JP2008017634A - 永久磁石モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】回転子に永久磁石を有する永久磁石モータにおいて、表面磁石形モータ並の高応答性と埋込磁石形モータ並の耐遠心力と低渦電流損失を両立する永久磁石モータを提供できるようにする。
【解決手段】回転子に永久磁石を有する永久磁石モータにおいて、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石3で覆い、その内側に複数の焼結磁石5と軟磁性材からなる回転子鉄心4を設けたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転子に永久磁石を有する永久磁石モータに関する。
従来の永久磁石モータの1つに、磁石によるトルクと回転子鉄心の磁気抵抗によるリラクタンストルクを用い、モータの小型高出力化、高効率化を狙った埋込磁石形永久磁石モータがある。
図5は、従来の埋込磁石形永久磁石モータの回転子鉄心と永久磁石の構成例を示す図である。
図5において、回転子鉄心8は積層した軟磁性鋼板にV字形の空隙を設け、該空隙に直方体の永久磁石9を装着している。該埋込磁石形永久磁石モータは、回転子鉄心が回転子表面を構成するため渦電流損失の発生が少なく、遠心力に対しても頑強で高回転化に適するという特徴がある。回転子鉄心8の外形状は、モータの誘起電圧に含まれる高調波やコギング低減のため、単純な円形としない場合がある。
また、従来の永久磁石モータの1つに、永久磁石を回転子の表面に設置した表面磁石形永久磁石モータがある。表面磁石形永久磁石モータは、固定子巻線のインダクタンスが小さく、高応答性を有するという特徴がある。
また、従来の永久磁石モータのなかには、埋込磁石形と表面磁石形を兼ねた構造を有するものがある。(例えば、特許文献1および2参照)。
図6は、埋込磁石形と表面磁石形を兼ねた構造を有する従来の永久磁石モータの例であり、特許文献1、図1に示されているものである。
図6において、回転子鉄心102は円形に打ち抜いた軟磁性鋼板を積層して作り、その内側に磁石挿入穴104を有する。第1の磁石106は回転子円筒部表面近傍の磁石挿入穴に装着し、第2の磁石108はその内側の逆円弧状の磁石挿入穴に装着している。特許文献1によれば、図に示した構造とすることで、インダクタンスLdが小さくなるようにしてリラクタンストルクを改善して、モータのトルク向上が得られる。
図7は、埋込磁石形と表面磁石形を兼ねた構造を有する別の従来の永久磁石モータの例であり、特許文献2、図1に示されているものである。
図7において、回転子11は、回転子鉄心12の外周面の周方向に4個の永久磁石14を有し、その内側に円弧状の永久磁石16を有する。特許文献2によれば、図に示す構造とすることで、同様にモータのトルク向上が得られる。
特許第3428234号公報(図1) 特開2003−61280号公報(図1)
しかしながら、埋込磁石形永久磁石モータおよび特許文献1、2に示した従来の永久磁石モータは、永久磁石によるマグネットトルクに加え、リラクタンストルクを利用することでより大きなトルクを得られるが、リラクタンストルクを得るため、インダクタンスを一概に小さくできず、表面磁石形永久磁石モータ並の高応答性を求め難いという問題があった。
また、表面磁石形永久磁石モータおよび特許文献2に示した従来の永久磁石モータは、一般的に耐減磁力の高い希土類磁石またはフェライト磁石等の焼結磁石を用いるが、これらの磁石は割れに対する強度が低いため、一体または分割して回転子表面に設置した場合、耐遠心力の限界より埋込磁石形永久磁石モータ並の高速回転化が困難であるという問題があった。また、高速回転時に回転子表面に設置した永久磁石表面に渦電流損失が発生し、高効率化を損なうという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、表面磁石形永久磁石モータ並の高応答性と埋込磁石形永久磁石モータ並の耐遠心力と低い渦電流損失を両立する永久磁石モータを提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、回転子に永久磁石を有する永久磁石モータにおいて、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石で覆い、その内側に複数の焼結磁石と軟磁性材からなる回転子鉄心を設けたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、前記リング状の金属磁石は、前記金属磁石の板材をリング状に成形し、積層したことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、前記リング状の金属磁石は、積層する各々のリング状磁石の積層面に非導電性の皮膜、または表面処理による非導電性の化合層を有することを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明は、前記リング状の金属磁石は、内側に形成された複数の溝部に前記各焼結磁石の外側を装着して、前記回転子鉄心に固定する際に周方向の位置を固定することを