まず、本発明の第1実施例について図1を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1実施例によるカメラモジュールの断面図である。図1に示すカメラモジュール10は、撮像素子12を有するパッケージ14と、撮像用レンズ16(以下、単にレンズと称する)を有するレンズユニット18とにより構成される。パッケージ14及びレンズユニット18は樹脂により形成され、レンズユニット18は接着剤20を介してパッケージ14に固定される。なお、図1において、レンズユニット18は断面として示されていない。
レンズユニット18は、レンズ16が収容される鏡筒部18aと、パッケージ14に対して固定される部分である基部18bとよりなる。鏡筒部18aには貫通開口(図示せず)が設けられ、レンズ16を通過した光はこの貫通開口を通過してパッケージ14の方向へと進む。レンズ16としては、一般的に樹脂製のレンズが用いられる。
パッケージ14には、レンズユニット18の鏡筒部18aの貫通開口に対向する部分に同様に貫通開口14aが設けられる。撮像素子12は、貫通開口14aを覆うような状態で、パッケージ14のレンズユニット18とは反対側のパッケージ14の底面14bに実装される。具体的には、撮像素子12の突起電極12aが、パッケージ14の底面14bに形成されたパターン配線(端子)に対してフリップチップ接続される。
なお、パッケージ14にレンズユニット18を組み付けることで、カメラモジュール10の本体となるモジュール構造体が構成される。
上述のような構成により、レンズ16に入射した光はレンズユニット18の開口及びパッケージ14の貫通開口14aを通過して撮像素子12の撮像面12bに入射し、結像する。撮像素子12からは、撮像面12bに形成された像に対応した画像信号(電気信号)が出力される。
撮像素子12から出力された画像信号は、樹脂製のパッケージ14内に組み込まれた駆動用素子22により処理される。駆動用素子22は、撮像素子12の動作を制御する制御用プロセッサとして機能する。駆動用素子22の下側にはダイ付け剤24が設けられ、駆動用素子22の電極は、パッケージ14の内部において、パッケージ14の底面14bに形成されためっき配線(パターン配線)26に対してボンディングワイヤにより電気的に接続される。駆動用素子22からの出力信号は、カメラモジュール10が接続されたフレキシブル基板28を介して外部装置等に供給される。
フレキシブル基板28には、撮像素子12に対向する位置に開口28aが設けられ、撮像素子12が開口28a内に入り込んだ状態で、カメラモジュール10はフレキシブル基板28に接続される。具体的には、パッケージ14の底面14bに突起電極14cが形成され、突起電極14cがフレキシブル基板28の回路パターン(端子)に接続される。突起電極14cは、樹脂の突起の表面に金属膜が形成された、いわゆる樹脂バンプである。
以上のような構成のカメラモジュール10において、レンズ16と撮像素子12との間に光学フィルタ30(以下、単にフィルタと称する)が配置される。フィルタ30は、撮像素子12に入射する光を調整するために設けられるものであり、例えば、撮像素子12は不要な赤外線成分を除去するフィルタとして機能する。
フィルタ30は、パッケージ14の貫通開口14a内に設けられたフィルタ固定部32に載置された状態で接着剤34により接着される。図1に示す例では、フィルタ30はパッケージ14のフィルタ固定部32に取り付けられているが、フィルタ30はレンズユニット18の基部18bに取り付けられていてもよい。すなわち、フィルタ30はレンズ16と撮像素子12との間に配置されるように、パッケージ14とレンズユニット18とよりなるカメラモジュール構造体に対して取り付けられる。
図2は図1に示すパッケージ14をレンズユニット側から見た平面図である。図2に示されるように、フィルタ30はパッケージ14の貫通開口14aを遮るように配置される。
貫通開口14aは略四辺形の開口であり、フィルタ30も略四辺形に形成される。フィルタ30の周囲部分は、略四辺形の環状に形成されたフィルタ固定部32に対して接着剤34により接着される。図2において、フィルタ固定部32の外形は点線で示されている。接着剤34は、図2において斜線で示されるように、略四辺形のフィルタ30の四隅付近のみに設けられる。ただし、接着剤34をフィルタ固定部32の頂面32a(フィルタ固定面)全体に設けてもよい。
