JP2008019755A - 電動式燃料ポンプの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン音との関係でポンプ作動音が目立つことを抑制できる電動式燃料ポンプの制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジンの回転速度とエンジン音との関係、及び燃料ポンプの回転速度とポンプ作動音との関係に基づき、エンジン音と同調するポンプ作動音を発生させるための同期ポンプ回転速度NPSを算出し、この同期ポンプ回転速度NPSを目標回転速度として燃料ポンプの速度制御を行う。エンジン音とポンプ作動音とを同調させるように燃料ポンプの回転速度制御を行うことにより、ポンプ作動音をエンジン作動音に隠蔽させ、エンジン音との関係でポンプ作動音が聴覚的に目立つことを抑制することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動式燃料ポンプの制御装置に関する。
燃料ポンプからエンジンに燃料を供給するシステムにおいては、燃料ポンプ及びエンジンの両者が音の発生源となる。このうち、特に、燃料ポンプの作動音がエンジン音に対して聴覚的に目立ってしまう場合があり、乗員に不快感を覚えさせることがあった。
一方、エンジンの運転状態に基づいて燃料ポンプの要求吐出量を算出し、その要求吐出量となるように燃料ポンプの回転速度を制御する燃料ポンプの制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この燃料ポンプの制御装置では、エンジンの運転状態に応じて燃料ポンプの回転速度を変更することにより、過剰な燃料の吐出を防止し省電力化を図るようにしている。しかし、かかる回転速度を可変にした燃料ポンプの制御装置においても、燃料ポンプの作動音が聴覚的に目立ってしまう問題は依然として残されている。
特開昭58−117351号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、エンジン音との関係でポンプ作動音が目立つことを抑制できる電動式燃料ポンプの制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
請求項1に記載の発明では、エンジンに対して燃料を吐出する電動式燃料ポンプを制御対象とし、該燃料ポンプの駆動を制御する電動式燃料ポンプの制御装置において、前記エンジンの回転速度に基づき、エンジン音と同調するポンプ作動音を発生させるための前記燃料ポンプの同調回転速度を算出する同調回転速度算出手段と、前記同調回転速度に基づいて前記燃料ポンプの回転速度を制御する回転速度制御手段とを備えることを特徴としている。
ポンプ作動音に含まれている周波数成分がエンジン音に含まれている周波数成分に不一致であると、その不一致の周波数成分が聴覚的に目立つ場合がある。この点、本発明では、エンジン音と同調するポンプ作動音を発生させるための同調回転速度に基づいて、燃料ポンプの回転速度制御をしている。このため、エンジン音とポンプ作動音とを同調させるように燃料ポンプの回転速度制御をすることができる。これにより、ポンプ作動音をエンジン作動音に隠蔽させ、エンジン音との関係でポンプ作動音が聴覚的に目立つことを抑制することが可能となる。
請求項2に記載の発明では、前記同調回転速度算出手段は、前記エンジンの回転速度と前記エンジン音との関係、及び前記燃料ポンプの回転速度と前記ポンプ作動音との関係に基づき、前記同調回転速度を算出することを特徴としている。エンジン音及びポンプ作動音は、エンジンの回転及び燃料ポンプの回転に伴い発生するものである。したがって、エンジン音及びポンプ作動音に含まれる周波数成分は、エンジン回転速度及びポンプ回転速度とそれぞれ所定の関係がある。本請求項に記載の発明では、これらの関係に基づくことにより、簡易に同調回転速度を算出することが可能となる。
請求項3に記載の発明では、前記同調回転速度算出手段は、前記エンジン音に含まれる最小成分周波数の整数倍の成分周波数からなるポンプ作動音を発生させるための同調回転速度を算出することを特徴としている。
一般に、エンジンやポンプの回転速度に伴い発生するエンジン音やポンプ作動音には、複数の周波数成分が含まれている。そして、それらの各成分周波数はその音に含まれる成分周波数の中で最小の成分周波数の整数倍となっている。本発明では、ポンプ作動音に含まれる全ての成分周波数をエンジン音に含まれる成分周波数の中で最小の成分周波数の整数倍としている。すなわち、ポンプ作動音に含まれる全ての成分周波数をエンジン音に含まれる成分周波数に同期させている。これにより、ポンプ作動音をエンジン作動音に隠蔽させることができる。その結果、エンジン音との関係でポンプ作動音が聴覚的に目立つことを抑制することが可能となる。
