JP2008019704A - 柱脚接合仕口 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柱脚接合仕口において、建物全体の変形を極小にすること。
【解決手段】 建物構造体10の相並ぶ複数の柱11の各柱脚11Aには構造材としての横架材13が接合され、各柱脚11Aを基礎14に接合する柱脚接合仕口20であって、複数の柱11のうちの少なくとも1つの柱11の柱脚11Aにベース部材21を引張接合し、基礎14とベース部材21の間に少なくとも2本のロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設け、それらのロッド22A、22Bはそれらの下端を基礎14に接合するとともに、それらの上端をベース部材21に接合し、それらのロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くして、それらのロッド22A、22Bのうちで少なくとも一方のロッド22Bの上端をベース部材21の一端に剛接合し、ベース部材21は前記柱脚11Aに引張接合され、ベース部材21と柱脚11Aの間に導入張力がかけられてなるもの。
【選択図】 図2

Description

本発明は建物の柱脚接合仕口に関する。
建物の柱脚接合仕口として、特許文献1に記載の如く、建物のもつ柱の柱脚を基礎に剛接合するものがある。即ち、柱の柱脚を基礎に剛接合し、柱と基礎の交差角度の変位をピン接合による場合よりも少なくし、建物全体の変形を少なくすることができる。
特開2005-2777
本発明の課題は、柱脚接合仕口において、建物全体の変形を極小にすることにある。
請求項1の発明は、建物構造体の相並ぶ複数の柱の各柱脚には構造材としての横架材が接合され、各柱脚を下部構造体に接合する柱脚接合仕口であって、複数の柱のうちの少なくとも1つの柱の柱脚にベース部材を接合し、下部構造体とベース部材の間に少なくとも2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、それらのロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、それらのロッドの上端間隔を下端間隔より狭くし、それらのロッドのうちで少なくとも一方のロッドの上端をベース部材の一端に剛接合し、ベース部材は前記柱脚に引張接合され、ベース部材と柱脚の間に導入張力がかけられてなるようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記柱の柱脚に引張接合される前記ベース部材における該柱脚に対する反対側に弾性突張り材を設け、弾性突張り材の両端部をベース部材又は前記ロッドに支持し、弾性突張り材の中間部をベース部材から浮かし、弾性突張り材の中間部とベース部材に挿通したボルトを柱の柱脚に引張接合してなるようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記ベース部材が引張接合される柱脚が床梁用ジョイントピースを含み、弾性突張り材とベース部材と床梁用ジョイントピースと該ジョイントピース内の床梁に挿通されたボルトが、床梁に添設した座金を介して上記柱脚に引張接合されるようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記座金が床梁の長手方向に沿う方向でボルトの挿通位置から両側に離隔する床梁上の2位置にスペーサを介して着座され、座金は両スペーサに挟まれる範囲で床梁との間にギャップを設けてなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、前記床梁が床梁用ジョイントピースからの突出端を自由端とする切除梁であるようにしたものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、前記建物構造体を前記ベース部材と前記ロッドとの剛接合部の上に載置してなるようにしたものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において更に、前記建物構造体の柱に剪断力が作用し、ロッド対の構成ロッドに軸力が発生するとき、それらのロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になるようにしたものである。
請求項8の発明は、請求項7の発明において更に、Mr=Mcであるようにしたものである。
請求項9の発明は、請求項7の発明において更に、Mr>Mcであるようにしたものである。
請求項10の発明は、請求項9の発明において更に、前記ベース部材に、前記柱に作用する剪断力と同方向の剪断力が作用するようにするようにしたものである。
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれかの発明において更に、前記下部構造体が基礎であるようにしたものである。
請求項12の発明は、請求項1〜10のいずれかの発明において更に、前記下部構造体が下階建物構造体であるようにしたものである。
(請求項1)
(a)柱脚にベース部材を引張接合し、下部構造体とベース部材の間に2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、2本のロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、2本のロッドの上端間隔を下端間隔より狭くしてなることにより、2本のロッドの軸力がベース部材に曲げモーメントを及ぼし、この曲げモーメントが柱の変形(柱と基礎の交差角度の変位)を少なくし、建物全体の変形を極小にするように作用する。
(b)柱脚にベース部材を引張接合する張力が柱脚とベース部材の間に導入される結果、この導入張力が柱脚をベース部材から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力(耐引き剥がし力)になり、ベース部材に対する建物構造体の回転(鉛直線に対する柱の回転、水平線に対する床梁の回転)を少なくし、建物全体の変形を安定的に極小化できる。