図3はフィルタ30がフィルタ固定部32に接着剤で固定された部分の拡大断面図である。フィルタ固定部32は周囲から僅かに突出した環状の凸部であり、その頂面32aがフィルタ固定面となっている。
図3に示すように、フィルタ30の角部に付着しているバリや切り屑等は、衝撃や振動が加わった際にフィルタ30から離脱して微小片となり、フィルタ固定部32の周囲に落下する。このような微小片が撮像素子12の撮像面12bの上に落下して付着すると、撮像素子12の撮像機能に影響が出て、画像品質が劣化してしまう。
そこで、本実施例では、フィルタ30の外形寸法をフィルタ固定部32の外形寸法より僅かに大きくすることにより、フィルタ30の側面(周囲端部)をフィルタ固定部32より僅かに外側に突出させている。これにより、フィルタ30の角部から微小片が離脱して落下しても、微小片はフィルタ固定部32の外側に落下する。すなわち、微小片がフィルタ固定部32の内側にある撮像素子12上に落下することを防止している。
なお、フィルタ30の側面をフィルタ固定部32より突出させることは、フィルタ30の側面と底面(接着される面)とにより形成される角部(端部)が、フィルタ固定面32a又は接着剤34に対して非接触な状態で、フィルタ30を配置して接着することを意味する。
フィルタ30を固定する接着剤34の厚みは、例えば30μm程度である。また、フィルタ30から離脱する微小片のうち、5μmを越える大きさの微小片が撮像素子12に悪影響を及ぼすことが多いことが分かっている。
図2に示すように、接着剤34をフィルタの四隅部分に設けた場合、接着剤34が設けられていない部分において、フィルタ30とフィルタ固定部32との間に、接着剤34の厚みに相当する隙間が形成される。したがって、フィルタ30からフィルタ固定部32の外側に落下した微小片がこの隙間を通過してフィルタ固定部32の内側に入り込むおそれがある。
そこで、図3に示すように、フィルタ固定部32の外側には、貫通開口14aの側壁により囲まれた凹部である異物だまり36が形成される。フィルタ30から離脱して落下した微小片は、この異物だまり36に入り込む。異物だまり36に入った微小片は、異物だまり36から出にくくなり、カメラモジュール10が組み込まれた機器が使用中あるいは運搬注に動いた際に、周囲に飛散しにくくなる。これにより、一旦、フィルタ固定部32の外側に落下した微小片が移動してフィルタ固定部32の内側に入り込むことが防止される。
なお、本実施例では、フィルタ固定部32を環状の突出部として形成し、その頂面をフィルタ固定面32aとしたが、フィルタ固定面32aを必ずしも突出部の頂面とする必要はない。フィルタ固定面32aは、フィルタ30の周囲部分に対向して接着剤34を介してフィルタ30が固定される平面であればよい。
図4は、ファイルタの固定構造の変形例が適用されたカメラモジュールのパッケージを示す平面図である。図5は、図4のV−V線に沿ったカメラモジュールの断面図である。図4及び図5において、図1乃至図3に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4及び図5に示すフィルタ固定部32は、外形が略四辺形の環状の突出部として形成されるが、その四隅部分に丸みが付けられている。図4において、斜線を施した部分は接着剤34が設けられた部分を示すが、フィルタ固定部32のフィルタ固定面32aの全面に接着剤が設けられているので、斜線を施した部分はフィルタ固定部32の平面形状を示している。
ここで、フィルタ30の四隅部分は、フィルタ30の中で微小片が形成されて離脱しやすい部分である。そこで、図4に示すように、フィルタ固定部32の外形の四隅部分に丸みを付けることにより、丸みが付けられていないフィルタ30の四隅部分が、フィルタ固定部32の外側に大きく突出するように構成する。これにより、フィルタ30の四隅部分から離脱した微小片は、確実にフィルタ固定部32の外側に落下することとなる。
