JP2008019983A - 中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材 - Google Patents

中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化処理を行う際に、既存の焼入れ設備を用いて内表面に未硬化層を安定して形成でき、しかも外表面の圧縮残留応力も十分確保できる中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材を提供する。
【解決手段】鋼管から塑性加工により成形された中空素材Paに熱硬化処理を施してなる。中空素材Paはその内表面25にフェライト脱炭層23aを有する。塑性加工時に内表面25に形成される加工しわ26がフェライト脱炭層23a内に存在する。
【選択図】図1

Description

本発明は中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材に関する。
自動車の動力伝達系を構成する動力伝達シャフトには、エンジンと車輪軸受装置を繋ぐドライブシャフトや、変速機から減速歯車装置に動力を伝達するプロペラシャフトがあり、いずれも軸端部に連結要素であるスプライン等が設けられる。この動力伝達シャフトは、その種類を基本構造で大別すると、中実の棒材から加工された中実シャフトと、鋼管などから加工された中空シャフトとがある。
従来は、中実シャフトを使用していたが、近年、自動車の足回りの軽量化、捩り剛性やNVH特性の向上といった機能面での必要性から中空シャフトが用いられることが多くなってきた。
中空シャフトには、鋼管から塑性加工により成形されて、内径面が硬化処理されているものがある(特許文献1)。この際、シャフトの内表面の軸方向のほぼ全長(全域)にわたって焼入れしている。すなわち、シャフトの外表面側から高周波焼入れを行った後、焼戻しを行うことによって、外表面から内表面までの全深さ領域に対して熱硬化処理を施している。
また、他の中空シャフトとして、焼入れ率等を規定することによって、静捩り強度と捩り疲労強度を中実シャフト以上としたものがある(特許文献2)。すなわち、内径と外径との比を0.15〜0.8とするとともに、焼入れ率を0.7〜0.9としている。ここで、焼入れ率とは、硬度がHv400以上に焼入れされている外周表面からの焼入れ深さをhとし、シャフトの肉厚をtとしたときの比h/tである。
特許文献2に記載のものは、焼入れ率0.8程度で高い静捩り強度が得られ、焼入れ率0.7〜0.9で高い捩り疲労強度が得られるため、双方の結果より、焼入れ率を0.7〜0.9に設定している。このため、静捩り強度と捩り疲労強度を中実シャフトのもの以上にできるとしている。
ところで、鋼管をスウェージング加工等の塑性加工で成形した中空シャフトでは、鋼管が縮径される際にその内径側に素材が塑性流動することにより、内径面(内表面)に加工しわが形成され易い。このため、全深さ領域に対して熱硬化処理を行っている前記特許文献1に記載のものでは、焼入れを行うことによって、内表面まで熱影響を与えたことになる。このように、内表面まで熱影響が及べば、塑性加工時に形成された加工しわを起点に焼割れを起こす可能性があった。
また、特許文献2に記載のものでは、焼入れ率が0.7以上であるので、加熱された内表面近傍の熱影響を、シャフト内部の空気層により無くすことは困難である。このため、加工しわを起点とする焼割れの可能性がある。
この種の中空シャフトは、焼入れ時の焼割れに対する品質管理が厳しく要求されることが多い。このため、通常は焼入れ後に焼割れ検査を行っている。一般に外表面の焼割れ検査は比較的容易であるが、内表面の焼割れ検査は技術的に困難であり、この内表面の焼割れ検査には、超音波探傷等の非破壊検査を行うことになる。しかしながら、超音波探傷等の非破壊検査では、コスト高となるとともに、多くの作業工程を必要とした。
このため、近年では、内表面の焼割れ検査を簡略化できる方法が提案されている(特許文献3)。すなわち、図6に示すように、高周波焼入れを行う際に、中空シャフト51の孔部(軸心孔)52の一方の開口部52aから他方の開口部52b側へ冷却水を流すことで、内表面53から所定の深さ領域に未硬化層54を形成するようにしている。これによって、この内表面53において焼割れが無く、内表面53の焼割れ検査を簡略化できるようにしている。なお、未硬化層54よりも外径側は硬化層56となっている。