(c)柱脚(柱脚に溶接される床梁用ジョイントピースを含む)に定められるベース部材の引張接合点の位置に関係なく、横材からなるベース部材の長さを長くできる。これは、ベース部材と柱脚の上述の引張接合点から、ベース部材とロッドとの接合点までのフランジ長さfを長くできることを意味し、ひいては2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを大きくとることができること(理由は後述する)を意味する。これにより、建物全体の変形を確実に極小化できる。
(d)ベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)の上端を剛接合することで、ベース部材に作用する剪断力Q2の変動を回避できる。1本のロッドの下端と下部構造体の接合点r1、該ロッドの上端とベース部材(横材)との接合点r2、他の1本のロッド(斜材)の下端と下部構造体の接合点s1、該ロッドの上端とベース部材(横材)の接合点s2を考える。このとき、全てのr1、r2、s1、s2がピン接合であれば、2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrは大きくなるが、建物構造体の強度は柱に作用する剪断力Q1と上述のQ2の比率で大きく異なるものになり、建物構造体の強度を予め特定できない。他方、ベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)の上端(r2及び/又はs2)を剛接合しておくと、曲げモーメントMrは上記ほど大きくならないが、建物構造体の強度はQ1、Q2の比率による差異が殆どなくなり、建物構造体の強度をプランに左右されることなく予め特定できる。
(請求項2)
(e)弾性突張り材の両端部をベース部材又はロッドに支持し、弾性突張り材の中間部をベース部材から浮かし、弾性突張り材の中間部とベース部材に挿通したボルトを柱の柱脚に引張接合することにより、簡易な構造により、柱脚にベース部材を引張接合できる。
(請求項3)
(f)ベース部材が引張接合される柱脚が床梁用ジョイントピースを含み、弾性突張り材とベース部材と床梁用ジョイントピースと該ジョイントピース内の床梁に挿通されたボルトが、床梁に添設した座金を介して上記柱脚に引張接合されるものとした。従って、柱脚にベース部材を引張接合する張力が柱脚とベース部材の間に確実に導入される。
(請求項4)
(g)座金が床梁の長手方向に沿う方向でボルトの挿通位置から両側に離隔する床梁上の2位置にスペーサを介して着座され、座金は両スペーサに挟まれる範囲で床梁との間にギャップを設けるものとした。従って、柱脚にベース部材を引張接合する張力が柱脚とベース部材の間に一層確実に導入される。
(請求項5)
(h)床梁が切除梁であるときには、床梁の突出端が自由端となって開放されているから、床梁の剛性が期待できず、ボルトに締結力をかけても、柱脚とベース部材の間に有効な張力、ひいては耐引き剥がし力を確保することに困難がある。本発明では、床梁が切除梁であっても、上述(g)による導入張力により柱脚(床梁)とベース部材の間に有効な耐引き剥がし力を確保できる。
(請求項6)
(i)建物構造体を上述(d)のベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)との剛接合部の上に載置するときには、建物構造体の柱脚に接合する構造材としての横架材(梁、桁、胴差し、土台等)の固定度を強化できる。2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを建物構造体の柱脚(床梁)に伝えるとき、建物構造体の柱と、建物構造体のベース部材への支圧支点(載置点)の距離が大きくなり、支点反力が軽減する(但し、曲げモーメントMrが建物構造体の支圧でなく、引き抜き力を当該支点に及ぼすときには、支点反力軽減の効果はなく、別途の梁固定ボルトに反力がかかる。)
(請求項7)
(j)建物構造体の柱に剪断力が作用し、2本のロッドに軸力が発生するとき、2本のロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。従って、曲げモーメントMcによる柱の変形と、曲げモーメントMrによる柱の変形が互いに相殺し、柱の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にする。
(k)柱の変形を上述(a)、(j)の如くにベース部材に作用する曲げモーメントMr、Mcにより少なくできるから、2本のロッドの下端を下部構造体に剛接合せず、簡易にピン接合する場合でも柱の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にできる。
(請求項8)
(l)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr=Mcとすることにより、柱脚は下部構造体に対し剛接合状態(柱脚は回転せず、柱と基礎の交差角度は変位しない)になり、柱の変形を少なくすることができる。ベース部材の移動はない。
(請求項9)
(m)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr>Mcとすることにより、柱脚はMcよる変形をMrによって逆方向に戻され、超剛接合状態になり、柱の変形を上述(l)より少なくすることができる。ベース部材は剪断方向に移動する。
(請求項10)
(n)ベース部材に、柱に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2が作用するようにすることにより、下部構造体が2本のロッドに及ぼす支点反力Q=Q1+Q2を大きくし、ひいては2本のロッドの軸力を大きく、曲げモーメントMrを大きくし、2本のロッドを設けたことの効果を一層向上できる。
(請求項11)
(o)下部構造体を基礎とし、建物構造体の柱を基礎に接合する接合仕口において、上述(a)〜(n)を実現できる。
(請求項12)
(p)下部構造体を下階建物構造体とし、上階建物構造体の柱を下階建物構造体の柱頭又は梁に接合する接合仕口において、上述(a)〜(n)を実現できる。梁勝ち工法において高い剛性を得ることができる。
