとき、PC電流は直流電流である。
図19は、LD駆動回路102において、供給されるPC電圧と出力されるPC電流との関係を示す図である。図19に示すとおり、供給されるPC電圧に比例して出力されるPC電流も増加する。図17においては、PC電圧によって出力電流は30mAで動作している。
次に、光ディスク記録再送装置において記録に最適なレーザーパワーを抽出するためのテストライト時の平均値型APC回路の動作について、より詳細に説明する。
テストライトにおいては、何種類かのレーザーパワーによって、光ディスクに実際に試し記録をする。このとき、目標とするレーザーパワーの設定を変更することになる。目標とするレーザーパワーは、エラーアンプ105のDAC値を変更することによって設定される。すなわち、エラーアンプ105に設定されるDAC値に応じて、レーザーダイオード101のレーザーパワーは変化する。このDAC値は、マイクロコンピュータ106によって変更される。
図20は、エラーアンプ105bにおいて、目標とするレーザーパワーを変更した場合の各部の電圧波形の変化を示す図である。図20に示す実線の電圧波形は、目標とするレーザーパワーを変更する前のエラーアンプ105bにおける各部の電圧波形を示している。そして、目標とするレーザーパワーを変更するために、図20に示す「目標DAC値」を実線から破線に変更した場合、エラーアンプ105bの各部の電圧波形は実線から破線の状態へと変化する。
図20に示す例についてより具体的に説明すると、目標レーザーパワーを大きくするため「エラーアンプ105bのDAC値」を高い値に設定変更することで、「ローパスフィルター部123の出力」は、約0.5msの時定数で目標値に向かって変化していく。その結果、エラーアンプ105bから出力される誤差信号、すなわち、LD駆動回路102に入力されるPC電圧も上昇し、PC電流が増加することによってレーザーダイオード101に流れる電流が増加して、出射されるレーザー光のレーザーパワーも高くなる。この変化分はフィードバックされて、「エラーアンプ105bへの入力」の破線で示される電圧信号として入力されてくる。最終的に目標とするレーザーパワーのレーザーが安定して出力されるようになるのは、エラーアンプ105bから出力される電圧信号が一定となる0.5ms後である。
つまり、平均値型APC回路によるレーザーパワー制御においては、平均値型APC回路には0.5msの時定数を有するローパスフィルターが含まれているため、ループ応答の時間が長く、目標とするレーザーパワーが得られるまでに時間を要し、特に、光ディスク記録再生装置のテストライトにおいて問題となる。
このように、目標とするレーザーパワーの設定を変更してから、実際に照射されるレーザー光のレーザーパワーが目標値に達するまでには約0.5msかかってしまうため、1種類のレーザーパワーについてのテストライトには、少なくとも約0.5msの処理時間を要することになる。また、上述したとおり、光ディスク記録再生装置においては、記録対象のディスクについて最適な記録パワーを抽出するために、何種類かのレーザーパワーによるテストライトが行われる。そして、テストライトを行うレーザーパワーの種類の数だけ、目標とするレーザーパワーの設定変更を行うことになる。仮に10種類のレーザーパワーでテストライトが行われる場合、テストライトに要するトータルの時間は、10回×(0.5ms+記録再生の処理時間)になる。
上述したテストライト以外にも、APC回路に含まれるループフィルターに起因して高速なレーザーパワー制御が行えないために問題が発生する場合がある。例えば、光ディスクの記録装置において、記録を一時停止した後記録を再開する場合、APC回路に含まれるループフィルターの時定数により、レーザー出力が目標値に達するまでに、ある程度の時間を有するため、この遅れ時間の分だけ記録の繋ぎ部分において不十分な記録エリアができるという問題が発生する。この問題に対し、特許文献1においては、記録一時停止後、記録を再開するときに、APC回路から、記録再開後のレーザーパワーが設定されているレーザーパワー設定部へのアナログスイッチによる切り替えを、最適なタイミングで行う光ディスク記録装置が開示されている。
特開2003−99935(2003年4月4日公開)
しかしながら、特許文献1に記載されている構成においては、記録再開時に、記録パワーコントロール部を、APC回路から、記録中断直前に取得したパワー設定値を保持するD/A変換器に、アナログスイッチによって切り替える構成であるため、アナログスイッチによる切り替え処理そのものに時間を要するという問題がある。このため、目標とするレーザーパワーが短時間の間に設定変更される場合においては、レーザーパワーを高速に制御することはできない。したがって、光ディスク記録再生装置のテストライトを行う場合などにおいては、レーザーパワーの高速な制御は困難である。
以下に、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装置においてテストライト時に発生する問題について、詳細に説明する。
図21は、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装において、16種類のレーザーパワーによるテストライトを行う場合のレーザーパワーの変化の様子を示す図である。
図21に示す例においては、16種類のレーザーパワーによるテストライトが行われる。テストライトは、ディスクの1トラック中の1クラスタに対して行われる。つまり、この場合、1クラスタを16分割し、1/16クラスタ単位に1種類のレーザーパワーで試し記録する。その後、16種類のレーザーパワーでテストライトされた1クラスタについて再生し、16種類の中から最適品質であるものを選択し、これに対応するレーザーパワーを最適な記録パワーとして決定する。なお、1クラスタをトレースする時間は、約15msである。そのため、1/16クラスタ(1種類のレーザーパワーによって記録できる領域)の記録に使える時間は、約0.9msになる。
しかしながら、これまで説明したとおり、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装置においては、目標とするレーザーパワーに設定変更してから、実際に目標とするレーザーパワーが得られるようになるまでに、約0.5msを要する。そのため、図21に示すとおり、レーザーパワーの設定変更をした後、即時に安定したレーザーパワーで記録されるわけではなく、レーザーパワーを変動しながら1/16クラスタの記録が行われる。しかしながら、このようなテストライトによっては、記録品質の確認をすることができない。
そこで、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装置のテストライトにおいて、記録品質を確認できるようにするためには、目標とするレーザーパワーの設定変更をしてから、十分に安定したパワーに達した後に、記録を開始する必要がある。すなわち、新たに目標とするレーザーパワーを設定した後0.5ms経過して、目標とするレーザーパワーが安定して得られるようになってから記録を開始する必要がある。
より具体的に説明すれば、まず、16分割された1クラスタの中で、1番目の1/16クラスタに記録する場合、目標とするレーザーパワーの設定をした後、0.5ms経過後に記録を開始する。そして、次に、2番目の1/16クラスタに記録する場合にも、目標とするレーザーパワーを設定変更した後0.5ms経過してから記録を開始することになるが、このとき、ディスクが1回転して再度2番目の1/16クラスタが同じ場所に戻ってくるまで待機する必要がある。つまり、2番目の1/16クラスタに記録するために、ディスク1回転分の時間を要する。したがって、ディスク1回転に要する時間を約66msとすると、1番目の1/16クラスタから16番目の1/16クラスタまで、すなわち、1クラスタの記録を行うために、約1056ms(=66ms×16)の時間を要することになる。