特開2002−349538号公報 特開2003−90325号公報 特開2006−2185号公報
しかしながら、特許文献3に記載のように、シャフト51の孔部52に冷却水を流す場合、シャフト51の孔部52の形状により、流量が変化する。このため、内表面の未硬化層54の厚みが変化し、この未硬化層54の厚みを制御するのが難しかった。
また、冷却水を流しながら高周波焼入れを行うと、冷却水の影響で外表面55の圧縮残留応力が、冷却水を流さずに高周波焼入れを行ったものに比べて低くなる傾向にある。このため、捩り疲労強度が低下するおそれがある。
さらに、シャフト51の孔部52に冷却水を流す場合の焼入れとしては、高周波焼入れに限定され、炉を用いたずぶ焼等は適用できない。しかも、高周波焼入れで対応する際にも、設備の改造や新規設備を導入する必要があるため、新たに設備費を必要とする。
本発明は、上記課題に鑑みて、熱硬化処理を行う際に、既存の焼入れ設備を用いて内表面に未硬化層を安定して形成でき、しかも外表面の圧縮残留応力も十分確保できる中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材を提供する。
本発明の中空シャフトは、鋼管から塑性加工により成形された中空素材に熱硬化処理を施してなる中空シャフトであって、前記中空素材の内表面にフェライト脱炭層を有し、前記塑性加工時に内表面に形成される加工しわがフェライト脱炭層内に存在するものである。フェライト脱炭層とは、鋼材中の炭素と雰囲気中の酸素が反応して、CO、CO2として鋼材から散逸し、炭素が少なくなっている層である。この脱炭層には、炭素をほとんど含まないフェライト組織のみの層と、他の部位よりもフェライトの占める割合の多い領域の層とを含むものとする。
本発明の中空シャフトによれば、中空素材の内表面にフェライト脱炭層が形成されているので、中空素材に対して熱硬化処理を行うと、このフェライト脱炭層域においては未硬化層が形成される。また、塑性加工にて発生する内表面の加工しわは、フェライト脱炭層内にあるので、未硬化層内においてのみ加工しわが存在する。このため、この加工しわを起点とした焼割れが生じない。
前記熱硬化処理として、前記中空素材の内表面まで熱影響が及ぶ焼入れを行うことになる。このため、焼入れとしては、高周波焼入れ、ずぶ焼入れ等の種々の焼入れを行うことができ、また、高周波焼入れとして、移動焼入れであっても、定置焼入れであってもよい。なお、高周波焼入れとは、高周波電流の通じているコイルの間にワークを入れ、このワークの表面に渦電流に伴うジュール熱によって、その表面を加熱する処理である。また、ずぶ焼入れとは、ワーク全体を電気炉等の炉で加熱する処理である。
本発明の等速自在継手の外側継手部材は、内径面に複数のトラック溝が形成されたマウス部と、このマウス部から突設されるステム部とを備えた等速自在継手の外側継手部材であって、前記ステム部が、鋼管から塑性加工により成形された中空素材に熱硬化処理を施してなる中空シャフトを備え、前記中空素材の内表面にフェライト脱炭層を有し、前記塑性加工時に内表面に形成される加工しわがフェライト脱炭層内に存在するものである。
ステム部では、フェライト脱炭層域においては未硬化層が形成される。また、塑性加工にて発生する内表面の加工しわは、フェライト脱炭層内にあるので、未硬化層内においてのみ加工しわが存在する。このため、ステム部は、加工しわを起点とした焼割れが生じない。
本発明の中空シャフトによれば、加工しわを起点とした焼割れが生じない。このため、焼割れの検査としては外表面のみでよく、コスト高で手間がかかる超音波探傷による非破壊検査等を省略できる。しかも、熱硬化処理の際に、内部に冷却水を流すものに比べて、本発明では、冷却水の影響を受けないので、外表面に高い圧縮残留応力を得ることができ、捩り疲労強度が向上する。
焼入れとしては、高周波焼入れ、ずぶ焼入れ等の種々の焼入れを行うことができるので、既存の熱処理設備を用いることができる。このため、熱処理設備の改造や新規設備の導入等する必要がなく、コスト低減を図ることができる。