図1は実施例1の建物構造体を示す模式図、図2は図1の要部拡大図、図3は図2の平面図、図4は柱脚接合架台を示す斜視図、図5は柱脚接合仕口に作用する水平力を示す模式図、図6は柱脚接合仕口に作用する曲げモーメントを示す模式図、図7は実施例2のラーメン構造体を示す模式図、図8は実施例3の建物構造体を示す模式図、図9は図8の要部拡大図、図10は図9の要部側面図、図11は柱脚接合架台を示す斜視図、図12は座金を示し、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は下面図である。
(実施例1)(図1〜図6)
建物構造体(建物ユニット)10は、図1〜図3に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、平面視で相直交する桁面と妻面のそれぞれにおいて、相並ぶ柱11、11の上端部に剛接合されるジョイントピース12Aに天井梁12を剛接合することにより、それら柱11、11の上端部を連結するとともに、相並ぶ柱11、11の下端部(柱脚11A)に剛接合されるジョイントピース13Aに床梁13(横架材)を剛接合することにより、それら柱11、11の下端部を連結する。
建物構造体10は、桁面と妻面のそれぞれにおいて、柱11、11の各柱脚11Aを、柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20により基礎14(下部構造体)に接合される。
以下、柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20について説明する。
柱脚接合架台20Aは、図2〜図4に示す如く、建物構造体10の桁面と妻面が直交するコーナー部に設けられる柱11の柱脚11Aの直下に配置される1本のロッド22Aと、桁面と妻面のそれぞれの床梁13の直下に配置される各1本のロッド22Bと、桁面と妻面のそれぞれにおいて両ロッド22A、22Bの上端部に接合されてそれらを連結するベース部材21とを有する。2本のロッド22Aとロッド22Bは桁面と妻面のそれぞれにおいてロッド対22を構成し、それらの上端間隔を下端間隔より狭くする。
柱脚接合架台20Aは、図5に示す如く、ベース部材21を鋼板からなる横材とし、ロッド22Aを角鋼管からなる鉛直材とし、ロッド22Bを形鋼からなる斜材とする。ロッド22Aの下端部と基礎14の接合点r1、ロッド22Aの上端部とベース部材21の一端部の接合点r2、ロッド22Bの下端部と基礎14の接合点s1、ロッド22Bの上端部とベース部材21の他端部の接合点s2を備える。4つの接合点r1、r2、s1、s2のうちの少なくとも1つを剛接合点とし、残余の接合点をピン接合点とする。本実施例ではs2を剛接合点とし、r1、r2、s1をピン接合点とする。
柱脚接合架台20Aは柱脚接合仕口20を以下の如くに形成する。以下、桁面(妻面も同じ)について説明する。
(1)柱脚接合架台20Aを基礎14の上に載置し、基礎14とベース部材21の間に2つのロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設ける。2本のロッド22A、22Bは、それらの下端(r1、s1)をアンカーボルト23、24により基礎14にピン接合(剛接合でも可)するとともに、ロッド22Aの上端(r2)を溶接(溶接長は短い)によりベース部材21にピン接合(剛接合でも可)し、ロッド22Bの上端(s2)を溶接(溶接長は長い)によりベース部材21に剛接合する。2本のロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くする(ロッド22A、22Bを互いにハの字をなすように配置し、柱11側の上端間隔を基礎14側の下端間隔より狭くする)。本実施例では、柱11に作用する水平剪断力Q1の方向に沿う剪断前方側のロッド22Aを鉛直配置し、剪断後方側のロッド22Bを前傾させる。
(2)建物構造体10を柱脚接合架台20Aのベース部材21とロッド22A、22Bとの接合部の上に載置する。本実施例では、柱脚11Aの下端板11Bをロッド22Aの上端板31の上に載置し、ジョイントピース13Aの自由端側の下面13Bをロッド22Bの上端板32の上に載置する。このとき、ロッド22Aとロッド22Bの上端板31と上端板32の外法間隔Kに対し、建物構造体10の柱脚11Aとジョイントピース13Aの外法間隔Lを小とする。また、ロッド22Aの上端板31とロッド22Bの上端板32は同一レベル面に位置し、ベース部材21の上面はそれらのレベル面よりギャップGだけ低位をなし、結果としてベース部材21の上面とジョイントピース13Aの下面との間にギャップGを形成する。
(3)ボルト41をワッシャ41Aを介してロッド22Aの上端板31に挿通し、柱脚11Aの下端板11Bの裏面側に溶接してある締結ブロック41Bに締結する。
(4)柱11の柱脚11Aにベース部材21を引張接合する。具体的には、柱11の柱脚11A(柱脚11Aに溶接される床梁用ジョイントピース13Aを含む)に引張接合されるベース部材21における、柱脚11A(ジョイントピース13A)に対する反対側(裏面側)に弾性突張り材50を設ける。弾性突張り材50はくの字状をなす。弾性突張り材50の一端部をロッド22Aの上端板31に溶接して支持するとともに、弾性突張り材50の他端部をロッド22Bの上端部側に溶接して支持する。弾性突張り材50の中間部をベース部材21の裏面から離隔させて浮かす。ボルト51を床梁13の内面に添設したワッシャ51A(座金)を介して、弾性突張り材50の中間部、ベース部材21の中間部、柱11の柱脚11Aに剛接合してあるジョイントピース13A、ジョイントピース13A内の床梁13に挿通し、床梁13の内面側にてナット51Bを締結する。ボルト51は高力ボルトを採用できる。ボルト51に導入する張力が、柱脚11Aをベース部材21から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力(耐引き剥がし力)となり、柱脚11Aとベース部材21を弾発的に引き寄せるように接合する。
以下、建物構造体10の支持メカニズムについて説明する(図5、図6)。
(1)柱11に水平剪断力Q1が作用する。本実施例では更に、ベース部材21に、柱11に作用する剪断力Q1と同方向の水平剪断力Q2(柱11の下半分に対応する壁荷重、風圧力等)が作用する。尚、剪断力Q1、Q2は仮想的に1つの柱に作用する剪断力とする。
