JP2008021162A - 軌条式運搬車 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軌条式運搬車において、走行停止部材を連動させた牽引車を複数連結することで、どの牽引車からでも走行停止操作ができるようにした。これにより、一台あたりの牽引車の容量は小さくてもよいことになり、軌条やラックといった部材の大型化が抑制され、設備コストが安くなる。
【解決手段】 地上に架設された軌条にラックを貼設し、強制駆動されてラックに噛み合うピニオンを有する牽引車で台車を牽引して軌条を走行するとともに、牽引車に設けられた走行停止操作部材の操作で走行と停止を図る軌条式運搬車において、牽引車を二台又はそれ以上直列に連結し、各々の走行停止操作部材を可撓性のある索条で連結したことを特徴とする軌条式運搬車。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地上に架設された軌条に沿って走行する軌条式運搬車に関するものである。
山の斜面等に開かれた果樹園等において、収穫物や資材或いは人員等の輸送のため、麓から目的地まで、地上に軌条を架設し、この軌条を案内体及び重量支持体として走行する軌条式運搬車が存在する。この場合、軌条は急勾配で架設されることがあるため、軌条にラックを貼設し、このラックに強制駆動されるピニオンを噛み合わせて走行している。これにおいて、運搬車は牽引車と台車とからなり、ピニオンは牽引車に搭載されたエンジンで駆動される。
ところが、勾配が急であったり、重量の重い積荷を積載する場合には、牽引力も大きなものが求められ、エンジンは大馬力のものにせざるを得ない。しかし、馬力の大きなエンジンを搭載すると、ミッション等もそれに応じて大型化し、全体の重量が重くなる。このため、軌条もそれに対応した強度のものが要求される、また、駆動力も大きくなってラックやピニオンといった駆動系部材も高強度のものが要求される。このことは、コストを引き上げる要因になり、特に、軌条やラックといった部材は全線に亘って必要であるから、コストの上昇は多大になる。
特開平9−240467号公報
本発明は、このような課題を解決するものであって、牽引車を複数連結することで、軌条やラックの強度アップを抑制することができて必要な駆動力を確保できたのである。加えて、本発明では、各牽引車の操作は一カ所でできるようにして操作の容易性を確保しているのである。なお、上記特許文献1には、操作部材を複数設けたものが示されているが、これは牽引車と台車とに分設したものであり、本発明のように、牽引車を複数設けたものではない。
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、地上に架設された軌条にラックを貼設し、強制駆動されてラックに噛み合うピニオンを有する牽引車で台車を牽引して軌条を走行するとともに、牽引車に設けられた走行停止操作部材の操作で走行と停止を図る軌条式運搬車において、牽引車を二台又はそれ以上直列に連結し、各々の走行停止操作部材を可撓性のある索条で連結したことを特徴とする軌条式運搬車を提供したものである。
また、本発明は、以上の軌条式運搬車において、請求項2に記載した、複数の牽引車が同じものである手段、請求項3に記載した、ピニオンがエンジンの動力を遠心クラッチを介してミッションで減速されて駆動されるとともに、ミッションの伝動軸にブレーキが組み込まれており、走行停止操作部材を走行側に操作すると、ブレーキを解放してエンジンのスロットルを上げ、停止側に操作すると、ブレーキを作動させてスロットルを下げるものである手段、請求項4に記載した、走行停止操作部材が回動によって走行位置と停止位置を交互にとる走行停止レバーを有しており、レバー軸にプーリを装着して各々のプーリをワイヤで掛け回した手段を提供する。
さらに、本発明は、この運搬車において、請求項5に記載した、台車が操縦者搭乗台車と荷積台車とからなり、操縦者搭乗台車が最後尾の牽引車の直後に連結される手段、請求項6に記載した、軌条の両側に副軌条が敷設されており、牽引車、台車の一方又は双方の重
請求項1の手段によると、必要な牽引力を発生させるのに個々の牽引車はそれほど大型化する必要はないから、軌条及びラックの強度等もそれに対応したもので足りる。したがって、運搬車の製作及び施工コストのアップを抑制できる。また、牽引車の走行停止はいずれの牽引車からでもできる。特に、この種の運搬車の軌条は回転半径の小さいカーブをとることが多いが、このような場合でも、両方の牽引車の操作を可能にできる。そして、請求項2の手段によると、牽引車のコストアップが避けられる。