請求項4に記載の発明では、前記エンジンの運転状態に応じて要求される燃料吐出量を取得し、当該要求燃料吐出量に対応する前記燃料ポンプの要求回転速度を算出する要求回転速度算出手段を備え、前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上の前記同調回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴としている。回転速度制御手段が制御目標とする同調回転速度が要求回転速度以上のものなので、ポンプ作動音をエンジン音に同調させてポンプ作動音を隠蔽しつつ、エンジンの運転状態に応じた要求燃料吐出量を満足させることができる。その結果、ポンプ作動音を聴覚的に目立たなくすることができるとともに、エンジンの運転状態を良好に維持することができる。
請求項5に記載の発明では、前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上であり且つ当該要求回転速度に最も近い前記同調回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴としている。これにより、ポンプ作動音をエンジン音に同調させてポンプ作動音を隠蔽させるとともに要求燃料吐出量を満足させつつ、燃料ポンプの回転速度も抑えることができる。この結果、ポンプ作動音を聴覚的に目立たなくすることができるとともにエンジンの運転状態を良好に維持しつつ、省電力化を図ることができる。
請求項6に記載の発明では、前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上であり且つ当該要求回転速度に最も近い前記同調回転速度が前記燃料ポンプの最大回転速度を越えている場合には、前記要求回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴としている。要求回転速度以上であり且つ要求回転速度に最も近い同調回転速度が燃料ポンプの最大回転速度を越えている場合には、エンジンの要求燃料吐出量を満足しつつポンプ作動音をエンジン音に同調させることはできない。しかしこの場合であっても、要求回転速度で燃料ポンプの回転速度を制御することで、エンジンの要求燃料吐出量を維持することができる。また、要求回転速度は要求燃料吐出量を満足するための最小回転速度であるので、ポンプ音自体を小さくするとともに省電力化を図ることが可能となる。
エンジンが所定の高回転状態となる場合には、ポンプ音との関係でエンジン音が十分大きくなり、エンジン音に対してポンプ作動音が目立たなくなる。そのため、ポンプ作動音をエンジン音に同調させるような特別な回転速度制御を行う必要性は小さい。そこで、請求項7に記載の発明では、前記回転速度制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度以上の場合には、前記要求回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することとしている。これにより、同調回転速度の算出を省略することができ、処理を簡略化することが可能となる。また、請求項8に記載の発明では、前記回転速度制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度以上の場合には、前記燃料ポンプの最大回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することとしている。これにより、同調回転速度及び要求回転速度の算出を省略することが可能となる。
請求項9に記載の発明では、前記燃料ポンプはブラシレスポンプであることを特徴としている。これにより、ポンプの構成を簡素化することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。本実施形態は、内燃機関である二輪車用ガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものとしており、当該制御システムにおいては電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施することとしている。先ずは、図1を用いてエンジン制御システムの全体概略構成図を説明する。
図1に示すエンジン10において、吸気管11の最上流部にはエアクリーナ12が設けられ、その下流側にはスロットルバルブ14が設けられている。エアクリーナ12には吸気温を検出するための吸気温センサ13が設けられ、スロットルバルブ14にはスロットル開度を検出するためのスロットル開度センサ15が設けられている。スロットルバルブ14の下流側には吸気管圧力を検出するための吸気管圧力センサ16が設けられている。更に、吸気管11の吸気ポート近傍には電磁駆動式のインジェクタ17が取り付けられている。
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられており、吸気バルブ21の開動作により空気と燃料との混合気が燃焼室23内に導入され、排気バルブ22の開動作により燃焼後の排気が排気管24に排出される。エンジン10のシリンダヘッドには各気筒毎に点火プラグ25が取り付けられており、点火プラグ25には、点火コイル等よりなる点火装置26を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ25の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室23内に導入された混合気が着火され燃焼に供される。