図22は、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク再生装置におけるテストライトの処理の流れを表すフローチャートである。以下、図22を参照して、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク再生装置におけるテストライトについて説明する。
始めに、ステップS221では、マイクロコンピュータ106において、テストライトの回数を表す変数Nに16が設定される。すなわち、16種類のレーザーパワーによってテストライトが行われることになる。次にステップS222において、マイクロコンピュータ106は、エラーアンプ105のDAC値を、目標とするレーザーパワーが得られる値に設定する。
ステップS223では、目的のクラスタ、すなわち、テストライトの対象となるクラスタがサーチされる。そして、ステップS224においては、目的のクラスタが検出されたか否かが判定される。目的のクラスタが検出されない場合は、一定の時間が経過した後、再度クラスタが検出されたか否かについて判定される。クラスタが検出された場合には、処理はステップS225に遷移して、目的のクラスタにテストライトされる。
上述したとおり、レーザーパワーが設定された後(ステップS222)、0.5ms経過して安定したレーザーパワーが得られるまで、テストライトをすることができない。そのため、ステップS223〜ステップS224においては、ディスク1回転分の時間(約66ms)が経過するまで待機することになる。
ステップS225においては、1クラスタを16分割した1/16クラスタごとにテストライトがなされる。ステップS225においてテストライトが終了すると、ステップS226において、テストライトの回数を表す変数Nがデクリメントされる。つまり、変数Nには、残りのテストライトの回数が設定されることになる。
その後、処理はステップS227へと遷移し、変数Nが0であるか否か、すなわち、すべてのレーザーパワーによるテストライトが終了したか否かについて判定される。ここで、変数Nが0の場合は、ステップS228に遷移して全てのテストライトが終了することになるが、変数Nが0でなければ、処理はステップS222に戻り、次にテストライトされるレーザーパワーに対応するDAC値がエラーアンプ105に設定される。
したがって、初期設定された変数Nの回数分、ステップS222〜ステップS227の処理が繰り返し行われることになる。ステップS222〜ステップS227の処理時間は、ほとんどがステップS223〜ステップS224におけるディスク1回転の待ち時間で占められるため、約66msとみなせる。そして、この繰り返し処理は、テストライトを行う回数分、つまり本例においては16回実行されるため、テストライトに要する合計時間は1056ms(=66ms×16)になる。
一方、サンプリング型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク装置においては、高速なレーザーパワー制御が可能であり、図21に示す破線の如くステップ的にパワーシフトが可能となる。これにより、1番目の1/16クラスタから16番目の1/16クラスタまで、1クラスタを連続して記録することができ、1クラスタのトレース時間である15msでテストライトを完了できる。これと比較すると、平均値型APC回路によってレーザーパワーが制御される光ディスク装置は、テストライトに約70倍の時間を要する。しかしながら、上述したとおり、サンプリング型APC回路の構成は複雑であり、光ピックアップ装置とAPC回路を一体化させようとした場合には、部品点数の増大により小型化が困難であるという問題がある。また、用いられる回路素子が高価であるため製造コストを低減できないという問題もある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価で小型化が容易な平均値型APC回路を用いて、高速にレーザーパワーを制御することができるレーザーパワー制御装置、光ディスク装置、DAコンバータ、レーザーパワー制御方法、制御プログラム、および、記録媒体を提供することにある。
本発明に係るレーザーパワー制御方法は、上記課題を解決するために、レーザー光の強度を制御するエラーアンプの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光の強度を決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が得られるレーザーパワー制御装置のレーザーパワー制御方法であって、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流だけでなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、レーザー光の強度を制御するエラーアンプの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光の強度を決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が得られるレーザーパワー制御装置であって、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流だけでなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、エラーアンプによってレーザー光の強度を制御する。このエラーアンプは、時定数を有する。ここで、時定数とは、前記エラーアンプの出力が最終的に達する安定した値に対して、ある一定の大きさ(例えば63%)の値に要する時間である。つまり、このエラーアンプからの出力が安定した値になるまでには、ある程度の時間を要する。
また、レーザー光の強度はエラーアンプによって制御されるが、照射されるレーザー光の強度は、例えば、エラーアンプが保持する基準電圧によって決定される。つまり、エラーアンプに設定されている基準電圧を変更することによって、レーザー光の強度を変更する。このとき、所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が発生する。なお、レーザー光の強度は、前記基準電圧以外によって決定されてもよく、特に限定はされない。
ここで、前記駆動電流は、変動電流と固定電流の2つの電流から成る。従来、レーザー光の強度を変更する場合、駆動電流のうち、変動電流の大きさのみが変化していた。この変動電流は、エラーアンプからの出力に応じて変化するため、エラーアンプの時定数に従って変化する。したがって、従来の技術では、駆動電流もエラーアンプの時定数に従って変化するため、所望のレーザー光の強度が得られるまでには時間を要する。一方、固定電流は、エラーアンプとは独立に決定されるため、エラーアンプの出力には依存せず、前記時定数の影響を受けることなく、瞬時に大きさを変化させることが可能である。
そこで、本発明に係るレーザーパワー制御装置では、所望のレーザー光の強度を得るために、変動電流だけでなく、固定電流の大きさを変化させることによって、駆動電流の大きさを、前記所望のレーザー光の強度に対応する大きさに変化させる。つまり、所望のレーザー光の強度を得るために、例えばエラーアンプの基準電圧を変更するが、同じタイミングで固定電流の大きさも変更する。このとき、駆動電流の変化分の大きさは、固定電流の変化分の大きさと変動電流の変化分の大きさとの和になる。
これにより、本発明によれば、時定数を有するエラーアンプによってレーザー光の強度が制御される装置であっても、レーザー光の強度を高速に制御することができるようになる。
なお、一般的に時定数を有さないエラーアンプは高価であり、構成部品の点数も増える。したがって、本発明によれば、時定数を有さないエラーアンプを用いたレーザーパワー制御装置と比較して、コストを低減でき、また、小型化することが可能となる。
