JP2555802Y2 - 単軌条運搬車に於ける長尺重量物運搬用の油圧駆動台車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案に係る単軌条運搬車に於ける長尺重量物運搬用
の油圧駆動台車は、傾斜地に設けた支柱に支持された単
軌条の上を走行する運搬車に於いて、長尺重量物を積載
される台車の前後下部に油圧モーターを設けて、この油
圧モーターにより駆動輪を駆動走行すると共に該油圧モ
ーターを駆動することによって走行するようにした可変
油圧ポンプ搭載のコントロール車がその台車に連結され
ていて、そのコントロール車によって、その台車の前後
下部に設けられている油圧モーターをコントロールする
ようにしたことを特徴とする長尺重量物運搬用の油圧駆
動台車に関する提案である。 そのコントロール車には、これに搭載した可変油圧ポ
ンプを駆動するエンジンが搭載され、該コントロール車
上の操作で、その可変油圧ポンプによりその台車の前後
下部に設けている油圧モーターを駆動するようにして、
該油圧モーターの回転力がその台車の前後に設けられて
いる駆動輪に伝達され、その台車の前後で同時に駆動で
きるようにしている。その油圧駆動台車にコントロール
車を連結して走行するようになっている。

【従来の技術】

従来の単軌条運搬車は、第３図で示すように搭載され
たエンジンによって駆動輪を回転させて走行する駆動車
と、この駆動車後方に牽引される荷物積載用の台車を連
結することにより構成されている。その台車の前後下部
には、単軌条を上下のガイドローラーで挟持したローラ
ー台が、レールのカーブ方向に沿って、上下左右に回動
するように取り付けられている。 そのため、そのローラー台を備えている台車が駆動車
に牽引されてカーブに差しかかると、該ローラー台はア
ップダウンがある傾斜地で上下左右に回動するが、前後
のローラー台はそれぞれのカーブに沿って走行するため
に前後のローラー台が異なる方向に走行することにな
る。そのローラー台の方向がその台車の前後で異なり、
前のローラー台は駆動車で牽引され、後ろのローラー台
は前のローラー台で牽引される状態になり、ガイドロー
ラーやレールに無理な力がかかり、摩耗、損傷が早く生
じる欠点があった。

【考案が解決しようとする課題】

現在、土木工事関係者からは山等の工事現場で、使用
する機材の大型化や材料の大量使用に対し、これらを一
度で何トンも運べたり、クレーン等を分解した長尺の重
量機材を運べる運搬者が要望されていると共に、山の中
腹や頂上に点在する数箇所の工事現場を順次周回出来る
ようにしたエンドレスのレール走行に適する運搬車が強
く要望されている。 従来の運搬車をそのまま大型化して、重量物を運搬出
来るようにしても、台車は先頭の駆動車に牽引されて走
行するため、常に上りになったレール上を往復する場合
はよいが、上り下りが連続したり、前記のエンドレスの
レール上を周回して下る時は、駆動車より何倍も重い満
載の台車が後方から駆動車の連結部分を強い力で突き押
す格好となる。そのため、連結部や駆動車の駆動輪とガ
イドローラ及びレール等の傷みが早く、各所の破損によ
りブレーキが効かなくなって暴走したり、駆動車自体が
レールから脱落して、大事故につながる可能性がある。 また、長尺の重量機材を積載出来るように台車を４メ
ートル前後或いはそれ以上の長さにした場合、従来の台
車の支持方法では、レールからの高さが十分でないた
め、レールが上下にカーブしている所では、台車中央の
底部が接触したり、台車後方に突き出した機材の先端が
レールに接触して、事実上走行が不可能な場合がある。

【課題を解決するための手段】

本考案は、長尺の重量機材を運搬したり、エンドレス
走行に適するように運搬車を改良したものである。台車
の前後に設けられる油圧モーターで同時に台車自体を駆
動走行させるため、前後下部には、油圧モーターを取り
付けた減速ミッションによって同時に回転する複数の駆
動輪を設けている。即ち、この台車は、コントルール車
をその台車に連結して前記油圧モーターを回転させる可
変油圧ポンプと、これをコントロールする発進レバーを
設けたエンジン搭載の該コントロール車を牽引しなが
ら、同時に回転する複数の駆動輪によりレール上を走行
するようにしている。 前記の減速ミッションには、台車を一定の速度に保つ
自動定速ブレーキと、コントロール車の発進レバーによ
って制動が解除される停車ブレーキをそれぞれ設けてい
る。そして、ロングサイズの台車使用を可能とするた
め、減速ミッションと、この近くに設けたローラー台と
を互いに連結した状態で、台車の前後下部に取り付け、
上下左右へ回動するようにしている。台車とコントロー
ル車との間には、必要に応じて延長接続器を連結させる
ようにしたものである。