このとき、2本のロッド22A、22Bの基礎14への接合部には、支点反力Q=Q1+Q2が作用する。
(2)柱11に作用する剪断力Q1に起因する曲げモーメントMcが柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる。
(3)2本のロッド22A、22Bに作用する支点反力Q(Q1+Q2)により、各ロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生する。尚、軸力Ta、Tbは、柱11に作用する剪断力Q1、Q2によってベース部材21が同剪断方向に移動させられようとするときに発生する。
そして、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因する曲げモーメントMrが柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる。曲げモーメントMrは曲げモーメントMcと逆方向になる。曲げモーメントMrは、剪断前方側のロッド22Aの上端を下げ、剪断後方側のロッド22Bの上端を上げ、ベース部材21を微小回転させる。
軸力Ta、Tbの水平成分をHa、Hb、鉛直成分をVa、Vbとし、軸力Ta、Tbの柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に対するモーメントの腕の長さをa、bとし、ベース部材21における柱脚11Aとの接合点からロッド22Aとの接合点までのフランジ長さをf、ロッド22Bとの接合点までのフランジ長さをfとし、ロッド22Aが基礎14に対してなす交差角度をθa(図6)とし、ロッド22Bが基礎14に対してなす交差角度をθb(図6)とするとき、下記(1)式〜(5)式が成立する。尚、柱11の軸力を無視する。
Q1+Q2=Ha+Hb … (1)
Va+Vb=0 … (2)
Mr=Ta×a+Tb+b … (3)
Mr=(Ha/cosθa)×a+(Hb/cosθb)×b … (4)
a=f・sinθa、 b=f・sinθb … (5)
従って、曲げモーメントMrを大きくとるためには、ロッド22A、22Bの角度θa、θbを大きくとる、ベース部材21のフランジ長さfを大きくとる、ベース部材21に作用する剪断力Q2を大きくとることが必要になる。
ベース部材21に作用する剪断力Q2を大きくすることは、床荷重や風圧力を梁材や胴縁で受け、これをベース部材21に伝える等にて実現できる。
また、ロッド22A(22B)と、ベース部材21又は基礎14との接合をピン接合とした場合は、ベース部材21の移動に対する抵抗が少ないため、ベース部材21が大きく移動され、Mrも大きくすることができ、剛接合とした場合は、ベース部材21の移動に対する抵抗が大きくなるため、Mrはピン接合に比べ小さくなるが、ロッド22A(22B)の変形が微少となるため、微振動の発生を抑制することができる。
(4)Mr=Mcで柱脚11Aは剛接合状態(柱脚11Aが回転しない、柱11と基礎14の相対角度を不変)になる。ベース部材21の移動はない。
(5)Mr>Mcで柱脚11AはMcによる変形方向と逆方向に戻される。これを、超剛接合状態というものとする。ベース部材21は剪断方向(Q1の方向)に移動する。
(6)Mr<Mcで柱脚11Aは半剛接合状態(剛接合より弱い)になる。ベース部材21は剪断方向と逆方向に移動する。
次に、建物構造体10の柱脚接合架台20Aに対する引き剥がし防止メカニズムについて説明する(図2)。
(1)ベース部材21の裏面側に付帯させた弾性突張り材50と柱11の柱脚11A(ジョイントピース13A)とを引張接合させたボルト51に導入張力P0を導入する。
(2)ボルト51が柱11に対する距離をd1、柱脚11A(ジョイントピース13A)とベース部材21(上端板32)との接点が柱11に対する距離をd2とするとき、柱脚11A(ジョイントピース13A)とベース部材21(上端板32)の接点には、耐引き剥がし力Fを生ずる。耐引き剥がし力Fは、建物構造体10に作用する横力P(図5)に起因して建物構造体10を柱脚接合架台20Aに対して回転させ、建物構造体10の柱脚11Aを柱脚接合架台20Aのベース部材21から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力であり、F=P0×(d1/d2)である。例えば、P0=1.97トン、d1=155mm、d2=250mmとするとき、F=1.22トンである。
(3)横力Pに起因して柱脚11A(ジョイントピース13A)とベース部材21(上端板32)の接点に作用する引き剥がし力が、耐引き剥がし力Fを超えるまで、柱脚11Aはベース部材21から引き剥がされない。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)柱脚11Aにベース部材21を引張接合し、基礎14とベース部材21の間に2本のロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設け、2本のロッド22A、22Bはそれらの下端を基礎14に接合するとともに、それらの上端をベース部材21に接合し、2本のロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くしてなることにより、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に曲げモーメントMrを及ぼし、この曲げモーメントMrが柱11の変形(柱11と基礎の交差角度の変位)を少なくし、建物全体の変形を極小にするように作用する。
(b)柱脚11Aにベース部材21を引張接合する張力が柱脚11Aとベース部材21の間に導入される結果、この導入張力が柱脚11Aをベース部材21から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力(耐引き剥がし力)になり、ベース部材21に対する建物構造体10の回転(図6に示した鉛直線に対する柱11の回転θ、水平線に対する床梁13の回転θ)を少なくし、建物全体の変形を安定的に極小化できる。
