JP2008018449A - 浸漬ノズル管理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タンディッシュ4内の溶鋼3を浸漬ノズル7を介して鋳型5に供給し、この供給された溶鋼3を電磁攪拌しながら溶鋼3を鋳造する浸漬ノズル管理方法において、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が(L0-L1)/L0≧0.23を満たす状態で鋳造を行う。L0は浸漬ノズル7が中心にあるときの鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離、L1は鋳造中の鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離を示す。
【選択図】図2
Description
溶鋼を電磁攪拌しながら鋳造する連続鋳造方法では、例えば、溶鋼のメニスカス(湯面)において溶鋼の流速が部分的に速くなるところがあると、流速が速くなったところでメニスカス上にあるモールドパウダーを溶鋼中に巻き込む恐れがある。モールドパウダーを溶鋼中に巻き込んでしまうと、鋳片中の介在物が増加し、品質が低下することとなる。
また、流速が速くなった部分では、シェルに対する溶鋼の供給量が多く供給熱量が増加するため、シェルの成長が阻害されてシェル厚不足になり、鋳片の表面に縦割れが発生する原因となる。場合によってはブレーククアウトを引き起こす恐れがある。
溶鋼の流速が部分的に速くなる原因として鋳型に対する浸漬ノズルの位置ずれが知られている。即ち、図2に示すように、浸漬ノズルを鋳型の略中心に位置するように当該浸漬ノズルを鋳型内にセットして鋳造を行うのが理想的だが(図2の理想位置)、例えば、溶鋼の熱等によるタンディッシュの変形により、鋳造中に鋳型に対する浸漬ノズルの位置が変化することがある(図2の鋳造位置)。浸漬ノズルの位置が変化し、当該浸漬ノズルが鋳型に近づくと、浸漬ノズルと鋳片との距離が小さくなった範囲での溶鋼の流速が速くなる。
よって、鋳型に対する浸漬ノズルの位置変化に対応して浸漬ノズルの位置調整を鋳造中に頻繁に行った場合、頻繁な位置調整によって位置鋳型内の溶鋼の流れを逆に乱し、安定的に鋳造することができない問題がある。
そこで、本発明では、上記問題に鑑み、安定的に鋳造が行うことができて、溶鋼の流速が部分的に速くなることによって生じる問題が発生しない浸漬ノズル管理方法を提供することを目的とする。
即ち、タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら溶鋼を鋳造するに際し、前記鋳型に対する浸漬ノズルの位置が式(1)を満たす状態で溶鋼の鋳造を行う点にある。
その結果、浸漬ノズルが中心にあるときの鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離に対して、鋳造中の鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離が23%以内であれば、大きな介在物が鋳片内に存在することがなくなる。即ち、鋳造中に、浸漬ノズルの位置が式(1)を満たす状態であれば、浸漬ノズルが鋳型に対して位置ずれをしても鋳片に悪影響を及ぼさない。
そこで、発明者は、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造した際、鋳型に対する浸漬ノズルのずれ量と鋳片の表面側に生成される縦割れの頻度についてさらに調査を行った。その結果、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造した場合、凝固シェルが割れやすいが、浸漬ノズルが中心にあるときの鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離に対して、鋳造中の鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離が20%以内であれば、鋳片において大きな縦割れが生じることがない。
図1は、本発明の浸漬ノズル管理方法によって鋳造を行う連続鋳造装置を示している。ただし、本発明はこの設備を使用するものに限定されるものではない。
図1に示すように、連続鋳造装置1は、ビレット連続鋳造装置であって、取鍋2から供給される溶鋼3を一時的に貯留するタンディッシュ4と、このタンディッシュ4からの溶鋼3が供給される鋳型5とを有している。鋳型5の外側には鋳型5内の溶鋼3を電磁攪拌する電磁攪拌装置(M-EMS)6が配置されている。
電磁攪拌装置6は、従来から連続鋳造装置1に用いられている一般的なもので、溶鋼3に磁場を加えることで右旋回(右回り)させたり、溶鋼3を左旋回(左回り)させたりすることができる。
以下、本発明の浸漬ノズル管理方法について詳しく説明する。
図2に示すように、タンディッシュ4の熱等の変形によって、すべての浸漬ノズル7が鋳型5の幅方向真ん中に位置させることができない場合は、セッティングしたときの浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L2(セッティング距離)と、浸漬ノズル7が中心にあると仮定したときの鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離L0(以降、理想距離ということがある)とを比較し、セッティング距離L2が当該理想距離の77%以下にならにように、タンディッシュ4を移動させて各浸漬ノズル7の位置を調整する。即ち、式(1)のL1(後述する鋳造距離)をセッティング距離L2に置き換えても式(1)を満たすように、セッティング時に浸漬ノズル7の位置を決定する。