また、図4及び図5に示すように、接着剤34がフィルタ固定面32aの全周にわたって設けられるので、フィルタ固定面32aとフィルタ30との間に間隙が形成されることはなく、一旦フィルタ固定部32の外側に落下した微小片が、間隙を通過してフィルタ固定部32の内側に入り込むことが防止される。
次に、本発明の第2実施例について、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6及び図7は本発明の第2実施例によるカメラモジュールの断面図である。なお、レンズユニット18は断面図として示されていない。図6及び図7において、図1に示される構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
本発明の第2実施例では、フィルタ30の側面を含む周囲部分を薄膜や樹脂等で覆うことにより、フィルタ30からの微小片の離脱を防止する。図6及び図7に示すフィルタ30には、カメラモジュールに組み込まれる前に、側面を含む周囲部分に予め薄膜が形成されている。
すなわち、フィルタ30は、大きな基板から切り出されて個片化された後に、薄膜形成工程が施される。薄膜により被覆される部分は、フィルタ30の側面と上面及び下面の側面近傍の部分である。フィルタ30に付着している微小片は、薄膜により固定されるため、フィルタ30に振動や衝撃が加わっても、フィルタ30から離脱することが防止される。
薄膜の材料としては、金属が好ましく、光学的な影響を考慮すると、パラジウム、ニッケル、カーボン、アルミニウム、白金が特に好ましい。このような薄膜を形成するには、蒸着やスパッタリングを用いることが好ましい。フィルタ30の表面のうち、薄膜で被覆しない部分をマスキングしておき、上述の材料を蒸着やスパッタリングにより薄膜として形成する。
図6に示す例は、フィルタ30をパッケージ14に固定する構成のカメラモジュールにおいて、フィルタ30の周囲部分に予め金属薄膜40を形成したフィルタ30を組み込んだ例である。フィルタ30の周囲部分に付着している微小片は、金属薄膜40により固定されているため、フィルタ30をパッケージ14に組み込む際の衝撃により微小片がフィルタ30から離脱して落下することが防止される。また、カメラモジュールが組み込まれた機器の運搬中あるいは使用中に振動や衝撃が加わった際にも、微小片がフィルタ30から離脱して落下することが防止される。
図7に示す例は、フィルタ30をレンズユニット18に固定する構成のカメラモジュールにおいて、フィルタ30の周囲部分に予め金属薄膜40を形成したフィルタ30を組み込んだ例である。図7に示す構成においても、図6に示す構成と同様な効果が得られる。また、フィルタ30をレンズユニット18に固定する構成では、レンズユニット18のフィルタ30を接着する部分の周囲に凹部(溝)18cを形成しておき、接着剤34が周囲にはみ出さないようにすることが好ましい。また、凹部18cを形成することにより、フィルタの周囲に形成された金属薄膜40がレンズユニット18の底面に当たらないようにすることができる。
上述の例では、金属薄膜40をフィルタ30の周囲部分に形成しているが、金属薄膜40の代わりに樹脂をコーティングすることとしてもよい。
図8及び図9は、周囲部分が樹脂により被覆されたフィルタが組み込まれたレンズユニットの側面図である。
図8に示す例では、予めフィルタ30の周囲部分全体を樹脂42により被覆し、このフィルタ30をレンズユニットに接着剤34で固定している。樹脂42は、フィルタ30の全周(4辺)の側面と、側面と上面及び下面とにより形成される角部とを覆うように塗布される。
図9に示す例では、略四辺形のフィルタ30の四隅部分のみ樹脂42により被覆している。略四辺形のフィルタ30の四隅部分から微小片が離脱することが多いため、四隅部分を被覆するだけでも効果がある。
樹脂42は、光学的な影響を考慮すると、非光沢で、黒色または灰色であることが好ましい。そのような樹脂を選択することにより、撮像素子12により反射された光が樹脂42により反射散乱されることなく、樹脂42に吸収させることができる。これにより、撮像素子12により反射された光に起因したゴーストやフレアの発生といった画質の劣化を防止することができる。