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、前記リング状の金属磁石は、外周形状がモータの誘起電圧に含まれる高調波、コギング低減のために磁極の繋ぎの部分のギャップ長を大きくすると共に、形状も単純円形ではなく適切化していることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明は、前記リング状の金属磁石は、圧延して薄板化が可能な合金磁石等を用いることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、前記リング状の金属磁石の内側に設ける複数の焼結磁石は希土類磁石であることを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、前記回転子は、前記焼結磁石の厚みと回転子鉄心に装着する際のV字型の挟角を調整することにより、前記回転子表面の電機子反作用に対する耐減磁力とギャップ磁束密度を調整することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によると、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石で覆い、その内側に複数の焼結磁石と軟磁性材からなる回転子鉄心を設けたため、回転子表面の磁気抵抗が大きいことから固定子巻線のインダクタンスが小さくなり、表面磁石形永久磁石モータ並の高応答性が得られ、また、埋込磁石形永久磁石モータ並の耐遠心力と、低い渦電流損失となし得る永久磁石モータを提供できる。
また、請求項2に記載の発明によると、リング状の金属磁石は、金属磁石の板材をリング状に成形し、積層したため、埋込磁石形永久磁石モータ並の耐遠心力と低い渦電流損失を有する永久磁石モータを提供できる。
また、請求項3に記載の発明によると、リング状の金属磁石は、積層する各々のリング状磁石の積層面に非導電性の皮膜、または表面処理による非導電性の化合層を有するため、積層した各々の金属磁石間が非導通となり渦電流損失の低い永久磁石モータを提供できる。
また、請求項4に記載の発明によると、組立ての際、リング状の金属磁石を内側で回転子鉄心に固定する場合に、正確に位置決めして固定できる永久磁石モータを提供できる。
また、請求項5に記載の発明によると、リング状の金属磁石の外周形状は、磁極の繋ぎの部分のギャップ長を大きくして、形状を適切化しているので、モータの誘起電圧に含まれる高調波やコギング低減が可能な永久磁石モータを提供できる。
また、請求項6に記載の発明によると、リング状の金属磁石は圧延して薄板化が可能な合金磁石を用いるので、希土類磁石などのように割れ易く薄板状に成形が困難な磁石を用いた場合とは違い、頑丈で耐遠心力に優れた回転子の永久磁石モータを提供できる。
また、請求項7に記載の発明によると、リング状の金属磁石の内側に設ける複数の焼結磁石は耐減磁力の高い希土類磁石であるため、耐減磁力の低いリング状の金属磁石の耐減磁力を補強し、従来の永久磁石モータと同等のトルクを有する永久磁石モータを提供できる。
また、請求項8に記載の発明によると、鉄心内の焼結磁石の厚みと鉄心内に装着する焼結磁石のV字形の狭角を調整加減することで、耐減磁力とギャップ磁束密度を調整可能な永久磁石モータを提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す永久磁石モータの径方向断面図である。
図1において、固定子鉄心1に固定子巻線2を装着し、その内側に永久磁石を有する回転子を配置する。回転子は、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石3で覆い、その内側に複数の焼結磁石5と軟磁性材からなる回転子鉄心4をシャフト6に固定して設ける。
回転子の表面には8極の磁極を設けているため、3相よりなる固定子巻線2に適切な通電を行うことにより、回転子は作動する。
図4は回転子の構成を補足説明する図である。
図4において、焼結磁石5は、内側を回転子鉄心の溝部4aに装着し、外側をリング状の金属磁石の溝部3aに装着する。そのため、リング状の金属磁石3は、その内側で回転子鉄心4に固定するとともに、周方向についても位置固定している。
本発明においては、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石3で覆うため、従来の埋込磁石形永久磁石モータおよび特許文献1、2に示した従来の永久磁石モータのように、リラクタンストルクを得てトルクの向上を得る目的はなく、割れにくく、従来の軟磁性鋼板と同等な強度を有し、分割のないリング状の金属磁石3を用いることは、内側に設置した焼結磁石5の飛散防止を含めた回転子の高い耐遠心力を得る目的を有する。回転子の耐遠心力限界は、形状的にはリング状の金属磁石の薄肉部3bの径方向の巾により決定される。なお、リング状の金属磁石3の内側の回転子鉄心4も積層した軟磁性鋼板よりなる。
図2は回転子の磁極の構成を説明する図である。
図2において、回転子の表面に設置するリング状の金属磁石3は、金属磁石の板材をリング状に成形して積層し、NS極を交互に8極の磁極を設けている。図中に示すNS極は、各々の永久磁石5または金属磁石3の部分の回転子外周に向かう方向の磁極のみを示している。リング状の金属磁石3の内側に設ける焼結磁石5は、リング状の金属磁石3の表面に設ける8極の磁極を強める方向に着磁し、装着する。