本発明に係るレーザーパワー制御方法は、上記課題を解決するために、レーザー光の強度を制御するエラーアンプの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光の強度を決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が得られるレーザーパワー制御装置のレーザーパワー制御方法であって、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流を変えることなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、レーザー光の強度を制御するエラーアンプの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光の強度を決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が得られるレーザーパワー制御装置であって、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流を変えることなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、エラーアンプによってレーザー光の強度を制御する。このエラーアンプは、時定数を有する。ここで、時定数とは、前記エラーアンプの出力が最終的に達する安定した値に対して、ある一定の大きさ(例えば63%)の値に要する時間である。つまり、このエラーアンプからの出力が安定した値になるまでには、ある程度の時間を要する。
また、レーザー光の強度はエラーアンプによって制御されるが、照射されるレーザー光の強度は、例えば、エラーアンプが保持する基準電圧によって決定される。つまり、エラーアンプに設定されている基準電圧を変更することによって、レーザー光の強度を変更する。このとき、所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流が発生する。なお、レーザー光の強度は、前記基準電圧以外によって決定されてもよく、特に限定はされない。
ここで、前記駆動電流は、変動電流と固定電流の2つの電流から成る。従来、レーザー光の強度を変更する場合、駆動電流のうち、変動電流の大きさのみが変化していた。この変動電流は、エラーアンプからの出力に応じて変化するため、エラーアンプの時定数に従って変化する。したがって、従来の技術では、駆動電流もエラーアンプの時定数に従って変化するため、所望のレーザー光の強度が得られるまでには時間を要する。一方、固定電流は、エラーアンプとは独立に決定されるため、エラーアンプの出力には依存せず、前記時定数の影響を受けることなく、瞬時に大きさを変化させることが可能である。
そこで、本発明に係るレーザーパワー制御装置では、所望のレーザー光の強度を得るために、変動電流だけでなく、固定電流の大きさを変化させることによって、駆動電流の大きさを、前記所望のレーザー光の強度に対応する大きさに変化させる。つまり、所望のレーザー光の強度を得るために、例えばエラーアンプの基準電圧を変更するが、同じタイミングで固定電流の大きさも変更する。このとき、駆動電流の変化分の大きさは、固定電流の変化分の大きさに等しい。つまり、変動電流の大きさは変化せず、固定電流の大きさのみが変化する。
これにより、本発明によれば、時定数を有するエラーアンプによってレーザー光の強度が制御される装置であっても、レーザー光の強度を高速に制御することができるようになる。
なお、一般的に時定数を有さないエラーアンプは高価であり、構成部品の点数も増える。したがって、本発明によれば、時定数を有さないエラーアンプを用いたレーザーパワー制御装置と比較して、コストを低減でき、また、小型化することが可能となる。
本発明に係るレーザーパワー制御方法では、前記レーザーパワー制御装置は、前記レーザー光の強度を決定する第1デジタル値を格納する第1DAコンバータを有する前記エラーアンプと、前記固定電流の大きさを決定する第2デジタル値を格納する第2DAコンバータとを備えており、前記レーザー光の強度を前記第1デジタル値および前記第2デジタル値を変更させて所望の強度とするときに、第2デジタル値の変更を第1デジタル値の変更のタイミングに合わせて行うことが好ましい。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、前記レーザー光の強度を決定する第1デジタル値を格納する第1DAコンバータを有する前記エラーアンプと、前記固定電流の大きさを決定する第2デジタル値を格納する第2DAコンバータとを備えており、前記レーザー光の強度を前記第1デジタル値および前記第2デジタル値を変更させて所望の強度とするときに、第2デジタル値の変更を第1デジタル値の変更のタイミングに合わせて行うデジタル値制御部をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、前記エラーアンプは、第1DAコンバータを備えている。前記エラーアンプは、第1DAコンバータを備えている。そして、前記レーザー光の強度は、第1DAコンバータに設定されている第1デジタル値によって定まる。そのため、レーザー光の強度を変更したい場合には、この第1デジタル値を、所望のレーザー光の強度が得られる値に変更する。なお、エラーアンプは時定数を有しており、第1デジタル値が変更された後、所望のレーザー光の強度が得られるまで、ある程度の時間を有する。
また、上記の構成によれば、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、第1DAコンバータとは異なる、第2DAコンバータを備えている。第2DAコンバータには、第2デジタル値が設定される。第2デジタル値は、前記駆動電流のうち、固定電流の大きさを決定する。つまり、この第2のデジタル値を変更することによって前記固定電流の大きさが変化する。さらに、固定電流の大きさの変化に伴い、前記駆動電流の大きさも変化する。固定電流は、第2デジタル値が変更された後、瞬時に対応する大きさに変化する。したがって、第2デジタル値を変更すれば、瞬時に、前記駆動電流の大きさを変化させることができる。なお、レーザー光の強度は、前記第1デジタル値によって定まるため、第1デジタル値を変更しなければ、前記駆動電流のうち固定電流を除いた電流、すなわち変動電流がエラーアンプによって自動的に調整され、結果的に前記駆動電流は元の大きさに戻ってしまう。
また、上記の構成によれば、本発明に係るレーザーパワー制御装置では、レーザー光の強度を変更するために前記第1デジタル値が変更される場合、デジタル値制御部が、前記第2デジタル値を変更する。このとき、第2デジタル値は、前記駆動電流が所望のレーザー光の強度に対応する大きさとなるような値に設定される。
これにより、時定数を有するエラーアンプによってレーザー光の強度が制御されるレーザーパワー制御装置であっても、レーザー光の強度を高速に制御できる。しかも、レーザー光の強度を変更する場合、第1デジタル値および第2デジタル値の設定を変更すればよく、設定変更を容易に行うことができる。
本発明に係るレーザーパワー制御方法では、前記レーザーパワー制御装置に備えられた前記第1DAコンバータおよび/または前記第2DAコンバータは、該DAコンバータに格納されているデジタル値を変更する場合に該デジタル値に加減するステップ値を記憶しているデータレジスタと、所定のパルス信号の入力を受けた場合に前記ステップ値を格納されたデジタル値を変更する場合に加減する加減算器とを備えていることが好ましい。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置では、前記レーザーパワー制御装置に備えられた前記第1DAコンバータおよび/または前記第2DAコンバータは、該DAコンバータに格納されているデジタル値を変更する場合に該デジタル値に加減するステップ値を記憶しているデータレジスタと、所定のパルス信号の入力を受けた場合に前記ステップ値を格納されたデジタル値を変更する場合に加減する加減算器とを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、前記第1DAコンバータおよび/または前記第2DAコンバータは、内部にデータレジスタと加減算器とを備えている。また、該DAコンバータには、前記デジタル値が設定される。そして、データレジスタは、前記デジタル値の更新時に前記デジタル値に加減されるステップ値を記憶している。つまり、前記デジタル値は、このステップ値の単位で値が増減する。また、前記加減算器は、所定のパルス信号の入力を受けると、前記ステップ値を前記デジタル値に加減する。つまり、加減算器は、パルスの入力を受けるごとに、前記デジタル値と前記ステップ値との加算、あるいは、減算を実行する。なお、所定のパルス信号は、例えば、信号処理回路を用いて、前記レーザー光の強度を変更するタイミングにおいてパルス信号を出力する構成などが考えられるが、前記パルス信号を前記タイミングで安定して出力できる構成であればよく、特に限定はされない。