また、樹脂42を湿気硬化型弾性樹脂あるいは接着剤とすることが好ましい。樹脂42を湿気硬化型とすることで、硬化時に加熱する必要がなく、フィルタ30に対する熱の影響を無くすことができる。また、弾性を有する樹脂とし、且つ、レンズユニット18をパッケージ14に組み付ける際に樹脂42がパッケージ14の貫通開口14aの内面と適度に接触するように樹脂42の量を調節することにより、撮像素子12への異物の進入経路を遮断することができる。
なお、樹脂42は、フィルタ30をレンズユニット18に取り付ける際の衝撃でフィルタ30から微小片が離脱して周囲に飛散しないように、フィルタ30がレンズユニット18に組み込まれる前、すなわちフィルタ30単体において塗布されることが好ましい。しかし、フィルタ30をレンズユニットに取り付けた後に樹脂42を塗布することとしてもよい。
また、図8及び図9に示す例では、レンズユニット18にフィルタ30を固定しているが、樹脂42により被覆されたフィルタ30をパッケージ14に固定することとしてもよい。
次に、本発明の第3実施例について説明する。
まず、本発明の第3実施例が適用されるカメラモジュールの基本的な構造について図10を参照しながら説明する。図10は本発明の第3実施例が適用されるカメラモジュールの断面図である。
図10に示すカメラモジュール50は、撮像素子52を有するパッケージ54と、撮像用レンズ56(以下、単にレンズと称する)を有するレンズユニット58とにより構成される。パッケージ54及びレンズユニット58は樹脂により形成され、レンズユニット58は接着剤60を介してパッケージ54に固定される。なお、図1において、パッケージ54は切断されてその断面が示されている。
レンズユニット58は、レンズ56が収容される鏡筒部58aと、パッケージ54に対して固定される部分である基部58bとよりなる。鏡筒部58aには貫通開口(図示せず)が設けられ、レンズ56を通過した光はこの貫通開口を通過してパッケージ54の方向へと進む。レンズ56としては、一般的に樹脂製のレンズが用いられる。
パッケージ54には、レンズユニット58の鏡筒部58aの貫通開口に対向する部分に同様に貫通開口54aが設けられる。撮像素子52は、貫通開口54aを覆うような状態で、レンズユニット58とは反対側のパッケージ54の底面54bに実装される。具体的には、撮像素子52の突起電極52aが、パッケージ54の底面54bに形成されたパターン配線(端子)に対してフリップチップ接続される。
上述のような構成により、レンズ56に入射した光はレンズユニット58の開口及びパッケージ54の貫通開口54aを通過して撮像素子52の撮像面52bに入射し、結像する。撮像素子52からは、撮像面52bに形成された像に対応した画像信号(電気信号)が出力される。
撮像素子52から出力された画像信号は、樹脂製のパッケージ54内に組み込まれたプロセッサ用素子62により処理される。プロセッサ用素子62は、撮像素子12の動作を制御する制御用プロセッサとして機能する。プロセッサ用素子62の下側にはダイ付け材64が設けられる。ダイ付け材64は、プロセッサ用素子62をパッケージ54内にモールドする工程において、プロセッサ用素子62を一時的に固定しておくために用いられる。
プロセッサ用素子62の電極は、パッケージ54の内部において、パッケージ54の底面54bに形成されためっき配線(パターン配線)66に対してボンディングワイヤにより電気的に接続される。プロセッサ用素子62からの出力信号は、カメラモジュール50が接続されたフレキシブル基板68を介して外部装置等に供給される。なお、フレキシブル基板68は、ポリイミドフィルム等からなる基板68Aと、基板68A上に形成されたパターン配線68Bとよりなる。
なお、パッケージ54内には、プロセッサ用素子62の他に、抵抗素子、キャパシタ、インダクタ等のチップ部品(電子部品)70がモールドされる。チップ部品70は、パッケージ54の底面54bに形成された金属膜よりなるパターン配線54dに電気的に接続される。したがって、チップ部品70は、パターン配線54dにより撮像素子52及びプロセッサ用素子62に電気的に接続される。