排気管24には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒31が設けられ、この触媒31の上流側には排気を検出対象として混合気の空燃比を検出するためのA/Fセンサ32が設けられている。また、エンジン10には、冷却水温を検出する冷却水温センサ33や、エンジン10の回転に伴い所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ34が設けられている。
また、燃料系において、燃料タンク41内にはインタンク式の燃料ポンプモジュール42が設けられており、燃料ポンプモジュール42には燃料配管43を介してデリバリパイプ45が接続されている。燃料ポンプモジュール42は、ポンプ部46、モータ47及びプレッシャレギュレータ44を含んで構成されている。また、燃料ポンプモジュール42は、図1において図示せぬ燃料フィルタ及びリターン配管等を含んで構成されている。モータ47はポンプ部46を回転駆動するためのものであり、モータ47とポンプ部46とは同じ回転速度で回転する。ポンプ部46は、その回転速度に応じた量の燃料を吐出できるように構成されている。なお、本実施形態においては、モータ47には、回転位置センサなしに回転速度制御ができる周知のセンサレスタイプのブラシレスモータが用いられている。
プレッシャレギュレータ44は、燃料ポンプモジュール42から供給される燃料の圧力を調整するためのものである。燃料ポンプモジュール42のポンプ部46から吐出される燃料の圧力がプレッシャレギュレータ44の設定圧より高くなると、過剰な燃料はリターン配管を介して燃料タンク41に戻されるように構成されている。すなわち、プレッシャレギュレータ44により所定の圧力に調整された燃料が燃料ポンプモジュール42から吐出され燃料配管43を介してデリバリパイプ45に供給されるとともに、余剰燃料はリターン配管から燃料タンク41に戻されるようになっている。
ECU50は、CPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。ECU50には前記各種センサの検出信号やモータ47への供給電圧VPの検出信号などが入力される。ECU50は、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に基づいてインジェクタ17の燃料噴射時間や点火プラグ25による点火時期などを制御する。
ここで、ECU50は、モータ47にパルス幅変調信号を出力してモータ47の回転速度制御を行っている。モータ47のロータ磁石が回転すると、ステータコイルには誘導電圧が発生する。ECU50は、この誘導電圧に対応させてパルス幅変調信号の周期を変化させ、モータ47を設定された目標回転速度となるように制御している。このように、モータ47の回転速度(=ポンプ部46の回転速度、以下、「ポンプ回転速度NP」という)はECU50から出力されるパルス幅変調信号により制御されている。したがって、実際のポンプ回転速度NPを知るために回転位置センサ等を用いる必要はなく、ECU50自身が出力しているモータ47の駆動信号(パルス幅変調信号)により実際のポンプ回転速度NPを知ることができる。
図2は、ポンプ部46の目標回転速度を設定するための処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンはエンジン始動後に所定周期ごとにECU50により実行される。
図2において、ステップS101では、各センサ情報の読み込みを行う。具体的には、各種センサの検出信号により、スロットル開度、吸気管圧力、エンジン回転速度NE等の読み込みを行う。ステップS102では、エンジン回転速度NEと負荷(スロットル開度又は吸気管圧力)とから、エンジン10の運転状態に応じて要求される燃料の要求吐出量を算出する。要求吐出量とエンジン回転速度NE及び負荷との関係は、予めECU50内部にマップとして記憶されている。そして、ステップS102では、このマップを用いて要求吐出量を算出する。
ステップS103では、ステップS102で算出した要求吐出量に対応するポンプ部46の回転速度(要求ポンプ回転速度)NPDを算出する。燃料ポンプモジュール42の吐出量とポンプ回転速度NPとの関係は、予めECU50内部にマップとして記憶されている。そして、ステップS103では、このマップを用いて要求燃料量に対応する要求ポンプ回転速度NPDを算出する。
ステップS104では、エンジン回転に伴い発生するエンジン音に含まれる成分周波数の中で最小の成分周波数(エンジン音の基準周波数)FNEを、エンジン回転速度NEに基づいて算出する。一般に、エンジンやポンプが発する音には複数の周波数成分が含まれていることが知られている。そして、それら各成分の周波数はその音に含まれる成分周波数の中で最小の成分周波数(以下「基準周波数」という)の整数倍となっている。ステップS105では、要求ポンプ回転速度NPDでポンプ部46を回転駆動した際に発生するポンプ作動音の基準周波数(要求ポンプ音の基準周波数)FNPDを算出する。