本発明の等速自在継手の外側継手部材では、ステム部には、加工しわを起点とした焼割れが生じない。このため、ステム部の焼割れの検査としては外表面のみでよく、コスト高で手間がかかる超音波探傷による非破壊検査等を省略できる。また、ステム部の外表面に高い圧縮残留応力を得ることができ、捩り疲労強度が向上する。
本発明に係る中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図2に示す中空シャフト(動力伝達シャフト)1は、大径の本体部15と、この本体部15の両端からテーパ部16a、16bを介して連設される中径部17a、17bと、この中径部17a、17bからテーパ部18a、18bを介して連設される小径部19a、19bと、小径部19a、19bからテーパ部20a、20bを介して連設される中径の端部21a、21bとを備える。端部21a、21bの外周面には、それぞれスプラインまたはセレーションからなる連結要素24が形成されている。
このシャフト1は、例えば、図3に示すように、自動車のフロント用ドライブシャフトに適用され、デファレンシャル側(デフ側)の摺動式等速自在継手2と、ホイール側の固定式等速自在継手3とを連結する。
摺動式等速自在継手2は、この場合、トリボード型等速自在継手であって、外側継手部材4と、内側継手部材としてのトリボード部材5と、トルク伝達部材としてのローラ6を主要な構成要素としている。そして、トリボード部材5はボス9と脚軸7とを備え、ボス9にはシャフト1の端部21bの連結要素24とトルク伝達を可能に結合するスプラインまたはセレーション孔が形成してある。また、脚軸7にローラ6が装着され、外側継手部材4とシャフト1との間にブーツ8が装着されている。
固定式等速自在継手3は、内球面にトラック溝が形成された外側継手部材10と、外球面にトラック溝が形成された内側継手部材11と、前記外側継手部材10のトラック溝と内側継手部材11のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボール12と、前記外側継手部材10と内側継手部材11との間に介在してボール12を保持するケージ13とを備える。そして、内側継手部材11にはシャフト1の端部21aの連結要素24とトルク伝達可能に結合するスプラインまたはセレーション孔が形成してある。また、外側継手部材10とシャフト1との間にブーツ14が装着されている。
本発明のシャフトは、例えば、図4に示すようなパイプ素材Pに塑性加工を施して、図2と同様な形状の中空状シャフト素材(中空素材)Pa(図1参照)を成形し、この中空素材Paに必要に応じて所要の機械加工を施した後、焼入れ処理を施すことによって製造される。
前記パイプ素材Pの内径面(内表面)22には、フェライト脱炭層23が軸方向全長にわたって形成されている。ここで、フェライト脱炭層23とは、鋼材中の炭素と雰囲気中の酸素が反応して、CO、CO2として鋼材から散逸し、炭素が少なくなっている層である。この脱炭層には、炭素をほとんど含まないフェライト組織のみの層と、他の部位よりもフェライトの占める割合の多い領域の層とを含むものとする。このため、このフェライト脱炭層23は、圧延等の製造過程で雰囲気中の酸素に触れさせることによって、形成することができる。このフェライト脱炭層23は、焼入れを行っても、焼きが入らない。
ところで、フェライト脱炭層23を強制的に付加するには、高温、酸化性ガス雰囲気で長時間保持することが考えられる。この場合、フェライト脱炭層23が形成されると共に酸化スケールも形成され易いという問題があるため、酸化性ガス以外のガス雰囲気で行うのが好ましい。このため、鋼管の場合、焼鈍、焼準等の熱処理において、処理温度と保持時間を調整することにより、必要な厚みのフェライト脱炭層を得ることができる。
また、酸化スケールを形成せずに脱炭させる方法としては、例えば、ガス浸炭といった浸炭性雰囲気ガスを用いて500℃以上でカーボンポテンシャルを調節することにより、酸化スケールが形成することなく、フェライト脱炭層を形成することができる。
前記塑性加工としては、鋼管をその軸周りに回転させながら、高速度で直径方向に打撃して縮径させるスウェージング加工や鋼管をダイスに軸方向に押し込むことで縮径させるプレス加工等が用いられる。
前記機械加工(塑性加工後の機械加工)は、例えば、小径の端部に、継手との連結に供される歯型(スプラインやセレーション等)を転造等の手段によって加工するものである。