また、請求項3及び4の手段によると、走行停止のための構造が簡単になるし、請求項5の手段によると、牽引車の操縦が安全で容易なものになる。さらに、請求項6の手段によると、運搬車全体を大型化でき、重量の重い積荷を運搬できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示す軌条式運搬車の側面図、図2は正面図であるが、この運搬車は、路線の始点から終点までに敷設される軌条(本例では単軌条)1を案内体及び重量支持体として自力走行するものである。この軌条1は、地上に高さ調整可能な支柱2で支えて架設してあり、地面が整地されていなかったり、凹凸があっても、比較的なだらかに敷設できるのが利点である。ただし、路線は、終点に向かって全体的には上り勾配に構成されている。なお、軌条1は、角パイプで構成されており、その裏面にラック3が貼設されている。
本例の運搬車は、二台の牽引車4を連結器5で連結した二重連を構成しており、後尾の牽引車4の後方に台車6が同じく連結器5で連結されている。本例の台車6は、操縦者が搭乗する操縦者搭乗台車(以下、搭乗台車)6aと荷を積む荷積台車6bとに分けられている。この場合、二台の牽引車4は同じ構造をしており、それぞれ車台7の上にエンジン8とミッション9を搭載し、エンジン8の出力軸8aに遠心クラッチ(図示省略)を内蔵したプーリ10を取り付け、ミッション9の入力軸9aに取り付けられたプーリ11とベルト12で連結されている。
また、車台7には車輪ユニット13が設けられており、この車輪ユニット13は、駆動輪14と遊動輪15とを有している。このうち、駆動輪14は、軌条1の下側にあてがわれて前後二個設けられており、ミッション9の出力軸9bに結合されてそれぞれラック3に噛み合うピニオンを形成している。一方、駆動輪14の上方には車台7に取り付けられる同じく二個の遊動輪15が設けられている。この場合、駆動輪14、遊動輪15ともに軌条1の上下面に接当する輪胴と側面を挟む鍔輪を有しており、これで軌条1を上下から挟持して脱線等を防いでいる。
搭乗台車6aは操縦者が搭乗するもので、後尾の牽引車4の後方に連結されて座席等16を有している。また、荷積台車6bは荷を積むもので、搭乗台車6aの後方に連結されて荷台17等を有している。この場合の荷積台車6bは一台であるが、二台以上連結することもある。そして、搭乗台車6a、荷積台車6bともに軌条1を上下から挟む上転動輪と下転動輪を有する車輪ユニット18で軌条1を挟持している。
この他、牽引車4のミッション9の伝動軸の中には、二個の定速ブレーキ19と一個のブレーキ20が設けられている。このうち、定速ブレーキ19は、伝動軸の回転数に応じて制動力が付与される遠心ブレーキであり、下り坂走行等に特定の伝動軸を定速に保って安全を図るものである。一方、ブレーキ20は、ある伝動軸を完全に停止させることができるブレーキであり、図3の側面断面図にその構造が示されている。
すなわち、ある伝動軸をミッション9の側方に延出してこれをブレーキ軸21とし、これにブレーキドラム22を固嵌するとともに、ブレーキドラム22の内周にカム23の回動によって回動軸24を中心に拡狭してブレーキドラム22を押圧、解放するブレーキシュー25を設けたものである。そして、カム23にブレーキアーム26を取り付け、このブレーキアーム26を回動させることでブレーキ20を作動、解放するものである。なお、ブレーキシュー25は、スプリング27で常に内方に引っ張られてブレーキドラム22を解放勝手にしている。さらに、ブレーキ軸21やブレーキドラム22はブレーキケース28で覆われている。
運搬車は、エンジン8を始動させてその回転数を上げると走行を始め、回転数の上昇は、エンジン8に装備されたスロットルレバー(図示省略)を高速側に操作すれば可能になる。本発明では、これをブレーキ20と連動する走行停止操作部材29によって行う。図4、図5はその側面断面図であるが、ブレーキケース28の外側面から操作軸(後述する走行停止レバー32のレバー軸)30を外延し、これに操作カム31を取り付けるとともに、更にその外側に走行停止レバー32を上方に突出させた操作ドラム33とプーリ34を取り付けている。この場合の操作カム31は、円形のカム面31aとこれから凹陥するポケット31bとが交互に形成されたものである。
一方、操作カム31の近傍(後方)には、支点軸35を中心に回動する操作レバー36が設けられており、この操作レバー36の途中にはカムフォロアー37が取り付けられている。そして、このカムフォロアー37は、上記した操作カム31のカム面31aとポケット31bを転動するようになっている。さらに、操作レバー36の下部にはブロック38が回転可能に止められており、このブロック38にスロットルレバーに連結されるスロットルワイヤ39が止めてある。この場合のスロットルワイヤ39は、アウタケーブル39aとその中を摺動するインナワイヤ39bとからなる二重(ボーデン)ワイヤであり、ブレーキケース28に固定されたブラケット40にアウタケーブル39aが固定され、インナワイヤ39bがブロック38に連結されている(スロットルレバーにもインナワイヤ39bが連結してある)。