(c)柱脚11A(柱脚11Aに溶接される床梁用ジョイントピース13Aを含む)に定められるベース部材21の引張接合点の位置に関係なく、横材からなるベース部材21の長さを長くできる。これは、ベース部材21と柱脚11Aの上述の引張接合点から、ベース部材21とロッド22Bとの接合点までのフランジ長さfを長くできることを意味し、ひいては2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを大きくとることができること(理由は前述した)を意味する。これにより、建物全体の変形を確実に極小化できる。
(d)ベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)の上端を剛接合することで、ベース部材21に作用する剪断力Q2の変動を回避できる。1本のロッド22Aの下端と基礎14の接合点r1、該ロッド22Aの上端とベース部材21(横材)との接合点r2、他の1本のロッド22B(斜材)の下端と基礎14の接合点s1、該ロッド22Bの上端とベース部材21(横材)の接合点s2を考える。このとき、全てのr1、r2、s1、s2がピン接合であれば、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrは大きくなるが、建物構造体10の強度は柱11に作用する剪断力Q1と上述のQ2の比率で大きく異なるものになり、建物構造体10の強度を予め特定できない。他方、ベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)の上端(r2及び/又はs2)を剛接合しておくと、曲げモーメントMrは上記ほど大きくならないが、建物構造体10の強度はQ1、Q2の比率による差異が殆どなくなり、建物構造体10の強度をプランに左右されることなく予め特定できる。
(e)弾性突張り材50の両端部をベース部材21又はロッド22A、22Bに支持し、弾性突張り材50の中間部をベース部材21から浮かし、弾性突張り材50の中間部とベース部材21に挿通したボルト51を柱11の柱脚11Aに引張接合することにより、簡易な構造により、柱脚11Aにベース部材21を引張接合できる。
ベース部材21が引張接合される柱脚11Aが床梁用ジョイントピース13Aを含み、弾性突張り材50とベース部材21と床梁用ジョイントピース13Aと該ジョイントピース13A内の床梁13に挿通されたボルト51が、床梁13に添設したワッシャ51Aを介して上記柱脚11Aに引張接合されるものとした。従って、柱脚11Aにベース部材21を引張接合する張力が柱脚11Aとベース部材21の間に確実に導入される。
(f)建物構造体10を上述(d)のベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)との剛接合部の上に載置するときには、建物構造体10の(床梁13の)固定度を強化できる。2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを建物構造体10の柱脚11A(床梁)に伝えるとき、建物構造体10の柱11と、建物構造体10のベース部材21への支圧支点(載置点)の距離が大きくなり、支点反力が軽減する(但し、曲げモーメントMrが建物構造体10の支圧でなく、引き抜き力を当該支点に及ぼすときには、支点反力軽減の効果はなく、別途の梁固定ボルトに反力がかかる。
(g)建物構造体10の柱11に剪断力が作用し、2本のロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生するとき、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因して柱脚11Aに生ずる曲げモーメントMrが、柱11に作用する剪断力に起因して柱脚11Aに生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。従って、曲げモーメントMcによる柱11の変形と、曲げモーメントMrによる柱11の変形が互いに相殺し、柱11の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にする。
(h)柱11の変形を上述(a)、(g)の如くにベース部材21に作用する曲げモーメントMr、Mcにより少なくできるから、2本のロッド22A、22Bの下端を基礎14に剛接合せず、簡易にピン接合する場合でも柱11の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にできる。
(i)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr=Mcとすることにより、柱脚11Aは基礎14に対し剛接合状態(柱脚11Aは回転せず、柱11と基礎の交差角度は変位しない)になり、柱11の変形を少なくすることができる。ベース部材21の移動はない。
(j)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr>Mcとすることにより、柱脚11AはMcよる変形をMrによって逆方向に戻され、超剛接合状態になり、柱11の変形を上述(d)より少なくすることができる。ベース部材21は剪断方向に移動する。
(k)ベース部材21に、柱11に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2が作用するようにすることにより、基礎14が2本のロッド22A、22Bに及ぼす支点反力Q=Q1+Q2を大きくし、ひいては2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbを大きく、曲げモーメントMrを大きくし、2本のロッド22A、22Bを設けたことの効果を一層向上できる。
(l)下部構造体を基礎14とし、建物構造体10の柱11を基礎14に接合する接合仕口20において、上述(a)〜(k)を実現できる。
(実施例2)(図7)
建物構造体60は、図7に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、平面視で相直交する桁面と妻面のそれぞれにおいて、相並ぶ柱61、61の上端部に剛接合されるジョイントピース62Aに天井梁62を剛接合することにより、それら柱61、61の上端部を連結するとともに、相並ぶ柱61、61の下端部(柱脚61A)に剛接合されるジョイントピース63Aに床梁63(横架材)を剛接合することにより、それら柱61、61の下端部を連結する。