パイプ素材Pの材質としては、例えば、STKMやSTMA等の機械構造用炭素鋼、または、それらをベースに加工性や焼入れ性等の改善のために合金元素を添加した合金鋼、あるいは、SCr、SCM、SNCM等のはだ焼鋼を用いることができる。
このように、スウェージング加工などの塑性加工により製作された中空素材Paは、鋼管(パイプ素材)Pが縮径される際にその内径側に素材が塑性流動することにより、図1に示すように、内表面25に加工しわ26ができ易い。なお、図1では加工しわ26を誇張して記載しており、実際にはもう少し小さい。
しかしながら、本発明では、パイプ素材Pにおけるフェライト脱炭層23の肉厚(厚み)T1を、塑性加工後の中空素材Paのフェライト脱炭層23aの肉厚(厚み)T2が加工しわ26の深さT3以上となるように設定する。すなわち、パイプ素材Pにおけるフェライト脱炭層23は、塑性加工にて発生する加工しわ26が層外径部27よりも外径側に侵入させない肉厚を有するものであって、加工しわ26がこのフェライト脱炭層23内に存在する。
ところで、塑性加工後の中空素材Paのフェライト脱炭層23aの肉厚T2は、パイプ素材Pにおけるフェライト脱炭層23の肉厚T1と略同一か、または肉厚T1よりも僅かに増加するので、肉厚T1としては、これを考慮して設定することができ、中空素材Paの軸方向全長にわたってこのフェライト脱炭層23の肉厚T1を、加工しわ26が層外径部27よりも外径側に侵入させない肉厚を有することができる。なお、塑性加工時に発生する加工しわ26の深さT3を過去のデータや実験データ等によって把握できるので、このデータに基づいて、パイプ素材Pにおけるフェライト脱炭層23の肉厚T1を設定できる。
そこで、図1に示すように、加工しわ26がフェライト脱炭層23内に収まっている中空素材Paに対して焼入れ(熱硬化処理)を行えば、フェライト脱炭層23以外は硬化し、フェライト脱炭層23は硬化しない。すなわち、図2に示すように、内表面1a側に未硬化層S1が形成され、外表面1b側に硬化層Sが形成されたシャフト1が形成される。
前記熱硬化処理としては、高周波焼入れを採用することができる。すなわち、中空素材Paを、高周波電流の通じているコイルの間に入れ、この中空素材Paの表面に渦電流に伴うジュール熱によって、その表面を加熱する焼入れ処理を行うものである。なお、焼入れ処理として、焼入れ後に焼戻しを行う処理と、焼入れ後に焼戻しを行わない処理の双方を含む。また、高周波焼入れには定置方式と移動方式とがあるが、どちらの方式も採用することができる。定置方式を採用する場合、高周波電流の周波数の種類に応じて複数の誘導加熱コイルを配置すればよく、移動方式を採用する場合、誘導加熱コイルに通じる高周波電流の周波数を変化させればよい。
このように、フェライト脱炭層23は熱処理では硬化しないので、熱硬化処理時において、中空素材Paの内表面25まで熱影響がおよぶ焼入れを行うことができる。このため、熱硬化処理として、高周波焼入れ以外に、ずぶ焼入れ等の種々の焼入れを採用することができる。ここで、ずぶ焼入れとは、ワーク(中空素材Pa)全体を電気炉等の炉で加熱する処理である。
本発明では、中空素材Paの内表面25にフェライト脱炭層23aが形成されているので、中空素材Paに対して熱硬化処理を行うと、このフェライト脱炭層域においては未硬化層S1が形成される。また、フェライト脱炭層23aは、塑性加工にて発生する内表面25の加工しわ26が層外径面27よりも外径側に侵入していないので、未硬化層S1内においてのみ加工しわ26が発生する。このため、加工しわ26を起点とした焼割れが生じない。したがって、焼割れの検査としては外表面のみでよく、コスト高で手間がかかる超音波探傷による非破壊検査等を省略できる。しかも、熱硬化処理の際に、内部に冷却水を流すものに比べて、本発明では、冷却水に影響を受けることなく、外表面に高い圧縮残留応力を得ることができ、捩り疲労強度が向上する。
焼入れとしては、高周波焼入れ、ずぶ焼入れ等の種々の焼入れを行うことができるので、既存の熱処理設備を用いることができる。このため、熱処理設備の改造や新規設備の導入等する必要がなく、コスト低減を図ることができる。