これにより、パルス信号の入力によってDAコンバータに設定されているデジタル値を更新できるようになるため、レーザーパワー制御装置の中で他の処理が行われている場合であっても、デジタル値の更新のタイミングは他の処理の影響を受けることがない。したがって、本発明に係るレーザーパワー制御装置によれば、高速なレーザーパワーの制御を安定して行うことができる。
本発明に係るレーザーパワー制御方法は、前記レーザーパワー制御がテストライト時に行われることが好ましい。
上記の構成よれば、レーザーパワー制御は、テストライト時に行われる。これにより、光ディスク装置などのテストライトにおいて、高速にレーザーパワーを変更できるため、テストライトを高速に行うことができ、記録に最適なレーザー光の強度を、短時間で見つけ出すことができる。
本発明に係る光ディスク装置は、前記レーザーパワー制御装置を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係る光ディスク装置は、前記レーザーパワー制御装置を備えている。これにより、本発明に係る光ディスク装置は、高速にレーザーパワーを制御することが可能となる。したがって、例えば、光ディスクへのテストライトなどにおいて、高速にレーザーパワーを変更できるため、テストライトを高速に行うことができ、記録に最適なレーザー光の強度を、短時間で見つけ出すことができる。
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、ディスク面の汚れや歪み等に応じて、記録するのに最適なレーザーパワーに高速に変更でき、常に最適なレーザーパワーで一様に記録できる。したがって、安定して高品質な記録が可能となる。
しかも、前記レーザーパワー制御装置を用いれば、時定数を有さないエラーアンプの高価なレーザーパワー制御装置を用いる場合に比べ、コストを低減でき、また、小型化することが可能となるため、光ディスク装置の小型化および低価格化を実現できる。
本発明に係るDAコンバータは、設定されているデジタル値に応じたアナログ信号を出力するDAコンバータであって、前記DAコンバータに設定されているデジタル値を変更する場合に該デジタル値に加減するステップ値を記憶しているデータレジスタと、所定のパルス信号の入力を受けた場合に前記ステップ値を格納されたデジタル値を変更する場合に加減する加減算器とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るDAコンバータは、デジタル値が設定されると、設定されたデジタル値に対応するアナログ信号を出力する。また、本発明に係るDAコンバータは、データレジスタと加減算器とを備えている。データレジスタは、前記デジタル値を更新する場合に前記デジタル値に加減されるステップ値を記憶している。つまり、前記デジタル値は、このステップ値の単位で値が増減する。また、前記加減算器は、所定のパルス信号の入力を受けると、前記ステップ値を前記デジタル値に加減する。つまり、加減算器は、所定のパルス信号の入力を受けるごとに、前記デジタル値と前記ステップ値との加算、あるいは、減算を実行する。
これにより、本発明に係るDAコンバータによれば、設定されているデジタル値を、所定のパルス信号を入力することによって、更新できるようになるため、簡単な構成の回路や装置の中でも手軽に利用できるようになる。また、複雑な処理が実行される回路や装置において用いられる場合であっても、他の処理の影響を受けることなく安定して前記デジタル値を更新できるようになる。
なお、上記レーザーパワー制御装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記レーザーパワー制御装置をコンピュータにおいて実現する制御プログラム、およびその制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明に係るレーザーパワー制御方法は、以上のように、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流だけでなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流だけでなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
本発明に係るレーザーパワー制御方法は、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流を変えることなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
また、本発明に係るレーザーパワー制御装置は、前記所望のレーザー光の強度に対応する駆動電流を、前記変動電流を変えることなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴としている。
したがって、本発明によれば、時定数を有するエラーアンプによってレーザー光の強度が制御される装置であっても、レーザー光の強度を高速に制御することができるようになるという効果を奏する。
また、本発明に係るDAコンバータは、前記DAコンバータに設定されているデジタル値を変更する場合に該デジタル値に加減するステップ値を記憶しているデータレジスタと、所定のパルス信号の入力を受けた場合に前記ステップ値を格納されたデジタル値を変更する場合に加減する加減算器とを備えていることを特徴としている。
したがって、本発明に係るDAコンバータによれば、設定されているデジタル値を、パルス入力によって、簡単な構成の回路や装置の中でも手軽に利用できるようになる。また、複雑な処理が実行される回路や装置において用いられる場合であっても、他の処理の影響を受けることなく安定してデジタル値を更新できるようになるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、本発明の一実施の形態に係るAPC回路1の構成を示す図である。
(APC回路1の概要)
本発明の一実施の形態に係るAPC回路1は、LD(レーザーダイオード)101、LD駆動回路102、PD(フォトディテクター)103、I/V(電流/電圧)アンプ104、エラーアンプ105、およびマイクロコンピュータ106からなる。また、マイクロコンピュータ106は、DAC更新制御部107を備えている。
このDAC更新制御部107は、一般的なAPC回路100には含まれておらず、本発明の特徴的な構成である。なお、本発明に係るAPC回路1はいわゆる平均値型APC回路であり、エラーアンプ105として、図17に示すエラーアンプ105bが備えられている。
レーザーダイオード101は、LD駆動回路102の駆動によりレーザーを照射する。レーザーダイオード101がレーザーを照射するときに、レーザーダイオードに電流が流れ、この電流が、特許請求の範囲に記載の駆動電流に対応する。フォトディテクター103は、レーザーダイオード101によって照射されるレーザーを受光すると、受光量に応じた量の電流を発生する。フォトディテクター103によって発生する電流は、フォトディテクター103に接続されたI/Vアンプ104に渡され、該I/Vアンプ104によって電圧信号に変換される。