タンディッシュ4の熱変形等によって鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が徐々に変化し、鋳造中における浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L1(鋳造距離)がセッティング距離L2よりも短くなって、当該鋳造距離L1が理想距離L0の77%に限りなく近づいた場合、言い換えれば、式(1)を満たすものの式(1)の左辺の値が0.23に近づいた場合、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4や浸漬ノズル7を交換又は調整した後、鋳造を再開する。
そして、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4を交換するか、位置ズレした浸漬ノズル7のみ又はすべての浸漬ノズル7を交換する。
このとき、すべての浸漬ノズル7が鋳型5の幅方向真ん中に位置させることができない場合は、セッティング距離L2と、理想距離L0とを比較し、セッティング距離L2が当該理想距離L0の80%以下にならにように、タンディッシュ4を移動させて各浸漬ノズル7の位置を調整する。
そして、各浸漬ノズル7の位置決め後、タンディッシュ4内の溶鋼3を鋳型5に供給し、溶鋼3を、例えば、右旋回させて当該溶鋼3を攪拌しながら鋳造を行う。鋳造中においては、例えば、鋳型5に対する浸漬ノズル7をセンサ等によって計測し、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(2)を満たす状態であるか確認しながら鋳造を継続する。
ここで、タンディッシュ4の熱変形等によって鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が徐々に変化し、鋳造中における浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L1(鋳造距離)がセッティング距離L2よりも短くなって、当該鋳造距離L1が理想距離L0の80%に限りなく近づいた場合、言い換えれば、式(2)を満たすものの式(2)の左辺の値が0.20に近づいた場合、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4や浸漬ノズル7を交換又は調整した後、鋳造を再開する。
そして、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4を交換するか、位置ズレした浸漬ノズル7のみ又はすべての浸漬ノズル7を交換する。
図2に示すように、浸漬ノズル7をセッティングしたときや鋳造中ときに、浸漬ノズル7の中心位置が鋳型5の中心位置から外れ、浸漬ノズル7が鋳型5に近づいてしまうと、浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との距離が短くなる狭い部分ができてしまう。狭い部分では溶鋼3の流速が速くなり、これにより、モールドパウダーの巻き込みの原因となる。
鋳型5に対する浸漬ノズル7のずれ量は、理想距離L0から鋳造距離L1を引き、この値を理想距離L0で割ることで求めた。また、皮下介在物要因不良発生率については、鋳造した鋳片のサンプルを採取し、UT検査装置で介在物の有無を検査し、サンプルで300μm以上の介在物を1個以上検出すると「欠陥有り」、それ以外を「欠陥無し」とし、「欠陥有り」とした数から検査を行ったサンプルの総数を割ることで求めた。
したがって、浸漬ノズル7のずれ量が23%よりも大きくならないように、即ち、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(1)を満たすように、溶鋼3の鋳造を行う必要がある。
そこで、発明者は、図4に示すように、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼3の鋳造を繰り返し行い、鋳型5に対する浸漬ノズル7のずれ量と、鋳片の表面に縦割れ不良発生率についての実験を行った。また、縦割れ不良発生率については、鋳造した鋳片の表面をMT検査装置で検査し、鋳片の表面において5mm以上の開口があいているものを「欠陥有り」、5mm未満の開口のものを「欠陥無し」とし、「欠陥有り」とした数から検査を行った鋳片の総数を割ることで求めた。
表1における鋳造前の位置ずれは、理想距離L0からセッティング距離L2を引くことで求めた位置ずれ値(L0−L2)であり、鋳造中の位置ずれは、セッティング距離L2から鋳造距離L1を引くことでもとめた位置ずれ値(L2−L1)である。
トータルの位置ずれは、鋳造前の位置ずれ値と、鋳造中の位置ずれ値とを足したもの(L0−L1)で、トータルの位置ずれ率は、式(1)又は式(2)の左辺の値で、単位を「%」とした。
特に、実施例1〜41において、溶鋼3の炭素含有量が0.08〜0.20重量%未満を鋳造する場合にあっては、トータルの位置ずれ率が20%以下であって、式(2)を満たしており、MT検査で「欠陥有り」と判定されるサンプルがなく、5mm以上の鋳片の縦割れはなかった。
本発明の浸漬ノズル管理方法は、ビレット連続鋳造装置に適用されるものに限らず、ブルーム又はスラブ連続鋳造装置に適用されるものであってもよい。
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 鋳型
5 サポートロール
6 電磁攪拌装置
7 浸漬ノズル
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