フレキシブル基板68には、撮像素子52に対向する位置に開口68aが設けられ、撮像素子12が開口68a内に入り込んだ状態で、カメラモジュール50はフレキシブル基板68に接続される。具体的には、パッケージ54の底面54bに突起電極54cが形成され、突起電極54cがフレキシブル基板68の回路パターン(端子)に接続される。突起電極54cは、樹脂の突起の表面に金属膜が形成された、いわゆる樹脂バンプである。
以上のような構成のカメラモジュール50において、レンズ56と撮像素子52との間に光学フィルタ72(以下、単にフィルタと称する)が配置される。フィルタ72は、撮像素子52に入射する光を調整するために設けられるものであり、例えば、撮像素子52は不要な赤外線成分を除去するフィルタとして機能する。
フィルタ72は、レンズユニット58の基部58bに取り付けられ、パッケージ54の貫通開口54a内に配置される。図10に示す例では、フィルタ70はレンズユニット58に取り付けられているが、フィルタ72はパッケージ54の貫通開口54a内に取り付けられていてもよい。すなわち、フィルタ72はレンズ56と撮像素子52との間に配置されるように、パッケージ54とレンズユニット58とよりなるモジュール構造体に対して取り付けられる。
以上のような構成のカメラモジュール50において、レンズ56と撮像素子52との間の距離は、レンズ56の焦点距離によって決定される所定の距離より短くすることはできない。したがって、レンズホルダ58又はパッケージ54は、上記所定の距離を確保するのに十分な厚みを有する必要がある。
ところが、カメラモジュールには、より一層の小型化、薄型化が要求されており、カメラモジュールの厚みを小さくするという観点からすると、レンズホルダ58又はパッケージ54の厚みを確保するためのスペースは、無駄なスペースとなる。カメラモジュール50では、パッケージ54内にプロセッサ素子62やチップ部品70がモールドされているが、パッケージ54内のプロセッサ素子62やチップ部品70の上側には依然として無駄なスペースが存在する。
そこで、本発明の第3実施例によるカメラモジュールでは、上述の無駄なスペースを有効に利用すべく、プロセッサ用素子62(第1の半導体装置)の上側にさらに第2の半導体装置及び電子部品を配置する。
図11は本発明の第3実施例によるカメラモジュールの断面図である。なお、レンズユニット58は断面図ではなく側面図として示されている。図11において、図10に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図11に示すカメラモジュール80は、図10に示すカメラモジュール50と同じ基本的な構造を有しているが、プロセッサ用素子62(第1の半導体装置)の上に回路基板82及び半導体記憶装置84(第2の半導体装置)が搭載されていることが異なる。また、図11に示す例では、チップ部品70は回路基板82の上に搭載されている。
回路基板82は、接着剤86によりプロセッサ用素子62の回路形成面上に固定される。したがって、接着剤86は絶縁性接着剤であることが好ましい。ただし、プロセッサ用素子62の回路形成面上にポリイミド膜等の絶縁皮膜が設けられている場合は、導電性接着剤を用いてもよい。
回路基板82は、一般的なプリント回路基板であってもよいが、ガラスエポキシ基板、セラミックス基板、ガラス基板のようなリジッド基板であることが好ましい。例えば、回路基板82に搭載した半導体記憶装置84を回路基板に対してワイヤボンディングする際に、回路基板82には超音波ワイヤボンダから放出される超音波エネルギが印加される。回路基板82として、例えばポリイミド基板のような弾性を有するフレキシブル基板を用いると、超音波エネルギが回路基板82の母材に吸収されてしまうことがある。このような場合、ボンディングがうまく行なわれず、ボンディング不良が発生するおそれがある。しかし、回路基板82としてリジッド基板を用いることにより、回路基板82による超音波の吸収が低減され、ワイヤボンディング不良の発生を防止することができる。
また、フレキシブル基板は本来変形しやすい材料であるため、回路基板82としてフレキシブル基板を用いると、半導体装置や電子部品を回路基板82に搭載する際に、変形(反り)を抑えながら搭載工程を実施する必要がある。しかし、回路基板82としてリジッド基板を採用した場合、回路基板82の変形は少ないため、歩留まりが向上し、工程コストの点で有利である。