なお、エンジン回転速度NEとエンジン音の基準周波数FNEとの関係、及びポンプ回転速度とポンプ作動音の基準周波数との関係は、予めECU50内部にマップとして記憶されている。そして、ステップS104及びステップS105では、このマップを用いてエンジン音の基準周波数FNE及び要求ポンプ音の基準周波数FNPDを算出する。
ステップS106では、エンジン音の基準周波数FNEの倍数の中で、要求ポンプ音の基準周波数FNPD以上であり且つ要求ポンプ音の基準周波数FNPDに最も近い周波数(同期ポンプ音周波数)FNPSを算出する。ステップS107では、同期ポンプ音周波数FNPSの整数倍の成分周波数からなるポンプ作動音を発生させるポンプ回転速度(同期ポンプ回転速度)NPSを算出する。なお、ステップS107で同期ポンプ回転速度NPSを算出する際にも、上述したポンプ回転速度とポンプ作動音の基準周波数との関係を記憶したマップが用いられる。
同期ポンプ音周波数FNPSはエンジン音の基準周波数FNEの倍数となっている。また、同期ポンプ回転速度NPSでポンプ部46を回転させた場合におけるポンプ作動音の成分周波数は、同期ポンプ音周波数FNPSの整数倍となる。したがって、同期ポンプ回転速度NPSでポンプ部46を回転させた場合におけるポンプ作動音の各成分周波数は、エンジン音の基準周波数FNEの倍数となる。すなわち、ポンプ作動音の成分周波数は全て、エンジン音の成分周波数に同期していることになる。
ステップS108では、同期ポンプ回転速度NPSが、ポンプ部46の性能上出力しうる最大ポンプ回転速度NPMAX以下であるか否かを判定する。本ステップは、ステップS107で算出した同期ポンプ回転速度NPSが、ポンプ部46で出力しうる回転速度であるかを判定するステップである。ステップS108の判定結果がYESの場合にはステップS109に進み、同期ポンプ回転速度NPSをポンプ部46の目標回転速度に設定して本処理を終了する。一方、ステップS108の判定結果がNOの場合にはステップS110に進み、要求ポンプ回転速度NPDをポンプ部46の目標回転速度に設定して本処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
上記実施形態では、同期ポンプ回転速度NPSが最大ポンプ回転速度NPMAX以下である場合には、同期ポンプ回転速度NPSをポンプ部46の目標回転速度に設定している。同期ポンプ回転速度NPSにポンプ回転速度NPを制御することで、ポンプ音に含まれる成分周波数は同期ポンプ音周波数FNPSの整数倍となる。また、同期ポンプ音周波数FNPSはエンジン音の基準周波数FNEの倍数となっている。したがって、同期ポンプ回転速度NPSでポンプ部46を回転させた場合におけるポンプ作動音の各成分周波数は、エンジン音の基準周波数FNEの倍数となる。すなわち、ポンプ作動音に含まれる全ての成分周波数をエンジン音に含まれる成分周波数に同期させることができる。これにより、ポンプ作動音をエンジン音に同調させることができ、ポンプ作動音をエンジン作動音に隠蔽させることができる。その結果、エンジン音との関係でポンプ作動音が聴覚的に目立つことを抑止することができる。また、ポンプ部46の目標回転速度は、要求ポンプ回転速度NPD以上に設定されているので、エンジン10の運転状態に応じた要求吐出量をエンジン10に給送することができ、エンジン10の良好な運転状態を維持することができる。
同期ポンプ回転速度NPSを、エンジン音の基準周波数FNEの倍数の中で、要求ポンプ音の基準周波数FNPD以上であり且つ要求ポンプ音の基準周波数FNPDに最も近いものに設定している。これにより、エンジン音との関係でポンプ作動音を目立たなくするとともに要求吐出量を満足させつつ、ポンプ回転速度NPも低く抑えることができる。ポンプ回転速度NPを低く抑えることができる結果、ポンプ駆動電力を抑えることができ、省電力化を図ることができる。
同期ポンプ回転速度NPSが最大ポンプ回転速度NPMAXよりも大きい場合には、要求ポンプ回転速度NPDをポンプ部46の目標回転速度に設定している。これによると、ポンプ部46の性能上、同期ポンプ回転速度NPSで回転制御してポンプ作動音を目立たなくすることはできない。しかし、要求燃料量を満足するための最小回転速度である要求ポンプ回転速度NPDを目標回転速度とすることで、ポンプ音自体を小さくするとともに省電力化を図ることが可能となる。
本実施形態では、ポンプ部46を回転駆動するモータ47には回転位置センサなしに回転速度制御が可能なセンサレスタイプのブラシレスモータが用いられている。これにより、モータ47の構成ひいてはポンプモジュール42の構成を簡素にすることができる。
[第2実施形態]
次に本発明を具体化した第2の実施形態について、図3を参照しつつ説明する。図3は第2実施形態におけるポンプ部46の目標回転速度を設定するための処理手順を示すフローチャートである。