一方、エラーアンプ105bには、内部に備えているデジタルアナログコンバータ(以下DACと略す)124に、あらかじめ、目標とするレーザーパワーに対応する基準電圧が設定されている。すなわち、DAC124(第1DAコンバータ)には、この基準電圧に対応するデジタル値(第1デジタル値)が設定されている。エラーアンプ105bは、I/Vアンプ104によって変換された電圧信号を受け取ると、受け取った電圧信号と前記基準電圧との差を誤差信号として出力する。そして、エラーアンプ105から出力された誤差信号はLD駆動回路102に入力される。
LD駆動回路102は、レーザーダイオード101のレーザーパワー(レーザー光の強度)が、目標とするレーザーパワー(所望の強度)となって一定に保たれるように動作する。具体的には、エラーアンプ105bから入力された誤差信号に応じて、レーザーダイオード101を駆動する電流(駆動電流)に含まれるPC電流(パワーコントロール電流)を制御する。つまり、エラーアンプ105bが、レーザーダイオード101を駆動するPC電流(パワーコントロール電流)を制御していることになる。このPC電流が、特許請求の範囲に記載の変動電流に対応する。
また、図13に示すとおり、LD駆動回路102は、内部に3つのDAC(Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114)を備えている。そして、LD駆動回路102に含まれるこれら3つのDAC(第2DAコンバータ)に設定されるデジタル値(第2デジタル値)によって、レーザーダイオード101に流れる電流(駆動電流)のうち、固定的に流れる電流の大きさが決定される。この固定的に流れる電流が、特許請求の範囲の固定電流に対応する。LD駆動回路102に含まれるDACの詳細については後述する。
本発明に係るAPC回路1は、レーザーダイオード101のレーザーパワーを制御するエラーアンプ105bの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光のレーザーパワーを決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光のレーザーパワーに対応する駆動電流が得られるAPC回路であって、前記所望のレーザー光のレーザーパワーに対応する駆動電流を、前記変動電流だけでなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴とする。
また、本発明に係るAPC回路1は、レーザーダイオード101のレーザーパワーを制御するエラーアンプ105bの時定数に従って変化する変動電流と前記時定数の影響を受けない固定電流とから成っており、光記録媒体へ照射するレーザー光のレーザーパワーを決定する駆動電流のうち、前記変動電流を変化させて所望のレーザー光のレーザーパワーに対応する駆動電流が得られるAPC回路であって、前記所望のレーザー光のレーザーパワーに対応する駆動電流を、前記変動電流を変えることなく前記固定電流を変化させることによって得ることを特徴とする。
(レーザーパワーの制御)
本発明の一実施の形態に係るAPC回路1は、マイクロコンピュータ106にDAC更新制御部107が備えられている以外は、図11に示す一般的なAPC回路100と同じ構成である。
図13に示すとおり、レーザーダイオード駆動回路102は、内部に3つのDACを備えている。これらのDACには、それぞれ、書き込み用、消去用、バイアス用の3種類のレーザーパワーを決定するデジタル値が設定されている。これにより、レーザーダイオード101は、書き込み用、消去用、バイアス用の3種類の異なるレーザーパワーによってレーザーを照射できるようになる。以下では、DACに設定されているデジタル値をDAC値と称す。
Pw−DAC(Power write−DAC)112には、書き込み時のレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。情報を書き込む場合にレーザーダイオード101に流れる電流と照射されるレーザー光のレーザーパワーを、それぞれ、Pw(Power Write)電流、Pwレーザーパワーと呼ぶ。
Pe−DAC(Power Erase−DAC)113には、消去時のレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。情報を消去する場合にレーザーダイオード101に流れる電流と照射されるレーザー光のレーザーパワーを、それぞれ、Pe(Power Erase)電流、Peレーザーパワーと呼ぶ。
Pb−DAC(Power Biase−DAC)114には、バイアスによるレーザーパワーに対応するDAC値が設定される。レーザーダイオード101に流れるバイアス電流をPb(Power Biase)電流と呼ぶ。また、このとき照射されるレーザーパワーをPbレーザーパワーと呼ぶ。
なお、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値は、一般的なAPC回路100においては、初期設定のみがなされ、その後は変更されることはないが、本発明に係るAPC回路1においては、初期設定された後もマイクロコンピュータ106によって変更される。詳細は後述する。
また、レーザーダイオード駆動回路102は、図13に示すように、駆動回路115を備えている。駆動回路115は、エラーアンプ105から受け取る誤差信号に応じて、レーザーダイオード101に流れる電流を制御する。すなわち、駆動回路115は、エラーアンプ105から受け取る誤差信号に応じて、レーザーダイオード101のレーザーパワーを制御する。なお、エラーアンプ105bから受け取る誤差信号をPC電圧と呼ぶ。また、駆動回路115によって制御されてレーザーダイオード101に流れる電流を、PC(Power Control)電流と呼ぶ。
図17に示すとおり、エラーアンプ105bはDACを内部に備えており、このDACには、レーザーダイオード101の目標とするレーザーパワーを定めるデジタル値(DAC値)が設定されている。つまり、上述した基準電圧は、このDAC値によって定まる。そして、このDAC値によって、レーザーダイオード101のレーザーパワーは決定される。なお、DAC値は、マイクロコンピュータ106によって設定される。
エラーアンプ105bは、入力される電圧信号と内部に設定されているDAC値とを比較し、該DAC値によって定められる目標のレーザーパワーが得られるようなPC電圧を誤差信号として出力し、レーザーダイオード駆動回路102に供給する。
LD駆動回路102に供給されるPC電圧は、LD駆動回路102の内部にある駆動回路115に入力され、PC電流を制御する。駆動回路115は、レーザーダイオード101のレーザーパワーが、目標とするレーザーパワーで一定に保たれるようにPC電流を調整する。
レーザーダイオード101から照射されるレーザー光の最終的なレーザーパワーは、エラーアンプ105bが備えているDAC124に設定されたDAC値(以下では、エラーアンプ105bのDAC値と略す)によって定まる。
そのため、一般的なAPC回路と同様、本発明に係るAPC回路1においても、テストライト時に目標とするレーザーパワーを変更する場合は、エラーアンプ105bのDAC値がマイクロコンピュータ106によって変更される。
しかしながら、このままでは、エラーアンプ内105bに含まれるローパスフィルター部123の時定数により、エラーアンプ105bのDAC値を変更してから目標とするレーザーパワーが得られるまでに時間を要してしまう。そのため、例えば、光ディスクへのテストライトを行う場合のレーザーパワーの制御などにおいて、安定したレーザーパワーによるテストライトがなされないため、記録品質の確認をすることができない。
そこで、本発明に係るAPC回路1においては、マイクロコンピュータ106は、エラーアンプ105bのDAC値を変更するだけでなく、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値も変更する。