【作用】

コントロール車の可変油圧ポンプを発進レバーで作動
させると、停車ブレーキの作動が解除されると共に、台
車の油圧モーターが回転して同時に複数の駆動輪が減速
回転され、後方のコントロール車を牽引した状態で台車
の走行がゆっくり開始される。 台車は、前後の減速ミッションにそれぞれ設けられた
各油圧モーターの回転力が同時に複数の駆動輪に伝達さ
れるので、油圧モーターの機能によりスロー発進が可能
になると共に、単軌条のカーブした位置を通過する時、
該各油圧モーターが設けられている減速ミッションと該
ローラー台がカーブに沿って上下左右に回転しながら安
定走行する事が可能になる。その油圧モーターは、油圧
ブレーキとしても機能するため自動定速ブレーキ及び停
車ブレーキとの併用が可能になり、従って、発進レバー
の中立位置では油圧ブレーキとしての作用が生じるので
台車の安全性が向上する事になる。 台車よりも長い機材を前後に突出させた状態で運搬する
ときは、台車とコントロール車の間に延長接続器を連結
させればよい。

【実施例】

添付図面の第１図、第２図、第４図、第５図、第６
図、第７図は、本考案に係る単軌条運搬車に於ける長尺
重量物運搬用の油圧駆動台車の実施例について図示して
いるものである。第１図は、本考案の単軌条運搬車全体
の側面図、第２図は、単軌条運搬車の油圧駆動台車の背
面図、第３図は、従来の小型運搬車を図示する側面図、
第４図は、山状カーブの単軌条に於ける単軌条運搬車の
走行状態を図示する側面図、第５図は、谷状カーブの単
軌条に於ける単軌条運搬車の走行状態を図示する側面
図、第６図は、弓状カーブの単軌条に於ける単軌条運搬
車の走行状態を図示する平面図、第７図は、複数の工事
現場に於けるエンドレス走行の状態を図示する説明図を
それぞれ示すものである。 符号１は、長尺重量物を積載出来るようにしたロング
サイズの油圧駆動台車であって、前方下部には上部にミ
ッション台２を備える減速ミッション３と、この近くに
ローラー台４を配設している。 減速ミッション３の側部には、入力軸に油圧モーター
５、他の中間ギア軸に通常の速度よりも20〜30％以上速
くなると遠心力でブレーキ制動が働く自動定速ブレーキ
６及び後方からのワイヤー操作によってブレーキ制動が
解除される停車ブレーキ７等を各々取り付けてあり、又
他方の側部で同時に減速回転する２本の出力軸には、第
２図の背面図でも示すように、上方に設けた正逆に回転
自在なガイドローラー8,8とで支柱９上部の単軌条10を
上下から挟持するよう下面の透孔11に係合する突起付き
の駆動輪12,12を取り付けている。 ローラー台４は、上下４個の正逆回転自在なガイドロ
ーラー13で単軌条10を挟持している。前記ミッション台
２とローラー台４の上面には、両方の台が各々ボルト1
4,15を中心にして左右に回動するよう水平板16,17と、
この水平板16,17の左右上面に突設した２枚の平行な垂
直板18,18及び19,19によって支持された水平軸20,21を
設けている。 符号22は、連結台であって、下面の前後位置へ下向き
に固定した左右２個ずつの軸受23,23及び軸受24,24を、
下方の水平板16,17が上下に回動するよう前記水平軸20,
21に取り付けて、ミッション台２とローラー台４を連結
している。又、連結台22の上面には、この台がボルト25
を中心にして、左右に回動するように水平板26と、この
水平板26の左右上面に突設した２枚の平行な垂直板27,2
7によって支持された水平軸28を設ける。 駆動台車１の前方下面に固定した左右位置の軸受29,2
9を、前記水平軸28に取り付け、下方の水平板26が上下
に回動するようにしている。以上に示したものと同様の
装置が、駆動台車１の後方下部にも設けられている。 符号30は、駆動台車１後方のミッション台２後部に連
結した延長接続器であって、上下４個の正逆に回転自在
なガイドローラ31で単軌条10を挟持して、油圧駆動台車
１に牽引される。その上部には、ホース止め32を設けて