図3におけるステップS201からステップS203の処理は、第1実施形態における図2のステップS101からステップS103までと同様の処理である。
ステップS204では、エンジン回転速度NEが所定回転速度α以上であるか否かを判定する。ステップS204は、エンジン10が所定の高回転状態にあるか否かを判定するためのステップである。所定の高回転状態とは、エンジン回転速度が所定回転速度(例えば、4000rpm)以上になり、エンジン10の回転に伴い発生するエンジン音がポンプ作動音に対して十分大きくなる状態を意味する。本ステップの判定結果がYESの場合にはステップS211に進み、要求ポンプ回転速度NPDをポンプ部46の目標回転速度にして設定して本処理を終了する。一方、本ステップの判定結果がNOの場合には、ステップS205に進む。ステップS205からステップS211までの処理は、第1実施形態における図2のステップS104からステップS110までと同様の処理である。
エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、ポンプ部46を回転駆動した際に発生するポンプ作動音と比較してエンジン10の作動音が十分大きくなる。そのため、ポンプ作動音をエンジン音に同調・隠蔽させるような特別の対策を採らなくても、ポンプ部46の作動音による影響は小さい。そこで本実施形態では、エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、同期ポンプ回転速度NPSを算出することなく要求ポンプ回転速度NPDを目標回転速度として設定している。これにより、エンジン10が所定の高回転域状態となる場合には同期ポンプ回転速度NPSを求める必要がなくなり、処理を簡略化することができる。
[第3実施形態]
次に本発明を具体化した第3の実施形態について、図4を参照しつつ説明する。図4は第3実施形態におけるポンプ部46の目標回転速度を設定するための処理手順を示すフローチャートである。
図4において、ステップS301では、各センサ情報の読み込みを行う。具体的には、各種センサの検出信号により、スロットル開度、吸気管圧力、エンジン回転速度NE等の読み込みを行う。
ステップS302では、エンジン回転速度NEが所定回転域速度β以上であるか否かを判定する。ステップS302は、エンジン10が所定の高回転状態にあるか否かを判定するためのステップである。所定の高回転状態とは、エンジン回転速度が所定回転速度(例えば、4000rpm)以上になり、エンジン10の回転に伴い発生するエンジン音がポンプ作動音に対して十分大きくなるとともに、車載発電機の発電量が十分大きくなる状態を意味する。本ステップの判定結果がYESの場合には、ステップS303に進み、ポンプ部46の性能上出力しうる最大のポンプ回転速度NPMAXをポンプ部46の目標回転速度に設定して本処理を終了する。一方、ステップS302の判定結果がNOの場合には、ステップS304に進む。ステップS304からステップS312までの処理は、第1実施形態における図2のステップS102からステップS110までと同様の処理である。なお、ステップS302の判定閾値βは、第2実施形態のステップS204における判定閾値αと同じ値を用いてもよいし、異なる値を用いてもよい。
エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、ポンプ部46を回転駆動した際に発生するポンプ作動音と比較してエンジン10の作動音が十分大きくなる。そのため、ポンプ作動音をエンジン音に同調・隠蔽させるような特別の対策を採らなくても、ポンプ部46の作動音による影響は小さい。また、エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、省電力化のためにポンプ回転速度NPを要求ポンプ回転速度NPDに制限する必要性も小さい。すなわち、エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、車載発電機による十分な発電量が確保されており、ポンプ部46の目標回転速度を高く設定してもバッテリ容量が不足するおそれは小さい。
そこで本実施形態では、エンジン10が所定の高回転状態となる場合には、要求ポンプ回転速度NPD及び同期ポンプ回転速度NPSを算出することなく、最大ポンプ回転速度NPMAXをポンプ部46の目標回転速度として設定している。これにより、要求ポンプ回転速度NPD及び同期ポンプ回転速度NPSを求める必要がないので、処理を簡略化することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた制御を実施することも可能である。具体的には、第2実施形態と第3実施形態におけるエンジン回転速度Neの判定閾値αとβを、α<βの関係となるように設定する。そして、エンジン回転速度NEがβ以上の場合には、最大ポンプ回転速度NPMAXをポンプ部46の目標回転速度に設定する。そして、エンジン回転速度NEがβよりも小さく且つα以上の場合には、要求ポンプ回転速度NPDをポンプ部46の目標回転速度に設定する。このような制御によると、エンジン回転速度NEが所定の高回転域速度以上である場合に、さらにエンジン回転速度NE大きさに応じて異なるポンプ回転速度NEに制御ができる。その結果、より運転状態に適したポンプ部46の回転速度制御が可能となる。