より具体的には、マイクロコンピュータ106に含まれるDAC更新制御部107が、レーザーパワーを変動するタイミングにおいて、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値を、目標とするレーザーパワーが得られる値に変更する。このレーザーパワーの変更については、詳細を後述する。
図2は、LD駆動回路102に備えられたDACのDAC値を変更した場合に、レーザーダイオード101に流れる電流の波形の変化とレーザーパワーとの関係を表す図である。前述したとおり、LD駆動回路102に備えられたDAC、すなわち、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値は、DAC更新制御部107によって変更される。
図2に示されているとおり、更新前のPw電流、Pe電流、Pb電流の大きさは、それぞれ、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114に初期設定されたDAC値によって定まる電流と、エラーアンプ105bからの誤差信号に応じて駆動回路115によって制御されるPC電流(約30mA)とを足し合わせた大きさになる。図2に示されているとおり、更新前のレーザーパワーの平均値は、約20mWである。
図2に示す例においては、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値を更新することによって、Pw電流、Pe電流、Pb電流は大きくなる。図2には、前記の各DAC値を40%増に更新した場合の例が示されている。これにより、レーザーダイオード101から照射されるレーザー光のレーザーパワーも40%上昇し、更新後のレーザーパワーの平均値は約28mWとなる。このとき、PC電流は変化することなく約30mAのまま一定の値を保っている。つまり、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114において更新されたDAC値が、Pw電流、Pe電流、Pb電流の増加量として反映されている。
一般的なAPC回路においては、PC電流の大きさを制御することによって、Pw電流、Pe電流、Pb電流の大きさを変化させ、所望のレーザーパワーを得る。そして、PC電流の大きさが適切な量に制御されるためには、ローパスフィルター部123の時定数により、エラーアンプ105bから誤差信号として出力されるPC電圧が安定するまで時間を要する。そのため、一般的なAPC回路においては、エラーアンプ105bにおいて変更されたDAC値は、即時にはPw電流、Pe電流、Pb電流の増加量として反映されない。
これに対し、本発明に係るAPC回路1においては、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114においてDAC値が更新されると、該DAC値は、即時にPw電流、Pe電流、Pb電流の大きさに反映されることになる。すなわち、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値を更新すれば、ループ応答を待つことなくPw電流、Pe電流、Pb電流の大きさを変更できるため、即時にレーザーパワーを更新することが可能となる。
なお、上述しているとおり、本発明に係るAPC回路1においても、一般的なAPC回路と同様、レーザーパワーを変更する場合、エラーアンプ105bのDAC値を変更する。この点について、以下に説明する。
図3は、エラーアンプ105bのDAC値を変更せずに、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値のみを更新した場合のエラーアンプ105b内における各部の電圧波形を示す図である。図3に示す例においては、「エラーアンプ105bのDAC値」は、実線のまま一定に保たれ更新されない。ここで、例えば、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値を40%増に更新した場合、「ローパスフィルター部123の出力」においては、ローパスフィルター部123の時定数に従って出力電圧は低下し、0.5ms後には出力電圧は40%減少した状態で一定になる。したがって、レーザーダイオード101のレーザーパワーは、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の更新直後は、40%増加するが、0.5ms後には40%の増加分が引き下げられ、更新前のレーザーパワーに引き戻されてしまう。図2の例においては、レーザーパワーが一旦28mWに達した後、0.5ms後には更新前の20mAに戻ってしまう。
図4は、エラーアンプ105bのDAC値を変更せずに、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値のみを更新して、テストライトを行った場合のレーザーパワーの変化の様子を示す図である。この場合、レーザーパワーを段階的に上昇させることはできない。
したがって、本実施形態に係るAPC回路1においては、一般的なAPC回路と同様、レーザーパワーを変更する場合、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114のDAC値を更新するだけでなく、エラーアンプ105bのDAC値をレーザーパワー値で同じ比率分更新する。これにより、本発明に係るAPC回路1においては、高速にレーザーパワーを更新することが可能となる。
図5は、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値とエラーアンプ105bのDAC値とを更新した場合のエラーアンプ105b内における各部の電圧波形を示す図である。
図5に示すとおり、「エラーアンプ105bへの入力」と「増幅部121からの出力」は、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値の更新によって、実線によって示される電圧波形から、破線によって示される電圧波形に変化する。
ここで、「エラーアンプ105bのDAC値」は、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値の更新に伴い、実線によって示される値から破線によって示される値に更新されている。
そのため、目標とするレーザーパワーと実際のレーザーパワーとの間に誤差は生じていないため、「比較器502からの出力」においては、実線によって示される値のまま一定に保たれ、「ローパスフィルター503からの出力」においても、実線によって示される値のまま一定に保たれる。
つまり、エラーアンプ105bから出力されるPC電圧は一定のため、図2について説明したとおり、PC電流も一定の値に保たれ、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値の更新が反映された状態で、レーザーパワーは保持されることになる。
(テストライト)
本発明に係るAPC回路1によってレーザーパワーの制御が行われる光ディスク記録再生装置においてテストライトを行う場合について説明する。
図6は、本発明に係るAPC回路1によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装において、16種類のレーザーパワーによるテストライトを行う場合のレーザーパワーの変化の様子を示す図である。
図6に示す例においては、16種類のレーザーパワーによるテストライトが行われる。テストライトは、ディスクの1トラック中の1クラスタに対して行われる。つまり、この場合、1クラスタを16分割し、1/16クラスタ単位に1種類のレーザーパワーで試し記録する。その後、16種類のレーザーパワーでテストライトされた1クラスタについて再生し、16種類の中から最適品質であるものを選択し、これに対応するレーザーパワーを最適な記録パワーとして決定する。なお、1クラスタをトレースする時間は、約15msである。そのため、1/16クラスタ(1種類のレーザーパワーによって記録できる領域)の記録に使える時間は、約0.9msになる。