これにより、走行停止レバー32を回動させて操作ドラム33を回転させると、カムフォロアー37がカム面31aにあるときにはスロットルワイヤ39を引っ張って回転数が上昇し(これを走行側という)、ポケット31bに落ち込むとスロットルワイヤ39を緩めて回転数が下降する(停止側という)。なお、カムフォロアー37がポケット31bに落ち込んで回転数が低下したときには、エンジン8の出力軸8aに組み込んである遠心クラッチが切断した状態になって駆動力が発生しない状態になっている。また、操作レバー36は、スプリング41によって常に停止側に引っ張られている。
操作レバー36には、カムフォロアー37とブロック38との間に別のブロック42も回転可能に設けられており、これと上記したブレーキアーム26とをロッド43で連結している。すなわち、ブレーキアーム26にブロック44を回転自在に取り付け、ロッド43をブロック44に通している。なお、このロッド43は、車台7に固定されたブラケット45に通されて、スプリング46で前方(カムフォロアー37がポケット31bに入り勝手であり、ブレーキ20が効く側)に付勢してある。したがって、走行停止レバー32を走行側に操作すると、ブレーキ20は解放され、エンジン8の回転数は上がる。一方、停止側に操作すると、ブレーキ20が効いてエンジン8の回転数は下がる。
ところで、操作カム31に形成されるカム面31aとポケット31bとは交互に設けられているから、走行停止レバー32の回動もこれに対応する。すなわち、カムフォロアー37がポケット31bに入り込み、ブレーキアーム26の下端が前方に回動している停止位置(a)から前方に倒すと、カムフォロアー37はカム面31aに乗り上げ、ブレーキアーム26の下端は真っ直ぐ下を向く走行位置(b)になり、更に前方へ倒すと再度停止位置(c)をとるようになっている。
この場合、カムフォロアー37がカム面31aに乗り上げたときの状態は不安定であるから、操作カム31の近傍にカムフォロアー47を有して支点軸48の回りを回動する位置決めアーム49を設け、カムフォロアー37がカム面31aに乗り上げたときにはこのカムフォロアー47がポケット31bに入り込んで操作カム31をホールドするようにしている。すなわち、走行停止レバー32の走行位置と停止位置との位置決め機構ということになる。なお、位置決めアーム49は、スプリング50によってポケット31bに入り込む側に付勢されている。
さらに、操作ドラム33には走行停止バー51が下方に突出されて設けられている。この走行停止バー51は、軌条1等に設けられたスイッチバー(図示省略)に衝突して回動するものであり、走行停止レバー32が走行位置(b)にあるときに真下に向くように取り付けられている。したがって、運搬車が走行中、走行停止バー51がスイッチバーに接触すると、操作ドラム33はいずれかの停止位置(a)、(c)に回動して停止する。この点で、自動停止装置を構成することになるが、これによる場合は、運搬車が前進しているときの走行停止レバーの停止位置は(c)ということになり、後進しているときには(a)ということになる。
ところで、本例では、牽引車4は同じものが二台連結されるのであるから、走行停止レバー32やプーリ34等からなる走行停止操作部材29も同じものを備えている。そこで、このプーリ34に可撓性のある索条52を掛け張っていすれかの走行停止レバー32を操作すると、この索条52を介して他の走行停止レバー32も同じように操作されるようにしている。なお、この索条52も、アウタケーブル52aとインナワイヤ52bとからなる二重ワイヤが好ましく(物に擦れたりして作動不良を起こさないから)、それぞれの車台7等にブラケット53を取り付け、各ブラケット53にアウタケーブル52aを止め付けてインナワイヤ52bを相互のプーリ34に掛け回している。
以上の構成の運搬車の走行について説明すると、操縦者は搭乗台車6aに乗り、その前方に連結されている牽引車4の走行停止レバー32を操作することになる。このとき、走行停止レバー32を(b)の走行位置に回動させると、ブレーキ20を解放するとともに、エンジン8の回転数(スロットル)を上げて走行する。そして、走行停止レバー32をいずれかの停止位置(a)、(c)に回動させると、スロットルを下げて遠心クラッチを切断するとともに、ブレーキ20を効かすことになる。また、走行停止バー51がスイッチバーに当たっても、走行停止レバー32が停止位置(a)、(c)に回動して停止するのも上記したとおりである。なお、この状態は継続することになるから、ブレーキ20は駐車ブレーキも兼ねるものとなる。