建物構造体60は、桁面と妻面のそれぞれにおいて、柱61、61の各柱脚61Aを、実施例1の柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20により下階構造体70(下部構造体)に接合される。
下階建物構造体70は柱71と梁72を剛接合したラーメン構造体であり、その上階建物構造体60の柱61の柱脚61Aが柱脚接合仕口20により梁72に接合される。
建物構造体60の支持メカニズムは、建物構造体10の支持メカニズムと実質的に同一である。従って、建物構造体60の柱61に剪断力Q1が作用し、この剪断力Q1によってベース部材21が同剪断方向に移動させられようとすることにて2本のロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生するとき、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因して柱脚61A(ベース部材21との引張接合点)に生ずる曲げモーメントMrが、柱61に作用する剪断力Q1に起因して柱脚61A(ベース部材21との引張接合点)に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。尚、ベース部材21に、柱61に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2(柱61の下半部に対応する壁荷重、風圧力等)が作用する。
本実施例によれば、実施例1と実質的に同様の作用効果を奏する。
(実施例3)(図8〜図12)
建物構造体(建物ユニット)110は、図8に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、平面視で相直交する長辺と短辺のそれぞれにおいて、相並ぶ柱111、111の上端部に剛接合されるジョイントピース112Aに天井梁112を剛接合することにより、それら柱111、111の上端部を連結するとともに、相並ぶ柱111、111の下端部(柱脚111A)に剛接合されるジョイントピース113Aに床梁113(横架材)を剛接合することにより、それら柱111、111の下端部を連結する。
尚、本実施例の建物構造体110にあっては、正面を玄関又は土間の入口とするものであり、正面側にて相並ぶ柱111、111の柱脚111Aに剛接合されたジョイントピース113Aに剛接合されている床梁113を切除梁とし、それら床梁113のジョイントピース113Aから一定長さだけ突出した端部を切除された自由端としている。
建物構造体110は、長辺と短辺のそれぞれにおいて、柱111、111の各柱脚111Aを、柱脚接合架台120Aの柱脚接合仕口120により基礎114(下部構造体)に接合される。
柱脚接合架台120Aは、図9〜図11に示す如く、実施例1の柱脚接合架台20Aと同様に、ベース部材121を鋼板からなる横材とし、ロッド122Aを角鋼管からなる鉛直材とし、ロッド122Bを形鋼からなる斜材とする。
そして、柱脚接合架台120Aは柱脚接合仕口120を以下の如くに形成する(図5、図6参照)。以下、長辺(短辺も同じ)について説明する。
(1)柱脚接合架台120Aを基礎114の上に載置し、基礎114とベース部材121の間に2つのロッド122A、122Bの組合せからなるロッド対122を設ける。2本のロッド122A、122Bは、それらの下端(r1、s1)をアンカーボルト123、124により基礎114にピン接合(剛接合でも可)するとともに、ロッド122Aの上端(r2)を溶接(溶接長は短い)によりベース部材121にピン接合(剛接合でも可)し、ロッド122Bの上端(s2)を溶接(溶接長は長い)によりベース部材121に剛接合する。2本のロッド122A、122Bの上端間隔を下端間隔より狭くする(ロッド122A、122Bを互いにハの字をなすように配置し、柱111側の上端間隔を基礎114側の下端間隔より狭くする)。本実施例では、柱111に作用する水平剪断力Q1の方向に沿う剪断前方側のロッド122Aを鉛直配置し、剪断後方側のロッド122Bを前傾させる。
(2)建物構造体110を柱脚接合架台120Aのベース部材121とロッド122A、122Bとの接合部の上に載置する。本実施例では、柱脚111Aの下端板111Bをロッド122Aの上端板131の上に載置し、ジョイントピース113Aの自由端側の下面113Bをロッド122Bの上端板132の上に載置する。このとき、ロッド122Aとロッド122Bの上端板131と上端板132の外法間隔Kに対し、建物構造体110の柱脚111Aとジョイントピース113Aの外法間隔Lを小とする。また、ロッド122Aの上端板131とロッド122Bの上端板132は同一レベル面に位置し、ベース部材121の上面はそれらのレベル面よりギャップGだけ低位をなし、結果としてベース部材121の上面とジョイントピース113Aの下面との間にギャップGを形成する。
(3)ボルト141をワッシャ141Aを介してロッド122Aの上端板131に挿通し、柱脚111Aの下端板111Bの裏面側に溶接してある締結ブロック141Bに締結する。
(4)柱111の柱脚111Aと剛接合された梁材113にベース部材121を引張接合する。具体的には、柱111の柱脚111A(柱脚111Aに溶接される床梁用ジョイントピース113Aを含む)に引張接合されるベース部材121における、柱脚111A(ジョイントピース113A)に対する反対側(裏面側)に弾性突張り材150を設ける。弾性突張り材150はくの字状をなす。弾性突張り材150の一端部をロッド122Aの上端板131に溶接して支持するとともに、弾性突張り材150の他端部をロッド122Bの上端部側に溶接して支持する。弾性突張り材150の中間部をベース部材121の裏面から離隔させて変形の少ない合理的な断面にする。ボルト151を床梁113の内面に添設した座金152を介して、弾性突張り材150の中間部、ベース部材121の中間部、柱111の柱脚111Aに剛接合してあるジョイントピース113A、ジョイントピース113A内の床梁113に挿通し、床梁113の内面側にてナット151Bを締結する。ボルト151は高力ボルトを採用できる。ボルト151に導入する張力が、柱脚111Aをベース部材121から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力(耐引き剥がし力)となり、柱脚111Aとベース部材121を弾発的に引き寄せるように接合する。