本発明に係るAPC回路1によってレーザーパワーが制御される光ディスク記録再生装置においては、目標とするレーザーパワーに設定変更した後、即時に目標とするレーザーパワーが得られる。
したがって、本発明に係るAPC回路1によれば、1番目の1/16クラスタから16番目の1/16クラスタまで、1クラスタを連続して記録することができ、1クラスタのトレース時間である15msでテストライトを完了できる。
しかも、本発明に係るAPC回路1は、平均値型APC回路であり、サンプリング型APC回路とは異なり、部品点数が増加することもないため、光ピックアップ装置などと一体化させようとした場合に小型化が可能となる。また、APC回路1に用いられる回路素子には高価な広帯域素子である必要もないため、製造コストを低減できる。
図7は、本発明に係るAPC回路1によってレーザーパワーが制御される光ディスク再生装置におけるテストライトの処理の流れを表すフローチャートである。以下、図7を参照して、APC回路1によってレーザーパワーが制御される光ディスク再生装置におけるテストライトについて説明する。
始めに、ステップS701では、マイクロコンピュータ106において、テストライトの回数を表す変数Nに16が設定される。すなわち、16種類のレーザーパワーによってテストライトが行われることになる。
次に、ステップS702において、目的のクラスタ、すなわち、テストライトの対象となるクラスタがサーチされる。そして、ステップS703においては、目的のクラスタが検出されたか否かが判定される。目的のクラスタが検出されない場合は、一定の時間が経過した後、再度クラスタが検出されたか否かについて判定される。クラスタが検出された場合には、処理はステップS704に遷移する。
ステップS704においては、マイクロコンピュータ106に含まれるDAC更新制御部107は、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値を、目標とするレーザーパワーが得られる値に設定する。さらに、マイクロコンピュータ106は、エラーアンプ105bのDAC値を、目標とするレーザーパワーが得られる値に設定する。
このとき、レーザーパワーが設定された後(ステップS704)、即時に目的とするレーザーパワーが得られる。そのため、安定したレーザーパワーが得られるのを待って、ディスク1回転分の時間(約66ms)が経過するまで待機する必要はない。
ステップS705においては、1クラスタを16分割した1/16クラスタごとにテストライトがなされる。ステップS705においてテストライトが終了すると、ステップS706において、テストライトの回数を表す変数Nがデクリメントされる。つまり、変数Nには、残りのテストライトの回数が設定されることになる。
その後、処理はステップS707へと遷移し、変数Nが0であるか否か、すなわち、すべてのレーザーパワーによるテストライトが終了したか否かについて判定される。ここで、変数Nが0の場合は、ステップS708に遷移して全てのテストライトが終了することになるが、変数Nが0でなければ、処理はステップS704に戻り、次にテストライトされるレーザーパワーに対応するDAC値が、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DACとエラーアンプ105bのDACに設定される。
したがって、初期設定された変数Nの回数分(本例においては16回)、ステップS704〜ステップS707の処理が繰り返し行われることになる。このとき、本発明に係るAPC回路1によれば、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値とエラーアンプ105bのDAC値が設定された後、即時に目標とするレーザーパワーが得られるため、1番目の1/16クラスタから16番目の1/16クラスタまで、1クラスタを連続して記録することができ、1クラスタのトレース時間である15msでテストライトを完了できる。
〔実施の形態2〕
実施の形態1において説明したAPC回路1の構成では、Pw−DAC112、Pe−DAC113、Pb−DAC114の各DAC値とエラーアンプ105bのDAC値を、マイクロコンピュータ106によって設定変更する。
しかしながら、各DAC値の設定をマイクロコンピュータ106によって設定変更する場合、マイクロコンピュータ106の処理タイミングや処理速度によっては、高速なレーザーパワーの制御に支障をきたす場合がある。そこで、本実施の形態においては、このような場合を考慮して、ハードウェア的に各DAC値を設定変更できる構成について説明する。
図8は、本実施の形態に係るAPC回路800が実装された光ディスク記録再生装置(光ディスク装置)815の構成を示す図である。
光ディスク記録再生装置815は、APC回路800と、信号処理回路807と、RF(Radio Frequency)回路808と、ドライバ809と、スレッドモータ810と、スピンドルモータ811と、OPIC(Optical IC;光変換IC)812と、ハーフミラー813と、コイル816と、コイル817とを備えている。なお、図8に示す光ディスク記録再生装置815には、ディスク814が装着されている。
APC回路800は、レーザーダイオード801と、LD駆動回路802と、フォトディテクター803と、I/Vアンプ804と、エラーアンプ805と、マイクロコンピュータ806とを備えている。
また、レーザーダイオード801と、LD駆動回路802と、フォトディテクター803と、I/Vアンプ804と、エラーアンプ805と、OPIC812と、ハーフミラー813と、フォーカスコイル816と、トラッキングコイル817と、レンズ818とは、光ピックアップユニット830を構成している。一般的に、フォーカスコイル816はフォーカスアクチュエーター816、トラッキングコイル817はトラッキングアクチュエーター817と称される。
ここで、図8に示すAPC回路800と、実施の形態1におけるAPC回路1との対応について説明する。APC回路800におけるレーザーダイオード801、フォトディテクター803、およびI/Vアンプ804は、それぞれ、APC回路1におけるレーザーダイオード101、フォトディテクター103、およびI/Vアンプ104と同じ機能を有する。また、LD駆動回路802の内部の構成は、図13に示されるLD駆動回路102と同じであり、エラーアンプ805の内部の構成は、図17に示されるエラーアンプ105bと同じである。
しかしながら、LD駆動回路802およびエラーアンプ805が備えているDACは、
LD駆動回路102およびエラーアンプ105が備えている一般的なDACと内部の構成が異なる。このDACの構成の違いについては詳細を後述する。
また、マイクロコンピュータ806は、マイクロコンピュータ106とは異なり、DAC更新制御部107を備えていない。なお、マイクロコンピュータ806はDAC更新制御部107を備えていてもよく、特に限定はされない。
なお、本実施の形態に係るAPC回路800においては、「LD駆動回路802→レーザーダイオード801→フォトディテクター803→エラーアンプ805→LD駆動回路802」のようなループが構成されている。
以下に、光ディスク記録再生装置815の動作の概要について説明する。レーザーダイオード801は、LD駆動回路802によって駆動され、レーザー光を出射する。出射されたレーザー光は、レンズ818によって絞り込まれる。絞り込まれたレーザー光819は、スピンドルモータ811に装着されて回転している光ディスク814照射され、ディスク面において反射される。そして、ディスク面において反射された光は、ハーフミラー813によってOPIC812に送られる。