この操作がいずれの牽引車4で行われても、その操作はプーリ34と索条52を介して他の牽引車4に伝えられ、同じように走行停止の操作をすることになる。したがって、台車6は二台の牽引車4で牽引されることになり、一台の牽引車4の容量は小さいもので足りる。この点で、牽引車4は二台に限らず、三台以上であってもよい。一方、軌条1はカーブで敷かれることもあり、ここを走行するときには、牽引車4もカーブで連結される。そこで、索条52に代えて剛体のロッドのようなものを使用すると、ロッドが折れ曲がったり、激しい場合には運搬車が脱線したりすることになるが、可撓性のある索条52によることでそれも生じない。特に、この種の軌条1は、小さい曲率半径でカーブをとることがあるから、この可撓性は非常に重要である。
以上は、本発明の基本的な形態であるが、この他に改変された形態をとることがあり、例えば、軌条1を副軌条にすることである。すなわち、図示は省略するが、軌条1の両側に副軌条を敷設し、車台や荷台に設けた車輪ユニットでこの副軌条に支持させるのである(詳細は本出願人の出願に係る特開2000−127959号公報等に記載してある)。なお、副軌条で重量を支持するのは台車だけでなく、牽引車の場合もある。これによると、中央の単軌条は案内体のみとして作用し、重量支持体はこの副軌条が担うことになるから、大重量のものを運搬できることになる。この場合は牽引車や台車もそれに伴って大型化するから、一台の牽引車でこれを賄うとすると、牽引車や駆動機構の容量、強度が突出したものになる。しかし、このように、牽引車を複数にすることでその分散化が図られ、大きなコスト削減効果が得られる。
運搬車の側面図である。 運搬車の正面図である。 ブレーキの側面断面図である。 走行停止操作部材の一部断面側面図である。 走行停止操作部材の一部断面側面図である。
符号の説明
1 軌条
2 支柱
3 ラック
4 牽引車
5 連結器
6 台車
6a 操縦者搭乗台車
6b 荷積台車
7 車台
8 エンジン
8a 〃 の出力軸
9 ミッション
9a 〃 の入力軸
9b 〃 の出力軸
10 プーリ
11 プーリ
12 ベルト
13 車輪ユニット
14 駆動輪
15 遊動輪
16 座席
17 荷台
18 車輪ユニット
19 定速ブレーキ
20 ブレーキ
21 ブレーキ軸
22 ブレーキドラム
23 カム
24 回動軸
25 ブレーキシュー
26 ブレーキアーム
27 スプリング
28 ブレーキケース
29 走行停止操作部材
30 操作軸
31 操作カム
31a 〃 のカム面
31b 〃 のポケット
32 走行停止レバー
33 操作ドラム
34 プーリ
35 支点軸
36 操作レバー
36a スプリング
37 カムフォロアー
38 ブロック
39 スロットルワイヤ
39a 〃 のアウタケーブル
39b 〃 のインナワイヤ
40 ブラケット
41 スプリング
42 ブロック
43 ロッド
44 ブロック
45 ブラケット
46 スプリング
47 カムフォロアー
48 支点軸
49 位置決めアーム
50 スプリング
51 走行停止バー
52 索条
52a 〃のアウタケーブル
52b 〃のインナワイヤ
53 ブラケット

Claims (6)

  1. 地上に架設された軌条にラックを貼設し、強制駆動されてラックに噛み合うピニオンを有する牽引車で台車を牽引して軌条を走行するとともに、牽引車に設けられた走行停止操作部材の操作で走行と停止を図る軌条式運搬車において、牽引車を二台又はそれ以上直列に連結し、各々の走行停止操作部材を可撓性のある索条で連結したことを特徴とする軌条式運搬車。
  2. 複数の牽引車が同じものである請求項1の軌条式運搬車。
  3. ピニオンがエンジンの動力を遠心クラッチを介してミッションで減速して駆動されるとともに、ミッションの伝動軸にブレーキが組み込まれており、走行停止操作部材を走行側に操作すると、ブレーキを解放してエンジンのスロットルを上げ、停止側に操作すると、ブレーキを作動させてスロットルを下げるものである請求項1又は2の軌条式運搬車。
  4. 走行停止操作部材が回動によって走行位置と停止位置を交互にとる走行停止レバーを有しており、レバー軸にプーリを装着して各々のプーリにワイヤを掛け回した請求項1〜3いずれかの軌条式運搬車。
  5. 台車が操縦者搭乗台車と荷積台車とからなり、操縦者搭乗台車が最後尾の牽引車の直後に連結される請求項1〜4いずれかの軌条式運搬車。
  6. 軌条の両側に副軌条が敷設されており、牽引車、台車の一方又は双方の重量が副軌条で支持される請求項1〜5いずれかの軌条式運搬車。
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