このとき、座金152は図12に示す如くの長尺ブロック体からなり、ボルト挿通孔152Aから長手方向に沿う方向で両側に離隔する底面の2位置に一定厚みtのスペーサ153を一体成形され、又は別部品を接着されて備える(スペーサ153は座金152に一体結合されない別部品でも可)。そして、床梁113の内面に座金152を添設するに際し、座金152は床梁113の長手方向に沿う方向でボルト151の挿通位置(ボルト挿通孔152A)から両側に離隔する床梁113の内面上の2位置にスペーサ153を介して着座され、座金152は両スペーサ153に挟まれる範囲で床梁113との間にギャップH(H=t)を設ける。
建物構造体110の柱脚接合仕口120による支持メカニズムは、実施例1の柱脚接合仕口20の支持メカニズムと実質的に同一である。従って、建物構造体110の柱111に剪断力Q1が作用し、この剪断力Q1によって連結部材121が同剪断方向に移動させられようとすることにて2本のロッド122A、122Bに軸力Ta、Tbが発生するとき、2本のロッド122A、122Bの軸力Ta、Tbに起因して柱脚111A(連結部材121との引張接合点)に生ずる曲げモーメントMrが、柱111に作用する剪断力Q1に起因して柱脚111A(連結部材121との引張接合点)に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。尚、連結部材121に、柱111に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2(柱111の下半部に対応する壁荷重、風圧力等)が作用する。
以下、実施例3において特有な、建物構造体110の柱脚接合架台120Aに対する引き剥がし防止メカニズムについて説明する(図9)。
(1)ベース部材121の裏面側に付帯させた弾性突張り材150と柱111の柱脚111A(ジョイントピース113A)とを引張接合させたボルト151に導入張力P0を導入する。
(2)ボルト151が柱111に対する距離をd1、柱脚111A(ジョイントピース113A)とベース部材121(上端板132)との接点が柱111に対する距離をd2、柱脚111A(ジョイントピース113A)と座金152の柱111寄りのスペーサ153との接点が柱111に対する距離をd3とするとき、柱脚111A(ジョイントピース113A)とベース部材121(上端板132)の接点には、耐引き剥がし力Fを生ずる。耐引き剥がし力Fは、建物構造体110に作用する横力P(図5)に起因して建物構造体110を柱脚接合架台120Aに対して回転させ、建物構造体110の柱脚111Aを柱脚接合架台120Aのベース部材121から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力であり、F=(P0/2)×(d3/d2)+(P0/2)である。例えば、P0=1.97トン、d1=155mm、d2=250mm、d3=(d1/2)=77.5mmとするとき、F=1.29トンである。
(3)横力Pに起因して柱脚111A(ジョイントピース113A)とベース部材121(上端板132)の接点に作用する引き剥がし力が、耐引き剥がし力Fを超えるまで、柱脚111Aはベース部材121から引き剥がされない。
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)柱脚111Aに連結部材121を引張接合し、基礎114と連結部材121の間に2本のロッド122A、122Bの組合せからなるロッド対122を設け、2本のロッド122A、122Bはそれらの下端を基礎114に接合するとともに、それらの上端を連結部材121に接合し、2本のロッド122A、122Bの上端間隔を下端間隔より狭くしてなることにより、2本のロッド122A、122Bの軸力Ta、Tbが連結部材121に曲げモーメントMrを及ぼし、この曲げモーメントMrが柱111の変形(柱111と基礎の交差角度の変位)を少なくし、建物全体の変形を極小にするように作用する。
(b)柱脚111Aに連結部材121を引張接合する張力が柱脚111Aと連結部材121の間に導入される結果、この導入張力が柱脚111Aを連結部材121から引き剥がす引き剥がし力に対する抵抗力(耐引き剥がし力)になり、連結部材121に対する建物構造体110の回転(図6に示した鉛直線に対する柱111の回転θ、水平線に対する床梁113の回転θ)を少なくし、建物全体の変形を安定的に極小化できる。
(c)柱脚111A(柱脚111Aに溶接される床梁用ジョイントピース113Aを含む)に定められる連結部材121の引張接合点の位置に関係なく、横材からなる連結部材21の長さを長くできる。これは、連結部材121と柱脚111Aの上述の引張接合点から、連結部材121とロッド122Bとの接合点までのフランジ長さfを長くできることを意味し、ひいては2本のロッド122A、122Bの軸力Ta、Tbが連結部材121に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを大きくとることができること(理由は前述した)を意味する。これにより、建物全体の変形を確実に極小化できる。
(d)連結部材121(横材)とロッド(斜材122B及び/又は鉛直材122A)の上端を剛接合することで、連結部材121に作用する剪断力Q2の変動を回避できる。1本のロッド122Aの下端と基礎114の接合点r1、該ロッド122Aの上端と連結部材121(横材)との接合点r2、他の1本のロッド122B(斜材)の下端と基礎114の接合点s1、該ロッド122Bの上端と連結部材121(横材)の接合点s2を考える。このとき、全てのr1、r2、s1、s2がピン接合であれば、2本のロッド122A、122Bの軸力Ta、Tbが連結部材121に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrは大きくなるが、建物構造体110の強度は柱111に作用する剪断力Q1と上述のQ2の比率で大きく異なるものになり、建物構造体110の強度を予め特定できない。他方、連結部材121(横材)とロッド(斜材122B及び/又は鉛直材122A)の上端(r2及び/又はs2)を剛接合しておくと、曲げモーメントMrは上記ほど大きくならないが、建物構造体110の強度はQ1、Q2の比率による差異が殆どなくなり、建物構造体110の強度をプランに左右されることなく予め特定できる。