次に図5は本発明に係る等速自在継手の外側継手部材を示し、この外側継手部材は、マウス部31と、このマウス部31の底壁31aから突設されるステム部32とからなる。ステム部32は、底壁31aから一体状に突設される基部33と、この基部33に接合される中空シャフト34とからなる。このシャフト34に、前記図1に示した中空シャフト1と同様の構成のものを用いる。すなわち、この場合のシャフト34として、鋼管から塑性加工により成形された中空素材Paに熱硬化処理を施してなる中空シャフトである。図1に示すように、中空素材Paの内表面25にフェライト脱炭層23aを有し、塑性加工時に内表面25に形成される加工しわ26がフェライト脱炭層23a内に存在する。
シャフト34は、基部大径部35と、この基部大径部35からテーパ部36を介して連設される中径部37と、この中径部37からテーパ部38を介して連設される小径部39と、小径部39からテーパ部40を介して連設される端部41とからなり、端部41に連結要素24が設けられている。
中空シャフト34と基部33とは、例えば、摩擦接合にてその端面42、43同士が接合される。また、マウス部31の内径面には、等速自在継手の転動体が転動するトラック溝が形成されている。
この外側継手部材では、ステム部32には、加工しわ26を起点とした焼割れが生じない。このため、ステム部32の焼割れの検査としては外表面45のみでよく、コスト高で手間がかかる超音波探傷による非破壊検査等を省略できる。また、ステム部32の外表面に高い圧縮残留応力を得ることができ、捩り疲労強度が向上する。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、シャフト1の端部21aに装着される固定式等速自在継手3としてツェッパ型等速自在継手(BJ)を採用し,シャフト1の端部21bに装着される摺動式等速自在継手2としてトリポード型等速自在継手(TJ)を採用しているが、固定式等速自在継手として、アンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)を採用したり,摺動式等速自在継手として、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)やクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)を採用したりすることも可能である。
また、鋼管(パイプ素材P)があまり縮径されない部位(大径の本体部15)等においては、加工しわが生じにくいので、このような部位にフェライト脱炭層23を設けなくてもよい。中空シャフト1やステム部32の形状及び軸方向長さ等としても図2や図4に示すものに限るものではなく、使用する部位や用途等によって種々変更することができる。
本発明の実施形態を示す中空シャフトの塑性加工後の中空素材の拡大断面図である。 前記中空シャフトの断面図である。 前記中空シャフトに等速自在継手を装着した状態の断面図である。 パイプ素材の断面図である。 本発明の実施形態を示す等速自在継手の外側継手部材の断面図である。 従来の中空シャフトの断面図である。
符号の説明
15 本体部
23a フェライト脱炭層
25 内表面
26 加工しわ
27 層外径部
31 マウス部
32 ステム部
Pa 中空素材

Claims (3)

  1. 鋼管から塑性加工により成形された中空素材に熱硬化処理を施してなる中空シャフトであって、前記中空素材の内表面にフェライト脱炭層を有し、前記塑性加工時に内表面に形成される加工しわがフェライト脱炭層内に存在することを特徴とする中空シャフト。
  2. 前記熱硬化処理として、前記中空素材の内表面まで熱影響が及ぶ焼入れを行うことを特徴とする請求項1の中空シャフト。
  3. 内径面に複数のトラック溝が形成されたマウス部と、このマウス部から突設されるステム部とを備えた等速自在継手の外側継手部材であって、前記ステム部が、鋼管から塑性加工により成形された中空素材に熱硬化処理を施してなる中空シャフトを備え、前記中空素材の内表面にフェライト脱炭層を有し、前記塑性加工時に内表面に形成される加工しわがフェライト脱炭層内に存在することを特徴とする等速自在継手の外側継手部材。
JP2006192354A 2006-07-13 2006-07-13 中空シャフトおよび等速自在継手の外側継手部材 Withdrawn JP2008019983A (ja)

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