また、リング状の金属磁石3の外周形状は、モータの誘起電圧に含まれる高調波やコギング低減のため、磁極の繋ぎの部分のギャップ長を大きくするとともに、形状も適切化している。
図3は積層したリング状の金属磁石3の各々のリング状磁石を示す図である。
図3において、積層する各々のリング状磁石は、積層面3aに非導電性の皮膜、または表面処理による非導電性の化合層を有する。そのため、積層した各々の金属磁石間が非導通となり渦電流損失の低い永久磁石モータを提供できる。
このリング状金属磁石3の例としては、鉄−クロム−コバルト磁石等の圧延して薄板化が可能な合金磁石がある。本実施例では、こうした磁石の0.5mm圧延板材を用い製作している。耐減磁力の高い希土類磁石またはフェライト磁石等の焼結磁石は、薄板状に成形することが困難である。
非導電性の皮膜の例としては、無機質または有機質皮膜等があり、非導電性の化合層を生成する表面処理としては、酸化処理、リン酸塩処理等がある。また、これらの処理は、リング状磁石3の凹部3b等の永久磁石5に接する面にも施されることが望ましい。
また、図4において示したリング状の金属磁石3の内側に設ける焼結磁石5は耐減磁力の高い希土類磁石であるため、耐減磁力の低いリング状の金属磁石3の耐減磁力を補強し、従来の永久磁石モータと同等のトルクを有する永久磁石モータを提供できる。焼結磁石5の厚みと固定子鉄心に装着するV字形の挟角を調整することにより、回転子表面の電機子反作用に対する耐減磁力とギャップ磁束密度を調整する。
本発明が図5のような従来の埋込磁石形永久磁石モータと異なる部分は、回転子内部の永久磁石の他に、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石3で覆った部分である。
また、本発明が従来の表面磁石形永久磁石モータと異なる部分は、回転子表面の永久磁石3の他に、回転子の内部に耐減磁力を補強する複数の焼結磁石5を設けた部分である。
また、本発明が図6のような特許文献1及び、図7のような特許文献2と異なる部分は、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石3で覆った部分である。
本発明の第1実施例を示す永久磁石モータの径方向断面図である。 図1に示す回転子の磁極の構成を説明する図である。 図1に示す積層したリング状の金属磁石の各々のリング状磁石を示す図である。 図1に示す回転子の構成を補足説明する図である。 従来の埋込磁石形永久磁石モータの回転子鉄心と永久磁石の構成例を示す図である。 従来の永久磁石モータの断面図である。 従来の永久磁石モータの構成図である。
符号の説明
1 固定子鉄心
2 固定子巻線
3 リング状の金属磁石
3a リング状磁石の積層面
3b リング状磁石の凹部
4 回転子鉄心
4a 回転子鉄心の溝部
5 焼結磁石
6 シャフト

Claims (8)

  1. 回転子に永久磁石を有する永久磁石モータにおいて、回転子の表面を積層したリング状の金属磁石で覆い、その内側に複数の焼結磁石と軟磁性材からなる回転子鉄心を設けたことを特徴とする永久磁石モータ。
  2. 前記リング状の金属磁石は、前記金属磁石の板材をリング状に成形し、積層したことを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  3. 前記リング状の金属磁石は、積層する各々のリング状磁石の積層面に非導電性の皮膜、または表面処理による非導電性の化合層を有することを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  4. 前記リング状の金属磁石は、内側に形成された複数の溝部に前記各焼結磁石の外側を装着して、前記回転子鉄心に固定する際に周方向の位置を固定することを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  5. 前記リング状の金属磁石は、外周形状がモータの誘起電圧に含まれる高調波、コギング低減のために磁極の繋ぎの部分のギャップ長を大きくすると共に、形状も単純円形ではなく適切化していることを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  6. 前記リング状の金属磁石は、圧延して薄板化が可能な合金磁石等を用いることを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  7. 前記リング状の金属磁石の内側に設ける複数の焼結磁石は希土類磁石であることを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
  8. 前記回転子は、前記焼結磁石の厚みと回転子鉄心に装着する際のV字型の挟角を調整することにより、前記回転子表面の電機子反作用に対する耐減磁力とギャップ磁束密度を調整することを特徴とする請求項7記載の永久磁石モータ。
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