いる。 符号33は、前記延長接続器30の後部に連結された状態
で牽引されるエンジン34搭載のコントロール車であっ
て、ヱンジン34から動力が伝達された可変油圧ポンプ35
と、これをコントロールする発進レバー36及び他の各種
レバーが配設されている。 油圧回路は、前記可変油圧ポンプ35と駆動台車１下面
に沿って配管した２本の油圧管37,37の後端にフレキシ
ブルの油圧ホース38,38を接続し、その中間位置は延長
接続器30のホース止め32両側へずり落ちないようにして
いる。 油圧管37,37の後端近くには、Ｔ型ジョイント39,39を
設けて後部油圧モーター５とフレキシブルの油圧ホース
40,40を接続すると共に、油圧管37,37の先端と前部油圧
モーター５間にも前記同様の油圧ホース40,40が接続さ
れている。 符号41は、ブレーキワイヤーで、コントロール車33の
発進レバー36から油圧ホース38,38と共に延長接続器30
のホース止め32に通し、駆動台車１の後部下面で二股に
分けて前後の停車ブレーキ7,7に接続してあり、発進レ
バー36の操作によって、ブレーキ制動が解除されるよう
に取り付けられている。 以上のように構成した油圧駆動台車の実施例につい
て、本考案の作用を詳しく説明する。 コントロール車33のエンジン34を始動し、各種レバー
を所定位置にセットした後に、発進レバー36を操作する
と駆動台車１の前後にある停車ブレーキ7,7のブレーキ
制動が解除され、同時に可変油圧ポンプ35によって前後
の油圧モーター5,5が回転し、減速ミッション3,3を介し
て、計４個の駆動輪12が同時に減速回転して、後方のコ
ントロール車33を牽引した状態で駆動台車１の無人走行
が開始される。 第４図と第５図のように単軌条10が山や谷状にカーブ
した位置では、走行中の駆動台車は、上下二段の軸受29
及び23,24によって各水平板26及び16,17が駆動台車１の
前後位置で互いに上下へ回動しながら通過し、又第６図
のように左右にカーブした位置では、上段の連結台22及
び下段のミッション台２とローラー台４とが各々左右に
回動しながら通過する。 駆動台車１から後方に離れた位置のコントロール車33
は、カーブで生じる駆動台車１との交差角度を延長接続
器30によって、前後の連結箇所で二段回に分割された状
態で、単軌条10にほぼ沿った方向から牽引される。 そして、第７図のように下の荷物積載場所から、山の中
腹や頂上にあるA,B,Cの各地点のそれぞれの工事現場を
通ってエンドレス走行させた場合、Ｂ地点までの登板で
は、駆動台車１は、引力によって後方に離れようとする
コントロール車33を牽引しながら走行し、又Ｂ地点から
Ｃ地点を通って下に戻る下り坂では、駆動台車１は、延
長接続器30を介して、後方のコントロール車33を常に受
け止めた状態で制御しながら走行する。 各地点での停止は、コントロール車33の発進レバー36
下端が単軌条10の支柱９に取り付けられたストッパー42
に当接して戻され、油圧モーター5,5の回転停止による
制動力が働くと同時に、ブレーキワイヤー41の解放によ
って、停車ブレーキ7,7の制動力が働いて、駆動台車１
を所定の位置で自動停止させる。 走行中、何らかの理由によって速度が通常よりも速く
なると、前後の自動定速ブレーキ6,6が遠心力によって
自動的に作動して、一定の速度を保ち、又、万一、コン
トロール車33からの油圧ホース40,40が切断された場合
には、油圧モーター5,5の駆動力の低下とほぼ同時にブ
レーキワイヤー41から解放された停車ブレーキ7,7が作
動して、駆動台車１を暴走する前に緊急停止させる。
尚、荷物の運搬がＡ地点からＢ地点まででよい場合は、
駆動台車１はエンドレス走行させずに来た方向へ逆走さ
せて、下へ戻るようにしてもよい。 長尺の重量運搬物を駆動台車１の後方へ突出させずに
積載出来るような場合には、延長接続器30を取り外し
て、その間の油圧ホース38,38とブレーキワイヤー41を
短いものに交換するか、若しくは余分な長さをコントロ
ール車33側に巻いて短く調節するようにしてもよい。