上記実施形態では、ポンプ部46を駆動するモータ47をブラシレスモータで構成した。しかし、モータ47はブラシ付きのモータで構成することも可能である。
上記実施形態では、本制御システムを二輪車用のエンジンに適用した場合について説明した。しかし、本制御システムの適用は、二輪車に限定されるものではなく、その他の車両にも適用可能である。特に、本制御システムは、二輪車の他、農耕車両等の小型車両に適用することができる。これにより、簡素なシステムの車両においても、極力付加物なく燃料ポンプモジュール42のポンプ部46の回転を適切に制御することが可能となる。
本発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。 第1実施形態におけるポンプ部の目標回転速度を設定するための処理を示すフローチャート。 第2実施形態におけるポンプ部の目標回転速度を設定するための処理を示すフローチャート。 第3実施形態におけるポンプ部の目標回転速度を設定するための処理を示すフローチャート。
符号の説明
10…エンジン、17…インジェクタ、41…燃料タンク、42…燃料ポンプモジュール、43…燃料配管、44…プレッシャレギュレータ、45…デリバリパイプ、46…ポンプ部、47…モータ、50…ECU。

Claims (9)

  1. エンジンに対して燃料を吐出する電動式燃料ポンプを制御対象とし、該燃料ポンプの駆動を制御する電動式燃料ポンプの制御装置において、
    前記エンジンの回転速度に基づき、エンジン音と同調するポンプ作動音を発生させるための前記燃料ポンプの同調回転速度を算出する同調回転速度算出手段と、
    前記同調回転速度に基づいて前記燃料ポンプの回転速度を制御する回転速度制御手段と
    を備えることを特徴とする電動式燃料ポンプの制御装置。
  2. 前記同調回転速度算出手段は、前記エンジンの回転速度と前記エンジン音との関係、及び前記燃料ポンプの回転速度と前記ポンプ作動音との関係に基づき、前記同調回転速度を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  3. 前記同調回転速度算出手段は、前記エンジン音に含まれる最小成分周波数の整数倍の成分周波数からなるポンプ作動音を発生させるための同調回転速度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  4. 前記エンジンの運転状態に基づいて前記燃料ポンプの要求吐出量を算出する手段と、当該要求吐出量に対応する前記燃料ポンプの要求回転速度を算出する手段とを備え、
    前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上の前記同調回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  5. 前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上であり且つ当該要求回転速度に最も近い前記同調回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴とする請求項4に記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  6. 前記回転速度制御手段は、前記要求回転速度以上であり且つ当該要求回転速度に最も近い前記同調回転速度が前記燃料ポンプの最大回転速度を越えている場合には、前記要求回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  7. 前記回転速度制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度以上の場合には、前記要求回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴とする請求項4に記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  8. 前記回転速度制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度以上の場合には、前記燃料ポンプの最大回転速度に前記燃料ポンプの回転速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
  9. 前記燃料ポンプはブラシレスポンプであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の電動式燃料ポンプの制御装置。
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