また、回路基板82は、実質的に全面が金属導電層である金属ベタ層を有することが好ましい。例えば、回路基板82の母材の片面に銅箔やアルミ箔を貼り付けて金属ベタ層を形成し、反対側の面にパターン配線を形成する。この場合、金属ベタ層側が、接着剤86を介してプロセッサ用素子62に接着されることとなる。あるいは、回路基板82を多層基板として形成し、いずれかの層を金属ベタ層とすることでもよい。
上述の金属ベタ層を接地電位とすることで、プロセッサ用素子62から発生する電磁場をシールドする効果を得ることができる。プロセッサ用素子62は撮像素子52の近傍に配置されており、また、近傍に電子部品も配置される。このため、プロセッサ用素子62から電磁場が発生すると、撮像素子52の出力信号にノイズが入る等の悪影響がある。特に、プロセッサ用素子62の回路形成面からは電磁場が発生しやすいため、回路形成面上に金属ベタ層を有する回路基板82を設けることで、大きなシールド効果を得ることができる。これにより、撮像素子52からの出力信号にノイズが入ることが防止され、画像の劣化を防止することができる。
本実施例では、上述のような回路基板82上に、メモリ素子のような半導体記憶装置84と電子部品としてチップ部品70が搭載される。カメラモジュールでは、撮像素子52からの画像信号をプロセッサ用素子62の画像処理回路で処理するが、その際に画像信号をメモリに格納する場合が多い。画像処理では比較的大きなメモリ容量を必要とするため、専用のメモリが必要となる。したがって、プロセッサ用素子62の上に半導体記憶装置84を専用メモリとして配置することで、プロセッサ用素子62からの画像データを半導体記憶装置84に格納することができ、効率的に画像処理を行なうことができる。また、半導体記憶装置84とプロセッサ用素子62との間の距離が短いため、処理速度が向上し、且つ信号用配線等からノイズが入る可能性が低減される。
また、上述のように、回路基板82上にチップ部品70が搭載される。図10に示す例ではチップ部品70は、パッケージ54内の底面付近に埋め込まれているが、本実施例ではチップ部品70は回路基板82上に搭載される。したがって、パッケージ54の底面の面積のうち、チップ部品70が占めていた面積を削除することができ、パッケージ54を小型化することができる。特に、カメラモジュールでは多数のチップ部品を必要とする場合が多いため、面積低減効果は大きい。
以上のようなチップ部品70は、はんだや導電性ペースト(Agペースト)0等により回路基板82のパターン配線に接続される。また、半導体記憶装置84は、ボンディングワイヤ88を介して回路基板82のパターン配線に接続される。ただし、必要であれば、半導体記憶装置84を基板回路に対してフリップチップ実装することもできる。また、回路基板82のパターン配線は、パッケージ54に形成されたパターン配線54dに対してボンディングワイヤ90により電気的に接続される。
ここで、半導体記憶装置84は、図12に示すように、ボンディングワイヤ92によって、パッケージ54のパターン配線に直接接続することとしてもよい。これにより、半導体記憶装置62とパッケージ54のパターン配線54dとの間の経路長を短くすることができる。また、回路基板82上でボンディングする箇所の数が低減されるため、例えば、回路基板82により多くの電子部品を搭載することができるという効果も得られる。
なお、本実施例では、プロセッサ用素子62の上にメモリ等の半導体記憶装置84を搭載しているが、半導体記憶装置に限らず、例えば制御用半導体装置等の半導体装置を搭載することとしてもよい。
また、図13に示すように、回路基板82上にチップ部品70のみを搭載することとしてもよい。この場合、より多くのチップ部品70を回路基板82に搭載することができる。図13に示す例では、回路基板82はボンディングワイヤ90によりパッケージ54のパターン配線54dに接続されているが、図14に示すように、ボンディングワイヤ94により直接プロセッサ用素子62に接続してもよい。
また、回路基板82を単に金属ベタ層を有する基板として形成し、金属ベタ層を接地電位とすることで、プロセッサ用素子82に対する電磁場シルード効果のみを得ることとしてもよい。