(e)弾性突張り材150の両端部を連結部材121又はロッド122A、122Bに支持し、弾性突張り材150の中間部を連結部材121から浮かし、弾性突張り材150の中間部と連結部材121に挿通したボルト151を柱111の柱脚111Aに引張接合することにより、簡易な構造により、柱脚111Aに連結部材121を引張接合できる。
また、本実施例によれば以下の作用効果も奏する。
(f)座金152が床梁113の長手方向に沿う方向でボルト151の挿通位置から両側に離隔する床梁113上の2位置にスペーサ153を介して着座され、座金152は両スペーサ153に挟まれる範囲で床梁113との間にギャップHを設けるものとした。従って、柱脚111Aにベース部材121を引張接合する張力が柱脚111Aとベース部材121の間に一層確実に導入される。
(g)床梁113が切除梁であるときには、床梁113の突出端が自由端となって開放されているから、床梁113の剛性が期待できず、ボルト151に締結力をかけても、柱脚111Aとベース部材121の間に有効な張力、ひいては耐引き剥がし力を確保することに困難がある。本発明では、床梁113が切除梁であっても、上述(f)による導入張力により柱脚111A(床梁113)とベース部材121の間に有効な耐引き剥がし力を確保できる。
以上、本発明の実施例を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1は実施例1の建物構造体を示す模式図である。 図2は図1の要部拡大図である。 図3は図2の平面図である。 図4は柱脚接合架台を示す斜視図である。 図5は柱脚接合仕口に作用する水平力を示す模式図である。 図6は柱脚接合仕口に作用する曲げモーメントを示す模式図である。 図7は実施例2のラーメン構造体を示す模式図である。 図8は実施例3の建物構造体を示す模式図である。 図9は図8の要部拡大図 図10は図9の要部側面図 図11は柱脚接合架台を示す斜視図 図12は座金を示し、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は下面図である。
符号の説明
10、60 建物構造体
11 柱
11A 柱脚
13、63 床梁(横架材)
14 基礎(下部構造体)
20 柱脚接合仕口
21 ベース部材
22 ロッド対
22A、22B ロッド
50 弾性突張り材
51 ボルト
110 建物構造体
111 柱
111A 柱脚
113 床梁(横架材)
114 基礎(下部構造体)
120 柱脚接合仕口
121 ベース部材
122 ロッド対
122A、122B ロッド
150 弾性突張り材
151 ボルト
151A、152 座金
153 スペーサ

Claims (12)

  1. 建物構造体の相並ぶ複数の柱の各柱脚には構造材としての横架材が接合され、各柱脚を下部構造体に接合する柱脚接合仕口であって、
    複数の柱のうちの少なくとも1つの柱の柱脚にベース部材を接合し、
    下部構造体とベース部材の間に少なくとも2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、それらのロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、それらのロッドの上端間隔を下端間隔より狭くし、それらのロッドのうちで少なくとも一方のロッドの上端をベース部材の一端に剛接合し、
    ベース部材は前記柱脚に引張接合され、ベース部材と柱脚の間に導入張力がかけられてなる柱脚接合仕口。
  2. 前記柱の柱脚に引張接合される前記ベース部材における該柱脚に対する反対側に弾性突張り材を設け、弾性突張り材の両端部をベース部材又は前記ロッドに支持し、弾性突張り材の中間部をベース部材から浮かし、弾性突張り材の中間部とベース部材に挿通したボルトを柱の柱脚に引張接合してなる請求項1に記載の柱脚接合仕口。
  3. 前記ベース部材が引張接合される柱脚が床梁用ジョイントピースを含み、弾性突張り材とベース部材と床梁用ジョイントピースと該ジョイントピース内の床梁に挿通されたボルトが、床梁に添設した座金を介して上記柱脚に引張接合される請求項2に記載の柱脚接合仕口。
  4. 前記座金が床梁の長手方向に沿う方向でボルトの挿通位置から両側に離隔する床梁上の2位置にスペーサを介して着座され、座金は両スペーサに挟まれる範囲で床梁との間にギャップを設けてなる請求項3に記載の柱脚接合仕口。
  5. 前記床梁が床梁用ジョイントピースからの突出端を自由端とする切除梁である請求項4に記載の柱脚接合仕口。
  6. 前記建物構造体を前記ベース部材と前記ロッドとの剛接合部の上に載置してなる請求項1〜5のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
  7. 前記建物構造体の柱に剪断力が作用し、ロッド対の構成ロッドに軸力が発生するとき、それらのロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる請求項1〜6のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
  8. Mr=Mcである請求項7に記載の柱脚接合仕口。
  9. Mr>Mcである請求項7に記載の柱脚接合仕口。
  10. 前記ベース部材に、前記柱に作用する剪断力と同方向の剪断力が作用するようにする請求項9に記載の柱脚接合仕口。
  11. 前記下部構造体が基礎である請求項1〜10のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
  12. 前記下部構造体が下階建物構造体である請求項1〜10のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
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