OPIC812に送られた光は、電気的な信号に変換されてRF回路808に供給される。RF回路808は、受け取った信号を再生に必要なレベルまで増幅する。そして、信号処理回路807は、増幅された信号を復調する。これにより、光ディスクに記録されているデジタルデータが表す種々の情報が再生される。
また、RF回路808は、OPIC812から受け取る電気的な信号に基づいて、レーザー光の焦点を合わせるためのフォーカスエラー信号を生成する。そして、このフォーカスエラー信号は、信号処理回路807を介してドライバ809に入力される。ドライバ809は、入力されたフォーカスエラー信号に応じてフォーカスアクチュエーター816を駆動して、ディスク面に照射するレーザー光819の焦点を合わせている。
より具体的には、フォーカスアクチュエーター816にプラス電圧を供給するとレンズ818をディスク面に近づけるように動作し、マイナス電圧を供給するとレンズ818をディスク面から遠ざけるように動作する。これによって、ディスク面に照射されるレーザー光819の焦点を合わせている。
さらに、RF回路808は、OPIC812から受け取る電気的な信号に基づいて、レーザー光をディスク面のトラック上にオントラックするためのトラッキングエラー信号を生成する。そして、このトラッキングエラー信号は、信号処理回路807を介してドライバ809に入力される。ドライバ809は、入力されたトラッキングエラー信号に応じてトラッキングアクチュエーター817を駆動して、レンズ818を移動させてレーザー光819の照射位置を調整する。
具体的には、トラッキングアクチュエーター817にプラス電圧を供給すると、レンズ818はディスクの外周方向に移動し、マイナス電圧を供給するとレンズ818はディスクの内周方向に移動する。これによって、ディスク面に照射されるレーザー光819の位置を調整する。
以下に、本実施の形態に係るLD駆動回路802およびエラーアンプ805が備えているDACの特徴について説明する。
始めに、一般的なDACの構成について説明する。図9は、一般的なDAC900であって、実施の形態1に係るLD駆動回路102およびエラーアンプ105が備えているDACの構成を示す図である。
図9に示すとおり、DAC900は、8ビットレジスタ901、デコーダ部902、およびバッファ903を備えている。DAC値は、マイクロコンピュータ106によって、8ビットレジスタ(8bitレジスタ)901に設定される。デコーダ部902は、8ビットレジスタ901に設定されているDAC値をデコードし、バッファ903を介して計256種類の電圧値を出力する。
デコーダ部902は、抵抗915、抵抗916、抵抗917、抵抗918、グランド電位919、グランド電位920、およびスイッチ921を備えている。図9に示す抵抗917と抵抗918との間の破線は、複数の抵抗が接続されていることを示している。DAC900には、抵抗917、抵抗918と破線によって示される抵抗を合わせて、全部で256個分の抵抗が接続されている。また、各抵抗に対応して256個の端子(図9には端子921a、端子921b、端子921cのみ図示)が設けられている。
さらに、デコーダ部902の内部には、グランド電位920に接続されているスイッチ921が備えられており、256個の端子のうち、スイッチ921に接続される端子が切り替えられる。すなわち、256個の抵抗のうちグランドに接続される抵抗が切り替えられる。これにより、8ビットレジスタ901に設定される値に対応する256通りの出力が得られる。
図10は、本実施の形態に係るLD駆動回路802およびエラーアンプ805が備えているDAC906の構成を示す図である。図10に示すとおり、DAC910は、8ビットレジスタ901、デコーダ部902、バッファ903、データレジスタ904、加減算器905、抵抗915、抵抗916、抵抗917、およびグランド電位918を備えている。なお、図10に示すデコーダ部902は、図9に示すデコーダ部902と同様の構成であり、説明は省略する。
DAC906には、8ビットレジスタ901とデコーダ部902との間に、データレジスタ904および加減算器905が付加されている。8ビットレジスタ901には、DAC値の初期値が予め設定されている。また、データレジスタ904は、前記DAC値の初期値に対して加減されるステップ値を予め記憶している。そして、加減算器905は、パルスが入力されると、前記DAC値の初期値と前記ステップ値とを加算し、加算結果をデコーダ部902に供給する。デコーダ部902は、受け取った前記の加算結果をデコードし、バッファ903を介して計256種類の電圧値を出力する。なお、前記DAC値の初期値と前記ステップ値とは、マイクロコンピュータ806によって設定される。
以下に、DAC906の動作について、光ディスクへのテストライトにおけるレーザーパワーの設定変更を例として、より具体的に説明する。本例においては、1クラスタを16分割し、1/16クラスタ単位に1種類のレーザーパワーで試し記録する。
8ビットレジスタ901には、DAC値の初期値として「A」という値が設定されている。また、データレジスタ904には、ステップ値として「a」という値が設定されている。なお、この時点における加減算器905の内部に備えられている加減算器レジスタには、「0」が格納されている。
ここで、加減算器905に1パルス入力すると、加減算器905内部の加減算器レジスタには、データレジスタ904に記憶されているステップ値「a」が落とし込まれる。すなわち、前記加減算器レジスタの値は、「0」から「a」に更新される。これにより、加減算器905からデコーダ部902に供給される値は、8ビットレジスタ901に格納されているDAC値の初期値「A」と前記加減算器レジスタに記憶されている値「a」とを加算した値「A+a」となる。
更に、加減算器905に1パルス入力すると、前記加減算器レジスタの値は、「2a」に更新される。この結果、加減算器905からデコーダ部902に供給される値は「A+2a」となる。表1は、入力されるパルスの数と、8ビットレジスタ901、加減算器905の加減算器レジスタ、およびデコーダ部902に供給されてバッファ903を介して出力されるDAC値(表1における結果値)との関係を示す表である。
表1に示すとおり、出力される結果値は、加減算器905に1パルス入力されるごとに、データレジスタ904に記憶されているステップ値「a」づつ増加する。
なお、加減算器905に入力されるパルスは、信号処理回路807において光ディスク814に記録されている情報を再生する処理が行われ、テストライトの対象となる1/16クラスタのアドレスが検出されるごとに生成される。
これにより、マイクロコンピュータ106の処理タイミングや処理速度に影響されることなく、高速にレーザーパワーを制御することができるようになる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、マイクロコンピュータ106の各ブロック、特にDAC更新制御部107は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、マイクロコンピュータ106は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(centralprocessingunit)、上記プログラムを格納したROM(readonlymemory)、上記プログラムを展開するRAM(randomaccessmemory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるマイクロコンピュータ106の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記マイクロコンピュータ106に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、マイクロコンピュータ106を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtualprivatenetwork)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。