【考案の効果】

本考案の効果は、発進レバーの操作で油圧モーターをゆ
っくり駆動させることが出来るので、スロー発進が容易
であり、その油圧モーターは駆動台車１の前後で同時に
駆動することが出来るため、レールや駆動輪、ガイドロ
ーラーに無理な力がかからず、それらの損傷が少ないの
みならず、油圧モーターの停止による制動力により油圧
ブレーキがかかり、同時に停車ブレーキの制動力が働く
ため安全である。 この考案の効果を詳細に説明すれば、油圧駆動台車の
コントロール車に備えた発進レバーは、中立、前進、後
進の位置にレバーを移動操作することにより、中立では
油圧ブレーキが効き、前進ではゆっくり発進や後退では
ゆっくり後退が容易である。 駆動台車１には、直接油圧モーター5,5の停止力と停
車ブレーキ7,7の制動力が働くため、重量物を満載した
場合でも、強力かつ安定した力で確実に停止させること
が出来る。 重い方の駆動台車を先頭にして油圧駆動させることが
出来ることによって、エンドレス走行での下り坂で、後
方からコントロール車33に突き押されても、複数の駆動
輪12が受ける影響が小さいため、長期間安定した走行が
可能である。駆動台車１と延長接続器30、延長接続器30
とコントロール車33の各連結箇所は、軽い方のコントロ
ール車33を牽引したり、受け止めればよいため、変形や
破損が生じにくい。 駆動台車１は、上下左右に回動する二段回の台で支持
されているため、上下にカーブした単軌条10に対して、
台車底部や機材先端の接触を防止することが出来ると共
に、ロングサイズの台車を製作することが出来る。 ロングサイズの台車に延長接続器30を連結させること
によって、更に長い重量機材を積載することが出来る。 台車より後方に離されて連結されるコントロール車33
は、延長接続器30によって、単軌条10に沿った方向か
ら、牽引や受け止めが出来るため、コントロール車に無
理な力が加わらず、脱輪やレールの損傷が生じにくい。 本考案は、長尺の重量物運搬とエンドレス走行に適し
た油圧駆動台車を提供することが出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の単軌条運搬車全体の側面図である。 第２図は、単軌条運搬車の油圧駆動台車の背面図であ
る。 第３図は、従来の小型運搬車を図示する側面図である。 第４図は、山状カーブの単軌条に於ける単軌条運搬車の
走行状態を図示する側面図である。 第５図は、谷状カーブの単軌条に於ける単軌条運搬車の
走行状態を図示する側面図である。 第６図は、弓状カーブの単軌条に於ける単軌条運搬車の
走行状態を図示する平面図である。 第７図は、複数の工事現場に於けるエンドレス走行の状
態を図示する説明図である。

【符号の説明】

１……駆動台車 ２……ミッション台 ３……減速ミッション ４……ローラー台 ５……油圧モーター ６……自動定速ブレーキ ７……停車ブレーキ ８……ガイドローラー ９……支柱 10……単軌条 11……透孔 12……駆動輪 13……ガイドローラー 14,15……ボルト 16,17……水平板 18,19……垂直板 20,21……水平板 22……連結台 23,24……軸受 25……ボルト 26……水平板 27……垂直板 28……水平板 29……軸受 30……延長接続器 31……ガイドローラー 32……ホース止め 33……コントロール車 34……エンジン 35……可変油圧ポンプ 36……発進レバー 37……油圧管 38……油圧ホース 39……Ｔ型ジョイント 40……油圧ホース 41……ブレーキワイヤー 42……ストッパー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−210132（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−289767（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−229154（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−214048（ＪＰ，Ａ) 実開 昭64−30728（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−121717（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭35−1813（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】台車自体を同時に駆動走行させる油圧モー
   ターを台車の前後下部に設け、該油圧モーターを取り付
   けた減速ミッションを介して台車の前後で同時に回転す
   る複数の駆動輪を設け、該台車に前記油圧モーターを回
   転させる可変油圧ポンプと、これをコントロールする発
   進レバーを設けたエンジン搭載のコントロール車を連結
   し、該台車に設けられる油圧モーターによりそれぞれ同
   時に駆動する複数の駆動輪によりレール上を走行するよ
   うにした事を特徴とする単軌条運搬車に於ける油圧駆動
   台車。
2. 【請求項２】減速ミッションには、台車を一定の速度に
   保つ自動定速ブレーキと、コントロール車の発進レバー
   によって制動が解除される停車ブレーキをそれぞれ設
   け、上下左右へ回動するようにしたミッション台を台車
   の前後下部に取り付け、該ミッション台を備えた減速ミ
   ッションに取り付けた油圧モーターにより、油圧ブレー
   キと前記停車ブレーキが同時に制動するようにしたこと
   を特徴とする請求項１に記載の単軌条運搬車に於ける油
   圧駆動台車。